【SS企画】バレンタインSS企画2023【投票期間2/17〜2/26】

2月14日はバレンタインデー。バレンタインや恋愛をテーマとしたSSを募集します！

●日程
投稿期間　1/13（金）19:00〜2/14（火）23:59
投票期間　2/17 （金）0:00〜2/26（日）23:59
結果発表　2/28（火）22:00


●レギュレーション
〈必要事項〉
・「バレンタイン」か「恋愛」をテーマとするポケモンの二次創作小説であること。
・1月13日時点で未発表の作品であること。
・ポケモンBBSの規約を遵守していること。
・ポケモンBBSのスレッドであること。

〈禁止事項〉
・ポケモン以外の作品とのクロスオーバー。
・R-18、R-18Gの作品での参加。
・誹謗中傷、荒らし等、著しくモラルを欠く行為。

●企画者への連絡窓口
https://jp.surveymonkey.com/r/2LCWNXY

●投稿の流れ
・SSのタイトルの前に『【バレンタインSS】』をつけてスレ立てをする。
・エントリーフォームの必要事項を埋めて本スレに投稿することでエントリー完了とする。
・何作品でも投稿できる。ただし、投票対象にできるのは一作品のみとする。

エントリーフォーム↓
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ここに作者名を入力
ここにタイトルを入力
ここにURLを入力

投票を（受けつける・受けつけない）
主催者の感想を（希望する・希望しない）
ランキング外の場合、得票数の公開を（希望する・希望しない）
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※記入例
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デカハンマー◆iryoku.160
【バレンタインSS】ポピー「すきな子ができたのです」チリ「なんやて！？」
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=XXXXXX

投票を（受けつける）
主催者の感想を（希望する）
ランキング外の場合、得票数の公開を（希望する）
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6.◆YPS9KkECNk

【バレンタインSS】トウコ「バレンタインね」　トウヤ「そ、そうだね…！」

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1864729

◯下ネタ未使用、逆説的下ネタギャグSS！

＞トウコ「てことで、はい。これ」つチ●コ

　一行目からこれですよ。
　そんなわけでこの作品は、最悪の位置に黒丸が見えるようになってしまったトウヤの受難を描いた変化球下ネタギャグSS。
　いや、下ネタSSというと語弊がありますね。この作品に下ネタは一切登場しません。「たいせつなものは目には見えない」という名言がありますが、目に見えない部分を汚れた心で見るとわいせつなものが見えてくるのです。この黒丸は読者の心を映す鏡であると言っても良いでしょう。
　その点、トウヤは我々と同じく汚れた心の持ち主であると言わざるを得ません。

＞トウコ「まぁいいわ。はいチ●コ、ちゃんと味わってね」
＞トウヤ「おい待て」

　トウヤ君。待つのはあなたの方です。君がそんなふうに反応するから、まるでトウコがとんでもないセクハラセリフを放ったかのような場面になってしまいました。トウヤ君のせいです。あーあ。

　それにしても秀逸な呪いですね。本当は甘酸っぱいラブコメのはずなのに、黒塗り一つでここまで汚染されるなんて。トウコが子どもの頃のトウヤとの思い出を語るシーンも雰囲気ぶち壊しで最高です。
　
　なんやかんやあってトウコのセリフから黒丸が取れ、安心したのも束の間。

＞トウヤ「チ●コチ●コ」
＞トウヤ「チーゴのみ」
＞トウヤ「チ●コ」

　↑ここ地味に好き。危機的状況を受け入れられず焦る気持ちと、置かれた状況を確かめるために冷静に実験をする理性のせめぎ合い。対称実験で引っ張り出された「チーゴのみ」があまりにシュールで笑いを誘います。

　そしてオチに例の山男をチョイスするセンス！

＞やまおとこのナツミ「どれ、ちょっと僕に見せてみなさい……少年！！」
＞トウヤ「ああああああああ！！？！？」

　ここで瞬間最大風速を観測しましたね。セリフの流れといい登場のタイミングといい、もう何もかもが完璧かつ最低で爆笑しました。トウヤ絶望の叫びに勢いがありすぎます。
　それにしてもチ●コのパワーは偉大です。何回出てきても笑えます。チ●コといろんなワードの組み合わせが毎回新鮮なんですよね。会話の●ンポ感も相まって最後まで飽きが来ないのがすごいところ。

　SSという媒体を最大限活かしたメタ的発想力には脱帽です。心地よい●ンポのチ●コギャグSSでした。乙！！

7.ゲーム太郎◆PvZ4zrxc0A

【バレンタインSS】ボタン「ハルトに感謝の気持ちを...」　アオイ　「あたしもペパーに...」

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1865234

◯優しい世界と安らかな時間。仲良しほのぼのチョコ作り！

　起承転結、刺激的な敵や事件、緩急、山場とオチ。それはそれでいいんだけど、たまにはずっと続く平穏なやりとりを眺めて心を癒したい……。そんな方にオススメなのはこの作品です。
　SV主人公たち仲良し組がバレンタインデーのチョコ作りをする、少し特別な日常が丁寧
に描写されています。

　この作品の雰囲気を支えているのは、キャラクターそれぞれの思いやりに満ちた会話です。

＞ペパー　「オレも不安だがハルトなら絶対もらえるぞ」
＞ハルト　「どうして？」
＞ペパー　「ハルトが優しいからだ！」

　んん、なんという優しい世界。確かにペパーって、こういう小っ恥ずかしいことを笑顔で言いそうですよね。ネモやボタンのセリフにも、そのキャラらしい優しさが常に滲み出ています。
　何かしてもらったらありがとう。やらかしたときはすぐごめん。困っていたら助けてあげる。すごいところを見つけたらたくさん褒める。そんな平和なコミュニケーションのおかげで順調に進むチョコ作り。彼ら彼女らの時間は一切のよどみなく流れていきます。それを眺めるこちらまで安らかな気持ちになれそうです。
　ちょっと前まで「お前、調子乗んなよ」「は？　お前いうな」とかギスり散らかしていた彼らが、今やここまで仲良くなったと思うと感慨深いですね。成長したものです。

　そして完成したチョコを渡すシーン。女子たちはそれぞれの想いを込めてチョコを渡すのですが……。

＞アオイ　「みんなで...作ったこっ...このチョコを...受け取ってくれるかな...？///」

　なんといってもこの照れ具合！！　普段は普通に会話している仲良しの相手でも、特別な存在として意識した途端に上手く言葉が出なくなるもの。渡す方も貰う方も顔を真っ赤にして、あらあらまあまあ。とっても甘ーい雰囲気になっちゃっています。同じグラウンドに居合わせたら多分死にますね。
　「みんなに出会えてよかった！」という締めも爽やかで、後味のよい読後感。
　
　ゆったりとした時間が流れる、仲良しパルデア組SS。乙！！

8.まちっど◆.jJQDDIcAM

【バレンタインSS】ルリ「……やっぱり、愛情を込めないチョコレートなんて作れそうにないね……あはは……」

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1865587

【1/2】

◯恋しちゃいけないあの人へ、抑えきれない恋心。

　まずはこの作品にベストスレタイ賞を捧げたいと思います。「愛情を込めないチョコレート」という言葉のチョイスは、絶妙の一言です。心がキュッとなるような切ない恋心と悲恋のシチュエーションが、タイトルのセリフ一つに凝縮されています。お見事。
　
　さて、本作の魅力はスレタイに表れている通り。彼女のいるキョウヘイに「友達」として接するルリの恋心の揺れ動きが、大変しんどいです。

＞ルリ（か、勘違いしちゃダメ……今のはなんとなく話を合わせてくれただけで、決してわたしがそういう相手ってわけじゃないから……）
＞ルリ（……本当に、そうだったらいいのに……）

　キョウヘイお前、お前お前お前。ルリの気持ちも知らずに、笑いかけて、優しい言葉をかけて、無邪気に信頼を寄せたりして、お前。
　そういうキョウヘイの言葉や仕草の一つ一つにルリは嬉しくなって、恋心が膨らんで、そしてその分だけ悲しくなるのです。「あはは……」と苦しそうに笑う彼女を見るたびに胸が痛みます。
　恋人とは、互いに好きだと伝え合う権利を独占する関係性。すでにその相手がいるキョウヘイを前にして、ルリは溢れ出しそうになる恋心を押し込めてしまっておくしかないのです。せつね。
　でも、好きを抑えるなんてことはできないわけで。「感謝の気持ちなら」と自分に嘘をついてチョコ作りを続けるのも、分かりきっている不調の原因をキョウヘイに相談するのも、さながら自傷行為のよう。ルリの恋煩いは悪化する一方です。

