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SS

【SS】空白の三年

 ▼ 1 RIVER◆zFLCCAWaiw 16/12/11 15:41:13 ID:eLoC8vmk NGネーム登録 NGID登録 報告

ポケモンリーグ本部

四天王二番手の部屋



……ここはポケモンリーグ本部、セキエイ高原。

今日も、高原に王者として君臨する四天王と
王者を打ち倒さんとするリーグ挑戦者による

熱く、壮絶な戦いが繰り広げられている ーーー



シバ「ウー!

………………はぁぁぁあああ?!?!」



ーーー はずだった。
 ▼ 313 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 12:11:38 ID:OrQ6PrP6 [1/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
シバ「レッド!!」

レッド「………………」

シバ「探したぞ」

レッド「………………」


相変わらずの、無口ぶりだ。


シバ「単刀直入に言う。
ここに来たのは、他ならないお前にポケモンリーグチャンピオンになって貰うためだ」

レッド「………………」

シバ「こういう言い方はあまりしたくないが、リーグを壊滅させた原因はお前にもある。
グリーンはトキワシティジムリーダーに就任することでその責任を取ることを選んだ。

お前は、どうするつもりだ」


レッド「………………カイリキー」

 ▼ 314 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 12:13:22 ID:OrQ6PrP6 [2/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

うつむいたまま、すまなそうな口調で呟くレッド。

レッドのあのことに関しては少なからず責任を感じていたようだ。

かといって何ができるでもなく、やるせない思いでいたのだろう。


シバ「カイリキーのこと……か。
確かにあれはお前が関わってしまったことだが、あれは不幸な事故だった。

いや、俺の弱さが原因だったと言ってもいい」


レッド「………………」

シバ「とにかく。今こそ、お前の力が必要なんだ。なんとしてでも、来てもらいたい」

レッド「………………」

 ▼ 315 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 12:14:38 ID:OrQ6PrP6 [3/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

無言を貫くレッド。

しかし、その挙動に変化が訪れた。

ベルトからモンスターボールを一つ取り、俺に向かって真っ直ぐに突き出す。


シバ「勝負しろ。そういうことか」

レッド「………………」


レッドはその姿勢のまま、わずかに頷く。

どうやら勝負で決着をつけようという提案らしい。

いいだろう。受けて立つ……!


シバ「…………今一度、改めて名乗ろう」


俺もまたモンスターボールを取り出し、レッドから少し離れて立つ。

俺とレッドの間に、遮るものは何もない。

 ▼ 316 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 12:15:38 ID:OrQ6PrP6 [4/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「俺は四天王のシバ!

人もポケモンも、戦い鍛えればどこまでも強くなる!

俺はそんな鍛え抜かれた格闘ポケモンたちと共に生きてきた!

……そして、これからもな!


レッドよ……!

俺たちのスーパーパワーを
受けてみるがいい!



ウー! ハーッ!!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ▼ 317 ベロリンガ@こうてつプレート 17/04/15 12:30:49 ID:tko0TYuM NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
エビワラー…
 ▼ 318 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 12:33:29 ID:OrQ6PrP6 [5/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
シバvsレッド@シロガネ山頂上


シバ「ハガネール!」

レッド「………………」


シロガネ山。

カントーとジョウトを隔てる巨大な山脈、その頂上。

そこに超然と立つは生ける伝説とその相棒 ーーー


シバ「ピカチュウ……!」


ーーー 世界最強の電気ネズミ、ピカチュウ!
 ▼ 319 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 12:34:52 ID:OrQ6PrP6 [6/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「先手は貰う! ハガネール、アイアンテールだ!」


本来ならピカチュウに有効な地震や穴を掘る攻撃を指示したかったが、この雪山ではそれらの攻撃はあまり有効でないと判断し、俺は接近戦を選んだ。

さあ、どうくる?!


レッド「………………アイアンテール」

シバ「何?!」


なんとレッドの選択はアイアンテールによる迎撃。

つまり ーーー


ガキィィンン……!


ーーー 小細工無用の真っ向勝負!

両者の尾が一瞬のうちに激突し、また離れる。
 ▼ 320 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 12:35:59 ID:OrQ6PrP6 [7/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
シバ「互角か! ならばもう一度 ーーー」

レッド「………………電光石火」

シバ「ーーー どうしたハガネール?!」


互角と思われた撃ち合い。
とっさに次の指示を飛ばした両者だったが、ここで早くも明暗が分かれた。

なぜか、ハガネールが動けない……!


レッド「………………」


そしてそのままハガネールは無防備な巨体を晒してしまい、ピカチュウの電光石火をまともに食らってしまう。


ドッ………ゴォォオオオ!!!


シバ「ハガネール!!」


ハガネールが、轟音と共に崩れ落ちた。


シバ「ありがとう……よくやった」
 ▼ 321 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 12:36:29 ID:OrQ6PrP6 [8/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

ハガネール、戦闘不能。

0ー1。


早くもスコアが動いた。
 ▼ 322 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 13:03:03 ID:OrQ6PrP6 [9/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
シバ「頼む……カポエラー!」

レッド「………………」


カポエラーを出した狙いは二つ。

まずは威嚇でピカチュウを牽制すること。


レッド「………………?」


しかしレッドがピカチュウを戻す気配はない。

どうやらこのままピカチュウで続行するらしい。

そしてもう一つの目的は ーーー

 ▼ 323 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 13:03:37 ID:OrQ6PrP6 [10/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

レッド「………………電光石火」

シバ「高速スピン!!」

レッド「………………!」


ーーー 決まった!

電光石火で突っ込んできたピカチュウを高速スピンでうまく受け流しつつ ーーー


ガリガリガリガリガリ!!!


シバ「そのまま雪を取り除け!」


ーーー 雪かきをしてこっちが動きやすいフィールドに作り変える!

これが次鋒カポエラーに託した二つ目の仕事だ!

 ▼ 324 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 13:04:15 ID:OrQ6PrP6 [11/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

レッド「………………10万ボルト」

シバ「来るぞ! 高速スピンで……何っ?!」


レッドとしては慣れ親しんだ雪のフィールドを崩されるのはあまりありがたくはない。

必ず妨害してくるだろうと読んではいたが……。


シバ「身動きが取れない……!」


なんとピカチュウはカポエラーの周囲に10万ボルトの壁を張り巡らせ、カポエラーの動きを封じたのだ!


レッド「………………電光石火」


そして電光石火で突っ込んでくるが ーーー


シバ「! インファイトだカポエラー!
全力で迎えうて!」


ーーー ピカチュウが10万ボルトの壁に接触した刹那10万ボルトの壁はピカチュウを纏う鎧と変化し。

 ▼ 325 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 13:05:54 ID:OrQ6PrP6 [12/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
擬似的なボルテッカーがカポエラーのインファイトと激突し、爆発を起こした!


