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【R18】催眠烏賊の欲望、そして愛【ポケ×人】

 ▼ 1 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 24/09/29 21:51:21 ID:vj92BePA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 海の上に築かれたドーム。人間の手によって再現された紛い物の環境が、私の生活圏だ。


 私は一匹のポケットモンスター。縮めてポケモン。人間達の学術的呼称に則り、カラマネロと名乗っておこう。


 偶発的な事故で天地が逆転してから、私は新しい姿、強力なサイコパワー、そして人間と同等以上の知能を手にしていた。

 そんな私の日課は、人間達の手で作成された情報媒体である、本を読むことだ。このドームはブルーベリー学園と呼ばれる組織の管轄下にあり、多くの生徒と蔵書がある。

 私のサイコパワーをもってすれば、生徒を催眠下に置き、本を持って来させることなど造作もないことだ。
 ▼ 175 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/03 09:27:03 ID:sG1QfgPQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
長らくお待たせしております。
9/6(土)に次の更新を予定してます。

当初の予定より短い切り上げとなるとは思いますが、完結を目指したいです。
 ▼ 176 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/06 13:31:23 ID:hjZoUal2 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜

 仕事から戻ったリップは、早速私の撮影、もとい加工した映像に興味津々のようだった。

リップ「ゴイスーなSFXじゃない!スマホロトムの中でどんな世界にも行けちゃいそう」

 両手で頬杖をつき、スマホロトムの中で踊るテールナーに微笑ましげな目を向けている。外出用の化粧を落とした目だ。瞳の奥から滲み出る光が、尚更明瞭に映る。それは羨望の籠められた視線でもあり、何か期するところがあると感じさせた。

 それを、突然こちらに向けられた。視線と視線が、正面から交差する。目を瞬かせながら、予感めいた何かが脳裏に走った。

リップ「ね、貴方は別の何かになりたいって思ったこと、ある?」

 彼女の言っていることは、何か観念的なことであろうか。進化した際、そうしたことを考えたことはなかった。すべきことも、目的すらもなく己を鍛え、偶然頭から転倒したと思えば、今の姿になっていたのだ。
 スマホロトムを通じ、『ない』と率直なところを伝える。くすりと笑うリップは頬杖を解き、机に頭を横たえて語り始めた。

リップ「リップがメイクアップアーティストの道を選んだのはね、自分がどんなものにもなれるような気がしたからなの。誰も見たことのない人になって、行ったことのない場所に行けちゃう魔法。……それでいてモデルとジムリーダーもやってるんだもん。欲張りさんよね」

 無邪気に夢を語る少女と、それを優しく見守る妙齢の女が、一つの心に宿っているように見えた。


リップ「……お願いしたいことがあるの。ビジネスの、お話」

 突然居ずまいを正したリップは、あらたまった雰囲気で切り出した。
 ▼ 177 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/06 14:12:18 ID:hjZoUal2 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リップ「お話しするより先に、見てもらった方が早いわ」

 そう言うと、リップは手持ちポケモン達が休むボールを手に取った。

リップ「お休みのところごめんなさいね。鍵を開けたいの」

フラージェス「あらまぁ、随分お久しぶりなこと。参りましょうか」

 言われるがまま、二人の後についてゆく。胸騒ぎめいたものがあった。公にされていない、これからもされることがないであろう何かを知るというような。ただ、悪い気分はしなかった。


 着いた先には、小さな、しかし瞳が染め上げられるほど鮮やかな花園がある。赤、青、白、黄緑。中でも、柔らかな紫を湛えた花が印象に残った。

フラージェス「わたくしがお手入れを欠かさない庭園ですわ。今後三百年は咲き誇らせてみせます」

 そう言いながら、フラージェスは気を研ぎ澄ましていた。エネルギーの循環とでも言うべきものを操っている。やがて、花が目を覚ましたようにざわざわと動き始めた。フラージェスというポケモンには、草花を操る能力があるという。
 押し上げられるように、土の中から小さな木箱が出てきた。

リップ「どうもありがと♪そうだ、頼まれてた肥料はさっき届いたみたいだから」

 ひと仕事終えたフラージェスは室内に戻っていく。……その途中、私に一瞥をくれて、小さく微笑んだ。

フラージェス「マスターのこと、よろしくね」

 そう言われたような気がしたのは、果たして錯覚であろうか。


 木箱を手に取ったリップは建物に戻り、地下に通ずる階段を降りた。幾つにも分かたれた通路を右に、左に進む。灯りも乏しいのに、全て見えているかのような迷いのない足取り。

リップ「……さ、着いたわ」

 やや大きな扉が、目の前にあった。
 ▼ 178 ルリル@サイキックメモリ 25/09/06 14:47:33 ID:BVlo7zMk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 179 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/06 21:11:42 ID:hjZoUal2 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 物々しい錠前は生きている筈もないのに、扉の奥にあるものを見せまいとする意思を持っているかのようである。
 小さな木箱からリップが出したのは、黒光りする金属製の鍵だった。如何にも鍵を収集するクレッフィ好みのもので、万が一でも取られないよう念を入れたのが庭園の仕掛けなのだろう。