【2/2】

＞そんな言い訳をしつつも、いざ好きな人のことを考えると胸のあたりがきゅうっとなってしまう。
＞ルリ（……わたしのバカ。もう諦めるって決めたんだから。……それなのになんで、涙なんか流してるの……）

　ああああ。恋心を溜め込みつづけたルリの心は決壊寸前。そんなとき、キョウヘイはルリに彼女と別れたことを打ち明けます。

＞ルリ（……それはちょっと違うよ。わたしはただ……嬉しいって思っちゃっただけなの。キョウヘイくんは傷ついているはずなのになかなかそんな言葉が出てこなくて……）

　んー、この罪悪感と安堵がぐるぐると入り混じった複雑な感情。これもまたいいですね。「今はまだ義理チョコでいい」とまた自分を抑えようとするのが、彼女らしい。彼女らしいけど、こう……行けよ！！
　そんな私の思いが伝わったのか、恋のキューピッド・チラーミィが彼女の背中を押します。

＞ルリ「……そっか。あ、あのね……もしも彼女が欲しくなったら……わたし、彼女候補に立候補しておくから……///」

　彼女と別れたばかりのキョウヘイに、「立候補」するルリ。ちょっとズルいようにも思えますね。でも、これまで恋心をずっと抱え込んでいたことを思うと納得の展開でもあります。むしろやれ。ズルくあれ。
　自分の気持ちに正直になったルリ。ここからの展開は「甘酸っぱさ」全開放です。

＞ルリ（……こっちのチョコレートにも恥ずかしくなっちゃうぐらい……愛情を込めてみようかな、なんてね。あはは……）
＞ルリ（家族と同じぐらい……ううん、ちょっと違うね。だけど……大好き。キョウヘイくん……わたしはあなたが好き。）

　っしゃあ！ もう「愛情を込めたチョコレート」を作っていいんですもんね。心の中で「好き」という気持ちを反芻する、この幸福感。幸せに浸るルリをようやく見られて、こちらも幸せはひとしおです。よかったねえ。

　さて、そんな彼女の想いを乗せて、二人きりの観覧車は回ります。

＞ルリ「……今日のお話はこれで全部だよ。来てくれてありがとう。」

　想いを全て打ち明けた後のこのセリフの、すっきりとした浄化感が好きですね。ルリの清々しい表情が目に浮かびます。好きな人に、これまでの秘めるしかなかった自分の想いをやっと全部言えたのです。

　秘める想いを丁寧に描いたからこそ、想いを伝える瞬間が輝きます。切なくも瑞々しい恋のSSでした。乙！！

9.冬眠シマシュ◆77uL6pC9U2

【バレンタインSS】滅びゆく貴方に恋をした

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1888334

◯繊細なタッチで描かれる、苦しくて愛おしい恋の物語。

　この作品を語る上でまず触れなければならないのは、物語を巧みに演出する繊細な表現力でしょう。
　醜く汚く、人間に蔑まれるベトベトン。美しく、人間に受け入れられて大切にされるサーナイト。丁寧に対比される2匹の描写は、種族としての違いを残酷なまでに生々しく映し出します。人間の街の華やぎもまた、その影で滅びゆく運命を待つベトベトンの無力さを浮き彫りにしています。
　物語が進むにつれて欠けていく月はベトベトンの命が尽きつつあることを暗示しているかのようで、これも物語の儚さを際立たせる表現の一つでしょう。

　そんな対比構造や情景描写を土台に描かれるのは、対象的な2匹の甘く切ない関係性です。

＞　サーナイトは覗き込むようにしてベトベトンと目線を合わせてみたが、あいにく目線を泳がされてしまった。

　純粋な好意を突然向けられ、嬉しさより先に気まずさを感じてしまうベトベトンが印象的です。ベトベトンの生きる暗闇がしっかりと描かれているので、サーナイトの温かな優しさを直視できない彼の心理に共感できます。
　そんなベトベトンが少しずつサーナイトの愛情を受け止められるようになっていく過程が好きですね。見える世界すらも違う2匹が、その違いを一つずつ丁寧に、愛おしむように確かめ合う様がとても甘やかで、そして切ないです。

　2匹が寄り添って愛情を深めるほど、希望のなさが余計に苦しく感じられます。ベトベトンを突き落としたのが一人の平凡な人間の優しさであるというのが、どこまでも無慈悲。

＞『お前のようなニンゲンもいる事実が、一番苦しい』

　この物語の残酷さが集約された一文です。他者への怒りや憎しみもまた、苦しさを誤魔化しながら生きるための拠り所。それを向ける矛先すら失ったベトベトンの絶望は察するに余りあります。行き場を失ったやるせない感情は、一人でに自分を傷つけ始めるものです。現実あるあるですね。

　世界に居場所を追われ、自分自身でさえも生きる意味を否定するベトベトン。そんな彼をサーナイトは迷いなく受容します。

＞「“ベトベトン”という種族に誇りを持っているキミが好きだよ。そうずっと……好きだったの」

　「ただ1匹の彼」を真っ直ぐに見る彼女から紡がれる素朴な愛の言葉の一つ一つが、本当に尊いですね。強力な共感能力を持つサーナイトという種族の設定が、このシーンの説得力を後押ししています。
　ベトベトンが彼自身に抱く嫌悪も失望も諦めも、サーナイトには全てわかって、だからこそ彼女は伝えずにはいられないのです。心の綺麗な貴方が好きと、凍りついた彼の心に届くように。
　
　生きる理由をくれたサーナイトに抱かれ、幸せの中で眠りにつくベトベトン。月影に照らされるその情景の切り取り方がとても綺麗で、思わず嘆息しました。
　『滅びゆく貴方に恋をした』──タイトル通り、苦しくも愛おしい純愛の物語でした。乙！！

10.ゴルバット越前◆85V6eM0Xe6

【バレンタインSS】ニンフィア「チョコレート・ジョーク」

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1875945

【1/2】
◯ジョークの関係と本当の想い。サンダースの生き様を見よ！

　ブラッキーに想いを伝えるはずだったニンフィアと、三枚目お調子者キャラのサンダース。ひょんなことから始まった一日限定の奇妙な恋人関係が、作品全体に程よいスリルと賑やかさをプラスしています。
　いやこのシチュエーションめちゃくちゃ美味しいですね。互いに秘密を共有する共犯関係というのが、2匹の距離をグッと縮めています。

　それにしてもこのSS……キャラクターの見せ方がとても上手い！　普段の自分、隠している自分、本人も気づいていない本音やその裏返し……人にはいろんな顔があるものです。そんなキャラクターの様々な顔が見える瞬間がこの作品の魅力になっています。

　冒頭のシーンからすると、恋する主人公のニンフィアはなかなかいじらしい性格……かと思いきや。サンダースがあっという間にニンフィアのアグレッシブな一面を引き出してしまいました。
　ブラッキーのことを想っているときのニンフィア。友達と話すときのニンフィア。そしてサンダースと痴話喧嘩をするときのニンフィア。どれも同じ彼女なのですが、サンダースと話すときの「どんどん素が出てくる」感じがすごくすき。
　秘密を知られたというのもあるのでしょうが、サンダースの自信満々でおバカな後押しが知らず知らずのうちにニンフィアを勇気づけているのかもしれません。

【2/2】

　さて、今度はサンダースが素を見せる番。

＞サンダース「俺はあの日約束したんだっての！　俺はこれまでもこれからも、バカな事してみんなを笑わせる！」

　もう二度と会うことのできない元カノとの約束のため、バカを続ける男。それがサンダースの本当の姿でした。いやお前、カッコ良過ぎるだろ。

＞その背中は少し小さく……それでいて、大きな悲しみと約束を背負った……
＞バカな背中だった。

　「バカな背中」を見てからでは、これまでの展開の見方も少し変わってきます。誰かを笑顔にしたくてバカをやってきたサンダースが、こうしてニンフィアの背中を押している。彼女の素が引き出されていくのは必然だったようにも思えますね。

