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【SS】 ガラルリーグ決勝! サトシVSマリィ!! <後編> 【建て直し】

 ▼ 1 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:23:44 ID:F0NkTd3Q [1/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ガラルリーグ準決勝では、共に切磋琢磨してきたライバルであり親友であるゴウに勝利したサトシ。

迎えた決勝戦の相手は、マリィであった。

旅の途中で行ったバトルでは、これまでサトシが全勝しており、マリィは相当な特訓を重ね、この決勝戦に挑んでいた。


決勝は6対6のフルバトル。

マリィの的確な指示と状況把握により、序盤、サトシは大苦戦。

しかしサトシも、持ち前のバトルスタイルを発揮し、じわじわと応戦。


マリィはオーロンゲをキョダイマックスさせ一気に勝負を仕掛けるも、サトシはルカリオをダイマックスさせて対抗。

サトシの切り札はキョダイマックスピカチュウだと思い込んでいたマリィは、この進路変更に焦るも、キョダイマックスの力を信じてダイマックスルカリオに挑む。

激闘の末、キョダイマックスオーロンゲとダイマックスルカリオは相打ちとなり、ダイマックスバトルは引き分けと言う結果となった。


これでサトシの手持ちは残すところピカチュウのみとなるが、サトシとピカチュウの息の合ったバトルで詰め寄り、マリィのポケモンを残り1体にまで追い詰めることに成功。


そして今、最後の1体同士、本気のバトルが始まろうとしていた――。


 ▼ 2 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:24:24 ID:F0NkTd3Q [2/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 ※   ※   ※



盾剣発売前に書きはじめ、その後マリィが良い子だと知って、早々に未完となってしまったSSの書き直しです。

よって、マリィのキャラが原作とは大きく異なりますので、ご了承ください。

また、原作の「チャンピオンカップ」方式ではなく、「ガラルリーグ」として、多少オリジナル設定のSSとなります。



 ※   ※   ※


 ▼ 3 エンジシ@まじめミント 20/08/28 01:26:30 ID:8Bqwu0rU NGネーム登録 NGID登録 報告
キャラの詳細わかる前に書き始めるのは流石に愚かすぎるだろ😅
 ▼ 4 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:28:35 ID:F0NkTd3Q [3/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 実況 『さぁ! 白熱の決勝戦! サトシ選手、マリィ選手とも、残すは あと1体です!』


 マリィ 「戻って、レパルダス。お疲れさま」

 サトシ 「どうだマリィ! オレとピカチュウは最後まで絶対に諦めないぜ!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」


対面するフィールドで、サトシは私に向けて、力強く言った。


最後まで諦めない――、事実、サトシのピカチュウは凄く強い。

序盤は私が有利だった。

オーロンゲは相打ちに終わったけど、それでも私は、その時点で残り3体、サトシは残りピカチュウのみだった。

私の方が圧倒的に有利だったのに、サトシはそのピカチュウだけで、私のエース級2体を倒してしまったのだ。


やっぱりサトシは強い。

でも、私だって負けられない。

私の最後のポケモンは、私が最も信頼するポケモンだ。


 マリィ 「行くわよ、モルペコ!」

 モルペコ 「うらら〜!」


 実況 『マリィ選手、モルペコを繰り出した! ピカチュウとモルペコ、可愛らしいポケモンが対峙! ガラルリーグ決勝戦、誰がこの展開を予想したでしょうかぁ!」
 ▼ 5 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:29:06 ID:F0NkTd3Q [4/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ユウリ 「マリィちゃんのモルペコ……、ずっと一緒にいた、親友みたいな関係……」

 飯担当 「はい。サトシのピカチュウと境遇は同じです。互いに負けたくないでしょうね」

 ユウリ 「サトシもマリィちゃんも頑張ってー!」

 飯担当 「良いバトルを楽しんでくださーい!」



 サトシ 「どっちが勝っても恨みっこなしだ! 行くぞマリィ!」

 マリィ 「えぇ。全力で行くわよ!」


 サトシ 「ピカチュウ! “でんこうせっか”!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 マリィ 「来るわよモルペコ。“スピードスター”!」

 モルペコ 「うら!」



広大なスタジアム。

熱気あふれる歓声。

降り注がれるスポットライト。


私は今、ガラルで最も注目される場所に居る。

そんな私と対を成すのは、彼――サトシ。


こんな現実が訪れるなんて、あの時は、思ってもみなかった。


私がサトシと初めて会った、あの日。

私の人生は……って言ったら大袈裟だけど、サトシと出会ったことで、確実に、私は変わった。


私はサトシに、勝利しなければならない。

私のこの気持ちを、サトシに伝えるために――。


 ▼ 6 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:29:49 ID:F0NkTd3Q [5/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



   *   *   *  





 ユウリ 「あ、マリィちゃん!」


ポケモンセンターで回復を待っていると、いつもの声が聞こえてきた。

彼女――ユウリは、私を見つけると、いつも声を掛けて来る。

親しい仲って訳じゃない。ただ幼稚園が同じだったというだけで、今日の今日まで、いつも私に構ってくる。

鬱陶しいったらありゃしない。


 ユウリ 「偶然だね。マリィちゃんも回復?」

 マリィ 「それがなにか?」

 ユウリ 「も〜冷たいな〜」

 マリィ 「私に構わないでって言ってるでしょ」

 ユウリ 「そうだ。マリィちゃんに紹介したい人がいるの。おーい2人ともー!」

 マリィ 「聞いてるの? 私に構うなって……」


するとカウンターの方から、男が2人、近付いてきた。

私に紹介って、仲良くするつもりなんて微塵もないんだけど。
 ▼ 7 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:30:26 ID:F0NkTd3Q [6/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ユウリ 「この子はマリィちゃん。小さい頃からのお付き合いなんだよねー」

 マリィ 「アンタが勝手に思ってるだけでしょ」

 ユウリ 「いま私ね、こっちの2人と一緒に旅してるの」

 サトシ 「マリィって言うのか。オレ、サトシ。こっちは相棒のピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴか、ぴかちゅう」

