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SS

レッド「メガシンカ……か……」ミヅキ「余っちゃった」

 ▼ 193 チルゼル@ヘビーボール 18/02/09 06:57:51 ID:dX4hF0ds NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 194 アコイル@たまむしプレート 18/02/12 09:31:42 ID:2ABMmeUY NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 195 レビィ@キズぐすり 18/02/17 10:23:34 ID:5pEhTFJM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
上げ支援
 ▼ 196 ュレム@なんでもなおし 18/02/18 17:39:04 ID:l62EMHOk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 197 ンクルス@ライトストーン 18/02/24 22:17:33 ID:mRUzdkiU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
鰤鴛
 ▼ 198 ォレトス@あまいミツ 18/02/25 09:35:58 ID:MZTEPVFM NGネーム登録 NGID登録 報告
シェーーン!!
 ▼ 199 ンドラー@ブロムヘキシン 18/02/27 08:19:31 ID:GOA0Lvtg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援えん
 ▼ 200 ゲキッス@おいしいシッポ 18/03/03 14:04:24 ID:ehJGoLhE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 201 ァイアロー@のんきのおこう 18/03/17 23:27:01 ID:SMhRxHn6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 202 ージュラ@サイコソーダ 18/03/17 23:54:38 ID:o.X3psRE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援

○〜
 ▼ 203 ノクラゲ@するどいくちばし 18/03/24 17:13:24 ID:qG2YlcZ. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 204 ーバーン@4ごうしつのカギ 18/04/06 17:09:56 ID:9v3ySavM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 205 ルディオ@ペアチケット 18/04/13 23:35:34 ID:jXuLcGJ2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 206 クリン@ムーンボール 18/04/13 23:38:35 ID:jXuLcGJ2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
帰ってきませんね…
 ▼ 207 ルガー@リバティチケット 18/04/18 19:54:58 ID:/.XZh0oU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まぁモチベ保つのキツイか…
いい作品だったんだがなぁ…
 ▼ 208 ドラ@おうえんポン 18/04/28 22:53:37 ID:5CmGOPxw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえ
 ▼ 209 ラス@あおぼんぐり 18/05/02 23:56:34 ID:Vg0WCxSo NGネーム登録 NGID登録 報告
逃げたかな?
 ▼ 210 イボルト@ぎんのはっぱ 18/05/06 01:46:05 ID:HcMAiMn. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 211 ゾノクサ@ねっこのカセキ 18/05/12 20:42:51 ID:8f5Hr6eg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
してん
 ▼ 212 ロデスナ@ザロクのみ 18/05/12 20:45:56 ID:yzPWdJKc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これ最近見ねぇなぁと思ったら未完で終わりそうだったのか…
 ▼ 213 マージョ@パイルのみ 18/05/20 01:14:46 ID:KMwwJxCE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 214 イクン@ユキノオナイト 18/05/20 20:10:22 ID:wdSA0P9s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しっかりと完結させて、どうぞ
 ▼ 215 ワムラー@シルフスコープ 18/05/24 22:35:47 ID:DI5Z0QRc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
最後に書いたの1月なのか…
 ▼ 216 mTQB7XkZdk 18/05/31 19:50:20 ID:iknRLcHY [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「るなぁぁっ」

ルナアーラはミアレを照らす月光を浴びて、気持ち良さそうに飛行を楽しんでいる。

もしもこの光景が誰かの目につくようなことがあれば、即ネットニュースのトップにドドンと掲載されることになるだろう。

伝説の、それも他地方のポケモンが出現したということが判明すれば、街中が大騒ぎだ。

が、そんな懸念も一瞬にして忘却されてしまう。

なぜなら、今ゴールドの目の前で起こっていることは、その不安にも勝る感動の瞬間だったからだ。

彼の瞳が、ルナアーラの放つ神秘の光によって潤んでいく。

他の生物を超越する、伝説と唱われしポケモンとの出逢いは、ゴールドの人生にとって最高峰の一つに数えられる記憶となった。

「今回、ルナアーラは出場出来なかったんだ」

「伝説のポケモンはダメって言われちゃって」

「あー……」

伝説のポケモンは、強大すぎる力を持つゆえ、大会のパワーバランスという名の秩序を乱す一因になりかねない。

そういった理由によって、伝説のポケモンの参加が不可能となっている大会は実際数多くある。

PWTもその内の一つというわけだ。
 ▼ 217 mTQB7XkZdk 18/05/31 19:50:53 ID:iknRLcHY [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「でも、私達の心はいつだって一つ!」

「参加こそできなくても、ルナアーラはちゃんと私と一緒に戦ってくれているんだよっ!」

それでもミヅキは、ルナアーラとの共闘を諦めてはいない。

二人の心同士で繋がっている絆を、ミヅキは信じている。

「……そうですか」

「良いですね、そういうの」

ルナアーラを想うミヅキの純粋な言葉に、ゴールドは心を突き動かされ、無意識に微笑んでしまう。

「ゴー君も、きっとルナアーラと仲良くなれるよ!」

「おーい、おいでよルナアーラ!私の新しい友達を紹介するからさー!」

「るなぁ!」

ミヅキに呼ばれたルナアーラは、威厳あるべき伝説のポケモンとは思えぬ程に無垢な笑顔で反応して、直ちにミヅキのもとへと飛んできた。

そしてゴールドは、接近してきたルナアーラに思わず圧倒され、驚きと同時に少し怯えたような仕草をしてしまう。

近くで見てみるとやはりもの凄い迫力だ、と。

ルナアーラは全体的に見ると、まるで三日月のような形の翼を持っている。

近くに寄ってきたルナアーラの体を、ゴールドは暫く夢中になって眺めた。
 ▼ 218 mTQB7XkZdk 18/05/31 19:52:09 ID:iknRLcHY [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ルナアーラが持つ数々の特異な外見的特徴の中でも、一際ゴールドの目を引いたのは、ルナアーラの頭部にある、まるで宇宙空間の星々ような不思議な模様だった。

