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SS

【SS】そうだ、島巡りに行こう

 ▼ 1 SxCy/NIFN. 17/02/18 06:33:20 ID:lUs7RGUg NGネーム登録 NGID登録 報告
ただの少年がこれといった事件に巻き込まれることもなく普通にのんびり島巡りする小説です。
多少設定が適当だったり、たまに原作と矛盾することもあるかと思いますが許してください。

【プロローグ】

俺はしがない短パン小僧。

そろそろ半袖短パン姿が痛々しくなってきた13歳だ。

2年前に島巡りに挑んで最初の試練で挫折してしまい、学校に戻るに戻れず、今までずるずると引きこもっていた。
 ▼ 219 ーメイル@こだわりハチマキ 17/03/20 18:24:24 ID:ECAeozE2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やばい、めっちゃ面白い
支援
 ▼ 220 バルオン@ポフィンケース 17/03/20 20:24:35 ID:ksth9ha6 [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
【13日目】

ピシッ。

懐に抱えている孵化ケースの中のタマゴに、突然亀裂が入った。

「なっ!!?」

一瞬やってしまったかと思ったが、まさか普通に歩いていただけでヒビが入るわけがない。

ということは、つまり……

「孵る、のか……?」

ピシピシと音を立てて徐々に広がる裂け目から、柔らかな光が漏れ出す。

俺は今まさに、生命誕生の神秘と立ち会おうとしていた。
 ▼ 221 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/20 20:25:32 ID:ksth9ha6 [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「タマゴ?」

明朝にオハナタウンを発ち、やたらと多いトレーナーを避けつつ5番道路へ向かう途中。

休憩がてら立ち寄った預かり屋という施設で、カウガール風の女性にタマゴを育てないかと持ちかけられていた。


あまりに唐突だったので、やや警戒気味に尋ねる。

「なんでまた。普通、親のポケモンかそのポケモンのトレーナーが育てるものじゃないんですか?」

預かり屋「本当はそうなるべきなんだけどね。でも、一部のトレーナーはそんなこと全然考えないんだよ。」

「……それはどういう」

預かり屋「強いポケモン同士を交配させてさらに強いポケモンを産ませる方法があってね。

まぁ、私達もその人たちのおかげでやっていけてるわけだから、あんまり強くは言えないんだけど……」

ああ、そういう……。
 ▼ 222 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/20 20:27:12 ID:ksth9ha6 [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ボックスの預かりシステムが設立されて久しいというのにこんな施設のどこに需要があるのかと疑問だったが、つまりはそういうことか。

実態は預り屋とは名ばかりの産卵施設で、トレーナーの都合で孤児になってしまったタマゴを持て余していると。

というかそれってそもそも……

預かり屋の女性をジロリと睨む。

預かり屋「ち、違うよ? 私達はもともとはそんな目的でこの施設を作ったわけじゃなくてね?

だってほら、地方に一つはこういう施設がないと、数が減ってきてるポケモンを増やすこともできないわけで……

でも慈善事業だけじゃやっていけないから、一般トレーナーの利用料金でなんとかやりくりしてるの」

はー。

どうやら、この問題も俺ごときが口を出せるほど単純なものではなかったようだ。

まぁ、そのうち政府とかが対応してくれれば良いんじゃないかと思います。

いつも通り、自分に直接関係がない問題には目を瞑るスタンスで行くことにした。
 ▼ 223 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/20 20:27:50 ID:ksth9ha6 [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「なるほど、なんか突っかかっちゃってすいません。……して、タマゴの中身は?」

預り屋「どこからきたのか分からない不思議なタマゴ」

「何故ぼかす」

預り屋「空気は読んでよ」

しばし沈黙が空間を支配し、観念したかのように預り屋の女性が口を開く

「……イーブイね。進化が複数あって、駆け出しパーティの穴埋めには最適。

この辺りは野生のイーブイの生息地だから、ある程度育ててくれさえすれば野生に帰すもよし。

そんなわけで、とりあえずイーブイから里親を見つけることにしてるの」

「はぁ……」

付近にイーブイが生息しているということは、わざわざタマゴを孵す意味もないのでは……?
 ▼ 224 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/20 20:28:57 ID:ksth9ha6 [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
そんな俺の思考を察したのか、預かり
屋が慌てて会話を繋ぐ。

預かり屋「いやいや、そんな顔せず貰ってあげてよ。孵化余りってことは、かなりの可能性を秘めてるかもしれないしね?」

ふむ、一理あるか。

まぁ大抵の人は断る案件だろうが、もしかしたら育て上げればエース級の活躍をするかもしれない。

それに、戦って捕まえるといつぞやのコイルとヤドンの確執みたいなことがまた起こりかねないしな。

その点、タマゴから育てるのであればそういうしがらみは気にしないで済む。

預り屋「どう……?」

というか、状況的にめちゃくちゃ断りづらいし。

……まぁ、育ててみますか。
 ▼ 225 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/20 20:35:31 ID:ksth9ha6 [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ポケモンと旅をしていればそのうち孵るとのことだったので、孵化装置を抱えて5番道路に向けて進むこと3時間。

俺はじわじわとヒビが広がって行くタマゴを前に、盛大にあたふたしていた。

やべぇよ、まさかこんなに早く孵化が始まるとは。

俺のポケモンたち体温かなり低いし、そもそも孵化の条件が満たされるのかも怪しいと思ってたのに。

どうしよう、何をすれば良いんだ。

頼みの綱の携帯端末も森の中では完全に圏外で、何の役にも立たない。

あのアニメのオンバット加入回はどんな感じだっただろうか。

くそう、預り屋からもっといろいろ聞いておくべきだった!
 ▼ 226 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/20 20:36:07 ID:ksth9ha6 [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
そうは言ってもこのまま黙って見ているわけにもいかない。

焦ってチャックを噛ませながらもリュックを開き、小鍋を引っ張り出す。

「出てこい、ヤドン、コイル!急いで湯沸かしたのむぞ!」

「やあん!」

「##!」

昨日と同じ要領でわざを使って火を起こし、ぬるま湯を完成させる。

ポケモンに産湯が必要なのかは知らないが、とりあえずあるに越したことはないだろう。

「あとは……タオルとかか? 授乳とかはどうすりゃ……あぁっ!?」

気がつけばヒビがタマゴを一周して、タマゴの内側から一層強い光を溢れさせていた。

産まれる!!
 ▼ 227 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/20 20:36:58 ID:ksth9ha6 [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「キュイ! キュイ!」

「ポケモンって逞しいな、マジで」

俺はあたりを駆け回る生後10分のイーブイを眺めながら、げんなりしていた。

あらゆる心配が杞憂に終わったらしく、イーブイは産まれた瞬間からものすごく元気だった。

ミルクどころか離乳食すらすっ飛ばしてポケマメをほおばる姿には、流石に苦笑いを禁じ得なかった。

無駄に沸かしてしまった産湯には、コイルが浸かっている。

まぁ、取り越し苦労だったわけである。

確かに、そうでもなきゃ通りすがりの島巡り挑戦者にいきなりタマゴ渡さないよな、そりゃあ。

孵化に関してほとんど説明無しだったのも合点が行く。

何はともあれ、3匹目の仲間ができました。
 ▼ 228 ナトーン@ラティアスナイト 17/03/20 21:46:50 ID:NBaRgsTM NGネーム登録 NGID登録 報告
何に進化するんだろう
支援
 ▼ 229 ッギョ@クロスメール 17/03/20 23:10:26 ID:YSdvBZhQ NGネーム登録 NGID登録 報告
>>228
タイプバランス的にシャワーズサンダースエーフィはないと(勝手に)予想
 ▼ 230 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/21 17:39:17 ID:shQm4vrA [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【14日目】


『!』

むむっ。

オハナタウン〜せせらぎの丘の旅路は今日で2日目。

ここまで数多のトレーナーを神がかり的に回避して来たが、俺とコイル、さらに頭上のイーブイを加えた長距離索敵陣形でも死角はある。

流石に全避けでポケセン到達とは行かないらしい。

ここにきてアーカラ島初のトレーナー戦のようだ。

財布が守られていても、旅の道中で全滅すると引き返すことになるのは変わらない。

故にレベル上げはできるだけ移動とは別にして行いたかったのだが、見られたものは仕方あるまい。

3番道路でのレベル上げを経てこの理不尽を受け入れつつある俺は、潔く視線の主に目をやった。

小僧「目があっちゃったな。さ、バトルだ!」

「合ってねぇけどな……ってお前、2番道路の文無しじゃん」

小僧「ん? あぁ、メラメラ島でバトルした兄ちゃんか! 久しぶりだな!」
 ▼ 231 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/21 17:40:13 ID:shQm4vrA [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
偶然の再会になんとなくテンションが上がる。

