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SS

【SS】ポケモンと人間が出会い、交わると言う事

 ▼ 1 1◆J44kAZeDOM 16/04/24 19:24:34 ID:12/Lxjok NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
プロローグ

「出来た……」


長年の夢。

パラレルワールドの行き来。

それが今、ここに完成したのだ。

彼女の目は、子どものように輝いていた。


「……待っててね。今、会いに行くから」


彼女はその機械を起動させ、別世界へと旅立った。

後には、その設計図だけが残されている。

彼女の目的が達成されたのか、それは誰にもわからない。
 ▼ 843 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:07:29 ID:hWQpvN82 [1/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まず、皆さまには、お詫びをしないといけません。

私たち人間の身勝手な理屈――具体的には、誘拐して、そのポケモンを売り捌く事で資金集めを行う――ただそのためだけに、数多くのポケモンを誘拐してしまいました。

その点に関しましては、申し開きの余地はありません。

人間が犯した過ちは、これから、ひたすらに償っていかなければなりません。

その点は、重々承知しております。

現在、誘拐された全てのポケモンの居場所を特定する事から始めております。

……申し訳ありませんでした。
 ▼ 844 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:08:10 ID:hWQpvN82 [2/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ところで、私は、この世界に、スパイとして潜入していました。

イーブイの姿を借りて、リオルやチョロネコ、その他たくさんのポケモンと交流を深めました。

そして、思った事。

凄く、楽しかった。

この世界にだって、暗くて、悲しい話はたくさんあるけれど、それでも前向きに変わって行く姿。

私は、そんな姿を見て、変われました。

楽しかった。

本当に、楽しかった。

楽しかったしか言ってないですね。アドリブだと、こうなったりもするみたいです。

でも、そのぐらい、面白かった。
 ▼ 845 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:08:52 ID:hWQpvN82 [3/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ただ、その中で、私は、悪意にも出会いました。

幼い子どもを風俗で働かせようとする親。

幼い子どもを風俗に留め置こうとするオーナー。

いたいけな少女をなぶるヤクザ。

性別を自分で忘れるぐらいに酷い目に遭わされた少女もいます。

もちろん、ワイロでトギリに釣られた奴だって。

だからどうしたという話です。ポケモンに悪い奴がいるから、人間が許されるべきだ、なんて詭弁を唱える気は、さすがにないです。

ただ、許されなくてもいい。一度素直になって、人間は会談に望むべきだったんです。

人口が増え過ぎて困っている。助けてくれ、って。

余計な策略なんて考えずに。

そうすれば、きっと、受け入れてくれたでしょう。

人間だって、全てが悪な訳じゃない。いい人間もいれば、悪い人間もいる。

私が、私がいい人間か、それはわかりません。

だけど、同じなんです。根本的な所では、人間も、ポケモンも。

それが、私がこのスパイ活動で学んだ事です。
 ▼ 846 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:09:21 ID:hWQpvN82 [4/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今回、私はトギリを止めるために活動しました。

誘拐されたポケモンは、間違いなく、私たちが保護し、そのポケモンの希望にもよりますが、すぐにお返しします。

今は、それしか出来ません。

許されなくても構いません。

が、私は……人間と、ポケモンが交わる事は、素晴らしい事だと思います。

異文化を吸収し、共に成長していけたら。

人間が犯した罪を、その中で返済して行けたなら。
 ▼ 847 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:09:45 ID:hWQpvN82 [5/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
以上で、私の話を終わります。

最後に、本当に、申し訳ありませんでした』


彼女は、深々と頭を下げる。理解出来ないまでも、謝罪しているのだと察しは付いた。

舞台袖から僕は、それを眺めている。

と、喧噪が巻き起こっているのに気付く。


『ちょっ……ル、チ……ネコ! 部外者は……んし……』

『イブ! イブ!』

「えっ、リオ?!」

『イブっ! 来たよっ!』

『ローネもっ!!』
 ▼ 848 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:10:50 ID:hWQpvN82 [6/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


押しとどめようとする係の人には、強引に「部外者じゃないもん!」と言い放ち、僕たちは押し入った。

そして、舞台袖から大声で叫ぶ。

イブは気付いたらしく、こちらを向いて、笑顔で声をあげた。


「おーい!」

「イブー!」

「リオ、ローネ!」
 ▼ 849 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:11:10 ID:hWQpvN82 [7/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……久しぶりだね、こうやって、また、3匹で揃うの」

「ホントにね。いつ以来だっけ」

「ローネが、私とリオを問い詰めた日だよ。爆弾の時は、リオ気絶してて、どうにもならなかったし」


記者たちが、質問を投げかけている。


「ごめん、ちょっと待ってね。

みなさん! 質問あると思いますが、まず1つお答えします! この2匹は、さっきのリオルとチョロネコです!