 飯担当 「僕は飯担当。料理とポケモンフーズの調合が趣味なんです。あ、パートナーはウッウです」

 ウッウ 「ウッウッ、ウマウマ」

 ユウリ 「せっかくだし、みんなでお昼にしない? そうしようよ、ねっ?」

 サトシ 「おっ、良いな。オレ、ガラルに来たばっかで何も分からないんだ。マリィ、良かったらガラルのこと……」


 マリィ 「だから……私に構わないでよ!」


 サトシ 「えっ……」

 ユウリ 「マリィちゃん……」

 マリィ 「私はアンタたちと仲良くする気なんてないの! 二度と話しかけないで!」

 サトシ 「おい。そんな言い方ないだろ。ユウリは仲良くしたいって言ってるのに」

 マリィ 「はぁ? こっちは迷惑なの。アンタには関係ないでしょ」

 ユウリ 「やめてよ2人とも……」

 サトシ 「けど、言い方ってものがあるだろ!」

 マリィ 「私はそれを望んでないの。部屋戻るから、ついてこないでよね!」





   *   *   *  



 ▼ 8 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:31:05 ID:F0NkTd3Q [7/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「ピカチュウ、“10万ボルト”だ!」

 ピカチュウ 「ぴかぁ!」

 マリィ 「モルペコ、“でんこうせっか”で回避よ!」

 モルペコ 「うららっ!」



いま思えば、サトシから見た私の第一印象は、最悪だったと思う。

ユウリに酷いことを言って、サトシにも怒鳴りつけて。


あぁでもすれば、ユウリたちは、二度と私に近付かないと思っていた。

もともと誰かと仲良くするタイプじゃない私にとって、その方が好都合だった。


けど……。


人懐っこい性格のユウリは、旅の途中で私を見るたびに、声を掛けてきた。

勿論、その場にはサトシの姿も。

そのたびに私は、ユウリたちを遠ざけようと強く当たっていた。


そんな状況に変化が訪れたのは……、忘れもしない、エール団の連中が暴れた、あの日のことだ。


 ▼ 9 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:31:29 ID:F0NkTd3Q [8/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



   *   *   *  





 ユウリ 「あ、マリィちゃん!」


旅するルートが似ているからか、私はたびたび、ユウリたちと遭遇する。

気まぐれで町の滞在時間を変えたりしても遭遇するから嫌になる。


 飯担当 「ホント、よく会いますね」

 ユウリ 「マリィちゃん、ジム戦の調子はどう?」

 マリィ 「だから気安く話しかけないでって言ってるでしょ」

 サトシ 「なぁマリィ。なんでそんなにユウリに冷たいんだよ。ユウリは ただお前と仲良くしたいだけなんだぞ?」

 マリィ 「アンタには関係ない」

 サトシ 「関係ある。旅の仲間の人間関係は、良い方が良いに決まってるだろ」

 マリィ 「はぁ。そういうの、私ホント嫌いなんだけど」

 サトシ 「ちょっとくらい話しても良いんじゃないか? お互い腹を割って話し合えば……」

 マリィ 「しつこいわねホント……!」
 ▼ 10 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:33:06 ID:F0NkTd3Q [9/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


   エール団1 「マリィ様どうしましたか!?」



そんなことをしていると、エール団の奴らが現れた。

こいつらは、私のファンの集まり。熱狂的なオタク。

鬱陶しいけど、私の言うことは聞くし、一緒に居れば他人への威圧にもなる。一人が好きな私にとって、上手く使える集団だ。


 マリィ 「こいつら私に対して鬱陶しいの。ちょっと遊んであげて?」

 サトシ 「おいオレたちはただ……!」

 ユウリ 「マリィちゃん……」


 エール団1 「お安いご用でっさマリィ様!」

 エール団2 「うぉぉぉマリィ様ぁぁぁぁあああ!!!」 ブァァァァァァァァン

 エール団3 「響け! 我らのブブゼラの音色!!!」 ブゥォォォォォォォァァァァァ

 エール団4 「M! A! R! I! E! アイラブマリィ!」 ブォォォォォォォン


 サトシ 「……なにあれ?」

 ユウリ 「あはは……。マリィちゃんのファン、みたいな?」

 飯担当 「ブブゼラもマリィさんカラーですね」


 エール団1 「出てこいアーマーガー!」

 エール団2 「マッスグマ!」

 エール団3 「ベトベター!」

 エール団4 「待てお前ら。ここは俺だけで十分だ。行けカジリガメ!」

 サトシ 「そっちがその気なら受けて立つぞ! ピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」
 ▼ 11 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:33:59 ID:F0NkTd3Q [10/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ユウリ 「ちょっとサトシ落ち着いてよ……」

 マリィ 「お手並み拝見しようじゃない。私に楯突くんだから、それなりの実力あるんでしょうね?」

 ユウリ 「喧嘩はダメだよ。やめさせてマリィちゃん!」

 マリィ 「いいえ。アイツは痛い目に遭わせないとダメね。私に楯突いたらどうなるか、しっかり教えてやるんだから」

 ユウリ 「そんな……」


 エール団4 「カジリガメ、手始めに“かみくだく”で……」

 サトシ 「“10万ボルト”だ!」

 ピカチュウ 「ぴぃぃかぁぁぢゅぅぅぅぅぅ!!!」 バチバチバチ!

 カジリガメ 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」 ジョウズニヤケマシター

 エール団4 「なっ……カジリガメ!?」


 飯担当 「ピカチュウは良く育てられてますからね」

 ユウリ 「けど、あんなに威勢が良かったカジリガメを、一撃で倒しちゃうなんて……」


 エール団3 「うそだろ、あのカジリガメが一撃で!?」

 エール団1 「このままじゃマリィ様にあわせる顔が無い! 全員で行くぞ! アーマーガー!」

 エール団4 「オレの分も頼むっ! 響け、ブブゼラ、エール団!」 ブゥォォォォォォォァァァァァ

 エール団2 「マッスグマお前もだ!」

 エール団3 「ベトベターも加勢しろ!」


 ユウリ 「ちょっと……、3体1なんて卑怯よ!」

 飯担当 「僕たちも戦いましょう! 3対3に持ち込んで……」
 ▼ 12 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:34:35 ID:F0NkTd3Q [11/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「大丈夫だ。こいつらはオレとピカチュウで相手する!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 サトシ 「マリィ! 取り巻きを使ってオレたちを黙らせようなんて通用しないぜ!」

 ピカチュウ 「ちゅぴっか!」



 マリィ 「……ふーん」



宣言通り、サトシはピカチュウだけで、アーマーガー、マッスグマ、ベトベターを相手する。

見た感じ、ピカチュウの実力は相当なもので、数のハンディを感じないバトルを繰り広げていた。


ウザいわね、ホント。


正義ぶっちゃって、その強さで私に刃向おうって言うの?