＞サンダース「ああ、俺の元には来てくれなかったのかって……なんか悔しくてさ。せめて1日だけでも理由つけて、お前をそばで見ていたくなった……あと1日だけでもあいつのそばにいれば、これであいつの事も忘れる事もできるかなって……ただ、そんだけだ」

　訥々と語る本音が、いや、せつねえな。この寂しさをずっと抱えたままバカをやってきたと思うと……。
　しかもそんな思いを抱えつつも真剣にブラッキーとの恋路を手助けするというのが、本当に彼らしいです。お人好しがよぉ。

　そんなサンダースが気にならないわけないよなあ。なあニンフィア！……というわけで、自分の本心に気づいて告白作戦を中止したニンフィアはサンダースの元へ。

＞ニンフィア「ねぇ、私のチョコは……どっちだった？」
＞サンダース「バカ舌の俺だから保証はできねぇけど、今日食った中で最高のチョコだ」

　この実質告白シーン、やられた！と思いましたね。好きとも付き合ってとも言っていないし、なんなら「友チョコ」と言い張っています。それでもなお、サンダースがニンフィアを、ニンフィアがサンダースを選んだことが分かる絶妙なセリフ回し。青春全開の名シーンです。

　キャラクターの本心がさらけ出される、青春ど真ん中のSSでした。乙！！

12.ヤクデ＠けんこうおまもり

【バレンタインSS】ビワ「ボタンちゃん！」メロコ「バレンタインチョコ一緒に作ろうぜ」

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1882323

【1/2】

◯ボタンにモテ期到来！？　恋の脳破壊🤯ラビリンス！

　＞ビワ「あの時言ったことはボタンちゃんを素直にさせるための作戦でした！」

　ビワちゃんの女子力炸裂。こう、バレンタインというイベントにおいて本当に頼りになりそうな子ですよね。
　ビワちゃんの作戦により素直になったボタンは、普段とのギャップが最強すぎます。顔を真っ赤にしてハルトにチョコを渡すのも、あだ名で呼び合う提案も、男子なら思わずドキッとしてしまうでしょう。

　シュウメイもペパーも、そんなボタンの魅力に惹かれて……。あれ、なんだか雲行きが怪しいような。
　……不味い、コイツは魔性の女だ！！

　そう、このSSはバレンタインがキャラと人間関係を目まぐるしく崩壊させるパワー系ギャグストーリー。散りばめられた脳破壊🤯の絵文字が、このある種ハチャメチャなストーリーを迷わず楽しむためのナビゲーターになっていると感じます。
　おそらくですが、🤯がなかったら「なんだかドロドロした話だな……」と困惑していたのではないでしょうか。たった一つの絵文字のゴリ押しが、そういう余計な不安を消し飛ばしてくれています。絵文字の力ってすげー！

＞シュウメイ「皆の者ォ！！こやつらを決してアジトから逃すなァ！！絶対に本命チョコを奪うぞ！！！」
　
　このSSのシュウメイ&チームシー、めちゃくちゃ残念なやつになってて愉快ですね。ボタンちゃんが「魔性の女」なら、女子に免疫のないシュウメイたちがその毒牙にかかるのは必然なのかもしれません。サークルクラッシャーかな？

＞ペパー「しかし……そうか。ボタンがオレのことを好きだったとは……全然気付かなかったぜ。今思えばそんな視線を感じていたような……///」

　シュウメイのみならずペパーまでが残念な男に。確かに恋愛経験少なそうだし、案外コロッと勘違いしてしまうものなのかも。にしても残念過ぎる。

【2/2】

＞ハルト・ボタン「ｷﾞｭｰ」
＞ペパー「🤯」
＞シュウメイ「🤯」

　そして脳を爆破される残念な男たち。この圧倒的スピード感、何度見ても勢いがあり過ぎます。天丼を繰り返し、彼らの脳はもうズタズタです。
　
＞ハルト「だって彼女の苦手なことをしてあげるのも彼氏の仕事だもんね〜」ﾄﾞﾔｯ

　なんということか、ついにはハルトまで残念な男に。他の男についマウントを取ってしまうこの余裕のなさよ。

　SSの後半、ドロドロと入り乱れていく4人の関係。初めはただの勘違いや偶然でも、脳にダメージを与え合いながら少しずつ拗れが溜まっていく感じが面白い。ペパーを心配するボタンに対して、ハルトのメンヘラっぷりが極まってますね。こりゃダメだわ。

＞ペパー「お、おいっ！だからお前、こんなとこハルトに見られたら……！///」
＞ハルト「🤯」

　いや草。正直そうなるとは思ってた。
　そしてそこからのペパーのフォローが男前。

＞ペパー「さっき、なんだ？寝起きでよく覚えてねえぜ！な、ハルト。お前も何も見てないだろ？」

　いい奴かよ。散々下落した男ども株価ですが、ここに来てペパー株がV字回復。散々メチャクチャになった三角関係がペパーのおかげで丸く収まり、不思議と爽やかなエンディングへ。
　NTR🤯合戦をやりつつも読後に嫌な後味を残さない、絶妙な話作りに好感が持てます。

　Oh, ボタちゃん男共のハートCatch！　魔性の女ｺﾜｲｺﾜｲﾈ……。乙！！

13.◆Xq21k6pIJA［完結］

【バレンタインSS】どろどろのチョコレートのように、溶けてゆく

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1887569

◯純愛の結末は儚い悲劇。

　横に読んで縦に読んで、もう一回横に読む作品。
　
　グレンアルマとアイアントは本来結ばれることのないはずの2匹。身体の相性が最悪ですし、メタ的にいえばタマゴグループも違います。
　なぜこの2匹が？　その答えは至ってシンプル。

＞るーるなんてない、私はこの愛し方で、これでよかった。

　愛にルールはないのです。タマゴグループもタイプも関係なく、アイアントはグレンアルマを愛している。
　たとえ愛し合った結果命を散らすとしても、それが彼女の選んだ愛の形。あるいはその愛し方しか知らなかったのかもしれません。あらゆる壁を越えて全てを受け入れるさまは、まさに純愛です。

　しかし残された側はどうでしょうか。

＞溶けてしまった、俺が溶かしてしまった。
　
　罪を背負い、後悔に泣くグレンアルマ。幸せの中で溶けていったアイアントと違って、彼の人生はこの先もずっと続きます。アイアントがいない暗黒の世界を、これから先も彼は生きていくのです。

　愛し合えない2匹が愛し合うことで生まれた悲劇。辛く切ないSSでした。乙！！
　

14.甲州街道◆IVIG1YNTZ6

【バレンタインSS】 水の都より、親愛なる貴方へ

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1887653

【1/2】

◯あのときのキスをもう一度。サトシとカノンの青春エピローグ！

　サトシのカッコよさとカノンのときめく乙女心がこれでもかというほど詰め込まれた、水の都映画の後日談。美味しいシチュエーションの数々が、カッコいいものはよりカッコよく、かわいいものはよりかわいく映し出す眼福な恋愛SSです。
　オリキャラのアリアお姉さんがなかなかの名脇役ですね。こういう、一歩引いた位置から恋の味方をしてくれるキャラっていいですよね。

＞　アリア　「……ま、サトシ君が相手なら、誰も反対しないってことだよ！」
＞　カノン　「反対って、そんな……お付き合い前提みたいなこと……///」

こんなふうにちょっと大人なアリアお姉さんがカノンの恋心をツンツン刺激してくれるので、いじらしい反応がたくさん見られます。いいぞぉ！

　そんなアリアお姉さんの策略で始まったバトル教室。サトシの実戦を意識した燻銀の指導がいいですね。まだまだ未熟なカノンのトレーニング風景と対比されて、世界レベルの戦いを経た彼の成長がわかります。
　バトルの先輩としての励ましや、「何もしない休日」というアドバイス。真っ直ぐな情熱と大らかな優しさを併せ持つサトシの魅力が表れています。そんなサトシをどんどん意識してしまうカノンもまた可愛らしい。

＞　サトシ　「ん〜どうしたラティアス？　おまえも寝るか？」 ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ……ｷﾞｭｯ
＞　カノン　「！？！？」 ﾄﾞｷｯ

　うわ、なるほど！と思わず手を打ったシーンです。こういうシチュエーションがあるのか！　朴念仁でもポケモンたらしなサトシと、カノンに変身するラティアスという設定の見事な化学反応を見ました。

