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【SS】 サトシ(18) 「同窓会?」

 ▼ 1 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/08/01 22:55:22 ID:ZQoWrRkY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



◆ 夢に向かうセレナへ (http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=504910


上記SSの5年後をイメージしていますが、同作を読まなくても特に問題ありません。


 ▼ 209 ガチャーレム@1ごうしつのカギ 17/09/12 10:04:15 ID:kpCwpqs. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 210 ンホロウ@ミュウツナイトX 17/09/12 13:15:24 ID:jvS8sDRw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 211 イリキー@オーキドのてがみ 17/09/12 21:36:51 ID:ANlax1TA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 212 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/13 01:40:00 ID:vrqDzWDs [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「遺伝子異常……」

 シトロン 「先天性なものでは無く、明らかに人工的に引き起こされたものなんです」

 サトシ 「どうして分かるんだ?」

 シトロン 「保護された遺伝子異常のポケモン全てに、注射針の痕があったらしいんですよ」

 サトシ 「注射針って……、それ絶対に人間が絡んでるだろ!」

 シトロン 「えぇ。捜査も その前提で行われているようですが、未だに解決の糸口も見出していないみたいで……」

 サトシ 「その事件って、いつ頃から起こってるんだ?」

 シトロン 「確か……、1年くらい前からだったと」

 ユリーカ 「去年の夏だよ。セレナが防衛戦で負けちゃった頃だから、変によく覚えてる」

 サトシ 「そうなのか。1年以上も捜査して手がかり掴めないって、何か悪の組織的なのが絡んでるのかもな」

 シトロン 「そう考えるのが自然でしょうね」

 サトシ 「フレア団の連中は、まだ逮捕されたままだよな?」

 シトロン 「はい。5年で出てこられるような罪では無いですから、フレア団は無関係と見て良いでしょう」

 サトシ 「実はフラダリが復活した――、とかも無いよな?」

 シトロン 「考えたくありませんね」

 ユリーカ 「大丈夫だよ。あんなインパクトある おじさん、復活したら絶対に見つかっちゃうって」

 サトシ 「あ〜、確かにな」
 ▼ 213 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/13 01:45:30 ID:vrqDzWDs [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「いずれにしても、この事件の犯人は、かなり用心深いと見れますね」

 サトシ 「そうだな。1年以上もポケモンを遺伝子異常にしてるって、普通じゃ何かしら足が付くはずだし」

 シトロン 「問題は、犯人は なにが目的で、こんなことをしているかです」

 ユリーカ 「そうだよ。今まで保護されたポケモンたち、みんな苦しんでるんだよ! こんなこと絶対に許せないよ!」

 サトシ 「オレも許せない。ポケモンの命をなんだと思ってるんだ!」

 シトロン 「えぇ。犯人は言わば、人体実験を している訳ですからね。何の罪もない野生ポケモンを使って」

 サトシ 「ホント、何が目的なんだろうな」

 シトロン 「遺伝子異常と注射痕――、ここから考えられることは、ポケモンに“何か”を注入して、“何か”を引き出そうとしているんじゃないでしょうか」

 サトシ 「何かを引き出す?」

 シトロン 「えぇ。例えば、“本来覚えないワザを覚えさせる”とか、“本来とは違うタイプを持たせる”とか」

 サトシ 「なるほど。なら、“強制的にポケモンの能力を上げようとした”とか、“強制的にポケモンの成長を早めた”とかも考えられるな」

 ユリーカ 「じゃあじゃあ、“メガシンカしないポケモンをメガシンカさせようとした”とかも有り得るよね?」

 シトロン 「そうだね。いずれにせよ、科学が進歩した現代なら、それらの実現が可能かもしれません。けどそれには、実験が必要です」

 サトシ 「科学で実現させるってことは否定しないけどさ、だったらちゃんと手続きを踏むべきだろ。勝手に実験して、実験の被害に遭ったポケモンを捨てるとか、正気の沙汰じゃない」

