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【長編SS】サトシ「オレに妹ができた」

 ▼ 1 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/07/25 21:23:55 ID:cW1fxHtY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

あなたにとって、ポケモンとは何ですか?


ポケモンにとって、あなたとは何ですか?


家族?友達?仲間?



------------------------これは、不思議な魔法にかけられた、可愛い可愛いポケモンと、


そのポケモンとドタバタでハチャメチャな暮らしをするハメになった、可哀想な可哀想な少年の物語です。



物語の主人公、少年の名はマサラタウンのサトシ。サトシの夢はポケモンマスターになること!



「みんなもポケモン探しに、ゼンリョクでいこうぜ!!」
 ▼ 286 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/27 21:02:56 ID:i/NXjoZo [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「……え」

カキ「原因は明白だ。オピラドンとカンタスクの服用から発作までの時間は約1時間」

カキ「サトシ、ムーマが血を吐く1時間前、オレ達は何をしていた?言ってみろ」

サトシ「で、でも……そんなのあり得ないぞ!?」

カキ「あり得ないさ。でももうそれしか考えられないだろ!?毒物を口に入れるようなタイミングなんか!」


マーマネ「な、何か心当たりでもあるの?」

カキ「あぁ。信じたくもないことが確信に変わったよ」

サトシ「……でも……でもあの人達はムーマを待ってるって!」

カキ「それも嘘だろうな」

サトシ「そんな……!」


サトシはもう一度変わり果てたムーマの足を見直した。

……見るに堪えなかった。ムーマはもう、歩けそうにもない。


サトシ「ムーマは……ムーマの夢は……オレの見た世界を見に行くことだったんだぞ……」

サトシ「自分のこの足で世界を旅することだったんだぞ!?こんな……こんなことが……」

マーマネ「サトシ?」

サトシ「ムーマが一体何をしたって言うんだよ!!一体どこの誰にムーマの夢を奪っていい権利なんかあるんだよ!!」


ムーマ「ZZZ……おにー……ちゃん……」

サトシ「……許さない」

マーマネ「ちょ、ちょっと待って!さっきから二人の話について行けてないよ!」

マーマネ「そのムーマちゃんに毒を盛った夫婦って、一体誰なの?」

カキ「シロガネ・ヤシロちゃんの母親と、その夫だ」

マーマネ「ヤシロちゃん?」

カキ「4年前に父親からの虐待が原因で亡くなった、ムーマそっくりの女の子さ」

マーマネ「そっくりの……」

スイレン「……まだわからない。虐待したということはきっと親がそのヤシロちゃんって子を憎んでいたから」

スイレン「ムーマちゃんがこんな目に遭う理由がない!」


サトシ「ムーマは……ヤシロちゃんの生まれ変わりなんだ」
 ▼ 287 ルケニオン@カメックスナイト 17/08/27 21:03:14 ID:op2bVj.M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>283
こけこの目ってよく見ると
ドラゴンタイプの技マシンに似てるな
 ▼ 288 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/27 21:05:15 ID:i/NXjoZo [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「!」

サトシ「嘘みたいな話だろ?」

カキ「おいサトシ、それは単なる推測じゃ……」

サトシ「さっき聞いたんだ。カプ・コケコから」

マーマネ「カプ・コケコ!?サトシ、また会ったの!?」

カキ「……詳しく聞かせてくれ」

-------------------------------------

マーマネ「……そんなことが……ダメだ。やっぱり頭がついていけない……」

カキ「生まれ変わって閉じ込められていたムーマの前世の記憶が、ヤシロちゃんの家のある町に近づくことで呼び覚まされた」

カキ「……ということか」

サトシ「あぁ。やっぱりムーマはヤシロちゃんだったんだ」

スイレン「じゃあその夫婦はそのことを知ってて?」

カキ「……ムーマの記憶がヤシロちゃんのそれと一致したことで確信したんだろうな」

カキ「そして今度こそ、自分達が憎んでいたムーマ……ヤシロちゃんを殺そうと……」

サトシ「ムーマの全てをカプ・コケコから聞いた。でも……それでも……理由がわからない」

サトシ「どうしてあの両親はムーマを殺したかったんだ!?わからない!オレには!」


ムーマ「ZZZ……おにーちゃん……またおさんぽいこ……?」


サトシ「ぐっ……」

カキ「サトシ、お前の話、もう博士には?」

サトシ「まだしてない」

カキ「オレから話しても問題無いか?」

サトシ「好きにしてくれ。オレはもう行くから」

カキ「行く?」

サトシ「……」ガタッ

スイレン「サトシ、どこに行くの?」

サトシ「          もう一度両親に会ってくる          」
 ▼ 289 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/27 21:07:03 ID:i/NXjoZo [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「今から!?気持ちはわかるけどサトシはまだムーマちゃんの傍にいてあげた方が……」

サトシ「いや、今行く」

カキ「……見たくないんだろう?想像したくもないんだろ?この足をムーマ自身が見た時に、どれだけ悲しむかなんて」

サトシ「……あぁ」

カキ「ムーマの……ヤシロちゃんの両親がどうしてこんなことをしたのかはわからない」

サトシ「だから理由を聞きに行くんじゃないか」

カキ「ムーマの悲しみをお前が受け止めてからでも遅くないだろう?……逃げるな」

スイレン「カ、カキ……確かにムーマちゃんにとってはその方がいいかもしれないけど……」

カキ「けど、何だ?」

スイレン「そ、それは……」

カキ「サトシ、何もこの現実をお前一人で受け止めろとは言ってない。オレ達もここに残るさ」

カキ「オレ達も……ムーマの兄ちゃんなんだからな」
 ▼ 290 アームド@アクセサリーいれ 17/08/27 22:49:08 ID:FUNkN2Tc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コロッケか…
 ▼ 291 ニョニョ@ジメンZ 17/08/28 03:56:22 ID:XFvfqf1k [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
他のが食べられなくなるくらいおいしいコロッケって死んで食べられなくなるかな?パピーが入れたと思ったけどこれは母が言ったから母率あるかもムーマが甘いって言ってたコロッケは毒入ってた?つまりサトシはムーマに毒入りコロッケを食べさせたこれ母か父がサトシが殺したって言い訳で言いそう
 ▼ 292 マザラシ@ありふれたいし 17/08/28 03:56:58 ID:XFvfqf1k [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
外れてたら恥ずかしいなぁ
 ▼ 293 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/28 19:31:01 ID:2sJKbQaw [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>291
ヒント:毒に関してはコロッケを一口食べた時点でアウトなので実際はサトシのせいではない
両親それぞれの主張は後々あるのでお楽しみに……





-------深夜1時-------


ムーマの目覚めを待つだけの病室での数時間。

サトシはムーマの足をもう一度布団の下へ戻し、時々彼女の胸を軽く叩きながら枕元を離れなかった。


スイレン「……ん」ウトウト

カキ「眠いか?」

スイレン「大丈夫。もう少しだけ……」

カキ「今日は疲れただろうからな。無理するな。ムーマが起きたら教えてやる」

マーマネ「ぬぬ……」ウトウト


サトシ「結局、マオ達来なかったな」

ククイ「一応パパさんと連絡は取ってみたが……マオの奴、頑なに家を出ようとしないそうだ」

カキ「皆こうして待ってるってのに……ムーマが皆の妹だと言い出したのを最初に受け入れたのはマオだってのに……」

カキ「結局はその言葉に振り回されて、自分は逃げて……あいつ自身が一番、ムーマのことを想っちゃいなかったんだ」

ククイ「おいカキ、何も彼女はそんなつもりで……まぁいい。もしもの時はまたオレが何とかするよ」

ガラガラガラ……

ジョーイ「ククイ博士!……お電話です。アイナ食堂さんから……」

ククイ「えっ……」

---------------------------------------

カキ「何の電話だったんです?」

ククイ「リーリエがこっちに来たいそうだ。それで彼女と合流してくれ、と」

カキ「これでとうとう残るはマオ一人になったわけだ」

サトシ「博士……」

ククイ「オレが行く。サトシとカキは引き続きムーマを見ていてくれ」

サトシ「……はい」
 ▼ 294 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/28 19:33:04 ID:2sJKbQaw [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ「ZZZ……」

スイレン「ZZZ……」

マーマネ「ZZZ……」

カキ「どうしたサトシ。難しい顔をしてるが考え事か?」

サトシ「ん?いや……何でもない。ただ、ムーマにかけてあげる言葉が見つからなくて」

カキ「……まだ信じられないよな」

サトシ「あぁ。今からでも会いに行って問い詰めたい……けどやっぱりそれじゃダメだよな」

サトシ「一番辛いのはムーマなんだ。どうせ聞くなら彼女自身の耳元で吐かせてやりたいよ」

カキ「悲しむだろうな。どんな答えであれ」

サトシ「…………」


ムーマ「ZZZ……んむ」

サトシ/カキ「「!」」


ムーマ「おにーちゃん……?」

サトシ「……お、おはようムーマ」

ムーマ「まだ夜だけどね」

サトシ「あはは……何か、欲しいものはない?」

ムーマ「うん!わたし今おなかペコペコなの!」グイッ


ムーマ「……あれ、起き上がれない」


ムーマ「よいしょっ、よいしょっ、……あれれ?」

サトシ「…………」

ムーマ「おにーちゃん……泣いてるの?」


ムーマが目覚めた。彼女の悲しみをもう、正面から受け止めるしかない。


サトシ「ムーマ、驚かないでくれ。……いや、驚いてもいい。オ、オレが……うけ、受け受け止めてや……」


口元が震えすぎてまともに声も出ない。それでもサトシはムーマの布団を躊躇わずにサッとどけた。


ムーマ「何これ?……炭?」

サトシ「お前の……あ、足だ。お前が血を吐いてから毒が回って、それで……」
 ▼ 295 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/28 19:34:08 ID:2sJKbQaw [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それだけ言うと同時にサトシもムーマから眼を逸らした。

しかし、もう逃げられない。顔を背けるとすぐに、悲痛な声が耳に入ってくる。

ムーマの涙は枯れるまで止まらず、泣き声は近くの病室にも響き渡った。

真夜中の病室に響き渡る泣き声はきっと、ヤシロちゃんの両親の耳を痛めていた夜泣きと同じもの……


ムーマ「うわあああああん!!」

サトシ「……ムーマ!……大丈夫、いっぱい泣いて! おにーちゃんがついてる!」

ピカチュウ「……」

サトシ「ムーマ……ごめん……ごめんね……」


サトシはただ黙って泣き叫ぶムーマの顔を胸板に押しつけるようにして抱きしめる。それしかできなかった。

サトシが説明するまでもなくムーマは理解していた。だからムーマは泣き続けた。

ムーマは知ってしまった。自分の足はもう動かないことも。自分の夢を……叶えられなくなってしまったことも。

サトシはムーマの悲しみを受け止め続けた。シャツが涙でビシャビシャに濡れていく。
 ▼ 296 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/28 19:36:15 ID:2sJKbQaw [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガラガラガラッ!

トレーナーA「ちょっと!誰だよここの病室に元気なガキを連れ込んでるのは!ここはポケモンセンター、病院だぞ!」

トレーナーB「隣で休んでるウチのポケモンも休めやしねぇ。公共の場で迷惑をかけるくらいなら出てってくれ!」

カキ「元気なものか!ムーマは苦しんでるんだ。それもわからないで……」

サトシ「カキ! ……ご、ごめんなさい。すぐに大人しくなるので……」

トレーナーA「すぐに大人しくならねぇからこうして出てきてんだろうが!何とかしやがれ!」


子供「あっ、お母さん!あの子の足、真っ黒だよ!どうして?」

サトシ「っ!?」

トレーナーA「本当だ。何かの病気か?炭みたいにゴツゴツしてやがる」

母親「まぁ……!きっと何か悪いことをしたんでしょうね。あなたも大人に嫌がらせをしたらあぁなるのよ」

ムーマ「……?」ピタッ

子供「そうなの?お母さん」

カキ「おいそこのババァ!根拠のない言い掛かりはやめろ!」

母親「バッ……!?子供のくせになんて口を聞くの、このクロンボ!」

トレーナーB「よしなよ奥さん。……おいそこのお兄ちゃん、……君だよ君。ガキを抱っこしてる兄ちゃんだよ」

サトシ「な、何ですか?」

トレーナーB「……お前さぁ、その黒い足のガキの兄貴か?」

サトシ「そ、そうですけど……」

トレーナーB「親は?」

サトシ「はか……お父さんならまだこっちに帰って来そうにはありませんが」

トレーナーB「帰って来たら言ってくれるか?『他の病室の患者やポケモン、その家族に土下座して回れ』って」

サトシ「!」

トレーナーB「子の責任は親の責任って言うだろ?こんな碌でもないガキを育ててしまったことを詫びるんだよ」

スイレン「そ、そんなことできない!」

トレーナーA「お前にゃ聞いてねぇよブス!……おい兄貴、もちろんお前も謝りに行けよ」

トレーナーA「迷惑を掛けるってのはそういうことだ。誠意を見せない限りはオレ達は許す気はねぇ」

マーマネ「ムーマちゃんが貴方達に何したって言うんですか!」

母親「まだわからないの!?……ダメだわ。ここにいる子供達、みんな頭がおかしいわ!」
 ▼ 297 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/28 19:38:21 ID:2sJKbQaw [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジョーイ「皆様ど、どうされましたか!?」ガラッ

トレーナーA「おい看護婦!今すぐこのガキ共を摘み出せ!」

トレーナーB「その前に土下座をさせろ!コイツらに恥をかかせなきゃ気が済まねぇ」

ジョーイ「い、一体何が……」

------------------------------------------

ジョーイ「そうでしたか……ですがこの女の子はしばらく入院が必要で」

トレーナーA「あの足を見てまだ入院が必要だってのか!?治しようもねぇ、とっくに壊死しちまってんだろ!」

サトシ「……!」

ムーマ「……」

トレーナーA「病院ならあんな足さっさと切り落とすぐらいのことはできるだろ!?」

トレーナーB「ここにはどんなに重くても、辛くても、治るかもしれない病気やケガと戦ってる人やポケモンが大勢いる」

トレーナーB「他人の迷惑も省みないようなヤツはさっさと出てってほしいんだよ!」

カキ「今のムーマにだって必要だ!」

母親「治る可能性の無い半死人には病院なんていらないのよ!」

ムーマ「!」

サトシ「ムーマ!……何も聞くな」


こうしてしばらく、サトシ達は降り注ぐ罵倒雑言に必死で耐えた。

サトシはムーマの耳を塞ぎながらただただ黙って文句が止むのを待った。


……騒ぎはククイ博士が戻って来る前に院長の仲裁により収まり、博士がリーリエを連れて病室に戻って来ると

心がボロボロになり項垂れているサトシ達の姿があった。ムーマは泣き止み、代わりにスイレンとマーマネが泣き出していた。
 ▼ 298 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/28 22:05:08 ID:2sJKbQaw [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ククイ「こ、これはどうしたことだ?」

カキ「安心してください。ククイ博士の名前は出しませんでした」

スイレン「だけど……この病室を出なければいけなくなりました」

ククイ「な、何だと!?」

マーマネ「ムーマちゃんを車椅子に乗せて朝までに退院しろって……」

リーリエ「そんな……でもそれではムーマちゃんは」

サトシ「問題ないってさ。足以外、今のムーマは至って元気だから」


ムーマ「……白いお姉ちゃん、これ、わたしの足」バサッ

リーリエ「……!」

サトシ「おいっ!」

ムーマ「これでいいのおにーちゃん。だってこの足、わたしが悪いせいなんでしょ?」

サトシ「な、何を……」

ムーマ「わたし、ずっとずっとみんなに迷惑かけてばっかりだから、だからこうなったんでしょ?」

サトシ「お前が誰に迷惑を掛けたって言うんだよ!」

ムーマ「パパとママに」

サトシ「違う!!」

ムーマ「わたし、あのおじさんのお話こっそり聞いてたの。わたしがやんちゃばかりしてたからわたし、パパに殺された」

サトシ「違う!ヤシロちゃんは……ううん、お前は自分らしく生きてただけだ!それなのにお前のお父さんは勝手に殺した!」

ムーマ「きっとママだってまだわたしをうらんでる。ママはわたしの大好きな人だけど、きっと……」

サトシ「!? ムーマ……お前……」
 ▼ 299 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/28 22:07:16 ID:2sJKbQaw [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
----------------------------------------

