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【SS】 夢に向かうサトシへ

 ▼ 1 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:45:23 ID:lxSuDMO6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アニポケXY&Z編の最終回、感動しました。
これまで描かれてきたストーリーを考えると、サトシとセレナにとっての、最高の別れ描写だったのではないでしょうか。

このSSは、そんなアニポケ最終回で描かれていなかった部分にスポットを当てた、“半”オリジナルのストーリーです。
最終回のサイドストーリー的なものとして見て頂ければと思います。



毎日更新は出来ませんが、よろしければお付き合いください。




 ▼ 136 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/25 02:18:00 ID:COHYTr06 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
悲鳴の上がったと思われる場所に近付いた私たちは、物音を立てないように慎重になる。

そして、辺りを注意深く見渡す。


 サトシ (この辺だよな……)

 セレナ (うん。こんな森の奥ってことは、やっぱり……)


そこは、林道から外れた、木々が生い茂る場所。当然、林道から見ることのできない場所、人目に付かない場所だ。

って言うことは、やっぱりポケモンハンターの仕業の可能性が高い。


出来るなら、野生ポケモン同士のバトルであって欲しい。単なる縄張り争いの類であって欲しい。


 サトシ (……あれだ)

 セレナ (あっ)


けど、そんな願望は崩れ去ってしまった。

私たちの目線の先には、1人の男性と、彼のポケモンであると思われるブーバーン。それに、檻に入れられた沢山のコフーライが……。
 ▼ 137 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/25 02:19:00 ID:COHYTr06 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ (やっぱりポケモンハンターの奴が……!)

 セレナ (酷い……。コフーライばっかりあんなに)


確か前にも、コフーライばっかり捕まえているポケモンハンターに私たちは会っている。……ポケモンバイヤーだったっけ?

どっちにしても、このままコフーライがハンターの手に渡っちゃうのは避けないと。


 サトシ (なんとかしないと!)

 セレナ (でもダメよサトシ。ジュンサーさんに言われてるでしょ?)

 サトシ (けど! このまま逃げられたらマズいだろ!)

 セレナ (そうだけど……)

 サトシ (……ん? あの2人!)

 セレナ (えっ?)


サトシの目線の先に、2人の人影が。

ポケモンハンターから隠れるように、茂みに身を隠している男の子と女の子。


 サトシ (ハルキ……!)

 セレナ (それにルイナも?)
 ▼ 138 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/25 02:20:00 ID:COHYTr06 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私たちは、ハンターに気付かれないように2人に近付いた。


 ルイナ (あ、サトシとセレナ)

 ハルキ (えっ……どうして君たちがここに?)

 サトシ (オレたち、近くの草原に居たんだ。そしたらコフーライの悲鳴が聞こえて、急いで来てみたんだ)

 セレナ (そしたらポケモンハンターが居て……、なんとかしないとって)

 ルイナ (あら、デート中だったの?)

 セレナ (でっ……そういうんじゃ……///)

 ハルキ (そういう女子トークは他で やってくれ)

 セレナ (そっ、それより、何でハルキとルイナも ここに?)

 ルイナ (あぁ、えっと……)

 サトシ (2人もハンターを許せないんだよな?)

 ハルキ (……あぁそうさ。だから こうして隠れて、チャンスを伺ってたんだ。ハンターを捕まえて、コフーライを解放しようと思ってね)

 ルイナ (そうそう)

 サトシ (流石だぜ)
 ▼ 139 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/25 02:21:00 ID:COHYTr06 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そっか。ルイナとハルキも、コフーライの悲鳴を聞いてたんだ。それでハンターが許せなくて、私たちみたいに行動してる……。

なんだか2人、私たちに似てるな。会ったばっかりだけど、私たち、なんとなく気が合いそうだ。


 セレナ (でも、私たちだけで勝手にハンターを捕まえるのは……)

 サトシ (確かにそうだけど、でもモタモタしてたら逃げられちまう)

 ハルキ (そうだね。ここは4人で協力して、ハンターの悪事を止めようじゃないか)

 ルイナ (そうね。2人じゃアレだけど、4人なら行けるんじゃないかしら。ハンターは1人だし)

 サトシ (決まりだな。けど、オレたちだけで勝手にってのは、流石にマズい)

 ルイナ (どっちよ)

 サトシ (だから、セレナとルイナは、ジュンサーさんに知らせて来てくれないか?)


えっ……、それって、サトシとハルキがハンターと戦うってこと?

私たちには危険なことさせないで……。


 ハルキ (なるほど。ハンターと戦うのは僕とサトシで、女子には安全な任務を任せる。紳士じゃないかサトシ)


本当、紳士的だよ、サトシ。

サトシは無意識のうちかもしれないけど、サトシのそういうところ、本当に素敵。サトシってば、最後の最後まで格好良いんだから……。
 ▼ 140 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/25 02:22:22 ID:COHYTr06 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ (勿論、ハルキがオッケーしてくれたら、だけど)

 ハルキ (僕は賛成だね。ルイナ、セレナと一緒に行ってくれ。分かってるね?)

 ルイナ (……オッケー。じゃあ行くわよセレナ)

 セレナ (うん。サトシ、ハルキ。すぐジュンサーさん呼んでくるから、くれぐれも気を付けてね)

 サトシ (任せとけって)

 ハルキ (じゃあ、頼んだよ)



私たちは、音を立てないように、慎重に この場から立ち去った。

早くジュンサーさんを呼んで来ないと。

サトシは強いから大丈夫だと思う。ハルキも、バトルよりポケモンをゲットすることが好きらしいけど、ルイナの話を聞いてる感じ、バトルが弱い訳じゃなさそう。

そんな2人がかりなら、ハンター相手でも問題ないとは思う。けど、ハンターは凶悪な人が多い。そんな状況に、サトシとハルキを いつまでも晒しておく訳には行かない。


 セレナ 「急ぎましょうルイナ」

 ルイナ 「えぇ」


私たちは林道に戻って、アサメタウンの交番に向けて走った。

 ▼ 141 レディア@かおるキノコ 17/02/25 06:53:34 ID:zTpx5Hi. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 142 ロッパフ@そうこのカギ 17/02/26 00:03:04 ID:Z0.9DHfc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモン世界って警察がなかなか仕事しないよな
ゲームもアニメも主人公たち子供がすべて解決してしまう
 ▼ 143 マンボウ@オレンジメール 17/03/03 23:57:47 ID:bDNIr1qI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 144 ルダック@ジーエスボール 17/03/06 23:18:32 ID:1gtSK8Hc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 145 ビヨン@ふといホネ 17/03/07 07:59:41 ID:FPdrPIzA NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
まだー?
 ▼ 146 レキッド@ドリのみ 17/03/09 23:18:11 ID:fh5vMZi2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
さすがに待たせ過ぎ

支援
 ▼ 147 ビィ@ゴーストメモリ 17/03/09 23:19:00 ID:awBFkDzE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
甲州さんのスローペースさは尋常じゃないからなwww
 ▼ 148 ガサメハダー@リリバのみ 17/03/13 23:03:52 ID:wo5LJq8. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
保守
 ▼ 149 ルトロス@プラズマカード 17/03/17 23:48:42 ID:AZ4N.CkY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 150 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:50:59 ID:RFvZGp/6 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 1-9 】



 ルイナ 「……待ってセレナ」


走り出してすぐに、ルイナが私を呼び止めた。


 セレナ 「どうしたのルイナ?」

 ルイナ 「急ぐのはマズいわ」

 セレナ 「えっ……どうして?」

 ルイナ 「ハンターが1人って保証は無いわ。仲間がいるかもしれない」

 セレナ 「仲間……。でも、ジュンサーさんは、ハンターは男の単独だって……」

 ルイナ 「そんなの分からないでしょ。プロのハンターなら、そうやって警察を油断させてるかもしれないわ」

 セレナ 「油断……」

 ルイナ 「それに、私たちが すんなり抜け出せたのも怪しいわ。もしかしたら、ハンター仲間に監視されてるかもしれない」

 セレナ 「じゃあ……」

 ルイナ 「とにかく、しばらく待機よ。下手に動くより、まずは様子を見た方が良いわ」
 ▼ 151 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:51:33 ID:RFvZGp/6 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私たちは しばらく、茂みの中に身を隠した。

確かにルイナの言う通り、ハンターの仲間が居て、私たちが監視されてたりしたら、下手に動くのは危ないかもしれない。

けど……。


 セレナ 「……ルイナ。そろそろ」

 ルイナ 「甘いわよセレナ。こうやって私たちが痺れを切らすのを待ってるのかもしれないわ」

 セレナ 「そうだけど……」

 ルイナ 「こういう時は、忍耐力が勝負なのよ。分かるでしょ」


ルイナはハルキと一緒に、ポケモンをゲットする旅をしてると言っていた。

だからなのか、忍耐力が強いんだと思う。ゲットする最高のタイミングを計る意味で。


 セレナ (けど……)


5分、10分と、時間は過ぎていく。

それが とっても長く感じられて、その間にもサトシはハンターとバトルしてて。

私には とても、“忍耐力”で片付けられる問題では無かった。
 ▼ 152 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:52:13 ID:RFvZGp/6 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ルイナ、もうそろそろ行こうよ」