【2/2】

＞　記者　「こんな美味しいネタを みすみす 没にする訳ないだろ？　あーあ。取材を受けてくれれば、きちんと正確な記事を書くんだけどね〜」

　上手いですね、カスを書くのが。世界王者になったサトシはこれからこんな有名税を払わされるのでしょうか。余計にムカつく〜！！早く痛い目見ろ〜！！
　と思っていると。

＞　「うわあぁぁぁぁぁぁぁ！」
＞突如、森に響き渡る、男の人の悲鳴。

　いや早いな。デルビルの群れとヘルガーに襲われ、大ピンチに陥ります。

＞川に落ちる瞬間、ボロボロのラティアスの瞳には、まだ闘志が宿っていたことを、私は見逃さなかった。
＞　カノン　「頑張ってラティアス！　“ダイビング”！」

　ポケモンを信じてピンチをチャンスに変えるこの戦い方、サトシみを感じますね。修行を経てサトシの戦いをここまで学んでいるのも、やはり憧れの人だからなのでしょう。
　しかし多勢に無勢。絶望的な状況の中……

＞　サトシ　「待たせたなカノン！　やっと見つけたぜ！」
＞　カノン　「ｸﾞｽｯ、サトシ君っ……！」

　満を持してヒーロー参上！　この背中の絶対的な安心感ですよ。そうです。仲間やポケモンが傷つけられそうなとき、必ず守ってくれるのがサトシなのです。

＞ポケモンセンターへの道のりが、もっと、もっと遠ければ良いのにな

　あまーい！！！！
　想いがこんなに膨らんでも、旅を続けるサトシを引き止めることはカノンにはできません。もうすぐ終わる幸せを噛み締めるカノンのモノローグがとても切ないです。
　そしてやってきてしまうお別れのとき。

＞　サトシ　「ぇっ……、ぁっ、カノン？」
＞　カノン　「……ふふっ。アルトマーレでは、キスは お別れの挨拶だよ ///」

　あーーーーーー！
　親愛なる貴方へ送る感謝のキス。なんという、爽やかで瑞々しいクライマックスでしょうか。ラティ映画のラストシーンが鮮明に蘇ります。
　“あのときのキス”をぼかさず敢えて解釈を確定させるところに、書き手としての熱意と挑戦心を感じますね。
　爽やかな恋のエピローグでした。乙！！

15.メガミュウ◆HBrGAiOWWA

【バレンタインSS】カコノアトチ

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1888249

◯他の全てが変わってしまっても、変わらない二人の愛。

　記憶喪失という状況設定と二人称視点文の相性がいい。「何も分からない主人公」として手探りで探索を進めているような没入感が感じられます。目に映るのは無機質な機械類と謎めいた日記。外に出れば一面の荒廃した世界。ほのかな緊張感の中で好奇心が刺激され、スクロールする指が止まりません。
　果たしてこの場所は何なのか。自分は何者なのか……。

＞視界から見えるあなたの手と、この機械のポケモンの手は、まったく同じものに見えるのです。

　えっ。素で声が出ました。だって「あなた」も私と同じように自分を人間だと思っていたはずです。日誌に書いていた「プロジェクト」って、まさか……。

＞日誌を読んだあなたは、自分が何者なのか、という問いに
＞おおよその予想がつきはじめます

　淡々とした語りですが、「あなた」役である私はかなり動揺しました。だって、日誌の内容からして「彼」をポケモンにして救おうとした大切な人がいるはずで……。たとえ記憶はなくても、心臓を掴まれるような想いでしょう。この荒廃した世界で彼女はいったいどこにいるのでしょうか。

＞ならば私も残ろう
＞彼はここが好きだと言っていたから

　もうね、しんどい。最高に愛を感じる文章です。「カコノアトチ」ってそういうことかよ……と。他の全てよりも彼を選んで、彼女は終わりゆくこの場所に残ったのです。人類が未来を目指して惑星を移動する中、彼女はやがて過去になるこの場所で彼のそばにいることを選んだんですよ。せつねえ。
　
＞彼が長い眠りにつく間際、彼は私の頭をポンポンと、事故の前までと同じように優しく撫でてくれた

　だからせつねえって言ってんじゃん！　事故の日からずっと彼を想って手を尽くしてきた彼女が、この「ポンポン」にどれだけ救われたことか。励まされたことか。
　テツノカイナの大きな手は腹太鼓ドレパンをするためにあるのではなく、頭を優しく包み込んであげるためにあるのだと思えてきました。
　
　しかし、シャットダウンからあまりに時間が経ちすぎてしまっています。きっと彼女はもう……。と思っていたところで、ラストの再会シーン。

＞お互い人の形では無くなってしまったものの
＞その二人の愛は、確かに過去と変わらないままでした

　救われた！って気分でした。姿形がどんなに変わっても、世界が荒廃して人類に取り残されても、互いを想う二人の心だけは変わらず同じ。彼が好きだと言ったこの場所で、彼女が守り続けたこの場所で二人は再会し、また愛の続きを歩んでいくのです。
　愛の切なさと温かさを感じるしんどいSSでした。乙！！

16.トリチョコくん◆h37fesJgAQ

【バレンタインSS】トリック・チョコレート

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1889502

◯アルセウスプロデュースで送る、マスカーニャのドキドキTFラブコメ！

　このSSの主人公はハルトに恋するマスカーニャ。アルセウスに願いが届き、バレンタインデーの一日だけ人間に変身するという絶好のチャンスを手に入れます。

＞ブースター『もうちょっと寄れば？』
＞マスカーニャ「あ〜あったかいにゃ〜。ありがとにゃ〜」

　人間になっても中身はﾈｺﾁｬﾝなのがかわいいです。思考回路や言動もマスカーニャとしての体験が元になっています。
　どうしてもチョコを手作りしたい理由が「ハルトの手作りサンドイッチが一番好きだから」なのが微笑ましい。こういう描写の一つ一つから、彼女の中にハルトとの思い出がたくさん詰まっているのが分かりますね。

＞アルセウス『お互い何も知らない状態からは流石に難易度が高すぎるので設定を付加しておきました』

　それにしても、お節介なアルセウスの微妙にズレた配慮がなかなかツボです。趣味で幼馴染設定を付与したりと、ちょっとお茶目なのが好きですね。わざわざバレンタインデーを選んでこんな試練を用意するあたり、実はラブコメ大好きなのでは……。
　しかし、そんなラブコメの神様の与えた試練はときに残酷です。

＞ボクはご主人に旅の話をしてもらうことにしたにゃ。もちろん全部ボクは知ってる話。でも、ご主人の旅の思い出の中にボクはいないにゃ。
＞もしこの後ボクとご主人がお付き合いすることになっても、ご主人から見るボクは本当にボクなのかにゃ？ でもご主人とケッコンするにはこれしか……。いやでも……

　あ〜〜〜この葛藤描写の切なさが本当に大好きですねぇ！　一緒に冒険する中でご主人を大好きになったマスカーニャにとって、そんな大切な思い出を共有できないというのはとても苦しいことでしょう。ハルトが見ているのは「マナ」であって、彼の中に「マスカーニャ」はもういない……。なんとも寂しい恋のアイロニーです。
　アルセウス！！！💢💢💢　もっと都合のいい設定はなかったのか！！！💢💢💢

＞どうすれば思い出させるか、それは一つだけ心当たりがあるにゃ。
＞いつもみたいに、手を後ろに回して。いつもより少し低い目線から。

　えっ！！？！？！？？？
　これをいつもやってた……ってコト！？
　でもこの動作、覚えがあります。ゲームでマスカーニャとピクニックをするとたまにされるアレです。物語を超えて一人のプレイヤーとしての思い出を刺激する、巧みなクライマックスの描き方ですね。
　にしても魔性のﾈｺﾁｬﾝだな……。

＞ハルト「……先生授業で言ってましたよね。
＞ポケモンと結婚した人がいた、って」

　ハルト、陥落──！
　これはマスカーニャの恋の物語。でもそれと同時に、気づけばマスカーニャと恋に落ちているプレイヤーの物語でもあったのかもしれません。
　マスカーニャがもっと愛おしくなる、ドキドキのSSでした！　乙！！