シバ「カポエラー!!」


崩れ落ちたのは、カポエラー。

しかしピカチュウは依然ピンピンしている。

まさに鎧袖一触の一撃だった。


シバ「くっ……さすがは生ける伝説……!」


そして引き離されたシバに追い打ちをかけるように ーーー


ヒュオオオオオ………


レッド「………………!」

シバ「くっ……また吹雪始めたか!」


ーーー 再び吹雪が吹きすさぶ!
 ▼ 326 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 13:06:40 ID:OrQ6PrP6 [13/26] NGネーム登録 NGID登録 報告


カポエラー、戦闘不能。

0ー2。


ピカチュウの快進撃が続く。

 ▼ 327 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 13:27:22 ID:OrQ6PrP6 [14/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「まだ……巻き返せる、巻き返してみせる!
頼むぞ……サワムラー!!」

レッド「………………」


尚ピカチュウを続投させる意思を表明したレッド。

これはこの勝負、余裕と捉えたか。

はたまたピカチュウを止められるのかどうか試さんとする挑戦状なのか。

いずれにせよ進むしかないのだ!


シバ「サワムラー、ブレイズキック!」

レッド「………………10万ボルト」


サワムラーの右足が炎を纏い、ピカチュウに向かって振り下ろされる。

さらにその右足は10万ボルトをも吸収して ーーー


ズドォォォオオオ!!! バキバキバキ……


ーーー 大地を割る一撃となった!!
 ▼ 328 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 13:27:59 ID:OrQ6PrP6 [15/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「外したか……いや、仕方ない」


外しこそはしたものの、これでサワムラーの破壊力をレッドの脳裏に焼き付けることには成功した。

一歩前進、と言えるだろう。


シバ「追撃だ、飛び膝蹴り!」

レッド「………………ボルテッカー」

シバ「! 来たか!!」


ボルテッカー。

それはピカチュウの必殺技。

電気を纏い相手に突撃するという仕掛け自体は単純な技だが、破壊力に関しては天下一品。


シバ「迷うな! 行け、サワムラー!!」
 ▼ 329 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 13:28:36 ID:OrQ6PrP6 [16/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

ドンッ……!!


ボルテッカーと飛び膝蹴りが両者の中間地点で激突し ーーー


シバ「サワムラー! いけるか?!」

レッド「………………?!」


ーーー 両者弾かれ、宙を舞う!

双方かなりのダメージを負ったらしく、苦しそうな表情を浮かべている。


シバ「よし、よくやったサワムラー! 今度こそ決めるぞ、ブレイズ……」

レッド「………………」


ドサッ……。


シバ「サ、サワムラー!!」
 ▼ 330 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 13:29:19 ID:OrQ6PrP6 [17/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

しかしその刹那……サワムラーは糸が切れたように崩れ落ちた。

技を出す力はもはや残っていなかったのに、気力だけで立っていたのだろう。

それをレッドは知っていたから。

だからレッドは止めの一撃を指示しなかったのだ。


シバ「ありがとう、戻ってくれ」

シバ「苦しくなってきたな……」






サワムラー、戦闘不能。


0ー3。


しかしピカチュウの体力も着実に削られている。

 ▼ 331 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 14:10:01 ID:OrQ6PrP6 [18/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
カタカタカタッ。


シバ「お前……」


ピカチュウに怒涛の三タテをされて弱気になりかけていた俺を鼓舞するかのようにカタカタと揺れるモンスターボール。

そのモンスターボールの主は、ルカリオだった。


シバ「よし、わかった。お前に賭ける!
ここであのピカチュウを討ち取れるかが勝負だ!」

シバ「行ってこい、ルカリオ!
ここが踏ん張りどころ!」

レッド「………………?」


レッドの表情は雄弁に語る。

"あれはなんだ"と。

だが教えてやれるほどこちらに余裕はない。

なんとか食らいついて倒しに行く!
 ▼ 332 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 14:10:53 ID:OrQ6PrP6 [19/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「神速!」

レッド「………………電光石火」


開始早々勃発したスピード対決。

本来ならレッドのピカチュウにスピードで上回るなど無理な相談なのだが。


レッド「………………?!」


ルカリオはピカチュウを見事に撹乱するのに成功し、攻撃をヒットさせた!

これにはレッドのみならずピカチュウまでも唖然としている。


レッド「! …………アイアンテール」

シバ「もう一度神速だ!」


ピカチュウのアイアンテールが一閃するがそれを物ともせず神速のスピードを生かして見事にかいくぐるルカリオ。

 ▼ 333 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 14:11:31 ID:OrQ6PrP6 [20/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

そして見事に神速を ーーー


シバ「行け!」

レッド「………………!!」


ーーー 炸裂させた!


シバ「止めだ、インファイト!!!」


ピカチュウは足元が覚束ない。この絶好機、なんとしてもモノにする!


レッド「ボルテッカー!!!」


レッドの焦ったような声色。

ピカチュウがスピードで負けるはずがない。

そんな"前提"が覆されたことで焦っているのだろう。

ボルテッカーを応用して電気の鎧を纏ったピカチュウにルカリオのインファイトが炸裂する……!
 ▼ 334 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 14:12:17 ID:OrQ6PrP6 [21/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

ドォォォオオオ……。


シバ「よしっ!」


倒れ伏すピカチュウ。

それを見下ろすルカリオ。


レッド「………………」


悔しそうな表情でレッドがピカチュウをモンスターボールに戻した。

そして、その一連の動きを見届けたルカリオは ーーー


トサッ……。


ーーー 安心したかのように雪原の中に崩れ落ちた。

ルカリオもまた、苦痛をこらえてつつ意地であの電気の鎧を殴りつけていたのだ。


シバ「ルカリオ……」
 ▼ 335 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 14:12:55 ID:OrQ6PrP6 [22/26] NGネーム登録 NGID登録 報告


ピカチュウ、ルカリオ、共に戦闘不能。


1ー4。


ようやくピカチュウを止めることには成功したが、その代償は大きかった。


 ▼ 336 グライガー@たてのカセキ 17/04/15 15:06:24 ID:9/I3AaBQ NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 337 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 18:32:03 ID:OrQ6PrP6 [23/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
さて。

ここからが問題だ。

レッドのピカチュウ以外のポケモンと対峙するのはいつ以来だろう。

あれからレッドはどんなポケモンを育て、鍛え上げてきたのか。

未知との戦いが始まる。

この震えは……武者震いか? それとも恐怖か?


「「………………」」


双方無言で次のボールを手にする。

覚悟は決めた!