 ルイナ 「だから待ちなさいって。それこそハンターの思う壺よ」

 セレナ 「けど、サトシたちは今もハンターとバトルしてるのよ。2人なら大丈夫だと思うけど、もし万が一のことがあったら……」

 ルイナ 「大丈夫よ。サトシを信じなさい。好きなんでしょ?」

 セレナ 「すっ……/// でもっ! だからこそ心配なの! ルイナはハルキのこと心配じゃないの?」

 ルイナ 「ハルキなら大丈夫。分かるのよ」

 セレナ 「私だってサトシを信じてる。けど、いつまでも ここで ジッとしてるなんて私には無理!」

 ルイナ 「落ち着きなさいって! ハルキたちの頑張りを無駄にする気!?」

 セレナ 「だってルイナ、おかしいよ! ポケモンハンターって危ない存在なのに、なんでそんなに余裕で居られるの?」

 ルイナ 「それは……」

 セレナ 「とにかく私は ジッとしていられない。もしこのまま待機って言うんなら、もう別行動にしましょう。二手に分かれてジュンサーさんに知らせに行く方が、もしハンター仲間に監視されてたとしても、確率が上がるんじゃない?」

 ルイナ 「ダメよセレナ! 無茶な行動は……」

 セレナ 「大丈夫。私だって、ポケモントレーナーだもん!」
 ▼ 153 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:52:48 ID:RFvZGp/6 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私はルイナの制止を振り切って走り出した。

これ以上、サトシを待たせる訳には行かない。これ以上、サトシを危険な状態に置いておく訳には行かない。


私は一応、まわりを確認しながら走る。

けどそもそも、10分以上待機して何も動きが無いってことは、ハンター仲間が居る確率なんて、ほとんどゼロのはずだ。

ルイナだって、それくらい分かるはずなのに。


 セレナ (ルイナ、なんで……)


勿論、ルイナにはルイナなりの考えがあるのは分かる。

慎重な性格なのかもしれないし、ポケモンをゲットする趣味から、身を潜めて待機する大切さを知っているのかもしれない。


でも、“時と場合”ってのがあるはずだ。

少なくとも私は、これ以上の待機に賛同は出来ない。


 セレナ (待っててサトシ。すぐジュンサーさんを呼んでくるから……!)


そう思った、その時だった。
 ▼ 154 メテテ@べにいろのたま 17/03/19 01:02:23 ID:PM0YPpFI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 155 オガエン@クサZ 17/03/23 00:21:46 ID:Q8l.CFqA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 156 ーリキー@パワーベルト 17/03/28 23:10:55 ID:f8si/dnQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 157 シェード@でんきのジュエル 17/03/29 00:24:50 ID:MjVJqpzg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 158 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/29 00:54:38 ID:bZMMtFH6 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ルイナ 「“こごえるかぜ”よ!」


 セレナ 「えっ……きゃっ!?」


私の背後から、冷たい風が吹き付けてきた。

背中を押されるような感覚に驚いたけど、なんとか踏みとどまって、私は後ろを振り向く。

するとそこには、ドンカラスの横で私を睨みつける、ルイナの姿があった。


 セレナ 「ルイナ……?」


今の……、あのドンカラスのワザなの?

だとしたら、私を狙ってたってこと……なの?
 ▼ 159 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/29 00:56:40 ID:bZMMtFH6 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「待ちなさい。ジュンサーさんに知らせる訳には行かないのよ」

 セレナ 「どういうこと!? サトシたちがハンターと戦ってるのに……」

 ルイナ 「確かに、ハルキとアンタの連れは、ハンターと戦ってるわ。でもそれが……狂言だとしたら?」

 セレナ 「狂言? なに言ってるの……? あのハンター……ルイナたちの味方なの!?」

 ルイナ 「それは違うわ」

 セレナ 「じゃあ……どういうことよ!?」

 ルイナ 「勝てるバトルだって言ってんの。ハルキの実力ならね」

 セレナ 「……待ってルイナ。話がぜんぜん見えてこない。それに! なんで私を攻撃したのよ!?」

 ルイナ 「まだ分からないの?」


“まだ分からないの?”って……。

分からない、どういうことなのか、私には分からない。

考えないと――。

考えて、私。この状況、なんだか とってもマズい気がする。

頭を回転させて。話を整理しないと。
 ▼ 160 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/29 00:57:40 ID:bZMMtFH6 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシたちがハンターと戦ってるのは、狂言――私たちを騙してるってこと。

でも、ハンターはルイナたちの味方じゃない。

けど、ハルキの実力なら、ハンターには勝てるって言う。

それに、ジュンサーさんに知らされるとマズいらしい。


 セレナ 「ルイナ……、それにハルキ、もしかして、何か悪いこと企んでるの?」

 ルイナ 「悩んだ結果がそれかしら?」

 セレナ 「だって! 分からないわよ。私たちを騙してるってことは事実で、ジュンサーさんに知られるとマズいことなんて! 私、ルイナを信じてたのに! 昨日だって色々お話しして……」


昨日の……話。

ねぇ待って。昨日の話よ!

ルイナとハルキは、ポケモンをゲットする旅をしてるって言っていた。作戦を立てて、珍しいポケモンをゲットするって。

そう言えば引っ掛かってた、ルイナの言ってた“価値”って言葉。

それは単純に、珍しいポケモンは良いボールで捕まえたいって言う意味だと思ったけど、もしそれが、違う意味だったとしたら――。
 ▼ 161 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/29 00:58:40 ID:bZMMtFH6 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「もしかして……、ルイナたち、ポケモンハンターなの?」

 ルイナ 「まぁ……、ほとんど正解かしら?」

 セレナ 「どういうこと……?」

 ルイナ 「私たちね、ポケモンハンターが捕まえた珍しいポケモンを、奪い取ってるのよ」

 セレナ 「えっ!?」


衝撃の発言だった。

むしろ、ルイナとハルキがポケモンハンターだった方が、まだマシだったかもしれない。

でも現実は違う。2人はいわば……サトシ的な言い方をすれば、“ポケモンハンター”ハンター。

ハンターの捕まえたポケモンを奪い取るなんて……信じられない!


 ルイナ 「驚いてるようね。でもね、それが事実なのよ。私とハルキは、珍しいポケモンを捕まえて、ネットオークションに出してるの」

 セレナ 「オークションに!?」

 ルイナ 「でも、珍しいポケモンって、そんな簡単に手に入らないでしょ? だから手っ取り早く、ハンターが捕まえたポケモンを奪ってるってワケ」

 セレナ 「そんなっ……」

 ルイナ 「相手はプロのハンターよ。そいつから奪い取るんだから、綿密な計画は絶対よ。ハンターを倒したら、ハンターのポケモンを珍しいボールでゲットし直す――、たったそれだけ」
 ▼ 162 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/29 00:59:40 ID:bZMMtFH6 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「酷い! 酷いよそんなの……酷すぎるわよ!」

 ルイナ 「気持ちは分かるわ。野生ポケモンにとってはエグイことでしょうね」

 セレナ 「じゃあ何で!?」

 ルイナ 「私はただ、ハルキに従ってるだけ。だってそうでしょ? ハルキは強いから、ハンターから100%ポケモンを奪い取れる。そのポケモンは高値で売れる。私にもカネが入る」

 セレナ 「お金のために……そんな悪いことに協力してるってこと!?」

 ルイナ 「もちろん、ハルキのことは愛してるわよ?」

 セレナ 「だったら! 止めるのが筋じゃない! 好きな人が悪いことしてたら!」

 ルイナ 「関係ないわ。私はハルキの女で居る以上、カネには困らないし、贅沢し放題よ。今さら この生活を止められないわ」


有り得ない……、こんなのおかしいよ。

自分が贅沢するために、ポケモンハンターを襲って、そのポケモンをネットで売り捌くなんて。絶対にどうかしてるよ!


 セレナ 「じゃあ……、最初に会った時、ハンターから隠れて様子を見てたのは、最初から あのハンターを襲うつもりだったってこと?」

 ルイナ 「そうよ」

 セレナ 「さっきまで“身を隠した方が良い〜”って言ってたのは、ハンターからポケモンを奪う時間稼ぎってこと?」

 ルイナ 「そうよ」

 セレナ 「そんなの……絶対に間違ってる!」
 ▼ 163 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/29 01:01:01 ID:bZMMtFH6 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は思わず叫んだ。

ただでさえポケモンハンターの行動は許せないのに、それをさらに上回る行動を、ルイナとハルキは取っていたのだから。


 ルイナ 「別に間違ってても構わないわ。……それより、知られちゃった以上、タダで帰す訳には行かないわねぇ」

 セレナ 「えっ!?」

 ルイナ 「今ごろハルキ、ハンターを倒して、計画の実行に移ってるでしょうね。そうなると、サトシは邪魔になるわよね?」

 セレナ 「あっ……サトシ!?」

 ルイナ 「それと同じ。私だって、セレナが邪魔になってるのよ。上手いこと2人、2人で分かれた訳だし、こっちはこっちで、アンタを処分させて貰うわよ」

 セレナ 「っ……! サトシは負けないわ! そんな酷いこと平気でする人に、負けるはずないもん!」

 ルイナ 「大した信頼だこと。でも、いま心配すべきは、自分のことじゃないかしら?」

 セレナ 「……お願いヤンチャム!」

 ヤンチャム 「ちゃむ!」

 ルイナ 「ふふっ。私に立ち向かうなんて良い度胸ね。バトルは専門じゃないけど、ハルキ直伝の戦略、たっぷり見せつけてあげるわよ!」


私だって、バトルは専門じゃない。

でも戦わないと。ハルキと戦ってるサトシのためにも、私だって、ここで勇気を出さないと!
 ▼ 164 ドラ@わすれもの 17/03/29 22:19:58 ID:Q/Ga7DQQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
来たか、支援ぬ
 ▼ 165 ガヤンマ@たいりょくのハネ 17/03/29 22:33:58 ID:ImrHw4jU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 166 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:31:30 ID:X7kzqcjs [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「とっとと終わらせるわよ! ドンカラス“こごえるかぜ”!」