 リップが手首を捻った。高い音が闇夜に木霊する。

リップ「またここに戻ってこられる日が来るなんてね」

 開け放たれた扉から中に入り、リップは室内灯を点した。暗灰色の壁と床があるだけの、やや広い部屋。いや、よく目を凝らせば、奥にはもう一つ扉がある。物置、押入れの類であるようだ。

リップ「初めて会った日には思いもしなかったの。これを見せることになるだなんて」

 奥の扉が開かれた瞬間、私は当惑を抑えられなかった。

 それは、拘束具だった。強大すぎるエスパーポケモンの力を抑えるようなものではない。人間に対して使うものだ。
 二つの環を鎖で繋いだもの。首輪に小さな鐘が提げられたもの。横たえた人間を縛る×字の大きな板。縄もあった。

リップ「んふっ。これはね……リップの欲望と挑戦のカケラ、かしら」

 首輪を手にしながら、リップは懐かしそうに微笑む。

リップ「三つのお仕事が軌道に乗ってきた頃よ。自分の内にある欲望、外から向けられる欲望を曝け出してやりたい……笑っちゃうくらい恥ずかしい程に。そう思い立ったの。一つの映像として、それを形にしたいってね」

 これらの拘束具を誰に使うのか、その答えをはっきりと語っている。

リップ「スタジオも作って、道具も揃えたけど、肝心なものは見つからなかった。リップのカラダを辱める、悦ばせる手。ココロを丸裸にしてくれる眼差し。何度もオーディションを重ねたけど、ダメだったわ。気持ちイイ、だけで終わってしまうもの」

 それを聞いた時、何故か締め付けられるような気分だった。

リップ「だから、カラマネロちゃんにお願い」


リップ「この部屋で、リップに魔法をかけてちょうだい」
 ▼ 180 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/06 21:12:01 ID:hjZoUal2 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
明日から一日一レス更新を目指します!
 ▼ 181 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/07 10:50:14 ID:JhKkTKnA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜

 触手を左右に振ってみる。カメラの向こうで、人間の骨ばった手が振られる。吸盤に力を入れてみれば、その手が握りしめられた。五本の指を、波打つように動かしてもいる。

リップ「上手いわ。本当にそんな手をしていたみたい」

 カメラに入ったロトムに、私の触手を人間の手と思わせる練習だった。それ自体は造作もない。それより、ロトムが好んで入るようなカメラをすぐさま調達する熱意に、少し驚いていた。

 リップは下着姿だった。褐色の肌と対をなす白い薄布。くっきり刻まれた深い谷間、溢れ出してしまうような尻。メリハリに富んだ女体の曲線を強調するのに、自身で選び抜いたのだろう。

リップ「……外して、もらえるかしら」

 滑らかな背中を向けてくる。金具に触手を伸ばした。カメラの中では、それは手として映り込んでいる。
 単に外すだけでは不足だ。人間が指を細かく動かし、金具を動かさねばならぬ。自分が、カラマネロがしていることだと思っては駄目だ。そうなると、仮想の指が滑らかに動かない。

 だから、リップを裸身に剥こうとしているのは、自分以外の誰かだと思ってしまう。

 そのことが、何か重いものとして落ちかかってくる気がした。

リップ「脱がせて、早くぅ……」

 左右に尻を振って誘うリップが懇願する相手は、私なのか。大きな果実が視界を埋めたくした時も、靄のような何かは消えなかった。
 ▼ 182 ンプク@アシレーヌZ 25/09/07 10:57:19 ID:oinAAg2A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 183 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/08 21:55:30 ID:oRXI8gQE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リップ「じゃあ、イイコトは急げよ!早速、撮影入りましょうか」

 段階をいくらか飛ばしたようで面食らったが、リップとしては考えがあるようだった。要約すれば、カメラが動いているという緊張感が、見せ方の工夫を湧き上がらせるということらしい。

 まずは、手錠をかけられたリップが、どこかへ連れて行かれるというシーンである。カメラは私の視界を映すようなアングルで、人の手になった私の触手がリードのように手錠を引っ張ってリップを歩かせる。

リップ『…………』

 潤んだ瞳で、リップがこちらを見つめている。哀願するような目。主人に慈悲を求めるような双眸には、涙さえ溜まり始めていた。微かに開いた唇から漏れる吐息を、律動的な鎖の音が打ち消す……。

リップ「カット」

 鎖を持ち、リップを引っ張りながら歩いた。言われた通りのことをしていたつもりだったが、どのような不足があったのだろうか。

リップ「リップの顔を見ながら、少しずつ教えていきましょうか」
 
 先ほど撮影した映像を見ながらの作業である。改めて観察すると、画面の中にいるリップが顔に湛える怯えは、とても作り物とは思えない。

リップ「たとえば、ここ。怖がりながら、それでも抵抗して止まろうとしてるでしょ?そういう時はね、反抗するな!って感じでグイッと引っ張るの。生々しさというか、臨場感が出るじゃない?」