その模様は、よおく見てみると少しずつ動いている。

ゴールドはそれをじっと観察し続けてみた。

すると、まるで本物の宇宙に吸い込まれたかのような感覚を彼は覚える。

無限に広がる紫の空。

あまねく煌めく星に見惚れてしまった彼は、数秒ほどその幻惑の中に幽閉された。

やがてハッと気づいた時、ゴールドは見慣れた地上の景色に何となく安堵する。

そんなゴールドの少しぎこちない様子を見て、ルナアーラはクスクスと笑った。

「るなるなぁ!」

「ははっ」

この瞬間ゴールドは思った。

伝説とは言っても、普通のポケモンとは全くの別次元ということは無いと。

こうしてルナアーラが普通に笑っているところを見ると、そこに壁なんて無いんだなと感じる。

ゴールドも、これまでの旅で色々な伝説のポケモンを見てきたが、これ程表情が豊かなのはルナアーラをおいて他にはいない。

ゴールドは何となく嬉しかった。

こうして自分と関わりを持つことによって、伝説と言われるポケモンがこんなにも喜んでくれたことに。

彼はそのルナアーラの無邪気な姿に、とても励まされた。
 ▼ 219 mTQB7XkZdk 18/05/31 19:53:22 ID:iknRLcHY [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「僕はゴールドっていうんだ」

「よろしくね、ルナアーラ」

「るなぁ!」

ゴールドとルナアーラの邂逅を横から眺めていたミヅキは、嬉しさからかニコッと笑う。

アローラ代表の面々は、和やかな時間を過ごしたのだった。

明日に迫った決勝戦を前に、多少暢気ではあるかもしれないが、最後の息抜きという意味では充実の一時だったと言える。

そして彼らは月明かりに誓うのだった。

明日の聖戦に勝利し、世界最強の座を勝ち取ってみせると。

月輪の化身たるルナアーラは、そんなやる気に満ちた二人を見て、彼らが大いなる戦果を残すことを確信する。

世紀の決戦の日は近い。

…………

……

「コルニ」

「んっ?」

ホテルの部屋で、レッドがコルニに声をかける。

反応したコルニは、それまで見ていたテレビ番組のボリュームをリモコン操作で下げてから、彼の話に耳を傾けた。
 ▼ 220 mTQB7XkZdk 18/05/31 19:53:57 ID:iknRLcHY [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「良かったら、今から練習がてらポケモンバトルをしないか?」

「最後の試合の前に、もう一度だけコルニのルカリオと戦っておきたいんだ」

既に夜遅くの時刻ではあるが、それはレッドからコルニへの練習試合の申し込みであった。

突然の誘いにコルニは少し驚いたものの、他ならぬレッドの頼みであるからか、すぐにテレビの電源を落として立ち上がり、こう言った。

「良いよ!アタシも、今のレッドと全力で戦ってみたい!」

「決まりだな」

レッドの誘いを快諾したコルニ。

戦意高ぶる二人は部屋を後にし、ホテルの外の敷地に設けられているバトルスペースへと移動した。

…………

……

ホテルのバトルスペースもまた、ポケモンが戦うにはうってつけの広さと平坦さを兼ね備えている。

更に整備も十分行き届いていて、缶やタバコなどのゴミは一切無い。

この戦場ならば思う存分戦うことがてきる。

そして、レッドとコルニは既に、お互いの全力をここでぶつけ合っていた。

「リザードン、“かえんほうしゃ”!」

「ルカリオ、“インファイト”!!」
 ▼ 221 クリン@ミックスオレ 18/05/31 20:09:24 ID:8O22QriM NGネーム登録 NGID登録 報告
おお!
更新されてる!?
 ▼ 222 クーダ@りゅうのウロコ 18/06/01 22:18:18 ID:uiGa9bqA NGネーム登録 NGID登録 報告
待ってたァ!
 ▼ 223 mTQB7XkZdk 18/06/02 00:50:10 ID:rmyqOpLQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
メガシンカしたリザードンとルカリオが、それぞれ死力を尽くして体力を削り合っている。

メガリザードンYの特性“ひでり”によって、夜であるにも関わらず小さな太陽が戦場を熱く照らしていた。

そんな灼熱地獄の中、リザードンはこの環境を追い風にして炎の技でルカリオを攻め立てる。

火竜の怒涛の猛攻に、ルカリオも負けじと不屈の心で立ち向かった。

月光のもとで激昂を続ける両者が繰り広げる死闘。

リザードンもルカリオも、共に旅を続けていく中でこんなにも成長していた。

少なくとも、この戦いに割って入れる者は世界でもそうはいないと言える程に。

レッドもコルニもはじめは練習試合のつもりだったが、想像以上に“ムキになった”二匹を見ていたら自然と昂ぶってしまったようで。

「負けるなリザードン!」

「そこだっ!いけぇルカリオッ!」

いつの間にか、凄まじく熱量が上がってしまっていた。

そして……。

「グォォォォッ!!」

「くわぁっ……!?」

リザードンの火炎の咆哮が轟いた瞬間、ルカリオの鋼鉄の肉体が爆風によって吹き飛んだ。

「くわぁぁっ!?」
 ▼ 224 mTQB7XkZdk 18/06/02 00:50:49 ID:rmyqOpLQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
あまりにもヒートアップし過ぎて放たれたリザードンの渾身の一撃。