早速ルイナは攻撃指示を出してきた。

もうバトルは始まっている。誰の助けも入らない、私の、私が しっかりしなくちゃいけないバトルが。


 セレナ 「ヤンチャム避けて!」

 ルイナ 「は?」


私はヤンチャムに、回避指示を出す。

……けど、“こごえるかぜ”はヤンチャムに直撃してしまった。


 セレナ 「ヤンチャム!?」

 ルイナ 「アンタ、ホントにバトルダメなのね。風の付くワザは射程範囲が広いんだから、簡単に避けれる訳ないでしょ?」

 セレナ 「そっか……ごめんねヤンチャム!」

 ヤンチャム 「ちゃむちゃぁ!」
 ▼ 167 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:32:11 ID:X7kzqcjs [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いきなりミスしちゃった……。

こういう所で、バトルの経験の有無が出てきてしまう。


 ルイナ 「ふふっ……案外ラクに勝てそうね。一気に行くわよ! “ブレイブバード”!」


ルイナが叫ぶと、ドンカラスは大きく旋回して、光り輝きながら急降下、ヤンチャム目がけて突進してくる。

“ブレイブバード”って確か、飛行タイプの大技。あんなのをヤンチャムが喰らったら、ひとたまりもない!


 セレナ 「えっと……えっと……!」


どうしよう……、考えてる時間なんて無いのに。

ドンカラスは どんどん接近してくる。ワザの相性的に、向かい打っても負けてしまう。

かと言って避けきれるような攻撃でもないし……どうしたら……!?

こんなとき、サトシだったら……。
 ▼ 168 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:32:50 ID:X7kzqcjs [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「そうだ! ヤンチャム地面に向かって“つっぱり”よ!」

 ヤンチャム 「ちゃむ!」


それは、かなり冒険だったかもしれない。

でもヤンチャムは、私を信じて動いてくれた。


 ルイナ 「なっ……!?」

 セレナ 「避けて!」

 ヤンチャム 「ちゃぁ!」


ヤンチャムは、ドンカラスの攻撃を避けることに成功した。

私が何をしたか――、それは、地面に“つっぱり”することで、砂埃を上げて、ドンカラスの視界を奪うこと。

言ってみれば、ワザの“すなかけ”と同じようなことを再現したのだ。


 セレナ 「今よヤンチャム! “ストーンエッジ”!」

 ヤンチャム 「やっちゃぁ!」
 ▼ 169 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:33:59 ID:X7kzqcjs [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして隙を付いて、ドンカラスに“ストーンエッジ”を直撃させた。

ヤンチャムの“ストーンエッジ”は、青く光りながら地面から大きく突き出す。

ポカロンで使っていたこのワザは、飛んでいるドンカラスにも上手く対応して、ダメージを与えることに成功した。


 セレナ 「良いわよヤンチャム!」

 ヤンチャム 「ちゃぁむ!」


 ルイナ 「しっかりしなさいドンカラス! “こごえるかぜ”!」


けど、ドンカラスは まだまだ倒れない。

すぐさま態勢を立て直して、“こごえるかぜ”を発射した。


 セレナ 「“あくのはどう”で向かい打つわよ!」

 ヤンチャム 「やっちゃぁ!」


“こごえるかぜ”を回避できないのは学習済み。

だったら相殺させるしかない。相手が“風”なら、こっちは“波導”だ。


その2つのワザは、ヤンチャムとドンカラスのちょうど中間で衝突する。行き場を失ったエネルギーが爆風となって、辺り一面を巻き込んだ。
 ▼ 170 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:35:50 ID:X7kzqcjs [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「んっ……大丈夫ヤンチャム!?」

 ヤンチャム 「やちゃぁ!」

 ルイナ 「やりなさいドンカラス!」

 セレナ 「ぁっ……気を付けてヤンチャム!」


その爆風、爆煙の中で、ドンカラスが動いた。

大きく羽ばたいて上昇、爆風の煙の外に出た。奪われた視界を確保するためってことか。


 セレナ 「今よヤンチャム! 思いっきり上に向かって“ストーンエッジ”!」

 ヤンチャム 「ちゃむ……ちゃぁぁぁぁぁ!」


けど、ドンカラスが煙の外に出たことで、ヤンチャムにとっては、攻撃先が明らかになった。

上に突き出す“ストーンエッジ”ほど、今この状況で相応しいワザは無いと思う。

だって、ヤンチャムは まだ煙の中。ドンカラスからしたら、ワザがどこから撃たれるか予想しにくいはずだもん!


 ヤンチャム 「ちゃむぅぅぅぅぅ!」
 ▼ 171 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:37:00 ID:X7kzqcjs [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヤンチャムの繰り出した“ストーンエッジ”が、上空のドンカラスに直撃した。

ドンカラスは不意を突かれたのか、ほとんど回避行動を取らなかった。

やっぱり煙の中からの攻撃は避けようが無かったみたい。


 セレナ 「やった!」


私は正直、バトルは苦手だ。

いくらルイナもバトル経験が少ないからって、そう簡単に私の戦略が通用するとは思っていなかった。

でも、私は自分で思っていた以上に、バトルのスキルを身につけていたみたい。

それは、サトシのバトルを いつも間近で見てきたから。誰よりもサトシのバトルを見守って来たから。

そういう経験が、私を強く、成長させてくれてたんだ。






 ルイナ 「ドンカラス“ブレイブバード”!」

 セレナ 「……えっ!?」
 ▼ 172 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:38:00 ID:X7kzqcjs [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど次の瞬間、信じられないことが起こった。

“ストーンエッジ”が直撃したはずのドンカラスの体が、まるで蒸発するかのように、消えてしまったのだ。


 セレナ 「なんで……」

 ルイナ 「ほら後ろガラ空きよ!」

 セレナ 「あっ……避けてヤンチャム!」

 ヤンチャム 「ちゃっ……!?」


私が叫んで、ヤンチャムがそれに反応して……、でも、もう遅かった。

ドンカラスはヤンチャムの すぐ後ろに迫っていた。完璧な“ブレイブバード”の構えで。


 セレナ 「あぁっ……」


鈍い音とともに、ヤンチャムの体は跳ね飛ばされた。

“ブレイブバード”が、直撃。

飛行タイプの大技を、ヤンチャムは無防備な状態で、喰らってしまったのだ。
 ▼ 173 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:39:20 ID:X7kzqcjs [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ふふっ。効果抜群。戦闘不能ね」

 セレナ 「そんなっ……、ヤンチャム……」


ルイナの言う通り、この一撃で、ヤンチャムは倒れていた。

そんな……。こんなことって……。


 ルイナ 「滑稽ね。勝ったと思ったでしょ? “ストーンエッジ”当てたとき」

 セレナ 「……ありがとう、ヤンチャム」

 ルイナ 「その時のアンタの嬉しそうな顔、ホントおかしかったわ。私の戦略に まんまと嵌ってるとも知らないで」

 セレナ 「………」

 ルイナ 「あれねぇ、ドンカラスの“みがわり”なの。煙に紛れて作ったら、セレナ、疑いもしないで そっちを攻撃するんだもん。マジウケるんですけど」


確かに私は、勝ちを確信してしまった。

けど、それはルイナの作戦だった。考えてみると、あんなに あからさまに囮になるようなこと、おかしいって思わなきゃいけなかった。

そんな単純な罠に、引っ掛かるなんて……。
 ▼ 174 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/01 02:40:00 ID:X7kzqcjs [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「私に勝つなんて無理な話なのよ。大人しく降参したら?」

 セレナ 「……お願い、テールナー!」

 テールナー 「てなっ!」

 ルイナ 「まだやるの〜?」


ルイナは強い。

……実際、私が弱すぎるだけかもしれないけど、私にとって、ルイナが強敵なのは間違いない。

思いださないと。サトシの戦略を。サトシのバトルスタイルを。サトシのバトル精神を。


 セレナ 「私は……絶対に負けない!」

 テールナー 「てんな!」


サトシだって、ハルキと戦っている。

絶対に諦めちゃダメだ。

ルイナに勝って、サトシの隣に居て恥じないトレーナーに、私は なるんだ!
 ▼ 175 ハコモリ@ヤタピのみ 17/04/01 07:45:37 ID:n4Xa6ewM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 176 ジョンド@メタルコート 17/04/01 13:22:09 ID:VF8Z0Fx2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 177 ナフィ@ブーカのみ 17/04/06 07:39:46 ID:v1iF/5GY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 178 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:24:00 ID:Uzcv/5eg [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「はいはい強がってるのも今のうちよ。ドンカラス“つじぎり”!」

 セレナ 「テールナー“かえんほうしゃ”よ!」

 ルイナ 「避けて!」


テールナーに突っ込んで来たドンカラスは、“かえんほうしゃ”が来るや否や、上空に回避した。

また“みがわり”を使われないように、今度はドンカラスのこと、よく見ておかないと。


 ルイナ 「一気に行くわよ! “こごえるかぜ”!」


ドンカラスが上空で大きく羽ばたくと同時に、冷気を帯びた風が巻き起こった。

さっきのヤンチャムと同じ……、風の攻撃は攻撃範囲が広いから避けにくい。だったら……!