小僧「そんじゃま、今回も勝たして貰うぜ!」

そういえばこいつには前回負けたままだったな。

期せずしてリベンジのチャンス到来である。

「そう簡単に勝てると思うなよ? 行け、イーブイ!」

「キュイ!」

小僧「ガーディ、行くぞ!」

「わぉーん!」
 ▼ 232 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/21 17:41:35 ID:shQm4vrA [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺のイーブイは正真正銘レベル1だ。

トレーナーとしての才がない俺にはレベルが数値で見えるわけではないが、産まれてから1回も戦ってないから多分1だろう。

ではなぜ出したのかというと、これは単に経験値稼ぎのためだ。

バトルに出て戦闘経験を積まなければ、レベルは上がらない。

学習装置があればこういう時にレベル上げがスムーズになるのだが、お値段が尋常ではなく、とても一般家庭の子供に手が出せるものではない。

ククイ博士はチャンピオンにこの装置を無償で譲渡したらしいが、島巡り挑戦者としてはもはやチート級の恩恵であると言えるだろう。

だが、無いものは仕方がない。

幸いにもバトル開始後に即引っこめても経験値は入るらしいので、今回はその方法でレベルを上げていこう、というわけだ。
 ▼ 233 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/21 17:43:02 ID:shQm4vrA [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
小僧「じゃ、前やった時と同じく、この小石が地面に落ちたらバトル開始な!

行くぞ……そい!」

小石が空中に円弧を描き……

……乾いた音を鳴らして地面に跳ねた!

小僧「ガーディ、かえんぐるま!」

「ぐらうっ!」

ガーディの身体が炎に包まれ、いたいけなイーブイめがけて突進してくる。

ここでイーブイを引っ込めてヤドンに変えるのがレベル上げのセオリー。

だが、それではガーディに攻撃のイニシアチブを許してしまい、ヤドンが致命傷を負うことになるだろう。

だから、交代の隙ぐらいはイーブイに作ってもらう。

「イーブイ、まもる!」

「キュイ!」

イーブイの正面に半球状のバリアが展開される。

火だるま状態で突っ込んできたガーディはブレーキが間に合わずバリアに激突したが、即座に態勢を立て直して攻撃を続けてくる。
 ▼ 234 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/21 17:45:36 ID:shQm4vrA [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マシン売りの店員曰く、まもるの最大持続時間は約10秒。

その間は何をされても壊れないらしいが、その代わり発動中はこちらから動くこともできず、交代も不可。

連発もできないので、単純に防御手段として使うぶんには大した効果はない。

ガーディの纏う炎が消えると同時に、こちらのバリアも薄れて行く。

一見なんの意味もない一合だが、接近戦を経て2匹の距離が狭めるのが今の防御の目的だ。

この間合いなら、レベル1でも使える手がある。

小僧「まもるは連続では使えないぜ! ガーディ、もう一度かえんぐるま!」

「ぐる…」

「イーブイ、あまえる!」

「キュイイ〜〜///」

「ぐるぁ!?」

ガーディが再び身体を燃やそうとするより先んじて、イーブイがガーディに抱きつき、頬ずりをはじめた。

突然の抱擁にガーディは完全に狼狽したようで、炎を出してこない。

予想以上の反応だ。

このイーブイ、じつはかなりの魔性のメスかもしれない。
 ▼ 235 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/21 17:46:50 ID:shQm4vrA [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
小僧「お、おい、ガーディ! うろたえるな!かえんぐるまを……」

おっと、正気に戻されては困る。

「いいかよく聞け短パン小僧!!」

小僧「お、お前も短パンじゃ」

「うるせぇ小童!! よく聞け! 今お前のガーディに甘えてるイーブイはな……生後一日の赤ん坊だ!!」

小僧「!?」

よし、こうかはばつぐんだ。

「しかも孤児だ! 両親のポケモンや本来のトレーナーに会ったことがない!」

小僧「!!?!?」

かなり効いている。あと一押し。
 ▼ 236 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/21 17:48:04 ID:shQm4vrA [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「この子に攻撃できるっていうのなら! ああいいさ! かえんぐるまなり何なり、存分に撃ち込んででくるといい!」

小僧「うおお…うおおおおお!!」

もう十分だろう。この隙にイーブイを引っ込めて……

小僧「降参だ畜生! この卑怯者おおお!!」

「えっ」

えっ。

「降参って言ったんだよ! こんなんで戦えるか馬鹿野郎!! 」

イーブイに為すがままに甘えられてすっかり戦意喪失状態のガーディが、ボールに戻って行く。

「キュイ?」

「……喜べイーブイ、初勝利だぞ」

試合に勝って勝負に負けたとは、このことを言うのだろう。

今後、精神攻撃は控えようと思う。
 ▼ 237 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/21 17:49:31 ID:shQm4vrA [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
律儀に賞金107円を差し出しながら、短パン小僧が悪態をついてくる。

小僧「大体よー、レベル上げなら野生のポケモン相手にやればいいだろ?

なんだってわざわざトレーナー戦に生まれたばっかのポケモンなんて出してくんだよ。礼儀ってもんがあんだろ」

言われてみれば全くその通りである。

自分で考えておいてなんだが、この戦術はちょっと擁護できないかもしれない。

まぁ、実行犯のイーブイは俺の頭の上で大分ご機嫌のようだが。

「……正直すまんかった」

小僧「謝るぐらいならやんなよなー。まぁ、確かにタマゴから育てるって大変そーだけどよ」

「すまん……。まぁ、野生のポケモン倒して鍛えたらまた……ん? そういえば」

小僧「なんだよ?」

「この島に入って以来、野生のポケモンが全く飛び出してこないんだが……」

小僧「そういや……確かに」
 ▼ 238 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/21 17:50:12 ID:shQm4vrA [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
店主「あぁ、この島は試練の難度が一気に上がるからね。この時期になると、試練にせき止められて足踏みするトレーナーがかなり増えるんだよ。

そうなるとポケモンたちにとっては相当危険な環境だから、人が通るところには滅多に顔を出さなくなるのさ」

5番道路ポケセンに到着した俺は、カフェの店主にとんでもない事実を明かされた。

つまり、この時期にこの島で野生ポケモンを狩るのは事実上不可能らしい。

旅立ちをオフシーズンまで待てば良かったと思っても、そんなものは後の祭り。

今更帰って「来月から本気出す」なんて言えやしない。

それにしても、トレーナー戦でイーブイのレベルを上げなきゃならないのか。

「キュイィ……」

鳴き声がした方を振り向くと、イーブイが自動ドアの前でうずくまって涙目になっていた。

もしかして、外に出ようとしてガラスに激突したのか。

…………。

前途多難だなぁ……。
 ▼ 239 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/22 18:13:24 ID:t3.0DS3g [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
【15日目】


「試練最寄りのポケセンに到着したので、ここを拠点に合宿的なことを始める」

ポケセン宿舎の隅っこで、俺たちは恒例の作戦会議をしていた。

「で、今回のレベル上げだが……イーブイ」

「キュイ!」

「いい返事だ。とりあえず試練までの2日間、お前の強化を中心にやっていこうと思う」

アーカラ島から試練の難易度が急上昇するという話はどうやら本当らしく、試練の予約は昨日の時点で2日先まで埋まっていた。

俺たちがみずの試練に挑むのは明後日の午後4時。

それまでの間特にやることもないので、とりあえずレベルを上げることにしたというわけだ。

「まぁ、つっても主に戦うのはヤドンとコイルなんだけどな。2匹とも、おもりは頼んだ」

「やん」

「###!」

士気は十分みたいだ。

その後、如何にしてイーブイをバトルに絡めるか入念に作戦を練り、俺たちは5番道路へと繰り出した。
 ▼ 240 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/22 18:15:14 ID:t3.0DS3g [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「よし、行ってこいイーブイ!たいあたりでトドメだ!」

「キュイッ!!」

「アウッ!」

ミニスカ「あぁっ、オシャマリ!