私の、最高の友達の!」

「うわっ、照れくさいな」

「低能ね。恥ずかし過ぎる」

「ったく、仕方ないでしょ。事実なんだもん」


僕たちは、ニコリと笑う。
 ▼ 850 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:11:34 ID:hWQpvN82 [8/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……私は、人間とポケモンは、交われると思います。

私たちの関係こそが、その証明だと言えるんじゃないでしょうか」

「うん! 絶対、ニンゲンとポケモンは、仲良くやって行けるよ」

「あたしも賛成。こんなあたしでさえ、今じゃ立派に友達してる訳だし」

『だよ、カズオ。あなたも、こっちに来てよ』
 ▼ 851 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:12:15 ID:hWQpvN82 [9/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「えっ、僕?!」

「そりゃそうよ、カズオ。あなただって、事件解決の立役者なんだから」

「……わかっちゃ」


舞台袖から、1歩1歩、歩みを進める。

そこにあるのは、たぶん、人間とポケモンの、理想の関係性。

ポケモンと人間が出会い、交わると言う事の神髄が、きっと、ここにこそある。


『彼はカズオです。この事件の立役者でした。訳有って発声能力が衰えているのと、そもそもポケモン語を話せないってので、今は話しません。質問をしてもどうにもならないので、ご容赦ください』


何を話しているのか、僕にはさっぱり理解出来ない。

その上大勢のポケモンに囲まれて、怖くないというと嘘になる。

けれど、不思議と、緊張はなかった。
 ▼ 852 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:12:59 ID:hWQpvN82 [10/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
軽く息を吸い込み、頭の中で、思考をまとめた。


「……通訳してくれにゃいか?」

「え? いいけど」


僕は、言葉を紡ぐ。

イブが、それを伝える。

僕は、過去を語った。そして、今の心理を語った。

間違いなく、僕の心は、目の前の彼女によって溶かされた。

聡明な彼女といる事は、間違いなく、楽しかった。

自分の事を理解してもらえる。その喜びこそが、僕を、変えた。

だが、彼女が僕の氷を溶かせるようになったのは、こちらの世界での経験のお陰もあるだろう。

そう言う趣旨の事を、語った。
 ▼ 853 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:13:26 ID:hWQpvN82 [11/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「カズオ……私の事、そんな風に思って」

「うん」

「……ありがとう、カズオ」

「どういてゃしましちぇ」


締まらないな、この発音じゃ。

苦笑しながら、僕は、舞台を降りた。

やはり、ここは僕の場所ではない。

ここにいる、3人の少女たちの物だ。

僕は、消えるとしよう。
 ▼ 854 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:14:29 ID:hWQpvN82 [12/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「……カズオさん、そんな闇が……」

「私だって、正直知らなかった」

「……まあ、いいじゃない! 僕も、ローネも、カズオさんも。みーんな、イブのお陰で変われた、って事で」

「ま、それもそうね」

「ちょっと! そんな恥ずかしいオチ付けないで……。あっ、みなさん、どうです? 質問ありますか?」


質問は、なかった。

きっと、あたしたちの態度が、そのまま通じたのだろう。

そうだと信じたい。
 ▼ 855 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:15:24 ID:hWQpvN82 [13/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あたしたちは舞台を降りて、イブが使っていると言う部屋へと入った。


「イブ、凄いよ。1匹で、あんなたくさんのヒトの前で話さないとダメなんでしょ?」

「……まあね。あっ、人間はね、人数を数える時に、匹じゃなくて、人って単位を使うのよ」

「へー」

「あっ、なんか違和感あったなぁと思ったら、それか。ずっと、あたしたちとは単位が違ったんだ」

「あー、そういや変えてなかったかも。バッカだなぁ、私」

「ま、いいんじゃない?」

「あ、ローネが罵らないなんて……。こりゃ明日は大雪かな」

「バカなの? リオ」

「うへぇ、いつものローネだぁ……」
 ▼ 856 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:15:56 ID:hWQpvN82 [14/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「にしても、ありがとうね、イブ。あたしたちの――ポケモンの世界を護ってくれて」