 セレナ 「向かい打つわよ! “だいもんじ”!」

 テールナー 「てんな!」


“だいもんじ”は、“かえんほうしゃ”のような一点に向かう攻撃と違って、“大の字”に炎が拡散される。

広範囲に渡る“風”を防ぐには、こっちの方が良いはずだ。

予想的中、“だいもんじ”は上手いこと“こごえるかぜ”を掻き消してくれた。相性が良いってこともあるかもしれないけど。
 ▼ 179 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:25:00 ID:Uzcv/5eg [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「やった!」

 ルイナ 「ほら反応 遅いわよ! “つじぎり”!」

 セレナ 「えっ……あ! テールナー避けてっ!」

 テールナー 「てなっ!?」


その直後、テールナーに“つじぎり”が直撃してしまった。

“こごえるかぜ”を防げて安心してる私、隙だらけだったんだ……。

もっと先のことまで考えて指示を出さないといけない……、これがポケモンバトル……!


 ルイナ 「あははっ! まだまだねセレナ! 一気に行くわよ“ブレイブバード”!」


ルイナは、ドンカラスは、私に考える時間を与えてくれない。

“つじぎり”を放ったドンカラスは、そのままの勢いで大きく旋回して、攻撃態勢に入る。

翼を畳んだかと思ったら、急降下からの低空飛行で、テールナー目がけ一直線に突っ込んで来た。
 ▼ 180 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:26:20 ID:Uzcv/5eg [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「“かえんほうしゃ”よ! “かえんほうしゃ”で向かい打って!」

 テールナー 「てんなぁぁぁ!」


もう回避は出来ないと、私は直感した。

ドンカラスの“ブレイブバード”のスピード、たとえ避けれたとしても、背中を取られてしまう。

なら、何とか向かい打つしかない。私は咄嗟の判断で、“かえんほうしゃ”を指示するしかなかった。


 ルイナ 「“ブレイブバード”、甘く見ない方がいいわよ!」

 セレナ 「えっ!? そんなっ……」


“かえんほうしゃ”が、ドンカラスに直撃した。

でも、ドンカラスは止まらない。“ブレイブバード”の勢いは衰えない。

“かえんほうしゃ”を切り裂くように正面突破したドンカラスの”ブレイブバード”に、テールナーは弾き飛ばされてしまった。


 セレナ 「ぁっ……テールナー!?」
 ▼ 181 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:27:20 ID:Uzcv/5eg [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「セレナってホントにバトル、ダメなのね。“ブレイブバード”と“かえんほうしゃ”の威力の違いとか分からない? 防げるわけないじゃない」

 セレナ 「ごめんねテールナー……。まだ行ける?」

 テールナー 「てんな……!」


テールナーは立ち上がって、大きく頷いてくれた。

ごめんねテールナー。私に もっとバトルの知識があれば、的確な指示を出せてたのに。

やっぱり私、バトルなんて……。


 セレナ 「……ううん! 私、諦めないって決めたもん! 諦めない大切さ、サトシに教えて貰ったもん!」

 テールナー 「てなぁ!」

 ルイナ 「あらあら。こんな状況でもサトシなんだ」

 セレナ 「行くよテールナー! “かえんほうしゃ”!」

 ルイナ 「避けて!」


テールナーが放った“かえんほうしゃ”を、ドンカラスは上空に向かって回避した。

……ダメ。空に逃げられたら攻撃が当たらない。

だって空は障害物が無いから、ドンカラス、自由自在に逃げれるんだもん。
 ▼ 182 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:28:01 ID:Uzcv/5eg [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ (どうしたら良いの……? こんな時、サトシだったら……!)

 ルイナ 「“こごえるかぜ”よ!」

 セレナ 「……あっ!?」


この状況の打破を考えてる私を嘲笑うかのように、次の攻撃が迫っていた。

上空のドンカラスから噴き出される“こごえるかぜ”。

私の指示が遅れたせいで、それはテールナーに直撃してしまった。


 セレナ 「またっ……大丈夫テールナー!?」

 テールナー 「てんなぁ……!」

 セレナ 「ごめんなさい……私っ、また……」

 ルイナ 「続いて“つじぎり”よ!」

 セレナ 「“かえんほうしゃ”で向かい打って!」

 テールナー 「てな!」

 ルイナ 「じゃあドンカラス、“つじぎり”やめて回避よ!」
 ▼ 183 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:30:00 ID:Uzcv/5eg [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドンカラスは また、上空に逃げて“かえんほうしゃ”を回避した。


ダメ……、私、この状況を整理するだけで いっぱいいっぱい。ルイナの指示に、ついていけない……。

落ち着いて考えたいけど、考えこむ時間は無い……。


 セレナ (落ち着いて……、落ち着いて、私……!)


ドンカラスは、“ストーンエッジ”を喰らってる。

それに、“ブレイブバード”の反動も受けてるはず。ルイナが2回目の“ブレイブバード”を指示してこないのは、これ以上の反動のダメージを避けたいからかもしれない。

それはそれでチャンスだけど、テールナーの攻撃は、広い空に逃げられちゃって当たらない……。

たとえ“たいもんじ”を打っても、“こごえるかぜ”の相殺と違って、簡単に避けられちゃう……。


 セレナ (どうすれば良いの? サトシっ……)


サトシは、いつも凄い戦略を思いつく。

フィールドを味方につけた攻撃や、相手の特徴、特性を逆手に取った攻撃も。

いま思うと、改めて、それって凄いことだと思う。だって私、実際にバトルしてみて、そんなすぐに戦略なんて思いつかないもん。


 セレナ (サトシなりのバトル……。だったら、私なりのバトル、何か……!?)
 ▼ 184 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:31:00 ID:Uzcv/5eg [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私が出来ることと言えば、パフォーマンスの応用。

けど、ヤンチャムの“ストーンエッジ”くらいしか、バトルに応用できることは思いつかない。

何か……何か無いの!?

いま、この状況をガラッと変えられる、私なりの戦法……!?



 セレナ 「……あっ! テールナーお願い! “だいもんじ”!」

 テールナー 「てんな! てぇなぁぁぁぁぁぁ!」


テールナーは、リボンの枝を大きく構えて、大量の炎を繰り広げる。

それは大の字になって、ドンカラスに迫っていく。

威力は申し分ない。パフォーマンスの見栄えに力を入れてるお陰で、大きな大きな“大の字”を作れるんだから。


 ルイナ 「同じことよ! 避けてドンカラス!」

 セレナ 「今度は逃がさないわよ! テールナー! “大の字”の中心に“めざめるパワー”!」

 テールナー 「てんなぁぁぁ!」

 ルイナ 「えっ?」
 ▼ 185 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:32:30 ID:Uzcv/5eg [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
“めざめるパワー”、紫色の球体が発射されて、それはちょうど、“だいもんじ”の大の字の中心に衝突した。

コントロールは抜群だ。この辺も、パフォーマンスの練習が役立ってるんだと思う。

でも注目するのは次だ。


 ルイナ 「あっ……うそ!? ドンカラス!?」


“めざめるパワー”が直撃した“だいもんじ”の炎が、大きく破裂した。

四方八方に飛び散る炎、四方八方に飛び散る“めざめるパワー”。

オレンジと紫のエネルギーの破片が、キラキラと輝きながら鮮やかなコントラストを生み出して、空を彩る。

それは打ち上げ花火のように。打ち上げ花火のように破裂して、“回避したつもりでいた”ドンカラスに直撃したのだ。


これが――、私なりのバトル……!


 セレナ 「良いわよテールナー! 続けて“かえんほうしゃ”!」

 テールナー 「てんなぁぁぁ!」

 ルイナ 「っ……避けてドンカラス! 避けるのよ!」
 ▼ 186 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:33:31 ID:Uzcv/5eg [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど、不意打ちを受けたルイナもドンカラスも、完全に反応が遅れていた。

ドンカラスはハッとして回避しようと羽ばたいたけど、“かえんほうしゃ”の方が少しだけ早かったみたい。

結果、炎が羽を かすめて、ドンカラスは大きくバランスを崩す。


 セレナ 「決めるわよ! “だいもんじ”!」

 テールナー 「てぇぇぇぇんなぁぁぁぁぁぁぁ!」


バランスを崩したドンカラスは、隙だらけだった。

そんな隙だらけのドンカラスに攻撃を当てるのは、簡単なことだった。さっきまで あれだけ余裕で回避されてたのが嘘みたい。

やっぱりポケモンバトルって、一瞬の判断で勝負が決まるんだ……。

私は それを、強く実感した。


 ルイナ 「ドンカラス!?」


強力な炎の集中砲火を受けたドンカラスは、ついに、地面に墜落した。

戦闘不能だ。私たちの勝利だ。
 ▼ 187 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/12 00:35:35 ID:Uzcv/5eg [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「やった! やったよテールナー! 凄い凄い!」

 テールナー 「てなっ! てんなぁ〜!」


私は堪らず、テールナーとハイタッチ。

やったねテールナー。私たち、ドンカラスに勝てたんだよ! バトルの経験が無い私たちでも、勝てたんだよ!