 ▼ 338 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 18:38:59 ID:OrQ6PrP6 [24/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「頼むぞ、カイリキー!」

レッド「………………」


俺が繰り出したのはカイリキー。

そしてレッドが繰り出したのは ーーー


グォォオオオ!!!


シバ「雪が……融けていく?!」


ーーー リザードンだった!

それにしてもなんというパワー。

"登場しただけで"リザードンの周囲から雪が解けて消え、リザードンの咆哮と共に吹雪が止んだ。

 ▼ 339 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 18:39:59 ID:OrQ6PrP6 [25/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「まさかこのリザードンは……天候さえも操れるというのか?!」

レッド「………………大文字」

シバ「カイリキー、ストーンエッジだ!」


このリザードンの炎技を食らったら最後だ。

そしてカイリキーも同じことを考えたらしい。

ストーンエッジを壁にして大文字の炎から逃れようと試みたが ーーー


ヌチャ……ヌチャ……


シバ「ま、まさか?!
そんなデタラメなことが……!」


ーーー なんと、リザードンの炎は岩をも融かしてしまった!

これにはカイリキーも唖然とし、動きを止めてしまう。
 ▼ 340 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/15 18:40:52 ID:OrQ6PrP6 [26/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

レッド「………………エアスラッシュ」


一瞬の思考の停止。

その隙を見逃さずリザードンの放ったエアスラッシュは融け落ちたストーンエッジの壁の隙間を縫ってカイリキーに直撃。

カイリキーを仰向けにひっくり返してしまった!


シバ「カイリキー!!」





カイリキー、戦闘不能。


1ー5。


とうとう、シバは追い詰められた。

 ▼ 341 ニャルマー@ピカチュウZ 17/04/15 23:37:23 ID:y6nEVL3M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 342 左目◆WgUc4Yx1Js 17/04/15 23:38:35 ID:pCJ5X2wM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です!
 ▼ 343 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/17 19:09:22 ID:VdoS0B7w [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
レッド「………………」

シバ「くっ……」


追い詰められた。

苦戦必至だとわかってはいたが、いざ追い詰められるとこれほどまでに重圧を感じさせられるものなのか。

いや、何にせよ最後まで戦うだけだ!


シバ「頼んだ……ハリテヤマ!!」


ズゥゥンン……


雄叫びをあげるでもなければ、動ずるでもない堂々たる姿勢で降り立つハリテヤマ。

その後ろ姿のなんと頼もしきものか。
 ▼ 344 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/17 19:10:05 ID:VdoS0B7w [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「全てを賭けろ……!

ハリテヤマ、猫騙し!」


レッド「!」


パァン!


湿った雪山に乾いた破裂音が轟く。

鈍重な体躯から繰り出された鋭い衝撃波にリザードンは意図せずして怯み、上体を仰け反らせた!


シバ「追撃の岩石封じ!」


その刹那、平静そのものだったレッドの表情が豹変……いや、あの表情を俺は知っている。

かつて、レッドが初めてポケモンリーグを訪れ、俺たちと相見えた時の、あの表情だ!
 ▼ 345 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/17 19:11:11 ID:VdoS0B7w [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

レッド「大文字!」

シバ「よしっ! そいつを待っていたんだ!」

レッド「………………!!」

シバ「冷凍パンチ!!」


元より岩でリザードンを止めることには期待していなかった。

しかしリザードンにしてみれば食らえば最後致命傷を免れない一撃。

猫騙しと合わせて、それは冷凍パンチを叩き込む隙を作るには十分すぎる要素だった。


バキィィンン……!


そして冷凍パンチがリザードンの土手っ腹を撃ち抜き、吹き飛ばした……!
 ▼ 346 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/17 19:12:16 ID:VdoS0B7w [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

レッド「!!!」

シバ「やったか……?!」


轟音と共にリザードンが氷壁に打ち付けられる。

頼む、倒れろ。


レッド「立て、立つんだリザードン!」

シバ「これで止めだ、岩石封じ!!」





レッド「ブラストバーン!!!」




 ▼ 347 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/17 19:13:54 ID:VdoS0B7w [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

リザードンの咆哮と共に放たれた必殺の一撃。

炎の究極奥義、ブラストバーン。

余りの熱気と光量に俺は思わず腕で顔を覆ってしまった。

そして、俺は初めて気づいた。

俺たちは"生ける伝説"の本気に触れたのだと。


レッド「…………」


そして光と熱が、収束した。


シバ「…………ありがとう。ハリテヤマ」


生ける伝説が放った渾身の一撃。

勝負が終わった今だからこそ言えることだが、それが放たれた瞬間、既に雌雄は決していたのだろう。
 ▼ 348 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/17 19:15:04 ID:VdoS0B7w [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告



ハリテヤマ、戦闘不能。


1ー6。



シバの完敗だった。

しかし、だかしかし。

シバたちが総力を挙げて掴み取った1という数字。

そして何よりも最後の最後にレッドの本気を引き出したという意味では大きな意味を持つ一戦だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ▼ 349 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/17 19:19:49 ID:VdoS0B7w [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

レッド「…………」


元の表情に戻ってリザードンを戻すレッド。

彼は今、何を思うのか。



ズズズズズ……


レッド「…………!」


レッドが慌てたような表情でシバになにかジェスチャーで語りかけている。


シバ「なんだ、どうし……なっ?!」


いや、時既に遅し。

これはブラストバーンを指示したレッドの咎か、はたまたそれを出させるほどの実力を見せたシバの咎なのか。


シバ「あああぁぁぁ……」
 ▼ 350 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/17 19:20:49 ID:VdoS0B7w [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告


これは後からわかったことだが、ちょうどこの日はシロガネ山の土壌が不安定だったことに加え、かの有名なロケット団残党によるラジオ塔占拠事件が発生していたために然るべき警報が報道されていなかったのだ。







シバはブラストバーンで足元が融けていたことに気づかず、地滑りに巻き込まれて奈落の底へと転落していった。




 ▼ 351 最終章突入◆zFLCCAWaiw 17/04/20 16:46:20 ID:IJDNVKIQ [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


バ……

ィバ……!

シバ!

シバ!!