鬱陶しい。ホント鬱陶しい。


私は誰とも交わらない。私は……。





 ユウリ 「マリィちゃん危ない!」





 ▼ 13 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:35:13 ID:F0NkTd3Q [12/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 マリィ 「えっ!?」



ユウリの声でハッとする。

気付けば、紫色の球体が、私めがけ一直線に飛んできていた。


 エール団4 「マリィ様あぶない!」

 エール団3 「避けてくださぁぁぁぁい!!!」


あれは……“ヘドロばくだん”!? 流れ弾が!?



 マリィ 「あぁっ……!」



避けようと思ったものの、体が動かない。

人間、本当に驚いたり、恐怖を感じたりすると、体が言うことを聞かなくなってしまう。

それが突然の出来事なら、なおさら。


“ヘドロばくだん”なんて、生身の人間が受けたら……!

 ▼ 14 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:36:09 ID:F0NkTd3Q [13/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 サトシ 「マリィっ!!!」 ガバッ!

 マリィ 「あっ!?」



気が付くと、私の体は横に飛んでいて。


 ― ドサッ!


その直後、地面と衝突した。



 ― ドババババッ!



今まで私が立っていた場所に、“ヘドロばくだん”が着弾した。

紫色の球体は地面を抉り、ブクブクと怪しげな液体が撒き散らされ、無残にも雑草を溶かす。

あれが直撃していたら……。


 サトシ 「いててっ……、大丈夫かマリィ?」

 マリィ 「っ……!?」


遅れて私は、現状を把握する。

地面に横たわる私は、サトシにガッシリと抱き留められていたのだ。


サトシ、あの一瞬のうちに、私を庇ってくれたってこと……?
 ▼ 15 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:37:03 ID:F0NkTd3Q [14/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 マリィ 「はっ、離してっ……///」 ドン!

 サトシ 「ぁ痛っ!?」


慌てて私はサトシを突き飛ばし、立ち上がる。

すぐに身なりを確認――うん、ちょっとスカートの裾が汚れただけで、服の破れや怪我はない。


 サトシ 「助けたのにそれは無いだろ!」

 マリィ 「助けてなんて誰も頼んで……」


一方、サトシの姿を見て、驚いた。

服は泥まみれで、半袖の腕は大きな擦り傷が。服の肩の部分は破れている。


まさかサトシ……、私を庇うために、自分が下になるように倒れ込んだってこと?

私の被害が最小限になるように、自らを犠牲にしたってこと?



そんなっ……、そんな、こんな私のために……!?



 ユウリ 「マリィちゃん大丈夫!? 怪我とかない!?」

 飯担当 「サトシも大丈夫ですか!? すぐ手当てを!」


 エール団1 「ももももも申し訳ございませんマリィ様っ!」 ドゲザ!

 エール団2 「怪我はございませんでしたか!?」 ドゲザ!

 エール団3 「あいつ強くてっ……、奇襲を仕掛けようとしたらベトベターの攻撃の軌道を誤って……、自分の責任っす!」 ドゲザ!

 エール団4 「自分たちの不手際っ……なんとお詫びすればよいかっ……!」 ドゲザ!


 マリィ 「っ……アンタら! 身の程を弁えなさい! 実力ないのに奇襲なんて仕掛けるからよ!」


 エール団 「「「 すいませんでしたっ!!! 」」」
 ▼ 16 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:38:12 ID:F0NkTd3Q [15/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「良いじゃんマリィ。無事だったんだから」

 エール団3 「あぁぁっ、マリィ様を助けてくれて本当にありがとう! なんとお礼を言えは……!」

 サトシ 「気にすんなよ。バトルにトラブルは付き物さ」

 エール団2 「なんと……、これが強者の余裕……、その実力は本物と言うことか……!」

 エール団1 「サトシと言ったな……、アンタは我々の恩人だ。マリィ様が怪我でもしていたら、我々は首を吊るしかなかった……」

 ユウリ 「えぇ……」

 サトシ 「いや、それは流石に大袈裟……」

 エール団4 「無礼なバトルを仕掛けたこと、謝罪させて貰う。そして……本当にっ……、ありがどうっ!」 グスッ

 サトシ 「泣くことないだろ〜。マリィも無事なんだし、それで良いじゃんかよ」

 エール団4 「ホントっ……、グスッ、マリィ様が無事でっ、ほんと安心じでっ……グス」

 サトシ 「おい泣くな男だろ?」

 エール団4 「だってよ……! ヒック……! サトシっ……! ヒック……!」


 エール団4 「腕が!!!」 ドン!


見ると、破れた服の下から……、サトシの腕から、血が流れていた。

私を抱き留めながら倒れ込んだ時、運悪く枝か小石で腕を切ってしまったんだと思う。


 サトシ 「安いもんさ、腕の1本くらい……。マリィが無事で良かったぜ」

 エール団4 「うっ……ヒック、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 ユウリ 「ねぇコレなんて茶番?」

 飯担当 「そんなことよりサトシ! 腕の止血!」

 サトシ 「これくらい大したこと無いって」
 ▼ 17 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/28 01:38:51 ID:F0NkTd3Q [16/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ……、こいつ、お人好しなのね。