「ううん、いいの」

「……だけど、ニンゲンの技術力は強くても、僕たちの方が力は強い。不安じゃないの?」

「ああ、そーいやリオには説明してなかったか。実はね、今、人間は増え過ぎてて、食料だったり土地だったりが足りなくなって来てるの。

 そのまま行けばどのみち滅びるから、私たちは、ポケモン世界と交易を結んで、互いに行き来出来るようにしないといけなかった。

 そして、技術はそのためのエサ。

 もちろん、不安が0じゃないって言ったらウソになる。

 だけど、私たちには、最後の砦、マスターボールがある。このボールに当たったポケモンは、100パー捕まるって言う、魔法のボールがね。

 もし反乱でも起こされたら、私たちはそれを使える。……そんな事ないと、私は信じてるけど。

 あなたたちポケモンの生活に、モンスターボールなんて必要ないから、その技術を伝える必要もないしね。
 ▼ 857 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:16:32 ID:hWQpvN82 [15/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ちなみに、こんな言葉があるの。魚心あれば水心。親しみを持って接すれば、相手も親しみを感じてくれるって意味。

 だけどさ、私たち人間が黒い心を持ってれば、相手も当然そうなるでしょ。

 どっから技術を盗まれて、絶対反乱起こすよ、ポケモンは。しかも、たぶん、ちゃんと対等に接した時よりも、数多くのポケモンが団結して。

 だって、ポケモンは強いから。

 だったら、反乱の可能性は、低いに越した事ない。だから、私はトギリを止めた。

 素直に接すれば、相手も優しく接してくれるだろうから」

「……凄い、そこまで考えて」

「まあね」


リオは、納得の言葉を伝えておきながら、意味を完全には理解出来ていないようだった。

ようやくわかった。そんな風に見えたタイミングで。

「ところでさ」と口火を切った。「イブ、帰るんだろうけどさ、今から」

「うん」

「イブは、こっちに戻って来るの?」
 ▼ 858 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:17:04 ID:hWQpvN82 [16/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イブは、面食らったようにしばらく言葉を詰まらせるが、しかしすぐに迷いを振り払って、言う。


「私は……しばらくは戻れない、かな。人間の代表として、向こうでいろいろとしないといけない。

戻って来られるとしたら……たぶん、人間とポケモンが、気持ちよく共存できるようになった時」

「そっか……。でも、イブは、これから大変だろうね」

「そういや、そっちの新しい大臣、誰がなったの?」

「これから選挙だよ。ホント、ニンゲンインパクトは、ヤバ過ぎる。上層部が軒並み入れ替わって、新陳代謝がどーのこーので」

「ったく、説明になってないっての、この低能」

「ふふ。……私、そろそろ行かなくちゃ。向こうで、私が立て直すの」

「うん。……頑張ってね、イブ」

「ありがと、リオ」

「イブ、ありがとうね。あたしたちを、変えてくれて」

「ううん、こちらこそだよ。すっごく楽しかった。一緒にいられたのが、2匹でよかったよ。ありがとう!」


イブは、立ち上がる。

そして、転移装置を起動させた。
 ▼ 859 ◆aCqftYE9go 16/08/31 20:18:13 ID:hWQpvN82 [17/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
微百合注意
ほんの少し成分があるだけで不快な方はこの名前欄のNGを推奨
 ▼ 860 ◆aCqftYE9go 16/08/31 20:18:36 ID:hWQpvN82 [18/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「あっ、最後に、1つだけ……。リオ、こっち来て」

「え? 何?」


呼ばれて、僕はそのまま付き従う。

イブは屈み込み、僕と、目線を合わせた。



そして、そっと、僕に口付けた。


「ん?!」


イブは、力強く僕を抱擁した。

逃れようとするけれど、本気が出せない。


「ちょっとイブ、リオは♀よ、しかもポケモンの!」


そんな声すらも無視して、イブは、ひたすらにキスを続けた。

僕も、逃れるのを諦めて、イブに身を任せ、目を閉ざす。
 ▼ 861 ◆aCqftYE9go 16/08/31 20:18:57 ID:hWQpvN82 [19/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
どのぐらいの間そうしていただろうか。

