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ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く 第4章 リーリエの物語

 ▼ 1 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/10/11 18:19:06 ID:pePArFdE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローラ、皆さま。ガルーラJrと申します。
「ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く」の第4章となります。この章ではリーリエのトレーナー修行のストーリーが描かれます。
また、以下の点を予めご了承ください。

1:登場人物
ゲーム編では例えば男主人公を選ぶと女主人公は出てきませんが、このSSでは両方のキャラクターをヨウ、ミヅキとして登場させます。

2:登場人物の手持ち
登場人物の手持ちは基本的にゲーム本編に準拠しますが、中には1匹か2匹入れ替えを行ったり、また、ゲーム本編で例えば最大5匹しか手持ちを持っていない人物には1匹追加をしたりしています。

3:形式
地の文を用いた形式で書かせていただきます。


第1章(SMゲーム本編に準拠したストーリー)はこちらです。

Part 1(プロローグ〜エーテルパラダイス突入)
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1011593

Part 2(ポニ島〜エンディング)
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1196044

第2章(UB捕獲作戦)はこちらです。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1227914

第3章(戦乱のアローラ)はこちらです。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1270113

それでは、第4章もよろしくお願いいたします。
 ▼ 592 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 21:06:04 ID:Cf.g7rzE [1/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ロケット団の幹部たちが逮捕され、組織のボス、サカキは行方不明となった…。ロケット団員のポケモンたちは行き場を失い、その面倒を私が見始めたの。その後何年かして、私のしている活動にシルバーが協力を申し出てくれた…。ロケット団はポケモンを道具とみなしているから、とにかく戦わせ方が荒いわ。ポケモンが傷だらけになろうが構わず戦わせようとするし、恐怖で縛り付けて言うことを聞かせようとする…。ロケット団員の手持ちは傷は癒えてもそのときのトラウマのせいですぐに野生にも帰れないし、心の回復に時間がかかることもある…。でも、シルバーに預けた子たちは着実に回復してるみたいだから安心したわ」

カリンはそう言ってシルバーを見つめた。シルバーは少し照れたような、居心地の悪そうな顔をしていた。

「当たり前だろ。誰が面倒見てると思ってんだよ」

リーリエは考えていた。エーテル財団はカントーにも支部がある。そこでならカリンやシルバーがしている活動に協力できるのではないか。

「…もしよろしければ、エーテル財団もお二人の活動に協力させてください。野生に帰れそうな子にはトレーニングをしたり、エーテル財団にはポケモン保護のノウハウが蓄積されていますので、何かしらできることはあると思います」

「え?リーリエさん、エーテル財団に伝手があるの?」

カリンは少し驚いていた。そして、リーリエが自分の素性を明かすとさらに目を丸くした。

「私…エーテル財団代表、ルザミーネの娘なんです。私や母の名を出せば断られることはないと思います」

「エーテル財団代表の娘……」

カリンは驚くとともに、エーテル財団のノウハウがあれば自分たちの活動ももっとスムーズになるだろうと考えた。だが、シルバーは少し疑惑の目をリーリエに向け
た。

「…エーテル財団か…。確か、エーテル財団は特にアローラの支部で最近大量の退職者が出たよな?そのことについてあまりよくない噂が立ってるんだが…」

シルバーはエーテル財団のアローラ支部で起きた事件のことを耳にしたことがあるらしい。リーリエは思わず口をつぐむような仕草を見せてしまう。シルバーは言葉を選びながらも、リーリエにその噂の内容を話した。

「…エーテル財団では空間を越えた異世界と、そこに暮らすポケモンに関する研究が行われていた…。その異世界のポケモンをこの世界に呼び込めないかという実験が行われ、そのために倫理に反するようなことも裏で行われていた…と…」

シルバーが詳細まで知っているはずはなかったが、概要はその通りだった。リーリエは否定できなかった。あの事件の真っ只中におり、そしてヨウ、ミヅキ、ハウ、グラジオを巻き込んだ突入劇に発展したときにもそのど真ん中にいたと言っても過言ではないのだから。
 ▼ 593 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 21:06:56 ID:Cf.g7rzE [2/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…エーテル財団の一部の職員がそのようなことに手を染めていたのは事実です。そして、その中心にいたのは他ならぬ私の母でした…」

リーリエはポツリと言った。本当はこんなことを言いたくはない。自分がこのような発言をすることでエーテル財団の信用は地に落ち、最悪財団そのものが解体される可能性もある。そうなればこれまで本当に財団の理念を信じ、共に歩んでくれた職員たちにあまりに申し訳ない。だが、リーリエはモーンやルザミーネが行ったことから目を背けることはできなかった。シルバーだってルザミーネたちのしたことに対して確たる証拠を握っているわけではない。嘘をつくこともできた。
だが、ここで嘘をつけばリーリエは自分も関わったあの事件の全てに目を背け、ひいてはヨウたちが自分やほしぐもちゃんのために戦ってくれたことにも目を背けることになるような気がしていた。
カリンとシルバーは拳を握って震わせるリーリエを黙って見つめていた。カリンはその様子を見て、シルバーに部屋を一室借りられないかと尋ねた。

「…シルバー、ジムの部屋を一つ借りてもいいかしら?彼女を少し落ち着かせた方がいいと思うの…」

「…ああ…。それは構わない。案内しよう」

カリンはリーリエの肩を優しく抱き、シルバーの後についていった。


「ここならジムが閉まるまでいてくれても大丈夫だ」

シルバーはリーリエとカリンを部屋に案内し、カリンはリーリエを優しく椅子に座らせる。シルバーはコーヒーを2杯持ってきて二人に差し出した。

「ありがとう、シルバー」

「…ああ…。…すまなかったな。あんなことを言ってしまって…」

カリンがシルバーに礼を言うと、シルバーは部屋のドアを静かに閉めてリーリエに謝罪した。

「…すみません、カリンさん、シルバーもんも…。お忙しいはずなのに…」

「…気にしないで。…エーテル財団の裏の部分…、しかも自分のお母さんが中心となっていたというのに、それを打ち明けるのは辛かったでしょ?」

「…俺が言うのもなんだが、嘘をつくこともできただろうに。火の無いところに煙は立たないとはいうが、俺だって噂で聞いただけで財団の裏の顔について証拠なんて持っていないんだから」