怪我してまで他人を助けて、エール団の奴らの信頼も買って。

それに、案外バトルも強くて。


 サトシ 「マリィは怪我とかしてないか?」

 マリィ 「私は大丈夫。そのっ、ありがと……」

 サトシ 「へへっ、どういたしまして。ちゃんとマリィと会話したの、初めてだな」 ニカッ

 マリィ 「っ……///」

 ユウリ 「わはっ、珍しい。マリィちゃんがデレた〜」

 マリィ 「しゃからしか!」

 サトシ 「……しゃからしか?」

 マリィ 「っぁ……もぉ! あんまり私に馴れ馴れしくしないでって言ってるでしょ! 行くわよアンタたち!」

 エール団1 「あっ……、待って下さいマリィ様!」

 エール団2 「サトシ、礼を言うぜ」

 エール団3 「お前たちは我らエール団の恩人だ。今後は無礼な態度は取らないことを約束する」

 エール団4 「本当に感謝している。また会おう!」





   *   *   *  


 ▼ 18 ノノクス@メガメガネ 20/08/28 03:32:18 ID:2.IsSNq. NGネーム登録 NGID登録 報告
まさかの再開キタ!
そんで唐突なワンピースネタは草
支援!
 ▼ 19 ーディン@ノーマルジュエル 20/08/28 05:30:14 ID:eCjEdREY NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
期待しますな
 ▼ 20 ギアナ@ファイトメモリ 20/08/28 09:49:47 ID:nnQANRwA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
普段は標準語だけど気持ちに余裕が無くなった時に方言になる子好き。
何気にこのssでもゴウとサトシが親友であり準決勝で戦ってるという良い改変がしてあって好き。
何より見たかったサトマリのssの続きが見れる事が本当に嬉しい。
 ▼ 21 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/29 19:53:07 ID:yqrkj0iI [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


あの日から私は、サトシのことが頭から離れなくなってしまった。


体を張って私を守ってくれたサトシ。

彼に抱き留められた感触は、温もりは、今でも覚えている。


エール団の奴らと長い付き合いがある私にとって、男への耐性と言うか、抵抗感と言うのは、あまりないという自覚はあった。

道中で変な男に言い寄られても、適当に あしらって 諦めさせるくらい、男には慣れているつもりだった。


でも、サトシは違った。

サトシだけは、今までとは違う、何か別な感情が、私の中に芽生え始めていたのだ。





 サトシ 「ピカチュウ、“10万ボルト”だ!」

 ピカチュウ 「ぴかぁ!」

 マリィ 「ならモルペコ、“オーラぐるま”で向かい打つわよ!」

 モルペコ 「うららぁっ!」


 実況 『強力な電気ワザ同時が激突ぅ〜! ピカチュウとモルペコ! その小さな2匹が放ったとは思えないほどの衝撃です!』


ピカチュウの“10万ボルト”は、とてつもない威力だ。

ピカチュウという種族が放ったとは思えないほど、サトシのピカチュウの攻撃は、強く、激しく、鍛えられている。


でも私だって、これまで鍛えてきたんだ。サトシに勝つために。

“オーラぐるま”は、電気タイプ最強クラスのワザであり、モルペコの専用技。これでピカチュウを……押し切る!
 ▼ 22 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/29 19:54:10 ID:yqrkj0iI [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ぶつかり合う電気は、やがてお互い弾き飛び、バチバチとスタジアムに飛び散り、拡散する。

衝撃波が生まれ、白煙が立ち込め、視界が奪われる。


 実況 『凄まじい ぶつかり合いだー! 見えません! 爆煙で2匹を目視することが出来ませんっ!』


 マリィ 「モルペコっ!?」

 サトシ 「ピカチュウ!?」


 実況 『おぉぉっと! 両者、立ってる! 威力は互角っ! 一歩も譲らない攻防が続きます!』



 ユウリ 「互角、やっぱり凄いよ、あの2人……」

 飯担当 「しかし、パワーで言えば、ピカチュウの方が上です」

 ユウリ 「えっ、どういうこと?」

 飯担当 「ワザの威力としては、“オーラぐるま”の方が上なんですよ。それでいて互角と言うことは……」

 ユウリ 「そっか。ピカチュウの方が、元々持ってるパワーがモルペコより上ってこと……!」

 飯担当 「その通りです。マリィにとっては、苦しい戦況になるでしょうね……」

 ユウリ 「ぅぅぅっ……、マリィちゃーん! サトシー! どっちも頑張ってー!!!」



あれだけ特訓した“オーラぐるま”と、互角に張り合うなんて。やっぱりサトシとピカチュウは凄い。


流石、私が認めたトレーナーだ。


そして、私が特別な想いを抱くトレーナーだ。


最初は、ただ鬱陶しかったユウリのオマケ――程度にしか思っていなかったのに。

気付けば私は、サトシに積極的に絡むようになっていた。


 ▼ 23 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/29 19:54:59 ID:yqrkj0iI [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



   *   *   *  





 ユウリ 「あ、マリィちゃん!」

 飯担当 「ホント、よく会いますね」

 マリィ 「またアンタら……」

 サトシ 「マリィ。今日はエール団は一緒じゃないんだな」

 マリィ 「常に一緒じゃ鬱陶しいでしょ」

 サトシ 「それもそうか」

 マリィ 「それより……、腕の怪我、治ったの?」

 サトシ 「あぁ、とっくの昔に治ったぜ!」


そう言ってサトシは、腕をぶんぶんと振り回したり、投球フォームをしたりする。


 マリィ 「そう、良かった」

 ユウリ 「んー? マリィちゃん、なんだか丸くなった?」

 マリィ 「しゃ……うるさいわねぇ! アンタとは話してないでしょ!」

 ユウリ 「うわーん、マリィちゃんコワーイ」

 マリィ 「ったく……。そうだサトシ。アンタちょいと付き合ってよ」

 サトシ 「付き合う?」

 マリィ 「私とバトル、しなさいよ」
 ▼ 24 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/29 19:56:18 ID:yqrkj0iI [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「バトルか……良いぜ! マリィとは初バトルだな!」

 マリィ 「良いノリじゃん。頼んだよモルペコ!」

 モルペコ 「うららー」

 サトシ 「ピカチュウ、君に決めた!」

 ピカチュウ 「ぴかぴっか!」


私にとって、ポケモンバトルは他人とのコミュニケーション手段。

ガラルリーグ優勝を目指している私にとって、ポケモンバトルに誘うことは至って普通の行動だ。


でも私は、あの時の借りを返したい。

私はサトシに抱き留められ、それからなんとなく、調子が狂っていた。

ふとした時にサトシのことを思いだし、サトシに抱き留められた感触が蘇り、そして、胸が締め付けられる。


こんな感覚、生まれて初めて。

こんな感覚、調子が狂う。

こんな感覚、サトシを打ち負かすことで、消し去ってしまいたい。


私は我武者羅に、サトシにバトルを挑んだ。





――が。





 ▼ 25 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/29 19:57:02 ID:yqrkj0iI [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 サトシ 「トドメの“アイアンテール”!」