数時間前-------


カキ「サトシ、ムーマに毒を仕込んだのはムーマの母親かその旦那で間違いないことは、彼女には秘密にしておこう」

サトシ「……あぁ。ムーマが世界で一番大好きな人だもんな。アイツだってきっとそんなの信じない……」

----------------------------------------

サトシ「…………」

サトシ「そ、そんなことはないよ。だってムーマのお母さんは優し……」


ムーマ「わたし何となくだけどわかってるよ。わたしの足がこうなったの、今日のごはんのせいだって」

サトシ「!!」

カキ「気付いていたのか……?」

ムーマ「おにーちゃん、わたしもう足のことはあきらめる」

リーリエ「ムーマちゃん!?……一体何を言って……」


ムーマ「だから動けないわたしのかわりにあやまってきて!わたしのママに!」


サトシ「謝る?」


ムーマ「迷惑かけてごめんなさい。だからもうこれ以上イジワルしないでって」

ムーマ「わたしの大好きなおにーちゃんをもうこれ以上悲しませないでってあやまってきて!」


カキ「ムーマ、何でお前が謝らなきゃいけないんだよ!?悪いのは……ムーマの足をそんなにしたのは全部……」

サトシ「……わかった」

カキ「サトシ、お前!もうあの母親の家に行くつもりか!?」

サトシ「ムーマの気持ちを伝えなきゃいけないんだ」

カキ「お前……ムーマがそれで報われるはずがないことぐらい知ってるハズ……」

サトシ「カキ……」ヒソヒソ

カキ「! ……そういうことか」

マーマネ「?」

カキ「その代わりムーマが納得できるような結果を出してこい。いいな?」

サトシ「あぁ」
 ▼ 300 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/28 22:08:55 ID:2sJKbQaw [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ「おにーちゃん!」

サトシ「ムーマ、いってきます」

ピカチュウ「ピカッ!」

ムーマ「……いってらっしゃい!」

-------------------------------------------

リーリエ「行っちゃった……でも、サトシがムーマちゃんを殺しかけた人達に謝りに行くなんて到底思えません」

カキ「……博士」

ククイ「あぁ。オレはちょっとサトシを追いかけてくるよ。皆、オレが戻ってきたら準備をするようにな」

リーリエ「準備とは?」

カキ「決まってるだろ。ムーマを連れてこの病室を出るんだ」

リーリエ「ほ、本当に出るんですか!?ムーマちゃんの足のことは何も解決できてないのに!」

カキ「解決のしようが無いじゃないか!……もうムーマは自分の足で歩くことはできないんだ」

ムーマ「?? 青いお姉ちゃーん、耳から手どけてよ、聞こえないよー」

スイレン「カキ、これ以上言わないであげて。一番辛いのはムーマちゃんだから」

カキ「……あぁそうだな。悪い」

マーマネ「でも、病室を出たら次はどこに行けば?」

カキ「アイナ食堂に行こう。そろそろアイツにも現実を見せてやらなきゃな」

マーマネ「や、やっぱり……?でもこれからマオもムーマちゃんと付き合っていく上じゃ避けては通れないもんね……」

カキ「そうさ。 ムーマ、マお姉ちゃんにも早く会いたいだろ?」

ムーマ「うん。……だけどこの足を見たら、何て思うかな……」

スイレン「カキ、ムーマちゃんを幼く見すぎ。彼女だってマオちゃんのこと心配してる」

カキ「……ハァ、そうかい。どうも過保護が染みついちまってな」

マーマネ「博士はサトシを追いかけに行ったけど、あのままサトシについていくのかな?」

カキ「それもいいかもしれないな。博士もまた、ムーマを一番近くで見てきた人のうちの一人だ」
 ▼ 301 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/28 22:12:54 ID:2sJKbQaw [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「……」


ククイ「サトシ!待ってくれ!」

サトシ「! 博士!」

ククイ「お前、ムーマのお母さんに謝りに行くなんてのは嘘なんだろ?」
サトシ「えっ?」

ククイ「お前はカキだけに言ったつもりだろうが、オレにもわかる」

ククイ「その眼、その眉、その握り拳……どこからどう見ても謝りに行く人の姿ではないだろ」

サトシ「うん……バレてたか」

ククイ「お前はムーマを殺そうとした両親を絶対に許さない。だがそれはオレも一緒さ」

ククイ「オレも力になろう。大人の話には大人のオレが関わるべきだ」

サトシ「いいよ博士。オレ一人で行くんだ」

ククイ「な、何を勝手な!迷子探しの時とはワケが違うんだぞ」

サトシ「わかってる。けどオレはもう決めたんだよ!あの人達に謝る以外の方法でムーマも納得がいく結果を出してくるって!」

サトシ「ムーマはそれを求めてないけど……けどムーマにとって必要なことなんだ!」

サトシ「オレはムーマに欲しいものを与えてるだけじゃダメなんだよ!オレはムーマのおにーちゃんだから!」

>>103

ククイ「……! だ、だがオレにもムーマの保護者としての責任が……」

サトシ「博士!責任ならオレも感じてる。スイレンに言われたあの日から、オレはムーマにしてやれることをずっと考えてた」

サトシ「できるなら今日、その答えを出したいんだ!オレはムーマのためにやれるべきことをやりたい!」

ククイ「……熱いな。さすがはポケモンマスターなんて大層で大胆な夢を掲げるだけのことはある」

ククイ「いいよ。これ以上の口論はお互いにとって面倒なことになりそうだもんな」

サトシ「博士! ありがとう!……オレ、絶対に答えを見つけて帰って来るから!」


ククイ「だが待て!オレからも一つ言わせてくれ」

サトシ「?」

ククイ「サトシ、お前は冒険の旅に慣れてるせいか、他人に頼ることに消極的になっていないか?」

サトシ「え?……いや、そんなこと」

ククイ「サトシ、こいつを持っていけ」ポイッ

サトシ「お、おおっと!」パシッ

ククイ「通信機だ。オレがマーマネからプレゼントに貰ったんだが使い時が無くてな。ボタンを押せば簡単に繋がる」
 ▼ 302 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/28 22:14:32 ID:2sJKbQaw [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ククイ「一人で戦うんだと思うな。大人の力ってのはスゴイんだぞ」

ククイ「『サトシの事はどうぞよろしく』ってママさんからも頼まれてることだしな」


サトシ「博士……」

ククイ「(^_-)-☆」

サトシ「オレは一人で戦うなんて思ったことはないよ。旅の中だっていつも仲間が……」

ククイ「わかって無さそうだったから言ってやったんだろうが。素直に受け取れぃ」ワシャワシャ

サトシ「いでででででで!!」



ククイ「……行ってこい。サトシ」

サトシ「……はい!」



ポケモンセンターを後にするサトシ。その小さく、だけど大きな背中をククイ博士は誇らしげに見守る。

外へ出たサトシは真っ直ぐに、『彼』との約束の場所に向かった。


空は曇り。風はやや激しい。妹のために、やるべきことをやるために、兄は天を仰いで叫ぶ。




サトシ「……来たぜ」




サトシ「          カ プ ・ コ ケ コ ー ー ー ー ー ッ ! !          」







ド  シ  ャ  ア  ア  ア  ア  ア  ア  ア  ア  ン  !  !
 ▼ 303 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/28 22:16:09 ID:2sJKbQaw [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
明日からのおはなし



第10話(全15話)   「DECISION」
 ▼ 304 マクロー@だいちのプレート 17/08/29 00:23:07 ID:IxljP7Ak NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 305 ノガッサ@ノーマルZ 17/08/29 00:24:02 ID:0rq0WOMY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!!
 ▼ 306 ャオニクス@カビゴンZ 17/08/29 00:50:42 ID:VveeIFz2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一気にここまで読んでしまった
すごく引き込まれる
支援
 ▼ 307 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/29 22:53:26 ID:hpOG.OQw [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「……くっ、また派手な登場しやがって」

カプ・コケコ『遅ぇよ!どんだけ待ったと思ってんの!』

サトシ「……2時間くらい?」

カプ・コケコ『違ぇよ!お前の体内時計は百均製か!』

サトシ「じゃあ5時間半くらいか」

カプ・コケコ『あぁもう正解……とにかく準備はできたんだな?』

サトシ「未だに信じられないよ。守り神であるお前がオレに力を貸してくれるなんて」

カプ・コケコ『まぁー、気紛れだかんね。一人間に肩入れするくらいわけないさ』

サトシ「じゃあ頼む!アーカラ島のオハナタウンまで!」

カプ・コケコ『まぁ気紛れってことはアレだ。お前を輸送中に海へ突き落すことも理論上ありえるわけで……』

サトシ「急いでるんだ!早くしなくちゃ!」

カプ・コケコ『あぁもうこの子は……わかった。じゃあ右肩にお乗りよ。左は今日調子悪いの』

サトシ「ロトム持ってるからでしょーが。 ピカチュウ、準備はいい?」

ピカチュウ「ピカァ!」
 ▼ 308 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/29 22:54:18 ID:hpOG.OQw [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キーーーン……


カキ「あれは……カプ・コケコ……!?」

ククイ「サトシめ。メレメレ島の守り神をすっかり手懐けてやがる」

カキ「神聖な守り神をタクシー代わりに……」

ククイ「サトシにとってポケモンはみんな友達であり家族。公の常識なんか通用しないさ」

ククイ「カキ、ムーマはまだサトシが母親達に謝りに行ったと思っているようだな」

カキ「はい」

ククイ「まぁ、それでいいんだがな。ムーマにとってあの母親はサトシと同じ、『世界で一番大好きな人』だ」

ククイ「そんな彼女をムーマは悪く思いたくない。ムーマは自分が母親を嫌いになるのを恐れてる」

ククイ「きっとサトシもそれをわかってるんだろうな」

カキ「あのサトシがそんな難しいこと考えますかね」

ククイ「不器用だが誰よりも優しいのがサトシだ」

カキ「まぁ……それもそうか」

ククイ「さぁカキ、マオに会いに行く準備をしよう」

カキ「えぇ。ムーマも会いたがっていますし、早いとこ行きましょう」
 ▼ 309 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/29 22:55:34 ID:hpOG.OQw [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------メレメレ島→アーカラ島-------


カプ・コケコ『いぃいぃいぃやっほぉぉぉぉ!!』

サトシ「何でお前MAXハイテンションなんだよ!?」

カプ・コケコ『気紛れとはいえ、他の島に足を運ぶのは久しぶりなんでな』

カプ・コケコ『……で、どこに降ろせばいい?』

サトシ「その時言うよ。オハナタウンの風景は覚えてるから」


カプ・コケコ『…………』

サトシ「な、何だよ?」

カプ・コケコ『……いや、今はいい。どちらにしろ、まだお前の気が済まないだろうからな』

サトシ「?」

カプ・コケコ『お前の気が済むまで、その母親をコテンパンにすりゃいいさ』

-----------------------------------------

サトシ「あっ、あそこだ!あの辺りの住宅街がそうだ!」

カプ・コケコ『もう!?我ながら随分速い移動だったのね。……んじゃ、ちょっと荒っぽくいくぞ』

サトシ「OK!」
 ▼ 310 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/29 22:58:20 ID:hpOG.OQw [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------オハナタウン-------


通行人A「なぁ、昨日この辺に出た幽霊の話、知ってるか?」

通行人B「知ってるぞ。数年前この町で起きた虐待事件の女の子の霊が昨日の夕方に出たってヤツだろ?」

通行人A「何で夕方に出るんだろうな?幽霊なら今みたいな真夜中に出そうなものを」

通行人B「変わり者の幽霊だったんじゃないの?間違いなく普通ではないよね」

通行人A「ま、そうなんだけどもさ…… ん?おい、あれ……何だ?」

通行人B「ん?」

通行人A「ほら、あの空に浮いてる変なヤツだよ」

通行人B「ホントだ!何だあれ!? ……UFO……なわけないよな」

通行人A「やべぇよ、とりあえず撮って拡散しようぜ」

通行人B「あぁ。……ってあの物体、何かバチバチしてないか?」

通行人A「そういえば、今日は雷がよく鳴る日だから気を付けろって予報が出てたっけ」

通行人B「お、おい!それよりあれ、何かこっちに向かって来……」


少年の怒りは閃光となって空を裂き、叫びは轟音となって地を揺らす。

決して許してはいけない存在に、天罰を与えにきたことを知らせるように。






                                 ズ


                                 ド


                                 ォ


                                 ォ


                                 ォ

                                 ・

                                 ・

                                 ・

                                 ン
 ▼ 311 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/29 23:00:12 ID:hpOG.OQw [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
午前3時25分 サトシ、アーカラ島上陸。


サトシ「……着いた」

カプ・コケコ『じゃあ、オレはしばらくどこかに籠ってる。あまり人目につきたくないものでね』

サトシ「あぁ。ありがとう……じゃあ行こうかピカチュウ」

ピカチュウ「ピィ……」

サトシ「お前もありがとう。ゴメンね、こんなに難しいことに付き合わせて」

ピカチュウ「ピカッ!ピカァ!」

サトシ「……今更か。お前はいつでもオレの隣にいてくれたからね……今度も同じだね」


通行人A「な、何が起こったんだ?っていうか、オレ達は何を見たんだ……?」

通行人B「雷が落ちたところから急に子供が現れて……しかも一緒に降りてきたポケモンは……」

通行人A「メレメレ島の守り神のはずのカプ・コケコ。どうしてこのアーカラ島に?アイツらの間にどんな繋がりが?」

通行人B「わからない……守り神はいつも気紛れだから」

通行人A「おい、あの子供、住宅街の方に向かっていくぞ」


通行人B「とにかくこれ以上関わるのはヤバそうだぜ。さっさとずらかるぞ」



---------------------------------------------
----------------------------

サトシ「……ここだ。この家だ」

ピカチュウ「……」

サトシ「ごめんくださーい!ムー……ヤシロちゃんを預からせていただいてます、サトシって言います!」ドンドン

ガチャッ!

ムーマ父「君か!今何時だと思ってる!挨拶に来てくれたのだろうが少しは常識を弁えたらどうだい?」


サトシ「……それがムーマをあんな目に遭わせた人の言葉ですか?」

ムーマ父「えっ?」

サトシ「知ってるんだ!アンタ達がムーマを殺そうとしたって!答えろ!どうしてムーマを……」
 ▼ 312 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/29 23:03:29 ID:hpOG.OQw [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ父「……おいおい、これは」

ムーマ父「何かのドッキリか?だとしたら縁起でもない事を言うんじゃない。君がそんなに常識の無い奴だとは思わなかった」

ムーマ父「ヤシロちゃんは大事な僕らの家族だ。僕は彼女をあまり知らないけど、実の親のように大切にしたいと思ってる!」

サトシ「知らばっくれるな!全部わかってるんだよ!いいからムーマの母さんを出せ!話がしたいんだ!」

ムーマ父「帰れ!僕も妻も、君のような常識の無い餓鬼の口をまともに聞けるほどの腐った耳は持っちゃいないんだ!」

サトシ「夕べの食事に、ムーマの分だけ毒を盛った。オピラドンとカンタスクって毒を!違うか!」

ムーマ父「帰れと言ってるんだ!……ついでにヤシロちゃんを返しにこい」

ムーマ父「君のようなヤツと一緒にいると、彼女の将来に関わるからな」

サトシ「!」

ムーマ父「これは決定事項だ。親である僕が決めたんだからな」

サトシ「……お前なんか」

ムーマ父「?」

サトシ「お前なんか親じゃない!ムーマから夢も笑顔も奪ってしまうお前なんか!!」

ムーマ父「……君はさっきから一体何を……」

サトシ「いいからムーマの母さんに会わせろ!アンタらは一体何の為に……」

ムーマ父「冗談はその馬鹿みたいに腑抜けた顔だけにしてくれないか」

サトシ「……っ!?」

ムーマ父「もういい加減にしろ。僕の前に二度と姿を見せるな!」


バタンッ!


サトシ「待て!!ムーマから……ムーマから何もかも返せーーーーっ!!」ドンドンドン!

ピカチュウ「ピ、ピカチューーー!」

サトシ「っ! ……ごめん、取り乱した」

サトシ「結果を急ぎ過ぎたよ。頭に血が上って、何も考えることができなかった」

ピカチュウ「ピカ……」
 ▼ 313 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/29 23:05:23 ID:hpOG.OQw [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヤシロちゃんの両親の住む家を離れ、宛もなく町を彷徨う。

しばらく歩くと小雨がぽつぽつと降り始める。サトシは通りかかった公園の遊具に腰かけ、俯く。


サトシ「ピカチュウ……オレってダメな兄ちゃんだよな。何もムーマにしてやれない」

ピカチュウ「ピ、ピカピカ!」

サトシ「ムーマには謝ってくれって言われたのに、オレのせいで逆に怒らせちゃった」

ピカチュウ「ピカ、ピカチュウ!」

サトシ「違う!オレは何もしていない!焦ってただけなんだよ!ムーマが求めること以外のことをしてやろうって!」

サトシ「……その結果がこれだ。このままじゃムーマはもうオレと一緒にいられなくなる」

サトシ「あの家にムーマが暮らすことになれば、今度こそムーマは……」

ピカチュウ「……」

サトシ「何で……何であの二人はムーマを……」

ピカチュウ「……!」

ゴソゴソゴソ……

サトシ「? ピカチュウ、いきなりリュックを漁り出してどうしたんだ?」

ピカチュウ「ピカッ!」⊃◎◎◎⊂

サトシ「それはオレの……モンスターボール……」

ピカチュウ「ピッカァ!」バッ!