 演技をしながら、そのようなことまで意識していたのか。やはり、場数を踏んでいる。

リップ「手錠を引っ張るこの手はね、リップを弄んでモノにしようとする悪ぅい奴なの。その辺りを意識してみるとイイかも」

 やはり、胸中でささくれ立つものがある。顔に出てなければよいと思うが、どうだろうか。
 ▼ 184 グノム@ベリブのみ 25/09/08 21:58:41 ID:Zss.5UQA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 185 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/09 21:00:25 ID:8P6c0/wA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜

『はぁっ、は、はっ……あぁ、あ!んんぅ……っ』

 カメラの向こう側、褐色の裸身が悶えている。
 手錠の虜となった両手を上げたまま拘束されたリップが、こちらに尻を突き出していた。浮き上がる汗が光沢を放ち、一糸纏わぬ女体を彩る。

 手をしならせ、尻肉に平手の鞭を入れた。揺れる尻肉から水滴が弾け飛ぶ。

リップ『あ゛ぁ、あ!はん、はぁ、は、ぁ……んはぁ、あ!』

 微かに開いた唇から紡がれる喘ぎは、苦しみか。それとも、悦びか。振り向いてくる瞳の湛える光には、扇情的としか言えない色がある。

 再び、平手打ちを尻に浴びせた。ねっとりと腰をくねらせ、拘束から逃れようとするためだ。それを幾度も、幾度も、幾度も繰り返す。リップは飽きもせず尻を振り乱し、誘うように色香を撒き散らす。

 暫くして、大きな尻の輪郭を確かめながら、ゆっくり撫でてやった。叩かれたところを労るようにだ。従順になってきたので、褒美をくれてやる。主人として当然のことだ。
 尻から腰、脇腹を経て胸にまで手を伸ばしてやると、期待に満ちた目でこちらを見つめてきていた……。


リップ「キリのいいところだし、休憩入れましょうか」

 それを聞き、私はリップの手錠を外す。カメラは止まっているのに、手の動きを意識してしまっていることに驚いた。

 驚きといえば、自分が自分でないものを演じていることの違和感が消えかけているのも、そうだった。先程まで、人間の手だった一対の触手を見つめて、考え込む。

 リップが、心配するような、あるいは興味深げな顔でこちらを見ていた。
 ▼ 186 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/10 23:24:30 ID:3RRs.IU6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜

 スタジオに濛々と湯気が垂れ込める。四本の足に支えられるバスタブにはなみなみと湯が張っており、群れをなして漂う白い泡が甘い芳香を放っている。いわゆる、泡風呂と呼ばれるものだった。

リップ「次は趣向を変えてみようと思うの。ずばり!お風呂でイチャイチャ体験よ♪」

 笑顔でそう言ったリップは、裸のまま泡風呂に身を委ねている。縁に上体を預けながら。白い泡が満ちる中で描き出される褐色の曲線は、鮮烈なまでに艶めいていた。剥き出しの乳房の先端は白い泡で覆われ、見え隠れするモモン色が悩ましい。島となって水面に浮かび上がる、大きな双臀も然りだ。

リップ「憧れのお姉さんと混浴するおマセな男のコ、ていうイメージなの。できるかしら?」

 言い換えれば、私が人間の男児をどれだけイメージできるかということだった。思い浮かんだのは、ドームにリップと一緒に来ていた子供だ。初めてリップを見た時。ニャスパーの悪戯で露になった下着を、私よりも近くで見ていた……。

 その子供のイメージを借りるのに、抗いがたい忌避感を覚えた。何故かは分からない。どうしようもなく、そうなのだ。身体に横溢するサイコパワーを脳に集中し、全く新たなイメージを手に入れようとする。
 
 電流のような何かが、走った。

リップ「!あらま、ゴイスーじゃない」

 カメラの中には、確かに子供の後頭部があった。私の頭部の触手が、そのまま髪の毛に変貌したようである。このような子供は、世界のどこにもいない筈だ。

 リップが迎え入れるように両手を広げてくる。母性的とさえ言える眼差し。

リップ『イイわよボウヤ、おいで……』

 白い泡をかき分け、リップの胸に頭から飛び込んだ。年長の女性の裸体に興奮し、本能のまま頭を擦りつける子供。それが今の私だ。

リップ『あん!もう、イケないコ……♡』

 浸りきっていた。リップの身体にも、子供を演じることにもだ。
 ▼ 187 ガラティアス@メリープのけだま 25/09/10 23:27:35 ID:q8SQDqgA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 188 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/11 21:57:27 ID:Y2v29o2. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ……そうして、私とリップは初日から撮影に勤しんだ。