 ピカチュウ 「ちゅぴっか!」


メキッ、と鈍い音。

ピカチュウの鋼のように固い尾が、モルペコの お腹に直撃した。


 モルペコ 「うっ、ら……」 ガクッ

 マリィ 「モルペコっ……!」

 サトシ 「勝負あったなマリィ!」

 マリィ 「くっ……!」


力の差は、歴然だった。

この間のエール団とのバトルの様子から、サトシがそれなりの実力を持っていることは分かっていた。

でも、実際に戦ってみて分かった。

“それなりの実力”なんてものじゃない。“相当な実力”を持っている。それこそ、リーグ優勝していてもおかしくないほどの実力を。



 ユウリ 「サトシもマリィちゃんもお疲れ様」

 飯担当 「良いバトルでしたね。僕たちも熱くなりました」


なに言ってんのよ。

ほぼ私が押されて、サトシの完勝じゃん。複合タイプな分、モルペコの方が少し有利なのに。


 ユウリ 「せっかくだからさ。みんな一緒に お昼ご飯にしようよ!」

 飯担当 「良いですね。食材は ありますし、すぐに準備しますよ」

 サトシ 「マリィ、バトルの後は友達だ。一緒に食おうぜ!」 ニカッ
 ▼ 26 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/29 19:58:00 ID:yqrkj0iI [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あぁ、ウザい……。

仲良しこよしで、本当にウザい。負けた私の気持ちも知らないで……!


 マリィ 「サトシ、バトルありがと。次は負けないから!」 ダッ!

 サトシ 「あっ……待てよマリィ!」



ウザい……、ウザい……、ウザい!

私は走り出していた。

あんな一方的なバトルで、無様な負け方して、それで、仲良く出来る訳ないじゃん。


自信あったのに、

私だって、ジムリーダーの妹だよ。それなりに特訓してきたし、バトルの自信、けっこうあったのに。


ウザい、ウザい、ウザいのにっ……。


サトシの笑顔を見ると、無性にドキドキしてしまう。

胸が締め付けられるような、心臓が張り裂けるような、これまで感じたことの無い感覚が、私に襲い掛かる。


こんな感覚、さっさと断ち切らないと!

サトシに圧倒的実力差で勝って、この感覚と おさらば しないと!



そのためには……。



 マリィ 「もっともっと、特訓しないと……!」





   *   *   *  



 ▼ 27 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/29 19:58:48 ID:yqrkj0iI [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


その日から私は、猛特訓を重ねた。もちろん、無理のない範囲で。

自分自身にも厳しく、けど、ポケモン達に労わりを持って。


そんな特訓の集大成が、今ここ、ガラルリーグ決勝と言う大舞台!





 サトシ 「“アイアンテール”!」

 ピカチュウ 「ちゅぴっか!」

 マリィ 「“でんこうせっか”で回り込んで!」

 モルペコ 「うらっ!」 シュッ!


 実況 『モルペコ早い! “でんこうせっか”とは言え、目にも留まらぬ速さ! “アイアンテール”不発だぁ!』


当然よ。

“オーラぐるま”で素早さが上がってるモルペコの電光石火。追い切れるわけがない。


それに、そろそろ……!


 モルペコ 「うららぁぁぁ……!」 ゴゴゴゴゴ

 マリィ 「行くよモルペコ! “オーラぐるま”!」

 モルペコ 「オララァァァァァ!!!」


  ― ドゴッ!


 ピカチュウ 「びかっ……!?」

 サトシ 「あっ……ピカチュウ!?」
 ▼ 28 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/08/29 19:59:40 ID:yqrkj0iI [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 実況 『決まったぁ! “オーラぐるま”がピカチュウの背後から直撃! しかも! このタイミングで“はらぺこもよう”にチェンジしたぁ!』


普通に“オーラぐるま”を出しても、ピカチュウには効果今一つ。

けど、“はらぺこもよう”のタイミングで出せば、“オーラぐるま”は悪タイプ。

つまり、タイプ一致かつ、ピカチュウに抵抗力の無い強力ワザを、お見舞いできるって寸法だ。


フォルムチェンジのタイミングは、(ゲームでの1ターン毎というのは無理があるので)モルペコのコンディション次第。

だけど、これまでずっと一緒に過ごして来たモルペコのことなら、私には分かる。モルペコのちょっとした動きや表情の変化で、フォルムチェンジのタイミングは分かる。

フォルムチェンジのタイミングを完璧に把握していれば、それを活かした戦略が生まれる。奇襲をかけられる。


 マリィ 「一気に行くよ! 連続で“オーラぐるま”!」

 モルペコ 「オララァァァァァ!」

 サトシ 「させるか! “10万ボルト”で向かい打て!」

 ピカチュウ 「ぴかぴかぁ!」





良い流れ。

今この状況、圧倒的に私が有利。このまま一気に押し進めれば、サトシからの勝利も、現実味を帯びて来る。


サトシ……。

私をここまで成長させたのは、サトシ、アンタのおかげなんだよ?

私の頑張りを認めてくれたサトシが、私をここまで強くしてくれたんだよ?


そして私は、アンタに勝った時!

アンタに伝えたいことがあるんだから!



 ▼ 29 ツケラ@いいつりざお 20/08/29 21:40:18 ID:lWbMlDdw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっぱり女ライバル兼ヒロインは勝ったら告白というシチュエーションを作れる所がいいんだよね。
女ライバルではないけど↓
https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/cdn.bibi-star.jp/production/imgs/images/000/445/388/original.?1576030004
 ▼ 30 ルキー@ふたのカセキ 20/08/30 18:58:31 ID:QQdIaysY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
bbsではこのssやウララssとかもそうだけど昔の個人サイトの小説みたいで懐かしくて好き。
それに自分自体が基本的にポケモン関連はレッドかサトシ関連しか見れないから有難い。
 ▼ 31 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/01 02:43:26 ID:8Tkg3q.k [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



   *   *   *  





ルミナスメイズの森。

鬱蒼とした森で、日中でも薄暗い。


 マリィ 「ベロバー、“あくのはどう”!」

 ベロバー 「べろぉぉぉぃ!」 ドゴォォォン!

 マリィ 「良い感じ! モルペコは“オーラぐるま”!」

 モルペコ 「うらららぁ!」 ドォォォン!