常を超えた威力の“オーバーヒート”が、この熾烈なる勝負にピリオドをうった。

「くわぁ……」

「ルカリオっ……あちゃあ。負けちゃったか」

「ありがと!ゆっくり休んでね」

気絶したルカリオに声かけをしながら、敗北したコルニは彼をボールに戻す。

金の髪をわしゃわしゃと搔き、参ったといった感じの表情を浮かべた。

そして、勝利したレッドもまた、リザードンをボールに戻し、コルニのもとへと駆け寄る。

「ありがとうコルニ」

「こんな夜遅くに付き合わせちゃってごめん」

「えへへ、レッドの頼みならこれくらいなんてことないよ」

「アタシの方こそ、ルカリオの良い経験になって感謝してるんだしさ」

試合の後、礼を交わした二人はホテルに戻るため歩みを始める。

その帰路の途中でコルニはふと思い立ち、レッドに聞いた。

どうして、さっき急にバトルしようなんて言い出したのかと。
 ▼ 225 ガサーナイト@たてのカセキ 18/06/02 00:50:58 ID:rL72OhLU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 226 mTQB7XkZdk 18/06/02 00:51:18 ID:rmyqOpLQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
するとレッドはこう答えた。

“明日の答えを見つけるため”だと。

そして、その答えは見つかったとも言った。

「答え……?」

「うん」

「これで俺達は明日……勝つことができる」

発見したその答えがあれば、明日の勝利は確実。

レッドはそう断言したのだった。

また、次に彼はこのように言い放つ。

「コルニ」

「さっきの君とのバトルは……本当に“面白かった”」

満面の笑みで、面白かったと口にしたレッド。

コルニは彼の笑顔に思わず胸がときめき、心臓を踊らせた……が。

(……レッド……?)

彼女は同時に、彼のその“面白かった”という言葉には隠された意味があることを悟る。
 ▼ 227 mTQB7XkZdk 18/06/02 00:52:25 ID:rmyqOpLQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
その意味が何なのかは分からない。だが……。

……その隠された意味こそが、つまりレッドの言っていた答えとやらなのではないか、と、コルニは推測した。

…………

……

……翌日のPWT会場は、最高潮の盛り上がりを見せていた。

来場者数はここ数日の中で最多を既に記録しており、快晴という天候もあって凄まじい熱気が観客席を覆っている。

人々の汗と声が交錯する中、コルニとルカリオ、ズミ、セレナはそれぞれの想いを胸に、この最後の決戦を見届けるべく席について時を待っていた。

「……やっぱりセレナさんも、カルムのことが気になるんだね」

「何だかんだ言ってもね、……はぁ」

一度は決別したとはいえ、かつての恋人の晴れ舞台となれば気をかけてしまうものなのか、セレナは憂鬱そうにしながらもカルムの登場を待ちわびている。

「ズミさんも、今まで散々好き放題言ってたけど、結局は見に来るんですね〜?」

「……それが何か?」

「べっつにぃ」

そして、ズミに対しては皮肉を込めまくった言い方で挑発的に喋るコルニ。

これまでの会話で彼女にすっかり反感を買われてしまったズミ、しかし当の彼には悪びれている様子はほとんど無い。
 ▼ 228 mTQB7XkZdk 18/06/02 00:52:59 ID:rmyqOpLQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
相変わらずのプライドの高さにふくれた様子を見せるコルニ、だが最後くらいは気持ちよく観戦したいという思いもあるため、これ以上は彼に話しかけなかった。

「……皆様、大変長らくお待たせいたしました!」

「間もなく、PWT決勝戦――」

「――カロスvsアローラの試合が始まります!」

大会進行役の意気揚々とした声が、会場にて響き渡る。

そして瞬間、それをも遥かに凌駕する音量の歓声が巨獣の咆哮のように大気を揺るがしながら轟いた。

だが、これから始まる戦いはこれすらも上回る迫力の激闘となるだろう。

その地方を代表して出場した最強のポケモン同士のぶつかり合い、それはまさしく究極のバトル。

ここまでの激戦を勝ち上がってきた猛者達は今ここに集う。

そして、世界最強を賭けた決戦に満を持して臨む。

アローラとカロス、勝つのはどちらになるのか。

…………

……

「さてさて、準備はいいか?レッド」

「勿論」
 ▼ 229 mTQB7XkZdk 18/06/03 23:59:05 ID:7jb1doXM NGネーム登録 NGID登録 報告
メガシンカしたリザードンとルカリオが、それぞれ死力を尽くして体力を削り合っている。

メガリザードンYの特性“ひでり”によって、夜であるにも関わらず小さな太陽が戦場を熱く照らしていた。

そんな灼熱地獄の中、リザードンはこの環境を追い風にして炎の技でルカリオを攻め立てる。

火竜の怒涛の猛攻に、ルカリオも負けじと不屈の心で立ち向かった。

月光のもとで激昂を続ける両者が繰り広げる死闘。

リザードンもルカリオも、共に旅を続けていく中でこんなにも成長していた。

少なくとも、この戦いに割って入れる者は世界でもそうはいないと言える程に。

レッドもコルニもはじめは練習試合のつもりだったが、想像以上に“ムキになった”二匹を見ていたら自然と昂ぶってしまったようで。

「負けるなリザードン!」

「そこだっ!いけぇルカリオッ!」

いつの間にか、凄まじく熱量が上がってしまっていた。

そして……。

「グォォォォッ!!」

「くわぁっ……!?」

リザードンの火炎の咆哮が轟いた瞬間、ルカリオの鋼鉄の肉体が爆風によって吹き飛んだ。
 ▼ 230 mTQB7XkZdk 18/06/04 00:03:09 ID:MYv2ZEg. [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ミスしました。申し訳ありません。

試合前の最後の調整を終えた二人は、早速バトルフィールドへと足を進める。

一方、二人が歩むその先では、アローラ代表が一足早く準備を完了して戦いの時を待っていた。

レッドはゴールドの姿を確認すると、そこで一旦足を止める。

そしてじっと目を細め、ゴールドを見つめた。

レッドは過去にゴールドとシロガネ山で戦った経歴を持つ。

だがこの時レッドは思うのだった。

今そこに立っている彼は、昔戦ったその人物とは見違えてしまうくらいの強者になっていると。

あの時から既にゴールドはレッドをも超える力を有していたが、更にかなり腕を上げているのがレッドには一目瞭然だった。

今の彼にはもはや、かつての挑戦者だった時の面影はなく、あるのは立ちはだかる者が如く風格である。

今となってはむしろ、レッドの方が挑戦者なのだろう。

原点は現在、頂点にあらず。

レッドは今改めて悟るのだった。

この戦いこそが、自らが真に最強の名を取り戻すための、またとない機会なのだと。

一方でゴールドもまた、自らの視界で立ち止まるレッドを見て思う。
 ▼ 231 mTQB7XkZdk 18/06/04 00:03:45 ID:MYv2ZEg. [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
(レッドさん……この大会をここまで勝ち上がるなんて)

