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ブースター「フレアドライブなんて出来ない……」

 ▼ 1 イドリップ 14/10/21 02:45:58 ID:Ijb8YYrQ [1/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【プロローグ】


僕はイーブイです。

生まれた時から、攻撃力が他の人より優れていたみたいで、僕は将来を期待されていました。

学校でも、成績は常にトップ3には入っていたし、何事にも真面目に取り組んできました。

だから、先生にも褒められていました。

けど、それが原因で妬まれてもいました。

でもでも、仲間はたくさんいました。

他の子より優れた所があると、ポケモンは誰しも、“一緒に付き合っていきたい”って思うか、“ウザったい、妬まし”と思うかのどちらかでした。

僕にはまだ、前者の方が多くいました。

あの日までは……。
 ▼ 200 イドリップ 14/10/27 20:33:59 ID:0Z4D4KKw [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ブースター 「……ここから東エリアをわまって、ふもとの小河に進んで。そこなら安全だから!」

 ナゾノクサ 「分かった。どうもありがとう!」

 キレイハナ 「あなたも気を付けてね!」


北エリアは、やっぱり風向きの関係で安全と思われたのか、何匹かのポケモンがいた。

けど、別に安全そうで残っていた訳では無く、燃えているエリアからの一時避難的な意味で、ここに来ていたらしい。

そんなポケモン達を、僕は安全な経路で小河へと案内した。ひと通り回ったので、多分、この辺に残っているポケモンはいないと思う。



北エリアを歩き回るうちに、だんだん感じる熱気と焦げたにおい。いつのまにか、燃えているエリアに近付いていたようだ。


 スピアー 「次! そこからそこまで頼む!」

 ストライク 「任せな!」

 ハッサム 「オレは向こう側やるぜ!」

 ブースター 「あっ! スピ兄!」

そこにはスピ兄の姿があった。何匹かのストライクと、ハッサムに、カイロスもいる。
 ▼ 201 イドリップ 14/10/27 21:25:42 ID:.KtgE3nE [1/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 スピアー 「おぉブースター!」

 ブースター 「東と北エリアをまわったけど、もう残ってるポケモンはいないはずだよ!」

 スピアー 「そうか。ご苦労だったな! それよりお前はここから離れるんだ」

 ブースター 「うん……けど、皆は何を……?」

 ストライク 「燃え移りそうな木は最初から伐り倒しちまおうって寸法さ!」

 ハッサム 「ここで延焼を食い止めれば、奥まで炎が行くこたぁ無いからな!」

 スピアー 「そう言うことだ」

なるほど。燃え移るものが無ければ延焼は止まる……。最小限の被害で済まそうってことか。

 ストライク 「けど如何せんオレ達だけじゃ無理がある!」

 ブースター 「えっ!?」

 ハッサム 「延焼を食い止めるには、燃えてる周囲全部の木を切らなきゃならねぇんだ! この数でそれだと間に合うか分からねぇ!」

 ブースター 「そんな……よしっ! 避難してるポケモンで、木を切れる力があるポケモンを呼んでくるよ!」

そう言った瞬間だった。

 リングマ 「待ちな。オレも加勢するぜ。“きりさく”!」

不意に後ろから声がして、振り向くと、リングマが勢いよく木を切り倒す姿が飛び込んできた。

 ブースター 「リングマっ!」
 ▼ 202 イドリップ 14/10/27 21:40:38 ID:.KtgE3nE [2/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ブースター 「コノハナとビーダルは!?」

 リングマ 「あいつらは小河に運んだ。時機にオレの仲間もここに来る。オレ達の住処を奪われる訳にはいかねーからな!」

 スピアー 「そいつは心強い……! よし! とにかく延焼だけは防げ! いま燃えてるヶ所から、半径20メートルは切り倒すぞ! 火の粉で燃え移る可能性もあるからな!」

 ストライク 「よっしゃやったるぜ!」

 カイロス 「オレはお前らより切るのが遅い……。釜がある奴は手前を頼む! 奥側はオレに任せろ!」

 リングマ 「カイロス! オレも奥側に加勢してやる!」

 ハッサム 「ストライクども! 熱に怯えるな! 森を守ることだけを考えろ!」

 スピアー 「いや熱には怯えろ! こっから燃えてる側は諦めて延焼させるんだ! 安全な場所から、確実に延焼を防ぐ方針を取る!」

 ハッサム 「オッケー! 聞いた通りだストライクども!」

 ストライク達 「「「 了解っ!!!! 」」」

皆が一つになった。僕らが住む、美しいこの森を守るために。

そうだよ。ポケモンって、本来こういう生き物なんだよ。いがみ合ってても、有事の時には協力し合う……。

迷惑考えずに勝手にバトル始めるニンゲンとは違うんだ!
 ▼ 203 イドリップ 14/10/27 22:05:05 ID:Ijb8YYrQ [2/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とそこに、別のスピアーが1匹、慌てた表情で飛んできた。

 別スピアー 「兄貴! ニンゲン共のバトル、決着ついたみたいでっせ!」

 スピアー 「本当か! で、どうなった!?」

 別スピアー 「へぃ! ボーマンダ亜種を連れたニンゲンが負けたんですが……話を聞いてると、どうやらそいつ、密漁者らしいでっせ!」

 スピアー 「なにぃ!?」

 別スピアー 「密漁者とバトルしてたニンゲンは2人いましたが、そっちは子供のオスとメスで、多分そっちは悪意無しでっせ!」

 スピアー 「分かった。で、密漁者はどうした!?」

 別スピアー 「それが、変なマシンで空に逃げやして……自分が対処していいもんかと思い、兄貴の指示を仰ぎに来た次第でっさ!」

 スピアー 「逃げやがったのか……分かったご苦労! お前は第一部隊に合流して砂を撒け!」

 別スピアー 「合点でっさ!」

 ブースター 「スピ兄……密漁者って!?」

 スピアー 「この大火事の原因が、馬鹿なニンゲンのせいだってことだ! オレはそいつを探す! また火事でも起こされたらたまんえぇからな!」

 ブースター 「あっ……スピ兄っ!」

僕が言い終わる前に、スピ兄は飛び立った。確かに密漁者をほっとく訳にはいかないけど……スピ兄だって危険だよ!
 ▼ 204 イドリップ 14/10/27 22:37:23 ID:Ijb8YYrQ [3/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このエリアに、逃げ遅れたポケモンはもういない。

僕はスピ兄が向かった方へと足を向けた。


密漁者に挑もうなんて、いくらスピ兄だって危険すぎる。

勝負の前に、捕獲されちゃったら太刀打ちできなくなってしまう。

足が悪い僕が行ったからって、状況がどうなるかなんて分からない。

けど、これまで僕を助けて来てくれたスピ兄を、ほっとく訳にはいかないんだ。

スピ兄たち……この火事だって、スピ兄たちが率先して状況を良くしようと頑張ってるんだ。

スピアー達は、確かに狂暴かもしれない、怖いかもしれない。

けど、森の一大事には先陣を切って行動するほど、頼りになる存在なんだ。責任感が強い存在なんだ。


だから多分……スピ兄は自分ひとりで密漁者に立ち向かうつもりなんだと思う。


そんなこと……それで怪我でもしたら、スピ兄の強い意志は誰が皆に伝えるって言うんだよ!?

僕は向かった。スピ兄の元へ。
 ▼ 205 ダンギル@しろいビードロ 14/10/27 22:53:02 ID:XlFfKI56 NGネーム登録 NGID登録 報告
ボーマンダ持ちの密漁者…Jかな?
 ▼ 206 ォーグル@かみなりのいし 14/10/27 22:59:50 ID:a2YgNflA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マンダの相手はリザX?
 ▼ 207 ルズキン@こうこうのしっぽ 14/10/27 23:00:53 ID:UG5aov1A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メガラティだろ
 ▼ 208 ォッコ@GBプレイヤー 14/10/27 23:17:47 ID:pC/.m2R. NGネーム登録 NGID登録 報告
アルトマーレ展の人?
 ▼ 209 イドリップ 14/10/28 00:01:40 ID:0Z4D4KKw [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>208
とうとうバレましたね(笑)
 ▼ 210 イドリップ 14/10/28 00:58:16 ID:0Z4D4KKw [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こういう時、右足が動かないのが本当に恨めしい。早くスピ兄の元へ行って、加勢したい、協力したい、無事な姿を見たい。

バトルが終わって密漁者が逃げたってことは、普通に考えれば、密漁者が負けたってことだ。

けど、ニンゲンは頭が良い。しかも密漁者が……丸腰で逃げ出す訳がないんだ。



スピ兄の無事を祈った僕だけど、そんな期待、簡単に裏切られてしまった。

 ブースター 「あっ……」

木の影から、スピ兄が倒れている姿が見えた。

その傍には、ドラピオンと、ニンゲンの姿が。あれが密漁者……やっぱりまだ戦えるポケモンがいたんだ!

 「馬鹿な奴だ。たった1匹で私に刃向おうなど、愚かすぎて失笑ものだ。だいたい、野生のザコが人間に立ち向かう時点で、お前の頭はどうかしている」

密漁者のニンゲンは、予想に反してメスだった。黒い服を着て、銀色の髪をしている。サングラスをかけているせいで、瞳からだいたい感じ取れるはずの表情は分からない。

 ブースター 「助けないと……今度は僕がスピ兄を助ける番だ!」


スピ兄!