モクロー「もっふぅ!」

イワンコ「わんっ!」

ニャビー「にゃう!」


サトシ「……モクロー、イワンコ、ニャビー……」

ピカチュウ「ピカッ!」

サトシ「……気持ちは嬉しいけど、今回ばかりはお前達にできることなんて……」
 ▼ 314 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/29 23:07:02 ID:hpOG.OQw [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウ「ヂャアアアア!!」バリバリバリ

サトシ「熱っ゛!危ねぇな!何すんだ!」

ピカチュウ「ピカ、ピカチュウ!」

サトシ「……そりゃ、お前達もあの両親を許せないだろうさ。でも……」

モクロー「もふ!もふぅ!」

サトシ「大好きな人のために何もできないなんて嫌だ。オレ達も一緒だ……そう言いたいのか?」

イワンコ「わん!」

サトシ「へへ、そうか……忘れてたよ。ムーマの家族は、オレと博士だけじゃないよな」

ニャビー「に゛ゃっ!」ヒノコ

サトシ「熱っつ゛あぁあぁあぁ!忘れててすんませんでしたァーーーっ!!」

ピカチュウ「……」


サトシ「こんなとこで立ち止まってるわけにはいかない!」

サトシ「もう一度行こうみんな!今度はしくじったりしない!もう一人で突っ走ったりしないよ!」

ピカチュウ「ピカァ!」

サトシ「そうと決まれば……」

-------------------------------------

ククイ「一人で戦うんだと思うな。大人の力ってのはスゴイんだぞ」

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サトシ「オレは一人じゃない……できることは全部やってやる!」ピポパ

サトシ「えーっと連絡先は……これだ!」

○マーマネ家
○ククイ博士宅
○ポケモンスクール
○アイナ食堂
○マラサダショップ
●ポケモンセンター・メレメレ支部
 ▼ 315 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/29 23:08:29 ID:hpOG.OQw [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「もしもし?」

ジョーイ『あらサトシ君? ククイ博士ならたった今病院を出たわよ』

サトシ「えっ!?……しまった。入れ違いか……」

ジョーイ『ムーマちゃんの足は切りたくないって、すぐに車椅子を受け取って出て行ったわ』

ジョーイ『これからみんなでアイナ食堂へ行くらしいわね。それで?博士にご用なら私が伝えておくけど』

サトシ「あぁいえ!いいんです」

ジョーイ『そう。自分で伝えるならそれでいいけど。……ねぇサトシ君』

サトシ「はい?」

ジョーイ『ククイ博士から貴方のことは聞いたわ。全部大人に任せればいいものの、ホント無茶するのね』

サトシ「オレはムーマの兄なんです。じっと見てるだけなんて耐えられません」

ジョーイ『……そう。頼もしいのね。貴方のようなお兄さんを持って、ムーマちゃんも幸せね』

サトシ「……///」

ジョーイ『だけど同時にハラハラするでしょうね』

ジョーイ『サトシ君。貴方のムーマちゃんを想うその気持ち、空回りしてはいないかしら?』

サトシ「はは……ついさっき思い知らされました」

ジョーイ『貴方がするべきことは理由を聞く以外にもあるハズよ。よく探してみて』


-----------------------------------------
-------------------------------

サトシ「オレがやるべきこと、か……」

ピカチュウ「ピカピィ?」

サトシ「まぁ、とにかく今は冷静になってもう一度あの家に行けるようにしよう」

サトシ「手段ならある。……大人には大人の力で対抗するんだ」ピポパ
 ▼ 316 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/29 23:13:50 ID:hpOG.OQw [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオパパ『ハイ、アイナ食堂です……って、こんな時間に掛けてくるのは一人しかいないね』

サトシ「マオのパパさんですか?マオのクラスメイトのサトシです」

マオパパ『……ムーマちゃんの事はお気の毒だったね』

サトシ「あの、マオはまだ……」

マオパパ『まだだねぇ……僕が博士から聞いた事実は全て話してあるものの、その度に嘘だ嘘だと泣き喚くばかり。でも本当は』

マオパパ『あの子ももう気付いてるらしい。ムーマちゃんの身に起きた事は本当だって。だから余計に立ち直れないのか……』

サトシ「そうですか。けど、きっと博士達が何とかしてくれますよね?」

マオパパ『そうだね。それよりも……』


マオパパ『何やら雨音がするが、今どこにいるんだい?博士から聞いたが、君は確かムーマちゃんの両親の家に……』

サトシ「アハハ、一度追い返されました。何も考えられずにちょっと熱くなってしまって……」

マオパパ『そうか……ということは、また家に行くんだね?』

サトシ「えぇ。でも少しだけ、力をお借りしたいんですが……」

マオパパ『ふむ。マオが世話になってるからね。君にはできるだけのことはするよ』

サトシ「ククイ博士に、オハナタウンから一番近い交番に連絡をしてほしいんです。だから博士がそちらに来たら伝言をと」

マオパパ『そんなことか!それなら僕からその交番に連絡をしてあげよう!』

サトシ「えっ?でも……」

マオパパ『気にするな!この一件の大方のことは博士からバッチリ聞いているのでね』

マオパパ『すぐにでも通報して、両親をとっ捕まえるように頼んでおいてやるさ』

サトシ「あ、ありがとうございます。ただ……警察には、交番にオレが来るまで待ってくれるようにしてもらえませんか?」

マオパパ『何故だ?家宅捜索なり何なりして毒物が見つかれば手っ取り早いじゃないか』


サトシ「……オレ、もう一度あの両親に会いたいんです」

マオパパ『ムーマちゃんに毒を盛った理由を直接聞く為か?』

サトシ「それもあるけれど……聞きたいんです。あの人達にとって、ムーマ……いや、ヤシロちゃんが何なのか」

マオパパ『ふむー……それじゃあ君は警察と一緒に両親の家へ押しかけるというのかね?』

サトシ「……はい」

マオパパ『まぁ、警察の人達が一緒なら心配はあるまい。わかった。君の言う通りにしよう』
 ▼ 317 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/29 23:16:53 ID:hpOG.OQw [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオパパ『君は交番に向かってくれ。場所は町角の地図でわかるね』

サトシ「はい。ありがとうござ……」

マオパパ『!? マオ……一体どこから聞いてたんだ?』

サトシ「! パパさん、そこにマオがいるんですか!?」

マオパパ『あぁ、泣き疲れたのかもう随分眼を真っ赤にし……あっ、おい!』

マオ『電話代わったよサトシ!今どこにいるの!?』

サトシ「マオ……辛い話だけど、パパさんがお前に話してくれたことは全部本当で……」

マオ『そんなの知ってるよ!どこにいるのかって聞いてるの!』

マオ『さっきのお父さんの話からして、やっぱりその両親の家に行こうとしてるの!?』

サトシ「……うん」


マオ『うんって、その人達はムーマちゃんを殺そうとしたんでしょ?』

サトシ「あぁ。そうだ」

マオ『あぁそうだって……サトシ、まだわからないの!?』

サトシ「?」

マオ『その人達はムーマちゃんを傷つけた……だけど、次に狙われるのはサトシかもしれないんだよ!!?』

サトシ「……そうか。そう考えてみれば結構危なっかしいことやってたんだな」

マオ『……っ』

サトシ「でも大丈夫。次は警察の人達と一緒に行くんだ。オレには大人の味方がたくさん……」

マオ『            そういう問題じゃない!!!            』

サトシ「マオ……?」

マオ『さっきから聞いてりゃ、サトシが行く理由がどこにもない。大人達に頼めば済む話』

マオ『どうして自分の身に何が起こるかを考えようとしないの!?どうして自分を大事にしないの!!?』

サトシ「そ、それは……オレがあの人達の……」

マオ『博士も博士だよ。どうして自分のことも大切にできない、こんなバカを放っておくのよ……』

サトシ「博士はオレの気持ちを汲んでくれたんだ。それにオレは何も考えてないわけじゃないさ」

サトシ「オレは一人で戦ってるんじゃないんだもの。今も、今までも」

マオ『…………』

マオ『……あたしはただ……サトシが心配で……』
 ▼ 318 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/29 23:18:50 ID:hpOG.OQw [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「心配してくれてありがとう。マオは優しいんだね」

マオ『な!?何よ他人事みたいに!』

サトシ「マオの優しさは博士やカキとは違う優しさだ。……大丈夫だよ。オレは」

マオ『……保証は?』

サトシ「……どこにもないけど」


サトシ「もうすぐそっちにムーマがやってくる。どうか彼女には『両親に謝りに行った』って嘘をつき通してくれないか?」

マオ『そんな……サトシはこれからどうするの?』

サトシ「ムーマのためになるように、決着をつけてくる!」

マオ『どうやって?』

サトシ「これから考える。……でも、絶対にムーマを悲しませない方法を考えるんだ」

マオ『ハハ……これ以上何を言っても無駄みたいだね。あたし、またサトシのことを知っちゃったかも』

サトシ「おっ!?今ちょっと笑ったか?」

マオ『笑うしかないじゃん……ホント、サトシと話してると悩みとか心配事とか色々どうでもよくなっちゃうよね』

マオ『まるで太陽みたい。サトシはあたし達にとっての太陽だね』

サトシ「太陽か……うむ、悪い気はしないよ///」

マオ『ホント不思議だよ。サトシと一緒なら自然と笑顔になれるもの。大体は根本的な解決にはならないのに』

サトシ「黙らっしゃい」

マオ『じゃあ、頑張ってね。サトシらしく、何事もなかったかのように無事に帰ってきてね』



サトシ「あぁ、いってきます、『マお姉ちゃん』!」

マオ『いってらっしゃい、“おにーちゃん”!』



----------------------------------------------

ピカチュウ「ピカ?ピカチュ」

サトシ「もう大丈夫。さぁ、交番に行こう!」


近くの交番は町の南。サトシはリュックから傘を取り出し、ただ真っ直ぐに歩き出す。

4匹のポケモンを傘の下に集め、オハナの町を背中を濡らしながら歩く。

時刻は4時50分。空は明るみ、灰色になった空からは未だ雨が降り続いている。
 ▼ 319 トデマン@タウンマップ 17/08/29 23:36:57 ID:0rq0WOMY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です!
 ▼ 320 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 09:59:31 ID:A4HeHmoc [1/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ここだ……到着!」


-------アーカラ島 4番道路交番-------


サトシ「ごめんください!」

ジュンサー「あら、アローラ。サトシ君……だっけ。メレメレ島のアイナ食堂ってお店のご主人から話は聞いてるよ」

ジュンサー「それにこの間の貴方の活躍もメレメレ島のジュンサーから聞いてる。大したものね」

サトシ「そ、それよりもこれからのことを……」

ジュンサー「焦らない。ここまで来るのに疲れたでしょう。少し休んだら?」

サトシ「そういうわけには!」

ジュンサー「ちょっと新入り、この子にコーヒーを……あ、パイルジュースの方がいいよね」

警官B「では、両方のビンをお持ちしますので少々……」

---------------------------------------

サトシ「グビグビグビグビ」

ジュンサー「よっぽどノド渇いてたのね。やっぱり疲れてるんじゃないの?」

サトシ「急がなきゃいけないんです!だってこの場であの夫婦の家を知ってるのはオレだけなんですから」

ジュンサー「あら。家なら既に特定してあるわ。オハナタウン住宅街のシロガネさんとこところでしょ?」

ジュンサー「ついさっき私の部下が張り込みのために近所へ向かったわ。すれ違わなかったかしら?」

サトシ(そっか、博士……ムーマのことをカキから聞いたんだ)

ジュンサー「それにしても……こうもうまく重なるものなのね。悲劇も偶然も」

サトシ「……」

ジュンサー「俄かには信じ難いような話ばかり聞かされたわ」

サトシ「ありがとうございますジュンサーさん……嘘みたいな話を信じてくれて」

ジュンサー「ムーマちゃんが被害を受けたのは事実だしね。それに犯人もほとんど割れてるということは……」

ジュンサー「警察としては、やることは一つよ」

サトシ「ですよね……じゃあジュンサーさん!そろそろ……」

ジュンサー「その疲れた体じゃダーメ!急に倒れて迷惑掛けたくないでしょ?今は大人に任せてゆっくり休みなさい」

ピカチュウ「ピカピカ」

サトシ「えぇ……はい。わかりました」
 ▼ 321 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 10:04:28 ID:A4HeHmoc [2/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------2時間後-------


サトシ「んむ……」

ジュンサー「あら、ずいぶんと早いお目覚めね。貴方のお友達はまだぐっすりだって言うのに」

モクロー「ZZZ……」

ジュンサー「あの夫婦に何かしらの動きがあれば部下からの連絡が来るはずよ」

サトシ「オレはもう大丈夫です!早く行きましょう!」

ジュンサー「やれやれ。ネマシュの胞子で無理矢理寝かしつけただけだってのになんて回復力なの?」

ネマシュ「むゅ……」

ジュンサー「OK。じゃあ張り込みチームと合流しましょうか」

サトシ「はい!」

ジュンサー「というわけで向こうに行くわ」

警官B「やはりその子供は連れて行くんですね」

ジュンサー「あの腕のZリング……あの子はきっともしもの時でも何とかできる力を持っているハズよ」

警官B「もしもの時……ですか」ゴクリ

ジュンサー「えぇ。何でもあの夫婦、旦那さんの方は昔……」
 ▼ 322 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 10:06:40 ID:A4HeHmoc [3/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------夫婦の家 付近-------


ジュンサー「待たせたわね。みんな」

サトシ「よ、よろしくお願いします」

警官C「今の状況ですが……時刻は7時を回ってなお、二人とも家から出る気配はありません」

警官D「家の中でも特に変わった行動は無し」

警官E「……しかしやはり全貌を見ることはできないので……やはり乗り込みましょうか?」

ジュンサー「いいえ。どちらかが外に出るまで待って」

警官C「台所が見えないのが痛いなぁ……毒物があるとすればそこだろうに」

サトシ「あ、あの、オレは早く両親にムーマのことについて聞きたいんですが」

警官D「オレだってそうしたいが上司の命令は絶対だ。君も捜査に協力するなら今はあのおばさんの言うことを聞いてな」

ジュンサー「」

ドカッ!         ボゴッ!

警官D「あ、あの゛お姉ざんは優゛しい人だから不安なら゛話じ相手に゛な゛っでもらうといい゛」ボッコボコ

サトシ「もう十分ですよ……いつでも準備はできてます」

警官E「その気概はいいがもう少し忍耐を……あっ!」

ジュンサー「どうしたの?」

警官E「二人が玄関に移動しました!おそらく外出かと……」

サトシ「ジュンサーさん!」

ジュンサー「えぇ行きましょう!張り込みチーム、あんた達も1人だけ残してついてきて!」

----------------------------------------

ムーマ父「じゃあ行ってくるからね。はぁ……雨の出勤は憂鬱だよ」

ムーマ母「大丈夫?さっきはあんなことあったけど」

ムーマ父「どうかな……全く、乱暴なガキだったよ。でもそのお陰で今すぐヤシロちゃんと暮らせるようになったんだ」

ムーマ母「フフ……そうね」
 ▼ 323 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 10:14:01 ID:A4HeHmoc [4/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュンサー「おはようございます。シロガネさんですね?」


ムーマ父「えぇそうですが……」

ジュンサー「警察です。午前4時14分頃の通報により、家宅捜索させていただきます」

ムーマ母「はっ……?」

ジュンサー「6歳の女の子が毒を盛られた事件について、貴方達に傷害及び殺人未遂の疑いがかかっています」

ムーマ母「ど、毒ですか!?ひょっとしてヤシロが!?」

ムーマ父「チッ、あのガキか……」

ジュンサー「その『ガキ』も、今回の捜査で同行していただいています」

サトシ「……」

ムーマ父「な、何!?」

警官C「おい、行くぞ!」

ムーマ母「い、一体何故!?ちょっとやめてください!訴えますよ!?」

警官D「あなた方のお仕事に差支えのないようすぐに終わらせます。あなた方が犯人じゃなかったらね」

ムーマ父「こ、これはどういうことだ……?」

ジュンサー「どういうことも何も、これは貴方達が起こした事件。貴方達が一番状況を理解しているハズでは?」

ムーマ父「な、何だよ毒って!確かに昨日の夕食にはそこのガキと6歳の子供がいたが……」

ジュンサー「……一度私達も家に入りましょう」

サトシ「えぇ」

ムーマ父(違うんだ!本当に……何が何だかわからないんだよ!)