 ルイナ 「やってくれたわね……!」


けど、そんな喜びは、一瞬で終わってしまう。

ルイナの手に握られたモンスターボールは2つ。1つはドンカラスを戻したボール。って言うことは、次のポケモンが、まだ居るってこと……。


 ルイナ 「調子乗ってんじゃないわよ! 行きなさいロズレイド!」


ルイナが繰り出したポケモンは、ロズレイド。

初めて見るポケモンだ。両手がバラの花みたいで……、ってことは、草タイプのポケモン?

ならテールナーの方が有利だ。油断は禁物だけど、この流れを断ち切りたくない!


 セレナ 「このまま行くよ、テールナー!」

 テールナー 「てんな!」
 ▼ 188 ーパ@ピントレンズ 17/04/12 05:21:39 ID:dwxhjvxw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 189 ロカロス@イトケのみ 17/04/12 16:21:10 ID:e9hIetGM NGネーム登録 NGID登録 報告
こっちも支援
 ▼ 190 ラティナ@ひきかえけん 17/04/15 00:40:51 ID:y91g3YJQ NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 191 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 00:38:01 ID:K4.mS4Xk [1/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とは言っても……。

テールナーは“ブレイブバード”に“こごえるかぜ”、“つじぎり”を受けてしまっている。

息は上がってるし、毛並みも所々乱れていて、正直、このままバトルを続けさせたくない。


でも……、ごめんねテールナー。

今回だけはダメなの。

自分のためにも、サトシのためにも、今回のバトルだけは、私たちだけで切り抜けなくちゃいけないの。

きっとテールナーも それを分かってるから、頑張ってくれてるんだよね?


 セレナ 「テールナー“かえんほうしゃ”よ!」

 テールナー 「てなぁ!」

 ルイナ 「“ヘドロばくだん”!」


“かえんほうしゃ”と“ヘドロばくだん”が ぶつかり合って、ワザは互いに相殺。

「相性が悪くても当たらなきゃ意味ない」ってメッセージなのか、ルイナはニヤリと私を見る。

……けど、その不吉な笑みの本当の理由を、私は知ることになる。
 ▼ 192 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 00:48:59 ID:K4.mS4Xk [2/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ― ポツ……ポツポツ……ザァァァァァァァァァァァァ



 セレナ 「雨……?」

 テールナー 「てな……」


突然、雨が降り出したのだ。

確かに雲が湧いてたけど、ほんの1時間くらいまで晴れてたのに、雨が降るなんて……。


 ルイナ 「あらあら。どうやら運は私に味方してくれたようねぇ。雨だと炎ワザの威力、落ちちゃうんじゃない?」

 セレナ 「あっ……」

 ルイナ 「ふふっ」


確かに、雨だと炎ワザの威力は落ちるって聞いたことがある。

なんで こんなタイミングで……。
 ▼ 193 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 00:59:59 ID:K4.mS4Xk [3/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ロズレイド“エナジーボール”!」

 セレナ 「“めざめるパワー”で向かい打って!」

 テールナー 「てんな!」


緑と紫の球体が衝突して、破裂する。

その砂煙で視界が隠れた隙を、私は もう逃さない。


 セレナ 「今よテールナー! “かえんほうしゃ”!」

 テールナー 「てなっ! てなぁぁぁぁぁぁ!」


とにかく、何か突破口を作りたい。

ロズレイドに対して炎ワザは効果抜群だから、たとえ雨だとしても、ワザを当てさえすれば、一気に私が有利になると思う。

だから、この一撃に……!
 ▼ 194 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:10:00 ID:K4.mS4Xk [4/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「甘いわよ! “マジカルシャイン”!」


その瞬間、砂煙の向こうで、強烈な光が発せられた。


 セレナ 「うっ……!?」


あまりにも眩しすぎるその光に、私は思わず目を瞑ってしまった。

けど、一瞬の隙が勝負を左右するポケモンバトルで目を瞑るなんて自殺行為だ。

私は目に手を当てがって、細目でなんとかフィールドを確認……、したけど、もう遅かった。


 セレナ 「あぁっ……テールナー!?」

 ルイナ 「ふふっ。一撃ね」


テールナーは、地面に倒れていた。

“マジカルシャイン”の発光で、多分テールナーの“かえんほうしゃ”は止まっちゃったんだと思う。

そんな隙だらけのテールナーに、“マジカルシャイン”は直撃した……。


 セレナ 「ありがとうテールナー。ゆっくり休んでて」
 ▼ 195 ノアラシ@ピーピーエイダー 17/04/16 01:14:06 ID:ckW3T.TQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 196 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:20:00 ID:K4.mS4Xk [5/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
テールナーは、よく戦ってくれた。

バトル経験なんて ほとんど無いのに、ルイナのドンカラスを倒して、ダメージが蓄積してるのに、ロズレイドと戦ってくれて。

絶対に負けられないっていう私の気持ちを理解して……、きっと、多少は無理もしたと思う。


 セレナ (あとは、あなたに頼るしか……)


私の最後のポケモンは、ニンフィア。

テールナーよりも もっとバトル経験の無い、ダンスが大好きな、パフォーマンスを極めている、ニンフィア。


 セレナ 「お願い、ニンフィア!」

 ニンフィア 「ふぃぃあ!」


いつも通りの笑顔でボールから出てきたニンフィア。

だけど、いつもと違う雰囲気を悟ったのか、途端に険しい表情になる。
 ▼ 197 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:30:29 ID:K4.mS4Xk [6/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ニンフィア……。普通なら要注意ポケモンだけど、トライポカロンなんかに入り浸ってるアンタのポケモンじゃ、心配なさそうね」

 セレナ 「トライポカロンなんかって……、パフォーマンスを馬鹿にしないで!」

 ニンフィア 「ふぃあっ!」

 ルイナ 「だってね〜。ポケモンを着飾って? ダンスして? それになんの意味があるワケ?」

 セレナ 「意味って……」

 ルイナ 「ダンスが見たいならポケモンショーを見に行けばいいじゃない。なんで素人がダンスして、しかもそれを競い合うワケ? それ違くない?」

 セレナ 「何が違うって言うのよ?」

 ルイナ 「ダンスみたいなユルユルなもので競って どんな意味があるのってことよ。私から見たら、バトル出来ないザコな女が、変なプライド意識で勝負してるようにしか見えないのよ」

 セレナ 「なっ……酷いこと言わないで! パフォーマンスは……パフォーマンスは、見る人を笑顔に出来る! 沢山の人に笑顔を与えることが出来るの!」


エルさんのパフォーマンスを見て、私は感じ取った。

美しい演技は、皆を笑顔にして、皆の心を癒すことが出来る。“与える存在”になることが出来る――。


 セレナ 「バトルと違った角度からポケモンの魅力を引き出せる……。それがパフォーマンスなの!」
 ▼ 198 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:39:59 ID:K4.mS4Xk [7/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「なにムキになってんのよ。じゃあ何? こういう状況で、パフォーマンスで私を打ち負かしたいってワケ? パフォーマンスすれば、世の中の争いごとの全部を平和的に解決できるって思ってるワケ?」

 セレナ 「そっ……、そこまで言ってないじゃない!」

 ルイナ 「そう言うことよ。喧嘩や力比べは、バトルならお互い納得して解決できるけど、パフォーマンスは何? 何の意味があるって言うの? それが分からないのよ、私には」

 セレナ 「それとこれとは話が別よ!」

 ルイナ 「はぁ……。要するにね、パフォーマンスなんて自意識過剰な女の自己満足って言いたいのよ。観客が喜ぶのは、単なる付録でしょ?」

 セレナ 「自己満足って……パフォーマンスを貶さないで! 私たちパフォーマーは、皆を笑顔にするために特訓してるの! 自己満足なんかじゃ無いの!」


私は、そう信じてる。

だから私は、復興途中のミアレシティで、パフォーマンスのステージを企画した。

皆の疲れを癒すために。皆に笑顔を取り戻して貰うために。


ルイナの言葉は、そんな私の、私たちの、私とポケモンたちの決意を踏みにじるようなものだった。

頑張ってくれたテールナー、ヤンチャム、ニンフィアのためにも、今のルイナの言葉は、絶対に許せない。


 ルイナ 「だったら実力で私を納得させてみたら?」
 ▼ 199 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:46:00 ID:K4.mS4Xk [8/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「実力……」