……うーん、完封負けかぁ。ていうかその作戦ちょっとずるいよ」

レベル上げは思いの外順調に進んだ。

ヤドンのみずでっぽう一点集中射撃による無限ハメから、弱り切ったところに交代してたいあたりでトドメ。

コイルの不発弾マグネットボムで拘束し、麻痺と混乱の合わせ技で無力化した上で、交代してたいあたりでトドメ。

イーブイのあまえるは俺の精神攻撃抜きにしてもかなり戦意が揺らぐようで、まもる→あまえる→交代でヤドンやコイルにつなぐというパターンも成功した。

これまでに陰湿な戦術ばかり考えて来たのが功を奏したと言えるだろう。

イーブイのレベルもだいぶ上がって、今日だけででんこうせっかとスピードスターを習得した。

合宿初日は5勝2敗で終え、明日に疲れを残さないように日が暮れる前に切り上げ、ポケセンに帰った。
 ▼ 241 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/22 18:16:11 ID:t3.0DS3g [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「キュイィ…」

「##…」

イーブイが上目遣いでポケマメの甘露煮をねだり、コイルが仕方ないなとばかりに自分の皿を差し出す。

このイーブイ、なかなかに末っ子気質のようで、甘えるのが尋常じゃなく上手い。

コイルはよく今みたいに擦り寄られて、自分のきのみやマメを分け与えている。

夜中はまだ1人で寝られないイーブイに起こされて、ボールの外で一緒に寝てあげていたりもする。

移動中にボールから出て頭の上によじ登って来られると、俺も邪険にはできない。

唯一厳しめなのがヤドンで、イーブイが多少愛想を振りまいた程度では、ひと鳴きで諭してしまう。

まぁ、それはそれで子育てのバランスが取れているんじゃ無いかと思う。


そんな末っ子イーブイだが、このペースなら合宿中に他の2匹にレベルが追いつくかもしれない。

明日も、経験値稼ぐぞー。
 ▼ 242 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/22 18:16:53 ID:t3.0DS3g [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
【16日目】

全然勝てない。

やばい、何故だ。

全ッ然勝てない。

ただいま3連敗中。

昨日が出来すぎていただけなのだろうか。

というか今の勝負もさっきの勝負も、まるで最初から何もかもがバレていたような動きだったような。

……まさか!

「……誰から聞いた?」

短パン「誰からってことはないけど……昨日宿舎で噂になってたよ。やたら小賢しい浪人生がいるって」

悪目立ちしすぎたか!!!!
 ▼ 243 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/22 18:18:44 ID:t3.0DS3g [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
確かに、誰だって試練前、もしくは試練失敗後のレベル上げ拠点ならここを選ぶ。

草むらにポケモンがいないならなおさらだ。

同じ場所にずっと泊まっているとなれば、普通は周りの挑戦者と談笑ぐらいする。

その時に、俺へのヘイトをこじらせた奴が俺の手持ちポケモンや戦術を言いふらしたりでもしたに違いない。

オニゴーリを使うトレーナーは犯罪者と呼ばれるらしいが、他人事ではなかったという事か。

これが邪道に走り過ぎた者の末路なのか。

陰湿なハメ戦術にキレる気持ちは分かるが、なんてことをしやがる!

俺が邪道なのは仕方ないとして、俺の数少ない勝ち筋を潰して回る行為が王道のつもりか?

けっ、流石正義のトレーナーはやることが違うな!

どーせ俺は悪者ですよ! 犯罪者ですよ!

ばーかばーか!

お前のかーちゃんデデンネ!

うんこ!
 ▼ 244 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/22 18:21:21 ID:t3.0DS3g [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
……とまあ一通り憤ってはみたものの、この事態を想定できなかったこちらにも問題があるのは確かだ。

ヘイトというのは感情論でしかないが、人間に感情がある以上、どんなに不条理でも無視できない。

それに、田舎地方アローラの11歳の数はそんなに多くはない。

積極的にバトルを仕掛けながら旅をする限り、狭い交流の中で初見殺しのタネが広まって行くのは必然だろう。

仮にそれがヘイトを稼がない戦術だったとしても、強力なものであればいずれ認知されるのは避けられない。

遅かれ早かれ、こうなるのは仕方がないことなのだ。

長い目で見れば、シンプルにみずでっぽうをぶっ放す練習をしたり、でんきショックを普通に当てる方法を模索した方が良かったのかもしれない。

実際、俺ほど小手先の戦略に頼っていないのであろう他のトレーナーのポケモンは、同じ基本わざでも随分と洗練されていた。

ハラさんの『そのやり方ではだんだん厳しくなる』という言葉は、何も一つの戦闘の中だけの話ではなかったようだ。

とりあえず、現状このエリアではやっていけないのは確実だろう。

明日は試練が控えているというのもあるので、今日はもうレベル上げを打ち切ることにした。
 ▼ 245 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/22 18:24:11 ID:t3.0DS3g [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
本日三度目の全滅回復待ちが終わり、ジョーイさんからポケモンを引き取った俺はそそくさとポケセンを後にした。

そこかしこで陰口を叩かれているかもしれない宿舎に泊まるのは気がひけるので、今日は裏手の森でテント泊だ。

ポケマメカレーをかき混ぜていると、イーブイが俺と鍋の間に割り込み、足にすり寄ってきた。

「あんま鍋に近づくとやけどするぞ。 もうちょいだから、そっちで2匹に遊んで貰ってな」

「キュイ……」

耳をしんなりさせて悲しげに鳴くイーブイ。

そのリアクションは心が痛むのでやめてほしい。

イーブイの8進化のうち3つはトレーナーとの親密さが影響するものらしいが、こういう時に構ってやれないとダメなんだろうか。

戦闘不能にさせてばかりいると嫌われるというし、全滅するときは一方的な試合展開が多いのでなんだか不安になってくる。

まぁ別に他の進化でも一向に構わないのだが、コイルやヤドンも含め、反抗期にでもなったら困るというか……。
 ▼ 246 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/22 18:25:13 ID:t3.0DS3g [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「な、なぁイーブイ」

「キュイ?」

足元でうつむいていたイーブイが、ぱっと顔を上げる。

構ってやろうと声をかけてみたはいいが、今は手が離せない。

何か話でも……ポケモンに通じる話題って何だ?

「そ、そうだ! イーブイお前、何に進化したいとか、あるか?」

「キュイ……?」

質問の意味が分からないのか、イーブイは首を傾げている。

「あー……。進化ってのはな、まぁ、お前がみずでっぽうとかでんきショックとか使えるようになるってこと。

ひのこなんか使えたらメシ作るのも少し早くなるかもな」

ヤドンやコイルや鍋の下の火を左手で順に指差しながら、ザックリと説明する。

「キュイィ……!」

一応何となくは伝わったようで、イーブイが目を輝かせる。
 ▼ 247 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/22 18:27:02 ID:t3.0DS3g [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「他にも、ねんりき、だましうち、はっぱカッター、ようせいのかぜ……。どのわざ使ってみたい?」

グレイシアに憧れられると当分イーブイのまま旅することになってしまうので、こおりわざはリストからひとまず除外しておいた。

できるだけポケモンの意思を尊重したいとは思うが、これくらいのエゴは許してほしい。

選択肢が一つ消えていることは知る由もないイーブイは、少しだけ悩んでからコイルの元へ駆け寄り……

「キュイ!!」

……こちらに振り向いて大きく一鳴きした。

コイルが気恥ずかしそうに頬を赤らめる。

なるほど、「お兄ちゃんみたいになりたい!」的なことか。

兄って言っても性別不明だけど。

確かにコイルが一番イーブイに甘いし、イーブイとスイッチするときのバトルはかなり張り切ってるしな。

実際はタイプ被りとか石探しとかの事情でサンダースにはなれないかもしれないが、微笑ましくていいんじゃないか。

「まぁ、とりあえず進化はまだ先の話だから。じっくり考えような。

さ、メシにしようか」
 ▼ 248 ジョット@やわらかいすな 17/03/22 18:39:25 ID:SMS3bQCA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 249 ノクラゲ@クラボのみ 17/03/23 12:27:45 ID:PnXlmNpg NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 250 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:28:39 ID:4V4dYDlo [1/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
【17日目】