シルバーはリーリエのコーヒーに砂糖とミルクを混ぜている。リーリエは混ざっていく白と黒の液面を見ながらため息をついた。
 ▼ 594 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 21:08:32 ID:Cf.g7rzE [3/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…財団の裏の顔…。でも、それがなければ私は今ここにはいないと思います…。あの事件があったからこそ、私たちの特別な島巡りが生まれたのは間違いありませんから…」

カリンとシルバーは島巡りという聞き慣れない単語に反応する。

「リーリエさん、あなた、カントーの人間ではないわね…。どちらからいらしたの?」

「…アローラです。私はシルバーさんの言った事件の中心に近い場所にいましたから…」

カリンはリーリエにかける言葉が見つからなかった。

「…カリンさん、少し彼女と二人で話をしたい」

シルバーが珍しいことを言うものだと思いながらも、カリンはこくりと頷く。シルバーはリーリエと二人になると、静かに口を開いた。

「…身内に悪事に手を染めていた、または関わっていた人間がいるのは辛いよな。…俺も似たようなもんだから、感覚はわかる」

リーリエはシルバーに思わず目を向ける。シルバーの身内にも悪事に手を染めていた人間がいるのだろうか。

「…シルバーさんのご家族の方に、何か悪いことをしていた人がいらっしゃったのですか?」

「…まあな…。俺の親父だ…」

シルバーは知っているのは自分も含めて数人しかいないことをリーリエに話すことにした。似たような境遇を持つ人間になかなか会えることがないため、つい彼女に親近感のようなものが湧いたのだ。

「…さっきカリンさんが言ってたロケット団って組織…。そのボスが俺の親父だった」

「……!!」

リーリエは目を丸くした。ジムリーダーの父親が犯罪組織の頭目?

「…実は、このジムもかつてはロケット団の運営資金を稼いだり、隠れ蓑に使われてたという一面がある。親父がジムリーダーをしていた時期もあったな。今でこそそういった繋がりはなくなったが、正直先代のジムリーダーからこのジムを継げって声をかけられたときにはあまり気が進まなかったよ」

「…シルバーさんがここでジムリーダーをしたり、元ロケット団員のポケモンの世話をしているのは、お父様の罪滅ぼしのため…?」

「…元々はそんなつもりはなかったんだけどな。俺はジョウト地方でトレーナー修行をしていたが、最初のポケモンはとある研究所から盗んで手に入れたものだ。…俺も元々は悪党側の人間だったんだよ。初めは自分の力以外に信じられるものなどないと思っていたし、ポケモンも自分の力を示すための道具としかみなしてなかった。けど、旅をしていくうちに愛着も出たり、自分のしたことを悔やむようにもなった。だから、俺はそいつを盗んだ研究所に返しにいこうとした。そのとき、そこの博士が言ったんだ。…ポケモンにとって一番幸せなのは好きな人の側にいられること。だから、そのポケモンは君と一緒にいるべきだ…ってな」

リーリエはシルバーが目を少し潤ませていることに気づいていた。そのことがシルバーにとっての大きな転機となったのは間違いない。たとえ悪の血を引いていたとしても、かつて悪事に手を染めたとしても、彼は腐ることなくここにいる。
 ▼ 595 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 21:10:12 ID:Cf.g7rzE [4/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「それから数年して、先代のジムリーダーが後任のジムリーダーを探したいと言い出して、セキエイチャンピオンのワタルさんとフスベシティのジムリーダー、イブキさんから俺に声がかかったんだ。あの二人には世話になったから、断ることもできなかった。で、その後カリンさんが元ロケット団のポケモンたちの面倒を見ていることを知った。親父たちの罪滅ぼしのつもりはなかったし、俺も親父たちと縁が切れて久しいが、やはり他人事で片付けることはできなかったよ」

シルバーは自分のことを包み隠さずに話したのは久しぶりだった。ロケット団のボスの息子として生まれ、ロケット団が崩れるところを目の当たりにし、己の力しか信じられるものがなかった自分に救いをもたらしてくれた人が、そしてポケモンがいた。
リーリエには母のもとを去り、臆病に逃げ回りながらも救いの手を差し出してくれた人やポケモンたちがいた自分とシルバーが重なって見えた。

「…私も…、シルバーさんとは少し違いますけど、私に救いを与えてくれた人とポケモンたちがいるんです」

リーリエはシルバーにヨウたちとの島巡りのことを話す。ウルトラビーストにとりつかれ、異世界にまで行った母を救い、連れ戻したあの事件。辛かったが、最後にはほしぐもちゃんを連れ出し、ヨウたちに出会えて本当に良かったと笑うことができたあの瞬間。日輪の祭壇で、本音を言えばほしぐもちゃんと別れるのは辛かった。本当はもっとほしぐもちゃんと一緒にいたかった。その思いはトレーナーとなった今でも変わらない。
リーリエはヨウならほしぐもちゃんを託せると思ったが、本当は自分も一緒にいたかったことをシルバーな話した。話していたら、ほしぐもちゃんのことを思い出して目から涙が溢れた。シルバーはそんなリーリエを優しく見守っていた。

「…そうか…。君には待ってくれている人が、そしてポケモンがいるんだな…。それなら、俺を倒してアローラに帰るといい。だが、君がこれからリーグに挑む以上、俺も君が乗り越えるべき壁として立ちはだからせてもらう」

「…はい…」

リーリエはシルバーと話して落ち着くことができた。それを確認したシルバーはリーリエにもう少し休んでから帰るように言い、部屋を出た。
 ▼ 596 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 21:10:41 ID:Cf.g7rzE [5/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…あなた…、ロケット団のボスの息子だったの…」

部屋のすぐ外にはカリンがいた。どうやらリーリエとの会話を聞かれていたようだ。

「聞いてたのか…。あの子に話したことは全て事実だ。もしたれ込みたいならたれ込んでもいい。だが、俺は親父がどこへ行ったのか、何をしてるのかも全くわからない。それは本当だ」