シバ「はっ……」


どこからか俺を呼ぶ声が聞こえた。

その声に反応して俺は目を開く。

するとそこには ーーー


イツキ「目が覚めたようだね」

キョウ「全く……我らを四天王に任じておきながら肝心のシバ殿がどうかしては元も子もないでござるよ」

 ▼ 352 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/20 16:47:56 ID:IJDNVKIQ [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告


ーーー 四天王たちの姿があった。

ふと辺りを見回せば、そこは見慣れた景色。

俺はポケモンリーグ内のポケモンセンターに運び込まれていたらしい。


シバ「俺は……そうだ、レッドは?!」

キョウ「レッド殿でござるか?
いや、拙者は見かけていないでござる」

シバ「そ、そうか」


話したいことはまだ山ほどあったというのに。
 ▼ 353 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/20 16:49:37 ID:IJDNVKIQ [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告

また、戦えるだろうか。

そう考えていた刹那。



カリン「何考えてるか知らないけど。
今回の件を受けてシロガネ山はバッジ16個……
つまりカントーとジョウトのバッジを全て持ってない限り無期限立ち入り禁止になったわよ。

残念なことにね」



衝撃が走った。

バッジ16個。

勿論、ジムリーダーを統括する四天王という立場上ジムリーダーを16人倒すこと自体は不可能ではない。

 ▼ 354 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/20 16:51:07 ID:IJDNVKIQ [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告

が、しかし。

四天王の激務をこなしつつ暇を見つけて各地のジムを巡るとなると時間が全く足りないのだ。

それゆえに ーーー


イツキ「残念、だったね」

シバ「……仕方ない」


ーーー レッドと再び相まみえる可能性は潰えてしまったのだ。

あの化け物じみた強さと向き合うことがない事実を残念に思いつつも。


シバ「いや、俺のことはいいさ……」


脳が冴えてくるにつれて重くのしかかる、現実。

 ▼ 355 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/20 16:51:51 ID:IJDNVKIQ [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「グリーンはジムリーダー。
ワタルはまともに応対してくれない。
そしてレッドとはもうコンタクトが取れない」


「「「…………」」」


シバ「みんな、すまない。
俺が出来ることは、もう、ないんだ」



己が無力さを噛み締め、項垂れる。

俺がもっと強ければ。

そう感じずにはいられなかった。




しばしの、思い沈黙が訪れる。



 ▼ 356 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/20 16:55:27 ID:IJDNVKIQ [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告

キョウ「…………休まれてはどうでござるか」


そして、意外にも沈黙を破ったのはキョウだった。


シバ「…………」

キョウ「シバ殿はここ三年間各地を飛び回って四天王を探しておられたでござるな。
それでなお適任者が見つからないというのなら、誰がやっても……いやシバ殿でなければここまで人員を確保することすら無理だったはずでござろう」

シバ「…………キョウ」

イツキ「ここ三年間挑戦者が現れなかったんだ。
この様子じゃ当分現れないだろうし、ちょっとぐらい休んでもバチは当たらないんじゃないかな」

シバ「…………イツキ」

カリン「少しくらいならあんた一人いなくともやっていける。だから、あなたはしばらく休んでなさい」

シバ「…………カリンまで」



シバ「みんな……ありがとう……!」

 ▼ 357 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/20 17:08:18 ID:IJDNVKIQ [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ザザザザザ………。


シバ「変わらないな……島は」


船は波をかき分け、一直線に海を突き進む。

その船首の指す先は ーーー


シバ「ハラ師匠……健在だろうか……いや、あの人が倒れるわけがないか。ははは……」


ーーー アローラ地方、メレメレ島。

シバ、トウキ、レンブがかつて"鬼のハラ"の元で共に修行した場所である。


シバ「"あの時"以来か……」


センチメンタルな気分になっている俺にお構いなく、船は予定より幾分か早くハウオリシティの港に到着した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ▼ 358 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 21:20:46 ID:0pke.1cE [1/14] NGネーム登録 NGID登録 報告

メレメレ湾


シバ「意外と、新しくなってるんだな……
万物流転、か」


これが率直な感想だった。

全てがそのままなんてこと、あるわけがないと頭ではわかっていたのだが。


シバ「………………」


島は"だいたい"一周した。

ハウオリシティ、2番道路、3番道路、カーラエ湾、1番道路、メレメレ湾。

となると残るは ―――


シバ「戦の遺跡と……リリィタウン」


――― 二ヶ所。
 ▼ 359 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 21:24:39 ID:0pke.1cE [2/14] NGネーム登録 NGID登録 報告


シバ「くそっ、今になって、なぜ足が竦む……!」


己が不甲斐なさに思わず拳を砂浜に叩きつける。

一番会いたくて、一番会いたくない。

そんな存在がいるところ。

後になってしまったのはけして偶然ではない。

覚悟を決めてきたはずなのに、どこか複雑な思いが抜けきらない。


シバ「………………」


砂浜にあぐらをかき、地平線を睨む。

静かなる浜辺。

観光客の少なさは変わらないらしい。
 ▼ 360 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 21:26:27 ID:0pke.1cE [3/14] NGネーム登録 NGID登録 報告


ザザー……ン ザッ……ザッ……



寄せる波が砕ける音と誰かが砂浜を歩む音が混じり合って不思議な音楽を奏でる。



ザッ……ザッ……ザッ。

ザザー……ン



その刹那、足音が止まり ―――




???「珍しい客、ですな」



 ▼ 361 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 21:36:34 ID:0pke.1cE [4/14] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「!」


――― 唐突に懐かしい声が、降ってきた。

驚きのあまり瞳孔が縮んだのが自分でもわかる。

まさか。そんなはずが……!


???「ここで別れて以来ですな、シバ」


体格こそ少々肥えて丸くなっていたものの、その目はかつてと変わらず何を考えているか伺い知ることのできないミステリアスなオーラを纏っている。

 ▼ 362 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 21:37:37 ID:0pke.1cE [5/14] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「なぜ……ここだと……」

???「はっはっは、年の功。
いわばカンのようなものですかな?」


はぐらかしつつ、その人は俺の隣に座る。

二人で海を眺めながら座る格好になった。


シバ「……お久しぶりです、ハラ師匠」

ハラ「本当に、その通りですな」


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 ▼ 363 妖狐の綿花◆mhJs6atw9U 17/04/23 21:41:00 ID:BcIqdMdY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 364 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 23:47:08 ID:0pke.1cE [6/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ポケモンリーグ セキエイ高原


ダンッダンッダンッダンッ……!