18.ハイパーボール◆OQcBdn4BbM

【バレンタインSS】テブリム「チョコ貰ったら……嬉しい？」ギモー「はっ！？///」

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1890218

◯素直じゃなくて可愛い。素直になってもやっぱり可愛い！

　いつもデブリムにイタズラをされるギモーという配役がいいですね。友達以上恋人未満でいつまでも足踏みする2匹の関係が、もどかしくも愛おしい！

＞イエッサン♀「ええ……テブリムはギモーくんには渡さないんでs」
＞テブリム「わーーーーーっ！！///」

＞テブリム「ありがとう……でも……どんな顔して渡せばいいか分かんない……」

　盛大に照れるテブリムがとにかくかわいい。チョコを渡すその瞬間を思うと、素直になれない、勇気が出ない。そんな奥手さがいじらしいです。
　普段の態度はそんな臆病な恋心の裏返しなのでしょう。それにしても、ドキドキを加速させるテブリムのイタズラの数々には本当に心くすぐられます。

＞ギモー「な、な、何前髪めくってんだよ！？///」

　不意に前髪を捲られて、視界には開いた髪の隙間を覗き込むテブリムの顔が……。あーもう、そんなんズルですよ！　青春しやがって！　こんなことされたら、誰だってときめいてしまいます。もうね、完全防御形態など彼女の前では無意味なんです。大人しく降参しろギモー。

　お互いを意識する気持ちが膨らんでいく甘酸っぱい日々。2匹のそれぞれの恋路を見守るイエッサンたちや、賑やかすぎるクラスメイトたちも彼らの青春に花を添えています。ニンフィア、声量クソデカキャラがすっかり定着したなぁ。
　そして迎えるバレンタインの放課後。
　
＞テブリム「ちょっと屈んで」

　このセリフに詰め込まれたドキドキ感が分かりますか！？　身長差のある2匹。ギモーが屈むと普段は頭の傘に隠れて見えないテブリムの顔がぐっと近づき、いつもとは違う特別な距離感になります。そして耳元で囁やかれる甘やかな誘い。
　この2匹のことをずっと見守ってきた作者だからこそ入れることができた演出なのだと思います。素晴らしい妄想センス。いいシチュだ……。

＞イエッサン♂「やれやれ、仕方ありませんね」ﾊﾟﾁﾝｯ

　恋に走り出すギモーの背中を陰ながら押すイエッサン♂がいい味出しています。イエッサン♀といい、こういう後ろから恋を応援する友達ポジションがほんと好き。名脇役です。

＞ギモー「い……行くに決まってんだろ。お前が呼んだんだから」

　必死に走ってきたからか、ギモーの口をついて出たのは普段とは違う素直な本音。不意に見せる男らしさが、またトキメキを刺激します。ギモーお前……カッコいいじゃん。
　素直な姿を見せた彼には、素直な言葉で返さないわけにはいけません。

＞テブリム「す、好きです……ギモーくん……受け取ってくれますか……？///」

　普段イタズラしているときの彼女とは一転、照れ全開の告白です。素直じゃなくてかわいいテブリムは、素直になってもやっぱりかわいい！

　ポップで爽やかな味わいの可愛らしいラブコメでした。乙！！

19.◆XSB9B4V/6I

【バレンタインSS】某誌に寄稿された与太話

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1890274

【1/2】

◯先に逝く者、遺された者。複雑に交差するそれぞれの罪と想い。

　本筋からは外れるので先に済ませておきますが……バリーさんかわいいですね！

＞『ボク、バリーさんと申しますです。この船でいろんなお手伝いをしていて、今日は配膳のお仕事を頼まれたのです』
＞そう言って、ぺこりとお辞儀してみせる。するとまた不安定な首が外れて床に落ち、慌てて元に戻そうと四苦八苦し始めた。

　礼儀正しくてちょっとドジっ子なバリーさんの魅力が、この自己紹介のシーンだけでありありと伝わってきます。
　船内を賑やかにするちっちゃいポケモンたちや、びっくりすると素が出るサザンドラの描写も好き。ポケモンが可愛いのはとてもいいことだと思います。

　さて本題に戻ります。重い、重〜い本題に。

＞結局私は、彼女を不幸にしてしまっただけなのだろうか。

＞「自分の軽はずみな好奇心と身勝手な欲求のせいで、僕が永遠に苦しむようになったと、彼女は泣いていた」

　サザンドラを遺して逝ってしまった男の罪。エゴを抑えきれず、昔語りの中の男の子に永遠の命を吹き込んでしまったリシアンの罪。そして遺される者として長い時を生きる宿命にあるサザンドラとユース。
　寿命の違いと罪悪感にフォーカスを当てた構成が物語に一本の軸を通し、読みやすくも深みのある作品を作り出しています。

　主役であるサザンドラの誇り高い性格が、ただでさえ複雑な彼女の心境をよりぐちゃぐちゃにしていていいですね。
　
＞　――竜の一族最強の技を放つ瞬間に見えたそいつの目が、「光」輝いて見えたのだ。

　純粋無垢な好奇心を持つユースをかつての主人と重ねてしまうサザンドラ。主人との大切な場所に土足で踏み入った男に憎しみを抱きながらも、その目に宿る「光」に惹かれずにはいられない。そんな関係がめっちゃエモです。

【2/2】

　それにしてもリシアン、本当に業が深いですね。彼女の恋と罪の告解を、サザンドラはどのような心持ちで聞いていたのでしょうか。胃がもたれるような三角関係が大変しんどいです。

＞「でも、僕は、人間になりたいんだ……リシアンのために」

　そしてユースもまた、内に秘めた懊悩を吐露します。ユースへの罪悪感に苦しむリシアンが彼にとっての苦しみなのです。それは2人の間の愛の証でもあって……。
　それを聞かされているサザンドラの心がまたざわめき立つのを感じます。だって人間になりたいって、そんなこと言われたらさ。ぐああ。

＞『我が主は何度も言っていた。「私が死んだら、お前は好きな所に行きなさい」と、だから我は、そこにいた。……初めて会ったときから、生涯を捧げると決めていた相手のところにな』

　だからお前も好きに生きればいいと、そう言ってユースの憐憫を跳ね除けるサザンドラ。私が勝手にそう思っているだけかもしれませんが、どこか拗ねているようでもあります。プライドの高い彼女の毅然とした言葉の裏に、繊細で切ない感情が隠されているような、そんな気がするシーンです。
　
　そして年月は流れ、リシアンとユースの運命づけられた別れがやってきます。

＞――貴方に本物の心があるのなら、尚更一人にできないじゃない。

　自身の在り方を心に決めて吹っ切れたユースとは対称的に、リシアンは最期の瞬間まで罪から解放されることはありません。愛する限り苦しみ続けるそれが彼女の罪に対する罰なのでしょう。心締め付けられますね……。

　どこからともなく現れた「スカビオサ」が物語に切ない余韻を残し、物語は幕を閉じます。
　美しくも苦しい与太話。罪と想いを味わうビターなSSでした。乙！！

　

20.◆fDgXbkVssI

【バレンタインＳＳ】ハナコのバレンタイン品評会

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1890443

◯サトシに伝わる恋のメッセージの形！

　サトシの母親・ハナコを視点主に据えるチョイスがすごい。身近でサトシを見守ってきた彼女の視点を通すことで、サトシという男の難儀さが浮き彫りになります。
　サトシのもらったバレンタインチョコに目を光らせてはヤキモキする様が、まだまだ子離れできないハナコらしい。

＞一方のハナコはマカロンを目にした途端、瞳を輝かせ、
＞「来たっっ！」

　無粋なおせっかいを焼かずに見守ろうとする心と、それでもついつい手を出してしまう過保護な心の揺れ動きがなんとも愉快です。
　っていうかお母さん、バレンタイン事情に詳しいですね。母親はこんなに女子力高いのに、サトシときたら……。

＞　彼の目はいつもの、穏やかな、しかし仲間のためなら身の危険も惜しまない芯のある力を宿していた。
＞「セレナもあらためて言わなくていいのにな。オレたちはいつまでも特別な存在…夢を追いかける仲間だって！」

　そうそう、サトシはこういう奴です。頭の中は見果てぬ夢への情熱で満たされていて、恋が入り込む隙間などありゃあせんのです。アニポケヒロイン史上最大インパクトのアプローチをしたセレナでさえ、どんなに矢印を出しても「仲間」以上にはなれないのです。流石に気の毒すぎる。