シルバーの言葉を聞き、カリンは小さくため息をついた。

「…あなたのこと、信じるわ。ひとまずはね」

「…カリンさん…」

「あなたに預けた子たち、なんだか幸せそうだから」

カリンはシルバーに笑いかける。シルバーはそれを聞き、少し安心したように息を漏らした。

「あの子とのジム戦、私も見学してもいいかしら?」

突然、カリンがそんなことを言い出した。シルバーはつい皮肉めいたことを言ってしまった。

「いいのか?四天王ってのは意外と暇なんだな」

「まあね。少し暇なくらいが心に余裕を持てていいものよ」

カリンはクスッと笑った。シルバーはいいとも悪いとも言わなかったが、カリンはどうやらそれをOKのサインとみなしたらしい。

「じゃあ、明後日の11時だったかしら?そのときに来るわね」

「ああ、好きにするといい」

シルバーはそう言うと、彼のポケモンたちの入ったボールが置かれている部屋に向かった。

「…相手はバッジ7個か…。おまえにも戦ってもらうとするか…」

シルバーはある一つのモンスターボールを手に取る。その中には彼の旅立ちのポケモンが入っていた。
 ▼ 597 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/15 21:11:17 ID:Cf.g7rzE [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第62話はここまでです。
次回からリーリエVSシルバーの開始です。
それではまた。
 ▼ 598 ーホー@パスタ 21/02/15 21:30:12 ID:IAxknM82 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
終盤感えぐいな支援
 ▼ 599 ンヤンマ@たんちき 21/02/15 21:46:32 ID:o4o2ESjw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーリエとシルバーは悪の組織のトップの子供という共通点を持っているのね
経歴的にはグラジオのほうがよりシルバーっぽいけど
支援
 ▼ 600 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/17 07:09:22 ID:qCQQkYb2 [1/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
63話ができましたので投稿します。
 ▼ 601 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/17 07:10:13 ID:qCQQkYb2 [2/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 63 ポケモンリーグへの壁


「よし、行きましょう…」

リーリエは手持ちのコンディションを確認する。キュウコン、キュワワー、ヌオー、ファイアロー、チルタリス、バンギラス。
皆コンディションは問題ない。あとはこのパーティーの力を自分がいかに引き出せるか、それだけだ。
リーリエがトキワジムに向かって歩いていると、ジムの入り口にカリンがいた。

「こんにちは、リーリエさん。今日は素敵なバトルを見せてね」

「カリンさん、こんにちは。はい、必ず!」

リーリエは元気よく答えると、カリンと共にジムの中へと入っていった。


リーリエはジムに入ると、さっそくバトル場へ案内された。リーリエが待っていると、すぐにシルバーは姿を現した。

「…シルバーさん…」

「…リーリエ…」

リーリエとシルバーは互いに見つめ合う。互いに悪事に手を染めた親を持つ身であるが、今は二人とも一人のトレーナーである。リーリエは強く決意していた。このバトルに勝利し、カントー地方の8つのバッジを手に憧れた人たちの待つアローラへ、彼のトレーナーとしての原点がある地へ凱旋する。たとえシルバーがチャンピオンに迫ろうとするようなトレーナーであったとしてもだ。

「…もう言葉は不要だな。…ルールは6VS6のフルバトル。互いに交代は自由だ。君にもこれまで共に戦ってきた仲間がいるだろう。その力を見せてくれ」

「…はい…」

リーリエとシルバーは互いに一つ目のボールを投げる。

「コンッ!!」

「ニウムッ!」

リーリエはキュウコン、シルバーはメガニウムを繰り出した。キュウコンが戦闘態勢を取ると、バトル場に霰が降り注ぐ。

「…霰…?」

観戦していたカリンは見たこともない白いキュウコンに驚きを隠せない。だが、シルバーは全く動じなかった。
 ▼ 602 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/17 07:11:21 ID:qCQQkYb2 [3/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「雪降らし…。ここはセオリー通りにいくか…」

「キュウコン、吹雪!!」

リーリエはキュウコンに吹雪を指示する。メガニウムは吹雪をくらいながらも脚を踏ん張らせ、キュウコンをにらみつける。

「メガニウム、光の壁!」

「ニウム!」

メガニウムはここで光の壁を張り、シルバーの陣営はその効果が切れるまで特殊攻撃のダメージが軽減される。リーリエはもう一発吹雪を放つことにした。耐えられるかもしれないが、ここはまずメガニウムをしっかりと倒すことだ。

「キュウコン、もう一度吹雪!」

「コンッ!!」

キュウコンは再び猛烈な吹雪を起こす。しかし、ここでシルバーは選手を交代した。

「メガニウム、一旦戻れ!頼むぞ、ゲンガー!」

「ゲンガッ!!」

メガニウムに代わって現れたのはゲンガーだった。ゲンガーは吹雪を耐え、キュウコンに向かって闘志を燃やす。リーリエはここは自分に有利な場作りをしておこうと考えた。

「キュウコン、オーロラベール!」

だが、この判断がよくなかったとリーリエはすぐに後悔することになる。

「甘いな。ゲンガー、メガシンカ!!」

「!!」

ゲンガーは姿を変え、下半身が地面に埋まったような風貌に変化する。そして、ゲンガーは強烈な一撃をキュウコンに見舞った。

「ヘドロ爆弾!」

「ゲンガ!!」

ゲンガーの放つヘドロ爆弾がキュウコンに命中する。なんとか、すんでのところでオーロラベールを張り終え、一撃KOは免れたが、シルバーのゲンガーは非常に強力な特殊攻撃力を備えていた。
 ▼ 603 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/17 07:12:28 ID:qCQQkYb2 [4/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「危なかった…!ここは交代を…」

リーリエはメガゲンガーに対してキュウコンは相性不利と考え、バンギラスに交代しようと考える。だが、モンスターボールから伸びるビームはキュウコンをボールに戻すことはなかった。