(やはりあの人はとんでもないポケモントレーナーだ)

ゴールドは、最初にレッドと再会したとき、実はそこまで感動を覚えなかった。

なぜなら、いくらかつての強敵だったとはいえ、自分が一度勝った相手だったからだ。

かなりの実力者であったことは記憶しているものの、レッドとの戦いにはそれなりに自信があった。

だが、これまでのレッドとカルムの戦いぶりを見てきたゴールドの心には、既にそれまでの余裕は無くなっていた。

互いが互いを最強の相手と認め合った瞬間は刹那に過ぎ去り、二人の目線は交差して離れる。

各々の定位置につき、自らがこの日のために鍛え、選び抜いたポケモンが入ったモンスターボールを構える。

そして、レッドの隣に立つカルムも、この試合にかける自身の想いに胸を昂ぶらせていた。

(ついにこの時が来た)

(あの時レッドをスカウトして本当に正解だったと、今なら胸を張って思える)

(最強のパートナーと共に、最強のライバルに戦いを挑むんだ)

カルムの胸に募るのは、至高の誇り。

カロス地方のチャンピオンは今、レッドとの出逢いに心から感謝する。

今日まで共に戦ってきたレッドとの絆を、そして、ポケモンとの愛を信じて、カロスに住む人々の希望と期待を背負い。

若くして彼は、多くの者の願いをその身に宿す。
 ▼ 232 mTQB7XkZdk 18/06/04 00:04:17 ID:MYv2ZEg. [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
だが、そんな彼はその重みに挫けることはない。

なぜなら、芯まで信頼をおける仲間がいるから。

情熱を注ぎ合える友ができたから。

カロスの王たるカルムを縛り付けるモノは何もない。

――そして、無論彼女も。

(ゴー君やポケモン達と一緒にここまで来れたこと、本当に嬉しいな)

(後はこれで勝てれば、きっと最高だよね)

(レッドさんもカルムさんもかなりの強敵だけど……私達には敵わない)

(この勝負……最後に勝つのは私達だ!)

アローラ地方初代チャンピオン・ミヅキは、パートナーのゴールドとの間に芽生えた友情と、これまで培ってきたポケモン達との信頼関係を噛み締めながらこの試合に臨む。

彼女もまた、カルムと同じようにチャンピオンとして大勢の人々の“勝ちたい”という気持ちを背負っている。

それも、“初代”という重大な肩書きを付け加えられてだ。

アローラ地方にとってミヅキは、偉業を成し遂げてもらうべき存在なのだ。

そしてミヅキはその為に、ここまで勝利を積み重ねてきた。

現に彼女は初代の名に恥じない卓越した実力でカントーの選手を下した。
 ▼ 233 mTQB7XkZdk 18/06/04 00:04:55 ID:MYv2ZEg. [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
柔和な雰囲気に隠した知能と闘志は未だ未知数。

彼女を含めた計四人の眼前には既に、勝利の杯がある。

それを手に取るのは果たしてどちらのチームか。

女神に微笑まれるか、はたまた見捨てられるか。

負けた者が汚泥を舐める。

勝った者が栄光を手にする。

それが、弱肉強食たる自然の掟。

頂点をめぐる究極のサバイバルバトルの果てに、ついに彼らは雌雄を決する。

四人の「いけっ!」という声の後。

それぞれが望みを託したポケモン達が一斉に飛び出す。

カロス代表の二人は。

「ピカチュウ!」

「ゲッコウガ!」

疾走せし雷電“ピカチュウ”と、水面の忍者“ゲッコウガ”。

「ピカァッ!」

「ゲロッ!」
 ▼ 234 mTQB7XkZdk 18/06/04 00:05:22 ID:MYv2ZEg. [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
どちらも、速度の能力がずば抜けて高いポケモンだ。

並のポケモンでは攻撃を当てることはおろか、目でその姿を追うことすら難しいだろう。

レッドとカルム、それぞれの敏腕トレーナーのもとで練り上げられた技はその塾度によって真価を発揮する。

そして、対するアローラ代表の二人は……。

「“メガヤンマ”!」

「“ジュナイパー”!」

……まるで薄暗い森を彷彿とさせるような、深緑の狩人達を繰り出す。

片方は、時を過ごす毎に飛行速度を増す、蜻蛉のような姿をしたポケモン“メガヤンマ”。

原始の力を得た“ヤンヤンマ”というポケモンが進化して辿り着く境地であり、その実力は、年月の経過によって失われた能力を全て取り戻したことにより、ヤンヤンマの頃とは見違えるように強くなっている。

そしてもう片方は、森の奥深くにて獲物を狩猟する、影の暗殺者……“ジュナイパー”。

音を、気配を、感情を、全て消して放つ彼の弓矢の如く羽の一閃は、影を縫って敵を貫く。

彼は、ミヅキがアローラで最初に手にしたポケモンであり、今日まで彼女と共に育んできた彼女との絆は誰よりも強い。

古くから共に戦い、共に成長してきたミヅキとジュナイパー。

二人が切り拓くのは、二人がまだ見ぬ世界。

レッドとカルムに挑戦することによって、その世界に飛び込む。
 ▼ 235 ヤ顔イーブイ 18/06/04 00:12:30 ID:NwHYLbrY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
 ▼ 236 mTQB7XkZdk 18/06/05 00:11:49 ID:OQ7Vrtg2 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
彼女達がやりたいように。