そう叫んで飛び出そうとしたその時。僕の尻尾が、何者かに捕まれた。

 *** 「待て」
 ▼ 211 イドリップ 14/10/28 01:13:24 ID:.KtgE3nE [3/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しまった仲間がっ!?

 ブースター 「……って、リングマかよ驚かすな!」

後ろにいたのは、リングマだった。いつの間についてきたんだよ。

 リングマ 「あいつが密漁者って訳だな」

 ブースター 「間違いないね。スピ兄を酷い目に合わせて……許せない!」


僕はリングマの腕を振り切って、木の影から飛び出した。

 ブースター 「おい密漁者っ!」

 「……何だ。また私に刃向う野生か?」

 ブースター 「僕たちの森を荒らして! スピ兄にまで手を出して! お前ら絶対に許さないぞ!」

 ドラピオン 「お前もこの森の野生か」

 ブースター 「そうだ!」

 ドラピオン 「痛い目見たくねーなら帰れ。ニンゲンに育てられたポケモンに、野生が敵うはずがない」

そのドラピオンの、勝機に満ちた、完全に上から目線の態度が、僕には気に入らなかった。
 ▼ 212 イドリップ 14/10/28 02:05:45 ID:Ijb8YYrQ [4/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ブースター 「そんなのやってみなくちゃ分からないだろ!」

 「ふん。威勢よく鳴いてるようだが……しょせん野生は野生。取るに足らん。ドラピオン、“ミサイルばり”」

 ドラピオン 「了解! オラ“ミサイルばり”だぜ!」

ニンゲンは、突然攻撃指示を出した。そして、ドラピオンの動きも早い。

 ブースター 「うわっ……!?」

“ミサイルばり”は、無防備な僕に直撃した。炎を体にまとわせて、防御に転じる隙も無かった。

 「ふん。その程度の攻撃も避けきれないとは……話にならんザコだな」

 ブースター 「くっそ……」

 ドラピオン 「お前……右足怪我してるんだな」

 ブースター 「それがどうした!?」

 ドラピオン 「そんな体でオレに立ち向かうとは……なめられたもんだな! テメェにはオレ達の怖さを教えてやるよ」

ドラピオンの目の色が変わった。こいつ……相当鍛えられてる!

 「ドラピオン、“クロスポイズン”だ」

 ドラピオン 「覚悟しな」

ドラピオンは、鋭い鋏を僕に向けて迫ってくる。……やっぱり早い!
 ▼ 213 イドリップ 14/10/28 02:23:52 ID:Ijb8YYrQ [5/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ブースター 「甘く見るな! “フレアドライブ流し”!」

ドラピオンをギリギリまで引きつけて、僕は炎を生成し、体を包み込む。そして体を捻るようにして受け流した。

 ドラピオン 「なにっ!?」

 ブースター 「うぉらぁっ!」

そして、頭突きする要領でドラピオンの腹に突っ込んだ。ドラピオンのスピードを逆手に取った“フレアドライブ流し”、今度も成功した……と思ったが、甘かった。

 ドラピオン 「クッ!」

ドラピオンは即座に体勢を整えて、僕からの直撃を回避した。

 ドラピオン 「……なるほど。炎の鎧でオレに突っ込む算段ってのが、お前の自信に繋がってた訳か」

 「ドラピオン距離を置け!」

マズいぞ……。僕の手の内が今のでばれてしまった。

しかも、“フレアドライブ流し”は失敗。ドラピオンに全くダメージを与えていない状況でだ。

 ドラピオン 「お前、バトルに対応できる動き、出来ないんだろ?」

 ブースター 「クッ!」
 ▼ 214 クフーン@たんちき 14/10/28 02:43:19 ID:zcf2yQEw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 215 イドリップ 14/10/28 02:46:50 ID:Ijb8YYrQ [6/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ドラピオン 「だったら……威力低いワザで少しず〜つ苦しませてやるよ。“ミサイルばり”!」

ドラピオンの尻尾から無数の針が打ち出されて、的確に僕の体にヒットさせる。

 ブースター 「うわっ……」

 ドラピオン 「オラどうしたどうした!?」

回避しようと動いても、ドラピオンは僕の動く方向に射程範囲をずらしてくる。……つまり、回避が封じられてしまった訳だ。

 ブースター 「クッ!」

だったら守りに転じるしかない。僕は炎を生成して、体に纏わせる。“ミサイルばり”の針は、僕に直撃する前に全て焼け落とせばいいんだ。

 ドラピオン 「防御か……けどいつまで持つかねぇ?」

不吉な笑みを浮かべるドラピオン。“ミサイルばり”を中断する気配はない。

 ブースター 「……ヤバい」

防御壁を作る程の炎を生成するには、そこそこ体力を消耗する。しかも、連続で出し続ければ、その疲労は相当なものだ。


 ブースター 「だっ……ダメだっ……!」

とうとう、僕の体力が負けてしまった。長時間連続での炎の生成は、これが初めてだ。まだ自分の限度を知らない僕にとって、体への負担は想像以上にキツかった。

 「ふん。“クロスポイズン”」

 ドラピオン 「落ちたな! 楽にしてやるぜ! “クロスポイズン”!」
 ▼ 216 イドリップ 14/10/28 02:54:47 ID:Ijb8YYrQ [7/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドラピオンの鋏が迫ってくる。

けど、炎を生成することは出来ない。休む時間が必要だ。しかし、そんな時間は与えてくれない。

 ブースター 「くっそぉ!」

そうだ……バク兄が言ってたっけ。炎の鎧、“フレアドライブ流し”は、本当にピンチの時に、切り札に使えって。

今回、始めから僕の切り札を見せてしまったのは、明らかに失敗だった。もっと他の方法が、きっとあったはずだ。

僕のミスだ……。



ガキーン! という鋭い音が響き、僕はハッとする。

 ブースター 「……リングマ!?」

見ると、リングマがドラピオンの攻撃を受け止めていた。あの爪で……“きりさく”の構えで防御したのか?

 ドラピオン 「なんだお前……野生の仲間か?」

 リングマ 「仲間じゃねーが、これ以上オレ達の森を荒らす奴は許さねぇ。密漁者なんぞ、もっての外なんだよっ!」

リングマは、僕の方なんて一瞬も見なかった。僕を助けた訳ではない。

けど、同じように森を守る想いがあることは明白だった。

普段はウザったいリングマが、これほど頼もしく見えるなんて……そうとう切羽詰ってたんだな、僕……。
 ▼ 217 クーダ@ルアーボール 14/10/28 07:46:27 ID:0hb9OMiA NGネーム登録 NGID登録 報告
リングマかっけー
 ▼ 218 イドリップ 14/10/28 17:14:13 ID:IW6Pui0w [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 「また邪魔者か……。とっとと片づけるぞドラピオン! “ミサイルばり”!」

いま、リングマの爪とドラピオンの鋏はぶつかって硬直状態。しかしドラピオンには尻尾がある。

尻尾から“ミサイルばり”を発射し、それは大きく放物線を描いてリングマに向かっていく。

 ドラピオン 「どうする? “ミサイルばり”に対処すればオレの“クロスポイズン”が動き出すぜ?」

 リングマ 「ふん。オレは欲張んねぇんだ」

 ドラピオン 「は?」

リングマの左拳に力が貯まっていくのが分かった。

 リングマ 「おら“アームハンマー”!」

 ドラピオン 「ぐはっ……」

リングマは、右手でドラピオンの鋏を抑えたまま、左手で“アームハンマー”を繰り出した。……申し分ない威力だ。

 リングマ 「チッ……!」

そして、“ミサイルばり”がリングマに降り注いだ。“ミサイルばり”を受けてでも、ドラピオンに一撃喰らわせたってことか。
 ▼ 219 イドリップ 14/10/28 17:45:45 ID:IW6Pui0w [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 「何をしている!? “ミサイルばり”だ!」

ニンゲンが怒鳴る。なんでこう、ニンゲンはポケモンに対して上から目線なんだろう。

 ドラピオン 「オラァ喰らいな!」

ドラピオンは尻尾から“ミサイルばり”を発射する。

 リングマ 「うおおおぉぉぉ!!!」

その攻撃を、リングマは両腕でガードしながら、ドラピオンも元へ駆け抜け、一気に間合いを詰めた。

 ドラピオン 「こいつ……!」

 リングマ 「“きりさく”!」

 「“つじぎり”で向かい打て!」

ダメージを顧みず、弾丸のように接近したリングマ。その鋭い爪と、ドラピオンの鋭い鋏が激突した。

まるで鉄と鉄がぶつかったような、鈍い音が響き渡る。

リングマは、力でニンゲンのドラピオンと互角に渡り合っているのだ。
 ▼ 220 イドリップ 14/10/28 18:02:53 ID:wJyF33xU [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 「“ミサイルばり”で距離を取れ」

ドラピオンは“ミサイルばり”をほぼゼロ距離で放ち、衝撃でリングマを遠ざける。

 リングマ 「糞がッ……!」

距離を開けられたリングマは、なおもドラピオンに迫る。今度は爪を鈍く光らせて……“きりさく”の構えで。

 「引きつけて“どくばり”だ!」

そして、リングマが爪を振り下ろすまさにその瞬間、“どくばり”が撃ち込まれてしまった。

 リングマ 「クッ……おらぁ!」

 ドラピオン 「うがっ……!」

けど、“きりさく”攻撃はドラピオンに直撃した。攻撃を受けても自分の手を緩めない、リングマらしい、当たって砕けろ的な攻撃スタイルだ。

 リングマ 「がはっ……はぁっ……はぁっ……」

 ドラピオン 「ふん。毒が回ったみたいだな」


 ブースター 「リングマっ……!?」

マズい予感が的中した。今の“どくばり”で、リングマは毒状態に陥ったのだ。

今まで普通の状態で互角だったのに、毒のダメージを受け続けてしまっては、圧倒的に不利になる。

 ドラピオン 「勝負はついたな」
 ▼ 221 イドリップ 14/10/28 18:10:07 ID:wJyF33xU [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 リングマ 「っ……黙れ!」