「…!?…影踏みですか…!」

リーリエはキュウコンを戻せず、大きな隙を晒した。シルバーはそこに容赦なく2発目の攻撃を放った。

「力量、知識、判断、戦術…。ポケモンリーグは全てが試される場だ。ヘドロ爆弾!」

キュウコンはゲンガーからの2発目をもらい、力尽きる。まずはシルバーが一本取った形となった。

「…キュウコン、よく戦いました…。チルタリス、頼みますよ!」

「チルッ!!」

リーリエは二体目としてチルタリスを繰り出した。バンギラスを出そうかとも考えたが、チルタリスも特殊防御力の高いポケモンである。シルバーはチルタリスを見て思わず口を開いた。

「…チルタリス…。悪くない選択だが、ここは守勢に回るべきじゃないな。ゲンガー、攻撃あるのみだ!シャドーボール!!」

「ゲンガッ!!」

ゲンガーは強力な黒いエネルギーの球体をチルタリスにぶつける。どうやらチルタリスの急所を捉えたらしい。オーロラベールがあるはずなのにチルタリスの飛行高度がガクッと下がった。

「チルタリス…!」

「よし、ゲンガー、このまま押し切るぞ!」

シルバーとゲンガーが勢いづいたそのとき、リーリエの反撃が始まった。

「チルタリス、あなたを甘く見たことを後悔させてやりましょう!竜の舞!!」

「チルッ!」

チルタリスは竜の舞を踊り、自身の素早さと攻撃力を高める。そして、チルタリスは上がった攻撃力で渾身の一撃を放った。
 ▼ 604 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/17 07:13:42 ID:qCQQkYb2 [5/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「チルタリス、地震!!」

「!!」

「チルッ!!」

チルタリスは地震を起こし、ゲンガーはその衝撃波をもろに受けてしまった。

「ゲンガー!」

なんとか耐えられないかと思ったシルバーだったが、彼の期待は空しく破れることになった。降り注ぐ霰の中、チルタリスは荒く白い息を吐いていた。その瞳の先ではメガゲンガーが崩れ落ち、うつ伏せに地面に倒れた。

「…信じられん…。メガゲンガーがこうも抑えられないか…」

メガゲンガーを破られたシルバーは驚嘆の声を漏らした。

「メガシンカポケモンと言っても、その力は決して無敵ではありません。速攻でリードを広げようと考えたのでしょうが、簡単には許しませんよ」

シルバーはリーリエの燃えたぎる闘志を見て思わず息を飲んだ。手を抜いているつもりはなかったが、この少女を打ち崩すには生半可なことでは通じないだろう。

「…面白い…。マニューラ、頼むぞ!」

「マニュッ!」

シルバーは3番手にマニューラを繰り出す。チルタリスはマニューラへ一撃をくわえようと襲いかかる。だが、マニューラはそれを許さなかった。

「マニューラ、猫だまし!」

「マニュ!!」

マニューラは猫だましでチルタリスを怯ませ、その動きを止める。チルタリスは一度距離を取り、仕切り直してマニューラへ再び襲いかかろうとする。チルタリスが旋回しながらマニューラへの攻撃の機会をうかがう。

「燕返し!」

チルタリスは翼を広げてマニューラへと襲いかかる。燕返しは必中技。マニューラを倒すまではいかずともかなりのダメージを与えられるはずだ。シルバーは必中技を逆手にとって強烈なカウンターを仕掛けてきた。
 ▼ 605 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/17 07:14:42 ID:qCQQkYb2 [6/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「マニューラ、冷凍パンチだ!!」

「マニュッ!!」

燕返しがマニューラを捉えようとした刹那、マニューラは冷気をまとったパンチを浴びせ、チルタリスは地面に落下した。

「チルタリス!」

「必中技が仇になったな。近接技かつ必中であるということは、相手にカウンターをされやすいということでもある」

「…くっ…」

リーリエは倒れたチルタリスをボールに戻し、次のボールを構える。結局マニューラにはダメージを与えられなかった。ここでオーロラベールの効果が切れ、リーリエはダメージ軽減のための壁を失った。

「…!オーロラベールが…」

「よし、邪魔な壁がようやく消えたか…」

シルバーはもはや完全に真剣勝負の姿勢になっていた。その様子を見ていたカリンはクスッと笑った。

「…ふふ…。シルバーってば、本当、熱くなってるわね…」

リーリエはこれで2体の手持ちをやられてしまったが、シルバーもメガシンカポケモンを落とされている。勝負の行方はまだわからなかった。

「ヌオー!頼みますよ!」

「ヌオ!」

リーリエは物理攻撃力に優れたマニューラへの対策として、ヌオーを差し向ける。すると、シルバーはマニューラを下げ、再びメガニウムを繰り出した。
 ▼ 606 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/17 07:15:29 ID:qCQQkYb2 [7/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「マニューラ、一度戻れ!メガニウム、頼むぞ!」

「ニウム!」

草タイプのメガニウムが相手ではヌオーは分が悪い。リーリエは一度ヌオーを交代させることにした。

「ヌオー、ここはファイアローに交代です!」

「アロ!!」

リーリエはヌオーと入れ替りにファイアローを繰り出す。すると、シルバーはリーリエが思ってもいなかった技を使ってきた。

「メガニウム、日本晴れだ!」

「ニウム!!」

メガニウムが咆哮を上げ、ジム内に強い光が差し込む。リーリエはここはメガニウムにとどめを差しながら天候も奪えるようにとある技を指示した。

「ファイアロー、とんぼ返り!」

ファイアローはメガニウムにダメージを与えながら撤退する。このままバンギラスに交代すれば特性、砂起こしで天候を奪える。メガニウムの体がぐらつき、床に倒れようとしていた。これで自分の計算通りになるとリーリエは小さく笑みを浮かべたそのとき、メガニウムは脚を踏ん張らせて踏みとどまった。

「!…倒れませんか…!」

「まだまだ!俺のメガニウムはタフだぞ!」

リーリエはここはどうするべきか悩む。バンギラスを出し、砂嵐のダメージでメガニウムを倒せないだろうか?それとも、確実に次の攻撃を当てることを重視すべきだろうか?