 求められていること、その中で私自身が何をしたいかということは、少しずつ見えてきたような気がする。撮影は明日以降も続くが、毎日欠かさずという訳ではない。リップにはジムリーダーとして、モデルやメイクアップアーティストとしてのすべき仕事がある。裏での撮影にばかり耽ってはいられない。

リップ「お疲れ様。やっぱりカラマネロちゃんを選んで正解だったわ」

 一日が終わって就寝するというので、部屋に戻るかと思いきや、スタジオの壁には折り畳み式のベッドがある。それだけでなく、台所や洗面所など、生活に必要な設備はあらかたあるらしい。
 下着姿でベッドに滑り込んだリップが、しなやかな指を振って手招きしてくる。

リップ「旅館みたいに、添い寝してアゲル」

 やや戸惑いを覚えたが、私はそれに従ってベッドに入った。
 ぬくもり。手を伸ばせばそこにある、柔らかな肢体の放つ熱がベッドにぬくもりを与えていた。

リップ「……幸せって、こんなにアツくなれることを言うのね。きっと」

 リップの語りは、瑞々しい情熱を湛えている。私に向けてくる瞳が、満天の星を零したように煌めいていた。

リップ「その源が、何かになりたい、自分を変えたいっていう心。それが人もポケモンもキラキラさせてくれるの」

 思い出した、いや、改めて実感したことがある。ドームで目の当たりにしたリップに同行したいと、小細工を弄した自分。リップが言っているのは、あるいはそういうことなのだろうか。


リップ「そういう心のことを、こんな風に言うのよ。……」


 何と言うのか確かめようと耳を傾ける。が、返ってきたのは静かな笑みだけだ。
 リップは私に口づけをして枕に頭を沈めた。
 ▼ 189 ローラディグダ@レベルボール 25/09/11 22:03:47 ID:TqswUHGo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 190 ーマンダ@ひそやかスプレー 25/09/13 17:46:21 ID:4Y86yyFc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 191 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/13 23:18:45 ID:.TpoZ65E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜

 ぼんやりとした、明るさだった。
 朝になっている。地下にあるスタジオだが、外の光が室内に届くような構造になっているらしい。

『……んふふっ。おはよう』

 甘ったるい声が耳に注ぎ込まれて、目の前にある滑らかな影の存在に気がつく。視界がはっきりしていく中、黒真珠のような艶を纏った褐色の女体が現れた。

リップ『あなたったらぁ。寝坊助さんなんだからっ』

 ロトムがカメラを動かしている気配を感じる。起きがけの撮影とは思ってもみなかった。こちらの演技を引き出すための、リップの手立てであるのかもしれない。

 リップは就寝した時と同様、白い下着姿だ。それで、私の視界を埋めるように覆い被さっている。
 挑発的な笑みを浮かべ、身体を左右に振ってこちらを誘ってくる。ブラジャーよ肩紐は外れかけていて、振動で剥き出しになってしまいそうな危うさが印象的だった。

リップ『今日はお互い久々のオフなのよ。じっくり……楽しませてちょうだい?』

 自らの触手を腕に変え、リップを抱えながら互いの位置を逆転させた。溢れ出す柔らかさを抱えながら、期待に満ちたリップの双眸を見つめる。夫婦とは、朝からここまで熱くなれるものなのか。

 私はふと気づいて、思い浮かべるイメージに僅かな修正を加えた。リップと、カメラに映る私の指に光る銀色の光点。夫婦の証として、人間はこのようなものを身につける筈だった。
 ▼ 192 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/15 20:54:59 ID:IT6gScbg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リップ「……あら!」

 弾むようなリップの声を耳にして、私は形容し難い充実感を覚えた。彼女の予想、あるいは期待を超えるようなことを、初めてできたような気がする。

リップ『やる気マンマンね、あなた♡刺激的な朝にしてアゲル……』

 瑞々しい唇を舌でひと舐めするリップの顔を見つめながら、私は演技を続けた。

〜〜〜〜〜〜〜〜

 地上に戻り、リップと私は普通の一日を過ごした。
 瀟洒で優雅な立ち居振る舞いで仕事をこなすリップの姿からは、演技の中で肉欲に耽る姿を想像もできない。あるいは、そちらこそが世間で生きるための装いに過ぎず、スタジオでの姿こそ本質に近いのか。

リップ「そうねぇ……ここの鎖の音は抑えた方がいいかしら。息遣いが聞こえにくくなるし」

 夜になると、撮影された映像の見直し、編集作業に取り掛かった。画面の向こうで踊る、褐色の女体。スピーカーから響く、澄んだ喘ぎ声。主観視点で統一された映像だけに、実際にいるような生々しさがある。

リップ「それにしても……カラマネロちゃんて飲み込みが早いのね。ほら」

 プライベート用の眼鏡をかけたリップは感心の体で、私に画面を見るよう促す。私の"両手"が、リップの双臀を鷲掴み、揉みしだいているシーンだ。心中の葛藤は、かえって欲望に憑りつかれたような激しい手つきを、私にさせていた。