シバ「一体どこの、どいつだというんだ……!」



イツキ『もしもし? ……緊急だから簡潔に言うよ。とても強い挑戦者が現れて、悔しいけど僕では10分保たなかった。

急いで戻ってきてくれ』


師匠と語らっていたところに割って入った"緊急"の電話。

それを受けた俺は師匠にライドポケモンで送り届けてもらい、アローラからカントーに急行した。

そして師匠への礼もそこそこに、急いで受付でベストメンバーたちを呼び出して今、四天王の部屋を駆け抜けている真っ最中なのだ。

 ▼ 365 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 23:48:10 ID:0pke.1cE [7/14] NGネーム登録 NGID登録 報告

イツキ「シバ!」


イツキの部屋に入った刹那、イツキは弾かれたように顔を上げた。

どこか安堵したような表情をしているが、今はそれどころではない。


シバ「ああ、戻ってきた。それで、件の挑戦者は?」

イツキ「……カリンさんが今相手をしている」


早い。

このペースはリーグ荒らし全盛期のレッドやグリーンと同等……いやもしくは。


シバ「もうそこまでか……! 急がねばな!
イツキ、お前もついてこい!」

イツキ「え、は、はい!」


今日、新たなリーグチャンピオンが誕生するかもしれない。

そんな予感が、していた。

 ▼ 366 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 23:49:01 ID:0pke.1cE [8/14] NGネーム登録 NGID登録 報告

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キョウ「……その知らせ、確かに承ったでござる」


俺が部屋に駆け込んだ刹那、キョウは内線を切って嘆息していた。


シバ「キョウ、状況は?」

キョウ「……たった今、その知らせが入ったところでござった」


しばしの沈黙。

三人は息することさえ忘れ、静寂に身をはりつめる。

 ▼ 367 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 23:50:25 ID:0pke.1cE [9/14] NGネーム登録 NGID登録 報告


キョウ「結果は、挑戦者の勝利。

それも圧勝、でござる」



イツキ「……ということは……」

キョウ「少なくとも実力はチャンピオン、または四天王に据えるに十分と言えるでござるな」


シバ「先に行こう。

まだ……俺がいる!」


キョウ「……そうでござるな」


俺は強引に会話を中断させ、扉を開いて次の部屋へと進んだ。

 ▼ 368 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 23:51:25 ID:0pke.1cE [10/14] NGネーム登録 NGID登録 報告

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カリン「はあ……」


死闘だったのだろう、彼女は脱力して座り込んでいた。


シバ「カリン」

カリン「…………何よ」

シバ「結果は聞いている。挑戦者は、どこだ?」

カリン「先に」


カリンはそれきり口を閉ざした。

自分に厳しい彼女のことだ、負けた直後であまり話したくないのだろう。

ましてや、就任以来最初の出番であろうことか惨敗を喫したのだから。

 ▼ 369 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 23:51:56 ID:0pke.1cE [11/14] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「…………わかった。行ってくる」


話したくないのなら、無理に話してもらう必要はない。

俺はそのまま彼女の横を素通りし、扉に手をかけた。

その刹那。


カリン「シバ」


彼女は初めて顔を上げ、真っ直ぐに俺を見た。


カリン「強いわよ、挑戦者は」

シバ「…………わかった。ありがとう」


言葉こそ少なかったが、今の俺にはそれだけで十分すぎる情報だった。

そして俺はまた一つ、扉を開く……。

 ▼ 370 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 23:52:37 ID:0pke.1cE [12/14] NGネーム登録 NGID登録 報告

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シバ「…………挑戦者は?」


俺は四天王の最後の部屋にいた。

四天王のうち三人を打ち倒した挑戦者はここで待っているのだろう。

そんな期待は見事に裏切られた。


キョウ「もう一つ、先の部屋なのでござろう。

進まれよ、シバ殿」


シバ「…………だが、そうなるとリーグのことをある程度熟知している人間でしかありえないだろう」

イツキ「進みなよ。ここにいたって何も進まないんだ」

シバ「……お前たちは?」

 ▼ 371 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/23 23:53:32 ID:0pke.1cE [13/14] NGネーム登録 NGID登録 報告

ここに来て急に"ここから先は一人で行け"と暗に示すような発言をした二人。

勿論、元々は一人で進むつもりではあったのだが。


キョウ「ここにて待つ、それだけよ」


イツキ「結果の如何に関係なく、今からの戦いで新チャンピオンが決まるんだ。

部外者が邪魔しちゃいけない」


シバ「それもそう、か」

キョウ「健闘を祈らせて頂くでござる」

シバ「…………行ってくる」


そして俺は二人に背を向け、最後の部屋を進む。

部屋の至る所に設えられている龍の像はかつてワタルが四天王だったころに彼が好んで置いていたものだ。

懐かしさと、寂しさがこみ上げてくる。
 ▼ 372 今日はここまで◆zFLCCAWaiw 17/04/23 23:54:59 ID:0pke.1cE [14/14] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「ワタル……。
お前は今、どこで、どうしているんだ……?」


あの日以来この部屋には誰も手を触れていない。

俺が触れないから、それを尊重して誰も触れずにおいてくれたのだ。


シバ「よしっ……」


感慨に耽りながらバトルフィールドを横切り、最後の扉の前に立つ。

腰に6つのモンスターボールがあることを確かめ、深呼吸する。

ここから先は、俺のあずかり知らぬ領域。

そこで戦うことを許されるのは、四天王を突破したものとそれを迎え撃つチャンピオンだけだからだ。

それ以外のものは、入ることが禁じられている。


シバ「四天王シバ……いざ、参る!」


重々しい音を立てて今、扉が開かれた。

 ▼ 373 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/25 15:05:53 ID:HcIdFdWA [1/10] NGネーム登録 NGID登録 報告

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暗い廊下を一歩、また一歩と踏みしめて前へ進む。

すると暗闇の中から ―――



???「また、会ったな」

シバ「…………」



――― 挑戦者が発した言葉が耳に届いた。



???「しかし……だ。

お粗末な四天王たちだったよ」


シバ「!」

 ▼ 374 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/25 15:07:10 ID:HcIdFdWA [2/10] NGネーム登録 NGID登録 報告

お粗末。

今の四天王たちの大方は前任者の空席を埋める形で就任した面々。

直接対決で下して四天王の座を勝ち取ったわけではないが故に歴代の四天王に見劣りする部分があるのは否めない。

言い方は癪にさわるが、目の前の男はそれを見抜いているのか。




カンッ……!




スイッチのような音が響いた。

おそらく、部屋の照明だろう。


部屋の外側から中心へ。

灯りが次々に灯って ―――

 ▼ 375 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/25 15:08:39 ID:HcIdFdWA [3/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
ワタル「だが、君はそうではないだろう……
そうではないことを願っている」

シバ「やはり……お前だったか」


――― 挑戦者の姿を克明に映し出した。

ワタル。今再び、俺の前に現れたか。

どこかでそんな気はしていたが。


ワタル「何か、戦う前に言いたいことはあるかい?」


言いたいこと。

そんなものはいくらでもある。

だが、今は ―――


シバ「……改めて、名乗ろう」


――― "四天王"として。

戦うことに徹しよう。
 ▼ 376 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/25 15:10:13 ID:HcIdFdWA [4/10] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「俺は四天王のシバ!