メガニウムに体力の余裕がないのは確かだろう。リーリエはここはバンギラスを出すことにした。

「バンギラス、頼みますよ!」

「ギラァ!」

リーリエはバンギラスを繰り出した。バンギラスが現れるとジム内に差し込んでいた光が弱まり、バトル場には砂嵐が吹き荒れる。
 ▼ 607 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/17 07:16:15 ID:qCQQkYb2 [8/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「これで…」

メガニウムは砂嵐によるダメージを受ける。が、あと一歩、メガニウムを倒すには至らなかった。

「よし!よく耐えた!日本晴れ!」

メガニウムは最後に天候を上書きする。リーリエの理想通りの展開とはならなかったが、ここはメガニウムきっちりと倒すことだ。

「バンギラス、地震!」

「ギラァッ!!」

バンギラスは地震を起こし、メガニウムをノックアウトする。これでシルバーの残りの手持ちは4体。ここでシルバーの陣営の光の壁も消失した。ここまでは一進一退と言っていいバトルが続いている。シルバーはここで思わぬポケモンを繰り出した。

「バクフーン、ここは頼むぞ!」

「バァクッ!!」

「バクフーン?」

バクフーンは首の後ろに炎を吹き出し、バンギラスへの闘志をむき出しにする。しかし、リーリエには理解できなかった。バクフーンは炎タイプで、岩タイプのバンギラスとは相性が悪い。なのにシルバーはなぜバクフーンを差し向けてきたのだろうか?

「バンギラス、ここはチャンスですよ!ストーンエッジ!」

「ギラッ!!」

バンギラスがストーンエッジを放とうと身構えたとき、シルバーはバクフーンにある技を指示した。

「燃えつきる」

「バァクッ!」

バクフーンは全身から強烈な炎と熱波を放つ。日本晴れの下で強化されたその威力に、さすがのバンギラスといえども後ずさった。
 ▼ 608 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/17 07:16:45 ID:qCQQkYb2 [9/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「くっ…!バンギラス!!」

「…ギラッ!!」

バンギラスは反撃のストーンエッジを放つが、バクフーンは咄嗟に腕で自身へ向かってきた岩の破片を防御する。

ストーンエッジはバクフーンに大ダメージを与えることはなかった。燃えつきる。使用するとそのポケモンは炎タイプを失うという変わった技だ。
その証拠なのか、バクフーンの首の炎は消えていた。燃え盛る炎の代わりにブスブスと煙が漏れ出ており、バクフーン自身が本当に燃えつきてしまったかのような姿になっている。リーリエにとってその姿はなぜか不気味にも見えた。

「タイプを消した…」

「…こういう戦い方もあるのさ。バクフーン、いくぞ…」

首から煙を漏らしたバクフーンが身構える。ともすれば闘志までも燃え尽きたように見える状態だったが、リーリエにはわかっていた。バクフーンの闘志はむき出しにはなっていないように見えるが、心の奥底でくすぶっている。バンギラスにもそれがわかっているのだろう。鋭い視線でバクフーンを見据えたまま決して目を逸らさない。
リーリエはシルバーを倒すにはここからが本番だと気合いを入れ直した。
 ▼ 609 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/17 07:17:42 ID:qCQQkYb2 [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第63話はここまでです。
次回を決着とし、その後2話か3話でこの章の完結としたいと思います。
それではまた。
 ▼ 610 ノココ@ぎんのおうかん 21/02/17 07:19:50 ID:zHEEVU.A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん!
 ▼ 611 デカバシ@ホイップポップ 21/02/17 08:52:04 ID:5ipQDcSI NGネーム登録 NGID登録 報告
ジョウト御三家が勢揃いになりそうですね
支援
 ▼ 612 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/19 07:09:43 ID:AgwsVuBM [1/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
64話ができましたので投稿します。
 ▼ 613 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/19 07:10:14 ID:AgwsVuBM [2/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 64 見えた背中


ブスブスと黒煙を吹き、バンギラスを見据えるバクフーン。やや虚ろなようにも見えるその目は非常に不気味だった。バクフーンは燃えつきるを使ってタイプを消し、力の抜けたような構えを取っていた。

「…バンギラス、油断してはダメですよ…」

「…ギラ…」

バンギラスはバクフーンを見据える。ゆらゆらと揺れるような動作から、バクフーンは一気に踏み込み、バンギラスに接近してきた。

「バクフーン、バンギラスに向かって突撃だ!」

バクフーンは声を発することもなく一気に駆け出し、バンギラスとの距離を詰める。バンギラスは咄嗟に腕を突き出し、バクフーンと組み合う。

「バンギラス!バクフーンを投げ飛ばして!」

「ギラァ!」

バンギラスは、バクフーンをバトル場の地面に投げ飛ばす。バクフーンは受け身を取って素早く体勢を立て直し、再びバンギラスに接近してきた。

「……!」

ブスブスと黒い煙を吹きながら執拗に迫ってくるその姿はまるで生ける屍のようであった。

「バクフーン、けたぐり!!」

「!」

バクフーンはバンギラスの足を払い、そのまま転ばせる。バンギラスは大ダメージを負ってしまい、なんとか身を起こそうとするが、そこにバクフーンが追撃を仕掛ける。

「バクフーン、火炎放射!」

シルバーが指示すると、バクフーンの首から出る煙の量が増す。そして、バクフーンは煙の混じった炎を吐き出し、バンギラスに浴びせる。日本晴れの効果も相まってその威力はなかなかに高かった。
 ▼ 614 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/19 07:11:52 ID:AgwsVuBM [3/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ギラッ…!」