そろそろのぼせて来た……。ちょうどそんなタイミングで、イブが唇を離す。


「……ごめんね、リオ。大好きだったよ。それじゃ、また今度!」
 ▼ 862 ◆aCqftYE9go 16/08/31 20:19:40 ID:hWQpvN82 [20/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


イブが、リオに接吻をした。

信じられない光景だ。

種族はおろかタマゴグループさえ超え、性別の垣根さえ超えて。

そして、同時に、自分の中の感情の正体に、ようやく気付けた。


「また今度!」


ああ、イブが帰ろうとしている。

あたしには目もくれず。

これでいいや。今まではそうやって、自分を納得させてきた。

だけど。

これでいい……の?

気が付けば、あたしの体は勝手に動いていた。
 ▼ 863 ◆aCqftYE9go 16/08/31 20:20:34 ID:hWQpvN82 [21/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「待って、イブ」


あたしは、去り行くイブを、引き留める。

さすがに、キスはしない。

あたしに、そこまでは出来ない。

だけど、あたしにだって、出来る事はある。

思えば、あたしは小さな頃から風俗で醜い♂の相手をしていた。

本当の好みが♀になるのも、致し方ないのかもしれない。


「あたしも、あんたの事が好きだよ。恋愛的な意味で」
 ▼ 864 ◆aCqftYE9go 16/08/31 20:21:16 ID:hWQpvN82 [22/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イブは、一瞬驚愕の視線を浮かべ、それから躊躇いがちに呟く。


「わかってるよ。ローネ。だけど……ダメ。たぶん、リオが最初に私を助けてくれた時から、決まってたんだと思う。

それに、私は、レズビアンじゃないって、前言ったよね?

初めから♀だってわかってたローネは……」

「そ……っか。うん、ごめんね、変な事言って」

「いいよいいよ、こっちこそごめん。……とにかく、私たちは、また会えると思う。だからさ……これだけは覚えといて。9×9は?」

「81(!)」


あたしたち2匹の声がこだました。
 ▼ 865 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:21:39 ID:hWQpvN82 [23/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







「じゃあ、今度こそ。バイバイ!」









そしてイブは、パラレルワールドの向こう側に、消えた。


 ▼ 866 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:22:21 ID:hWQpvN82 [24/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「行っちゃった」

「行っちゃった……ね」


ただ、そこに座り込む。

イブを失ったショックが、マトモにあたしを直撃した。


「……ショック、だったな。まさか、キスするなんて。

 あー、もうこのクソ無能! なんでわざわざ気まずくなるような事言ってんのよ!」

「だけどさ……言わずに、ずっと溜め込んでるよりかは、よっぽど良かったと思うよ」

「……そう、だよね……」

「ローネ?」

「あたし……変われた……よね? ……前に、進めた、よね?」


涙が、溜め込んでいた涙が、瞼のダムを破壊して、ついに溢れ出した。


「イブ、イブ……うああああ……」
 ▼ 867 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:23:13 ID:hWQpvN82 [25/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「泣かないでよ、ローネ。ローネが泣いたら、僕も……うわああああ……」


2匹の涙が、合唱を奏でる。

イブがいなくなってしまった。

あたしたちの、大切な親友が、いなくなってしまった。


「違うよ、いなくなってなんか……ないんだよ……」


泣きながら、リオが言う。


「イブは……向こうに……いるんだから……。向こうで、頑張ってるんだから……。だから、泣いちゃ、泣いちゃダメだよ……」


涙を流しながら、それでもリオは言う。

あたしは、力強く、頷いた。
 ▼ 868 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:24:03 ID:hWQpvN82 [26/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――数日後。



「プラスル! 僕だよ、リオル! マイナンの居場所がわかったって、イブから手紙が届いたんだ!」

「えっ! ホントに?!」

「うん!」


イブからの手紙が届いた。

向こうでの活動について語っている中で、同封の小さな袋には、マイナンの行方に関しての手紙が入っているらしい。

プラスルに直接渡してあげて、と書かれていた。

そして、僕はここにいる。

興奮で頬を上気させた、プラスルの目の前に。


「リオル、マイナンは、無事?」

「それは……自分で確かめなよ。僕はまだ、詳しくは見てないんだ」

「……だね」
 ▼ 869 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:24:38 ID:hWQpvN82 [27/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
久しぶり、姉ちゃん
僕は、元気過ぎるぐらい元気だよ
ところでさ、またリオルたちが凄い活躍したんだって? テレビで見たよ
人間が誘拐してたのを、止めたんだって?
ホントに凄いよね