俺は自分たちが持っている可能性を信じて、いつも限界まで鍛えている。

……そうして強くなった俺たちに敵うと思うか?」


ワタル「…………」


ワタルは腕を組んだまま静かにこちらを見ている。

さすがの貫禄と言うべきか。


シバ「ほう、恐れはなさそうだな。いい顔をしてる。

それでこそ、戦うに相応しい……。

いくぞ!

ワタル……俺たちのハイパーパワーを受けてみるがいい!」
 ▼ 377 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/25 15:11:24 ID:HcIdFdWA [5/10] NGネーム登録 NGID登録 報告


そして俺は上体をかがめて腕を顔の前で交差させる。

気が昂ぶってくるのが、はっきりと感じられる……!



ワタル「何も言うことはない。

ただ、戦って、どちらが強いか決めるだけだ!」





シバ「ウー! ……ハーッ!!」





 ▼ 378 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/25 15:35:03 ID:HcIdFdWA [6/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

シバvsワタル


シバ「ハガネール!」

ワタル「ギャラドス!」


ポンッ……!


ボールの開く軽快な音と裏腹に姿を現したのは二体の巨大なポケモンだった。

どちらも巨体をフルに活かすパワー自慢のポケモンだが ―――


グルォォオオ!!!


――― ギャラドスの特性、"威嚇"だ。

タイプ相性も相まって、この初手はギャラドスが大幅に有利な条件になる。

諸々を考慮すれば引かせるのが定石だろう。

でも ―――


 ▼ 379 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/25 15:36:13 ID:HcIdFdWA [7/10] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「ハガネール、ストーンエッジ!」

ワタル「アクアテールで打ち払え!」


――― 最初から弱気でいてどうする!


ズドォン!


地より轟く炸裂音。

ストーンエッジが床からせり出しギャラドスを直撃したかに見えたが、ギャラドスはアクアテールで難なく弾きとばし―――


ワタル「よし、そのままいけ!」

シバ「穴を、掘る!」

ワタル「…………?!」

 ▼ 380 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/25 15:37:23 ID:HcIdFdWA [8/10] NGネーム登録 NGID登録 報告

――― こちらに迫ってきた。

だが、それは読み通り。

ハガネールは穴を掘ってアクアテールを回避。

そのまま地中に消えた。


ワタル「…………何が狙いだ?!」


飛行タイプを持つギャラドスに対して地面タイプの技を指示する。

端から見れば愚行以外のなにものでもないのだが ―――


ワタル「ギャラドス、とりあえず竜の舞だ!」

シバ「! チャンスだ! ハガネール、ストーンエッジ!」

ワタル「ま、まさかっ?!」


――― 狙いは補助技の誘発。

無防備に巨体をさらしていたギャラドスの腹に岩の刃が深々と突き刺さる……!

 ▼ 381 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/25 15:39:03 ID:HcIdFdWA [9/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
シバ「仕留めろ、アイアンテール!」

ワタル「地震で近づかせるな!」


そして地面から飛び出して宙に体を躍らせたハガネールの必殺、アイアンテールがギャラドスを捉えた。

そしてそのまま二体は地面に墜落していく……!


シバ「ハガネール!」

ワタル「くそっ、間に合わなかったか……!
ギャラドス、地震だ!!」


ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!


ハガネールとギャラドスはもつれ合ったまま地面に墜落し、共に地震のダメージを受けた。

砂埃が舞い上がり ―――


シバ「ハガネール!」

ワタル「ギャラドス!」


――― そして収まった時、フィールドに立っていたポケモンはなかった。
 ▼ 382 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/25 15:39:50 ID:HcIdFdWA [10/10] NGネーム登録 NGID登録 報告



ハガネール、ギャラドス、戦闘不能。


1ー1。


激戦必至の頂上決戦は、引き分けで幕を開けた。



 ▼ 383 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 17:38:23 ID:kI30x.Uw [1/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
ワタル「…………」

シバ「ありがとう、ハガネール」


奮闘を労いつつハガネールをボールに戻す。

タイプ相性に威嚇、と不利な要素が満載だったにも関わらずアイアンテールから相手に巻きついて地震の巻き添えを食わせた執念は見事としか言いようがない。

さて、次は何を繰り出すべきか ―――


ワタル「……いけ、カイリュー」


――― いや、考える必要がなくなった。

早くもワタルが切り札、カイリューを繰り出してきたのなら、こっちが打つ手は一つ!

 ▼ 384 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 17:39:32 ID:kI30x.Uw [2/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「ならばここはお前に任せる!
ゆけ、カポエラー!」


しかし、どこか腑に落ちない。

この違和感の正体はなんだ……?



ワタル「カイリュー……ドラゴンクロー!!」

シバ「回れカポエラー! 高速スピンッ!!」


烈空一閃。

丸っこい肢体から繰り出されたものとは到底信じがたい一撃が飛来する。

これは、受け流せるか……?!

 ▼ 385 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 17:40:56 ID:kI30x.Uw [3/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

キィン!



ドラゴンクローと高速スピンが一瞬交錯し、甲高い音を立てたと同時に両者は弾かれたように一歩後退。

両者の間には文字どおり火花が散っていた。

ダメージを負ったとはいえ、カポエラーのスピンはまだ衰えていない。



ワタル「もう一度!」

シバ「そのまま受け流せ!」



まるでビデオをリプレイするかのごとき構図が繰り広げられ……いや。

飛び散る火花はより一層激しくなっていた。


 ▼ 386 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 17:46:40 ID:kI30x.Uw [4/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
その時、ワタルは心得たと言わんばかりの笑みを浮かべ ―――


ワタル「なるほど……そういうことか。カポエラーの弱点は真上だ! カイリュー、飛べ!」

シバ「……!」


――― 上空からの襲撃をしかけてくる……!

流石は元四天王。

相手の弱点を即座に見破ってしまった。

カイリューはカポエラーの射程圏外を悠々と飛び回り、そしてとうとうリーグの天井すれすれまで浮上した。

どうする。

強みを捨てて、対策に徹するか。

強みに徹して、貫くか……?

 ▼ 387 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 17:47:35 ID:kI30x.Uw [5/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

ワタル「さあ、いけ……!!」


そうこうしているうちにワタルの号令が飛び、それに伴ってカイリューが一直線に急降下を開始する。

まずい、もう時間がない!



シバ「カポエラー、更に回れ! 撹乱して狙いを定めさせるな!」



俺は後者の選択をした。


それを感じ取ったか、カポエラーは一段と回転を加速させコマのようにフィールドを縦横無尽に動き回る。


シバ「頼む……っ!」


かわすか、直撃か。

緊張の一瞬。
 ▼ 388 オドシシ@ヨプのみ 17/04/26 17:48:44 ID:oDLTgpBs NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 389 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 17:49:26 ID:kI30x.Uw [6/13] NGネーム登録 NGID登録 報告


ズドン!