「くっ…!バンギラス…!」

リーリエはこのままシルバーに有利な天候で戦わない方がよいと判断し、バンギラスの砂起こしで今一度天候を上書きしようと考える。。

「バンギラス、ここは交代しましょう!ヌオー、頼みますよ!」

「ヌオ!」

だが、その交代を読んでいたのか、シルバーとバクフーンは最後に日本晴れを活かした攻撃を放った。

「バクフーン、ソーラービーム!」

「なっ…!」

バクフーンは光を集め、ソーラービームを放つ。ソーラービームはヌオーに直撃し、ヌオーはあっけなく倒れたかに見えた。

「よし、バクフーン、その調子だ……なに!?」

シルバーはヌオーを一撃のもとに沈めたと信じて疑っていなかった。だから、ヌオーが脚を踏ん張らせ、踏みとどまったのを見たときは信じられなかった。

「ヌオー!地震!!」

「ヌオッ!!」

ヌオーの起こした地震はバクフーンを吹き飛ばし、ついにバクフーンからは首から漏れてきた黒煙も出なくなった。

「ヌオー!よくやってくれました……ッ…」

バクフーンを仕留めて安心したのか、ヌオーはその場にばたりと倒れた。

「…ヌオー……」

いつもボーッとしているような様子でつかみどころのないヌオーだったが、そんな彼の最後の力を振り絞った一撃を見てリーリエは拳を握った。

「ありがとうございます、ヌオー…。最後に必ず勝ってみせますからね…」

リーリエはヌオーを回収し、次のボールを構える。シルバーの残りの手持ちはこれで3体。バンギラスが消耗したことでリーリエがやや不利となったが、戦い抜くしかない。

「クロバット、出番だ!」

「クロバッ!!」

「ファイアロー、頼みますよ!」

「アロッ!」

次のポケモンはシルバーはクロバット、リーリエはファイアローとなった。ファイアローは翼を広げてクロバットへと襲いかかる。クロバットはひらりとファイアローの襲撃をかわし、ファイアローの後ろについた。
 ▼ 615 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/19 07:12:46 ID:AgwsVuBM [4/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「クロバット、クロスポイズン!」

クロバットは翼に毒をまとってファイアローへ襲いかかる。しかし、リーリエとファイアローはクロバットを寄せ付けなかった。

「ファイアロー、羽ばたいて!」

ファイアローが思い切り翼を羽ばたかせると、火の粉が散ってクロバットに襲いかかった。

「クロバッ…!」

ファイアローの発生させた火の粉をかぶり、クロバットの飛行速度が低下する。リーリエはその隙を逃さず、ファイアローに反撃を指示した。

「ファイアロー、今です!!ブレイブバード!!」

「アロッ!!」

ファイアローは旋回してクロバットへ突っ込む。やや下からかち上げるような軌道で、ファイアローの一撃はクロバットの腹を抉るように決まった。

「クロバ…ッ…!」

ファイアローは反動ダメージを受けるが、クロバットはもはや虫の息であった。次の一撃で決めてやる。リーリエもファイアローも次の一撃でクロバットにとどめを刺そうと身構えた。

「ファイアロー、ブレイブバード!」

「アロッ!!」

ファイアローは再びブレイブバードでクロバットに迫る。シルバーとクロバットはならばと反撃を狙った。

「クロバット、クロスポイズン!」

「クロバッ!!」

クロバットは毒をまとった翼でファイアローに真正面から挑む。ファイアローに多少のダメージは与えられたが、やはりブレイブバードのパワーには押しきられる形となった。
 ▼ 616 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/19 07:13:35 ID:AgwsVuBM [5/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「クロバット…。よく戦った…」

シルバーはファイアローを見つめる。ブレイブバードの反動によってかなり体力を消耗しているようだが、力尽きるそのときまでこのポケモンは攻めの姿勢を崩すことはないだろう。

「…マニューラ!」

「マニュッ!」

シルバーはマニューラを繰り出す。リーリエの残りの手持ちはこのファイアロー、バンギラス、そして最後の一体。自分の手持ちはマニューラと最後の一体。数こそリーリエの方が多いものの、あとの消耗度合いは似たようなものだ。

「ファイアロー、フレアドライブ!」

ファイアローは全身を炎に包み、マニューラを攻撃しようとする。しかし、マニューラはファイアローの攻撃を妨害した。

「猫だまし!」

「マニュッ!」

マニューラは猫だましでファイアローを怯ませる。ファイアローは攻撃を一旦中断させられたが、すぐにマニューラへの反撃に出た。

「アロォッ!!」

ファイアローのフレアドライブ。ファイアローの全身が巨大な火球と化し、マニューラを飲み込む。ファイアローの渾身の、そして捨て身の一撃にマニューラは崩れ落ち、そしてファイアロー自身も体力の限界を超えた。

「ファイアロー…よくやってくれました…」

これでシルバーは最後の一体となった。シルバーはマニューラを労いながらボールへ戻すと、最後のボールを構えた。

「…最後の一体か…。だが十分射程圏内には入っている。行くぞ、オーダイル!」

「ダイル!!」

「バンギラス、もう一度頼みます!」

「ギラァ!!」

シルバーの最後の一体はオーダイルだった。恐らく、このオーダイルがシルバーがかつて研究所から盗み出したというポケモンなのだろうとリーリエは思った。
バンギラスの特性により天候は砂嵐へと変わる。バンギラスは少し休んだとはいえバクフーンから受けたダメージは大きく、長くは戦えない。リーリエはここは短期決戦を挑むことにした。
 ▼ 617 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/19 07:14:22 ID:AgwsVuBM [6/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「バンギラス、噛み砕く!」

バンギラスはオーダイルへ向かって前進し、大口を開けてオーダイルへ攻撃を仕掛ける。しかし、シルバーは背水の陣で勝負を挑んできた。

「オーダイル、竜の舞!」

オーダイルは竜の舞を使って自身の攻撃力と素早さを高める。バンギラスの牙の一撃を受けても、その硬い鱗が大ダメージを受けることを防いだ。

「オーダイル、アクアブレイク!!」

「ダイルッ!!」

オーダイルは右腕に水の渦をまとい、バンギラスに叩きつける。竜の舞によって威力の上がったそれはいかにバンギラスといえども耐えられるものではなく、オーダイルの前に倒れ伏すことになった。いよいよリーリエも最後の一体となった。

「キュワワー、頼みますよ!」

「キュワッ!!」

リーリエの最後の一体はキュワワー。決定力という意味ではリーリエの手持ちの中ではそこまで高いわけではない。だが、その豊富な回復技や補助技を活かした粘り込みに助けられた試合も決して少なくはなかった。シルバーのオーダイルは強敵だが、キュワワーがそれに劣るとはリーリエは考えていなかった。だからこそ、リーリエはキュワワーを鼓舞した。