けど、結局のところ、バトルになってしまう。

ルイナを納得させるのも、ルイナたちの野望――ポケモンハンターから珍しいポケモンを奪ってネットで売り捌く――を止めるのも、バトルで勝つしかない。

しかも、バトル慣れしてないニンフィアで。


 ルイナ 「行くわよロズレイド! “エナジーボール”!」

 セレナ 「お願いニンフィア! “かげぶんしん”よ!」

 ニンフィア 「ふぃあ!」


そしてバトルは、すぐに始まってしまった。

ロズレイドの繰り出す緑色の球体がニンフィアに迫る……けど、ニンフィアは“かげぶんしん”した お陰で、その攻撃は外れた。

もともと野生で人見知りで臆病だったニンフィアは、自分を守るワザを固めている。

逆に言えば、だからこそ臆病なニンフィアは、野生として生きてこれたんだと思う。
 ▼ 200 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:46:30 ID:K4.mS4Xk [9/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「チッ! 分身とかウザいのよ! “マジカルシャイン”!」

 セレナ 「また……ニンフィア“まもる”!」

 ニンフィア 「ふぃぁ!」


“マジカルシャイン”の強力な光は、全体攻撃ワザだ。

それを避けたり、ワザで相殺するのは難しい。さっきのテールナーへの攻撃で、そう感じてしまった。

だったら守るしかない。


 ルイナ 「“まもる”なんて覚えてるのね。でもこれで分身は封じたわね」

 セレナ 「っ……!」


ニンフィアへのダメージは防げたけど、今のワザで分身は全て消えてしまった。

“マジカルシャイン”によって、“かげぶんしん”は無効化されたと言っても間違いではない。


 ルイナ 「しかも“まもる”は連続で出すと失敗しやすいのよね。攻めるわよ! 連続で“ヘドロばくだん”!」

 セレナ 「避けるわよニンフィア! あなたのダンス、見せてあげて!」

 ニンフィア 「ふぃあ! ふぃぃあっ!」
 ▼ 201 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:47:00 ID:K4.mS4Xk [10/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロズレイドはバラの両手を交互に振りかざして、連続で“ヘドロばくだん”を繰り出した。

いかにも毒々しい紫色の液体がニンフィアに向かってくる。


……けど、私のニンフィアを甘く見ないで欲しい。

ニンフィアは身軽な体を活かして、ジャンプして、屈んで、リボンでバランスを取って、その液体を軽やかに回避し続けた。


 ルイナ 「……チッ! ちょこまかウザったいわねぇ!」

 セレナ 「これがパフォーマンスの動きよ!」


パフォーマンスは、軽やかな動きと、細密なタイミング感覚が物を言う。

テールナーとヤンチャムと一緒に特訓してきた、タイミングを計る動き。

華麗に舞う その動きを極めるためには、そういうスキルが重要になってくる。そしてそれは、こうやってバトルでも役に立てるのだ。


 セレナ 「そのまま“スピードスター”!」

 ニンフィア 「ふぃぃぁ!」

 ルイナ 「あっ……ロズレイド!?」
 ▼ 202 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:47:30 ID:K4.mS4Xk [11/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そしてニンフィアは、華麗な回避行動の中で、“スピードスター”を繰り出した。

雰囲気は全然違うけど、ここはニンフィア、あなたのステージよ。

私たちパフォーマーを貶したルイナに、あなたのパフォーマンス、見せつけてやりましょう!


 セレナ 「続いて“ようせいのかぜ”!」

 ニンフィア 「ふぃぃぃぃあぁぁぁぁぁ!」


“スピードスター”が直撃したロズレイドを、今度は“ようせいのかぜ”が襲った。

ほのかにピンク色に染まった暖かな風は、心地が良いようで、確実なダメージを与える。

ダンスパーティーのサトシとのタッグバトルで初めて使った、ニンフィアの とっておきのワザだ。


 ルイナ 「調子乗るんじゃないわよ! ロズレイドにフェアリーワザは今一つ! 立ちなさいロズレイド!」


ルイナが叫ぶと同時に、ロズレイドは立ち上がった。

2つの攻撃を受けたはずなのに、そこまで息は上がっていないように見える。

やっぱりワザの相性が……。
 ▼ 203 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 01:48:00 ID:K4.mS4Xk [12/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「……その回避レベルは厄介ね。パフォーマンスの特訓、こんな使い方もあるのね」

 セレナ 「そうよ! あなたは私たちを貶したいみたいだけど、私たちだって、それで黙ってなんて いられないわ!」

 ニンフィア 「ふぃあ!」

 ルイナ 「まぁ良いわ。そろそろ終わりにするんだから」

 セレナ 「終わりに……?」

 ルイナ 「そっ、終わりにね」 ニヤッ


その時、ルイナは不吉な笑みを浮かべた。

まるで、今すぐにバトルを終了できるような、隠し玉を持っていると言わんばかりに。


 セレナ 「私たちは最後まで諦めない!」

 ニンフィア 「ふぃぃあ!」


けど、私もニンフィアも、まだ戦える。

ルイナが どんな戦略を持ってるのか知らないけど、私たちは、絶対に諦めないんだ!
 ▼ 204 ナギラス@やけどなおし 17/04/16 09:05:03 ID:nuhTvNqs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 205 ュリネ@おちゃ 17/04/16 09:25:03 ID:fPGdfgK2 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 206 ガース@ともだちてちょう 17/04/16 10:15:30 ID:ckW3T.TQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 207 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 22:23:29 ID:K4.mS4Xk [13/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ロズレイド、行きなさい! “しびれごな”!」

 セレナ 「“しびれごな”……。避けてニンフィア!」

 ニンフィア 「ふぃあ!」


ロズレイドは、黄色く帯びた粒子を吹きだした。

“しびれごな”……。マヒなんてしたら、一気に不利になってしまう。

ここは確実に避けて、確実に次の攻撃に繋げないと!


 セレナ 「“スピードスター”よ!」

 ニンフィア 「ふぃぃぁ!」

 ルイナ 「ふふっ」


大きくジャンプして“しびれごな”を避けたニンフィアは、ロズレイドの背後を取った。

この状態で“スピードスター”を当てて、流れを私たちのモノにする――。

そう思った私は、ようやく異変に気付くことになる。
 ▼ 208 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 22:31:42 ID:K4.mS4Xk [14/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「えっ……あれっ?」


“スピードスター”は、ロズレイドに直撃した。

完璧に背後からの攻撃に成功して、ロズレイドは地面に膝を付く。


……けど、何かが変。

それは、ロズレイドやニンフィアのことじゃない。私自身のこと。

なんだか視界が霞んで来て……、霞む、と言うより、景色が ほのかに黄色くなるって言うか……。


 セレナ 「これっ……あぅっ!?」

 ニンフィア 「ふぃあ!?」


体が、崩れた。

息苦しい。

体が言うことを聞かない。

意識は はっきりしてるのに、私の体は、地面に倒れ込んでしまった。
 ▼ 209 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 22:39:59 ID:K4.mS4Xk [15/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ぁっ……はぁっ、はぁっ……うそっ……」


そうして私は、ルイナの言葉の意味を知ることになる。

“終わりにする”ことの意味を。


 ルイナ 「どうかしら? ロズレイドの“しびれごな”の威力?」

 セレナ 「“しびれごな”っ……、それっ……私にっ……!?」

 ルイナ 「そうよ。ニンフィアに出すと見せかけて、狙いはアンタ。ロズレイドを さり気なく風上に移動させたの、気付かなかった?」


私、“しびれごな”を浴びちゃったんだ。

ルイナは、最初から私への攻撃を狙ってたんだ。

風上に移動って……、ニンフィアを攻撃してる間に移動してたってこと?

バトルしてるように見せかけて、実は私への攻撃の準備を してたってこと!?
 ▼ 210 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 22:50:01 ID:K4.mS4Xk [16/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ぁっ……ぅぅっ……」


だんだんと、体が痺れてきた。

ダメ、起き上がれない。体、ぜんぜん動かないんだもん。

それに、胸が苦しい……。


 ニンフィア 「ふぃぃぁっ! ふぃぁっ……ふぃぃぁ!?」

 セレナ 「ニンフィアっ……だっ、大丈夫だからっ……私はっ、大丈夫っ……はぁっ、はぁっ……」


慌てて駆け寄ってきたニンフィアは、私の腕にリボンを巻き付けて、心配そうに顔を覗きこんでくれた。

ありがとうニンフィア、心配してくれて。

でもダメ……まだ、バトルの途中だから……!