 マリィ 「うんうん。モルペコもワザのキレが出て来てる」

 モルペコ 「うららー♪」

 マリィ 「ふぅ……。ちょっと休憩しよっか」


サトシに勝つべく、私たちは この日も特訓に励んでいた。

ここルミナスメイズの森は、アラベスクタウンへと至る唯一の道だけど、そもそもアラベスクタウンが僻地だし、タクシーもあるからか、滅多に人は通らない。

特訓には もってこいの環境なのだ――、が。



  ― ガサッ



 マリィ 「……誰っ!?」


 ▼ 32 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/01 02:44:02 ID:8Tkg3q.k [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
背後で物音。

こんな薄暗い森の中、滅多に人が立ち入らない森の中。

仮にポケモンなら、あえて人前に姿を現さないはず。

ってことは、この物音の正体は人間。人気(ひとけ)が無いのを良いことに、私を襲おうとしている変態の可能性もある。モルペコとベロバーを戦闘態勢に……。



 サトシ 「特訓、一段落ついたか?」

 ピカチュウ 「ぴーか?」


 マリィ 「えっ……サトシ?」


そこに居たのは、サトシとピカチュウだった。

全然気付かなかったけど、“特訓”って把握してるってことは、もしかして、かなり前から見られてた……!?


 サトシ 「初めて見るポケモンだ」 サッ

  図鑑 『ベロバー、いじわるポケモン。人やポケモンが嫌がる時に発するマイナスエネルギーを鼻から吸いこみ元気になる』


 マリィ 「どうしてこんな所に居るのよ?」

 サトシ 「いやぁ、さっきポプラさんとバトルしたんだけど、あそこって劇団も兼ねてるんだろ?」

 マリィ 「あぁ、確かそんな話、聞いたような」

 サトシ 「ユウリが興味津々でさ。劇団の稽古を見学させて貰ってるんだ。飯担当は買い出しに行ってるし、夕飯まで自由行動なんだ」

 マリィ 「ふーん」

 サトシ 「それよりマリィ、すげぇ熱心に特訓してるんだな!」

 マリィ 「っ……いつから見てたのよ!」

 サトシ 「そのベロバーをゲットした時から」

 マリィ 「ほぼ最初からじゃない!」


ベロバーは、ついさっき、ここでゲットしたポケモンだ。

新入りの実力を確かめつつ、他のメンバーたちの特訓をしてたんだけど……。
 ▼ 33 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/01 02:44:32 ID:8Tkg3q.k [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 マリィ 「……ねぇ待って。ベロバーをゲットしてから1時間くらい経ってるんだけど!? 1時間も私のこと隠れて見てたワケ!?」

 サトシ 「あ……、うん。なんか話しかけるタイミング無くて……」


ちょっとちょっとちょっとぉ!?

誰も居ないと思ったから、見た目とか気にしないで特訓してたんだけど!?

途中でジャケット脱いでたし、方言とか出ちゃってたかもしれないし……!


 マリィ 「もぉ! なんでさっさと話しかけてくれなかったのよ!?」

 サトシ 「いや、あまりにも熱心に特訓してたから、邪魔しちゃ悪いと思って」

 マリィ 「だったら静かに立ち去るとか、ちょっとは気ぃ遣いなさいよ!」

 サトシ 「ごめん。そのっ、頑張ってるマリィ見てたら、なんだか目が離せなくて」

 マリィ 「えっ?」

 サトシ 「おかしいよな、オレ。マリィの特訓に見惚れてた。それでなんか、タイミング逃しちまってさ」


見惚れてた……、サトシが、私に?

こんな私に……、パンク系で、他人とあんまり関わらなくて、性格もキツい私なんかに、見惚れてた……?


 サトシ 「マリィ、すげぇ頑張ってるんだな」

 マリィ 「ぁっ……///」

 サトシ 「ベロバー、ゲットしたばっかなのに、もうマリィのこと信頼してるっぽいし、モルペコも、けっこう厳しめの特訓に付いてこれてるし」

 ベロバー 「べろべぇ♪」

 モルペコ 「うらら〜♪」

 サトシ 「マリィの特訓見てたら、オレももっともっと頑張らなくちゃって。成長してるマリィをガッカリさせないように、オレも強くならなくちゃって。な、ピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴっかぁ」

 マリィ 「そっ、そんな褒められると、恥ずかしか……///」

 サトシ 「オレ、ひたむきに頑張ってるトレーナーって好きだからさっ」 ニカッ

 マリィ 「っ〜〜〜///」
 ▼ 34 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/01 02:45:03 ID:8Tkg3q.k [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシの言葉に、嘘偽りは、微塵も感じられなかった。

よく男が言い寄って来るとき、この手の褒め言葉で女子の心を掴もうとするけど、サトシには、そういう下心が、一切感じられない。


 サトシ 「へぇ〜、モルペコってホッペの感触とかピカチュウそっくりだな〜」 ムニムニ

 モルペコ 「うららっ♪」


モルペコがサトシに懐いてるのを見ても、サトシが悪い人だとは思えない。

もっとも、あの時サトシに助けてもらってから、サトシが悪い人だなんて考えたことも無いけど。


 マリィ 「サトシ……、アンタ、良い奴なんだね」

 サトシ 「ん? なんだよ急に」


私は素直に、嬉しかった。

私の頑張りを褒めてくれて。私の頑張りを認めてくれて。


私、人と深く関わるタイプじゃ無いって言うのに。

なんでサトシとは、一緒に居て、こんなに心地良いんだろう。

サトシが隣に居るだけで、サトシと一緒に話すだけで、ドキドキして、胸が温かくなって、顔が熱くなって。



 ベロバー 「べんべろろー♪」 タタッ



 マリィ 「あっ……ベロバーどこ行くん?」

 サトシ 「ん?」


と、ベロバーが走り出したかと思うと。

軽やかにジャンプしながら、森に生えているキノコに、次々と触れて行った。
 ▼ 35 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/01 02:46:16 ID:8Tkg3q.k [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