---------------------------------------

警官C「毒薬の名前は『ランペード545S112C55』で間違いないな」

警官D「オピラドン452とカンタスク435を同時配合している薬品はその一種だけらしいからな」

ムーマ母「あの、証拠はあるんですか?私が彼女に毒を盛ったなんて証拠が!」

警官C「その証拠を今探してるんじゃないすか。あまり狼狽えると余計怪しく見えますよ」

ムーマ母「……!わ、私は何も知りません!あったとしても私はそんなの覚えが……」

警官C「おい、台所は引き出しだけじゃなくて床下の収納庫も探せよ」

警官D「あぁ」

ムーマ母「話を聞いてください!!」
 ▼ 324 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 10:18:15 ID:A4HeHmoc [5/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ父「…………」

ジュンサー「本当に……何もご存知無いというのですか?」

ジュンサー「ランペードという毒薬は、ウラウラ島の無法地帯で密売されていた毒薬」

ジュンサー「『毒薬と知らずに間違って買った』なんて冗談は通用しませんのでご理解を」

ムーマ父「だから知らねぇっつってんだろ!!」


サトシ「ならせめて……あなたにとってヤシロちゃんとは何かを聞かせてもらえませんか?」ポチッ

ムーマ父「……血は繋がっていなくとも、彼女は守るべき大事な家族だと思ってる」

ムーマ父「だから今朝のように冗談を言いにきたお前の顔なんか見たくないと言ったんだ!」

ジュンサー「ただの冗談に警察がここまで協力すると思いますか?」

ムーマ父「……」

ジュンサー「警察と……アローラに暮らす住民の皆様との団結力、舐めてもらってはこまります」

ムーマ父「ほ、本当に……知らない……わからない……理解できないっつってんだよ……」

ムーマ父「……ヤシロちゃんがそんな目に遭う意味も……何もかも……!」ポロポロ

サトシ「ジュンサーさん……」ヒソヒソ

ジュンサー「えぇ。彼はひょっとして……本当に何も知らない可能性があるわ。だとしたら……」ヒソヒソ
 ▼ 325 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 10:19:09 ID:A4HeHmoc [6/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ母「か、返してください!!」


サトシ/ジュンサー「「!?」」

警官C「部長!ランペードが床下の収納庫の奥から発見されました!それもフタの栓が開いている。間違いありません!!」

ムーマ父「そ……んな……」

サトシ「ということは……」

ムーマ父「違う!本当に僕は知らない!僕はそんな毒薬を買うほど恨んでいる人なんかいないよ!」

ジュンサー「二人とも、旦那の方を取り押さえて!サトシ君、今度はムーマちゃんの母親に聞くわよ!」

ムーマ母「うわァァァァァ!返して!返してください!!それは知人から何も知らされず譲り受けたもので……」

ジュンサー「お母さん、まずは一度私どものお話を……」

ムーマ母「返せぇぇぇぇ!!」

ジュンサー「わっ!?」


サトシ「ピカチュウ、『10まんボルト』!」

ピカチュウ「チャアアアア!!」ババババ


ムーマ母「あ゛う゛っ!?」

ジュンサー「……さぁ、部屋を移動しましょう」

ムーマ母「……ぐぅ」
 ▼ 326 カブ@むしのジュエル 17/08/31 21:26:49 ID:rtuDctQI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
母さん(笑)……
 ▼ 327 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 22:21:22 ID:A4HeHmoc [7/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------ヤシロちゃんの部屋-------


ムーマ母「ここは……ヤシロの部屋です」

ジュンサー「子供部屋にしては随分殺風景ですね」

サトシ「ねぇお母さん、やっぱりアンタはムーマを……」

ムーマ母「ヤシロがいた頃は貧しかったの!だから欲しいものも碌に買ってあげられなくて……」

サトシ「? でも男の人は言ってました。家族は不自由なく暮らしていたって……」

ジュンサー「サトシ君、その話を詳しく聞かせて!」

ムーマ母「やめてサトシ君!今更昔の話をしてどうなるの!」

ジュンサー「お母さん……もう諦めてください。毒薬は既に使用済み。毒薬とムーマちゃんの発作の特徴の一致」

ジュンサー「及びムーマちゃんからの毒物の検出。さらに通報した方の証言、重なる偶然……」

ジュンサー「そして何より……貴方達のその狼狽えよう」

ムーマ母「だから私はそれを毒薬と知らず……」

ジュンサー「知らず、何かもわからないビンに入った薬を大事な子供に与えますか?」


ジュンサー「それも……貴方のことが『世界で一番大好きな』子供に」


ムーマ母「……フフッ」

ムーマ母「サトシ君だっけ?貴方、ムーマのことは好き?」

サトシ「当たり前だ!だからこんなことをしたお前達を……」




ムーマ母「私は          大 っ 嫌 い よ          」




サトシ「……そうか」

ムーマ母「驚かないのね。余程私を疑ってたのね。失礼な子だわ」

ムーマ母「でも私がやったのは事実。大嫌いなあの子がいつかまた我が家に来るのを止めさせる為にね」

ムーマ母「でもまさか生きてたなんて……運の良いこと。いや、楽に死ねなくなって寧ろ悪いのかしら?」

サトシ「ムーマはアンタのことが好きで好きで仕方無かったんだぞ!いつも優しかったハズのアンタがどうして!」

ムーマ母「好きになるのはあの子の勝手でしょ!?それに私は、あの子に優しくしてあげたことなんて一度も無いから!」
 ▼ 328 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 22:28:31 ID:A4HeHmoc [8/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
----------------------------------------

ムーマ「ママ……ほんとに……ママ……?」

ムーマ母「……そうよ!貴方のママよ!貴方が世界で一番好きだったママよ!」

ムーマ母「貴方がお父さんにいじめられていても何もできなかったママよ……本当に……ごめんなさい……」

----------------------------------------

ムーマ母「何も『できなかった』んじゃなくて『しなかった』だけよ。あのバカ娘は最後まで勘違いしてたけど」

サトシ「何もしないフリして、ムーマの親父と組んでたってことかよ」

ムーマ母「あら、私はあの夫も嫌いだったわよ」

ムーマ母「一応プロポーズは必死な所もあって私も根負けしてそれを受けたけど、誰に好かれるのよあんな冴えない男」

ムーマ母「それに私は後悔してたのよ。だって、あの人と結婚する前から私が想っていた人がいたんですもの」

ムーマ母「それが今の夫。幼馴染の彼はとっても優しくて、誠実で……今の生活はとても幸せなのよ」

サトシ「何が言いたい?」

ムーマ母「その幸せを手に入れるために私は耐えていたのよ!」

ムーマ母「私の中では所詮『2番目』の夫と、ハタ迷惑なでき損ないの娘から抜け出して」

ムーマ母「今のように新しい夫と幸せな生活を送りたかった!その為に必死で我慢したのよ!」

サトシ「な……!」

ムーマ母「そしたら私の思い通り、ヤシロは死に、二番目男も捕まって私一人になった!自由になった!」

ムーマ母「何もかも取っ払って、今の夫と幸せに暮らしていたのに……アンタ達の邪魔が入った!私達を引き裂こうと!」

サトシ「ふざけんな!それじゃ……お前は自分の幸せだけの為に虐待を受けてたムーマを見殺しにしたのか!?」

ムーマ母「もうあんな暮らしはウンザリだったのよ!私の幸せはあそこには無かった!」

サトシ「子供の事を考えない親なんかどこにいるんだ!!」

ムーマ母「あんなのは私の子じゃない!私の手に負えない子供なんか私が知るもんか!」

サトシ「それも受け入れるのがアンタら母親だろ!」


ムーマ母「          黙     れ     !!!          」


サトシ「!」
 ▼ 329 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 22:31:56 ID:A4HeHmoc [9/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>328の画像  生みの親×  生みの父◎





ムーマ母「……アンタ、まだ子供を持ったことがないからそんなことが言えるのよ」

ムーマ母「子供が問題を起こせば、周りの人間は口を揃えてこう言うわ。『子供の責任は親の責任』」

ムーマ母「……冗談じゃないわよ。私も人間よ?痛みも、苦しみも、憂鬱も、色々背負わなくちゃいけない人間よ?」

ムーマ母「それなのに……どうして当たり前のように他人の肩代わりをしなくちゃいけないの……?」

サトシ「他人じゃないだろ!ヤシロちゃんはアンタの子供だろ!」

ムーマ母「他人よ!私はどうして私以外の人間の過ちの後始末を毎日のようにしなきゃならないのよ!?」

ジュンサー「親になるというのはそういったことを覚悟の上でだと思いますが」

ムーマ母「何?子供のしたことは全部親のせいになるの?それって理不尽じゃない?」

ジュンサー「そ、そういうことでは……」

ムーマ母「そういうことじゃないのよ!」

ジュンサー「なら何故貴方は親になったのです!」

ムーマ母「あんなでき損ないの問題児は望んでなかった!私は『普通の子』が欲しかったのよ!」


サトシ「望んだ子が生まれてくることなんてあるもんか!」

ムーマ母「私だってできることはしたわ!ヤシロがまともな子になれるような教育をした!」

ムーマ母「けどダメだった!あの子は変わらなかった!手が付けられないほどのバカ娘になってしまった!」

ムーマ母「私も夫もただただ『普通の子』が欲しかっただけなのに!彼女は何もわかってくれなかった!!」

ムーマ母「あの子が普通に育って、普通に友達を作って、そんな未来を望んでいたのに……」

サトシ「……んか」

ムーマ母「え?」



サトシ「          『普通の子』なんてこの世にいるもんか!!          」



サトシ「人もポケモンも、『普通』に生きてる命なんてこの世界にはただの一つもない!!」

サトシ「良いものも悪いものも、みんな違ったものを持ってる。自分が自分らしく生きるためにさ」

ムーマ母「何ですって……?」

ジュンサー「シロガネさん。ヤシロちゃんの未来を奪ったのは貴方達です……ムーマちゃんの夢も」

ジュンサー「もう諦めてください。そして心を入れ替え、貴方以外の幸せの為にも生きる人に、どうかなってください」
 ▼ 330 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 22:35:45 ID:A4HeHmoc [10/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュンサー「貴方の幸せを犠牲にしろとは言っていません。他の人が幸せになることで、貴方にもきっと……」


ムーマ母「納得いかない」

サトシ「!?」

ムーマ母「確かにこの世は『普通』の命なんて無いかもしれない。だけどそれがこの世に害のあるものなら排除されるべき」

ムーマ母「私達に対するあの日々の世間の目は冷たかった。あの子のせいで誰も私達なんていなけりゃいいと思ってた」

ムーマ母「ジュンサーさん。警察もその害ある命を排除する役目を担う機関の一つでしょう?」

ジュンサー「警察は殺し屋ではありません。住民の生活を守るためにあるのです」

ムーマ母「そう……まぁ、貴方達の言う通り子の責任は親の責任と言うのなら」

ムーマ母「この世の害になりかねないあの子を、親である私達が責任持って処分したってことで分かってもらえるかしら?」


サトシ「……そうやって命の価値を勝手に決める奴らをオレは見たことがある」

ムーマ母「?」

サトシ「お前は、ムーマがまた迷惑をかけると思ったからあんな目に遭わせたんだろ?」

サトシ「ムーマがまたお前を苦しませる原因になると思ったからあんな目に遭わせたんだろ?」

ムーマ母「そうね。けどあの子はそれだけの事をしたわ」

サトシ「してない!アンタが今も変わらずヤシロちゃんを愛してやれば違ったハズだ!」

ムーマ母「根拠は!?何も知らない奴がそんなことを言わないで!」

サトシ「知ってるさ!どんな荒くれ者でも、気の難しいヤツでも、真正面からぶつかればいつかは変わるんだよ!」

ムーマ母「変わらない子だっているわ!そんな子供達の為にどうして自分の人生を賭ける必要があるの!?」

サトシ「自分の為だ!!自分が愛してもらう為だ!!」

ムーマ母「いらない!私はあんな子はもういらない!!これからもずっと私の邪魔にしかならないヤツなんか!!」

サトシ「でもムーマには未来があるんだよ!!」

サトシ「一生懸命生きていたのに、大好きだったお前に愛してもらえずに殺されたヤシロちゃんの思いを受け継いだ!」

サトシ「それにムーマはオレに夢を教えてくれたんだ。オレの世界を見るって夢だ。……嬉しかった」

ムーマ母「何が言いたいの……?」
 ▼ 331 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 22:37:58 ID:A4HeHmoc [11/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「……それをお前は奪った!ムーマの夢を、オレの幸せとムーマの明日ごと奪ったんだ!」


ムーマ母「あんな子に明日なんて必要ないわ!誰かを苦しませることしかできない命の明日なんて!」


サトシ「だから命の価値を決めるなって言ってんだろ!お前が見放そうが、ムーマはオレ達の大事な妹なんだ!」




サトシ「……やっぱりお前は、奴らにそっくりだ」


サトシ「ムーマは今は悲しんでるけど、きっと明日からまた新しい夢について考え始めるかもしれない」


サトシ「明日にはまた皆と一緒に笑って過ごせるかもしれない。明日にはまたオレと色々な所へ行きたくなるかもしれない」


サトシ「……明日にはお前を許してくれるかもしれない。生きてる限りムーマはムーマにしかできないことをたくさんするんだよ」




サトシ「          お前にムーマの『明日』を奪っていい理由がどこにあるんだよ!!!          」
 ▼ 332 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 23:47:19 ID:A4HeHmoc [12/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ母「……フフ、そうね。無いわね。だけど私だって下手をすればあの子に明日を奪われていたかもしれない」

ムーマ母「『私はアンタを絶対に許さない』……そうあの子に伝えてくれるかしら?」
サトシ「…………」

ジュンサー「サトシ君……」



サトシ「          ……だそうだぜ。ムーマ          」



ムーマ母「!?」

ムーマ『ママ!今の話、ホントなの!?』

ムーマ母「!!? ど、どうして!?どうしてヤシロの声がするのよ!?」

ジュンサー「サトシ君、その通信機は!」

サトシ「ククイ博士から借りたものです。ムーマにはあの母親の本心を伝えたくて」

ジュンサー「いつから通話のスイッチを?」

サトシ「旦那さんの話を聞いてる最中です」>>324

サトシ「ムーマには謝って来いとだけ言われたんですけど……やっぱり我慢できませんでした」

サトシ「こんなヤツにオレもムーマも、どうして謝る必要があるんです!」

ムーマ母「……なるほど。誰も私の気持ちを汲もうとしないってのね。なら私にも考えがあるわ」ダッ

ジュンサー「ま、待ちなさい!どこにいくの!」

ムーマ母「西の、池がある広場!サトシ君、ジュンサーさん!こうなったら力づくで潰してやる!」

ジュンサー「サトシ君、私があの女を追うわ。警察は絶対に逃走者を逃がさない!」

サトシ「は、はい!」
 ▼ 333 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 23:49:12 ID:A4HeHmoc [13/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ククイ『サトシ!まだそこにいるのか?』

サトシ「えっ、あぁ……うん。今ジュンサーさんが母親を追いかけてったよ」

ククイ『そうか……お前が無事でよかった』

サトシ「博士ごめん、急に巻き込んで……」

ククイ『お前からいきなり着信が入って、出たらお前が誰かと話してる最中だったから何だと思えば……』

マーマネ『サトシ!聞こえる?サトシと母親の話の一部始終、聞かせてもらったよ!』

マーマネ『いやぁ〜、決まってたねサトシ!カッコよかったよ』

スイレン『通信機を盗聴器代わりにするなんて、良い意味でサトシらしくない発想』

サトシ「あはは……ありがとう」

ククイ『サトシ、よく頑張ったな。後の事は警察に任せてお前は早く帰ってくるんだ。ムーマも心配してるぞ』

ムーマ『…………』

マーマネ『ムーマちゃん?どうしたの?君もサトシに言葉を送ってあげなくちゃ』

ムーマ『          おにーちゃんのバカ!!           』

サトシ「!? ……ムーマ」

ムーマ『どうして……わたしはママに謝りに行ってって言ったよね?』

ムーマ『どうしておにーちゃんは怒ってばかりだったの?どうしてごめんなさいが言えなかったの!?』

リーリエ『ムーマちゃん……もうわかったでしょう?あれが貴方のママの本音』

リーリエ『辛いけど子供の事を考えない親だっているの。おにーちゃんはね、それを貴方に聞かせたくて通信機を……』

サトシ「……ムーマ、まだだよ」

ムーマ『えっ?』

サトシ「……ムーマ、それにみんなも聞いてくれ!」

サトシ「     まだオレの仕事は終わってないんだ!     」

ククイ『なっ……!?サトシ、一体どういうことだ!?』

サトシ「さっきあの母親は、オレ達を力づくで潰すと言ってたんだ」

サトシ「追い詰められたアイツはきっと焦ってる。強いポケモンを使ってオレ達だけでも力でねじ伏せるつもりだ」

ククイ『……あの母親とバトルをするのか?』

サトシ「あぁ。ムーマの為でもあるから」
 ▼ 334 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 23:50:13 ID:A4HeHmoc [14/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ククイ『まったくお前と言うヤツは……』