みずの試練の内容は、せせらぎの丘を適当に茶番をこなしながら進み、雨の中でぬしポケモンのヨワシを討伐するというもの。

ぬしのヨワシの特徴としては、まずいきなり仲間の群れと合体変形して超強化形態になること。

そしてある程度体力が削れると仲間が一目散に逃げて行くことが挙げられる。

優勢な時は寄ってたかって相手を責め立てるくせに、いざ雲行きが怪しくなると一斉に手のひら返しをするというわけだ。

そしてこの精神面の弱点を補強するのが、ぬしの呼び出すママンボウ。

こいつの放ついやしのはどうで弱ったぬしが回復すると、なんと即座に群れの仲間が帰ってくる。

ママンボウをどうにかしない限り、ヨワシは集合と解散を無限に繰り返し続ける。

なんとも軸のブレたポケモンである。

プライドとかないんだろうか。
 ▼ 251 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:30:49 ID:4V4dYDlo [2/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヨワシの矮小な生態はともかくとして、ぬし攻略のポイントは2つ。

一つは、さっさと体力を削り合体形態を解除すること。

そしてもう一つは、いやしのはどうで回復させないこと。

連携を崩しつつの短期決戦というと難しく思えるが、もしかすると今回は特に何も考えなくても一瞬で終わるかもしれない。

というのも、ぬしもお供も所詮は魚なので、陸に上がってくることはない。

それはつまり、あの戦法が使えるということで……。

半ば勝利を確信した俺は、ニヤリと口元を歪めた。
 ▼ 252 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:31:23 ID:4V4dYDlo [3/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「…………って感じで今回は行こうと思う。OK?」

今回のぬし前会議の場所は、せせらぎの丘の入り口。

対ヨワシ用の作戦を説明し終えると、3匹がめいめいに返事をした。

イーブイの元気な返事がひときわ大きく響く。

生後間もないイーブイでさえ戦略的な指示を理解しているということについては、突っ込むのも今更であろう。

かのオーキド氏ですら『不思議な不思議な生き物』で論文を締めくくったぐらいなので、多分この辺りは俺の理解が及ぶ範疇にない。

まぁ、仮に年相応の理解力しかなかったとすれば、島巡りを中断して数ヶ月は子育てをすることになっていたところだ。

とりあえずは作戦を理解できるという事実だけで十分である。

脱線しかけた思考をより戻し、モチベーションを高めるべく3匹に声をかける。

「記念すべきアーカラ島最初の試練だ。それじゃ……お見舞いするぞー!!」
 ▼ 253 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:32:04 ID:4V4dYDlo [4/18] NGネーム登録 NGID登録 報告






スイレン「では、ラプラスに乗って水飛沫の様子を調べて来てください。海パン野郎が溺れているかもしれませんから」

「なん……だと……?」

スイレン「お、思った以上に食いつきがいいですね……」

怪訝そうに呟くスイレンだが、俺が驚いたのはそこではない。

ラプラスに乗って、というところだ。

 ▼ 254 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:33:30 ID:4V4dYDlo [5/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
ぬしのいるエリアには、試練中は試練関係のポケモンしかいないので、野生ポケモンの生態系にいちいち配慮する必要がない。

そこに目をつけた俺は、電気風呂を作ってぬしとお供をまとめて封殺しようと計画していた。

だが、ラプラスがいるのではそういうわけにはいかない。

それどころか、その状況では普通にでんきショックを撃つことさえ躊躇われる。

故意か過失かにかかわらず、ライドポケモンに危害を加えるのはれっきとした犯罪行為。

万が一にも避けられて湖面に電撃が炸裂し、キャプテンの見ている前でラプラスを感電させようものなら、言い逃れのしようがない。

つまり、今回は火力担当のコイルのでんきわざが事実上使えない。

さらに、体が大きい相手にはマグネットボムでの拘束やみずでっぽうでのバランス崩しも効果が薄い。

要するに……多分ぬしに勝てない。
 ▼ 255 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:34:17 ID:4V4dYDlo [6/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「すいませんちょっと急用が」

勝てないなら、これはもう帰るしかない。

踵を返しながら早口に言い訳をして出口へ向かおうとしたが、スイレンがシャツの裾を引っ掴んできた。

スイレン「ま、待ってください! 諦め早すぎませんか!?

……じゃなくて。人が溺れてるかもしれないんですよ? 人命と急用、どっちが大事なんですか?」

あくまでそのテイで行くのか。

俺は渋々振り返り、作り置きしておいた甘露干しマメを取り出して、水飛沫めがけて放り投げる。

するとヨワシがパシャリと跳ねてマメを空中でかっさらい、再び湖の中に戻っていった。

「…人命はかかってないみたいだな。よかったよかった。じゃ、俺は安心して急用を済ませに行ってくるから」

スイレン「いやいやいやいや! 相手がただのヨワシだと分かってなお帰ろうとしますか!?

12の私がこんなこと言うのもアレですけど、こんな簡単に逃げてたらロクな大人になりませんよ!? 」

年下に説教されているという状況に若干プライドが傷つく。

確かに、こんな序盤の試練で浪人生が敵前逃亡しようとしているという状況は、キャプテン的には見過ごせないのかもしれない。
 ▼ 256 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:35:23 ID:4V4dYDlo [7/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
だが、これは逃げではない。

あくまで先を見据えた戦略的撤退である。

そこんとこはハッキリさせておかなければならないだろう。

「いや、ラプラスに乗るのは想定外だったからさ。つまりはこれ、でんきわざ使用禁止だろ?

他に攻撃手段ないし、奥まで行ってもぬしは無理かなって。ゲートもまだ先だし、今なら引き返せるよな?」

スイレン「計画が頓挫して後ろ向きになる気持ちはよ〜く分かりますよ?

でもですよ? そもそも湖には普通は野生のポケモンがいるんです。 試練でしか使えないような戦い方がダメなのは当たり前です。

ラプラスがいるのだって、環境の再現を兼ねてるんですよ? 別に嫌がらせでやってるわけじゃないですよ?

さあ観念して、もっと奥の方で溺れてるかもしれない海パン野郎を助けに行きましょう」

「分かった。俺が浅はかだったから離してくれ。また3日後に頑張るから。だから離して……離せっ…!」

スイレン「そんな3日後絶対来なそうなセリフを吐く人を離すわけは行きません……!」
 ▼ 257 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:37:55 ID:4V4dYDlo [8/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
なおも食い下がるスイレンと、完全にネガティブ入ってる俺。

平行線の言い争いを続けていると、頭の上で船を漕いでいた毛玉がもそりと起き上がった。

スイレン「ほ、ほら! 挑戦者さんはこんなでもポケモンは戦いたいはずです! ね、イーブイ?」

「キュイ?」

「そういうのはズルいだろ! やり方が汚……お、おい、イーブイ!?」

イーブイは頭の上からひょいと飛び降りて、その勢いのまま桟橋を駆け抜けて水飛沫めがけて飛び込み───

───湖面が静まり返ったかと思うと、ヨワシを咥えたイーブイが湖から顔を出した。

「キュイ!!」

スイレン「ふふふ。もうこれはやるしかありませんね?」
 ▼ 258 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:39:07 ID:4V4dYDlo [9/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
イーブイにやるきスイッチが入ってしまい後に引けなくなったので、雨の降りだした丘を先へ先へと下っていく。

まぁ、ヨワシは単独形態であればとてつもなく弱い。

スイレンに連れられる道中で何度か戦闘はあったが、とくに苦戦もすることなく最深部にたどり着いた。

だが、問題はこの先。

目の前にあるゲートをくぐれば、すぐにぬしポケモンとのご対面だ。
 ▼ 259 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:40:19 ID:4V4dYDlo [10/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
スイレン「さぁ、早くこっちに来てください。あの水飛沫は今度こそ海パン野郎かもしれません」

ここまで来てまだ茶番を続けるのか。

執念じみたこだわりにいっそ賛辞を贈りたくなる。

「……ビキニのお姉さんかもしれませんよ?」

いや、そういう問題じゃない。

リアクションを放棄し、無言でゲートをくぐる。

スイレン「ふふふ…釣られま」

「それはもういいから」

スイレン「むぅ、釣れないですね。そうですよ。みずの試練、開始です。

……でも、まだ海パン野郎の可能性は捨て切れませんからね。あと、海パン野郎は餌付け禁止なのでそれはしまってください」

開けかけていた干しマメのビンを閉め、渋々リュックに戻す。

岸辺にはラプラスが待機している。

ライドして海パン野郎(仮)の救助に向かい、そこでぬしとの戦闘が始まるという流れなのだろう。

だが愚直にそれをやってはまず勝ち目がない。

一応ここに来るまでの間に、作戦はポケモンたちに伝えてある。

一か八かだが……やってみよう。
 ▼ 260 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:41:07 ID:4V4dYDlo [11/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あのさ」

スイレン「なんですか? 泣き言なら聞きませんよ?」

「その釣り竿で救助したらダメなのか? ほら、うちのコイル船酔いするから、ラプラスの上よりここで戦いたいんだが」

スイレン「へ? ああ、そうですね。別にそれでも構いませんよ。

では、わたしは離れたところからバトルを見守ってますね」

スイレンはそう言って背負っていた釣竿を差し出す。

よし。

これでまず前提条件をクリアだ。

この試練……勝つぞ!
 ▼ 261 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:42:19 ID:4V4dYDlo [12/18] NGネーム登録 NGID登録 報告

ルアーを水飛沫に向かって投げ入れて、静かに待つ。

……。

…………。

…………………………!!