 「“クロスポイズン”だ」

リングマが必死の抵抗を見せようとしたとき、“クロスポイズン”がリングマに直撃した。

 リングマ 「グッ……っ!」

 ドラピオン 「楽にしてやるよ。すぐにな!」

 「連続で“つじぎり”」

 ドラピオン 「オラ“つじぎり”だ!」

 リングマ 「させるかっ……!」

リングマは大きく拳を振り上げて、“アームハンマー”の体勢に入る。

……しかし、やっぱり動きが鈍っていた。毒のせいだ。

 リングマ 「ぐはっ……かっ……」

ドラピオンの“つじぎり”が、容赦なくリングマに直撃した。

 ドラピオン 「終わらねぇぜ!」

しかも、1発だけじゃない。2発、3発、4発……動きが鈍いことをいいことに、ドラピオンは連続で“つじぎり”を繰り出し、リングマを苦しめる。

 リングマ 「てっ……テメェ……!」
 ▼ 222 イドリップ 14/10/28 18:20:00 ID:wJyF33xU [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ドラピオン 「終わりだ」

ドラピオンは一瞬攻撃を止めたが、それは、力を貯めている時間に過ぎなかった。

今までとは明らかに威力の違う“つじぎり”が放たれ、リングマは弾き飛ばされた。あのリングマの巨体がだ……。

 リングマ 「おぶっ……!」

そして、僕の横の木に衝突した。

 ブースター 「リングマっ!?」

リングマに反応は無い。苦痛の表情を浮かべて、木に もたれ掛っている。

 「ふん。私に刃向おうなど考えた罰だ」

 ドラピオン 「張り合いねーな。所詮、野生は野生。ザコが調子乗ってんじゃねーよ!」

 「ドラピオン。始末しろ」

 ドラピオン 「……自分らの無力さを恨むんだな!」

ドラピオンが、ゆっくりと近づいてくる。ニンゲンが言う“始末”が、何を意味するのか、考えなくても分かる。

ここで終わりなのか……僕たちは。
 ▼ 223 ノノクス@ヘルガナイト 14/10/28 18:27:46 ID:sy8vfrW. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リングマ、毒で動きが鈍ったってことは速足じゃないのか。
速足だったら攻撃避けられたのになー。
 ▼ 224 イドリップ 14/10/28 18:30:00 ID:wJyF33xU [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど、ニンゲンの密漁者に、そして、ニンゲンに飼われている生意気なドラピオン委、タダでやられるなんて冗談じゃない。

僕は最後の力を振り絞って、体内で出来る限りの炎を生成した。

 リングマ 「……おいブースター」

その時、息も切れ切れに、リングマが口を開いた。

 ブースター 「リングマ……」

リングマは、僕の方を見ずに話を続ける。

 リングマ 「オレはお前のことが嫌いだ」

 ブースター 「なっ……僕だって!」

 リングマ 「……だが、この森を荒らすニンゲンは、それ以上に嫌いだ。反吐が出る」

 ブースター 「……それは同感だね」

 リングマ 「お前……まだ炎を作れるのか?」

 ブースター 「あぁ。残ってる力を全部注ぎ込めばね」

 リングマ 「このまま くたばるくらいなら、お前を使ってニンゲンに一矢報ってやりたいんだが、どうだ?」

 ブースター 「拒否する理由が無いよ。けど……僕を使うって、何をする気なの?」

 リングマ 「いいか、お前を…………して、オレが…………」

 ブースター 「……なるほど。乗った! 僕の最後の ぶっつけ本番だ!」
 ▼ 225 イドリップ 14/10/28 18:40:01 ID:wJyF33xU [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 リングマ 「だあああぁぁぁぁぁらあああぁぁぁぁ!!!」

リングマは雄叫びを上げながら、最後の力を振り絞るかのように立ち上がった。

 リングマ 「行くぜブースター!」

 ブースター 「おぅ!」

僕はリングマの右腕に抱きかかえられる。そして、リングマは走り出した。


 ドラピオン 「……なんだ?」


リングマの考えた作戦は、まさに、目から鱗だった。

よくそんなことを考え付いたものだ。

お前のことは嫌いだけど、正直これは凄いと思った。


 「何の真似だ? ドラピオン! “ミサイルばり”で蹴散らせ!」


だって、お前はもう体力がほぼ無いって言うのに、そんな自殺行為、普通はしない。

……けど、森を守るためなら、自分の体力なんて庇ってる場合じゃないんだ。

現に僕もそう。僕にとっても、これは自殺行為なんだ。
 ▼ 226 イドリップ 14/10/28 18:50:00 ID:wJyF33xU [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ドラピオン 「無駄な足掻きなんだよ! “ミサイルばり”!」

ドラピオンが尻尾を僕らの方へ向けた。

“ミサイルばり”を直接喰らったら、僕かリングマか、あるいは2人とも、ダウンするかもしれない。

けど、ダウンすることより、あいつらに一撃喰らわせることを優先しよう。それが、僕とリングマの共通意識だ。


リングマに抱えられてドラピオンに迫る……その時間が、妙に長く感じられた。

走っているはずなのに、時間がゆっくり、そして、とても静かに感じられた。


僕は生まれつき攻撃が強かった。

けど、お父さんとお母さんは、僕を残して死んでしまった。

僕も、足に大きな怪我を負って、右足が動かなくなった。

それが原因で、いじめられるようにもなった。

勝手にブースターに進化させられて、僕は酷く落ち込んだ。

でも、その進化は、僕にとって最適なものだった。

最後に、燃える森からポケモンを助ける手伝いを出来たから。それだけで、僕がこの世に生まれ、生きて来た甲斐があったってものだ。


“ミサイルばり”が、直撃した。
 ▼ 227 ピナス@いいキズぐすり 14/10/28 18:55:09 ID:B4TUXd6E NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 228 イドリップ 14/10/28 18:59:59 ID:wJyF33xU [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ドラピオン 「クッ……テメェまだっ……!?」

 スピアー 「へへっ……黙ってやられてたまるかってんだよ……」

それは、倒れていたスピ兄が放った、渾身の“ミサイルばり”。

ドラピオンの動きを一瞬止めるのに、十分な威力だった。


スピ兄がくれたチャンス、無駄にはしない!


 リングマ 「行きやがれブースターっ!」

 ブースター 「あぁ! ちゃんと我慢しろよリングマっ!」


リングマは僕の首根っこを掴みなおして、その腕を大きく振り上げる。

苦しい。苦しいけど、僕はやるんだ。

スピ兄の想いも、リングマの想いも、この森の全てのポケモンの想いも、踏みにじる訳には行かないんだ。

僕は、限界に近い体内で作り出した炎を、自分の体に纏わせた。

 ドラピオン 「なにっ……!?」

行くぞっ!
 ▼ 229 イドリップ 14/10/28 19:10:00 ID:lCCG/MIQ [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ブースター 「フレアドライブ……!!!」


 リングマ 「……シューーーーート!!!」


 ▼ 230 イドリップ 14/10/28 19:20:00 ID:lCCG/MIQ [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
何をしたかって?

“フレアドライブ”さ。


リングマは言った。

この状況を打開するには、大技で一撃で決めるしかない。しかし、今の自分にそこまで力は残っていない。

だからお前に賭けてやる。もしお前がまだ炎を作れるなら、オレがお前をドラピオンの元まで連れて行く。そこで炎を爆発させろ。


そう。リングマの考えは、2匹で行う捨て身の攻撃。きっと僕の“フレアドライブ流し”を見て、思いついたんだと思う。

“フレアドライブ”を構成する、“炎の鎧”と“とっしん”の要素。

その後者を、リングマが買って出たのだ。

炎を纏った僕をリングマが抱えて、ドラピオンに叩きこむ……名前を付けるならそう……“フレアドライブ・シュート”。

1700度にも達する僕を掴むリングマには、相当な負担がかかるはずだ。

そして僕だって、叩きつけられるダメージは大きいはずだ。

2匹で作り出すそれは、本当に捨て身の“フレアドライブ”なんだ。
 ▼ 231 イドリップ 14/10/28 19:30:00 ID:lCCG/MIQ [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 リングマ 「叩き……込むぞぉぉぉ!!!」

 ブースター 「行っけぇぇぇ!!!」


僕はさらに炎を強めて、ドラピオンの脳天を狙った。

リングマも力を込めて、僕をドラピオンに叩きこんだ。


 ドラピオン 「ぐはっ……くっ……がっ……」


ドラピオンの断末魔が聞こえた。

しかし、叩きつけられた衝撃と、炎を無理矢理作り出した疲労、負担。それらが同時に僕を襲い、急激に意識が遠のいて行った。

多分リングマも……毒状態で無理矢理動いて、しかも僕の炎をモロに受けている。リングマの体力も限界だろう。


 「馬鹿な……私のポケモンが……ガキに続いて野生ポケモンにやられた……だと!? バカなっ!?」


薄れゆく意識の中、ニンゲンの悔しそうな叫び声が聞こえた。


勝ったんだ……僕たち。ニンゲンの密漁者に、この森を荒らした犯人に……勝ったんだ。
 ▼ 232 イドリップ 14/10/28 19:40:00 ID:lCCG/MIQ [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

僕は目を閉じた。

体が動かない。

息をするのも苦しい。

本当なら、スピ兄の元に駆け寄って、スピ兄の無事を確認したい。

リングマに向き合って、素直に、一緒に戦ったお礼を言いたい。

でもダメだ。しゃべる気力も残っていない。



 「……あなたたち、大丈夫!?」

不意に声をかけられた。

けど、目を開けないし、体も動かせない。耳だけが、その声から判断できる情報を僕に伝えた。

 「酷い怪我……こちら第4班! 負傷した野生ポケモンを発見、至急、救助準備の願います!」

その声の主はニンゲンで、どうやら僕たちを助けてくれるようだ。

 「大丈夫、すぐに助けが来るわ!」

まったく……ニンゲンにボロボロにされたのに、今度はニンゲンに助けられるのか。皮肉なもんだな……。


ここで、僕の意識はプッツリと切れた。
 ▼ 233 トベター@ふるびたかいず 14/10/28 20:04:59 ID:Uj5seIH. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おい、嫌な予感がするのは俺だけか・・・?
 ▼ 234 イドリップ 14/10/28 21:20:00 ID:.KtgE3nE [4/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【ポケモンとニンゲン】