スイレン『サトシ、みんなあなたのことを心配してる。お願いだから博士の言う通りに……』

カキ『サトシ、行くならなるべく早く決着をつけてこい』

スイレン『カキ!?』

カキ『心配せずとも勝負は見えてる。サトシはポケモンマスターになる男なんだ』

マーマネ『んな根拠のないこと……』

カキ『サトシの覚悟の強さはオレも知ってる』

カキ『思い通りにならないだけで守るべきものを切り捨てるようなヤツが、サトシに敵うわけがないだろう』

サトシ「カキ……」

カキ『サトシ、オレから言うことはもう何もない。この後どうするべきか、もう考えてあるんだろ?』

サトシ「……あぁ。実はちょっとな」

カキ『そうか……なら頼んだぞ』

サトシ「うん。……じゃあみんな、また後で!」

マオ『ま、待って!』

サトシ「! マオ、ムーマの足……もう見たんだな」

マオ『うん。でももう逃げないよ。あれだけサトシに言われたもん』

サトシ「そっか。それがいいよ。それよりもみんなにはちゃんと謝ったのか?」

マオ『う、うん……何とか』

マーマネ『マオってば、カキがあんまりしつこく迫るから言いたくても言いにくかったんだよね』

カキ『ふんっ』ボコォ

マーマネ『ひでぶ』

サトシ「アハハ……じゃあ、もう行くね」


マオ『ね、ねぇ!あの……』

サトシ「?」

マオ『か、帰ったらサトシの好きな物用意して待ってるからさ!何かリクエストとか……ない?』

サトシ「ん?あぁ……何でもいいよ……コロッケ以外なら」

マオ『そ、そう……だよね。わかった!じゃあおまかせで……』

ムーマ『はいはい!マお姉ちゃん!わたしはコロッケが食べたい!』
 ▼ 335 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 23:53:01 ID:A4HeHmoc [15/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ『!?』

サトシ「ムーマ?」

ムーマ『おにーちゃんも食べたいよね?ね?』

サトシ「いや……その……」

ムーマ『……おにーちゃん、コロッケきらいになっちゃったの?わたしのせいで……』

サトシ「! い、いや、ムーマのせいじゃないよ。でも……」

ムーマ『食べようよ!おにーちゃん!』

サトシ「…………」

ククイ『サトシ、ムーマはお前と同じがいいんだよ。ムーマの夢はお前の世界を見ること、だったよな』

サトシ「博士?」

ククイ『お前が気に入ったもの、お前の大好きなものを同じように好きになること』

ククイ『それがムーマにとってどれだけ大事なものか知らないわけじゃないだろう?』

サトシ「大好きなもの……コロッケと……ポケモンバトルと……」

ククイ『あるな。色々』

サトシ「博士、ムーマ……オレ……」

グ ォ ォ ォ ォ ォ … … !

マオ『な、何今の音!?サトシ、そっちで何があったの!?』


サトシ「          腹……減ってきた          」


ド ン ガ ラ ガ ッ シ ャ ー ー ー … … ン ! !


サトシ「ど、どうしたんだ今の音!?そっちで何が!?」

カキ『うるせぇ!一斉にズッコケただけだ!』

マーマネ『やっぱコロッケ諦めきれてないんじゃん!』

スイレン『状況が状況なだけに紛らわしい!』

リーリエ『あははは!!よかった!!いつものサトシですね!!あはははは!!』

マオ『あははは!!わさびシュー食わすぞ!!あははは!!』

サトシ「そ、そういや夕べから碌に食べてなかったっけ……」

ククイ『……決まりだな。じゃあサトシ、改めて頑張ってこい!』


ムーマ『おにーちゃん!いってらっしゃい!』

サトシ「あぁ。……いってきます」
 ▼ 336 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/08/31 23:54:30 ID:A4HeHmoc [16/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
明日からのおはなし



第11話(全15話)   「これがオレ達『だけ』のゼンリョクだ!!」
 ▼ 337 レユータン@アイスメモリ 17/09/01 03:41:20 ID:K7Igkn8U NGネーム登録 NGID登録 報告
ムーマ母が糞なのは勿論だけど病院でのトレーナー達の
言動を見るとこのssでのアローラ住民は糞野郎が多いように思えるな
 ▼ 338 ノアラシ@ピンクのバンダナ 17/09/01 03:56:49 ID:L1fue5aM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なぜか、ムーマの母親を見てルザミーネを思い出した…

今日からの話も楽しみだ!
 ▼ 339 グロコ@エドマのみ 17/09/01 10:00:12 ID:ZILB8fKg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>337一応トレーナーの言ってることは正論な訳だし現実的っちゃあ現実的じゃね?他ssが平和過ぎるんだよ
 ▼ 340 ダツボミ@サイキックメモリ 17/09/02 19:33:17 ID:FauEhMJk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>339
いや普通は仮に思っても本人がいる前で口に出さないと思う
まあ変わり者で一人ぐらい口に出す奴がいるかもしれないが
他は止めにはいるか関わらないように黙ってるかだと思うよ
 ▼ 341 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 20:17:56 ID:twSIUKnM [1/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2日間PC使えませんでした!スミマセン

>>337
ムーマ母もトレーナー達も、元を辿れば後ろ髪噛まれて社長にチクった例の男も一応は全員ムーマちゃんの被害者
彼らの印象が糞野郎なのは、加害者であるムーマちゃんへの対処がヒドすぎたからですね
病院の件りは、被害者と呼ばれる人達は悪い目に遭えばその大元に好き勝手して許されるほど偉い奴なのか?というお話でした
長文失礼m(__)m








-------オハナタウン 西の広場-------


ジュンサー「……嘘」

ムーマ母「あら、もう降参かしら?部長さんがこんなんじゃここいらの警察のレベルも高が知れてるわね」

ムーマ母「まぁ、貴方が敵わないのはシンオウ地方のポケモンリーグでベスト4の経験をもつ」

ムーマ母「旦那のポケモンが強すぎるってこともあるんだけど」

ジュンサー「……黙りなさい!警察は絶対に容疑者……いや、犯人を逃しはしません!」ダッ!

ムーマ母「!?」

ジュンサー「シロガネ・カエラ、貴方を逮捕します!」

ムーマ母「……ドンカラス!『ふいうち』!」

バ シ ッ !

ジュンサー「あ゛ぅっ……」

ムーマ母「全く……勝てないからってトレーナーに直接攻撃を仕掛けるのはルール違反でしょ?」

ムーマ母「それとも、次は貴方が自分でこのドンカラスの相手になるっていうのかしら?」

ドンカラス「ガラガラガラ……」

ジュンサー「貴方を逃すくらいなら……!」

ムーマ母「そう?じゃあ好きにさせてもらうわ。ねぇ、ドンカラス」

ドンカラス「ゴァァァァァ!」

ムーマ母「そうねぇ……それじゃあまずはお腹から壊していきましょうか。子供も産めない体にしてやりましょ」

ジュンサー「!」

ムーマ母「あら、まともじゃない『でき損ない』を産むよりはよっぽどマシでしょ?……ちょっと痛いけどね!!」

ジュンサー「や、やめ……」
 ▼ 342 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 20:20:06 ID:twSIUKnM [2/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュンサー「ゼェ……ゼェ……」

ムーマ母「哀れ!でも根性だけは褒めてあげるわ!こうまでしないと貴方は折れないものね!」

ジュンサー「まだ……まだ……」

ムーマ母「前座としてはいい役割を持てたわよ、貴方」

ムーマ母「さて、次はサトシ君ね。Zリングを持ってるくらいだから少しは警戒した方がいいかしら?」

ジュンサー「私は警察です!貴方を捕まえるのが私のしご……と……」

ムーマ母「無理しなくたっていいのに。一交番の部長さんにだって休暇は必要よ?」

ムーマ母「黙って待ちなさいな。ヒーローが来るのを」

ジュンサー「私はそんなものは当てにしない!」

ムーマ母「そう……じゃあ待たなくていいのね?ヒーローを」

ジュンサー「……っ!」

ムーマ母「ドンカラス、『あくのはどう』!」

ドンカラス「ゴァァァァァ……」

ムーマ母「発射!!」

ジュンサー(体が動かない……避けられない……でもいい、このまま生き恥を晒すくらいなら……)



サトシ「          『アイアンテール』! ! !          」


ガ  ッ  !  !  !



ドンカラス「!?」

ムーマ母「ふぅん……煽れば来るものね」

サトシ「……来ないわけがないだろ!」
 ▼ 343 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 20:21:38 ID:twSIUKnM [3/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュンサー「サトシ君ごめんなさい……私は何もできなかった……」

サトシ「いえ。大人の貴方達がいないと今頃オレはここまで来れてなかったから」

サトシ「ありがとうございます!……後は『バトル』するだけなんだ。ここからはオレ達に任せてください!」

ピカチュウ「ピカッ!」

ジュンサー「……そう」


ムーマ母「ドンカラス、『あくのはどう』!」

ドンカラス「ガァァァ……!」

サトシ「! いくぞピカチュウ、『エレキボール』!」

ピカチュウ「チャアアア!!」

バ シ ャ ッ … … !


ムーマ母「いい反応ね。貴方もピカチュウも」

サトシ「ピカチュウ、『でんこうせっか』!」

ピカチュウ「ピカァッ!」ダダッ

ムーマ母「返事くらいしてくれたっていいじゃない……さて、貴方はどこまで楽しませてくれるのかしらね?」

ムーマ母「ドンカラス、飛んで避けなさい!」


ドンカラス「ゴァァァァァ……」バサバサ

ピカチュウ「チッ……」ズザザザ


サトシ「ピカチュウ、真上に『エレキボール』!」

ムーマ母「ドンカラス!かわして急降下、そして『ふいうち』!」

サトシ「来るぞ!『アイアンテール』で防御だ!」

ガ シ ィ ィ ィ … … !

ムーマ母「怯まないでドンカラス!『はがねのつばさ』!」


バシッ!


ピカチュウ「ピカァーー……!」

サトシ「! ピカチュウ!」

ムーマ母「吹き飛んだわ!宙に浮いたピカチュウは何もできない!ドンカラス、『あくのはどう』で撃ち落として!」

ドンカラス「ゴァァァァァ!」ボッ
 ▼ 344 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 20:23:41 ID:twSIUKnM [4/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「『10まんボルト』!!」

ムーマ母「!? 嘘っ……空中で体勢を立て直せるの!?」

ピカチュウ「ヂャアアアアア!!」ババババババ!!


ジュンサー「互角だわ……あのドンカラスと張り合えるなんて。あれがサトシ君の実力……」


サトシ「よしっ、いいぞピカチュウ!」

ムーマ母「ドンカラス立ちなさい!次の攻撃を仕掛けるのよ!」

ドンカラス「ゴァァ……」

ムーマ母「立って!早く!!」

サトシ「ダウンを取った。今がチャンスだピカチュウ、『エレキボール』!」

ムーマ母「まだ勝ったと思わないでよ!ドンカラス、避けて!」


ドンカラス「ガァァァ!」バシュッ

サトシ「!? 避けながら突っ込んできた!」

ムーマ母「『ふいうち』!」

サトシ「しまった!『アイアン……」


ド  ス  ッ  !  !


ピカチュウ「ビッ……!?」


防ぐ間もなく、斧のような翼の重い一撃がピカチュウの腹に打ち込まれる。

軽いピカチュウの体は吹き飛ばされ放物線を描く。行きつく先は……



ド ボ ン ! !
 ▼ 345 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 20:26:04 ID:twSIUKnM [5/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ピカチュウーーー!!」

ムーマ母「あらら、今の威力で飛ばされちゃ得意のリカバリーもできなかったようね」

サトシ「聞こえるか!?すぐに上がってこい!」

ムーマ母「無駄よ。この池は水深約30m。あんな小さなポケモンが上がってこれる深さじゃないわ」

サトシ「……っ」ダッ

ムーマ母「あら、飛び込むつもり?一緒に死にたいの?」

サトシ「死ぬか!今まで何度もこうやって助けてきたんだよ!」

ムーマ母「そう……でも、仮に助けたところでトレーナーがバトルに介入したことになって勝負は貴方の敗け」

ムーマ母「あの警官のようにボコボコに……いや、貴方にはそれ以上のことをするつもりだけど、いいの?」

サトシ「ピカチュウが無事ならいい」

ムーマ母「だから皆纏めて殺るってのよ!助ければ敗け、助けなければ敗け!……さぁこの状況、どうするの?」

サトシ「……っ!」

ムーマ母「……ピカチュウに賭けるのね?じゃあやることは一つ……ねぇ、ドンカラス」


ドンカラス「ガァァァァァ……」


サトシ「! おい!何するつもりだ!?やめろ!」

ムーマ母「貴方がどう動いても敗けるのなら、唯一の勝ち目はピカチュウの気力次第」

ムーマ母「今からその唯一の希望を潰してあげるのよ!ドンカラス、池に『あくのはどう』!!」

サトシ「や、やめろ!!」


ボ ボ ボ ボ ボ ボ ボ ボ ボ ボ … … … … ! !


相も変わらず降り続ける雨よりもずっと強く、黒い波動は続けざまに水面を叩き波打たせる。

水が黒くなっていく。ピカチュウはおろか、池を住家にしているポケモン達も無事では済まない。

サトシは一度は黒い池の中に飛び込もうと試みるも、降り注ぐ黒に圧倒され踏みとどまってしまう。

次にサトシは必死で呼びかけるも、サトシのピカチュウを呼ぶ声も激しい音にかき消されてしまう。

憎たらしいことに、母親の甲高い笑い声だけが轟音に紛れてサトシの耳に入ってくる。

ピカチュウの声はまだ聞こえてこない。

ピカチュウの姿はまだ見えてこない。
 ▼ 346 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 20:28:43 ID:twSIUKnM [6/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ母「あ゛っはっはっは!!もうおしまいね!」

ムーマ母「覚えときなさい。子供にとって大人は頼りになる反面とっても怖いのよ!大人に逆らうとこういうことになるの!」

ムーマ母「ドンカラス急ぎなさい!まだこの一件を知る人が少ないうちに皆殺しにしておかなくちゃ」

ムーマ母「そしたら夫と……私を一番愛してくれる人とどこか遠くで幸せに暮らすのよ!」

サトシ「ピカチュウーーー!聞こえたら答えてくれーーー!!」

ムーマ母「貴方も根性だけは一人前だけど、結局哀れな子ね。……貴方も少しは休んだらどう?」

ムーマ母「親の私を死ぬほど悩ませたあの子を子供の貴方が保護するなんて、余程のことだと思うわぁ……」

サトシ「……それ以上ムーマのことを悪く言うな」

ムーマ母「……あら、震えてる?」

ジュンサー(もう……おしまいだわ……)


警官C「部長!一体どうしたんですそのケガ!」

ジュンサー「!? 貴方、犯人夫婦の夫の取り調べはどうしたの!?」

警官C「あっ!?えぇと……犯人と思われていたシロガネ・ダンガについてですが、実は……――――」



ジュンサー「!? ……そ、それで、彼は今どこに?」

警官C「ウチの仲間と一緒にこちらへ向かっています。……あっ、来た!」


警官D「ぶ、部長!こんなお怪我を!」

ジュンサー「私は大丈夫。それよりも本当なの!?その男が今回の事件に何も関わりがないって!」

ムーマ父「…………」

警官D「いくら聞いても『何も知らない』の一点張りでタダの頑なな男だと思っていたのですが……」

警官D「この一件について本当に何も聞いていなかったらしく、現に毒薬の容器からも彼の指紋だけが検出されませんでした」

ジュンサー「薬に触っていないとしても、女に言われて事実を黙秘していた可能性は?」

警官D「どうやらそれも無いようでして……それに、真実は彼のあの姿が証明しています」


ムーマ父「……何だよ……何だよこれ……どうなってるんだ!?」ガタガタ


ジュンサー「顔は青ざめて眼は大きく見開いて、口元が震えてる……成程。彼はシロというわけ……」
 ▼ 347 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 20:30:34 ID:twSIUKnM [7/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ父「おいカエラ!これはどういうことだよ!?……君は本当に……ヤシロちゃんを殺そうとしたっていうのか!?」

ムーマ母「! ……あなた……いつからそこに!?」

ムーマ父「答えてくれ!どうしてこんなことを……!」


サトシ「アイツはさっきの……何か、変な空気だな」

サトシ(……どうする?今ならピカチュウを助けにいけるか……?)