 シトロン 「同感です。仮に科学に携わる者が犯人だとしたら、科学を愛する者として許せません」

 ユリーカ 「私も絶対に許さない! ……デデンネがメガシンカ出来るかもって言うなら、ちょっと気になるけどね」
 ▼ 214 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/13 01:50:00 ID:vrqDzWDs [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「今は警察の捜査を待ちましょう。一応、カロスのジムリーダーたちにも通達が来てて、何か気になることがあれば情報提供することになってるんです」

 サトシ 「そうなのか。……オレはまだ、そういう状況には遭ってないな」

 シトロン 「遭わない方が良いですよ。平和ってことですからね」

 サトシ 「確かにな」

 ユリーカ 「うん。平和が一番だよ」



サトシは座席に座り直して、一息つく。

いまシトロンから知らされた、野生ポケモンの遺伝子異常事件。

犯人の目的は分からないが、少なくとも1年以上前――、セレナが防衛戦に敗退した頃から起きているらしい。

しかし未だに、犯人は特定されていない。


野生ポケモンに対する虐待とも言える行為に、サトシは強い怒りを覚えた。

彼の性格やポケモンを好きな気持ちから、その怒りは当然のものだが、サトシは今、ジムリーダーという立場にいる。

チャレンジャーのバトルの腕前を評価することは勿論だが、こうしたポケモン絡みの事件の捜査に協力する面もあることから、2つの意味で、サトシは犯人を許せなかった。
 ▼ 215 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/13 01:55:00 ID:vrqDzWDs [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


夕食が片付けられ、機内の照明が少し落とされた。消灯時間と言うことだろう。


 シトロン 「さぁ、そろそろ寝ましょう。カロスまであと10時間ほどありますが、時差の関係で、到着は朝の4時半ですからね」

 サトシ 「うぉ朝早いんだな」

 ユリーカ 「でも いっぱい寝れるから大丈夫だよ。夜ごはん美味しかった、朝ごはんも楽しみだね」

 シトロン 「そうだね。……あ、サトシ。座面ポケットに、アイマスクと耳栓が入ってますよ」

 サトシ 「あぁ、サンキュー」

 シトロン 「それじゃあ、おやすみなさい」

 ユリーカ 「おやすみー」

 サトシ 「おやすみ。明日は よろしくな」



シトロンとユリーカは、耳栓とアイマスクを装着して、座席をリクライニングし、眠る体勢に入った。

しかしサトシは まだ眠くないようで、イヤホンを取り出し、座面モニターの機内エンターテイメントサービスを試してみることに。

音楽やショッピングには興味が無いようで、映画の項目を手元のリモコンで眺めてみたが、洋画ばかりで、サトシの知っているタイトルは ほとんど無かった。
 ▼ 216 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/13 02:00:30 ID:vrqDzWDs [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
結局サトシは、男子高校生と女子高校生の体が入れ替わってしまう、その当時大ヒットを喫したアニメ映画を見ることにした。


岐阜に彗星の破片が墜落して大惨事となる現実を、男女が協力して被害を最小限に食い止めるストーリーだが、なぜ女子と折り合いが悪かった彼女の父親が糸守に避難(訓練)指示を出したのか、当時は分からなかった。

しかし小説版を読んで納得、彼女の父親には、それなりの葛藤があったのである。

彼女の父親が、どのように彼女の母親と恋に落ち、結ばれ、そして、家を出て行ったのか。映画では語られなかった彼の内心は、非常に繊細なものだった。



そんな当時の記憶を呼び覚ましながら映画を流し見するサトシだが、不意に、服の袖が引っ張られた。



 ユリーカ 「ねぇサトシ……」

 サトシ 「ん……ユリーカ?」


サトシはイヤホンを外して隣を向く。

さっきまで眠る体勢だったユリーカは、アイマスクと耳栓を外して、静かにサトシを見つめていた。

シトロンは眠っているようで、どうやらユリーカは、兄が寝落ちるのを待っていたらしい。
 ▼ 217 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/13 02:04:00 ID:vrqDzWDs [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ユリーカ 「サトシ、冗談抜きにさ、お願い」