……ここはどこだろう。

暖かいし……足元がフワフワしている。

そう、それはまるで……雲の上にいるみたいだ。

雲の上……そうか。僕、雲の上にいるんだ。


あぁ……もっと生きていたかったな。

だって、ブースターに進化したことを、素直に喜び、誇れるように思えて来たから。

嫌だなんて言ってたブースターの進化を、受け入れる決心がついたから……。

それに、憧れの“フレアドライブ”が放てたんだから……。

そうだ。

リングマにお礼も言えていない。

スピ兄にも、今までお世話になった感謝の気持ちを伝えていない。

何だってこんなに早くに……せめて、皆にもう一度会いたかった……。


 *** 「気が付いたみたいだね?」
 ▼ 235 イドリップ 14/10/28 21:30:00 ID:.KtgE3nE [5/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ブースター 「君は……こんな雲の上にも、ポケモンがいるんだね」

 *** 「違うよ。ここは雲の上じゃないよ。ベッドの上さ。……確かに、雲みたいにフカフカだけどね」

僕はゆっくりと目を開けた。

カーテンの間から細く降り注ぐ、暖かな朝日。

フカフカの足元は、真っ白なベッド。

 ブースター 「病院……なんだね」

 *** 「そうさ。君たち、昨日の夜に運ばれてきたんだよ」

どうやら僕は、助かったみたいだ。まだ少し体は痛むけど、辛いほどでもないし、炎も、作ろうと思えば作れそうだった。

 *** 「また会ったね、ブースター」

 ブースター 「君は昨日の……」

そこにいたのは、昨日、ニンゲンからフランクフルトを貰った時に一緒に居た、ピカチュウだった。

 ピカチュウ 「心配しちゃったよ。凄い怪我だったから」

周りを見回してみると、広い部屋の中に、ベッドはまだいくつか並んでいた。

僕の向かいにピカチュウがいて、その列のベッドには、フォッコ、ケロマツ、ルチャブル、ヒノヤコマ、デデンネが。

僕の列のベッドには、スピ兄、リングマ、ヤミカラスが2匹。

 ブースター 「そうか……みんな助かったんだ……良かった……」
 ▼ 236 ネブー@ラティアスナイト 14/10/28 21:58:24 ID:VReQ9eRg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アニメ勢勢揃いだな、ハリマロンェ…
 ▼ 237 イドリップ 14/10/28 22:00:00 ID:Ijb8YYrQ [8/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ピカチュウ 「何があったの?」

 ブースター 「うん……。昨日、僕たちの住んでた森で、大火事があったんだ。その犯人が、密漁者だったんだ」

 ピカチュウ 「えっ……」

 ブースター 「その密漁者、ニンゲン同士でバトルしてて、そのせいで火事が起きたんだ」

 ピカチュウ 「うん……」

 ブースター 「その密漁者を絶対に許せなくて……僕とスピ兄とリングマで、そいつに立ち向かったんだ。そいつのポケモンは倒したけど……僕たちも気を失っちゃって、気付いたら、ここに運び込まれてたって訳さ」

 ピカチュウ 「あの……」

 ブースター 「どうしたの?」

 ピカチュウ 「ごめんなさい……その密漁者のバトルの相手、僕たちなんだ」

 ブースター 「え!?」

 ピカチュウ 「僕たちの仲間が密漁者に捕まって……それを助けるために……本当にごめんなさい! そのせいで、君たちまで巻きこんじゃって……!」

 ブースター 「そうだったんだ。いいよ、だったら悪いのは、全部密漁者じゃん。君たちは関係ないよ!」

 ピカチュウ 「そう言って貰えると嬉しいよ。ここにいる僕たちもね、その密漁者とバトルして、負けちゃったんだ」

 ブースター 「そうなの!? 密漁者がバトル相手から逃げ出したって聞いたから、てっきり勝ったんだと……」

 ピカチュウ 「うん。勝ったには勝ったけど、それは別のポケモンのお陰さ。僕らだけだったらどうなってたか」

 ブースター 「そっかぁ」
 ▼ 238 イドリップ 14/10/28 23:30:12 ID:9yeO4Bak NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
僕たちは、お互い笑い合った。同じ経験をしたってことだもんね。俄然、親近感が湧いてきた。

 ブースター 「ねぇピカチュウ、聞いてもいい?」

 ピカチュウ 「なに?」

 ブースター 「君はニンゲンと一緒で、辛い事なんて無いって、昨日言ったよね?」

 ピカチュウ 「うん」

 ブースター 「だけど、何でニンゲンには、言い奴と悪い奴がいるんだろう。悪い奴に捕まったら……僕がバトルした密漁者のドラピオンだけど、辛そうには見えなかったんだ。ニンゲンに捕まったら、そのニンゲンの意識に洗脳されちゃうの?」

 ピカチュウ 「う〜ん……難しい質問だね。確かに、ニンゲンには良い人と悪い人がいるよ。でも、きっとそれは“良い心”を忘れてるだけで、大元は、みんな良い人のはずなんだ」

 ブースター 「うん……」

 ピカチュウ 「それはポケモンだって同じさ。悪いポケモンなんていない……。きっと悪い人にゲットされたポケモンは……待ってるんだと思うよ。ご主人が、“良い心”を取り戻すことをね」

 ブースター 「そっかぁ……」

 ピカチュウ 「だからブースター、ニンゲンのこと、嫌いにならないでね。絶対にニンゲンは良い人なんだから」

 ブースター 「……実は僕、迷ってるんだ。ニンゲンにゲットされるかどうか」

 ピカチュウ 「……え?」
 ▼ 239 113 14/10/28 23:33:09 ID:FdmGOMyw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リングマ毒でパワーアップしないってことは根性でも早足でもないのか

てっきり リングマ毒喰らう→根性で大逆転かと思ったのに
 ▼ 240 ロリーム@じてんしゃ 14/10/29 00:01:41 ID:oa/cul2I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
てことはリングマは緊張感か
 ▼ 241 イドリップ 14/10/29 00:15:00 ID:0Z4D4KKw [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ブースター 「僕ね、事故で、右足が動かないんだ。野生として生きていくのも、そろそろ限界かなって思い始めてて」

 ピカチュウ 「そうなんだ……」

 ブースター 「それで、大きな町の病院に行けば、僕を保護してくれる人がいるみたいでさ。……けど、密漁者のこともあるし、正直迷ってるんだ。ニンゲンを信じて、保護されていいのかって」

 ピカチュウ 「うん……なるほどね」

 ブースター 「ピカチュウはどう? 今までニンゲンと一緒に暮らしてて、どんな感じだったの?」

 ピカチュウ 「サト……僕のご主人はね、ポケモンのことを、本当に大切に想ってくれてるんだ。一緒に色んな地方を冒険して、ジムを巡って、ポケモンリーグに出て。仲間もたくさん出来たし、野生のままだったらできないような経験を、ご主人として来たんだ」

 ブースター 「冒険かぁ……」

 ピカチュウ 「そりゃぁ、辛い事だってあったさ。強い敵にぶつかったり、……極論を言うと、死にそうなことだってあったよ。イベルタルってポケモンに石化されちゃってね」

 ブースター 「うわぉ……」

 ピカチュウ 「けどね、ご主人は本当、いつも僕たちのために一生懸命だったんだ。危ないことを差し引いたって、ご主人と過ごした毎日は、とっても楽しかったよ」

 ブースター 「そうなんだ……。僕はピカチュウが羨ましいよ。ニンゲンにゲットされて、そんなに素晴らしい生活を送れて……」

 ピカチュウ 「もちろん、僕がご主人のポケモンになったのは、運が良かったと思うよ。……けど、ニンゲンのことを、もっと信用して良いと思うよ。ポケモンが嫌いなニンゲンなんて、いないはずだもん」

 ブースター 「そっか……ありがとうピカチュウ。参考になったよ」

 ピカチュウ 「どういたしまして!」
 ▼ 242 イドリップ 14/10/29 00:37:14 ID:0Z4D4KKw [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ブースター 「本当に良いニンゲンに巡り合えるかは運だと思うけど、……もう少し、ニンゲンを信用してみようかな」

 ピカチュウ 「うん。是非そうしてよ。それに、保護したいってニンゲンなら、きっとブースターのこと、可愛がってくれると思うよ!」

 ブースター 「……うん」

 ピカチュウ 「ポケモンとニンゲンの関係ってさ、野生のポケモンが思ってるほど、悪いものじゃないんだよ。それだけは、僕が断言する」

 ブースター 「うん。信じるよ」

自分の経験を語ってくれたピカチュウは、本当に活き活きとしていた。その表情が、ニンゲンといて楽しいことを、何より物語っていた。

僕はあの火事から、ポケモンを安全なところに誘導したし、密漁者にも勝つことができた。

僕はあの森で、自分の役目を果たしたんだ。

……それで十分じゃないかな。



 「失礼します。あら、ピカチュウとブースター、起きてたのね」

ニンゲンが入って来た。白とピンクの服を着て……確かこの服は、医者だったと思う。

 「ピカチュウ達、お迎えが来たわよ」
 ▼ 243 イドリップ 14/10/29 00:46:23 ID:0Z4D4KKw [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ピカチュウ 「じゃあブースター、僕たちもう行くね」