ムーマ母「……ち、違うのあなた。これは……」

ムーマ父「どう違うんだよ!警察の人達の言う通りなら、全ての元凶は君なんじゃないか!」

ムーマ父「……いや、それよりずっと前から!君が前の夫とヤシロちゃんとの3人で暮らしていた時から!」

ムーマ父「全て君の思い通りのシナリオだった!君は壊れていく家族の運命を自分の世界から切り離して」

ムーマ父「それで僕のところへ来た!そうなんだろう!?」

ムーマ母「そうよ!あそこに私の幸せは無かった!だから私はあなたと一からやり直そうと……」

ムーマ父「だったらもう……その幸せも今日限りだ」

ムーマ母「!?」

ムーマ父「僕のほしかった幸せは君と、そして僕と同じように君を愛してくれる子供と3人で暮らすことだった」

ムーマ父「死んだハズのヤシロちゃんが帰って来てくれた時、その子はきっと僕達の幸せを満たしてくれる子供になると思った」

ムーマ父「だから僕は彼女を必死に引き止めようとした。僕だけじゃなく、君も同じ幸せを求めていると思ったからだ」

ムーマ父「……けど違ったんだね。ヤシロちゃんは君を愛していたが、君はヤシロちゃんを何とも思っていなかった!」

ムーマ母「あの子が一緒にいると、あなたと二人っきりでずっと一緒にいるって私の幸せが壊れてしまうと思ったんですもの」

ムーマ母「そうねぇ……もっとマシな子供なら私とあなたの間に入れてやってもいいかしら?」

ムーマ父「……ふざけるな。何が幸せだ。自分の子供も大事にできないようなヤツといるなんて」

ムーマ父「そんなのやってられるか!もうお終いだ。さっさと捕まって、二度と僕の前に現れるな!」

ムーマ母「……え?何……言ってんの?別れるの?私と……?」

ムーマ母「じゃあ私の幸せはどうなるの?夫も子も捨てて、あなたを選んで手に入れた私の幸せは……?」

ムーマ母「どうなるの……?   どうなるの……?」
 ▼ 348 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 20:32:20 ID:twSIUKnM [8/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ父「やめろドンカラス!僕だ!君のトレーナーだ!攻撃をやめろ!……今お前は、とんでもない事に手を貸してるんだ!」

ドンカラス「ドッ……!?」ピタッ


サトシ「! 今だ!」ドボン!


ジュンサー「サトシ君!池は深いわ!貴方一人でどうやって探すの!?」

警官C「それにまだ水は真っ黒だ!長い時間浸かれば……」


ムーマ母「ねぇ……どうなるのったら……」

ムーマ父「知るか。君は自分勝手な理想のために捨ててはいけないものを捨ててしまった。それだけだ」

ムーマ父「自分の大切なものが何かを見失うほど周りが見えないようなヤツは、しばらく僕から離れて反省してろと言ったんだ」

ムーマ母「……何それ」

ムーマ母「……そんなの…… ……ア゛ア゛ア゛……」




                                ア゛
                       ア゛
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                   ア゛
 ▼ 349 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 20:34:05 ID:twSIUKnM [9/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴポポポポポ……


サトシ(真っ黒だ……ポケモンの技一つでここまで視界が悪くなるなんて……)

サトシ(早くピカチュウを探さないと。でもここまで濁ってちゃ眼を瞑ってるのと全然変わらない……)

サトシ(それにもう池に落ちてから数分だ。もしかしたら……いや、考えないでおこう)

サトシ(今までも何度も助かってきたじゃないか。絶対見つけ出してやる)

サトシ(……しかしホントによく見えないな。ピカチュウどころか他のポケモンも見かけないぞ)

サトシ(それに濁ってるからかここの水、えらく焦げ臭くて……口に入ると死ぬほどマズくて……)

サトシ(…………)

---------------------------------------

ムーマ母「ア゛ッ、ア゛ッ、ア゛ッ、ア゛ッ……」ガクガク

ムーマ父「こうなったら僕も行かないと……」

ジュンサー「待ってください!ここは警察の私が……」


ムーマ父「その体で何ができるんだ!僕はあの子にとんでもないことをしてしまったんだ。僕がケジメをつけにいく!」

警官C「二人とも落ち着いてください!あなた方まで犠牲になるつもりですか!?」

ジュンサー「子供が命を懸けてるのよ!?大人の私が行かないでどうするの!」

警官D「しかしですね……」



???「ーーーーーーーー」



ジュンサー「! ちょ、ちょっと待って!」

警官C「どうしました?」

ムーマ父「もういい!やっぱり僕が行く!」

ジュンサー「待って!貴方には聞こえないの!?」

ムーマ父「何が!?」



???「ーーーーーーーー」



ジュンサー「この声……どこかで聞いたことがある。私の記憶が間違ってなければ、今のは……」

警官D「僕も今ハッキリ聞こえました。まさかとは思うのですが……」
 ▼ 350 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 20:37:33 ID:twSIUKnM [10/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
警官C「おい、空を見てみろ!……奇跡だ。この窮地にあのポケモンが現れるなんて!」

ジュンサー「やっぱり……けどどうして?『彼女』はいつも気紛れ、偶然にしては、あまりにも出来すぎてる……」

---------------------------------------

サトシ(…………)


???「ーーーーーーーーーー」


サトシ「……?誰だ?聞いたことがあるような声……って」

サトシ「……?」

サトシ「み、水が!水が元に戻ってる!それに息もできる!……え、息?」

サトシ「どういうことだ……? いや、それよりもこれでピカチュウを探せるハズだ!」

サトシ「細かいことは後になってから考えよう!」



ピカチュウ「ピカァーーー!」

サトシ「……いた!!」

サトシ「ピカチュウ!お前も息ができるのか!?それに傷も治ってる……ピカチュウ、お前誰に治してもらったんだ?」

ピカチュウ「??」

サトシ「わからないか。……それより外に出よう!今度こそ敗けないようにしようぜ!」

ピカチュウ「ピカッ!」


ザバッ!


サトシ「……よし、上がるぞピカチュウ」

ジュンサー「サトシ君!やっぱり生きてたのね!?」

サトシ「は、はい……何か不思議な事が続けざまに……」

ジュンサー「上を見て!上!」

サトシ「? ……あぁ!お前だったのか!『カプ・テテフ』!」


カプ・テテフ「……」ペコリ
 ▼ 351 ラエナ@こううんのおこう 17/09/03 22:43:31 ID:AgbxLUUM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 352 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 23:06:40 ID:twSIUKnM [11/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ父「奇跡だ……守り神が彼らを救ってくれるなんて……」

サトシ(カプ・コケコだ。きっとアイツが呼んでくれたんだな)

サトシ「おい!今度はもうお前に敗けない!もう一度勝負をしろ。決着をつけてやる!」

ムーマ母「へ、フフ……守り神を味方につけて、随分強気になったわねサトシ君」

サトシ「もう守り神の力は借りない。それにお前の味方は、もう誰もいないぞ」

ムーマ母「ドンカラス!もう一度あの子を池に沈めてやりなさい!」

ドンカラス「……」プイッ

ムーマ父「サトシ君の言う通りだ。もう十分だろう」

サトシ「ピカチュウ、やれるな?」

ピカチュウ「ピカッ!」

ムーマ母「何よ、どいつもこいつも使えない……いいわ。私の思い通りにならないヤツなんか、いない方がマシよ」

ムーマ母「私にだってこのポケモン達がいるのよ!さぁ出ておいで!」


ドラピオン「グラァァァァ!」

スカタンク「ブピュ、ブリュリュリュ……」

ペンドラー「ぎ ゃ あ あ あ あ あ あ ! !」


サトシ「……全部毒タイプのポケモンか」

ムーマ母「わかってるわね。勝負の最中に手を出した貴方は私に何をされても文句は言えないのを」

サトシ「いいさ。勝つんだからな!」

ムーマ母「呆れた。……じゃ、そのピカチュウには私の毒ポケモンちゃん達の餌食になってもらいましょうか」

ムーマ母「赤いほっぺも黄色のシャツも、ドロッドロに溶かしてあげる!!」

サトシ「時間なんてかけさせない。一撃で終わらせてやる!」


「一撃で終わらせる」----------------サトシの腕のZリング、Zクリスタルがピカチュウの闘志に応え、共鳴する。


ピカチュウ「ヂ ャ ア ア ア ア ア … …」バチバチバチ
 ▼ 353 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 23:08:48 ID:twSIUKnM [12/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ父「まさかあれはZ技……『スパーキングギガボルト』!?」

ムーマ母「抑え込むのよ!」


毒3匹「「「ウォォォォーー!!」」」


サトシ「邪魔させるか!出てこい!モクロー・ニャビー・イワンコ!!」


ガ シ ィ ィ … … ! !



ドラピオン「がっ……!?」

                              モクロー「もふぅ!」

スカタンク「ブブ……」


                              ニャビー「フシャーッ……」


ペンドラー「か ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! !」

                              イワンコ「グルルル……」



ムーマ母「何をしてるの!?早く振り払いなさい!」

サトシ「三匹とも、そのままピカチュウから遠ざけろ!『たいあたり』、『ひのこ』、『いわおとし』!!」

ムーマ母「そんな……!?私のポケモン達が!」
 ▼ 354 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 23:10:33 ID:twSIUKnM [13/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「まだだ!まだ溜めろ!」

ピカチュウ「ピカピカピカピカ……!」バチバチバチ

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … … ! !


警官C「で、でけぇ……何だあの雷の球!?」

警官D「まるでちょっとした太陽みたいだ……あんなのを撃ち込まれたら並のポケモンはタダじゃ済まないぞ」


サトシ「オレ達のゼンリョク、まだまだこんなもんじゃない!ピカチュウ!球を空に突き上げろ!!」

ムーマ母「っ!?」

ムーマ父「空!?」



ピカチュウ「ヂ ャ ア ア ア ア ! !」




                     バ

                 

                      コ

                   ォ

                      ォ

                         ォ

                     ォ 

                      ン

                    ! !
 ▼ 355 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 23:11:42 ID:twSIUKnM [14/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「……」

警官C「雷の球が空まで上ってった……雲も突き抜けて、もう見えなくなったぞ?」

警官D「一体何のつもりだ?あの子は一体何を考えてるんだ……?」


ゴロゴロ……           ゴロゴロ……


サトシ「ピカチュウ……久しぶりに無茶するぞ」

ピカチュウ「ピカ……」ゴクリ


サトシ「もう終わりにするぞ。これがオレ達『だけ』の……ゼ ン リ ョ クだぁぁぁぁぁ!!!」




                                 ズ



                                 ド



                                 ォ


                                 ォ


                                 ォ


                                 ォ


                                 ・

                                 ・

                                 ・

                                 ・

                                 ・


                                 !
 ▼ 356 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 23:16:07 ID:twSIUKnM [15/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ビ シ ャ ア ア ア ア ア ア ン ! ! !


警官C「うぉァァァァ!!」

警官D「かか、雷が落ちてきたーーー!?」

ジュンサー「……まさかサトシ君、ピカチュウのエネルギーで空から本物の雷を?」

ムーマ父「な、何だあのピカチュウの姿は!」


ピカチュウ「ヂィ……」バチバチ

サトシ「よし……成功だ!」



嘗てサトシが編み出した奇策。それはピカチュウのパワーアップを図った掟破りの作戦だった。

その方法はピカチュウの大技・『かみなり』を天空に打ち上げ、自然発生した雷をピカチュウの体に纏わせること。

余りにも負担が大きいことと『かみなり』ほど膨大な電気を一度に消費する技をピカチュウが使わなくなったことが原因で

この作戦は長く封印されていたが、膨大なエネルギーを一気に放出するZ技『スパーキンスパーキングギガボルト』なら……

そう判断したサトシは一か八かの賭けに出たのだ。

金色の体に迸る雷。この状態で活動が可能なのは耐久力が自慢のサトシのポケモン達の中でもほんの一握り。

ピカチュウもそのうちの一匹。サトシの「作戦」という名の我儘をずっと聞いてきた、我慢強いポケモンなのだ。



サトシ「いくぞピカチュウ!突っ込めーーー!!」

ピカチュウ「チャァァァァーーーーーーーッ……!!」


ド シ ュ ン ! !


ムーマ母「と、止めなさいみんな!Z技にも必ず穴はある!」

ムーマ母「ドラピオン、『クロスポイズン』!スカタンク、『つじきり』!ペンドラー、『ハードローラー』!」



サトシ「いくぞピカチュウ!オレ達だけのZ技だ!」


ピカチュウ「ヂ ャ ア ア ア ア ! !」
 ▼ 357 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 23:17:33 ID:twSIUKnM [16/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




                           ス



                           パ



                           |



                           キ



                           ン



                           グ



                           ・



                           ギ



                           ガ



                           ・


 ▼ 358 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 23:19:40 ID:twSIUKnM [17/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




                           “



                           ボ



                           ル



                           テ



                           ッ



                           カ



                           |



                           ”



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                           !



                           !


 ▼ 359 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 23:20:11 ID:twSIUKnM [18/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


















                        .






























 ▼ 360 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 23:22:29 ID:twSIUKnM [19/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>356
謎 の Z 技 登 場

誤字です。スミマセン……
 ▼ 361 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 23:24:13 ID:twSIUKnM [20/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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サトシ「ありがとうカプ・テテフ!また会おうぜ!」

カプ・テテフ「てぷてぷ〜」バイバイ


警官C「驚いた。アーカラの守り神をこんな近くで見れるなんて……サトシ君、君はこの後どうするんだ?」

サトシ「さっきの雷にカプ・コケコが気付いたと思います。これからやってくると思うので後は彼次第……ですかね」

警官C「はっ!?カプ・コケコ!?このアーカラ島に来ているのか!?」

警官D「さ、サトシ君、君は一体何者なんだ……?」


ジュンサー「午前8時55分。シロガネ・カエラ、違法薬物所有及び子供に服用させた罪で貴方を逮捕します」

ムーマ母「えぇ。……ねぇジュンサーさん、私の幸せは……過去のどこに忘れてきてしまったのでしょうか?」

ジュンサー「さぁ……ひょっとしたら、未来の方かもしれませんよ」

ジュンサー「サトシ君、捜査に協力してくれてありがとうね。後で感謝状を贈るから」

サトシ「い、いやいいですよ。それよりも……」

ジュンサー「あっ、そうね。そうだったわね。交番を出る時に約束しといたんだっけ。喜んで準備するわ!」

サトシ「ありがとうございます」

ジュンサー「さぁ、行きましょう」

ムーマ母「はい……」

--------------------------------------

ムーマ父「……これで一件落着だね。本当にありがとうサトシ君。それに君には本当に申し訳ないことをしてしまった」

サトシ「アハハ、もういいんです」

ムーマ父「サトシ君、すごいね君は。やっぱりヤシロちゃんはそんな君といるのが一番の幸せなんだって思った」

ムーマ父「両親は自分勝手、それに僕だってそんな不幸なヤシロちゃんに何もしてやれなかったし」

サトシ「……」

サトシ「お、オレ、もっと頑張ります!ムーマともっと仲良くなるんです!」

ムーマ父「……ムーマ、か。……ヤシロちゃんは素敵な名前を貰ったんだね」

ムーマ父「…………」

サトシ「パパさん?……どうかしましたか?」

ムーマ父「カエラ……碌でもない母親だったけど……彼女は僕を愛してくれてた。これっぽちの魅力もない僕を」

ムーマ父「僕はただ……彼女の傍にいることに喜びを感じてて、いつも彼女の前で笑顔を絶やさなかっただけなのに」
 ▼ 362 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/03 23:26:01 ID:twSIUKnM [21/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「貴方は、あの母親とムーマと3人で暮らしたかったんでしたよね」