 サトシ 「どうした?」

 ユリーカ 「セレナのこと……、お願い。セレナのこと、ちゃんと元気付けてあげてね」

 サトシ 「あぁ、分かってるよ」

 ユリーカ 「私ね、セレナとは、ちょこちょこ会ってたの。セレナがホウエンから帰って来てから、ずっと」

 サトシ 「そうだったのか」

 ユリーカ 「それでね、セレナ、ホウエンで いっぱいパワーアップしてきたみたいで、はじめの頃はね、すっごい活き活きしてたの」

 サトシ 「うん」

 ユリーカ 「帰って来てすぐのポカロンは、エルさんに勝てなかったんだけど、次の年のポカロンで、セレナはエルさんに勝って、念願のカロスクイーンになれたんだ」

 サトシ 「あぁ。オレもニュースで知ったよ」

 ユリーカ 「セレナね、クイーンになれたのもそうだけど、サトシから花束を貰って、すっごい喜んでたよ。“今までで一番嬉しい花束だよ”って、花を枯れなくする肥料みたいなのも買って、最後まで大事に飾ってたし」

 サトシ 「そっか。そんなに大切にしてくれたんなら、オレも送った甲斐あったな」

 ユリーカ 「でね。セレナ、“これでサトシに誇れるんだ”って。“サトシに相応しい、魅力的な女性になれた”って、本当に嬉しそうにしてたの」

 サトシ 「セレナ……、そんなこと言ってくれてたのか」

 ユリーカ 「うん」
 ▼ 218 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/13 02:05:00 ID:vrqDzWDs [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「オレもさ、セレナに負けないようにって。セレナが夢を叶えたんだからオレも追いつこうって。そう思い続けて、ジムリーダーになれたんだよな。やっと一歩進んだよ。けど……」

 ユリーカ 「そのタイミングで、セレナ、防衛戦で負けちゃったんだよね……」

 サトシ 「あぁ。それでもセレナ、オレに お祝いしてくれて……。研究所でも言ったけど、複雑って言うか、セレナの気持ち考えたら、なんだか居た堪れないよな……」

 ユリーカ 「セレナ、ずっと元気ないの。近くに居ないと分からないと思うけど、本当にセレナ、ずっと落ち込んでるみたいで……、私、セレナのこと心配」

 サトシ 「そうだよな。セレナとユリーカ、姉妹みたいに仲良かったもんな」

 ユリーカ 「私が励ましても、セレナ全然変わらなくて……。もうサトシが励ますしか無いって思ってるの。だから私ね、同窓会に招待して貰えて、サトシをカロスに連れてきちゃおうって、お兄ちゃんには内緒だけど、考えてたんだ」

 サトシ 「そうだったのか」

 ユリーカ 「ごめんねサトシ。無理言っちゃって。それに……ありがとう」

 サトシ 「それを聞くのは、セレナを元気にさせてからだぜ?」

 ユリーカ 「……うん。そうだねっ」

 サトシ 「へへっ。オレに任せとけよ。……じゃあユリーカも早く寝た方が良いぞ。カントー来てトンボ帰りなんだし、疲れてるだろ?」

 ユリーカ (セレナがサトシを こんなに好きな理由、今なら私にも分かるかよ)

 サトシ 「ん?」

 ユリーカ 「なんでもない。おやすみなさい、サトシ」

 サトシ 「あぁ。おやすみユリーカ」
 ▼ 219 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/13 02:12:00 ID:vrqDzWDs [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ユリーカがアイマスクと耳栓を付け、再び眠りにつくのをサトシは見守って、意識を映画に戻した。