「ここだっ!!!!」

竿越しに伝わった食いつきに、反射的に思いっきり竿を振り上げる。

感触が思ったより軽いのは、多分ぬしの方から試練を与えるべく飛び出して来たからだ。

水面に揺らいでいた影が、大きな飛沫をあげて正体を現す。

空中に身を踊らせ、雨を受けてギラリと鱗を光らせる合体ヨワシと目が合った───

「糸にでんきショック!」

───瞬間、俺はコイルに指示を飛ばした。
 ▼ 262 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:43:32 ID:4V4dYDlo [13/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
だが、この試練の真の難所はこの先にある。

水中で孤立化したヨワシの影が、円を描くように動いている。

あれは多分ママンボウを呼び出す合図か何かだ。

一度でも回復されてしまっては、もうでんきショックを当てる手段がない以上完全に詰みとなる。

むしろここからが今作戦のキモだ。

「コイル、よくやった! ……出番だイーブイ!」

「キュイ!」

イーブイが頭の上から元気よく飛び降りた。
 ▼ 263 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:44:37 ID:4V4dYDlo [14/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
水上にはママンボウが現れ、ヒレから淡い桃色の光が漏れ出している。

ヨワシは水中深くに潜り込んだまま、姿が見えない。

トドメを刺す隙を与えないために、波動を浴びる瞬間に水から飛び出して一気に戦闘態勢に入るつもりなのだろう。

波動が水を伝って水中のヨワシまで届くのであれば為すすべがないが、水中のための波紋疾走は確かターコイズブルーだったはずだ。

ママンボウの纏っている波動の色は桃色なので、おそらくそれはない。

わざわざ水面に顔を出していることから考えても、いやしのはどうは水の中では効力を十分に発揮できないと見ていいはずだ。

ヒレの光が一際強まり、ママンボウが身を震わせた。

……来る!

「今!!」

ヨワシが水面から跳ね飛び、ママンボウがヨワシめがけて桃色の光弾を放ち、イーブイの体躯が残像を引いて弾き出される。
 ▼ 264 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:45:54 ID:4V4dYDlo [15/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
三者の動き出しはほぼ同時。

だが、道中でイーブイに事前に指示したわざはでんこうせっか。

速さのアドバンテージはこちらにある。

「イーブイ、波動を盗め!」

空を裂く音とともに跳躍したイーブイがヨワシとママンボウの間に割り込み、いやしのはどうの光弾をかっさらう。

「キュイぃ…///」

癒しの光に包まれたイーブイが、快楽に溺れてるっぽい鳴き声を漏らす。

これで回復はヨワシには届かない。

あとは、目を丸くしている軟弱本体にトドメを刺すのみ!

「そのままスピードスター!」

「キュイッ!」

宙返りして振り下ろした尻尾から放たれた星型のエネルギーが、ヨワシに降り注いだ。
 ▼ 265 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:46:59 ID:4V4dYDlo [16/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
スイレン「大事なものだったのに。どうしてくれるんですか、これ」

「すいませんでした。本当にすいませんでした。この通り」

ヨワシを倒した後は、取り残されたママンボウはすぐに湖底へ逃げ出した。

トドメの一撃を放ったまま湖の真ん中に落下したイーブイを慌てて回収し、無事試練達成となったわけだが……

貰うものも貰わずに、俺は早速スイレンに土下座をしていた。

というのも、借りた釣竿のルアーが電撃で黒焦げになっていたからだ。

冷静になってみれば、人から借りたものにわざを叩き込むのはどう考えても不味かった。

土下座のやめどきが分からなくなり、しばらく無言で頭を地面に擦り付けていると、スイレンが上から声をかけて来る。

スイレン「……ウソですよ。その釣竿はもともと試練達成者に特典として与えるためのものですから。

もしこれで試練失敗になったらどう処理しようかとは思いましたが、ひとまず渡せることになって良かったです。

というわけで、どうぞ。ルアーは街で新しいのを買ってください。あとクリスタルも渡しますね。」

「えっ…あ、どうも」

俺は膝をついたまま顔を上げ、下賜されるような格好で釣竿とミズZを受け取った。

……こいつ、人を土下座させといて随分と晴れやかな顔してやがる。
 ▼ 266 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:47:45 ID:4V4dYDlo [17/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
スイレン「まぁ、問題は釣竿を壊したことだけじゃないんですけどね……。試練の合否も、本当はちょっと考えるところです」

スイレンが苦々しい表情で告げる。

「へ?ぬしを倒せば良いんじゃないの?」

スイレン「島巡りガイドをよく読んでいれば分かることですが、厳密には『試練での戦いを見た上で担当のキャプテンが合否を判断する』んです。

負けて合格判定になることは滅多にありませんが、勝っても不合格というのは稀にあるんですよ」

「勝っても?」

スイレン「ええ。例えば明らかなルール違反とか、あまりにイレギュラーすぎる勝ち方とか。

今回で言えば、釣竿でコイルをサポートしたところですね。

『トレーナーの過剰な戦闘介入』や『道具の不正な使用』辺りに抵触しているという見方もできます」

「でもクリスタルをくれたってことは……」

スイレン「ええ、良しとします。というか、今時期は挑戦者が飽和気味なのであまり厳格に対処していられません。

そのトレーナーの実力が試練突破に値すると分かる状況であれば、多少のことには目をつぶりましょう。

一応は野生戦っていう想定でやってるのにそこまで厳密にルールを適応するのもおかしな話ですし……。

最近で失敗判定にしたのは、ラプラスと仲良くなってヨワシを倒してもらった子ぐらいですね」
 ▼ 267 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/23 19:50:55 ID:4V4dYDlo [18/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
どうやら、繁忙期に試練を受けたことに救われたらしい。

というかあのラプラスそんなに強いのか。

もしかしたら、当初の作戦通り湖に電撃を放っても何の問題もなかったのかもしれない。

スイレン「ただ、この先はこういうのは控えたほうがいいと思います。

みんながみんな私みたいに大雑把なキャプテンとは限りませんからね。

例えば、ほのおの試練のキャプテンはルール違反者にZワザを叩き込んだり……」

「何それ怖い」

スイレン「……しません。ふふ、また釣られましたね。

まぁでも実際厳しい人は厳しいですから、それくらい気をつけたほうがいいってことですよ。

では、次の試練も頑張ってください!」



スイレンに見送られ、俺たちはせせらぎの丘を後にした。


昨日邪道を後悔したばかりなのにこんなやり方でアレだが……

何はともあれ、みずの試練、達成だ。
 ▼ 268 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/24 18:49:03 ID:tL7SRY8A [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
【18日目】

めざ姉「ちょっと、目覚めさせてみないか?」

ほのおの試練の舞台・ヴェラ火山を目指す道中、休憩のため再び立ち寄った預り屋。

タマゴをくれた女性にイーブイの誕生報告をし終えたところで、背後から不意に声をかけられた。
 ▼ 269 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/24 18:49:36 ID:tL7SRY8A [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
『目覚めさせる』。

どういうことだろうか。

何に目覚めれば良いのだろうか。

というか、アレなんじゃないのか。

いや、どう考えてもアレだ。

このちょっとスレた感じのカウガールは、いたいけな年下少年を目覚めさせることに快感を得る類の性癖があるに違いない。

となると、ここで俺が一つ首を縦に振るだけでwin-winの関係の元に目覚めることができるのか。

しかし俺は齢若干13。

アローラの法に於いて成人してはいるが、酒とタバコとつのドリルは例外。

目覚めるにはあと5つ待たねばならない年齢である。

清く健全でイノセントな短パン小僧として、超えてはいけない壁がそこにあるのは明らかだ。
 ▼ 270 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/24 18:50:29 ID:tL7SRY8A [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
だが。

そうはいっても。

そうはいってもだ。

この女性が目覚めさせたいのはあくまで少年であり、それは合法である限り許されない。

あちらは世界に背く誘いをしていることは先刻承知であり、ならばこちらがそれを理由に断るのはフェアではない。

美しくない。

これは理性ではなく、本能が、タマゲタケが決めるべき選択である。

短パン小僧の矜持が邪魔をするのなら、そんなものは投げ捨てればいい。

そうだ、俺はもう短パン小僧ではない。

パンパン小僧だ。

今こそ、目覚めの時……!
 ▼ 271 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/24 18:50:59 ID:tL7SRY8A [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
振り向くまでの2秒足らずの間にここまでの思考を終えた俺は、覚悟を決めてカウガールを真っ直ぐに見据え、静かに言い放つ。

「お願い、します」

めざ姉「よし……。では、そのイーブイを私に見せてくれるか?」

!?
 ▼ 272 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/24 18:51:43 ID:tL7SRY8A [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
分からない。

イーブイをどうするつもりなんだろうか。

それとも何らかの比喩表現なのか?