＞　蓋を開けると、ギザギザの…ピカチュウの尻尾、またはカミナリのマークのような形のチョコレートが箱いっぱいの大きさで一つ入っていた。

　なるほどそうきたか！と思いましたね。人間社会の文脈で作られたメッセージは、ことごとくサトシに通じませんでした。四六時中ポケモンのことを考えてるサトシは、人間の色恋に関して完全な朴念仁だからです。
　じゃあポケモンの言葉なら……？　まさにこれが、ポケモンと通じ合ってきたサトシに届く会心のメッセージ。ポケモンたちに倣ったリーリエの勝利です。んー、予想外！

＞「そうですね…今の私の気持ちはこれ以外にありません！」

　家族であるウツロイドの『リーリエ』が自分の気持ちに気づかせてくれるというのがまたいい。作者のアニポケサンムーン愛を感じるエピソードチョイスです。

　サトシに届いた「好き好き大好き！」なメッセージ。予想外の展開に度肝を抜かれるSSでした。乙！！

21.◆0y66DYsnuQ

【バレンタインSS】ヌメラ「最強のバレンタイン!!!」ゾロア「？？？」

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1890448

【1/2】

◯「最強のバレンタイン」から始まる、ヌメラとゾロアの不思議な関係。

　素直で元気なヌメラと心に傷を抱えた孤独なゾロア。そんな2匹のやりとりを見守るSS。
　2匹の会話はとてもほのぼのとしていながら、どういうわけか時折心がキュッとなるような感じがします。2匹の温かい会話劇の合間合間に挟まる幼い日記や難解な報告書のアンバランスさも、わけもなく切ない気持ちを誘います。ゾロアとヌメラが触れ合う優しい場所がいつか壊れてしまうのではないかというような、そんな気がしてしまうのです。

　それにしてもこのヌメラ、本当に可愛らしいですね。底抜けに元気な話し方には理由がありました。

＞ヌメラ「ボク、騒がしくしてないと気づいてもらえなくて、踏んづけられそうになるんだ！」

　目が見えなくて危険に気づけないから、相手から気づいてもらおうとしているんですね。一生懸命でますますかわいい。
　目が見えないからこそ幻影の内側にいるゾロアに会えたというのが、救いを感じる素敵な設定です。エモい。

　さて、2匹が出会い物語が進むにつれ、ゾロアの悲しい生い立ちが少しずつ明らかになっていきます。

＞　排斥に伴う被害から身を護るために、無意識の幻影は無意識のうちにより強力なものへと進化していく。

　んんん〜、つらい。ゾロアの幻影の暴走は、彼女を孤立無援に追い詰める残酷な力でした。
　ヌメラと出会うまでの彼女の日々を思うと、この関係がますます尊い。抑えられない幻影を全く気にすることなく接してくれるヌメラの存在が、どれだけ彼女の心の拠り所となっていたでしょうか。ヌメラが尋ねてくるのを毎日心待ちにしていたに違いありません。

【2/2】

　そんな毎日を守るためにゾロアが積み重ねた小さな嘘。進化したヌメイルに気づかれたときの彼女の反応が、また切ない。
　
＞ゾロア「ふ、ふざけんな！　お前それは、それはちげぇだろ！　それは、今までお前とオレがしてきたことを、否定するってことで……」

　ヌメイルとのチョコの交換は、ゾロアにとって唯一の友達との大切な繋がりです。それが壊れてしまうと思って取り乱すゾロアのセリフが心を締め付けます。
　もちろんチョコの交換そのものは繋がりの本質ではありません。しかしそれが分かっていてもなお、ゾロアは孤独の恐怖に縛られているのです。

＞ゾロア（アイツが本当はそんなやつじゃないって、"最強のバレンタイン"を見つけても、それでオレに会いに来るのをやめるような、薄情なヤツなんかじゃないって、分かってるはずなのに）

　そんなゾロアの恐怖が、薄情なヌメイルという「幻影」を生み出します。この「幻影」は、誰もが心のどこかに持っているもののような気がします。関わる理由がないのだから、相手からすれば自分はどうでもいい人間なのでは。そんなふうに考え過ぎて遊びに誘うこともできなくなり、大切な人と疎遠になった経験がある人も多いのではないでしょうか。

　苦しみに飲まれ、幻影を激しく暴走させるゾロア。それでもヌメイルは幻影の濁流を超えてゾロアの元へやってきます。

＞　ゾロア「それまではオレと、と、友達で……いてくれ、ない、です、……かっ」

　振り絞るようなゾロアの言葉。無条件の繋がりを信じるのは、とても勇気のいることだと思います。ずっと孤立無援の日々を送っていたゾロアからすれば尚更です。

　一緒にいるのに理由なんていらない。優しい結末に心が温かくなるSSでした。乙！！

22.母から貰ったチョコレート◆Iu0FbdS7VI

【バレンタインSS】スター団幹部一同「みんなでチョコ交換会だー！」 ボタン「名付けてバレンタインデー大作戦だし……」

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1890176

【1/2】

◯ビターな過去を超えて未来へ。味わい尽くす青春模様！

　この作品はバレンタインデーという「点」の話でありながら、過去から未来への「線」を思わせる構成になっているのがお見事。過去の苦さをしっかりと見せることで、アカデミーの子ども達の等身大の青春がその尊さを増しています。

　#1の主人公はピーニャとオルティガ。生徒会長としての真面目さが空回りして嫌われものになってしまったピーニャ。原作でははっきりとは描かれなかった虐めの描写が……はー、辛い！

＞あれ……学校‥‥ぜんぜん楽しくないな。

　バレンタインの苦い記憶。そんなトラウマを抱えるピーニャがアカデミーで挨拶運動をしていたと思うと、健気すぎて胸が苦しくなります。

＞オルティガ「ふーん……じゃあオレについてこい！ 良いチョコ屋さんを知ってるんだ」

　そんなピーニャの悩みをあれこれと聞かず、ただ「ついてこい」というのがオルティガらしい。有無を言わさずガサツに感謝を伝える態度からは、彼なりの優しさが感じられます。それにしても、チョコ屋さんて。ぶっきらぼうなセリフの中にオルティガの育ちの良さが滲み出ていますね。


　#2では、不器用さを隠して強がり続け、いつしか素直になることができなくなったメロコの心情が吐露されます。

＞オレも笑いたいけど、素直に笑えないなぁ。
＞オレは、笑う時すら不器用なのかよ。

　とてもメロコらしいモノローグです。胸が苦しくなるような切ないシーンでありながら、同時に希望も感じられるのがすごいところ。今は不器用でも、「みんなに頼る」という選択肢に気づいた彼女ならば、少しずつ素直に気持ちを出せるようになるはず。隣にいるのがビワ姐なのもあって、みんなと笑ったり泣いたりして青春するメロコという明るい未来像を確信できます。

【2/2】

　#3ではそんなウェットなバレンタイン模様から一転、我が道を爆走するシュウメイが主人公。

＞ボタン(……テンション高いオタク見るのは楽しいなぁ)

　本編をプレイしたときはボタンとシュウメイの間柄が正直よくわかっていませんでしたが、この一行で腑に落ちました。オープンにはしゃぐオタク。それをこっそり見守るオタク。この二人はそういう距離感か！

＞ボタン「シュウメイが羨ましいよ。うちは……そういうの隠しちゃう癖がついちゃってて」

　このセリフを聞いたあとで、オタクたちを眺めていたボタンの後ろ姿を思い返してみるとどうでしょうか。少し寂しそうにも見えてきます。
　シュウメイたちに同じオタクとしての親近感を覚えていながら、どこか自分のオタク心を抑えて入り込めずにいたのでしょう。そんなボタンもこれからはオタク語りに混ざり、テンション高く推しを語るのです。きっと。

　さて、作者名にもある「母からもらうチョコ」は今や寂しい男の代名詞でもあるわけですが、ペパーにとっては母親との数少ない微かな思い出の一つです。記憶も曖昧な繋がりに、ペパーは少し寂しさを感じて……。うぼぉおおいおいおい！

＞ペパー「お前……母ちゃんがくれたチョコを覚えてんのかよ？」
＞コライドン「アギャギャ！」

　コライドンが思い出のチョコに気づかせてくれるのがいい！　かつて母親を取られたと思って嫌っていたコライドンが、今度は母親との繋がりを思い出すきっかけになります。母親に愛されていたことを改めて噛み締めるペパー。そんな彼は今、大切な友だちに囲まれて賑やかな日々を過ごしている……。うぼぉおおおいおいおい！幸ぜになっでぐだざいね！！

彼らの送る青春が濃縮された、爽やかな読み味の短編集でした。乙！！

23.◆qKIfe0Ovo.