黄昏時、山の頂上の御神体で、時空を超えて対面した少年と少女。

2人は互いに名前を忘れないようにと、ペンで手のひらに名を書こうとしたが――、その瞬間、黄昏時は終わってしまう。

けれども、やることを悟った彼女は山を駆け下り、糸守の集落に急ぐが、勢い余って転んでしまい、そうして目を向けた手のひらには――、“好き”という文字。



  サトシ (好き……、か)


ユリーカの言葉を聞いて、サトシの頭に映画の内容は、ほとんど入って来なかった。

セレナは5年経った今でも、サトシのことを想い続けている。会うのを楽しみにしている。

そんな彼女が今、ポカロンの防衛戦で敗退し、カロスクイーンの座を奪われ、落ち込んでいる。思い詰めている。

サトシに相応しい女性になれたと喜んだ期間は、ものの1年足らずだった訳で、その後、サトシがジムリーダーと言う地位に就いたことからも、セレナが どれだけ落ち込んでいるかは、想像するに容易い。


  サトシ (オレだって、カロスクイーンのセレナに恥じないようにって、頑張って来たんだ。……でもそれって、オレもセレナのこと、好きってことなのかな)
 ▼ 220 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/13 02:13:00 ID:vrqDzWDs [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシにとって、セレナとの あのキスは、大きな出来事だった。

鈍感だった当時に考えていた意味合いとは全く別、異性に対する興味、知識が付いてきたからこそ、あのキスは、セレナを意識させずには いられなかった。


  サトシ (とにかく、これからセレナに会うんだ。セレナを励まして、久々に話して……、考えるのは、それからだな)


サトシはモニターの電源を落とすと、耳栓をはめて、座席をリクライニングさせた。


これから自分は、セレナに会う。

5年ぶりに、セレナと顔を合わせる。

けれど そのセレナは、防衛戦の敗退で、思い詰めている。

もしかすると、パフォーマンスがスランプになっている可能性もある。


そう考えると、サトシの中で、早くセレナに会いたいと言う感情が大きくなっていく。

あれだけ強いセレナが、ユリーカが言うほど落ち込んでいるというのは、サトシが想像している以上に、深刻なことなのかもしれない。



  サトシ (セレナ……)



そうして いつの間にか、サトシは眠りに落ちていた。



セレナとの再会まで、あと数時間――。



 ▼ 221 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/13 02:14:00 ID:vrqDzWDs [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 続きは後日。


 ▼ 222 カシャモ@4ごうしつのカギ 17/09/13 07:46:31 ID:pacEvPcU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 223 ハコモリ@すいせいのかけら 17/09/13 08:04:05 ID:LJvhFToA NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
危うく君の名はのネタバレを読みそうになって飛ばした。あぶねえあぶねえ
 ▼ 224 ビィ@ピントレンズ 17/09/13 16:06:20 ID:TpwgKObo NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 225 クレオン@こだわりハチマキ 17/09/16 14:47:08 ID:.dhGQnC6 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 226 ザード@アクアスーツ 17/09/17 10:02:58 ID:Ylb./ZHo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 227 メルゴン@どくのジュエル 17/09/17 10:56:50 ID:hAvkC06A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 228 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/17 22:00:00 ID:oW5ADsyo [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


翌日、午前5時。



 サトシ 「着いたー! 懐かしのカロス地方!」

 ユリーカ 「私たちは1日ぶりだね」

 シトロン 「時差を考えると1日も経ってないけどね」


サトシたちを乗せた飛行機は、無事にカロスに下り立った。

手続きと荷物回収を済ませても、まだ朝の5時。空港なので人の動きは活発だが、まだまだ街は眠っている時間だ。


 シトロン 「とりあえず、僕たちの家に行きましょう。セレナと会うのは、もう少し時間を置いてからでないと」

 サトシ 「そうだな。……あ、でもこんな朝早くから行くの、リモーネさんに悪いよ」

 ユリーカ 「大丈夫。パパは今ね、電気工事の大きい仕事があるからって、家に居ないんだ」

 サトシ 「そうなのか?」

 シトロン 「えぇ。仕事場はミアレ市内なんですけど、規模が大きい工事なので、1週間くらい、現地で寝泊まりしてるんですよ」

 サトシ 「そうなのか。大変だな」

 ユリーカ 「だから遠慮いらないよサトシ」

 サトシ 「サンキュー。じゃあ、ちょっと お邪魔させて貰うぜ」
 ▼ 229 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/17 22:10:10 ID:oW5ADsyo [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