彼女達の思うがままに。

「さぁ!決勝戦に相応しいエンバイロメントを制定致しましょう!」

PWTでは慣習のエンバイロメントシステムが、実況の声によって作動する。

バトルスタジアムの無機質なコンクリートの床は、白い煙に包まれて一旦その姿を消し。

軽い地面の揺れを伴って、戦場は姿形を変えていく。

これまでは天候が深く関係したバトルフィールドだったが、霰、雨、砂嵐、晴れときて、未使用の天候はもう無い。

いや、厳密に言えば無いことも無いのだが、後残っているのは、伝説のポケモンのみが巻き起こせるという、天候というよりはもはや災害に近い事象のみだ。

なので、これから制定されるエンバイロメントの全容は誰にも予測不可能。

皆が息を呑んでその不確定の戦場が現れるのを待つ。

そして……立ち込めていた煙がついに消え去った。

観客達が目を見開いて、眼下の景色を刮目する。

すると彼らの目に映ったのは……至ってフラットな空間だった。

だが、それでいてどことなく荘厳な雰囲気を感じさせる。

紫や白といった寒色系の配色が、空間に独特の静けさのようなものを形作っており、そこに立つ者にえも言われぬ緊張感を与える。
 ▼ 237 mTQB7XkZdk 18/06/05 00:12:25 ID:OQ7Vrtg2 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
また、全体を見回してみると、円形のフィールドを囲むように漆黒の柱が何本も建っているのが確認できた。

その柱には真っ赤な炎が揺らめく松明が飾られており、まるでトレーナーとポケモンを鼓舞するかの如く燃え盛っている。

この、戦いと静寂を織り交ぜたような不思議な空間。

ごく一部の人間とポケモンは、この雰囲気に何となく見覚えがあった。

すると、選手用観客席にてシロナが次の瞬間、この戦場の見た目について感想を述べる。

「この空間……」

「……まるで、“チャンピオンの間”のようね」

この感想はどうやら的を射たようで、彼女の周りで同じく試合を観戦する選手達が全員納得したのだった。

そう、レッド達がこれから戦うこの空間は、チャンピオンが挑戦者を待つ部屋をイメージして作られたモノ。

旅を始めたトレーナーが、激戦の末最後に辿り着く、終焉の、あるいは決着の地。

今回のPWT挑戦者なら誰もが通った場所だ。

「決勝戦の舞台はこの、“ラストステージ”!」

「最後の戦いに相応しい、シンプルな実力を競える戦場です!」

決勝戦だからこそなのか、天候も地形も関係なく、単純な力と力のぶつかり合いが行える場所が選定された。

戦いは頂点にして原点に立ち返る。
 ▼ 238 mTQB7XkZdk 18/06/05 00:15:47 ID:OQ7Vrtg2 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
頂きへの挑戦者達にとっては、これは好都合な展開と言えよう。

何も難しいことは考えず、思いっきり、のびのびと戦えるわけなのだから。

「では――」

「――バトルスタート!」

ついに始まった。

全世界の王者を決める、歴史的な聖戦が。

この戦に勝利を収めし者が、歴史に栄光を刻む。

彼らが欲するのは、ただ一つのもの。

“最強の称号”、それだけだ。

「いくぞ、ピカチュウ!」

「ピカァッ!」

一足早く声を張り上げたのは、シロガネ山の主にしてカロス地方を歩む冒険者、レッド。

相棒のピカチュウに、このバトル最初の指示を繰り出す。

「メガヤンマに、10まんボルト!」

「ピカァァッ!」

ピカチュウが鳴き声をあげた瞬間、彼の周りを黄色の電波が覆う。
 ▼ 239 mTQB7XkZdk 18/06/05 00:16:41 ID:OQ7Vrtg2 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
バチバチと音を立ててその電力は上がっていく。

電圧が10万Vに達した時、それは電撃となって唸りをあげた。

宙を走る10まんボルト。

疾風怒濤の一撃は目線の追随を許すことなくメガヤンマに襲いかかる。

「メガヤンマ、サイコキネシス!」

「ヤンッ!」

だが、この速度に追いつくポケモンがここに一匹。

オニトンボポケモン・ヤンヤンマは羽音のテンポを加速させながら強力な念力を発する。

空間を捻じ曲げるサイコキネシスは、10まんボルトの行く手を阻む障壁となった。

電流は空間上のその特異点にて動きを停止し、やがて行き場を失って辺りに電力を分散させる。

ピカチュウの速攻は、メガヤンマによって相殺されてしまった。

これが、PWTラストバトルのスピード。

「おい、なんつー速さだアレ……」

「一生かけても追いつける気ィしねぇぞ……!」

それは、一般的なトレーナー達に、己が追いつくことを完全に諦めさせるレベル。
 ▼ 240 コン@かえんだま 18/06/05 16:32:16 ID:GQMVrHHc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まってた
支援
 ▼ 241 mTQB7XkZdk 18/06/06 00:47:57 ID:XVnmy0Q. [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
類稀なる才能を持ち、血の滲むような努力を重ね、数多の死線を掻い潜った猛者のみが辿り着ける次元。

同じ世界の住人とは到底思えぬぐらいにデタラメな能力者同士がぶつかり合うことによって、その戦いは常人にとって最高に燃えるショーとなる。

「ゲッコウガ、ジュナイパーにみずしゅりけん!」

ゲッコウガの両手に、水のエネルギーが集まっていく。

そのエネルギーは徐々に、古来より忍者が扱う武器・手裏剣の形を成していった。

そしてその鋭利な刃は、ゲッコウガによって水飛沫を散らしながら数回に渡って撃ち放たれる。

空を裂く多段攻撃が、ミヅキのジュナイパーに迫る……!