  ― フワッ

  ― フワワッ

  ― フワーーー



 マリィ 「わぁっ……!」

 サトシ 「すげぇ、キノコが光ってる!」


緑色のキノコはベロバーに触れられ、微かに振動する。

そして胞子を空中に漂わせ、ふわりと発光した。

光るキノコの笠は、あたかも電球のように。漂い光る胞子は、あたかもダイヤモンドダストのように。

この薄暗い静かな森を、美しく、幻想的に、彩った。


 マリィ 「綺麗……」

 サトシ 「あぁ。こんな光景見てると、特訓疲れも吹き飛ぶんじゃないか?」

 マリィ 「そうね。なんだか癒される」

 モルペコ 「うらら〜♪」

 サトシ 「座ろうぜ。そこに良い感じの切り株あるし」

 マリィ 「ぁっ、うん……」



私たちは しばらく、この光景に見入っていた。


そう言えば最近、バトルの特訓ばっかりで、自然の景色を あんまり見ていなかった気がする。

ここだって、ただの森だと思ってたのに。薄暗くて人通りも少ない、丁度良い特訓場所くらいにしか、思っていなかったのに。


視野を広げれば、そこは別世界。


発光するキノコと、それを受けて瞬く胞子。


それはそれは、とっても幻想的な光景だった。
 ▼ 36 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/01 02:48:06 ID:8Tkg3q.k [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな私の隣には、サトシが居る。

同じ切り株に腰を下ろして、同じ光景を見て、同じ感動を共有している。

それだけのことなのに……、なんでこんなに、胸が熱くなるんだろう……。


 サトシ 「なぁマリィ?」

 マリィ 「ひゃっ!?」 ビクッ!

 サトシ 「えっ……どうした?」

 マリィ 「きゅっ、急に話しかけんといて!」

 サトシ 「あっ、ごめん……?」

 マリィ 「で、なに?」

 サトシ 「マリィってさ、ホントは優しいんだろ?」

 マリィ 「なっ……、なによ急に?」

 サトシ 「さっき特訓見てたけど、モルペコとベロバーを、途中途中で ちゃんと労わってあげてさ。2匹のヤル気を引き出すエールも送ったり、凄いポケモン想いだなって感じたんだ」

 マリィ 「もぉ……! ホントに最初から最後まで覗き見てたんね!」

 サトシ 「あぁ。だからオレ、マリィがポケモン想いで、すげぇ優しい女の子だって、分かったんだ」

 マリィ 「なっ、なによ急に……」


 サトシ 「ユウリにキツく接してるの、何かワケがあるのか?」


 マリィ 「っ……!」

 サトシ 「まぁ、そんなマリィとの遣り取りも、ユウリは楽しんでるみたいだけどさ。でもオレ気になるんだ。優しいマリィが、なんでユウリにキツく接してるのか」


ここにきて、サトシは その話題を持ち出した。

考えてみると、初めて会った時から、サトシは私に、ユウリと仲良くするよう諭していた。ホント、ウザかった。


でも、そのお陰で私は、今こうして、サトシと お話しできている。

サトシと会うと“変な感覚が付きまとう”ってデメリットはあるけど、その感覚を断ち切るべく特訓に励んだお陰で、私たちは強くなっている。


サトシは私を助けてくれたし、サトシとは普通に接したいと、心の中では思ってるけど……。
 ▼ 37 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/01 02:48:47 ID:8Tkg3q.k [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 マリィ 「……アンタには関係なかと」



一瞬だけ、迷った。

サトシになら……、体を張って私を庇ってくれたサトシになら、話しても良いかなって、ホントに一瞬、迷ってしまった。


でも、ユウリとの関係については、また別問題だ。

サトシに話すようなことじゃ無い。これは私の中の問題だから。


 サトシ 「そっか」


それだけ言って、サトシは これ以上、深く聞こうとはしなかった。

サトシ、その辺は しっかり空気読めるのね。サトシを“良い奴”だと感じた私の感性は、間違いじゃ無かったってことだ。





 サトシ 「そう言えばマリィってさ」

 マリィ 「今度はなに?」

 サトシ 「たまに方言まじるよな?」

 マリィ 「ぅえっ、うそっ!? 出ちゃってた!?」

 サトシ 「少し、少しな」


うわぁもぉ……!

リーグに挑戦するから、田舎者って思われないように、方言は隠して来たつもりだったのに。

私ってば、やっぱり無意識のうちに使っちゃうのかなぁ。
 ▼ 38 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/01 02:50:15 ID:8Tkg3q.k [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 マリィ 「はぁ……。どうせ私は田舎者やけん、笑いたきゃ笑えばいいじゃん」

 サトシ 「笑おうなんて思わないよ。なんたって、オレも田舎者だからな」

 マリィ 「そうなの?」

 サトシ 「あぁ。オレ、マサラタウン出身なんだけど、カントーで一番の田舎なんだぜ?」

 マリィ 「そうなんだ」

 サトシ 「マリィは どこ出身なんだ?」

 マリィ 「スパイクタウンって町。田舎って言うより、寂れてる町よ、ガラルで一番」

 サトシ 「スパイクタウン……、でもそこ、ジムがある町だろ?」

 マリィ 「うん。一応ね」

 サトシ 「なら栄えてるじゃん! マサラタウンにジムなんて無いし、民家より森と畑の方が多いんだぞ!」

 マリィ 「……あはっ、なにそれっ」

 サトシ 「あー! マサラを笑ったな!」

 マリィ 「笑ってなかとー!」

 サトシ 「笑ってるじゃん!」

 マリィ 「ふふっ……、あははっ!」
 ▼ 39 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/01 02:52:36 ID:8Tkg3q.k [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気付けば私は、心から笑っていた。

笑うようなことでもない、なんでもない会話のはずなのに。


そう言えば……、いつ以来だろうな、こうやって、同年代の子と お喋りしたの。

いつ以来だろうな、こうやって笑い合いながら、友達同士、楽しい時間を過ごしたの。


 サトシ 「じゃあ……、ポケモンバトルで決着付けるか?」

 マリィ 「受けて立つよ。今日こそアンタに勝つんだから! おいでベロバー!」

 ベロバー 「べろ?」

 マリィ 「初陣よ。サトシを コロッと やっちゃおうね!」

 ベロバー 「べろべんべー!」

 サトシ 「新入りか。ならオレは……、リオル、キミに決めた!」

 リオル 「りぉー!」


サトシのポケモンはリオル。

恐らく向こうも新入り。新入り同士で力比べってことね。

ピカチュウじゃないとは言え、サトシの鍛えたポケモン、油断は出来ない。



 マリィ 「行くよベロバー! 特訓した“あくのはどう”よ!」

 ベロバー 「べろっ!」

 サトシ 「向かい打つぞ! “しんくうは”!」

 リオル 「りおぉぉぉっ!」




 ▼ 40 ビット@カセキのサカナ 20/09/01 02:57:38 ID:8/WselKU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
見惚れてたという言葉を素直に言えるなんてサトシは本当に天然タラシだね。
素直に慣れない不器用少女と天然男のコンビは良い。
 ▼ 41 ルセウス@いのちのたま 20/09/01 15:58:16 ID:wc8cP0dM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 42 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/03 00:35:44 ID:7fIU4Ia6 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