シトロンの家に着いたサトシたちは、ひとまずテレビを付け、リビングで寛ぐ。

他愛の無い会話、旅をしてた頃の話や、ミアレジムの話など、現地に着いてからも、久しぶりの再会であれば話題は尽きない。

そうこうしているうちに、時刻は9時をまわる。



 ユリーカ 「……じゃあ、そろそろ行こうよ」

 シトロン 「そうだね」

 サトシ 「いよいよセレナと会えるんだな」



前日、飛行機に乗る前、ユリーカはセレナと連絡を取っていたらしい。


もともとユリーカは、この日、同窓会でサトシに会いに行くことを、セレナに伝えていた。

例の理由でセレナは同窓会への参加を見送ってしまったようだが、彼女にとって、サトシの近況は、とても気になることだろう。

そこでユリーカは、“カントーのお土産と、サトシに関する土産話”を渡す名目で、セレナに会う約束を取り付けていたのだ。


それが今日、これから。
 ▼ 230 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/17 22:20:31 ID:oW5ADsyo [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「まさか こうやってカロスで4人集まるなんて、考えてもみなかったなぁ」

 シトロン 「サトシもジムが忙しいですからね」

 サトシ 「あ、ミアレジムの視察って名目だから、ちょっとはジムにも行かないとな」

 シトロン 「そうですね」

 ユリーカ 「でもでも、サトシはミアレジムに挑戦したことあるんだから、ちょっと見れば分かるでしょ? セレナとの時間を大切にしないと!」

 サトシ 「あぁ。……4人で旅した時の話で盛り上がりたいけど、まずはセレナを元気付けないとな」

 シトロン 「はい。そのためにサトシが一緒なんですから」

 ユリーカ 「」 ニヤッ


 サトシ 「それで……、セレナが ここに来るのか?」

 ユリーカ 「ううん。カフェで待ち合わせしてるんだ」

 サトシ 「カフェか。有名なところなのか?」

 シトロン 「有名では無いですが、隠れた名店だと思いますよ。リリアさんと一緒に行ったんですけど、そこのカフェラテが絶品でしたから」

 ユリーカ 「セレナって元カロスクイーンだから、人目を気にするみたいなの。だから、あんまり有名なお店より、知られてない所の方が良いかなって」

 サトシ 「あぁ、確かにそうだよな」

 シトロン 「僕たちが行った時は貸切状態でしたから、今日も この時間なら誰も居ませんよ」

 サトシ 「そっか。なら安心だな」

 ユリーカ 「ふふっ。ジムリーダーが2人と、元カロスクイーンが来るなんて、お店の人もビックリしちゃうね」

 シトロン 「そうだね。けど、マスターも その辺は分かってるみたいだから、普通に接してくれると思うよ」

 サトシ 「それじゃあ早く行こうぜ、そのカフェに!」
 ▼ 231 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/17 22:30:00 ID:oW5ADsyo [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