リップ「朝に撮ったのも、指輪のアドリブが本当にお見事だったわ。もっともっとイイ作品残せそう」

 リップがゆったりと笑顔を向けてきた時、胸の奥から鼓動が反響して聞こえてきた。

 こういう時にするべき表情を、私は知っている。


リップ「!!今のスマイル……んもう、もっと瞳に焼き付けたかったのにぃ」

 次は、もっと自然な具合で見せたいと思った。
 ▼ 193 ライドン@カードキー 25/09/15 20:55:12 ID:zcJ6mrKQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 194 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/23 21:57:17 ID:TrvQDm1. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 先だって撮影した映像の見直し、編集が一応終わり、次に何を撮ろうかという話になった時である。身を乗り出してきたリップが、私にいたずらっぽい顔を向けてきた。鼻腔を包み込む朧げな香り。

リップ「ねね、何か演りたい役とか、撮りたいシチュエーションなんてないの?」

 面食らいながら、投げかけられた言葉を理解しようとする。私が撮影に役者(その呼称が正しいかは分からない)として参加しているのは、あくまでリップの要請を受けてのものだ。
 自分の望みを表明するなど、創造の埒外にあった。

リップ「カラマネロちゃんには難しい演技を頼んでるもの。お互いにメリットがなかったら、ビジネスとして成り立たないじゃない?」

 それはこれまで生きてきた中で、最も困難な問いかけだった。蓄えた知識だけで解決する類のものではない。自分自身の心に質さなければ、答えが出ないのであるから。

〜〜〜〜〜〜〜〜

リップ『はぁっ、はっ、はっ、は……きゃあっ!』

 豊かな乳房を、艶やかな髪を振りながら逃げてくる姿。褐色の裸身。目の前でもつれたように転び、露になった双臀が目の前で弾む。

リップ『!……来てくれたの?助けに来てくれたのねっ!』

 潤う瞳を輝かせ、こちらに勢いよく抱き着いてくる。身体に圧し掛かる、張り詰めた柔らかさ。閉じた両目からは涙の輝きが伝う。細い首を縛める首輪が、何から逃げてきたのかを声高に語っている。

リップ『ここにいたら、もう……壊れてしまうわ。助け出して……お願い』

 私は"両腕"でリップの肢体を持ち上げ、足早に動き始めた。眼下のリップがぽつぽつと語り始める。

リップ『ここに連れ込まれて、服を剥ぎ取られたわ。下着も……。リップの身体を舐め回すようにじろじろ見つめてきて……』

 刻み込まれた恥辱を思い起こす言葉が、震える唇から漏れる。

リップ『見るだけで終わらなかった……胸も、お尻も、それから……手で、舌で、おかしな機械まで使われて』

 顔を真っ赤にして黙り込んだリップを抱きしめる腕に、少し力を籠める。
 ▼ 195 ロスター@きかいのぶひん 25/09/23 22:33:36 ID:vYDA.eZQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 196 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/25 20:36:37 ID:WVOU.7g6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 そのままリップを抱え、迷路のような通路を駆け抜ける。腕の中のリップは恐怖に押し潰されそうな顔で目を瞑り、脱出できる時をひたすら待っている。いつもの澄ました態度からは想像もできない、庇護欲をそそられる表情だった。

 明るい場所に出て、立つように促す。恥辱にまみれた魔窟から脱出できたことを実感し、開いた瞳は安堵の光に満ちていた。

リップ『ああ……!助かったのね!ありがとう、本当に……あり、がとう……!』

 安堵が弾けて涙が溢れるのも構わず、緊張の解けたリップが腕を絡ませてくる。

リップ『どうかお礼をさせて。リップのカラダで、ココロで、貴方を癒してアゲル……♡』

 うっとりと目を閉じたリップが、艶めく唇を近づけてくる……。

〜〜〜〜〜〜〜〜

 教室にチャイムが鳴り響く。二十数組の机と椅子が並ぶ中、私は一人で座っていた。そこに、女が一人入ってくる。

リップ『お・待・た・せ。今日も勉学に励んだかしら』

 教師と呼ぶには、あまりに戦場的な恰好だった。白いシャツのボタンは二つほど開け放たれ、胸の谷間どころか、褐色肌に映える紫のブラジャーまで垣間見える。
 スカートの丈はあまりに短く、タイツに包まれた両脚と肉付きの良い太股が、惜しげもなく曝されていた。

 ヒールの音を響かせながら、形の良い尻を振るように歩き寄ってくる。

リップ『こないだのテストの結果、とっても良かったわ。リップと二人っきりで補習を頑張ったおかげね』

 間近に迫って赤い丸の書かれた紙をみせてくる。
 しかし、本当に見せたいのは、シャツに押し込まれた乳房の方に違いない。
 ▼ 197 レディア@テラピースこおり 25/09/25 20:46:28 ID:.Nh6WuzY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 198 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/09/25 22:01:00 ID:WVOU.7g6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 舌なめずりを一つすると、リップはおもむろに指を谷間に潜らせる。戻ってきた時、手には授業で使う指示棒があった。