 ブースター 「うん。いろいろとありがとう。決心がついたよ!」

 ピカチュウ 「うん。ニンゲンのこと、信じて貰えて嬉しいよ」

 プクリン 「皆さん移動するよ〜」

病院の助手のプクリンが、ピカチュウ達のベッドを外に運び出した。……動くんだ、ベッドって。

 ピカチュウ 「じゃあねブースター! 君のこれからの素晴らしい人生を祈ってるよ!」

 ブースター 「ありがとう! ピカチュウもこれから頑張って! またいつか会おうね!」



 「ピカチュウ! 良かったぁ元気になったんだな!」

 「フォッコ! ごめんねフォッコ……怖い目に合わせちゃって……」

 「ジョーイさん……あの子は?」

 「えぇ、あの子は上の病室よ。誰にも見られないように、ね」

 「そうですか……ありがとうございますジョーイさん」

 「いいえ」

 「それじゃあ早く行こうぜ。シトロンとユリーカ、病院で待ちくたびれてぞ」

 「そうね。おいでフォッコ!」
 ▼ 244 イドリップ 14/10/29 00:53:43 ID:0Z4D4KKw [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウ達のベッドが運び出されて、部屋の中は途端に寂しくなってしまった。

部屋の外からは、再会を喜ぶニンゲンの嬉しそうな声が聞こえる。

あんなにポケモンのことを想ってくれるニンゲンが……世の中には いるんだな。


 ブースター 「……いつから起きてたんだよ」

 リングマ 「……何のことかな」

気が付くと、リングマの腕が微妙に動いていた。案の定、リングマはずっと起きてたんだ。

 ブースター 「僕は……お前のことが嫌いだ。勝手に僕を進化させて、今まで散々いじめてきて。正直うんざりだったんだ」

 リングマ 「……ふん」

 ブースター 「でも……ありがとう。僕を信じてくれて。僕に“フレアドライブ”を撃たせてくれて、本当にありがとう。今となっては、ブースターに進化したこと、後悔なんてしてないからさ」

 リングマ 「勘違いするな。密漁者を倒すためだ。消去法でお前の力を借りただけだからな」

 ブースター 「それでもいいよ。……正直さ、吹っ切れたよ。密漁者を倒して、森の皆を助けることができたんだ。それに、もう諦めてた“フレアドライブ”を撃つことが出来て。もう、あの森に未練は無いかな……」

 リングマ 「ニンゲンに飼われる……ってことか」

 ブースター 「何だよ。やっぱり聞いてたのかよ」

 リングマ 「密漁者と やり合った後に飼われるたぁ……つくづくおめでたい奴だな」

 ブースター 「ほっとけよ!」
 ▼ 245 イドリップ 14/10/29 01:33:26 ID:.KtgE3nE [6/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 リングマ 「さっきのピカチュウどもは特別だろ。あんな生活望んでニンゲンに飼われようなんざ、後悔するに決まってるぜ」

 ブースター 「……いや、僕はピカチュウの言ったことを信じるつもりさ。それに、保護したいってニンゲンの所に行くんだ。きっと大丈夫さ」

 リングマ 「ったく。お前は つくづくバカだな。はじめはいいだろうが、時機にお前みたいな足が悪いポケモンなんざ、飼うのも面倒になるだろ。自分の立場を考えろ」

 ブースター 「さっきから言わせておけば……そんなに僕の人生の邪魔をしたいのかよ!?」

 リングマ 「分からねぇ奴だな……森に残れって言ってんだよ!」

 ブースター 「……えっ?」

 リングマ 「はぁ……。正直、お前のあの“フレアドライブ”のパワーは、認めざるを得ねぇ。お前なんかに賭けたオレもバカらしかったが、お前はその賭けに勝ったんだ。そのパワーは誇れるもんだぜ」

 ブースター 「リングマ……」

 リングマ 「お前はオレと森を守ったんだ。それだけでお役御免でニンゲンに飼われるなんざ、森の他の奴らが聞いたらどうだ? お前の役目は、むしろこれからなんじゃないか?」

 ブースター 「これから……」

 リングマ 「お前をブースターに進化させたことは……謝ってやる。だが、オレはお前のことが嫌いだ。これは変わらねぇ」

 ブースター 「これから、ねぇ……。もう少し、考えさせて貰うよ」

 リングマ 「勝手にしろ」
 ▼ 246 イドリップ 14/10/29 01:35:06 ID:.KtgE3nE [7/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ブースター 「……で、スピ兄の方はいつから起きてたの?」

 スピアー 「うぐっ……うぅ……森を守った2匹がっ……互いを思い遣って……泣けるじゃねぇかっ……グスッ」

 ブースター 「スピ兄……」

 スピアー 「ブースターの攻撃力と、“フレアドライブ”を撃つって言う強い意識と……リングマは炎に恐れずブースターを撃ち込んで……しかも特性“こんじょう”でパワーアップした状態でだ。お前ら2匹の強い結束で、森は守られたんだぜ……


 リングマ 「……ふん。オレの“こんじょう”を見抜いてやがったか」

 ブースター 「お互い、最大の攻撃を密漁者に撃ち込んだって訳だね」

 リングマ 「……そうだな」

 ブースター 「あとスピ兄、森を守ったのは、僕たち2人じゃないよ。スピ兄を入れた、3匹だよ!」

 スピアー 「ブースター……へへっ。嬉しいじゃねーか!」

 ブースター 「帰ろうよ、みんなで森へ! 自信を持って! 誇りを持ってさ!」


そうだよ。僕たちは、もっと自信を持って良いんだ。

僕たちは、ニンゲンの密漁者に打ち勝ったんだ!
 ▼ 247 イドリップ 14/10/29 01:39:03 ID:.KtgE3nE [8/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>223 >>239 >>240
リングマの特性は“こんじょう”でした。
毒状態の現実的な影響を考えると、「攻撃が上がる=一気に大逆転」とは成り得ませんからね。
 ▼ 248 ッポウオ@ライブキャスター 14/10/29 13:52:53 ID:96WV1HTI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>247
確かに「こんじょう」は攻撃が上がっても毒ダメは受けるからな。
毒が苦しいのに変わりはないんだろう。


リングマ、カッコよかったぜ
 ▼ 249 ヤコマ@おちゃ 14/10/29 17:42:53 ID:clSLbDns NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 250 ガヘルガー@たからぶくろ 14/10/29 21:09:20 ID:SYFfxMJE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 251 ナギラス@おまもりこばん 14/10/29 22:20:31 ID:cM.K8Gpw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 252 イドリップ 14/10/30 01:43:14 ID:.KtgE3nE [9/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
病院からの帰り道。僕は色々なことを考えた。

ニンゲンに保護されることも悪くは無い。あのピカチュウの話を聞いて、ニンゲンにも、ちゃんと良い人がいるって分かったから。

けど、リングマの言葉も引っ掛かる。

僕は密漁者と戦い、勝ったことで、僕があの森でするべき役目を果たしたんだと考えた。

けど、リングマは「これからだ」って言う。これ以上のこと、僕に何が出来るって言うんだろうか。



昨日の大火事の現場に戻って来た。

まだ燻った匂いが充満していて、あまり良い気分では無い。

けど、被害は最小限に食い留めたようだ。爆発した火元の小屋を中心に木々が燃え尽きているけど、その距離は半径25メートルって言ったところか。

そこから外側にだいたい10メートル、木が伐り倒されて、延焼はそこで止まっていた。

ストライク達とハッサム、カイロス、それに、リングマの仲間たちが、延焼を防ぐ目的で大伐採したからだ。

つまり、小屋を中心にだいたい35メートルくらいは被害に遭ったけど、その外側の森は、ほとんど無傷と言う訳だ。

あんなに激しく燃えて、激しく黒煙を吹いていたのに、これだけの被害で収まったのは、ほとんど奇跡と言っていいだろう。

重要なのは、その“奇跡”を、僕たち森に住む野生ポケモン達が引き起こしたと言うことだ。

普段は縄張りを気遣いながら生きている僕たちだけど、ピンチの時はお互い助け合って、本気で問題解決に撃ち込む……。

それが、僕たち野生ポケモンの本性なんだ。
 ▼ 253 イドリップ 14/10/30 02:01:11 ID:Ijb8YYrQ [9/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハッサム 「おっ! 主役共が帰って来たぞ!」

 バタフリー 「良かった! 皆さん無事だったんですね!」

 キノガッサ 「聞いたよ聞いたよ! みんなが密漁者からこの森を守ったんだってね!」

 ホルビー 「正直凄いと思ったよ。ニンゲンに立ち向かうなんて!」

 コンパン 「そうそう。僕たちだったら、一目散に逃げ出してるよ!」


 ブースター 「みんな……」

小屋のそばの広場には、この森に住むポケモン達が集まっていた。

そして、僕たちは熱烈な歓迎を受けた。いじめっこのリングマも、狂暴だと怖がられていたスピ兄も。

 バタフリー 「みなさん、この森を密漁者から守ってくれて、本当にありがとうございました。代表して、私からお礼申し上げます!」

拍手と歓声が沸き起こった。種族関係なく、ここに集まった野生ポケモンたちみんなから。

 バタフリー 「スピアーさん、リングマさん、ブースターさん。みなさんがいれば、この先ずっと、この森も安全でしょうね!」


僕はハッとした。

そうか。リングマが言ってた「これから」ってのは、このことだったんだ。

僕が生まれてきた役目……、それは、この森を守ること。ずっと守り続けることだったんだ……。
 ▼ 254 イドリップ 14/10/30 02:36:09 ID:Ijb8YYrQ [10/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 スピアー 「なに言ってんだ。火事を消すのに、多くのポケモンが、種族、縄張り関係なく、協力し合った。そして、火事から避難する時も、みんなきちんと指示に従った。オレ達だけじゃねぇ。この森全てのポケモンが協力し合ったからこそ、この森の平和は守られたんだ!」

 リングマ 「ま、自分の住処がニンゲンのせいで無くなるのは気に入らねぇからな。仕方なく戦ってやったんだ」

 スピアー 「お前も素直じゃねーな、リングマ」

 リングマ 「……ふん」

 スピアー 「……ブースター。お前ももっと誇って良いんだぜ?」

 ブースター 「いやぁ。森の皆が無事だったのは、ホント、お互いに協力し合えた結果だよ。それに密漁者と戦ったって言っても、その……リングマのお陰で勝てたんだ。僕が出しゃばる場面じゃないよ」

 スピアー 「お前はそう思ってるかもしれないがな。皆は違うみたいだぜ? お前もいたからこそ、この森は救われたんだ。もっと自信を持て!」

 リングマ 「ま、お前も少しは役に立ったんじゃねーのか?」

 ブースター 「スピ兄……リングマ……」

 スピアー 「ニンゲンに保護されるかどうかは、お前の自由だ。だがな、この森で居場所が無いなんてこと、有り得ないぜ? 大人の姿になって、この森で生きにくいなんてこと、絶対に無いんだぜ?」

 ブースター 「うん……うん……っ!」 グスッ

あれ? おかしいな……?