「ジュナイパー、リーフブレード!」

「ジュナ」

だが、それに対抗するはジュナイパーの技。

鋭い葉を幾つも重ね合わせ一本の刀を作りそれを振り払って攻撃する、リーフブレード。

ジュナイパーが薙ぐそれは威力が別段に高く、ゲッコウガが放った水の手裏剣を軽く斬り伏せてしまう。

真っ二つに割れた手裏剣は勢いを失ったことで単なる水となり虚しく辺りに飛び散っていっていく。

その後もジュナイパーはバッサバッサとみずしゅりけんを立て続けに斬っていき、最後までその身を守り切った。

この速く鋭いジュナイパーの動きに、カルムは驚きのあまり思わず息を飲んでしまう。
 ▼ 242 mTQB7XkZdk 18/06/06 00:48:23 ID:XVnmy0Q. [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ゲッコウガのみずしゅりけんを、こうもあっさり割るか……!」

みずはくさに対して確かに不利であるが、いくらなんでもこんな簡単に技が破られてしまっては敵わない。

だが、攻撃が防がれてしまった今、次にカルムが意識を向けるべきは敵の反撃だ。

「今度はこっちの番だね!ジュナイパー、かげぬい!」

「ジュナァ」

カウンターを仕掛けるミヅキが打ち出した策は、かげぬいという聞き慣れない技。

初見の技なだけに警戒するカルム。

すると次の瞬間彼の目に映ったのは……。

「これは……影!?」

影。

今、ゲッコウガの影が大きく拡大している。

不穏かつ不自然な光景だ。

もしこれがかげぬいの前兆であるなら、絶対にこの影から注意を逸してはならない。

「気をつけろ、ゲッコウガ!」

「ゲロッ」
 ▼ 243 mTQB7XkZdk 18/06/06 00:48:51 ID:XVnmy0Q. [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゲッコウガに警戒を促すカルム。

そして。

「今だよジュナイパー!撃って!」

「ジュナッ」

ミヅキの指示と同時に、ジュナイパーはどこからともなく木と草でできた一本の矢を取り出した。

すると次に彼は、左腕を突き上げる。

この時彼の左手は、自身の胸部から生えているロープ状の部位を引っ張っており、全体的にまるで弓のような形を作っている。

そして彼は、先程取り出した矢を弦のように伸びている部分に引っ掛けると、それを……。

……弓矢の如く引き絞って、射った!

「かわすんだ!」

「ゲロッ!」

この矢による攻撃がかげぬいという技なのだと認識するや否や、カルムはすぐさまゲッコウガに回避の指示を出す。

矢の速度は決して速くはなく、ゲッコウガの俊敏さならば余裕でかわせる。

ゲッコウガはしっかりと矢の軌道を確認したうえで、的確な回避をとった。

だがこの時、不可解なことが起こる。
 ▼ 244 mTQB7XkZdk 18/06/06 00:49:23 ID:XVnmy0Q. [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゲッコウガの影が、先程までいた地点から移動した地点まで、まるでゴムのように伸びているのだ。

そして放たれた矢は、最終的にその影に突き刺さる。

すると……。

「……何!?」

「ゲロォォッ!?」

ゲッコウガが突然、悲鳴をあげた。

矢が当たっていないのにだ。

ゲッコウガの体には何一つとして損傷の痕跡は無い。

にも関わらず、ゲッコウガは今、確かなダメージを受けている。

「ふふっ」

作戦通りにいったということか、ミヅキはしてやったりという表情で微笑んだ。

「バカな、矢はゲッコウガに当たっていないのに何で……!?」

一方でしてやられたカルムは、今目の前で起こっている不可思議な現象に焦る様子を見せる。

だがこの時、カルムの脳裏をあの影の存在が過る。

そう、この現象にからくりがあるとすれば、あの影がそうだ。
 ▼ 245 mTQB7XkZdk 18/06/06 00:49:54 ID:XVnmy0Q. [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
かげぬいの指示と同時に膨張を始めたゲッコウガの影に、カルムは今一度目をやる。

すると、ゲッコウガの影にはジュナイパーの放った矢が突き刺さっていた。

あの時は単に矢が外れただけだとばかり思っていたが……。

……もし、矢が最初から狙っていたのがこの影だったとすれば。

その推測をした瞬間、カルムの中で渦巻いていた謎が晴れ渡った。

「……待てよ、まさかこの影に矢が刺さったことで、ゲッコウガにダメージが及んでいるのか!?」

「あっ、バレちゃった」

矢が影を介してゲッコウガにダメージを与えていたことが判明する。

「ゲロッ……!」

「クソ、大丈夫かゲッコウガ!」

ここでカルムは、かげぬいという技の本当の意味を知る。

このように“影を縫い付ける”から“かげぬい”なのだと。

「流石カロスのチャンピオンさん!洞察力が普通の人とは桁外れだね」

「貴方の言う通り、かげぬいは相手の影を矢で縫い付けて攻撃する技」

「だから本体が居なくてもそこに影さえあれば、攻撃を当てることは可能なの!」
 ▼ 246 ツベイ@タンガのみ 18/06/10 10:48:52 ID:hA3wgdl. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
鳥肌たった
 ▼ 247 ブネーク@4ごうしつのカギ 18/06/11 23:54:58 ID:gxcoMWPw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 248 モネギ@ピジョットナイト 18/06/15 00:59:05 ID:IFZA54Us NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 249 レセリア@おはなのおこう 18/07/04 20:41:28 ID:W0qI.MS. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 250 ソクムシ@カイスのみ 18/07/13 18:46:50 ID:YD.sARQ6 NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 251 ルード@するどいキバ 18/07/26 15:13:33 ID:0r2cj2pU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ネ
 ▼ 252 アームド@たまむしプレート 18/08/01 09:38:45 ID:WYTQ6o0U NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 253 ェリム@リザードナイトY 18/08/16 18:09:04 ID:uhmY1ZOQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 254 リージオ@みどりのプレート 18/08/16 18:29:33 ID:Ju6YbTXM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まだかな?
 ▼ 255 トツキ@みずたまリボン 18/08/17 20:34:32 ID:ET4Qzu.. NGネーム登録 NGID登録 報告
追いついた
 ▼ 256 イロス@プレミアボール 18/08/23 09:40:08 ID:bwqgxeP. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
完結してくれ
 ▼ 257 ルット@ぼんぐりケース 18/08/29 08:14:26 ID:.TAUUaVU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
展開面白くなってきてるなこれ
 ▼ 258 ジョッチ@ゴールドスプレー 18/09/06 10:56:08 ID:vwFANvbo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 259 mTQB7XkZdk 18/09/07 13:31:38 ID:.NMcugvs [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
長く更新が空いてしまって申し訳ありませんでした。再開します。