ワタル「くっ!」


耳を塞ぎたくなるような音が轟き、ワタルは悔しげに拳を握りしめる。

カイリューの一撃はカポエラーの回転で見事に回避された。

地面に激突したカイリューはダメージこそないが、体制を大きく崩している!


シバ「今だ、トリプルキック!」

ワタル「しまっ……!」

 ▼ 390 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 17:50:13 ID:kI30x.Uw [7/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

一発。


立ち上がりかけたカイリューは再び地に膝を屈する。


二発。


無防備に晒されたカイリューの顎に蹴りが炸裂。上体をのけぞらせた。


三発。


カイリューの巨体が吹き飛ばされ、フィールドを横切って壁に激突する……!



シバ「カポエラー、逃すな! とどめの ―――」

 ▼ 391 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 17:51:31 ID:kI30x.Uw [8/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

ワタルのカイリューの屈強さはこれまで幾たびも見せつけられてきた。

"あの"カイリューがこれで終わるはずがない。

そう確信してカポエラーに追撃の指示を出そうとしたのだが ―――



ドサァ………ッ



シバ「――― 何?」


カイリューは壁に打ち付けられて崩れ落ち、そのまま立ち上がらない。動かない。

 ▼ 392 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 17:52:21 ID:kI30x.Uw [9/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

ワタル「……お見事、と言うべきかな」


ワタルはシバたちを賞賛しつつカイリューをボールに戻した。

早くも切り札を倒されたというのに、その仕草からは一向に慌てる様子が見受けられない。


シバ「一体なんなんだ、さっきから……?」





カイリュー、戦闘不能。


2ー1。


シバの予想に反して、あっさりとスコアが動いた。

 ▼ 393 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 18:05:20 ID:kI30x.Uw [10/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

ワタル「…………」

シバ「…………戻れ、カポエラー」



さすがに連戦は厳しいだろうと判断し、カポエラーを戻した。

緊張で神経をすり減らしながら戦う試合で連戦させるなど、基本的には愚策だ。



ワタル「さあ、お次は ―――」



俺が次に出すポケモンはもう決まっていた。

ずばり、サワムラー。

この流れに乗って一気に3ー1にリードを広げたいところだ。

前方に目をやれば、ワタルは既に次のボールをしっかりとその手に握りしめていた。


 ▼ 394 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 18:06:10 ID:kI30x.Uw [11/13] NGネーム登録 NGID登録 報告


シバ「一気に行くぞ! 行ってこいサワムラー!!」

ワタル「さあ……行ってこい……!」



互いの掛け声に呼応してボールが開き、ポケモンたちが姿を現す。

もちろん、俺のポケモンはサワムラー。

そして、ワタルが繰り出したのは ―――



ワタル「ははは……驚いたか? シバ」

シバ「なっ……二体目、だと……?!」



――― なんと、カイリューだった。

 ▼ 395 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 18:11:05 ID:kI30x.Uw [12/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

一瞬、衝撃で口がふさがらなかったが確かにこういうことなら合点が行く。


シバ「さっきから感じていた違和感の正体は……これだったのか」

ワタル「ああ、流石に気づいていたんだな。
もちろん先ほどのカイリューも俺が直々に育てた以上弱いわけはないんだが、どうしたって切り札のカイリューには及ぶべくもない」

シバ「……そうだろうな。
"あの"カイリューならああ簡単にはやられてくれなかっただろう」


ワタル「……ふっ。

おしゃべりはこのくらいだ!」

 ▼ 396 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/26 18:12:06 ID:kI30x.Uw [13/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

そう宣言した刹那、ワタルの目の色が変わる。

俺は、あの目を知っている。

もし、ワタルが四天王だった頃と変わらないなら。

打ってくるだろう技は ―――



シバ「構えろサワムラー! ブレイズキック!」

ワタル「カイリュー」



――― ほぼ間違いなく ―――



ワタル「破壊、光線っ!!」



――― 破壊光線だ!

 ▼ 397 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/28 19:45:17 ID:.7BYdE3Q [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゴォォォオオ!!


轟音とともに発射された極太の破壊光線がサワムラーに襲いかかる。

さすがの威力だ。だが ―――


シバ「今だ! 迷いなく振り抜け!」


――― ここさえ、凌げば!


ドンッ……!


ブレイズキックと破壊光線がぶつかり合い、小さな爆発を起こす。

 ▼ 398 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/28 19:47:23 ID:.7BYdE3Q [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「よしっ!」


正直凌ぎ切れるか不安だったが、これで一発防げた。

破壊光線は威力こそ絶大だが、なんと言っても打った直後しばらく動けなくなるのが最大の弱点。

この隙を逃すものか……!


シバ「メガトンキック!」


ガクッ……



しかしそんな思惑とは裏腹にサワムラーはがっくりとフィールドに膝をつく。

ダメージ自体は無いようなのだが……。

 ▼ 399 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/28 19:49:01 ID:.7BYdE3Q [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ワタル「かかったな、シバ」


その刹那、不敵な笑みをこぼすワタル。


シバ「サワムラー?! 何をしている! チャンスを逃すな!! しっかりしろ!!」

ワタル「……無駄だ」

シバ「なに……?!」


フィールドにあるのは石化したように動かないサワムラーとカイリュー。

サワムラーは言うことを聞かない足に苛立つ一方で、カイリューは動けないながらも悠然とした表情でいる。

時間が止まったかと錯覚してしまいそうだ。
 ▼ 400 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/04/28 19:51:08 ID:.7BYdE3Q [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告

ワタル「サワムラーは立ち上がれない。
いや何、すぐに立ち上がれるようになるさ」

シバ「……破壊光線の反動を克服したというのか!」

ワタル「わかりが早くていいね。理想を言えばそのままずっと動かずにいてくれるレベルにまで強化したいんだけれど ―――」


サワムラーがようやく立ち上がった。

なるほど、この妙な追加効果を除けばそのほかにはなんの変哲も無い破壊光線らしい。


ワタル「――― 今はまだ、この程度さ」


ところがその時間はカイリューが立て直すには十分すぎる時間だった。

事実上、反動がない破壊光線。

どう見ても常識を逸脱している。

信じがたいものを見せつけられてしまった。

 ▼ 401 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/05/02 22:00:41 ID:BSc7hTe6 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ワタル「カイリュー、破壊光線!」


カイリューが再びエネルギーをチャージし始めた。

二度は通じさせない!