なんで涙が出て来るんだろう。なんで嬉しいのに……涙が出て来るんだろう。

僕は、この森で必要とされている……。足が動かないなんて関係ない。皆が僕を、受け入れてくれてるんだ……!

 ブースター 「みんな……ありがとうっ!」
 ▼ 255 ノズ@すくすくこやし 14/10/30 17:11:59 ID:ph6OZafc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 256 ルマユ@ていきけん 14/10/30 17:23:55 ID:UMWhQvOE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 257 ラミドロ@ピーピーリカバー 14/10/30 19:31:39 ID:bptOypRs NGネーム登録 NGID登録 報告
支援age
 ▼ 258 イドリップ 14/10/30 20:12:08 ID:0Z4D4KKw [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【エピローグ】


あの事件から、森は少し変わった。

ある程度の縄張り意識は残っているけど、それが少し、寛容になったと思う。

そして、ポケモン達の、スピ兄たちへの恐怖心が和らいだ。少なくとも、見た瞬間に逃げるといったことは無くなった。

これにはスピ兄は喜んでいたけど、ニンゲンは相変わらず、スピ兄を見つけると逃げ出してしまう。果たして、スピ兄がニンゲンと握手できる日は訪れるのだろうか。


僕はと言うと、ニンゲンに保護される道は、ひとまずお預けにした。

相変わらず右足は引きずったままだけど、この森で生きていくうえで、そのハンデは、ほとんど気にしなくていいものになったから。


例のコノハナとビーダルが、僕に絡んでくることは無くなった。と言うより、話しかけることさえ無くなった。

嫌いな相手には無関係でいようといったところかな。僕もその方が気が楽だし、何も困ることは無い。ただ、リングマみたいに一言謝って欲しかった。

そのリングマとも、今となっては会話することなんてほとんどない。けど、会釈くらいはしてくれるし、僕も会釈で返している。

何だかんだで、僕とリングマは、お互いのことを分かり合えたんだと思う。

また何か大変なことが起きたら、自然と、僕はリングマと協力して対処に向かうだろうな。
 ▼ 259 イドリップ 14/10/30 20:12:48 ID:0Z4D4KKw [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモン同士の関係は、今の状況が一番良いんだと思う。

関わりたければ関わって、嫌なら互いに無視すればいい。それなら無益な戦いは生まれない。


ポケモンとニンゲンはどうだろう。

少なくとも僕は、ニンゲンをもっと信用しても良いんじゃないかと感じている。

あのピカチュウの言葉もあるけれど、この前、ある出来事が起こった。

街の子供たちが、燃えた森に植林をしに来たのだ。

クスノキや、サカキ、イロハモミジ、それに、貴重な食料となるザロクの木やモモンの木を。

苗木の状態だったから、元の森のようになるまで、20年、30年とかかってしまう。

けど、森を大切に想ってくれているニンゲンが、たくさん居ることを知った。


ニンゲンと野生ポケモンが共生することは、思ったほど、難しいことじゃ無いみたいだ。

種族は違えど、同じ地球に生きているんだ。

確かに悪いニンゲンだっているけど、きっといつか、分かり合える日が来るんだと、僕は信じている。



僕は空を見上げた。
 ▼ 260 イドリップ 14/10/30 20:13:28 ID:0Z4D4KKw [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お父さん、お母さん、見てるかな。

僕、成長したんだよ。足が悪くたって、この森の皆に必要とされる存在に、成長できたんだよ。



あの苗木が立派な木になる頃には、野生ポケモンとニンゲンとの関係は、きっと、素晴らしいものになっていると思う。


僕がニンゲンに保護されるのは、それからでもいいんじゃないかな?



僕は前を向いた。

今日は久々に、バク兄が遊びに来るんだ。

僕は集合場所のスピ兄の家へ向けて、ゆっくり歩き始めた。



――― 完 ―――

 ▼ 261 ュゴン@プロテクター 14/10/30 21:00:59 ID:fY3WxUBA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!面白かった!
 ▼ 262 ラチーノ@フレンドボール 14/10/30 22:02:53 ID:5DqKu5u. NGネーム登録 NGID登録 報告
管理人まとめてくれ
頼むぞ
 ▼ 263 ランセル@こうこうのしっぽ 14/10/30 22:08:39 ID:2mw4TKuI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!
 ▼ 264 ッタイシ@さらさらいわ 14/10/30 22:08:49 ID:/V71h/Y2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お疲れ様です!
 ▼ 265 ジョット◆bEJIG/AxsE 14/10/30 23:53:40 ID:ZwZZUdH. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
涙出てきた・・・・
 ▼ 266 ルリル@こうこうのしっぽ 14/10/30 23:58:56 ID:MFO4t3Ic NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いい話だった乙!
結局マンダと戦ってたのは負けそうになったサトシ御一行に加勢したユウキ君のメガラティオスってことでいいのかな?
 ▼ 267 イドリップ 14/10/31 01:44:16 ID:.KtgE3nE [10/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>266
それはカノンのメガラティアスでした。
詳細は以下からどうぞ!
 ▼ 268 イドリップ 14/10/31 01:44:59 ID:.KtgE3nE [11/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 あとがき @ 】

ブースター「フレアドライブなんてできない……」(副題:僕の生きる道)

――――――――――――――――――――――――

 この度は多くの皆様に当SSを読んでいただき、ありがとうございました。
 これまで支援して下さった皆様、ご意見・ご感想を書き込んで下さった皆様に、心より感謝致します。

 まず、お気付きになった方もいらっしゃるかと思われますが、このSSは、別のSSの別視点作品、いわゆるサイドストーリーとなっています。
 当初は極力それを隠していましたが、>>208 で気付かれてしまいましたね。


 サトシ「アルトマーレ展?」(副題:アルトマーレの護神)
 http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=25338


 上記SSを、周辺に住んでいる野生ポケモン視点で描いたのが、当SSです。

 異なる2視点からのSSを執筆することは当初から考えていたため、2作品がうまくリンクするように、展開を調整しました。

 なので当SSには、「アルトマーレ展」のSSに通ずる、いくつかの伏線を忍ばせておきました。
 せっかくなので、ここで おさらいしてみたいと思います。
 ▼ 269 イドリップ 14/10/31 01:45:50 ID:.KtgE3nE [12/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 あとがき A 】

 まずは >>91 で、“シャラシティ”が登場します。
 「アルトマーレ展」では、サトシ達のシャラシティ出発後を描いていましたが、さすがにこれだけでピンときた方は、いらっしゃらなかったと思います。

 次に >>126>>155 から、“海沿いの公園で開かれているお祭り”が登場します。
 これこそ「アルトマーレ展」そのものです。

 続いて >>159 から >>166 にかけて、子供たちとピカチュウが登場します。
 これは皆さん気付かれたようで、ピカチュウ連れはサトシ、ポフレをあげたのはセレナ、可愛い可愛い言ってたのがユリーカ、お兄ちゃんと呼ばれていたのがシトロンです。“緑色の服を着た女の子”はカノンで、子供の数が1人多かったのは、彼女が含まれていたからです。

 また >>166 でシトロン役が“バスの時間”と発しています。
 これは「アルトマーレ展」の方でもシトロンが気にしていた会話で、ここでピンときた方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

 その後、 >>189 で登場した、“ニンゲン同士のバトル。”
 これはまさしく、サトシ達がJと戦っている場面で、電気小屋の爆発と、それに伴う火事、黒煙は、当SS内にも登場しています。

 >>198 >>199 でブースターが見た、全く知らないポケモン同士のバトル。
 これは、メガボーマンダとメガラティアスのバトルです。当SSで消火活動、救助活動中に、「アルトマーレ展」の方では、バトルが一気に佳境に突入しています。

 >>203 で密漁者の存在が明らかになり、 >>210 から密漁者が登場しています。
 これはJです。彼女の描写も「アルトマーレ展」で、まだ手持ちに残っていたドラピオンが、当SSで登場しています。

 ラストに、>>235 から >>243 で登場した、ピカチュウをはじめとするポケモン達は、「アルトマーレ展」内でJとバトルした、サトシのポケモンです。

 また、>>243 のニンゲンの会話の中で、“ユリーカとシトロンが病院にいる”ことを示唆しましたが、この時「アルトマーレ展」の方では、実際に2人は病院にいました。

 以上が、「アルトマーレ展」のSSに関連する伏線です。
 皆さんはいくつ気付かれましたか?
 ▼ 270 イドリップ 14/10/31 01:46:31 ID:.KtgE3nE [13/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 あとがき B 】

 このSSの目的は、“2視点から見るSS”という新しい挑戦をしたかったことが根底にありますが、語りたかった内容は、次の事柄です。

 ・誰しも生まれながら役目を持っている。
 ・ニンゲンとポケモンは、必ず共存できる。
 ・悪役に見られがちなスピアーとリングマを、良い感じのキャラに見せる。

 これらが皆様に伝わったのであれば、このSSを執筆した甲斐があったというものです。


 最後になりますが、>>20 では皆様が不快になるような発言をしてしまい、申し訳ございませんでした。
 今後またSSを書くようなことがあれば、寛容な心を持って進めていきたいと思います。

 その時は……まだ私がやったことのない、【安価SS】に挑戦してみたいと思っています。
 が、それは明日かもしれませんし、当分やらないかもしれません。忙しさと気分次第です。


 それではまたどこかで。
 完結はしましたが、感想やご意見、もし質問などがございましたら、この先もお答えしていきたいと思います。


 ――― おわり ―――
 ▼ 271 ドラン♂@もりのヨウカン 14/10/31 02:02:02 ID:k0Kj8mRU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!
 ▼ 272 ィ@おうじゃのしるし 14/10/31 12:32:52 ID:N8z78qUw NGネーム登録 NGID登録 報告
乙です!スピアーもリングマもいいキャラだったと思います。ブースターもハンデを背負っていながら頑張って生きようとしていて元気づけられました。
 ▼ 273 リルリの人 14/10/31 19:41:45 ID:3tBHgSFE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です!