ところで、今僕は、人間と一緒に暮らしてるんだ
あの後オリに閉じ込められて、その後誰かが、僕を買って行った
その人間、いいヒトでさ、しっかりおいしいごはんもくれて、一緒にいて、楽しいって思えるんだ
あの事件があって、返さないといけないって知って、そこの人間の♀の子ども、本気で泣いてるの
それで、帰り辛くなっちゃってさ
今度、姉ちゃんたちにも、この人間たちを紹介したいな
とりあえず、僕は、しばらく帰れそうにないかな
楽しいけど、やっぱ姉ちゃんにも会いたいし
ま、じゃあまた、出来るだけ早く!

PS あの時姉ちゃんが僕を無視してたのは、誕生日だったんだよね
   後から気付いて、愕然としたよ
 ▼ 870 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:25:04 ID:hWQpvN82 [28/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
手紙を読む、プラスルの頬を、雫が伝う。

声を震わせながら、プラスルは問いかけた。


「マイナン……あなたは今、幸せなのね?」

「それは、イブが確かめたらしいから、間違いないよ」


僕の言葉に、本格的に、プラスルは崩れ落ちる。


「よかった……本当に……マイナン、よかった……うわぁぁあああああ……」


僕は、何も言えずに、その場から立ち去った。
 ▼ 871 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:25:24 ID:hWQpvN82 [29/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして、僕は、ううん、“私”は、いつもと変わらない日常へ戻って行く。

この世界が、そしてニンゲンとの関係性が、変わろうとする事を。

そして、ほんの少しでも前へと進む事を。

そんな事を願いながら――。
 ▼ 872 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:25:57 ID:hWQpvN82 [30/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







ポケモンと人間が出会い、交わると言う事 完






 ▼ 873 ンナ@メガバングル 16/08/31 20:27:04 ID:En3hGAmY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

楽しく見させてもらった
 ▼ 874 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:28:35 ID:hWQpvN82 [31/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エピローグ

「ここだよね……」


彼女は、はやる心を抑えて、深呼吸をした。緊張は、消えて行く。

完全に消えた。そう確信して、彼女は声をあげた。


「すいませーん」

「はいはーい」
 ▼ 875 1◆J44kAZeDOM 16/08/31 20:28:56 ID:hWQpvN82 [32/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
声がそこで応じ、扉が開かれる。

そして、そこから覗いた顔が、少しずつ、驚きへと塗り替えられて行った。


「えっ……え?」

「ビックリしたよね。だけど、私だよ」

「いや、その……」


戸惑いの表情に向かって、彼女は、ニコリと笑い、言った。


「久しぶり」

                                END
 ▼ 876 ジョン@ノメルのみ 16/08/31 20:30:49 ID:hWQpvN82 [33/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
当SSはこれにて完結です
お読み下さりありがとうございました

ハナズオウ(花ズオウ→カズオ)の花言葉
裏切り、疑惑、不信
喜び、質素
エゴイズム、目覚め

オトギリソウ(トギリ)の花言葉
恨み、秘密
迷信、盲信
敵意

その他当SSに関する質問等ありましたら、お気軽にどうぞ

以下関連作(前述の2作は除く)
チルタリス「もふもふは正義」 http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=283054
 ▼ 877 ガガブリアス@みどりのバンダナ 16/08/31 20:39:52 ID:0sCxaxJI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ビックリしたのはどっちの私なんでしょうな
 ▼ 878 バルオン@マトマのみ 16/08/31 20:40:20 ID:En3hGAmY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
二度目乙
凄いと思う
 ▼ 879 ガピジョット@チイラのみ 16/08/31 20:40:53 ID:YQET1qJ6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カズオをもう少し掘り下げてほしかったかな 乙
 ▼ 880 リーセン@オボンのみ 16/08/31 23:14:18 ID:aFcJdkLk NGネーム登録 NGID登録 報告
エピローグはアカリとレントラーかね
 ▼ 881 メックス@のんきのおこう 16/09/01 13:30:52 ID:7gxOWXo6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 882 CSn9vcIqE6 16/09/03 10:14:19 ID:MqCCqse2 NGネーム登録 NGID登録 報告
乙ー!
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