リップ『ご褒美も兼ねた特別授業よ。女のカラダを見つめる時に、大切なコト……』

 リップは背を向けたかと思えば、唐突に上体を下ろし、私の眼前に大きな尻を押し出してきた。張り詰めたスカートが、今にも破けそうだ。
 しなやかな両脚を下の方で交差している。しっかりとした体幹のおかげか、全く身体がぶれていない。

リップ『はっきり答えなさい?先生のドコに見惚れてたのかしら……』

 獲物を甚振る捕食者のような、蠱惑的な目線。
 微かに指先を震わせ、手渡された指示棒で一点を差す。スカートと両脚の隙間。秘部を覆い隠す、手の込んだ刺繍の施された薄布……。

リップ『正直でイイ子ね。だけど、もっとじっくり舐め回すように見るのよ』

 授業を受ける生徒として、私は忠実に指示に従った。指示棒を沿わせるように、足首からふくらはぎ、太腿、そして尻。視線で撫で上げながら、その曲線を確かめた。

リップ『はぁ、あ、あぁぁぁ……ん、んぅ、ふふ♪』

 もどかしそうな吐息と共に、リップが身体をくねらせる。
 生徒に見せるべきでない痴態も、我慢できないのだろうか。
 ▼ 199 者◆gLo7a3IgfY 25/10/07 20:40:48 ID:scRspOJc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ご無沙汰しております。
10月11日(土)に次の更新を予定しております。

なお、Z-Aの発売日である16日、遅くとも31日の完結を目指したく思います。
 ▼ 200 ウドボーン@メトロノーム 25/10/07 20:40:59 ID:jVBEz0g6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
頑張れ
 ▼ 201 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/10/11 17:07:10 ID:NrAsxayU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 リップの豊かな双臀が机の上に横たわった。スカートとタイツの間、褐色の輝きを湛える太股に目が奪われる。悩ましく熱い吐息が頭上から降ってきた。

リップ「ここからは二人っきりの実技面談よ。貴方の表と裏、先生の奥の奥まで教え込んでちょうだい……」

 潤む瞳が閉じられる。唇の弾力がゆっくりと押し付けられた……。

〜〜〜〜〜〜〜〜

 出来上がった映像を確認して、リップは満足げに頷いている。

リップ「イイわぁ。すっごくイイ!撮りたい筋書きで演技すれば、やっぱり感情の籠り方が違うのね」

 ドームにいた頃は屋外で授業を行う教師と生徒を見ていたが、そこまで好奇心をそそられた訳ではなかった。リップが幼馴染が勤務しているアカデミーのことについて楽しそうに話しているのを見、自分が生徒になることを着想したのである。

 そして、もう一方だが。

リップ「リップのこと、助けようとしてくれたんでしょ。カラマネロちゃんたら、紳士なヒーローなんだから」

 何やら、買い被られている。

リップ「リップがオシオキされてる映像撮ってた時、少しモヤモヤしてそうだったもの。申し訳なかったから、今回のを入れさせてもらったってワケ」

 重苦しい気分が私の中で満ち満ちた。


 私は、映像の中で悶えるリップを本当に案じていただろうか。
 誰か知らない男の両手を演じる中で感じた苦々しさは、リップの身体を弄んでいるのが、自分ではないということから発したものではないのか。
 
 それは優しさではない。自分は断じて紳士ではない。

 罪悪感に押し潰される前に、私はスマホロトムに干渉して文字を連ね始めた。

『言っておかねばならないことがある』
 ▼ 202 ドグラー@ふっかつそう 25/10/11 17:34:27 ID:BoesZWzw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 203 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/10/11 18:43:50 ID:NrAsxayU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リップ「あら。どうしたの、あらたまって」

 半瞬、躊躇した。だが、一度振り切ってしまえば、言葉は堰を切ったように溢れてくる。全てのきっかけについての話だった。


 ドームでリップを見かけ、下着が露になった瞬間を目の当たりにしたこと。それ以来リップの下に行くことを望み、少年を催眠術で操る無法に手を染めてまで、機会を得たこと。


 許されなければ、潔く受け入れよう。そう思う。ドームに戻れと言われれば、それに従う覚悟はしている。つもりである。未練が纏わりつくというのであれば、自分自身に催眠をかけてでも帰る気でいた。
 リップと共に過ごした記憶を消そうと思えないのが、どうしようもない自分の弱さに違いない。