リングマ、スピアーがア二ポケで活躍する時が来るといいなぁ・・・
 ▼ 274 レセリア@ルームキー 14/10/31 20:43:47 ID:0C9VD1lk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お疲れさまでした
いつも楽しみに読んでました!
スピ兄いいやつやなぁ
 ▼ 275 リーセン@ポイントカード 14/11/01 13:37:14 ID:LorZeYxE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
植えたサカキたちも森になるのかー
 ▼ 276 ヒダルマ@あおいバンダナ 14/11/02 08:08:49 ID:6ILMBmJw NGネーム登録 NGID登録 報告
age
 ▼ 277 ガドダイトス 14/11/02 14:13:31 ID:B8PogYm. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 278 ーナイト@メタグロスナイト 14/11/05 08:58:35 ID:2NE75LlA NGネーム登録 NGID登録 報告
age
 ▼ 279 イキング@エネコのシッポ 14/11/05 19:09:16 ID:wXbB/6LY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まとめあくー
 ▼ 280 ドラ@スピードボール 14/11/10 19:12:42 ID:3tBHgSFE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
age 
 ▼ 281 ロバット@フーディナイト 14/11/14 04:32:31 ID:2Lfqqu1g NGネーム登録 NGID登録 報告
あげ
 ▼ 282 クーン@やみのいし 14/11/14 07:10:20 ID:VFcKn9l2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
何故ドラピオンはSSでは悪役にされるのか
 ▼ 283 ガナ大好き◆B3yArQfdHk 14/11/29 23:18:51 ID:yVLlt7dM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
面白い
 ▼ 284 イドリップ 14/12/03 00:48:02 ID:0Z4D4KKw [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【後日談】


朝夕が少し冷え込んできた。

そんな時、僕はブースターに進化して良かったと思える。

首回りのふっさふさな毛と、体から溢れだす熱気。寒さなんて感じることは、まずない。断言する。

そしてそのことが、僕がこの森で生きていく上での新たな役割になるとは、思ってもみなかった。


 オタチ 「ふぁ〜生き返る〜」

 ジグザグマ 「ホント……ブースター君の傍にいると……ホント暖かくて良い……」

 ブースター 「ってジグザグマ、寝ちゃダメだよ! もうすぐ陽が落ちるから!」

 ジグザグマ 「ふぇ〜い……」


そう。寒がりのポケモン達を、こうして温める役割だ。

僕のもふもふは、熱気を帯びて、羽毛布団より暖かい。そんな暖を求めて、いつしか、ポケモン達が僕の家に遊びに来るようになったのだ。

右足が動かない僕にとって、ただここに居るだけで誰かの役に立てるって言うのは、これ以上ない喜びだ。
 ▼ 285 イドリップ 14/12/03 01:15:21 ID:.KtgE3nE [14/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 オタチ 「暖まった〜。ブースター、いつもありがとう!」

 ブースター 「どういたしまして。またいつでもおいでよ!」

 ジグザグマ 「そうさせて貰うよ〜。ここは極楽だよ〜ジグザグマ君」

 ブースター 「へへっ。お役に立てて嬉しいよ」

 オタチ 「じゃあブースター、おやすみ」

 ジグザグマ 「おやすみなさーい。ありがとねー」

 ブースター 「うん。おやすみ」


今日はオタチとジグザグマだけだったけど、多い日には、10匹くらい集まることもある。

枯れた大木の空洞に落ち葉を敷き詰めた僕の家では、10匹ともなると、おしくらまんじゅう状態なんだけどね。
 ▼ 286 イドリップ 14/12/03 01:16:30 ID:.KtgE3nE [15/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 スピアー 「ブースター! おるかー!?」

 ブースター 「その声は……スピ兄! いるよー! どうしたのー!?」


もう夜も近い時間に、スピ兄がやって来た。この時間に来るのは珍しい。

 スピアー 「おぉブースター、ちょいと力を貸してくれ!」

 ブースター 「えっ!? どうしたのその子!?」


家の中に入って来たスピ兄は、とあるポケモンを抱えていた。

長いリボンのような器官を持ち、クリーム色とピンク色が綺麗なそのポケモンは……ニンフィアだ。

何故だか酷くぐったりとしている。


 ブースター 「この子……まさかスピ兄に驚いて気絶しちゃったんじゃ……」

 スピアー 「強ち有り得そうなこと言うな。断じて違う。森の奥で倒れてたんだ。見た感じ怪我とかは無いが、体が冷えてる。ブースター、この子を暖めてやってくれ!」

 ブースター 「分かった。もう少し近くに寝かせて!」

 スピアー 「……この辺で良いな」

 ブースター 「うん!」
 ▼ 287 イドリップ 14/12/03 01:17:59 ID:.KtgE3nE [16/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
僕はニンフィアに寄り添って、首のもふもふを密着させて、体内で炎を生成させる。

そうすると、もふもふが暖かくなるだけでなく、まわりの空気も暖かくなる。


 スピアー 「はぁ〜。ホント、お前と一緒に居ると暖かくて生き返るわ」

 ブースター 「ふふっ。僕の新たな役割……季節限定だけど、みんなに喜ばれてるよっ」

 スピアー 「良い事だ。つくづく、お前がブースターの姿を受け入れて良かったと思ってる」

 ブースター 「ほとんどスピ兄のお陰だよ」

 スピアー 「へへっ」


 ブースター 「……けど、この子、なんで森で倒れてたんだろう?」

 スピアー 「さぁな。この辺の顔じゃないことは確かだ。……オレが見つけた時は、まだ微かに意識があったんだ」

 ブースター 「そうだったの?」

 スピアー 「あぁ。でもこいつ、オレの姿を見るなり、急に怯えだして、そのまま気絶しやがったんだ。この辺のポケモンなら、少なくともこんな反応しないだろ?」


……確かに。例の密猟者から森を守ったってことで、スピ兄たちも実は良い奴だって、この森のポケモン達は知っている。少なくとも、見ただけで怯えるポケモンはいないだろう。


 ブースター 「えっと……あながちスピ兄がトドメ刺したって言ってもおかしくないよね、それ?」

 スピアー 「ほっとけ」
 ▼ 288 イドリップ 14/12/03 01:19:05 ID:.KtgE3nE [17/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ニンフィア 「……うぅぅ……ん……」

 スピアー 「お、気が付きそうだな。じゃあオレは帰る。説明はお前に任せた」

 ブースター 「えっ!? スピ兄が助けたんだから! スピ兄が一緒に居てくれないと……」

 スピアー 「なに言ってんだ。オレの顔見て気絶したんだぞそいつは」

 ブースター 「……確かに」

 スピアー 「ま、同じ種族同士、仲良くやれば良いさ。お前ももう子供じゃないんだ。交尾くらいしたってバチ当たらねーぜ?」

 ブースター 「ここここうび……って! しないよもぉ!」

 スピアー 「ははは! またなブースター! 明日にでも感想聞かせろよ〜」


ケラケラ笑いながら、スピ兄は帰って行った。

 ブースター 「もぉ……スピ兄め……」


 ニンフィア 「う〜ん……あれ……わたし……」

 ブースター 「気が付いたみたいだね」
 ▼ 289 イドリップ 14/12/03 01:20:00 ID:.KtgE3nE [18/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ニンフィア 「……ふぇっ!? ここは……あなた誰ですか……? なっ……なんでそんなに私に寄り添ってるんですかっ!? ///」

 ブースター 「僕はこの森に住んでるブースターだよ。きみ、この森で倒れてたんだよ?」

 ニンフィア 「……そっか。私、倒れちゃってたんだ……」

 ブースター 「それで、知り合いのスピアーがここに運んできたんだ。君の体が冷えてたから、僕に暖めてあげて欲しいって」

 ニンフィア 「そうだったんだ……。てっきり襲われるかと思って……死んだふりして……そしたらいつの間にか……」

 ブースター 「ホントに気を失ってたんだね」

 ニンフィア 「悪いことしちゃったかな……私……」

 ブースター 「大丈夫。僕からお礼、言っとくよ」

 ニンフィア 「あっ……ありがとう。……と、それとっ……ブースター君、すっごく暖かいね」

 ブースター 「へへっ。みんなを暖めてあげるのが、僕の役割さ♪ ……それより、君はどうして倒れてたの?」

 ニンフィア 「実は私……捨てられちゃったんだ……」
 ▼ 290 イドリップ 14/12/03 01:44:00 ID:.KtgE3nE [19/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ブースター 「えっ!? 捨てられたって……ニンゲンにっ!?」

 ニンフィア 「うん……」

 ブースター 「そんなっ! ニンゲンは……みんな良い人だって思ってたのに。悪い人も、良い心を持ってるって信じてたのにっ……!」

 ニンフィア 「あっ……もちろん! 私もニンゲンはみんな良い人だって思ってるよ。 でも……私は、運が悪かったんだな……」

 ブースター 「運、かぁ……」

 ニンフィア 「なんかね、私のご主人様、ドリョクチ? を間違えた〜とか叫んで、急に私のこと、いらないって言いだしたの。そしたらそのまま、空を飛んでっ……どこかへ……グスッ……行っちゃって……グスッ……うわぁぁぁぁん!!!」