ムーマ父「あぁ……けどヤシロちゃんはおろか、僕の大好きな人がたった今僕から離れてしまった……」

ムーマ父「やっと手に入れた幸せなのに……彼女と共に暮らせることをどれだけ喜んだと思ってるんだ」

ムーマ父「彼女はやり方を間違えていただけなんだ。僕だって彼女と一緒にいたくて仕方なかったんだ!」

ムーマ父「ハハ……サトシ君、僕はこれからどうすればいいんだろうね。何を生き甲斐にすれば……」

ムーマ父「またどこかに旅にでも出ようかな」

サトシ「パパさん……」


カプ・コケコ「コ ケ ー ー ッ ! !  コッコッコ……」


サトシ「あっ、来た!」

ムーマ父「なっ!? メレメレ島の守り神がどうしてここに!?」

サトシ「カプ・コケコはオレをここまで連れてきてくれたんです」

ムーマ父「お、おぉ……」


サトシ「……ではパパさん、また会いましょう」

ムーマ父「あぁ。君にはちゃんとしたお詫びもしたいからね。もう少し時期を置いて……」

サトシ「そんなのいいです。それよりも見つけてください!また新しい生き甲斐」

ムーマ父「ハハ、君には敵わないな」

サトシ「敵わなくたっていいんです!オレはポケモンマスターになる男ですから!」ビシッ

ムーマ父「……?」

ピカチュウ「…………」

ドンカラス「アホー」

サトシ「……え、何この空気」

------------------------------------

サトシ「ではお元気で!今度会ったらポケモンバトルしましょう!」

ムーマ父「あぁ!さようなら!ヤシロちゃんをよろしくね」
 ▼ 363 イチュウ@あかいくさり 17/09/04 06:20:00 ID:3suygflY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
流石ポケモンホイホイ……
 ▼ 364 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/04 22:27:39 ID:SBt9gmCE [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------アーカラ島→メレメレ島-------


サトシ「…………」

カプ・コケコ『嬉しそうな顔をしてるな。いい事でもあったのか?』

サトシ「いい事?……ないよ。でもいいんだ。これでこの一件は終わったんだ」

カプ・コケコ『一件落着しても、ムーマの足は動かないままだぞ』

サトシ「わかってるよ!そんなのわかってる。残った爪痕は大きい。だけどオレはまたムーマと楽しく暮らせる方法を……」

カプ・コケコ『あるぞ、方法』

サトシ「え?」

カプ・コケコ『お前を町に降ろす前に言ったろ?もうお前の気が済んだ今なら言ってもいいだろう』

サトシ「そうだ!その話って結局……」

カプ・コケコ『決まってんだろ』


カプ・コケコ『          ムーマを、もとの元気な体に戻す方法だ          』


サトシ「……え」

サトシ「あ、あるのかよそんなの!何で初めっから教えてくんなかったんだよ!」グイグイ

カプ・コケコ『いだだだだ!トサカを引っ張りなさんな!最初に教えたところでお前の気は済まなかったろ!?』

サトシ「まぁ……そうか……それで、その方法って何だよ!?」

カプ・コケコ『―――――――――――』


サトシ「……!」

サトシ「……あぁ。仕方ないよ。……それが一番だ。それでムーマの夢がまた戻ってくるのなら……」

サトシ「でも後少しだけ……時間をくれないか?」

---------------------------------------

ブロロロロロ……

ムーマ母「……」

ジュンサー「そう、そこの角を右に曲がってちょうだい」

警官C「右?右には港しかありませんよ」

ジュンサー「港に行くの。……疲れてるトコ悪いけど真っ直ぐ署には行かないわ。ちょっと、サトシ君と約束をね」

ムーマ母「……?」
 ▼ 365 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/04 22:29:00 ID:SBt9gmCE [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------メレメレ島 アイナ食堂前-------


マーマネ「……っし、完成!『車椅子用急ブレーキセンサー』!」

マーマネ「これを車椅子に付ければどれだけ腕白な子がガンガン漕いでもセンサーが反応して障害物にぶつからないんだ!」

ムーマ「うゎー!ありがとうマーくん!」

マーマネ「……思うんだけどさ。皆は『お兄ちゃん』だとか『お姉ちゃん』とか呼んでるのに」

マーマネ「どうして僕だけ『くん』付けのみなのよ」

ムーマ「だってマーくん小っちゃいじゃん。わたしとそんなに変わらないよ」

マーマネ「えぇ……」

カキ(思いっきり舐められてるな)

リーリエ(ドチャクソ舐められてますね)

スイレン(とりあえずドンマイ、マーくん)


マオパパ「サトシ君はどんな顔で帰ってくるでしょうか」

ククイ「さっき警察から連絡がありました。彼には感謝してもしきれないと……ほら、あそこ」



サトシ「          お − − − − い ! !          」



マオパパ「おぉ! 帰って来た!」

スイレン「マーマネ!お店の中にいるマオちゃん呼んできて!」

マーマネ「了解!」


サトシ「ハァ……ハハ、ただいま!みんな!」

カキ「サトシ。お前、カプ・コケコと一緒に……」

サトシ「さっき別れてきた。アイツのお陰で色々とうまくいったよ」

ロトム「何で僕はここにいるロト?何かずーっと悪い夢を見させられてた気がするロト……」

リーリエ「ロトム図鑑は守り神の夢を見るか……と」
 ▼ 366 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/04 23:04:14 ID:SBt9gmCE [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ「おにーちゃん!」

サトシ「ムーマ! ……ただいま」ニコッ


ムーマ「おにーちゃ……」ガタッ

スイレン「あっ、ムーマちゃん!急に立ったら……」

ズデッ

ムーマ「いててて……」

サトシ「あはは……ほら、手を出して。車椅子ではじっとしてないと。包帯も巻いてもらったんだね。よかった」


サトシ「よっこらせ」ヒョイ

サトシ「さぁ、今度は動かずにちゃんと座ってろよ」

ムーマ「……」ギュッ

サトシ「こらこら離れろって。おにーちゃん動けないよ。早く腰かけて」

ムーマ「抱っこのほうがいい」

カキ「なっ……」

リーリエ「Oh my god…」

マオパパ「へぇ、ホント仲良しなんだね二人は」

サトシ「な、仲が悪いよりはいいから……えへへ///」


ククイ「サトシ、よく頑張ったな。お前にできること……ムーマにしてやれることを自分で考えて、よく闘った」

サトシ「でも最初は頭が空回りして……オレ一人じゃできなかった。皆がいなければ今頃……」

ククイ「一人で何もできないことは恥じることじゃないさ。それはお前もよくわかってるだろう?」

サトシ「ハハ……それもそうだ」

ピカチュウ「ピカチュ!」

ククイ「フッ……オレは幸せだよ。大好きな二人と暮らすことができて。できればずっと続いてほしいがそうはいかないだろう」

サトシ「……博士?」

ムーマ「お父様?」

ククイ「お前達にも夢があるからな。その夢を潰してまで、オレはお前達を留めておくような真似はしないさ」

ククイ「大事な人の幸せを蔑ろにする幸せなんか、そんなものは幸せとは呼ばない」
 ▼ 367 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/04 23:08:28 ID:SBt9gmCE [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「あ、あのさ、ムーマは……」

ククイ「サトシ、おいで」

ガバッ!

ムーマ「むぎゅ」

サトシ「!?/// はか……」

ククイ「……お疲れ様」

スイレン「ワオ大胆」

ククイ「ジュンサーさんから何もかも聞いたよ。……本当に無事でいてくれてよかった」

サトシ「ちょっ……/// 離れてよ。恥ずかしいよ博士///」

ククイ「お前達はオレの大事な宝物だ。サトシ、ムーマ……出会えてよかった。オレと出会ってくれて本当にありがとう……」

サトシ「……へへ」

ムーマ「胸板サンドなう」ギュウウウ


全てを終え、肩の荷が下りたサトシ。どっと疲れがあふれ出て27時間ぶりの眠りに落ちようとしたその時……


マオ「お帰りサトシ!コロッケいっぱい作ったから召し上がれーーー!」
 ▼ 368 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/04 23:11:01 ID:SBt9gmCE [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
テーブルに並んだ花柄の丸皿には、細やかな千切りキャベツを添えた、兄妹の大好物。

サトシは椅子取りゲームのように勢いよく席に着いた反動を生かしてコロッケを手に取り、試しに一つできたてを頬張った。


サトシ「うまーーーーい!!」ガッガッ

マオ「行儀悪すぎ!何の競技よ!?」

サトシ「何だそれ、新しいダジャレか?」

マオ「はぁー……豪快にガッつくのはいいけど、ムーマちゃんの分も残してあげなよ?」

サトシ「わかってる。ほらムーマ、おいで」

ムーマ「むぅ〜」キュルキュル

マオ「ふふ……」


カキ「おぉ、ウマそうに食べてるじゃないか」

スイレン「帰って早々食事なんてサトシらしい」

ククイ「やれやれ、またコロッケか……サトシめ、この1週間だけで12食目なのに全く飽きる気配が無いな」

リーリエ「ほぼ1日に2食!」

マーマネ「ぼ、僕も一ついいかな……」

カキ「オレはいいよ。昨日から眠れなかったんだ。マオ、悪いがここで休ませてもらっていいか?」

マオ「うん。今日は定休日だし、少しは寝ないとだよね」

カキ「あぁ、助かる……」フラーッ

サトシ「?」


カキ「」ドサッ

スイレン「」ゴツッ

リーリエ「」パタッ

マーマネ「」ドデーン


サトシ「!? ど、どうしたんだ!?何が起きた!?」

ムーマ「ど、どうしようおにーちゃん!急にみんな倒れちゃった!」

マオ「二人とも、Listen.」

サトシ/ムーマ「「え?」」


「「「「ZZZ……」」」」


サトシ「あっ……あぁー……ハハハ」
 ▼ 369 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/04 23:13:44 ID:SBt9gmCE [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「ZZZ……おいホシ、危ないからヴェラ火山でロードオブザリングごっこはやめなさい……ZZZ」

リーリエ「ZZZ……久しぶりのお兄様との時間、至福の一時です……あっやだお兄様//そんなトコロ……ZZZ」

マーマネ「ZZZ……こ、このマラサダ、全部僕にですか!?……ZZZ」

スイレン「ZZZ……味噌煮込みうどん……ZZZ」


ムーマ「えらい寝言だね」ムシャムシャ

サトシ「みんな疲れてるんだ。そっとしといてあげようよ」モグモグ

マオ「一番疲れてるであろう人は今あたしの眼の前でコロッケ貪ってるけどね」

サトシ「何?オレの事?」

マオ「そうだね。二人ともだね……じゃああたしも休んでくるよ。お皿を片づける時は言ってね」

サトシ「あぁいいよ!自分でやる」

ムーマ「おやすみマお姉ちゃん!」


サトシ「……ムーマ」

ムーマ「んむ?何?」ムシャムシャ

サトシ「何でもない。また、あーんしよっか?」

ムーマ「うん!」アガー

---------------------------------------------
-----------------------------

ムーマ「ごちそーさまー!」

サトシ「よろしお上がり。……じゃあムーマ、休んどいで」

ムーマ「おにーちゃんは?」

サトシ「じきに休むからゆっくり寝といで。疲れたろう?」

サトシ(10時50分か……約束の時間までまだあるな。オレも流石に疲れたから、片づけたらひと眠りするか)

ムーマ「じゃあわたしもお皿あらい手伝う!」

サトシ「立てないのに無理するなって!オレが一人でやるよ」カチャカチャ

ムーマ「むぅ〜……」
 ▼ 370 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/04 23:15:50 ID:SBt9gmCE [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「……むむ」コクコク

サトシ「ZZZ……あっ、しまった皿が!」ツルッ

ガシッ!

サトシ「!?」

マオ「疲れてるのに無理するなって!いいから休んどいで」

サトシ「あ……お早いお目覚めで……」

--------------------------------------

サトシ「……」ガチャッ

ムーマ「ZZZ……むぅ……ZZZ」

サトシ「この寝顔も随分見慣れた気がする……信じられないな。出会ってまだ3週間余りだなんて」


サトシ「カプ・コケコから聞いたよ。お前の夢、もう一度叶えられるようになる方法」

サトシ「オレはそれに賛成したよ。お前の為だもん。……お前の為」


---------------------------------------

サトシ「その方法って何だよ!?」


カプ・コケコ『          ムーマが、人間から元のポケモンの姿に戻ることだ          』


カプ・コケコ『動かなくなったのはムーマの足だそうだな。なら足の無いムウマの姿に戻れば何の不自由も無くなる』

カプ・コケコ『オレはいつでも彼女を元に戻すことはできるが……お前はどうする?』

カプ・コケコ『お前が決めろ。アイツを管理している“だけ”のオレには選択権はない。だがお前は……立派なムーマの兄だ』

---------------------------------------


サトシ「……オレは後悔してないよ。絶対」

サトシ「ハハ……後悔してないなら……何でまだ言いだせないんだろうな……」
 ▼ 371 ュリネ@キラキラメール 17/09/05 07:13:02 ID:P3DbUOKc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 372 クレオン@モコシのみ 17/09/06 20:12:41 ID:H9AHzACE [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------数時間後-------


サトシ「ふぉ〜ぁ……」

ククイ「サトシ、おはよう」

ムーマ「おはよー!」

サトシ「……みんなは?」

ククイ「帰ったよ。家族に心配をかけただろうしな」

ククイ「さぁオレ達も帰ろう。たった一日だってのに、家に帰るのも何か久しぶりな気がするな」

サトシ「あっ、待って博士!オレもう少しここにいるよ!」

ククイ「どうしてだ?」

サトシ「実はさ……」ヒソヒソ

ムーマ「?」

ククイ「フッ……そういうことか」


サトシ「もうすぐジュンサーさんとの約束の時間だ。オレ表で待ってるよ!」ダッ

ムーマ「おにーちゃん……?」

ククイ「ムーマ、オレ達も行こう。そして一言、君の『ママ』に謝ってもらおう」

ムーマ「えっ!?えっ? どういうこと?」

--------------------------------------------------

サトシ「そろそろ来るころだと思うけど……」ドタドタ

マオ「あっ、サトシ!ちょっと外出てみてよ!」

マオ「数分前からパトカーが止まってるの……今、お父さんと警察の人が話してるみたいだけど……」

サトシ「しまった!もう来てたのか!」
 ▼ 373 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/06 20:14:56 ID:H9AHzACE [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュンサー「あら、来たわねサトシ君」

サトシ「あれ?あの、オレと一緒にいたジュンサーさんは?」

ジュンサー「アーカラ島西部担当のジュンサー部長から連絡があって、ちゃんと『彼女』を引き渡してもらったわ」

サトシ「そうですか……じゃああの母親はそのパトカーの中にいるんですね」

ジュンサー「サトシ君、募る感情もあると思うけど今の彼女は大分打たれ弱くなってる。どうかあまり強く当たらないで」

サトシ「もういいんですオレは。それよりもあの母親にはやらなければいけないことがありますから」

ジュンサー「そうね……それを彼女もわかってるみたい」


ムーマ母「…………」


警官A「よっ、サトシ君!また会ったね!」

ハーデリア「わんっ!」

サトシ「あっ、誘拐犯スカル団の時のお姉さん!」

警官A「この前のお礼ちゃんとできてなかったから……はいコレ!世にも珍しい『虹色ポケマメ』!」

サトシ「わぁ……ありがとうございます!」

警官A「ポケモン達に食べさせるとスーーーパーーー仲良しになれるよ!Let’s share happy!」

サトシ「アハハ……」

ジュンサー「……不自然。明るすぎるわ。ムーマちゃんの件の連絡取った時アンタ、よっぽどショック受けてたのに」

警官A「……だって、ついこの間はあんなに元気だったのに……」

サトシ「ムーマは今も元気ですよ。この間のこと、オレからもありがとうございました!」

警官A「サトシ君……エヘヘ、こちらこそ」


ジュンサー「フフ、出来る子ね」

サトシ「伊達におにーちゃんやってませんから」キリッ
 ▼ 374 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/06 20:18:55 ID:H9AHzACE [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュンサー「さぁ……そろそろ彼女を出しましょうかね」

サトシ「お願いします。……ムーマ、おいで」

ムーマ「おにーちゃん、本当なの?ママがこっちに来てるって……」

サトシ「オレが呼んだんだ」

ムーマ「ホント?じゃあ、今すぐママにあやまれるんだね!?」

サトシ「……」

ククイ「ムーマ、よく聞きなさい。今日はママがムーマに謝りにきたんだ。君にヒドいことをしてしまったからね」

ムーマ「えっ!?でも……ママは悪くない……ママはわたしが一番大好きな人だもん……」

ククイ「そうだね。君はママを悪く思うことができない。だから彼女はその気持ちにつけ込んで好き勝手をした」

ククイ「ムーマ、そんなママと同じ君の保護者として、オレは彼女を許すことはできない」

ククイ「君の眼の前で、形だけでも……」

ムーマ「あっママだ!ママー!」ダッ


ククイ「……本当に純粋でいい子だ。だからこそ、一度死んで尚大好きな人をまだ好きでいられるんだな」


ムーマ母「……ヤシロ」

ムーマ「ママ、わたしは何をされても、ずっとママが大好きだよ?」

ムーマ母「……ううん。わたしはもう、貴方の親なんかじゃない」


ガ バ ッ … … !