俺の立派なイーブイを見せればいいのか?

いやいや、違うだろう。

イーブイはイーブイだ。

俺の頭の上のやつを指して言ったのだ。

イーブイ。目覚める。イーブイ。目覚める……。

あっ。

ここまでに得た2つのヒントから、俺は一つの核心に至った。

これは、ポケモナーというやつだ。
 ▼ 273 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/24 18:52:19 ID:tL7SRY8A [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
どうやら俺は早とちりをしていたようだ。

目覚めさせるというのは、俺をポケモナーの深淵にいざなうということだったのか。

許せない。

俺の純真なコクーンに揺さぶりをかけたのはまだ良い。

だが、生後5日のイーブイを目覚めの贄としようとしたこと。

これだけはやってはいけないことだ。

確かにこいつはあまえるを使うときにメスの顔になるが、それでも慰みものにするなど言語道断だ。

俺は断固としてこのカウガールの誘惑を退けなければならない。
 ▼ 274 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/24 18:53:03 ID:tL7SRY8A [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「イーブイは……イーブイは汚させない!」

めざ姉「汚……?見るだけだが?

……なるほど。この子がめざめるパワーを覚えたら、タイプはドラゴンだ」

えっ。

「めざめるパワー? ドラゴン?」

話が見えてこない。

道行く少年をポケモナーの闇に引きずり込もうと目論む卑猥極まるカウガールではなかったのか?

めざ姉「そうだ。 あまり役に立つタイプではないが……。とりあえずわざマシンをあげるから、気が向いたら覚えさせて見るといい。

よければ、他のポケモンのタイプも調べてあげるが?」

…………。

「すいません、お願いします」


他の2匹を調べてもらう間、俺はもう目を合わせられませんでした。
 ▼ 275 ルノズク@たまむしプレート 17/03/24 19:55:43 ID:3kqc9xwc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 276 ツケラ@げんきのかけら 17/03/27 08:37:03 ID:8L0BGpDI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 277 ンドロス@ロックカプセル 17/03/27 13:00:21 ID:DLHnPCzs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
孵化余りのめざパドラゴンねえ…
 ▼ 278 変申し訳ない◆SxCy/NIFN. 17/03/27 14:22:54 ID:QaJvytvE [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>261>>262の間にあたる1レス分の文章を入れ忘れていることに気づき、ガン萎えしているうちに3日が経過しました。

とりあえず抜けてしまった1レスをこの下に置いて、更新を再開しようと思います。

すいません。
 ▼ 279 ス261.5◆SxCy/NIFN. 17/03/27 14:24:01 ID:QaJvytvE [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「#######!」

「ギョギョォーーッッッ!!?」

俺が全力で竿を引っ張り、コイルがヨワシの口に続く糸に絶え間なく電気を送り込み続ける。

口の中に直接攻撃しているので、ラプラスの感電のリスクのケアも十分だ。

スイレンがゴミを見るような目でこちらを睨んでいるような気がするが、多分気のせいだろう。

突然内側から流し込まれた電流に痙攣し、絶叫する合体ヨワシ。

しかし、逃げ場のない電気湖を作る当初の作戦とは違い、でんきショックの有効範囲はこの一本の糸のみ。

案の定ヨワシは電流による体の硬直に逆らってルアーを吐き出し、でんきショックから逃れて水中に潜り込んだ。

それでも不意打ちに大量の電気を流し込んだダメージは、決して小さくはない。

水に身を潜めた黒い影から、小さな影が次々に散って行き、本体がみるみるうちに縮小していく。

どうやら合体解除の体力までは削りきれたようだ。
 ▼ 280 変申し訳ない◆SxCy/NIFN. 17/03/27 14:25:52 ID:QaJvytvE [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
以上です

今日夜か明日あたりに、続きを投稿しますね。








 ▼ 281 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:46:16 ID:OGhxzs/w [1/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
【19日目】


「ククイさん何やってんすか」

ロイヤル「ククイ? 誰のことだい?」



ロイヤルドーム入り口前。

昼過ぎに中継点のポケセンに到着し、カフェで教えてもらった激安スーパーに向かう途中。

俺は微妙に因縁めいた再会を果たしてしまっていた。
 ▼ 282 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:47:30 ID:OGhxzs/w [2/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
顔面はマスクで覆われてはいるが、その黒肌に目立つ桃色乳首は見紛うこともない、博士のソレだ。

頭隠して乳首隠さず、である。

圧倒的な確信に俺は逡巡することもなく、詰問を続ける。

「いや、流石にこれでお茶にごすのは無理ですよククイ博士。何してるんですか」

ロイヤル「知らないなぁ。ロイヤルマスクはロイヤルマスクさ」

「そうだとして、アローラでククイ博士知らないっておかしいじゃないですか」

ロイヤル「いや、知らないな。ファンが待ってるんだ。もういいかな?

……それとも、まだ僕に何か言うべきことでもあるのかい?」

「……っ!」
 ▼ 283 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:48:15 ID:OGhxzs/w [3/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
正義感も非情さも半端な俺は、こうなると押し黙るしかない。

研究所に続き今回も博士はそれを見透かしているようで、マスクの下に半笑いを浮かべている。

自身最大の闇を握られている唯一の人間相手にここまで強気に出るとは、よほど毛の生えた心臓をしていやがる。

確かに、呼び止めてどうこうできるという話ではないのだが。

しかし、ここでまた引き下がるのも癪だ。

今度こそ、せめて何か一矢報いたい。

「####……!」

コイルも気持ちは同じらしく、苛立ちをあらわに左右のユニットを激しく回転させ……
 ▼ 284 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:48:56 ID:OGhxzs/w [4/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ってお前それは止めろ!」

こんな人目のあるとこで権力者相手に電撃なんて、言い逃れのしようがない!

慌てて止めに入るが、怒りに我を忘れているのか回転が止まらない。

ついに俺も犯罪者デビューか……!

諦めかけたそのとき。

コイルが視界から消えた。
 ▼ 285 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:50:17 ID:OGhxzs/w [5/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
ガイィィン!!

コイルの消滅から1秒半ほど遅れて、上の方から激しい金属音。

これって……。

もはや懐かしい旅立ちの日の記憶をフラッシュバックさせつつ、音のした方を見上げる。

「#ー!##ーっ!」

やっぱりか……。

地上10mの鉄看板の真ん中にへばり付いたコイルが、涙目で鳴きわめいていた。
 ▼ 286 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:51:23 ID:OGhxzs/w [6/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
森や広いフィールドでのバトルばかりだったので忘れていたが、そういえばこいつは電気を出すときに磁力が高まるんだった。

ドーム前のベンチでネジやら釘やらを剥がしながら、街中では気を配らねばと改めて自分を戒める。



コイルの回収に四苦八苦しているうちに、博士は行ってしまった。

むしろ居なくなって安堵したような気もするが、いつまでもこのままではダメだ。

手始めに、足がつかない程度の嫌がらせでも考えておこうと思う。
 ▼ 287 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:52:40 ID:OGhxzs/w [7/18] NGネーム登録 NGID登録 報告