 ブースター 「ちょっ……ニンフィア……」

 ニンフィア 「あああぁぁぁぁぁぁんっ……うっ……グズッ……ごめっ……ごめんねブースター君……めいっ……わくっだよね……でもっ……ぅえええぇぇぇぇぇん!!!」

 ブースター 「……ううん。辛い時は、泣くのが一番だよ。涙が枯れるまで泣けば、少しは落ち着くさ」

 ニンフィア 「うっ……グスッ……ありがとっ……ありがとぅブースター君っ……うぅっ……うわぁぁぁぁぁん……!!!」


ニンフィアはしばらく、大声で泣いていた。

僕と同じだね、ニンフィア。現実を受け入れたくなくて、自分じゃどうしょも出来ないんだよね。

安心してニンフィア。スピ兄が僕を助けてくれたみたいに、僕がニンフィアを助けてあげるからね。
 ▼ 291 イドリップ 14/12/03 01:53:00 ID:.KtgE3nE [20/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
僕はニンフィアに、これまでの僕の人生を語った。


親が事故に巻き込まれて死んでしまったこと。

その事故で、右足が動かなくなってしまったこと。

いじめられていたこと。

炎の石を投げつけられて、望まない、ブースターに進化させられたこと。

スピ兄やバク兄に助けられたこと。

ニンゲンに保護されようか悩んだこと。

密猟者と戦ったこと。

いじめられていたリングマと和解したこと。

ブースターの姿を受け入れたこと。

この森で、僕の役割を見つけたこと。


ニンフィアは僕の話を、大きな瞳をもっとキラキラ輝かせながら、夢中で聞いてくれた。
 ▼ 292 イドリップ 14/12/03 01:54:00 ID:.KtgE3nE [21/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ニンフィア 「凄いよブースター君。ハンデを背負ってるのに、それに負けないで……自分の役割を見つけて……逞しく生きているなんてっ」

 ブースター 「うん。けど、それはみんなが協力してくれたからさ。僕一人じゃ、きっと何も出来なかったよ。色んなポケモンの力があって、僕の今があるのさ」

 ニンフィア 「カッコいいな、ブースター君」

 ブースター 「そっ……そんなこと、無いよっ ///」

 ニンフィア 「ふふっ。……ありがとうブースター君。私、落ち着いたよ。いっぱい泣いて。ブースター君に話を聞かせて貰って」

 ブースター 「そっか。良かった。……ニンフィアは、これからどうするつもりなの?」

 ニンフィア 「分からない。生まれた時からご主人様と一緒だったから……野生の世界とかも、ちっとも分からないもん」

 ブースター 「そっか……」

 ニンフィア 「でも……ブースター君の話を聞いて、私も逞しく生きなきゃって思ったの。体も休まったし、しばらく冒険してみようかな〜、って」

 ブースター 「ニンフィアがそう決めたんなら、僕はそれを応援するだけだよ。辛いことがあるかもしれないけど、頑張ってね!」

 ニンフィア 「うん! ありがと、ブースター君っ」
 ▼ 293 アーマン◆ktqECsssk. 14/12/03 01:55:52 ID:7N8A/V8. NGネーム登録 NGID登録 報告
スピアーとバクフーンっていったら
ケンタ思い出すな
 ▼ 294 イドリップ 14/12/03 02:04:30 ID:Ijb8YYrQ [11/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう言うと、ニンフィアは、僕に頬を摺り寄せた。


 ブースター 「あっ……うん……」


暖かい……この感じ……。

メスポケモンに こんなことされたのは、僕にとって初めてだった。

だから、僕は妙にドキドキしてしまった。こんな時、いったいどういう反応をすればいいのか……その反応が見当違いなことで、ニンフィアに嫌がられちゃわないか……とか。いくら考えても、僕には分からないことだった。


 ニンフィア 「おやすみなさい、ブースター君」

 ブースター 「あぁ。おやすみなさい、ニンフィア」


だから、と言うか。

その日は、もう眠ることにした。ニンフィアにとっても、早く眠って、体力を回復した方が良いに決まってる。

スピ兄が言ってた、こっ……交尾なんて論外だ。

そもそも、右足が動かないハンデを持った僕と交尾だなんて、ニンフィアにも申し訳ない。

オスとしての責任を考えれば、当たり前の判断だった。


……まぁ前提として、交尾のやり方、知らないんだけどね。
 ▼ 295 イドリップ 14/12/03 02:06:00 ID:Ijb8YYrQ [12/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌朝。目が覚めると、ニンフィアは、僕の顔をまじましと覗き込んでいた。


 ブースター 「……ん!?」

 ニンフィア 「あっ……おはようブースター君……」

 ブースター 「お、おはよう……えっと……どうしたの……? ///」

 ニンフィア 「ふぇっ……えっと……その……起こした方が良いのかなぁ……って考えてて……///」

 ブースター 「……あっ! お腹空いたよね? 待ってて。近くにオレンの木があるんだ」


予想外の目覚めに、とてつもなく恥ずかしい感覚が僕を襲う。ニンフィアにそれを悟られないよう、僕は右足を引きずりながら、外へ出た。


 ニンフィア 「あ、待ってブースター君!」

 ブースター 「どうしたの?」

 ニンフィア 「悪いよ。助けて貰ったのに、朝ごはんまで取りに行かせちゃうなんて。私が行ってくる! あ、あそこに見えるオレンだね!」

 ブースター 「あ、いいってニンフィア!」

 ニンフィア 「いいの〜。これくらい私にやらせて。ねっ!」


そう言うと、ニンフィアはオレンの木に向かって走って行った。

今から追いかけても間に合う訳がないし(って言うか走れないし)、ここはニンフィアの好意に甘えることにした。
 ▼ 296 イドリップ 14/12/03 02:07:30 ID:Ijb8YYrQ [13/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ― コツン!


 ブースター 「痛っ……誰だ!?」

何かが、僕の頭にぶつかった。上から落ちてきた物じゃない。水平方向に飛んできたってことは、誰かが僕に、何かを投げつけたことになる。


 ブースター 「……リングマ」


振り向くと、そこにいたのはリングマだった。

偶然会えば会釈くらいはしているが、リングマの方から僕の家の近くに現れるのは、今回が初めてだった。


 ブースター 「これ……モモンの実?」

落ちていた物、すなわち投げられた物の正体は、モモンの実だった。

濃くて綺麗なピンク色をしている。自然界では珍しく、形が崩れていない……完璧なハート形をした、モモンの実。


 リングマ 「……ふんっ」 ニヤッ


リングマは鼻を鳴らし、意味深な笑みを残して、立ち去って行った。


 ブースター 「……違うぞリングマ! 僕たち、そういう関係とかじゃないからな! 何にもしてないからな! おーいリングマぁぁぁ!!!」
 ▼ 297 イドリップ 14/12/03 02:08:30 ID:Ijb8YYrQ [14/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ニンフィア 「お待たせブースター君。……どうしたの?」

 ブースター 「あっ……いや、何でもない」

 ニンフィア 「そう? じゃあ、一緒に食べよ?」


ニンフィアは、リボンいっぱいにオレンの実を抱えていた。

彼女の笑顔も相まって、とても可愛らしく見えた。

……思わす顔を反らしてしまうほど。


こんな可愛い子と一緒に食べる朝ごはんは、今まで食べたどの朝ごはんよりも、ずっと美味しかった。
 ▼ 298 イドリップ 14/12/03 02:09:30 ID:Ijb8YYrQ [15/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
楽しい朝食の時間はあっという間に過ぎてしまった。

ニンフィアは、もう出発するらしい。


 ニンフィア 「それじゃあブースター君。色々とありがとうございましたっ」

 ブースター 「そんな。なにって大したことしてないよ。……それより、くれぐれも気を付けて、冒険してね」

 ニンフィア 「うん。冒険なんて大袈裟だけど……この冒険を通じて、私のこれからの未来を考えるんだっ」

 ブースター 「良い事だと思うよ、すっごく。応援してるからね!」

 ニンフィア 「ありがとうブースター君っ! それと……」


ニンフィアは、長いリボンを、僕の右足に優しく巻き付けて、言った。


 ニンフィア 「ブースター君の右足が、動くようになりまうようにっ……」


 ブースター 「ニンフィア……」

 ニンフィア 「ふふっ。私からの おまじない。ブースター君の健康と幸せを、陰ながらお祈りしています……ってね!」

 ブースター 「っ……/// ありがとう、ニンフィア!」

 ニンフィア 「えへへっ ///」
 ▼ 299 イドリップ 14/12/03 02:11:00 ID:Ijb8YYrQ [16/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィアは、元気よく去って行った。

昨日、大泣きする前とでは、表情が大分変っていた。吹っ切れたのかな、ニンフィア。


……あんなに可愛い子を捨てるトレーナーがいるなんて、正直、驚きだ。

前に会ったピカチュウのように、本当に大切にしてくれるニンゲンもいれば、ニンフィアのご主人みたいに、信じられないニンゲンもいる。

正直、ニンゲンの本当の姿がどういうものなのか、分からなくなって来た。


でも、ある意味ニンフィアは、良かったと思う。そんな酷いニンゲンの元を離れることができて。

そして、見知らぬ世界へと冒険して、新たな自分を見つけようとしている。

……うん。前向きに生きて行けば、きっと良い事があるさっ。


僕は大きく深呼吸して、スピ兄の家へと向かった。ニンフィアからのお礼を、きちんと伝えないと。

なんだかとっても気分が良い。心なしか、右足が軽くなったような気がする。


けど、あぁ……交尾のネタを出されるのかと思うと、足取りは重いや。

リングマも絶対に何か誤解してるはずだし……しばらくは穏やかな生活は出来ないかもな。


はははっ……。
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