ムーマ「!」

ムーマ母「ごめんなさい……こんな母親で……本当にごめんなさい……!」


もう許してもらおうとは思わない。十分抵抗はした。でも無意味な抵抗だった。最愛の人にも見放された。

娘の眼の前で雨上がりのドロドロの地面に膝をつき、頭を打ち、静かに震える。


ムーマ「もういいよ」

ムーマ「わたしもごめんなさい。わたしがいい子じゃなかったから、ママは楽になりたかったんだよね?」

ムーマ母「……ヤシロ?」

ムーマ「だからわたし、おにーちゃんの前でずっといい子にしてたよ!少しはおとなしくなれるようにがんばったよ!」

ムーマ「だからもう一回いっしょにくらそうよ!」
 ▼ 375 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/06 20:23:20 ID:H9AHzACE [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ母「……それはできないわ。もうわたしには貴方を育てる資格はない。それに貴方にはもう大事な人が他にもいる」

ムーマ「いやだ!ママもおにーちゃんも二人とも大事なの!どっちか一人でもいなくなるのはいやだ!」

サトシ「ムーマ……」

ジュンサー「シロガネさん、そろそろ行きましょう。サトシ君のお願いがなければ貴方は今頃署にいるべき人なのですから」

サトシ「ま、待ってください!」

ジュンサー「……まだ何か話したいことがあるの?」

ジュンサー「貴方が私達警察に頼んだことは、この母親をムーマちゃんの前で謝らせることだけだったはずよ」

ジュンサー「サトシ君が兄としてできることを必死に考えて……そう頼んでくれたんじゃない」

サトシ「そうです。前までのオレはただムーマに与えることしかできなくて……」

----------------------------------------------

スイレン「サトシ、あなたはムーマにとって、すごくいいお兄ちゃんだと思う。ムーマちゃんのことをよく見てる」

スイレン「でも、あなたからムーマちゃんにできること、自分で考えるともっといいと思う」

スイレン「私から言えるのはこのくらいだけど。どうか探してみて。サトシができること」

サトシ「……よくわかんないけど、とにかくオレももっとムーマのために行動しなくちゃってことだな!」

----------------------------------------------

ジュンサー「まだ母親と話したいことがあるの?」

サトシ「えぇ、ちょっとだけ……」

ムーマ母「…………」


サトシ「アンタはまだムーマのママなんだ。だから捕まるのを理由に、ムーマを突き放そうとするな!」

ムーマ母「!」


サトシ「アンタはもう二度もムーマを自分から遠ざけようとしたんだぞ!でもそれでもムーマはアンタが好きだ!」


サトシ「もしまたいつか出てこれるようになったら……その時はムーマを責任持って好きになってやれ!」


サトシ「でないとムーマもアンタもずっと苦しいまんまじゃないか!!」


ムーマ「……おにーちゃん……」

ムーマ母「……そうね。いつかまたあの子に会える日まで、私も変わらないと……でなきゃ私は一生幸せになんかなれない」

ムーマ母「サトシ君、こんなことをしてまで何だけど、一つお願いしていいかしら?」
 ▼ 376 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/06 20:25:12 ID:H9AHzACE [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ母「私の幸せは、私の最愛の人と二人で暮らすことだった。私がこうなった今、あの人は行き場を失ってる」

ムーマ母「……どうか彼を救ってあげられないかしら?あの人を幸せにすること、それが今私ができるせめてもの償い」

サトシ「でもどうやって…………まさか」

ムーマ母「彼は私の気も知らず、本気でヤシロちゃんを家族にしたがってた。彼が愛した私の子だから」

ムーマ母「だから……」


ムーマ母「貴方と私が世界で一番大好きなヤシロをどうか……彼に任せてあげて」


ムーマ母「そして彼も、ヤシロにとっての大事な人にしてあげて」


警官A「!?」

ジュンサー「な、何をバカな事……」


サトシ「なら少し時間をください!今すぐには無理です!」


警官A「サトシ君!何を……」

ムーマ「おにーちゃん、まだ怒ってるの?」

サトシ「あの人は確かに信頼できる人です。あの人はムーマの一件が冗談だと思っていた時にオレを本気で怒ってくれた」

サトシ「でもオレ一人で出せる答えではありません!ムーマにも同じ事を聞いてください!」

ムーマ「……え」


ムーマ母「ヤシロ、貴方は昨日私と一緒にいたおじさんを覚えてるかしら?」

ムーマ母「あの人はね、私がこの世で一番大好きな人。私の生き甲斐なの」

ムーマ「知ってる。そのおじさん自分で言ってたよ」

ムーマ母「ヤシロ、じゃあ私からお願いね。これからは、あのおじさんの傍にいてあげられないかしら?」

ムーマ「あのおじさんの家でくらすってこと?」

ムーマ母「そう。貴方の生まれた家で、二人でね」

ムーマ「じゃあ……おにーちゃんはどうなるの!?」


ムーマ母「…………」

ムーマ母「……サトシ君は私のように貴方を突き放したりしない。貴方がどこに居ようと……そうよね?サトシ君」

サトシ「オレはムーマと別れたくない。でもムーマの意思には従う」
 ▼ 377 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/06 20:29:12 ID:H9AHzACE [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムーマ「……わたしもおにーちゃんと別れたくない!!」

ムーマ母「そう……でも心には留めておいて。私は彼を放ってはおけないの。何も悪くない彼を巻き込んでしまった……」

ムーマ母「さようならヤシロ。世界で一番大好きな貴方のママはいつ帰って来れるかわからないけど」

ムーマ母「それまで貴方の幸せを犠牲にしないように、たくさんの人を笑顔にしてあげて」

ムーマ「…………」


-----------------------------------------


走り去るパトカーが曲がり角に消えていくまで、兄妹はただその場に立ち尽くしていた。

ムーマは母親に贈った最後の言葉で、強く当たったことを少し後悔していた。

---------------今になって迷い始めていたのだ。


ムーマ「わたしが大好きなママが大好きな人と……わたしが大好きなおにーちゃん……どっちもわたしが大好きで……」


ムーマ「どっちも……わたしの大事な人」
 ▼ 378 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/06 20:30:50 ID:H9AHzACE [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第12話(全15話)   「夢の時間」
 ▼ 379 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/08 20:03:22 ID:LYdxbpZ6 [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------その夜 ククイ家-------


ロトム「博士、こっちに帰ってきてからサトシとムーマちゃんの様子がおかしいロト」

ククイ「知ってるさ。特にムーマは、大好きだったママと離れてしまって落ち込んでいるようだしな」

ロトム「大好きな人と別れる割にはあまりにも後味の悪い結末だったロト」

ククイ「あぁ。だからそろそろ気づく頃なんじゃないかと思ってな」

ロトム「どゆことロト?リカイフノウリカイフノウ」

ククイ「ムーマは今考えてる最中さ。自分の幸せと一緒に、人の幸せもじっくり考えてる。彼女は優しいからね」

ロトム「博士はムーマちゃんにどうしてほしいロト?」

ククイ「さぁな。できれば離れてほしくはないが……まぁ、最後はムーマの優しさに委ねるかな」

ロトム「優しさ?」


サトシ「博士!お風呂先に上がったよ!」

ククイ「おぉ。……そうだサトシ、ムーマを見てきてくれないか?」

サトシ「うん。そのつもりだけど」

ククイ「それなら、ムーマの本心を聞いてきてくれないか?」

サトシ「本心? ……あぁ、わかった」



ガチャッ


サトシ「ムーマ」

ムーマ「ZZZ……」

サトシ「起きてる?」

ムーマ「ZZZ……むぅ……ZZZ」

サトシ「…………」
 ▼ 380 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/08 20:05:37 ID:LYdxbpZ6 [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「……」

ムーマ「ZZZ……」

サトシ「……」

ムーマ「……」チラッ

サトシ「…………」


サトシ「ピカチュウ『ピ』がつく」

ムーマ「ピン左衛門」

サトシ「ピんから峠を」

ムーマ「ピロリと越えりゃ」

サトシ「ピ枯らしピーピーピッぷくれもするが」

ムーマ「ピーンときましたピンときた!あぁ〜♪」

サトシ「起きてんじゃねぇか」

ムーマ「起きてました」


サトシ「ムーマ……本当はまだ悩んでるんだろ?お母さんに言われた事で。あれからずっと難しい顔してるぞ」

ムーマ「し、してないよ」

サトシ「嘘だ。これのどこが難しくない顔なんだ。うりうり」ビヨーン

ムーマ「おぬぃーひゃん、いひゃい。ひっはらにゃいれ」

サトシ「……とまぁこんなおふざけは抜きでだ」バチン!

ムーマ「えひゃい!」

サトシ「……正直に言ってみ。ここにはオレしかいないんだから」

ピカチュウ「ピカァ」

モクロー「もふ」

イワンコ「わんっ」

ニャビー「うにゃ」

ムーマ「…………」

サトシ「に、人間はオレしかいないから!オレが黙ってればどうせ誰も喋らないし!ね?言ってみ?」

ムーマ「……いやだ。今は」

サトシ「はぁ!? じれったいなもぅ……じゃ、いつならいいんだよ?」

ムーマ「お父様が寝てから」

サトシ「……また二人で散歩に行くのか。わかった。じゃあそれまで待とう」
 ▼ 381 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/08 20:07:34 ID:LYdxbpZ6 [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------深夜-------


ククイ「ZZZ……」

ムーマ「寝てるね」

サトシ「じゃあ行こうか。みんな」

4匹「「「「…………」」」」

ムーマ「どうしてこの子達も連れてっちゃうの?」

サトシ「コイツらだってお前の本心が聞きたいんだよ。いいだろ?」

ムーマ「うぅ……これじゃ出て行く意味ないし……お父様にだけ秘密にしてても仕方ないよ……」

サトシ「まぁいいじゃないか。みんなで夜の散歩に行こうぜ。エイ、エイ、オー(小声)」

ムーマ「まぁ……ポケモンならいっか。人に聞かれるより気にならないし」

サトシ「忘れてるようだがお前もポケモンだぞ」


サトシ/ムーマ「「いってきまー……す」」パタン


ククイ「…………」

ククイ(フフ……いってらっしゃい)
 ▼ 382 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/08 23:31:40 ID:LYdxbpZ6 [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒュオオオオ……


ムーマ「あぅ……ちょっと肌寒い」

サトシ「でも見てみろよ。すっかり晴れてスッゴイ綺麗な星空、それにメノクラゲが光る海!」

ムーマ「ほんとだ。わたし達だけでこんな景色が見れるなんて、ちょっとぜいたくだね」

サトシ「贅沢は好きだぜ」キリッ

ムーマ「わたしも!」

サトシ/ムーマ「「えへへ……///」」

ピカチュウ「ハァ……」

サトシ「っしゃ!じゃあオープニングパレードと行きますか!」

イワンコ「わんっ!」


イワンコが見つけた木の枝に、ニャビーが火を灯し先導する。

その後ろには、膝にモクローをちょこんと乗っけたムーマが座る車椅子を引くサトシ……と、その肩に乗るピカチュウ。

さぁ、皆が寝静まった砂浜を独り占め。今宵は2人と4匹のご一行様のパレードから始まるのだ。

真っ暗闇の空で光る星は、彼らを取り巻くギャラリーだ。


ムーマ「うーみーはーひろいーなーおおきーいなー♪」

サトシ「つーきーはーのぼるーし♪ひものーぼーるー♪」

ムーマ「つまりーにっしょくー♪」
 ▼ 383 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/08 23:34:13 ID:LYdxbpZ6 [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
轍のラインと足跡のスタンプが砂浜に続いていく。

二人は何度も顔を見合わせては微笑み、気が付けばパレードは次のエリアへと差し掛かる。


モクロー「もふぅ!」

サトシ「おっ、ここはいつもの市場だな」

ムーマ「きのみ屋のおばさんがいるところだよね。わたしとおにーちゃんはここで買い物もした!」

サトシ「ハハ、おばさんもムーマの事可愛がっててくれたよなぁ」

ムーマ「夜中だからどこのお店も閉まってるね」

サトシ「おばさん曰く、最近はラッタの被害が市場にも広がってるみたいだしな」

ムーマ「アローラでは人とポケモンはおともだち。だけどともだちだからって取りすぎはよくないよね」

サトシ「そうそう、親しき仲にも……」

ムーマ「れい……れい……『れいとうビーム』!」

サトシ「何でじゃ。『礼儀あり』ね」

サトシ「……って言うか、お前とオレの仲だってお前の礼儀知らずから始まったんだろ?」

ムーマ「むぅ〜……それはそうだけど……」

ニャビー「うにゃにゃ」

ムーマ「『サトシは割と根に持つタイプだから勝手に言わせておけ。ムーマは悪くないよ』って?ニャビー」

サトシ「おぉい!勝手な事を言うな!」

ニャビー「にゃぶぅ」

ムーマ「『コロッケサンドの件、オレにも非はあるが散々追いかけまわしてくれたお前からの謝罪もまだ聞いてないぞ』って」

サトシ「ぬぅ……お前も根に持つタイプなのね……」
 ▼ 384 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/08 23:35:44 ID:LYdxbpZ6 [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「さてさて、次はどこに行こうかな?」

ムーマ「『テンカラットヒル』!」

イワンコ「わんっ!」

サトシ「おぉ、いいな!……あそこから見える星は絶景だって町の人から聞いたっけ」

ムーマ「おにーちゃんも行ったことあるんじゃないの?きれいな星いっぱい見たんでしょ?」

サトシ「あんまり空は意識してなかったから……じゃあ改めてそこ行きましょうか」

ムーマ「おー!レッツゴー!」

ピカチュウ(サトシサトシ、そろそろムーマの本心をよぉ)


本来の目的を忘れたバカ二人のパレードはまだまだ続く。

次の目的地はテンカラットヒル。その名の通り、宝石のように煌めく星々が旅人や野生ポケモン達を虜にしているのだという。


サトシ「この辺は危ないから裏から上るぞ」

ムーマ「何で?」

サトシ「ポケモン達の道場があるんだ。博士が言うには人が下手に立ち入ることは許されないんだと」

ムーマ「ふーん……」

ピカチュウ「ピカ!ピカァ!」

サトシ「ピカチュウ、お前市場を抜けたあたりからヤケに機嫌悪いアピールしてないか?帰りたくなったか?」

ムーマ「えぇえ!もっとお散歩したいよ。ねぇ?」

サトシ「もちろん!旅をしてた頃の感覚を思い出すよ」

モクロー「もふぅ」

イワンコ「わふぅ」

ニャビー「んにゃ」

サトシ「だからさピカチュウ、もっとこの時間をエンジョイしようぜ!」

ピカチュウ(救い様がねぇ!)

ピカチュウ「ピ、ピカピチュ?ピカピィ……」

ムーマ「『ま、まぁこの中じゃ僕が君とは一番長い付き合いだから?僕が君のそういう身勝手さを理解してあげなきゃ』」

ピカチュウ「ピカピカーー?」

ムーマ「『何遍も旅してきた相棒としてやってらんないよねぇ?そうでしょサトシ』だって」

サトシ「機嫌悪いのか良いのかどっちなんだよお前」

ムーマ「ツンデレだね」

ピカチュウ「」ブチッ
 ▼ 385 ーゲン◆O4/zV1DaK6 17/09/08 23:37:03 ID:LYdxbpZ6 [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウ「ヂャアアアアアア!!」バリバリバリ

サトシ/ムーマ「「うぎぎぎゃぎゃん!!」」


ピカチュウ「ピカッ!」プンスカ

サトシ「やっぱり連れてくるんじゃなかったかな……」ビリビリ

ムーマ「言ったよ?はじめにわたしはそう言ったよ……?」ビリビリ

ニャビー(お気の毒に。でもやることはやらなきゃだZ)

イワンコ(早く丘行きたい。早く星見たい)

モクロー(あぁー麦チョコ食べたい)



-------テンカラットヒル 中腹-------


サトシ「よいしょ、よいしょ、もう少し上ろう」

ムーマ「むぅ〜……」キュルキュル

サトシ「どした?」

ムーマ「やっぱり足がおしくなっちゃった。自分で動けないってつらいよぉ……」

サトシ「……ムーマ、あのね……」

ピカチュウ「ピーカーチュ〜……」

サトシ「ん?何だ今度は?」

ピカチュウ「ピカピカ……ピカチュゥ」

ムーマ「『もう十分でしょ?頂上まで行ってちゃ朝までに帰れないよ?』だって」

サトシ「んん、それもそうか。じゃあ……この辺でいいか?ムーマ」

ムーマ「うん」
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