「い”っっ!?」

U磁石に張り付いた鉱石に手をかけると、俺の体を鋭い痺れが駆け抜けた。

「コイル! 折角尻拭いしてやってんのに何すんだよ!」

「##!? ##ー!」

コイルが激しく首を振る。

「へ、お前じゃないの? じゃあ何、石が勝手にやったのか?」

透き通った緑色の石を覗き込みながら、問い詰める。

「そんなわけねーだろ。ほれ、『ごめんなさい』を……あっ」

石の内部に見えたのは、稲妻のような形の結晶体。

「……ごめん、これ石のせいだ」
 ▼ 288 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:53:57 ID:OGhxzs/w [8/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
コイルに再三謝罪をし、ゴム手袋をはめて石を引き剥がした。

進化用アイテム、かみなりのいし。

確かにサンダースになりたい意思は確認したが、いくらなんでもフラグ回収が早すぎるだろう。

頭上ではイーブイが鼻息荒く尻尾を振り回している。

でんきタイプが被ってしまうが……

「進化、するか?」

「キュイッ!!」
 ▼ 289 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:55:09 ID:OGhxzs/w [9/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
そうは言っても何をどうすれば進化できるのか見当もつかないので、専門家に聞いてみることにした。

トリビアの泉とかでもよく大学に電話しているシーンがあったので、多分快く応じてくれることだろう。

ポケモンの進化に詳しい教授は、と……。
 ▼ 290 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:55:47 ID:OGhxzs/w [10/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
ウツギ『はいもしもし、ウツギ研究所のウツギです』

「初めまして。あの、ウツギ博士にお聞きしたいことがありまして」

ウツギ『お、なんだい? 僕に答えられることならなんでも答えるよ』

「ありがとうございます。かみなりのいしについてなんですが……」

ウツギ『ポケモンの進化だね? いいよいいよ、それなら僕の専門だ!』
 ▼ 291 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:56:27 ID:OGhxzs/w [11/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
よほどうだつの上がらない博士なのか、やたらと食いつきがいい。

ていうか絶対暇だろ。

シンオウやカロスでの後発研究が盛り上がりすぎて閑古鳥になったんだろ。


とはいえ、こちらにとっては好都合。

研究所が寂れていても、検索情報にあった通り進化の権威には違いない。

この程度の疑問であれば、即座に正確な情報を教えてくれるはずだ。
 ▼ 292 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:57:21 ID:OGhxzs/w [12/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「イーブイの進化の方法について教えてください。石の使い方が分からなくて……」

『なるほどなるほど。じゃあまずは進化の3つの分類から話していこうか』

ん?

「いや、石の使い方……」

『そもそも、進化っていうのは根本で見れば同一の過程を辿っているんだ。ポケモン本体の進化への意思と、それを実現させるエネルギー。この2つを条件にして進化が成り立つっていうのは、あらゆる進化方法においても共通なんだよ。だから、僕がこれからいう分類はあくまで狭義のものとして理解してほしい。さっきも言ったけど、進化は大きく分けて3つに分類できる。一つ目はレベル進化。これは、成長により増大するポケモン内部のエネルギーを進化の糧としているんだ。自らの力を一段階上のものに変質させるわけだから、当然不可逆的なものになるね。これが最もポピュラーな進化方式なんだけど、イーブイは現在8つの進化が見つかっていながらこれに該当するものが一つもないんだ。これって結構興味深いことだよね。それで、イーブイ進化の8形態を成り立たせているのが二つ目の分類、永続外的干渉力進化。単に外的干渉力進化とか、非レベル進化とか呼ぶ人もいるけど、僕はあえてこの呼び方をしている。まぁ、その理由は後で話すよ。この永続外的干渉力進化は、レベルに関係なく外部のエネルギーを糧に発生する進化のことだよ。例を挙げると、石の力とか、環境の変化、トレーナーとの信頼とかだね。信頼を加算可能なエネルギーと見るのは少し邪道に感じるかもしれないけど、最近の研究ではもう懐き具合や仲の良さは数値化されているんだよ。驚いたかな?とにかく、レベルでの進化じゃなければほとんどはそうだと思っていい。で、なんで僕が『永続外的干渉力』という言葉に拘るか、だったね。実を言うと僕も昔は普通に外的干渉力進化って呼び方をしていたんだよ。だけど、最近になってそれじゃ説明がつかない第三の分類が生まれたんだ。そう、『永続ではない』外的干渉力進化。いわゆるメガシンカだね。メガシンカは、特殊な石を媒介にして絆をエネルギーに発生するんだけど、でも戦闘が終わると解除されるんだ。可逆的な進化なんてあり得ないって最初は思ったんだけど、カロスの研究によるとどうも戦闘中にしか絆に反応しないらしい。だから永続と非永続を区別する必要が生まれたんだよね。』
 ▼ 293 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:58:39 ID:OGhxzs/w [13/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
ウツギ『それでね。ここからは僕の仮説になるんだけど、このメガシンカの可逆性には、エネルギーの方ではなく進化の意思の方が関係してるんじゃないかって思うんだ。ほら、最初に意思とエネルギーの2つって言ったよね?戦闘中にしか起こり得ないほど強い意志でないと、条件の不足で発生しないんじゃないかなって。だから、絆のエネルギーが足りていても、意思力が平常に戻った途端に体も元に戻る。この理論なら可逆性も説明がつくだろう?でも、この理論だとおかしなことになるんだ。これまでずっと不可逆の進化だと思われていた永続外的エネルギー進化も、意思の具合次第では可逆性を持つことになる。もちろん、内部のエネルギーをそのまま転換するレベル進化は、メカニズム上逆行することははあり得ない。でも、外的エネルギーを体に組み込んだのみの進化方法であれば、それを外部に放出しただけで元に戻ることがないとは言い切れない……いや、必ずあるはずなんだ。だってメガシンカはそうだったんだから。もちろん、メガシンカは反応域値に達するための意志力が莫大だからそうなるだけ、という考え方もあるけどね。でも、逆に進化前に戻りたいという強い意思によって、永続外的干渉力進化を破棄するポケモンが現れるかもしれない。もっとも、こんな研究がなんの役に立つのかって話だけどね。あはは……。でも、新たなことを知ることそのものに意味はあると思う。今はただの基礎研究だとしても、将来的に実学になっている可能性はあるからね。何が役に立つのかわからないってことは科学の歴史が証明していることだし……。おっと、話が逸れたね。で、だ。君のイーブイなんだけど、僕の研究に協力する気はないかな。いや、ほんのちょっとのことでいいんだ。僕がこれから送る装』

ピッ。




うん。

これは、Wikiに聞こう。
 ▼ 294 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 21:59:57 ID:OGhxzs/w [14/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
Wikiによると、進化したいポケモンが石に触れた状態で気合いを入れると進化するらしい。

たったそれだけのことすら伝えず、自説を嬉々として語り続けたウツギ博士の研究者精神には脱帽である。

っていうか最後の方、俺のイーブイを実験材料にしようとしてたよな。

新たな研究成果を出さなければマズイのはわかるが、マッドすぎるだろう。

受話器の向こうでは爛々と目を光らせていたに違いない。

人間、ああはなりたくないものである。
 ▼ 295 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 22:01:57 ID:OGhxzs/w [15/18] NGネーム登録 NGID登録 報告






ヤドンとコイルが見守る中、イーブイがかみなりのいしに前足を置いた。

「キュッ……!」

石に溜まった電流が流れ込んだのだろう。イーブイの体が一瞬ひきつる。

だがイーブイは石から足を引っ込めることなく、懸命に踏みとどまる。

「よし! あとは強く思えば進化できるはずだ……頑張れ!」

「キュ……ィイ……!」

イーブイが顔を上げ、コイルを見つめる。

全身が痺れに襲われているはずなのに、イーブイは笑顔だった。

「##……!」

コイルが涙ながらにエールを送る。

そしてそれを横目に複雑な表情(当社比)のヤドン。

これは……嫉妬、かな?