「キュワワー、あのオーダイルを倒せば私たちの勝ちです。強敵ですが、決してあなたが倒せない相手ではないはず…。勝ってアローラへ帰りましょう!」

「キュワ!」

砂嵐の中でキュワワーとオーダイルが対峙する。そして、オーダイルはキュワワーを倒さんと前進してきた。
 ▼ 618 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/19 07:15:12 ID:AgwsVuBM [7/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「オーダイル、氷の牙!!」

オーダイルは牙に冷気をまとってキュワワーに噛みついてくる。恐らく草タイプだと思ったのだろう。しかし、リーリエ弱点を突かれたわけではないのにキュワワーがやけに大きなダメージを負ったように感じていた。

「…やけにダメージが大きいような…。まさか、力ずく…?」

リーリエはシルバーのオーダイルの特性は力ずくではないかと推測する。技の追加効果が発生しなくなるかわりにダメージが上がる特性である。リーリエはキュワワーがオーダイルの攻撃を耐えることを願いながら技を指示した。

「キュワワー、宿木の種!!」

「キュワ!!」

オーダイルに宿木の種が命中する。芽吹いたその種はオーダイルの体力を奪い、キュワワーの体力を回復するが、オーダイルの次の一撃を果たして耐えられるのか。

「オーダイル、アクアブレイク!!」

オーダイルは今度はアクアブレイクで攻撃してくる。先程の攻防でキュワワーが草タイプではないと判断したらしい。

「ギガドレイン!!」

「キュワ!」

キュワワーはアクアブレイクよりも早くオーダイルから体力を奪う。しかし、オーダイルの反撃は強烈で、キュワワーは地面に倒れてしまった。
 ▼ 619 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/19 07:15:54 ID:AgwsVuBM [8/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「キュワワー!」

「キュワ…」

キュワワーは身を起こそうとするが、オーダイルからもらったダメージは大きかった。オーダイルとシルバーはとどめを刺しきったかとキュワワーの様子を見つめる。

「…キュッ…」

キュワワーは考えていた。このまま倒れるわけにはいかない。オーダイルの攻撃力は凄まじいが、削り合いなら自分の得意分野だ。負けてたまるか…。

そのとき、宿木の種がキュワワーに最後の攻防への力をもたらす。キュワワーは身を起こし、最後の攻防へと備えた。

「…まだ立ち上がるか…。オーダイル、アクアブレイク!」

シルバーはアクアブレイクを指示する。キュワワーはオーダイルへ向かって突撃した。そして、自身の蔓を切り離し、花輪をオーダイルの顔へ投げつけた。

「ダイッ…!?」

突如投げつけられた花輪にオーダイルの突撃の勢いが一瞬弱まる。そして、キュワワーはその隙を逃さなかった。

「キュワワー、ギガドレイン!!」

「キュワッ!」

キュワワーはオーダイルの脳天にしがみつき、そこからオーダイルの体力を吸う。オーダイルは頭部から体力を吸われ、思わず目眩がした。

「ダイっ…」

さらに、ここで宿木の種とバンギラスの起こした砂嵐のダメージが嵩む。オーダイルはついに力尽き、バトル場の地面に倒れ伏した。

「…オーダイル…」

キュワワーが見せた最後の強烈な粘り腰にシルバーは驚いていた。しかし、これがキュワワーの戦い方なのだろう。派手さはなくとも、そのポケモンの得意とする戦術で力を引き出す。シルバーは観戦していたカリンに視線を送った。
 ▼ 620 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/19 07:17:30 ID:AgwsVuBM [9/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
…強いポケモン、弱いポケモン、そんなの人の勝手…か…

シルバーは自分がリーグ挑戦をしたときに彼女に言われたことを思い出す。そして、オーダイルをボールへ戻し、大きく息をついた。その表情はどこか晴れ晴れとしたものだった。

「…オーダイルもやられるとはな…。君ならリーグでもいい試合ができるだろう」

シルバーはリーリエに近づき、8個目のバッジを差し出す。

「グリーンバッジだ。…不思議なもんだな。昔は負けるのは本当に嫌だったのに、今はなぜか負けても嫌じゃない時が多いんだ」

リーリエはシルバーからバッジを受け取る。そして、シルバーは続けた。

「…バッジってのは単に挑戦者がジムリーダーを破った証じゃない。ジムリーダーから挑戦者への応援という意味もあると思ってる。…自分が挑戦者だったころは考えもしなかったことが、ジムリーダーになってからようやくわかり始めたよ」

「…シルバーさん…。ありがとうございました。アローラに戻っても、カントーで学んだことは忘れません」

リーリエはシルバーと握手を交わす。これでリーグへの挑戦権を手に入れた。リーリエには憧れの人の背中が少し見えたような気がしていた。
 ▼ 621 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/19 07:18:33 ID:AgwsVuBM [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第64話はここまでです。
ようやくこの章も終わりになりますね。
それではまた。
 ▼ 622 ットレイ@ライブドレス 21/02/19 07:48:56 ID:jA/oduB2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
sien
 ▼ 623 ツハニー@ライボルトナイト 21/02/19 10:54:08 ID:FOTUgagE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いよいよ残酷な真実と向き合うときが来るのか
支援
 ▼ 624 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/20 06:31:15 ID:zmuQFn2E [1/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
65話ができましたので投稿します。
シルバー戦が終わったらもう2話くらい使おうかと思っていましたが、この話が第4章の最終話となります。
当初この章の最後に書こうとしていた内容は第5章の頭に回すことにしました。
 ▼ 625 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/20 06:32:09 ID:zmuQFn2E [2/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 65 原点


ついに8個のバッジを手に入れた。リーリエはトキワジムのリーダー、シルバーがリーリエにバッジを渡すと、観戦に来ていた四天王の一人、カリンが近づいてきた。

「二人とも、ナイスバトルだったわ。リーリエさん、これでリーグへの挑戦権を得たわね。おめでとう」

「ありがとうございます、カリンさん」

ついに憧れの人たちの背中を捉えた。リーリエの目標のひとつはこのジム戦をもって達成された。

「…あなたには言う必要はないとは思うけど…」

カリンがそう言いかけたところで、シルバーはくすっと笑った。

「…強いポケモン、弱いポケモン、そんなのは人の勝手。本当に強いトレーナーなら、好きなポケモンで勝てるように頑張るべきだ。…リーリエ、君は本当に強いトレーナーだな。ポケモンたちのいいところを引き出し、パーティーの力をより強くする」