【バレンタインSS】命が惜しくば手段は一つ。バレンタインで金を獲れ!!

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1890384

【1/3】

◯リアルを打破するカタルシス。「好き」と向き合う大長編！

　一体誰が、この物語を自分と無関係だと言えるでしょうか。
　気が滅入るような「規定」の縛鎖。不条理なルールに従うときの無力感。薄れてしまった志。どんどんつまらなくなっていく現実。でも、つまらなくしたのは一体誰なのか。

＞しかしリアは、何も言わない。彼女自身、それに納得しているからだ。

　不条理で合理的な社会に「適応」し、いつしか抵抗することを諦めてしまったリアがこのSSの主人公。彼女の荒んだ生活と擦れた心の描写が私の心を抉ります。いや、抉るというよりは疲れさせると言ったほうが正しいでしょうか。読み進めるうち、長い溜め息が何度か出ました。

＞だって、潰れるべき店と言ったって。貧乏くじと言ったって。
＞その、店のガラスの向こう側で。大した給与もなく。何の保証もなく。確たる明日すらもなく。たかがバイトが、一心不乱に、目を輝かせて作業に励んでいるのだ。

　大局観を持って効率的に駒を動かし社会を回す大きな力。今ここで感情豊かに生きる小さな一人。まさにその間に立ったリアの葛藤がもどかしい。しかし、リアは懸命に働くアリスの背中を押すことができずにいます。

＞「──それが、ヨシコのスタッフの、普通の姿です」
＞リアは1人だ。どうしようもなく、1人だ。

　それが普通と、自分に言い聞かせているようでもあるシーンですね。好きなものにストイックになることは、ときに孤独なものです。大好きな仕事でたくさん傷ついた彼女だからこそ、リアは青い理想を輝かせるアリスを直視できないのです。わかる〜！！

＞「そうなんですよ。好きにしていいんです。私達は、誰に恋しても良いんです。好きな生き方を選んで良いんです」
＞「仕事を好きになったっていい!!」

　アリスの主張を聞くリアの心中で繰り返される、「ありきたりな言葉」という表現。とても秀逸です。そう、アリスが叫ぶのは無責任に私たちの背中を押すありきたりな言葉。みんな励まされて、信じたくて、でも最後には好きでもない何かを選ばされる。社会を回す無慈悲で大きなシステムにすり潰されて、好きの無力さを思い知る。そんなお決まりの流れに疲れ切ったリアの心境が、この表現に滲み出ていると感じました。
　好きに生きる。これはリアにとって──もちろん私にとっても──「何を今更」というレベルの話なんです。窒息するほどの密度でひしめきあう様々な都合を無視した、ただ都合がいいだけの綺麗事に過ぎません。
　それでもなお、私はリアとともにアリスの青すぎる主張に心を揺さぶられるのです。理屈も合理性も抜きにして、そんな綺麗事をもう一度信じてみたくなってしまうのです。

＞「アリスちゃんは間に合うよ、じゃないんです。皆間に合うんです。いつだって、自分の好きに、正直でいていいんです。そっちの方が楽しいでしょう？」

　ここまでのストーリー及び人生で散々見せられてきた鬱屈とした社会も、好きを封じ込めるためのありとあらゆる理論武装も、このシーンで全て吹っ飛んだ気がしました。名演説です。最高。

【2/3】

　さあここからが希望のターン。リアは無敵の「マジカル社員」となり、苦境もしがらみも次々にぶち破ります。ここから畳み掛ける怒涛の展開の開放感は、筆舌に尽くし難いものがありましたね。

＞「今良いところなんですっ!! お話はお断りします!! 失礼します!!」
＞叩き切った。そんな話どうでもいい、将来なんてどうでもいい。だって、将来を考えても楽しくない!!

　いやあ、ここ爽快ですね。「本当それな！」って感じです。でも私は残念ながらこんなことできません。だからリアが代わりにやってくれているんです。ワクワクしました。このSSは嫌というほど現実的ですが、同時にめちゃくちゃ夢のある話です。

　そして物語は、ポケモンカフェミックスの世界へと繋がっていくわけです。華やかな雰囲気のカフェの裏側にこれほどシビアなリアルを丁寧に描く発想には脱帽と言うほかありません。
　あの夢のような場所は、現実の抑圧をぶち抜いてようやく実現した終着点。このコントラストがポケモンカフェで働くゲーム体験をより魅力的なものにするであろうことは、言うまでもないでしょう。
　ちなみに私はトマトに挫折して退職しました。



　さて、ここまでは心理面を中心に掘り下げていましたが、外側の動きもこの作品の魅力。リアルかつコミカルなタッチで描かれるポケモン世界のカフェのお仕事や経営戦略が、作品の世界観を充実させています。

＞マメパトの写真。どういうわけだか、胸元には看板がかかっている。文面は、
＞『マメパトヨシコでまた会おう』

　あっ、それ……。いいなーーー！！
　「また会おう」っていうフレーズが素敵です。パンケーキの宣伝をして去っていったマメパトたちに、お店で「また会おう」っていう。いいなー！
　#マメパトヨシコでまた会おう　で検索したらきっといろんなマメパトの遭遇記念ツイートが見られるんじゃないでしょうか。ポケモン世界らしさと戦略性を兼ね備えたマーケティングで思わず感心しました。

【3/3】

　一方で、敵の戦略は悪辣非道かつ強力無比。

＞「ウチの会社は、賠償金が経費で落ちるんですよ」

　本当に最悪な人間が、今まさに店を潰せる手段を持ってやってきたという圧倒的なインパクトに痺れました。デカヌチャンの設定の使い方もドンピシャです。この作品の悪役としてこれほどハマる存在も他にないでしょう。
　そんなバカな理屈で重犯罪を犯す会社が存在するのかは分かりませんが、そういう細かい話はこの際どうだっていい。ポケモンで悪さをする奴ならば、ポケモンで分からせることができます。クソデカすぎる巨悪の存在は、爽快感の演出に一役買っていたと感じました。



　序盤からとてもヘビーなストーリーではあるのですが、不思議とこのSSはスラスラと読めました。それを支える要素の一つは、読みやすい文章とシニカルなギャグセンスではないでしょうか。

　なぜかメールやプロジェクターでしか会話しないクソ客もといロント。皮肉混じりのメッセージがいちいち投影される絵面がシュールです。
　ポンコツでアホの子のアリス。バイトにのめり込みすぎて全て失ったと泣き叫ぶシーンは普通に草が生えます。

　シリアスなシナリオの中に随所にシニカルなギャグ描写が仕込まれ、適度に肩の力を抜いて読める仕上がりになっています。しかも鉤括弧の中身だけ読んでも誰が誰だかわかるほどキャラクターが立っているおかげで、話の流れも理解しやすい。長編でありながら一気読みが苦にならない、読者に優しい作品と言えるでしょう。


　総括！
　意外とスラスラ読める159レスのシナリオに、痛いほどの共感とどでかいカタルシスが詰まっています。明日を生きる糧になるSSでした！　乙！！！！

EX1.冬眠シマシュ◆77uL6pC9U2［完結］

【バレンタインSS】アマージョ「見るな変態ー！」ﾄﾞｶﾞｯ ウェーニバル「」

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1869287

◯美脚×美脚。蹴りに隠した恋心！

　パルデア屈指の美脚ポケモンのほのぼのラブコメ。
　それにしてもこのウェーニバル、我が道を行くいいキャラしてます。体幹と言動が全くブレない……。
　そんなウェーニバルから目が離せず、どんどん頭を埋め尽くされていくアマージョの姿が印象的です。

＞アマージョ(にしてもそっか、アレってウェーニバルの脚だったんだ)
＞アマージョ(まじまじ見ると、あんなに美脚なんだ……今まで勢いに引っ張られて見てなかった)

　そして美脚に気づいてしまいます。図鑑説明曰く、アマージョはウェーニバルをライバル視しているらしいですね。このSSでもライバルとして対抗意識を燃やします。

＞アマージョ「くたばってると結構いい男ね、アナタ」

　↑ところでこのセリフ回し超好きです。なんだかちょっと映画のワンシーンみたいですね

アマージョ(それにいきなり頭を撫でるなんて……！ もう！)

　そしてライバル意識だけじゃない感情も少しずつ大きくなっている様子。頭さわられてﾌﾟｼｭｰってなってるアマージョかわいい。


＞アマージョ(私の脚わざが知りたかったんだ)
＞アマージョ(好きだと思ってたの、私の早とちりだったんだ)
＞アマージョ「馬鹿だな、私」

　実は蹴りの探究にストイックなウェーニバル。それを影から覗いて落ち込むアマージョがいじらしい！！
　矢印を感じているときではなく、なくなってから恋心がこんなにも膨らみ出すのが、彼女の不器用さを物語っています。


＞ウェーニバル「好きなのは、ボクの方なんだ。どうしてもボクから伝えたくて」
＞アマージョ「えっ、はわっ！？」ﾄﾞｷﾄﾞｷﾝ!