 ルイナ 「今よロズレイド! “ヘドロばくだん”!」

 セレナ 「だめっ……逃げてニンフィアっ……!」

 ニンフィア 「ふぃぁっ!?」
 ▼ 211 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 22:59:59 ID:K4.mS4Xk [17/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど、完全な不意打ちの前に、ニンフィアのステップは通用しなかった。

……いや、もしかしたらニンフィアは、私の盾になってくれたのかもしれない。自分が避けてしまったら、“ヘドロばくだん”が私に直撃すると思って。


 ニンフィア 「ふぃぁぁぁぁぁぁぁっ……」

 セレナ 「ぁぅっ……ニンフィアっ!?」


ニンフィアに、“ヘドロばくだん”が直撃した。

私の腕を包んでいたリボンが緩む。

効果抜群のワザを受けたニンフィアが、その強力な衝撃で弾き飛ばされる。


 ルイナ 「連続で“ヘドロばくだん”!」

 セレナ 「ぁっ……やめてぇっ……!」


うずくまるニンフィアに、容赦なく、“ヘドロばくだん”の第2波、第3波が襲った。

隙だらけのニンフィアは、それを避けることも、守ることも出来なかった。
 ▼ 212 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 23:10:40 ID:K4.mS4Xk [18/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ぅっ……、ニンフィア……」


私を心配するあまり、ニンフィアは反応が遅れたんだと思う。

袋叩きのような状況に陥ってしまったニンフィアは、力なく、その場に倒れていた。

可愛らしい素顔、鮮やかな模様は、ヘドロでボロボロになっていた。


 セレナ 「そんなっ……」

 ルイナ 「あははっ! これで戦闘不能ね!」

 セレナ 「酷いっ……。トレーナーに直接攻撃してっ……、ニンフィア、心配するに決まってる……! それで不意打ちなんて……おかしいわよ!」

 ルイナ 「確かに、バトルの精神には反してるわ。それは謝ってあげる」

 セレナ 「心にも無いことっ……!」

 ルイナ 「バレた? まぁ私の目的は、あくまでアンタを捕まえることだから」

 セレナ 「捕まえる……? 私のっ……ポケモンたちまで奪うって言うの!?」

 ルイナ 「アンタのポケモンなんて興味ないわ。……まぁでも考えてみると、“セレナのポケモン”ってことで、そっちのマニアには高く売れるかもしれないけど」

 セレナ 「そんなことっ……絶対、許さないっ……!」

 ルイナ 「話は最後まで聞きなさいよ。私たちの目的はね、アンタを捕まえて、サトシから有利に立つことなのよ」
 ▼ 213 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 23:20:00 ID:K4.mS4Xk [19/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「サトシから……?」

 ルイナ 「いまハルキはサトシとバトルしてるわ。ハルキはバトル強いけど、サトシだって相当な実力者だから、勝てる保証は無いのよ」

 セレナ 「………」

 ルイナ 「そこでね。サトシに負けそうになった時のことを考えて、セレナ、アンタを盾にしようってなったのよ」

 セレナ 「私を……」

 ルイナ 「アンタを人質に取れば、サトシは私たちに従うしかない……。サトシのポケモンを奪うのに、アンタを利用させて貰ったってことよ!」

 セレナ 「そんな……」


私が……、サトシのポケモンを奪うのに利用された?

ねぇ待って。そもそも、サトシのポケモンを奪うって……?


 セレナ 「あなたたち……、ハンターのポケモンを奪うのを邪魔されたからっ……、私たちとバトルしてるんじゃなかったの?」

 ルイナ 「あー……、その辺も聞きたい?」

 セレナ 「聞きたいって……」
 ▼ 214 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 23:22:01 ID:K4.mS4Xk [20/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ま、最後に教えてあげるわ。私たちね、作戦を実行するのに、綿密な計画を立てるって言ったでしょ?」

 セレナ 「………」

 ルイナ 「それでね。昨日、アンタたちに会って、あわよくば、サトシのポケモンも奪えないかって話したのよ。別れた後に」

 セレナ 「………」

 ルイナ 「けど、あの後アンタたちに奇襲をかけるのも面倒だから、あくまで“予備”として、作戦立てたのよ。“ハンターを襲ってる時に、サトシとセレナの邪魔が入った場合”って想定でね」

 セレナ 「そんな想定……」

 ルイナ 「抜かりないでしょ? 地理的に可能性がゼロじゃなかったから、用意しておいたってワケ。サトシとセレナをバラして、ハルキと私で別々に相手する。セレナを人質にとって、サトシのポケモンを奪う。完璧だと思わない?」


ハルキとルイナは、そんな計画まで立ててたんだ……。

昨日会って、移動中に お話しした時は、そんな悪い人には見えなかったのに。

じゃあ その時から、サトシのポケモンは狙われてたってことなの?

私たちに不信に思われないように、昨日の段階から、私たちに近付いて準備してたってこと?

分からない……。ハルキとルイナの考え、全然わからないよ!
 ▼ 215 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 23:22:31 ID:K4.mS4Xk [21/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「おかしいよ……そんなの」

 ルイナ 「は?」

 セレナ 「ハンターからポケモンを奪って……ネットで売り捌くのもおかしいけど! 私たちと話したのも、最初から私たちのポケモンを奪うつもりだったってこと!?」

 ルイナ 「そうよ」

 セレナ 「仲良くなれたと思ったのに……、それ全部、嘘だったってこと!? 私たちを騙してたってこと!?」

 ルイナ 「えぇ、その通り」

 セレナ 「それで良いのっ!? 人を騙して! 悪いことして! それでホントに良いと思ってるの!?」


私は、痺れてる体に鞭打って、必死で叫んだ。

だって、信じられないんだもん。ハルキとルイナの行動が。

ポケモンを持つ者として、同じ年代の者として、こんな悪いことする2人が、信じられないんだもん!
 ▼ 216 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 23:23:23 ID:K4.mS4Xk [22/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「良い悪いかは置いといて。言ったでしょ? 私はハルキに従ってるだけだって」

 セレナ 「だったら……」

 ルイナ 「ハルキに従ってれば、凄い額のカネが手に入るのよ。私はハルキが好きだし、ハルキも私を愛してくれてる。今さら手放せないのよね。こんな贅沢な生活」

 セレナ 「そんなの……、ルイナ! あなたはハルキじゃなくて! お金を……贅沢な生活を愛してるだけじゃない!」

 ルイナ 「あ、バレた? けどハルキはイケメンだし、一緒に居て嫌なことなんて無いわ。警察に捕まるリスクはあるけど、ハンターを襲うだけなら、そんなリスク小さいモノよ」

 セレナ 「偽物の愛なんて……!」

 ルイナ 「……けど、そろそろ そのリスクとも お別れしたいとは思ってるのよね」

 セレナ 「えっ?」


それって……、実はルイナ、今までのことに罪悪感があるってこと?

じゃあルイナは、心のどこかでは、今までのことを反省して、人生を やり直したいって思ってるってこと?


 セレナ 「だったら……ちゃんと自首して、罪を償って……」

 ルイナ 「バカ言わないでよ。この贅沢を捨てる気は無いわ」


贅沢を捨てる気は無いって……。

ちょっとでもルイナの改心に期待した私が間違いだった。
 ▼ 217 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/16 23:24:00 ID:K4.mS4Xk [23/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「要するに、リスクだけを取り除くってこと」

 セレナ 「それって……」

 ルイナ 「お察しの通り、新しい男に乗り換えようってことよ。良い男も見つけたしね」

 セレナ 「ルイナ……!」


だんだんと、私の中に怒りが溜まっていく。

ルイナの行動は当然 許されるものじゃないけど、自分の都合でハルキと別れようってことが、私には信じられなかった。

だってルイナ、今までハルキと一緒に行動してきたんでしょ? 悪い事だけど、それを2人で やってきたんでしょ?

それなのに、リスクがあるから別れるだなんて。

しかも、お金への執着は残したまま……。


 ルイナ 「誰だと思う?」

 セレナ 「え?」



 ルイナ 「サトシよ」

 セレナ 「……え?」

 ▼ 218 ンゲラー@ポイズンメモリ 17/04/17 05:22:58 ID:XsFgnIuA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 219 フォクシー@どくバリ 17/04/17 08:16:36 ID:ulitbYG. NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 220 ニューラ@ゴスのみ 17/04/17 16:38:48 ID:4RRijHGY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……え?
 ▼ 221 ョンチー@フェアリーZ 17/04/17 17:11:07 ID:n4zd4dok NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 222 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 22:55:55 ID:FDQD7Blw [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は耳を疑った。

ルイナが見つけた新しい男が、サトシ……?


 ルイナ 「カロスリーグ準優勝。それって凄いインパクトよ。メディアに露出すれば、莫大なカネを集められる……。サトシと一緒に居れば、リスクなしで、カネが手に入るのよ!」

 セレナ 「……やめて」

 ルイナ 「ハルキには負けるけど、サトシも なかなか良い男だし、愛してって言われて拒否するレベルでも無いしね」

 セレナ 「……やめて」

 ルイナ 「ポケモンハンターを許さない当たり、サトシって誠実そうだし。私が今までハルキに脅されてたって言えば、簡単にサトシを落とせそうだしね〜」


 セレナ 「やめてって言ってるでしょ!」


私は思わず叫んでしまった。

体が痺れてるはずなのに。

息苦しいはずなのに。

自分でも驚くくらい、大きな声で。
 ▼ 223 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 22:56:55 ID:FDQD7Blw [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「……は?」

 セレナ 「サトシは……、サトシは! ルイナみたいな悪い人と一緒になるような人じゃない!」

 ルイナ 「だから言ってるでしょ。ハルキに脅されて、泣く泣く悪いことしてたってことにするのよ。サトシのことだから、私が本気で演じれば……」

 セレナ 「ふざけないでっ!」

 ルイナ 「何よ さっきから」

 セレナ 「サトシは……、サトシは確かに誠実よ。それに純粋で、前向きで、人にもポケモンに優しくて、最後まで絶対に諦めない!」


今までの旅の中で、私は ずっと、サトシのことを見てきた。

サトシが どれだけ素敵な人か、サトシの傍に居た私は知っている。

私だからこそ、サトシの優しさ、純粋さ、格好良さを知っている。


 セレナ 「サトシのこと何も知らないルイナが! サトシのことを気安く語らないで! ルイナが思ってる以上に! サトシは素敵な人なんだから!」

 ルイナ 「ふ〜ん」

 セレナ 「ルイナみたいな お金が全てで、お金のためなら悪い事する人に! サトシのこと語られたくないっ! そんなの私が許さないっ!」
 ▼ 224 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 22:57:31 ID:FDQD7Blw [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
思ったことを、私は叫んでいた。

ルイナみたいな悪い人にサトシを語られるなんて、不快以外の何者でもない。

サトシのことを これっぽっちも知らないルイナがサトシを語るなんて、ただそれだけで屈辱だ。サトシの顔に泥を塗られた気分だ。

ルイナがサトシに近付くなんて、私は絶対に許せない!