 全てを明かされたリップは、私の言葉を咀嚼しながら、考え込む素振りをしていた。沈黙が重い。時間の感覚が曖昧になり、長い孤独の中に押し込まれた気分だ。


リップ「……そういうことなら」

 私は身構えた。

リップ「明日は撮影も仕事も休んで、オフにしましょうか」


 言葉の真意をどうしてもはかりかね、私は固まった。

リップ「そういうコトだから、明日は朝から空けといてね。んふふ、約束よ」

 甘い考えを抱きそうになる自分を戒める。別れを告げる機会を設けようというのかもしれないのだ。
 ▼ 204 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/10/13 00:07:00 ID:J76Y/Aq6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜

 夜が明けた。私にとっては、審判の時が来たと言うべきであろう。

 目が覚めたと思えば、私はすぐさまボールの中に収められた。

リップ「まだしばらく寝ててもイイわよ。ほんの少しで着いちゃうけど」

 遠方のトレーナーとポケモンを交換するシステムはとうに人間社会に普及している。目覚めてボールから出た時、元いたドームか、あるいは全く知らない場所に送還されていることすら有り得るのだ。

 静かに懊悩しながら、ボール越しに揺れを感じていた。何か、というよりポケモンに乗って移動している時のそれだ。リップの手持ちの中でこれほどの速度を出せるのは……

 ボールが開かれる。

リップ「はぁい、着いたわよ。リップのとっておきスポット」

 波のさざめきと潮の匂い、足下の砂の感触。

 夜が明けたばかりの空を映す海に向かって、リップは歩き出した。


「行きなよ」

 私とリップを運んできた、クエスパトラが言う。

クエスパトラ「アタシ、近くで好きに走ってるから。ここへの道はアタシしか知らないんで、そういうことで」
 ▼ 205 ライオン@アマカジのあせ 25/10/13 07:07:11 ID:b8REBfW. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 206 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/10/13 18:59:32 ID:J76Y/Aq6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 そう言い残すと、サイコパワーの軌跡を残してクエスパトラは走り去っていった。
 最後の切札役を務めるというフラージェスと並び、リップの側に立っているのがクエスパトラだという。マスターであるリップのことを、知悉しているのだろう。

 海の方に視線を戻せば、リップは躊躇もなく海へと歩みを続けている。手の届かないところへ行ってしまう、由ない不安に苛まれた私の足は、意識の外で動き始めた。親から離れたくない子供のように、必死に。


 リップの両手が白いワンピースの裾にかかる。

 一気に捲り上げられた後には、一糸纏わぬ女体の輪郭があった。


 足が止まる。水面の揺らめきの前で、確かな実在を示す女体の線に、暫し見惚れる。空、海、砂浜。横一文字にそれらを分かつ線を繋ぐ鎹であるかのように、リップの裸体は凛と立っていた。

 手招き。
 こちらを誘うリップの両目が湛える、妖しくも穢れのない光。解き放たれたような色だった。

リップ「冷たくて気持ちイイわよ。おいで、ほら。……ほらっ」

 脛まで海に浸かったリップの、太腿と尻。腰から、背中。目を離さずに、私は駆け寄った。
 ▼ 207 ッカグヤ@きちょうなホネ 25/10/14 19:56:28 ID:qQwI3pSQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエン
 ▼ 208 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/10/14 22:40:04 ID:j3zokJGc [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 かつて頭だった足を海に浸す。不快ではない冷たさが足に伝わってくると同時に、今の頭はぼんやりと温かい。リップの姿が目の前にある。

 張り詰めるように引き締まった肢体、その各処に溢れるような柔らかさがある。褐色の裸体を彩る乳頭と紫の毛髪が、どこまでも鮮烈だった。

 リップが身を屈め、両手をぱっと広げる。直後に感じた飛沫で、水をかけられたことを知った。反応のしようもなく、固まって立ち尽くす私を見て、リップは口に手を添えて笑った。
 汚れを知らぬ子供のように。

 その後もリップは、はしゃぎながら私に水をかけ続ける。その度に揺れる乳房に、踊る尻を目で追っていた私だが、ようやく求められていることを察した。
 両の触手で水を掬い上げ、リップに浴びせる。

リップ「いやんっ!」

 褐色の珠の肌に弾ける水。陽の光を散りばめたような煌めきが、剥き出しの女体を照らす。腰の曲線に水滴を伝わせるリップが、反撃してくる。

 暫く、海の水をかけあった。他愛もない応酬に、満面の笑みを浮かべて黄色い声を上げるリップ。互いに濡れそぼってきた頃、リップは私に背を向けた。

リップ「ほらっ、おいで。捕まえてごらんなさい?」

 水面を蹴立ててリップが駆け出す。水を浴びて光を帯びた豊かな尻肉が、誘うような軌跡を描いて右に、左へと動く。私も、後を追う。
 ▼ 209 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/10/14 22:52:05 ID:j3zokJGc [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 キャモメの鳴き声が遠くに聞こえる中、私とリップは浅瀬で走った。
 追われていたリップが躓いたように倒れ込む。差し出されるように尻が突き出され、思わず立ち止まった。リップは相変わらず笑っている。