母親にばかり懐く娘を見る父の心境的な。
 ▼ 296 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 22:02:39 ID:OGhxzs/w [16/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「キュウウ……!!」

割れんばかりに響く音とともに、イーブイの体が輝きだした。

進化が始まった。

ドーム前を行き交う通行人も足を止め、固唾を飲んでイーブイを見つめる。

かみなりのいしが色を失っていくとともに、光の塊と化したイーブイの輪郭が徐々に形を変えていく。

全身は一回り大きく。

体毛は鋭く。

尻尾は……え、ちょ、無くなるの?
 ▼ 297 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 22:03:24 ID:OGhxzs/w [17/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
尻尾が消滅する謎に戸惑う間も進化は続く。

イーブイがひときわ眩い光を放ち、世界を真っ白に染め上げ───

───目を開くと、サンダースが俺の顔面めがけて飛びかかってきていた。

「のわっっ……重っ!!」

「キュイーーーッ!!!!」

イーブイ、改めサンダースは俺の頭に飛び乗り、高らかに進化の産声をあげた。
 ▼ 298 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/28 22:04:30 ID:OGhxzs/w [18/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「「「おおおおおお!!!」」」

あたりから歓声が上がる。

コイルは号泣していた。

そして2匹をやれやれという顔で眺めるヤドン。

「イーブイ……じゃなくてサンダースか。改めて、よろしくな」

「キュイッ!」

進化前と変わらず、快活な返事のサンダース。

うむ。



なんだかとっても、イイカンジだ。
 ▼ 299 ナフィ@うみなりのスズ 17/03/28 22:25:22 ID:VKlxsYr2 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 300 色狐◆7yYkDV/Lvk 17/03/29 12:12:05 ID:nH3/6MXM NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 301 色狐◆7yYkDV/Lvk 17/03/31 00:01:24 ID:3zHLCVyM NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 302 ツボット@ルームキー 17/03/31 10:05:05 ID:u/od3qDE NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 303 ケンカニ@コオリZ 17/03/31 11:29:52 ID:1Dv7UJkI NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 304 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/04/02 00:13:50 ID:LXeeKxuo [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【19日目、続き】


「安っ! 野菜クッソ安っ!」

激安の殿堂、スーパーメガやす。

自宅で貰った生活費に限界が近づいていることもあり、俺は赤に黄色の縁取りの馬鹿でかい値段表記に興奮していた。

ラプラスに乗って一旦帰ることになるかと思っていたが、これならほのおの試練まで財布がもつかもしれない。

一発で突破してリザードンのライドの権限を取得できれば、かなりスムーズに島巡りを進められるだろう。


そのためにもまずは買い物だ。

うおお、ポケマメ2パックイチキュッパ!!
 ▼ 305 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/04/02 00:14:55 ID:LXeeKxuo [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ほのおの試練は土日を挟んで5日後。

島巡りのシステムは基本的に平日9時-5時のお役所仕事で回っており、日のめぐりが悪いとこういうことになる。

当面の間ドーム前のポケセンを拠点にレベル上げをすることになるので、近くに激安スーパーがあって本当に助かった。
 ▼ 306 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/04/02 00:16:53 ID:LXeeKxuo [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

企業努力に感謝しながら試練までの日程と予算を組み立てていると、前の客の会計が終わりに差し掛かっていた。

カウンターに置いた買い物カゴを前に滑らせて、壮年の男性レジ員の前に進み出る。

レジ員「お待たせいたしま……

……サンダースか。へっ、こいつはなかなかいいもん持ってそうだ」

「はい?」

いきなりレジ員の空気が変わった。
 ▼ 307 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/04/02 00:17:50 ID:LXeeKxuo [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

唐突に歴戦の猛者感を漂わせ、不敵な笑みを浮かべるレジ員。

頭上で眠りこけるサンダースを舐めるように凝視し、「ふむ」とか「ほう」とか言いながら値踏みしている。

いや、あの、レジ混んでるんですけど。

気まずいので、値踏みより商品の値段読み取りして欲しいんですけど。

「えっと……」

レジ員「おっといけねぇ。そういうのはもう辞めるって決めたのによ。

ま、アレだ。そいつは強くなる。俺が言うんだから間違いねぇ」

だからあんたは誰なんだよ。
 ▼ 308 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/04/02 00:19:33 ID:LXeeKxuo [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

そのあとは普通に会計を済ませ、スーパーを出た。

あのレジ員が何者なのかは知らないが、とりあえず俺のサンダースは只者じゃないらしい。

「なぁ、お前ってもしかして秘めた力とかあったりすんの?」

頭のチクチクとした感触に向かって語りかける。

「キュィ……」

返ってきたのはふやけた寝言。

やはり、あのレジ員が何らかの方面で頭おかしいだけかもしれない。

まぁ、覚醒フラグっぽくて縁起がいいので良しとしよう。
 ▼ 309 伝と予告◆SxCy/NIFN. 17/04/02 00:37:02 ID:LXeeKxuo [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=566603

エイプリルフールSS企画( 詳細 http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=554348)の参加作品です。

このSSと同じアローラの別の場所でのお話ですので、良ければ読んでいってください。

そのうち、こっちの話ともクロスする予定です(読んでなくても全く差し支えない程度にですが)


では、失礼しました。

 ▼ 310 スボー@トポのみ 17/04/02 02:09:21 ID:XNXBONHo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これは元ジャッジですかね…
 ▼ 311 ーク◆wGiHMAH5Hk 17/04/02 02:10:21 ID:O7ap75QY NGネーム登録 NGID登録 報告
>>1
俺がいる…
 ▼ 312 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/04/02 18:10:36 ID:FMryvEl. [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
【20日目】


おいおいおい、やべぇよ。

サンダース、クソ強ぇよ。

真っ向勝負で普通に勝ててるよ。

こんな感覚初めてだ。

相手の攻撃を全部避けて、こちらの攻撃を全部当てる。

こんなアホみたいな必勝理論がまさか実行可能とは。

昨日のレジの人、見る目あるじゃないか。
 ▼ 313 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/04/02 18:11:45 ID:FMryvEl. [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告


7番道路でのレベル上げは、あり得ないほど順調に進んだ。

悪評の元となる狡い戦術を封印しての戦闘に不安を覚えていたが、どうやら全くの杞憂だったらしい。

進化したサンダースのスペックは、どう考えてもこの辺りの水準を大幅に上回っていた。

なにせ、小細工なしの技の打ち合いに不慣れな俺ですら難なく勝ててしまうのだ。

攻撃力も機動力も圧倒的。

つい最近まではコイルとヤドンにお守りをされていたイーブイが、今やパーティのレベルを牽引する側になっていた。
 ▼ 314 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/04/02 18:16:32 ID:FMryvEl. [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告

しかし、このまま闇雲に対戦数を重ねて行けば、またすぐに悪評が広がってしまうだろう。

小細工無しなら問題ないのではないかと思うかもしれないが、なにせ相手はほとんどが11やそこらの小学生だ。

「負けは全て相手のせい」という自己中心的世界観を持っている輩が少なからずいるのが世の常であり、スペック差による勝利というのも「卑怯」判定がつきかねない。

事実としてかみなりのいしはかなりの希少価値を持つ代物であり、この段階でサンダースと言うのも悪目立ちの要因となりうる。

あまり積極的に対戦を仕掛け続けるのは、得策とは言えないだろう。
 ▼ 315 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/04/02 18:17:15 ID:FMryvEl. [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
そんな懸念もあって、今日は早々にレベル上げを切り上げた。

三戦全勝で賞金は合計1240円。

節約のためテント泊にしようかと思っていたところだが、思いの外稼げたのでポケセンに泊まることにした。
 ▼ 316 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/04/02 18:17:49 ID:FMryvEl. [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告

警戒態勢で来た道を引き返しながら、今後のレベル上げの方針について思案する。

1日に2、3戦、あちらから仕掛けられた場合のみ戦う。

長期化を見据えた円滑な島巡りのため、これをレベル上げのルールとしよう。

要は何事もほどほどに勝つのが重要なのだ。

そこんところを、俺は先の経験から学習している。
 ▼ 317 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/04/04 15:25:19 ID:MPBtPD5M [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【24日目】


ハイッ! ハイッ!ハヤハヤハヤハヤハァーーイッ

エスニックなBGMに合わせてガラガラたちがポーズをとった。

目を凝らし、先ほど見た記憶と目の前の光景を重ね合わせる。

切り取った2つのイメージの中で、おぼろな違和感を放つのは……

くっ……放つのは……!
 ▼ 318 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/04/04 15:26:18 ID:MPBtPD5M [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ヴェラ火山中腹でテント泊をしていた昨日の夜。

例のごとく端末で試練の詳細を調べたが、なぜかぬしポケモン以外の内容が一切伏せられていた。

仕方ないのでぬし対策の作戦だけを練り、試練特有の茶番はぶっつけ本番で臨むことになったのだが……

なるほど、そういうわけか。

観察力のクイズとなれば、確かにネタバレは厳禁だ。

少し苦しいが、そもそも試練に前情報を持って来ること自体が邪道なのだ。

これぐらいは自力で超えねばなるまい。
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