 ルイナ 「アンタ、何か勘違いしてるんじゃない?」

 セレナ 「何がよ!?」

 ルイナ 「自分の状況、分かってんの?」

 セレナ 「っ……!」

 ルイナ 「“しびれごな”で動けない。戦えるポケモンは居ない。それで私に楯突こうなんて、随分と生意気ねぇ」

 セレナ 「それはっ……」

 ルイナ 「ロズレイド! この生意気な女に“エナジーボール”!」

 セレナ 「えっ……!?」
 ▼ 225 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 22:58:10 ID:FDQD7Blw [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次の瞬間。

ルイナの横で待機していたロズレイドから、緑色の球体が打ち出された。私に向かって、一直線に。


 セレナ 「あぁっ……」


“エナジーボール”が迫ってくる。

でも、動けない。

避けなきゃいけないのに、体が言うことを聞いてくれない。

もう……、すぐ目の前まで来てるのにっ……!


 セレナ 「うぐっ……やああぁぁぁぁぁぁっ!?」


私の目の前で、緑色の球体が破裂した。


痛い。お腹と太ももが痛い。

ワザのエネルギーが破裂して、お腹と太ももに直撃したってことなのかな。

そう気付いた時、私は宙を舞っていた。
 ▼ 226 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 22:58:50 ID:FDQD7Blw [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



曇天と、降りしきる雨。


くすんだ森と、濡れた草木の匂い。


笑みを浮かべるルイナと、彼女に仕えるロズレイド。


ボロボロになって横たわるニンフィアの姿。


迫る地面と、水溜り。


 ▼ 227 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 22:59:40 ID:FDQD7Blw [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それらがスローモーションのように、私の視界に入ってくる。

その情報が、私の脳に伝わって、その全てを理解した時、私の体に、再び衝撃が走った。

“ドサッ”という音と共に、私の体に、痛みが走った。


 セレナ 「ぁぅっ……うぅぅっ……」


“エナジーボール”で弾き飛ばされた私は、地面に叩きつけられた。

右肩から落ちて、水溜りだらけの地面を滑って、背中を木にぶつけて、私の体は止まった。


痛い……、痛いよ……。

体中、痛いよ……。

でも、動けないよ……。


意識が途切れそうになる。

なんとか頑張って、私は気を しっかり持つ。

視界に入ったルイナは、笑い声を上げていた。
 ▼ 228 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:00:50 ID:FDQD7Blw [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「あははっ! 良い格好じゃないセレナ!」

 セレナ 「んっ……」

 ルイナ 「アンタ、今どんな状況か分かる? 酷いもんよ?」

 セレナ 「………」

 ルイナ 「体中、泥だらけ。ワンピースもボロボロ、グチャグチャ。女として終わってるわよ」

 セレナ 「……グスッ」


あぁ……、私、いまそんなに酷い格好なんだ。

せっかく お洒落したのにな……。

サトシ、このワンピース、似合ってるって言ってくれたのにな……。


情けなくて、悔しくて、恥ずかしくて。

そんな色んな想いが こもった涙が、降りしきる雨と同化して、流れ落ちた。


地面、冷たいよ……。


雨、冷たいよ……。
 ▼ 229 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:01:32 ID:FDQD7Blw [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「惨めね! たいして実力も無いくせに私に刃向うからよ! 分かる? これがパフォーマーの 成りの果てなのよ! オラッ!」


  ― ドスッ!


 セレナ 「んぶっ……」


近付いてきたルイナは、私の お腹を、思いきり蹴飛ばした。

体が動かない私は、それを防ぐことも、身構えることも出来ず、受けるしかなかった。


 セレナ 「痛っ……ぅぅっ……」

 ルイナ 「いい気味ね。こんな汚い女、流石のサトシも捨てるんじゃない?」

 セレナ 「ぅっ……そんなことっ……」

 ルイナ 「ま、どっちにしろ私はサトシを口説きに行くわ。絶対的な地位と安定的な生活――。スリルは無くなっちゃうけど、サトシの女になれば、カネには困らないしね〜♪」


また言う……。

ルイナ、サトシのこと、本気で狙ってる……。

こんな酷い女が、素敵なサトシのこと……!

私の憧れの、サトシのこと……!
 ▼ 230 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:02:20 ID:FDQD7Blw [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「そっ……んなのっ! わたしっ……ユルっ……さない……!」


私は力を振り絞って、必死に叫んだ。

叫んだ つもりだけど、それは情けない小さな声に終わったみたい。

体が痺れて、体が痛くて、私もう、叫ぶ力も残ってなかったんだ。


 ルイナ 「ふーん。まだ言うんだ、それ」


ルイナは しゃがんで、私の顔に目一杯 近付いて、そう言った。

その目は無表情って言うか、まるでゴミを見るかのような、一種の軽蔑の目だった。


 ルイナ 「じゃあ、サトシがアンタに愛想尽かすように、その顔、グチャグチャにしてあげよっか?」

 セレナ 「……ぇっ?」

 ルイナ 「今も泥だらけで 汚らしいけど……、ねぇ知ってる? 顔って殴られると、すっごい腫れるのよ?」
 ▼ 231 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:03:00 ID:FDQD7Blw [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は、自分が これから何をされるかを察した。

ルイナは不気味な笑みを浮かべると、拳を振り上げた。


 セレナ 「ぃゃっ……」

 ルイナ 「唇が紫の女! 鼻血垂れてる女! 目にクマ付けてる女! そんな女を、サトシが好きになると思うのかしらねぇ?」

 セレナ 「ぁっ……ぁぁっ……やだっ……」 ガクガクガク

 ルイナ 「アンタの人生……、これで、終わりよ!」

 セレナ 「ゃっ……ぁっ……いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」












 ニンフィア 「ふぃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 ▼ 232 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:07:00 ID:FDQD7Blw [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ちょっ……なに!?」

 セレナ 「ニン……フィァ……」


ニンフィアが、雄叫びを上げた。

雄叫び……、女の子のニンフィアに、その表現は違うかもしれないけど、でも今のニンフィアの鳴き声は、そんな、それほど力強いものだった。

今まで聞いたことの無い、大きな大きな鳴き声を、ニンフィアは発したのだ。


 ルイナ 「コイツ、まだ立て……え?」

 ニンフィア 「あっ……」


そして私は、ニンフィアの変化を目の当たりにした。

多分ルイナも、それに驚いたんだと思う。


ボロボロになりながらも立ち上がったニンフィア。

彼女のリボンが一つに纏まって、彼女の瞳の前に、大きな、大きな“星”を作り出していたのだ。
 ▼ 233 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:07:40 ID:FDQD7Blw [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ルイナ 「ちょっと……何よアンタ!? それっ……ロズレイド!」


ロズレイドは戦闘態勢に入る。

けど、ニンフィアが作り出している“星”に、圧倒されてるようにも見える。


 ルイナ 「ロズレイド“ヘドロばくだん”! アイツもう虫の息よ! さっさと倒すのよ!」


ロズレイドはニンフィア目がけ、両手のバラから紫色の液体を発射する。


けど、当のニンフィアは怯まない。


逞しい表情のまま、大きな“星”を作り出す。

ほのかにピンク色の その“星”は、まるで、ニンフィアの決意が結晶となったみたいに、明るく、眩しく輝いている。


そして――。

 ▼ 234 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:08:21 ID:FDQD7Blw [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ニンフィア 「ふぃぃぃぃぃぃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


ニンフィアが、“星”を打ち出した。


“星”は、いとも簡単に“ヘドロばくだん”を蹴散らした。


“星”は、ロズレイドを呑みこんだ。



 ― 破裂。



“星”が破裂した。

ニンフィアの“星”が、大きなエネルギーを放出して、ロズレイドを弾き飛ばした。


 ルイナ 「ちょっロズレイド……うぐっ!?」
 ▼ 235 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:09:00 ID:FDQD7Blw [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
破裂した“星”の余波が、衝撃波となって轟く。

木々が ざわざわと揺れて、太い幹、細かい枝、葉っぱ がバラバラと落ちてくる。


そんな衝撃波は、ルイナにも襲ったようだ。

ロズレイドのダメージに一瞬遅れて、ルイナも弾き飛ばされてるんだから。


地面に伏せるように倒れていた私は、幸いその衝撃を受けることは無かった。



 ルイナ 「クッ……痛っ……うそっ!? ロズレイド! ちょっとロズレイド!?」


よろよろと立ち上がったルイナは、ロズレイドが倒れていることに、酷く動揺していた。

あれだけ傷だらけのニンフィアが繰り出した、たった1発のワザで、ほとんどノーダメージのロズレイドが倒されてしまった――。

ルイナにとって、それは信じられないことだったみたい。
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