リップ「今度はこっちが行くわよぉ」

 リップが方向を転じ、こちらへと向かってきた。整ったフォームで走る度、乳房が揺れる。今度は私が追われる側となった。
 ざぶ、ざぶと水を踏む音が大きく、近くなってくる。

 私は浅瀬に倒れ込んだ。水の冷たさに、総身が包まれる。そして、覆い被さる柔らかな重み。リップの身体。目の前に、笑みがあった。

リップ「ふ……ふふ。んふふっ。ふふふ……あはははははははっ」

 艶やかな笑声が海と空に溶けてゆく。
 それを聞いた私は、自らの顔が緩んでいることに気がついた。


 砂浜にシートを敷き、並んで座った。

リップ「はぁ〜あ、スッキリできたぁ」

 満足気に伸びをするリップは、沖に向かって労うように手を振った。はぎしりポケモン・ハギギシリの姿がある。野生ポケモンなどが誤って近づかないよう、警備を頼んでいたのだろう。

リップ「……それで、昨日話してくれたことだけど」
 ▼ 210 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/10/15 17:53:32 ID:O4eoJSKI [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 身体が強張るのが分かった。

リップ「結論から言うと、カラマネロちゃんはこれからもリップの所にいてもらうつもりよ」

 それを聞いても、私の胸に去来したのは安堵ではなく、疑問と困惑だった。それを見透かしたように、リップが薄い笑みを浮かべる。

リップ「口に出して説明するような理由じゃないけど、気になるんでしょ?だから教えてあげる」

 長い睫毛を一度だけ伏せ、静かにリップは語り出す。

リップ「撮影を始める時に言ったことを覚えてる?何かになりたい、自分を変えたい心が人もポケモンも輝かせるんだって。だけど……それは何かを傷つけることにも繋がるの。何よりも、自分自身をね。そういう人、リップの生きてきた場所にはたくさんいたわ」

 リップはひと呼吸置き、さらに続ける。

リップ「でもね、だからこそリップは、今いる世界が好き。夢中になれるもののために全てを懸けて、それで消えない傷を負っても、迷惑をかけても、それを指差して笑うつもりにはなれない。だから、放っておけなかった……」

 言い淀むリップの顔に浮かぶのは、面映さだった。自信に満ちた佇まいのリップも、このような表情をすることがあるのかと驚く。

リップ「ううん、違う。違うわ。そんな、誰かを救えるような偉そうなご身分じゃないの」

 リップが触手を優しく握ってくる。

リップ「もう忘れてるわよね。あの日、リップの身体を触るように……いやらしいことをするように、リップから誘ったこと」

 忘れる訳がない。心に直接突き刺さってきた衝撃を。
 ▼ 211 オルブ@どくけしのみ 25/10/15 17:53:53 ID:W94cwMrg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 212 ラマネロ◆gLo7a3IgfY 25/10/15 17:58:24 ID:O4eoJSKI [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リップ「あれがリップよ。どうしようもなく欲しがりで、好きモノで、来てくれたばかりのポケモンにあんなことをお願いしちゃうような女」

リップ「そんなリップを、貴方はたくさん悦ばせてくれた」

リップ「貴方の欲望が、リップの本性を見せることを受け入れてくれた」

 双眸に灯る真剣な光が、眩しい。

リップ「だから……だからね」


リップ「リップは、これからもカラマネロちゃんと一緒にいたい」

リップ「貴方は……どう?」


 触手に、滑らかで柔らかい感触があった。
 自分でも気がつかぬうちに、リップを抱きしめていたのだ。褐色の肌に無粋な痕をつけまいと、慌てて力を緩める。

 それが、私の答えだった。

リップ「……ありがと」


 リップの唇が近づいてくるのを、目を閉じながら感じる。


 今、心に湧き上がる感情を何と言うのだろう。


 潮騒だけが響く中、そんなことを考えていた。
 ▼ 213 援感謝!◆gLo7a3IgfY 25/10/15 18:02:45 ID:O4eoJSKI [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ◯月×日、ベイクジムリーダーのリップ氏は、新作映像コンテンツの発売および配信を発表した。

 自らの美貌を惜しげもなく披露した、渾身の一作に仕上がっているという。リップ氏はインタビューにて、


『この作品のテーマは、ズバリ"愛"よ。ひたむきな愛、無邪気な愛、人には言えないようなアブノーマルな愛。今回、撮影に協力してくれたパートナーに、リップはたっくさんの愛をもらったの』

『それを皆さんにお裾分けして、愛について考えるきっかけになってもらえると、嬉しいわ』


 と、語る。

 映像からは読み取れない、しかし、確かに全編にわたって貫かれている愛を、確かに感じられる言葉だった。



催眠烏賊の欲望、そして愛   〜完〜
 ▼ 214 ラチフ@ヤミラミのほうせき 25/10/17 17:42:24 ID:g8XA4s/o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

失踪せず書ききってくれてありがとう
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