シバ「させるか! サワムラー、ストーンエッジだ!」

ワタル「!」


ストーンエッジを壁にすることで破壊光線の威力を分散させ、相殺することに成功 ―――


シバ「いけっ!!」


――― そのままカイリューに襲いかかる!!

 ▼ 402 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/05/02 22:02:00 ID:BSc7hTe6 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告

シバ「メガトンキック!」

ワタル「小癪な……! 破壊光線!」


焦り、苛立つワタル。

冷静に仕掛ける俺。

その明暗を示すかのように、メガトンキックと破壊光線の撃ち合いは俺たちに軍配が上がった。

破壊光線を暴発させたカイリューの体制が崩れ ―――


シバ「ストーンエッジ!」


――― そこに真下からストーンエッジが突き上げてくる。


ワタル「くそっ、翼が……!」

シバ「決めろ、飛び膝蹴り!!」

ワタル「………っ!!」


シバ「いけぇぇえ!!」

 ▼ 403 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/05/02 22:02:52 ID:BSc7hTe6 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告

己が剣をその身に受け、自慢の翼はへし折られ。



ゴッ………



もはやカイリューに抵抗する手段はなかった。

槍のごとき飛び膝蹴りでその巨躯を撃ち抜かれ、鈍い音を立てて崩れ落ちる。


シバ「よくやった!」

 ▼ 404 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/05/02 22:03:32 ID:BSc7hTe6 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告



カイリュー、戦闘不能。


3ー1。


初見で受けた破壊光線で満身創痍になりつつも、恐れず自慢の速攻で攻め立てたサワムラーが勝利の星を勝ち取った。




 ▼ 405 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/05/05 09:53:41 ID:kHn3E2dE [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

ワタル「戻れカイリュー」

シバ「お疲れさん。しばらく休んでろ」


3ー1。

追いつき、追い越し、突き放し。

スコアほどこちらに余裕があるわけがない、いやリードしている時点で半ば奇跡だ。



ワタル「はっはっは、強いな! 俺の2体目のカイリューを倒したのは君が初めてだよ」

シバ「……まだ、いるんだろう?」

ワタル「ご名答。本当なら今すぐにでもお目にかけたいが……今はまだそのタイミングじゃあない」

 ▼ 406 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/05/05 09:57:40 ID:kHn3E2dE [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

そういいながらまた新たなボールを手にするワタル。

この様子だと最後の切り札は文字通り最後の切り札にするつもりなのだろう。

ワタルから溢れ出す余裕のオーラは一重にその切り札の切り札たるが故のもの。

それ即ち、切り札に対する信頼に他ならない。


ワタル「その代わりに……隠し玉を見せてあげるとしよう」


ワタル「……行ってこい!!」



ワタルが自信満々といった表情で放ったボールが天高く舞い上がり ―――



グォォオオオ!!!


シバ「面白いじゃないか……!」



――― リザードンを解き放つ!!

 ▼ 407 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/05/05 10:02:11 ID:kHn3E2dE [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

ワタル「はっはっは、驚いたかい?」

シバ「いや……もう今更驚く元気もないさ」


またしても"リザードン"と相見えることになるとは。

別の個体だと頭ではわかっているが、リザードンと言われればつい先日のレッドのリザードンが脳裏に浮かぶのは仕方あるまい。



ワタル「公式戦でこいつを出すのは……。
いや、表立ってこいつを出すのはこれが本当に初めてだ。とはいえ、こいつの力は確かだ」


シバ「……ならば ――― 」

 ▼ 408 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/05/05 10:03:22 ID:kHn3E2dE [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

だが、ここで流れを渡すわけにはいかない。

最後まで切り札を温存するというのなら、こちらはそれまでにどれだけリードを稼げるかが争点になる。

流れを変えようと向こうが初見殺しを仕掛けると言うのなら ―――


シバ「――― ここはお前に託す!!」



――― 目には目を。歯には歯を。

初見殺しには……初見殺しを!!



シバ「行ってこい、ルカリオ!!」

ワタル「なるほど……そう来るか!」


繰り出されたルカリオとリザードンが対峙しにらみ合うが、双方に動きはない。

しかし、ひとたびどちらかが動きを起こせば ―――

 ▼ 409 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/05/05 10:05:56 ID:kHn3E2dE [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

ワタル「リザードン、火炎放射!」

シバ「神速で接近しろ!」


――― 瞬きする間さえない超スピードバトルが幕をあける!


ワタル「飛べ!」

シバ「ブレイズキックで叩きつけろ!
絶対に空に行かせるな!」

ワタル「ジャンプの軌道を予測して、火炎放射で近づかせるな!」

シバ「ラスターカノンで迎え撃て!」


間断なく飛ぶシバとワタルの指示。

そしてそれに応えてフィールドを駆け回るルカリオとリザードン。


激しいスピード勝負の中、火炎放射とラスターカノンが激突し、爆発を起こした。

 ▼ 410 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/05/05 10:08:23 ID:kHn3E2dE [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
爆発によって生じた黒煙。

それは擬似的な煙幕となって両者をすっぽりと包み込んでしまった。


…………視界の悪い煙の中から、早く脱出させなければ!



ワタル「今だ、飛べ!」

シバ「ルカリオ! 煙の中から脱出 ―――」


ワタル「上空からオーバーヒート!!
フィールドを、焼き払ってしまえ!」


シバ「――― しまっ……!」

 ▼ 411 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/05/05 10:09:45 ID:kHn3E2dE [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
遠距離攻撃の打ち合いに応じてしまったシバのミス。

その代償は大きく。


シバ「ルカリオ!!!」


業炎がルカリオを包み込み、唸りを上げて燃え滾り ―――


ワタル「終わりだ。フレアドライブで引導を渡せ!!」


――― これを好機と見たワタルが攻勢をかける!


シバ「ルカリオ! 立て、立つんだルカリオ!!」


俺の判断ミスでルカリオを苦しめてしまっている。

その事実はとても重くて。

けれど、負けるわけにはいかないから。

頼む……ルカリオ……!



シバ「……立ってくれーっ!!!」
 ▼ 412 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/05/05 13:17:25 ID:kHn3E2dE [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
しかし、時すでに遅し。

ルカリオは己が身に迫り来るフレアドライブをただ眺めることしかできず。


シバ「ルカリオ……!」


爆音が轟いた。


ワタル「…………よし」

シバ「…………」


煙の中から足音や羽ばたきの音は聞こえない。
おそらく、決着がついたのだろう。


ワタル「見事な初陣だったぞ」

ワタル「……リザードン?」


部屋の中から、音が消えた。

そう。リザードンの勝どきの咆哮すら、ないのだ。

そして、煙が晴れていく………。
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