　やだ、イケメン……！　強引にリードしてでも、告白は自分から。ストイックな彼の美学を感じます。
　想いが溢れまくりのアマージョに先手で告白されかけて、大分オロオロしてたのがいい味出してます。きっと向こうから攻められたら弱いタイプに違いありません。普段のキザな態度は、ひょっとすると彼のペースを保つための照れ隠しなのかも？　なんて思ってしまいました。

＞ウェーニバル「その強く美しい脚で踏み付け、蹴りを食らわせるのは、ボクだけにしてくれ！」ﾊﾞｰﾝ！

　でもやっぱり普通の変態なのかもしれません。というわけでラストはやっぱりトロピカルキックで〆！
　美脚ライバル同士の微笑ましいカップリングでした。乙！！

EX3.ジバコイル@ヤヤコマのはね

【バレンタインSS】ショウ先輩のばれんたいん！

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1880521

◯はよ付き合え！　ほのぼのショウテルばれんたいん！

　まだバレンタイン文化が始まっていないヒスイ地方のお話。ひょんなことからショウとテルの「ドキドキ♡バレンタイン」が始まります。

＞ショウ「えへへ〜/////それほどでもないのですが…/////」ﾆﾏﾆﾏ

　しょうもない妄想で顔が溶けてるショウちゃん先輩ポンコツかわいい。と思ったらテルも似たような妄想をしていた模様。2人ともポンコツかわいい。

　それにしても、両片想いはいいですね。ショウ先輩のチョコと心の準備さえ整えば、ショウテルのハッピーエンドは約束されたようなもの。
　限界オタクみたいになってるテルや意外と積極的なショウ先輩を安らかな気持ちで見守ります。

＞ショウ「"恐らく"とはなんなのですかーっ！」ぽかぽかぽか！！
　
　ショウちゃん先輩ポンコツかわいい（2回目）

　優しさと商売の上手さを併せ持つイチョウ商会や、褒め上手のラベン博士。コトブキ村の人々みんなが2人を応援している感じが微笑ましいです。原作の魅力をそのままに、良い雰囲気が出てますね。

　チョコ作りも始まり、ドキドキ♡バレンタインはここからが本番……といったところで、SSは更新待ちです。んー、支援！！

EX4. マメバッタ＠ドリのみ［完結］

【バレンタインSS】ペパー「男が男にバレンタインチョコ贈るって……変じゃねえかな」

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1890255

◯不意打ちブラボー！

　このスレタイ、ペパーとハルトの友情SSか、それともBLか！？
　それにしてもなんか微妙にやかましいというか、癖のある店員だな……。

＞店員「チョコを買わないならチ◯コを食わせてやりましょう！！！！！！！！！！！！！！！！だから早く脱げ！！！！！！！！！！！！！！！！」ﾎﾞﾛﾝ

　……と思ってたらこれだよ！
　敬語を投げ捨てて語気を強め、本性と陰茎を見せるノボリ。もはやお約束の展開です。なんでこんなものがお約束になってしまったんだ……。

＞ペパー「チッ、めんどくせえ店員に捕まっちまったぜ」3 ﾌﾟﾘｯｹﾂ

　？？？？？？？
　なぜペパーは尻を出したのでしょうか。もはや催眠か、あるいは常識改変の域です。もし店員が秘部を出してきた場合、みなさんは逃げて通報しましょうね。

　ここから先は、もはや詳しく語るだけナンセンスというものです。圧倒的勢い、そして突然の凪。その緩急の様式美に風流さえ感じます。

　カオスで賑わす1レスSS。乙！

EX5.◆.BFKaWnx/Y

【バレンタインSS】努力家と、マイペースと、目立ちたがり屋

https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1890466

◯トレーナー想いのポケモンたちの負けられない戦い！

　いじっぱりで負けず嫌いなマスカーニャ。少しキザだけどストイックなウェーニバル。のんびりゆったりマイペースなラウドボーン。個性的な手持ちポケモンたちがトレーナーに感謝を伝える物語のようです。

＞　そういえば最近、周りの連中が浮ついていたな。きっとサンクスデイ関連だろうな。
＞　贈り物ねぇ……こいつに？ないない。絶対ない。

　マスカーニャの俺様な性格がガッツリ反映された一人称文がめちゃくちゃいい味出してますね。彼の目を通した手持ちポケモンたちの描写が、日頃の彼らの関係性をありありと想像させてくれます。

＞「1番アオイの心を掴む贈り物をするのは僕らだよ？」
＞　……言ってくれるじゃねぇか。

　そんな彼らは同じ手持ちでありつつもライバル関係。「トレーナーの心を一番掴むのは誰なのか」で火花を散らしているのが、とてもほのぼのとしていて好きですね〜。
　そんな絶対に負けられない平和な戦いの火蓋が切られたところで、作品は更新待ち。
　もっと彼らの絡みが見たかった！　支援！！

私からの感想は以上です。
投稿が遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした。



これにて企画はお開きとなります。

改めて、書き手や読者として企画を盛り上げてくださった方々にお礼を申し上げます。大変ありがとうございました。

また、投票フォームのコメント欄で激励や労いの言葉を送ってくださった方々にも感謝します。本当に励みになりました。

それではみなさん、お疲れ様でした！！！！

今後の企画に関する要望などはこちら（届いていたら後で公開します）
https://jp.surveymonkey.com/r/2LCWNXY

SS感想用フォーム【無期限】
https://jp.surveymonkey.com/r/5HC5Z2Y


投稿作品一覧　>>102 >>103 >>104

結果発表（TOP10）　>>128

得票数公開 >>134 >>135 >>136

匿名感想　>>138〜

主催者感想　>>186〜

企画運営感想どれも素晴らしかったです！
ありがとうございました！
主催者様が企画するのでしたらまた参加したいです。

本当にお疲れ様でした！

いやなんかもう……すごすぎです、ありがとうございますという言葉しか出てこないといいますか
自分のSSに感想を送ってくださること自体がまず嬉しいしありがたいことなんですが他の参加者の方々に送った感想も「この感想を見た後ならもっと面白くは読めるんじゃないか」と思えるような感想山盛りで……

改めてお疲れ様でした！そしてありがとうございました！
ベストスレタイ賞も嬉しかったです！w

企画者様ありがとうございます……！
読んだ時の感情を丁寧に感想に書いて頂けて本当にありがたいです……！
改めまして、企画者様、参加者様、読んでくださった方々、乙でした……！

素敵な感想……いや、ここまで読み込んでいただけた事は書き手としてこの上ない幸せですねぇ。次のSSへのモチベになります。

改めて、企画者様、参加者皆様ありがとうございましたっすわ！

丁寧な感想をありがとうございました。今後のSSの参考にします。
「屈んで」のシーンに気付いてもらえて嬉しかったです。

運営、感想、本当にお疲れ様でした。
この企画に参加出来てよかったです。

丁寧な感想ありがとうございます！
これからも頑張っていきます！

企画主様、色々と大変な中ご丁寧な感想を頂きありがとうございました！
久しぶりにSS企画に参加出来て良かったです。
企画者様、参加者の皆さん…お疲れ様でした！

企画者様、感想ありがとうございます！
隅々まで読んでもらって……嬉しいです。めっちゃモチベ上がりました！
本当にお疲れ様です。ありがとうございました。

企画者様、深く丁寧な感想、それも全員に。お疲れ様でした。
こうしてスムーズにSS企画が完走できたのは、企画者様が名乗り出て、的確な運営を成し遂げて頂けたおかげです。
本当にありがとうございました！