シトロンの家を出て、タクシーを走らすこと約10分。

メインの通りから路地を入って しばらく。ビルの一角に、そのカフェは あった。


植木とプランターに囲まれた、見落としてしまいそうな入口。

そこに大きな看板は無く、木目調のドアのガラスに、コーヒーカップが描かれただけの店。

シトロンが“隠れた名店”と言ったことも頷ける、ひっそりと佇むカフェだった。


 サトシ 「ここか」

 シトロン 「はい。雰囲気出てると思いませんか?」

 サトシ 「あぁ。よくこんなとこ見つけたな」

 ユリーカ 「ホント。お兄ちゃんね、リリアさんと お付き合い始めてから、急に こういうとこマメになったんだよ」

 シトロン 「そりゃぁ、男として良いとこ見せたいですし」

 ユリーカ 「サトシ。ここだけは お兄ちゃん見習わなきゅダメだよ?」

 シトロン 「“ここだけ”は無いだろユリーカ」

 ユリーカ 「ふふ〜ん。……あ、そうだサトシ。入る前に、ちょっと良い?」
 ▼ 232 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/17 22:40:00 ID:oW5ADsyo [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「どうした?」

 ユリーカ 「セレナにはね、カントーの お土産を持って行くって伝えてあるの。……セレナのことだから、お土産よりサトシに会った感想の方を楽しみにしてると思うけどね」

 サトシ 「あぁ」

 ユリーカ 「でもユリーカ、カントーの お土産、買ってないんだ」

 サトシ 「そっか。2人はトンボ返りだったもんな」

 ユリーカ 「だからサトシ。カフェに入ったら、そ〜っとセレナに近付いて、驚かしちゃおうよ」

 サトシ 「驚かす……。うーん、アリっちゃアリだけど、落ち込んでるセレナに対して、いきなり驚かすのは……」

 ユリーカ 「別に“わっ!”とか そういう驚かし方じゃないよ。 “振り向いたらサトシが居た”って、最高のサプライズだと思わない?」

 シトロン 「なるほど。それがユリーカの考える“お土産”ですか」

 ユリーカ 「そういうことっ」

 サトシ 「へへっ。良いぜ、ユリーカのシナリオに任せるよ」

 ユリーカ 「ありがとう。それじゃあ、サトシはセレナに○○○して、私が…………」



 シトロン 「これはセレナの反応が楽しみですね」


 ▼ 233 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/17 22:50:11 ID:oW5ADsyo [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
入口のドアを開ける。

外観の割に、中は そこそこの広さがある。カウンターが5席と、テーブル席が4セット。

テーブルの間には観葉植物が置かれていて、ちょっとした個室のような雰囲気もある。ある意味“お忍び”に もってこいだ。


正面のカウンターで、白髪のマスターがコーヒーカップを磨いていた。

マスターは、サトシたちと一瞬だけ目を合わせると、優しそうな表情で会釈し、またコーヒーカップに手を戻した。

決して不愛想とかでは無く、極力干渉しないと言うか、“客のプライバシーを大切にします”と語っているようだった。



そして、観葉植物に囲まれた、一番奥のテーブル席。

こちらに背を向けて座っている、1人の少女。


 サトシ (セレナ!)


思わず声が出そうになったところを、サトシはグッと抑える。サプライズが台無しになるところだった。

ユリーカがニヤリと笑みを浮かべ、そっとセレナに近付く。


サトシもユリーカに続く。


そして作戦通り、セレナの背後から手を伸ばして、彼女を目隠しした。
 ▼ 234 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/17 22:55:55 ID:oW5ADsyo [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ぇっ!?」


一瞬ビクッとするセレナだが、すぐにユリーカがフォローを入れた。


 ユリーカ 「だ〜れだ?」

 セレナ 「……ふふっ。も〜」


あぁ、これじゃあ、まさか自分が後ろに居るとは思わないだろうな――とサトシは思う。

そして、これから振り向くであろうセレナを、どんな表情で迎えればいいか、少し考え、けれど、あの頃と同じが一番だと気付き、ユリーカと目配せした。



 セレナ 「お帰りユリーカ。サトシの同窓会、楽しかっ――」


サトシの手を するりと抜けて振り向いたセレナは、硬直した。

人間は本当に驚いた時、思わず動けなくなるんだと、その時サトシは実感した。


 ユリーカ 「セレナ、約束通り、“お土産”持ってきたよっ」 ニヤニヤ

 シトロン 「いやぁ、どんなお土産が良いか、悩みましたもんね〜」 ニヤニヤ


棒読み感がワザとらしいなとサトシは思ったが、久しぶりに対面したセレナの前では、そんな茶番なんて どうでもいい。

彼女の姿を目にしたサトシの中に、様々な感情が溢れ出て来ているからだ。
 ▼ 235 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/17 22:59:00 ID:oW5ADsyo [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ (セレナ、大人っぽくなってる……)