 サトシ 「諦めるなリオル! “きしかいせい”!」

 リオル 「りぃぃぃぃおおおおおおおぉぉぉぉっ!!!」

 マリィ 「嘘っ……ベロバー避けてっ!」

 ベロバー 「べべっ……!?」


勝ったと思った。

リオルをギリギリまで追い詰めて、勝ちを確信したのに。

リオルは、サトシは、最後の最後に、“きしかいせい”と言う隠し球を仕込んでいた。


全身全霊をかけたリオルの最後の足掻き、その気迫に、ベロバーは動けなかったようだ。


“きしかいせい”が直撃、大きく弾き飛ばされたベロバーは、大木に叩きつけられ、力なく倒れてしまった。


 サトシ 「勝負あったな! よくやったぞリオル!」

 リオル 「りぉっ、りぉっ、りぉぉぉぉっ!」

 サトシ 「ははっ、やっぱ疲れたよな。ゆっくり休んでくれよ」

 リオル 「りぉぉっ……!」


サトシとリオルの喜ぶ声。

勝てると思ったのに……、私は今回も、サトシに敗れてしまった。
 ▼ 43 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/03 00:36:14 ID:7fIU4Ia6 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 マリィ 「ベロバー、ありがと。頑張ったね」

 ベロバー 「べろっ……」

 マリィ 「どした?」

 ベロバー 「べぐっ、グスッ、べろっ……」

 マリィ 「そっか。悔しいよね。私も悔しか」 ナデナデ

 ベロバー 「べろばっ……!」 ゴシゴシ

 マリィ 「……ふふっ、偉い偉い。ベロバー、もっともっと特訓して、一緒に強くなろうね。それで、サトシとリオルにリベンジよ」

 ベロバー 「べろ!」

 マリィ 「うん、良い返事。ゆっくり休んどってね」



ベロバーの決意は、本物だ。


きっと、同じ新入り、似た体格のリオルに、ライバル心を燃やしているのだろう。

このベロバーの決意を、無駄にする訳にはいかない。尊重しなければならない。

ベロバーを強く育て上げ、リオルにリベンジするという目標が、新たに加わった瞬間だった。


 サトシ 「お疲れマリィ。良いバトルだったぜ」

 マリィ 「うん。サトシ相変わらず強かね」

 サトシ 「マリィとベロバーも強かったよ。さっきゲットしたばっかなのに、オレ、本当にギリギリだったもん。“きしかいせい”が外れてたら負けてたよ」

 マリィ 「でも結果が全てよ。……サトシ、私たち強くなるから、またバトルして。ベロバーのためにも!」

 サトシ 「あぁ! オレとリオルも強くなる。楽しみにしてるぜ!」





   *   *   *  


 ▼ 44 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/03 00:36:54 ID:7fIU4Ia6 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ベロバーとリオルのライバル対決は――。

ガラルリーグ決勝戦という舞台で、キョダイマックスオーロンゲ VS ダイマックスルカリオという、最高の形で迎えることになる。


相打ちと言う結果に終わったけど、オーロンゲは全力を出し切った。全力でぶつかっり合った。

倒れてもどこか清々しい表情をしていたオーロンゲの頑張りを、私はトレーナーとして、誇りに思う。





そんなオーロンゲの想いを受け継いで、今まさにフィールドで燃えているのは、私のパートナー、モルペコだ。





 実況 『“オーラぐるま”と“10万ボルト”が再度激突ぅ! が……しかし! 今回は様子が違います!』


そう、さっきとは違う。

この“オーラぐるま”は悪タイプとして放っている。電気同士の ぶつかり合いでは無い。

しかもモルペコは今、素早さが格段に上がっている。


 モルペコ 「オララッ……ラァァァァァァ!!!」

 ピカチュウ 「びかっ!?」
 

 サトシ 「あっ……ピカチュウ!?」


 実況 『モルペコが押し勝ったぁ!』



ピカチュウとモルペコの攻撃は、ほぼ互角。

互角と言うことは、何か小さな変化で、その均衡は簡単に崩せてしまう。


“オーラぐるま”による素早さ上昇が、ここにきて追い風となった。

スピードが付いている分、モルペコが放つワザは威力が上乗せされる。物理攻撃のメリットの一つだ。
 ▼ 45 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/09/03 00:37:31 ID:7fIU4Ia6 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「立て直すぞ! “10万ボルト”で――」

 マリィ 「“いちゃもん”!」

 モルペコ 「オラッ!」

 ピカチュウ 「ぴっ!?」


 実況 『あぁーっと! ここで“いちゃもん”と来た! サトシ選手、戦略を狭められたぁ!』



 ユウリ 「“いちゃもん”って、同じワザを連続で出せなくする……」

 飯担当 「はい。これはマズいですよ。現状、“オーラぐるま”に立ち向かえるのは“10万ボルト”のみ」

 ユウリ 「“オーラぐるま”を連続で出されたら、対抗しきれないってこと?」

 飯担当 「そう言うことです。別のワザで受け流そうにも、モルペコは素早さが上昇しています。これはサトシ、相当厳しくなりましたね……」

 ユウリ 「マリィちゃんの戦略、凄い……」



“いちゃもん”によって、サトシとピカチュウの動きを制限することに成功した。

あの強力なピカチュウの“10万ボルト”を連続で出されなければ、私にとってかなり有利。

さらにモルペコの素早さは、最高レベルに達している。



勝てる……!


今までずっと勝てなかったサトシに、このままいけば勝てる!


サトシに勝って、私の想いを伝える。


あの日――、スパイクタウンで決意したことが、いよいよ実現しようとしているのだ。



 ▼ 46 ガイドス@わんぱくミント 20/09/03 06:21:15 ID:zips7/nI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この雰囲気すごく好き
 ▼ 47 チフサグマ@あかいかけら 20/09/03 17:51:43 ID:CfWIdKiQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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