――“かげぬい”の照準に合わせられるのは、そのポケモンではなく、そのポケモンが足元でちらつかせている影なのだ。

ジュナイパーの放つ矢には恐ろしい霊力が宿っており、その霊力が矢の刺さった影を通してその影の主にダメージを与える。そして……。

「そうそう!それとたった今この瞬間、貴方のゲッコウガは交代が出来なくなったよ!」

「影が縫い付けられている限り、刺さった矢はゲッコウガを逃しはしないんだからっ」

……一度影を縫い付けられたそのポケモンは、そのバトルでは逃げることができなくなるという。……つまり、交代ができなくなったということだ。

(クソ……かなり厄介な技だな、コイツは)

ミヅキからその聞くだけで嫌気が差してくる説明を受けたことでカルムは思わず耳を塞ぎたくなったが、今は目の前の事態から逃避している場合ではない。

交代ができないということはつまり、このままゲッコウガで戦い続けるしかないということ。

今は何としてでも、出来る限りゲッコウガを生き延びさせなければならないのだ。

見た目的にジュナイパーというポケモンのタイプは、少なくとも一つ目は“くさ”であることが分かる。

そうすると、タイプ相性的に不利なジュナイパーと戦うことは避けたいところ。どうにかして対戦相手を“こおり”で弱点を突けるメガヤンマに切り替えたい場面ではあるが……。

(……ジュナイパーから眼を反らした地点で、ゲッコウガはジュナイパーにやられる)

(だがこのまま戦ってても勝ち目がない……さて、どうするか)

メガヤンマを選ぼうとすれば、ジュナイパーへの注意が完全に逸れ、かといってジュナイパーを選ぼうとすれば、還付なきまでに叩き潰される未来が見える。どちらを選んでも敗北ルートが濃厚だ。
 ▼ 260 mTQB7XkZdk 18/09/07 13:32:17 ID:.NMcugvs [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ならばいっそゲッコウガを捨て、残り一体に全てを託すのも手段の一つだが、カルムは……。

(……いや)

(ゲッコウガを捨て駒にするなんてできない)

……その道を選ぶことは無かった。

自らその道を断絶した。

ゲッコウガを捨て石にするということは、それはゲッコウガへの侮辱行為と同じ。

カルムはあくまで、ゲッコウガで戦うことを最後まで諦めはしなかった。

ならばどうするか。

こんな時は……。

「――レッド!」

……相棒を頼れば良い。

「カルム? ……!」

「……なるほど。 分かった!」

カルムの呼び声の意図を瞬時に理解したレッド。

瞬間、レッドはメガヤンマと戦うピカチュウに指示を下す。

「ピカチュウ、ジュナイパーに10まんボルト!」
 ▼ 261 mTQB7XkZdk 18/09/07 13:33:02 ID:.NMcugvs [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ピカッ!」

それは、ゲッコウガをジュナイパーの魔の手から救う為の指示だった。

「ピィカァ……チュゥゥゥッ!!」

10万Vの電撃がピカチュウの叫びと共にジュナイパーへ向けて放たれる。

大気をも痺れさせる電気の光線は、美しき直線を描いて迸った。

「ジュナァ……ッ!?」

そしてその攻撃はジュナイパーに見事命中。

ダメージこそ今ひとつだが、牽制の一手としては十分な役割を果たした。

今なら、ゲッコウガはジュナイパーから抜け出せる。

「サンキュー!レッド、ピカチュウ!」

「いくぜゲッコウガ!メガヤンマにれいとうビームだッ!」

「ゲロッ!」

そしてとうとうジュナイパーの影地獄からついに脱出したゲッコウガは、ここぞとばかりに必殺のれいとうビームをメガヤンマに向かって放出した。その白銀の光線は雪の結晶を纏いながら突き進んでいく。

対してメガヤンマはこの奇襲に対応することが……。

「……ヤマッ!」

……できてしまった。
 ▼ 262 mTQB7XkZdk 18/09/07 13:34:16 ID:.NMcugvs [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
メガヤンマはゲッコウガのれいとうビームをいとも容易く避けてしまう。

メガヤンマの特性は“かそく”。時間経過によって“すばやさ”のパラメータが増大していく強力なスキルだ。これのおかげで今やメガヤンマは“神速”と呼ぶに相応しいスピードの持ち主となっている。

ゲッコウガの攻撃速度を以てしても、彼を捉えるのは容易なことではない。

「攻撃対象を僕のメガヤンマにしたところで、状況が良くなることはありませんよッ!」

「そう簡単にはいかないことは知っているさッ!」

そう。

例え対戦相手をメガヤンマにすり替えたところですぐにメガヤンマを倒せるわけはない。

カルムもそのことは元から承知のうえだ。

だが、勝てる可能性はジュナイパーより断然高い。

トレーナーとして最善の選択はした。

後はゲッコウガの持つ力に、全身全霊で賭けるのみ。

一方でゲッコウガの盾となったピカチュウは、ジュナイパーと対峙する。

バチバチと静電気を頬で鳴らす今のピカチュウの表情は非常に好戦的であり、あの小さい体にとびっきりの闘志が宿っているのが分かる。

「君の相手は俺の相棒だ。 ジュナイパー」

「ジュナァ……!」

「慌てないでジュナイパー。 やっつける順番が変わっただけだよ」
 ▼ 263 ルジーナ@マグマブースター 18/09/07 18:47:40 ID:5WJc2nIo NGネーム登録 NGID登録 報告
大・支・援
 ▼ 264 mTQB7XkZdk 18/09/08 13:01:38 ID:pfWAbOKA [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
してやられたハズのミヅキはそれでも依然として余裕な態度を改めようとはしない。