声のトーンは、5年前と変わらない。

綺麗な金髪も、5年前と変わらないショートボブ。ただ、1年前カロスクイーンになった時はロングヘアだったので、最近になって切ったのだろう。

顔はと言うと、サトシの第一印象は、“大人っぽい雰囲気”。

幼さは薄れたが、ふわっとした可愛らしさは当時の面影を残し、艶のある頬は、何とも言えない色っぽさを出している。





それはもう、間違いなく、“魅力的な女性”だった。





 セレナ 「ぇっ……ぁっ、うそっ……サトシ……?」


 サトシ 「あぁ。久しぶりだな、セレナっ!」





   ― 続く ―


 ▼ 236 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/09/17 23:00:00 ID:oW5ADsyo [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


これにて当SSは完結です。

これまでのご支援、ご感想、ありがとうございました。


続きはセレナ視点の別スレへと移行します。

そのスレ立ては、また後日。


立てたら こちらでも報告します。
 ▼ 237 マサラ人3◆etyxjFp636 17/09/17 23:13:29 ID:M1atyMuk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>236

乙です!

続き楽しみにしてます。
 ▼ 238 ッコアラ@ホズのみ 17/09/17 23:14:48 ID:8.wWxlo6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>236
乙です!
続きが気になります!
 ▼ 239 ルット@そうこのかぎ 17/09/17 23:16:49 ID:fzlBWIl. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>236
乙!
 ▼ 240 ャオブー@にがいきのみ 17/09/18 01:06:31 ID:c2guRlU. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です!
続きも待ってます!
 ▼ 241 マンボウ@メンタルハーブ 17/09/18 09:54:12 ID:SibM9gME NGネーム登録 NGID登録 報告
おつかれ
 ▼ 242 リンリキ@すいせいのかけら 17/09/18 09:59:11 ID:LiWGiviM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!
 ▼ 243 オップ@いでんしのくさび 17/09/18 12:16:56 ID:c/UelBaE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!
 ▼ 244 ンカラス@しんかのきせき 17/09/23 00:02:18 ID:msJW.iJI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 245 ツケラ@ペアチケット 17/10/12 14:45:19 ID:mRwrhSlY NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
過去の作品読み返して思ったんだけど
18歳サトセレ、ジムリーダーと元カロスクイーン、サトシの雑誌ランキング、シトロンに恋人……など
この話で再会した夜の出来事が
セレナ(18)「初めては、サトシと……///」これになるのかな

当時あらすじと【 4 】から始まって「んっ?これの前の話なんだ」って思ってたから、もしそうだとしたら次回作でその部分が明らかになりそうだし、夜の出来事の続きも気になってたからそれも楽しみ。いったいどこまでストーリーを練り上げているのか……凄すぎです
違ってたらごめんなさい
 ▼ 246 クライ@タラプのみ 17/10/13 17:36:23 ID:OnrB/M6. NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
めちゃめちゃ面白くて一気読みした
素晴らしい作品をありがとう!
 ▼ 247 ガリザードンX@ダイブボール 17/10/14 00:09:15 ID:zoPlFNzI NGネーム登録 NGID登録 報告
>>245
なにそれ凄い
 ▼ 248 ッタ@ライブスーツ 17/10/14 10:55:45 ID:.uZZXQUs NGネーム登録 NGID登録 報告
次のスレはどこロト?
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