「ちょっと!私の台詞取らないでよ!」

カリンがそう言うが、シルバーは続けた。

「この言葉は、カリンさんが自分のところに来た挑戦者に必ず言っていることだ。俺も言われたことがある。…最初は力ばかりを追って、強いポケモンを求めていた俺は、こいつは何を言ってるんだと思ったよ。でも、トレーナーの戦わせ方がポケモンの強さを左右するのは事実だ。リーリエ、トレーナーは一人で戦ってるわけじゃないし、ポケモンも一匹で戦ってるわけじゃない。これからもポケモンの強さを引き出してやれ。そうすればリーグでもいいバトルができるはずだ」

「…シルバーさん…。はい!」

こうして、リーリエのカントーでのジム巡りは終わった。あとはアローラに帰るだけだが、リーリエにはその前に行く所があった。
 ▼ 626 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/20 06:32:49 ID:zmuQFn2E [3/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カントー地方、マサラタウン。トキワジムへの挑戦の翌日、リーリエはこの田舎町を訪れていた。グリーンからトキワジムのジムリーダーを破ったら自分を訪ねてこの町に来いと言われていたからだ。リーリエはこの町にあるオーキドの研究所を訪ねてみることにした。グリーンはオーキドの助手のようなことをしているようなので、ここを訪ねれば彼に行き当たるだろうと思ったからだ。

「おや?リーリエちゃんか?」

オーキドがリーリエに気づき、彼女を迎えた。

「こんにちは、お久しぶりです。グリーンさんはいらっしゃいますか?」

リーリエがグリーンを訪ねてきたことにオーキドは少し驚いていた。

「グリーンか?あやつならもうカントーにはおらんぞ」

「え?」

リーリエは目を丸くする。グリーンはどこへ行ったのだろう?

「私、トキワジムのリーダーを破ったら自分を訪ねてマサラタウンに来るようグリーンさんに言われていたんです。彼はどこへ…」

リーリエは慌てるが、オーキドは落ち着いたままだった。

「ああ、リーリエちゃん、トキワジムのリーダー、シルバーを倒したのか。…グリーンは君のよく知っている場所に行ったよ。ライバルも連れてな」

「…ライバル…、レッドさんを?」

「あやつらはアローラへ向かった。セキエイリーグとアローラリーグが終わった数日後じゃ」

「…!アローラへ…!」

リーリエはレッドとグリーンが向かった先を知り、自分も彼らを追わなくてはと思った。ここでオーキドはリーリエに言った。
 ▼ 627 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/20 06:33:28 ID:zmuQFn2E [4/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「あやつから君へ預かっているものがある」

オーキドはそう言うと、虹色に輝く宝石を差し出す。リーリエは驚いた。メガストーンに間違いない。グリーンがこれを自分に渡そうとしていた…?

「チルタリスナイトじゃ。あやつは自分の手持ちに対応するメガストーンは全て持っている。だが、中には育てていないポケモンのメガストーンも持っていてな。あやつはチルタリスは持っておらんから、もし君がカントーのバッジを全て集めたら渡そうと考えていたらしい」

リーリエは恐る恐るメガストーンを受け取る。オーキドはその様子を見て続けた。

「あやつは君ならこのメガストーンを使いこなしてくれるだろうと思ったんじゃろう。君はこれからアローラへ戻るのか?」

「…はい。一度ハナダシティに戻って、アパートの片付けをしたらすぐに」

「…そうか…。リーリエちゃん、君はグリーンから相当期待されているのは間違いない。アローラリーグへ挑戦するなら、このメガストーンは大いに役立つじゃろう。がんばれよ」

オーキドはそう言ってにかっと笑った。


そして、リーリエがアローラへ戻る日がやって来た。カントーの空港でリーリエはふと後ろを振り返った。

…辛いこともあったけど、楽しかったな…

リーリエは素直にそう思った。そして、かつてはバトルを嫌っていた自分が今やバッジを集めてリーグへの挑戦権を得るに至ったことに驚いていた。
アローラへ帰ったら自分もヨウの足取りを追おう。ミヅキの言ったことが本当なのか、そして彼の気持ちを確かめなくては…

「…怖い…」

リーリエは脚が震えた。アローラからカントーへやって来るとき以上の恐怖心がリーリエを支配していた。でも、怖いからといって何もしなければ状況が悪化していくのは間違いないだろう。リーリエは空港のゲートをくぐり、アローラ行きの飛行機の搭乗口へ向かう。憧れた人達の待つ地へ、自分のトレーナーとしての原点があるあの地へ。

そのとき、リーリエのリュックについた島巡りの証がきらりと輝いた。彼女のトレーナーとしての旅が始まったあのときのように。
 ▼ 628 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/20 06:40:14 ID:zmuQFn2E [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これで第4章、リーリエの物語は終わりです。
次の章からいよいよ終盤戦ですね。
予告の通り、ルザミーネをメインに据えた物語となります。
第5章はあまり長くはしないつもりですが、これまでと同様に新しいスレッドを立てて始めたいと思います。
ここまで来たのだから最後まで頑張ります。
それではまた。
 ▼ 629 ベノム@でんせつのメモ? 21/02/20 09:43:50 ID:mtOMgvY. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第4章完結お疲れ様でした!
いよいよ物語が核心を突きますね。
引き続き支援します!
 ▼ 630 ラティナ@アイスメモリ 21/02/20 10:34:18 ID:pkDg/yH6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です!そして支援れ
 ▼ 631 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/02/20 19:03:43 ID:zmuQFn2E [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
第5章を新スレッドにて始めさせていただきましたのでお知らせします。
引き続きお付き合いいただければ幸いです。

ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く 第5章 英雄の帰還
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1387373
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