至って平然としている彼女にレッドは「言ってくれるな」と少しムッとした。

「とりあえず君の影も縫っておこうかな?」

「ジュナァッ!」

ミヅキの指示によって再びジュナイパーがかげぬいを撃つ。今度の狙いはピカチュウだ。

「でんこうせっかで間合いを詰めつつ切り抜けろ。 ピカチュウ!」

「ピカァ!」

対するレッドのピカチュウは、迫り来る暗黒の矢に単純な回避行動は取らず、敢えてまずは素早い動きで迫ることに。

でんこうせっかは相手より早く動いて攻撃が出来る技。

かげぬいは効果こそ強力だが、弾速は普通の矢のそれと同じ。

この二つが相まみえる時、速度で勝るのは前者となる。

ピカチュウは目にも止まらぬ早業で矢を難なくかわし、ジュナイパーとの距離を喰らい尽くす。

そして。

「ピカァァッ!」

ピカチュウの超速体当たりがジュナイパーに直撃――
 ▼ 265 mTQB7XkZdk 18/09/08 13:02:14 ID:pfWAbOKA [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「……ピカッ?」


――しなかった。

驚くべきことに、ピカチュウの攻撃はジュナイパーの体をスルリと通り抜けてしまった。

「何だと……!?」

この予想外の出来事にレッドは“一瞬だけ”動揺する。

しかしこの現象……これまで幾多もの戦いを勝ち抜いてきたレッドにとっては謎でも何でもなかった。

「……ま、まさか」

そう。

ノーマルタイプのでんこうせっかが効かなかった、ということは……。

「あれ、知らなかったの?」


「ジュナイパーのタイプは“くさ”、“ゴースト”だよ!」


……「初めて見るポケモンだったから」。

理由としては極めて正当なものだろう。

きっと誰もレッドのことを非難したりはしない。
 ▼ 266 mTQB7XkZdk 18/09/08 13:03:04 ID:pfWAbOKA [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
しかし、だからといって先程までの自分の采配ミスは帳消しにはならない。

何故ならこの大会は、ポケモンに関する“知”を競い合う戦いでもあるのだから。

レッドは自分らしからぬ初歩的なミスに思わず無言になってしまう。

さて、タイプ相性によって技が無効化された場合、大抵の場合は危機的状況に陥り、焦るべき瞬間が訪れるものである。

だが、今レッドの目の前で広がっているこの光景……。

これは、“位置関係”という観点で見た場合……。


……“敵の後ろを取った”……ということにならないだろうか。


「……フッ」

決してレッドは謀ったわけではない。

これはあくまで偶然が生み出した産物だ。

だが殆どのトレーナーはこの絶好のチャンスを逃す。

何故なら失敗したという事実にばかり囚われ、目の前の景色から目を背けてしまうからだ。

だが、レッドの場合は違う。

彼はこの状況を……逆に利用する!
 ▼ 267 mTQB7XkZdk 18/09/08 13:04:47 ID:pfWAbOKA [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ピカチュウ、体勢をすぐに立て直せ!」


「そして……ボルテッカーだッ!」


「ピッカァ!」

自らの一瞬の直感を掴み取り、それを指示へと即座に反映させる。

簡単なようでこれが実に難しい。

また、仮にトレーナーがそれを出来たとしても、相棒のポケモンが指示通りに動けなければ結局その戦略は失敗に終わる。

要はトレーナーとポケモンの力量が並んで優れていなければならないわけだ。

どちらかだけが凄くても意味はない。

しかし、共にカントーとジョウト、カロスと、数々の地方の色々な景色を見てきたレッドとピカチュウならば……。

「ピカッ!」

……その相性はバツグン。

例え如何なる局面であろうとも、レッドが指示した通りにピカチュウは動くことが出来る。

ピカチュウはでんこうせっかが空振りして一瞬無防備状態になっていたにも関わらず、着地した時には既に完璧な受け身の体勢になっていた。

恐るべき適応能力である。
 ▼ 268 mTQB7XkZdk 18/09/09 23:17:23 ID:OIGAU05w [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
――そして今、ピカチュウは確かにジュナイパーの背後に回っている。

基本的に敵の正面から技をぶつけるよりは後ろからの方が大きなダメージが出るので、この位置関係はまさに絶好の好機だ。

この時ミヅキは鮮明なまでに焦りを覚え、この試合で初めて汗を垂らす。

「しまった」と、心の底から思った。

すぐさまジュナイパーに回避の指示を出そうとするが、しかしその声が出る前に、雷音が他の全ての音をかき消して轟き渡る。

……ミヅキはこの時、確かにレッドに遅れを取ったのだった。

彼女の一瞬の逡巡が、仇となった。

彼女を黄色く照らしつける稲妻の光は、やがてジュナイパー目掛けて激烈な速度で駆け抜けていく……!

……ビリビリ、ピカピカ、そんな可愛らしくも激し過ぎる音を遠慮なく響かせながら、閃光の電撃弾丸は地を刳り返し、旋風を纏って、ジュナイパーに襲来する!

「――ジュナァァァッ!!?」

――必殺ボルテッカー、炸裂!

その美しく咲いた黄色の巨大花火は球状に広がり、凄まじい爆雷を巻き起こしながら壮大かつ幻想的な景色を生み出す……!

……一方で吹き飛ばされたジュナイパーは柱に勢いよく激突し、その衝撃で柱は音を立てて倒壊してしまう。

この時、観客達の瞳は目の前の圧巻の光景に釘付けにされ、コルニもまたあの黄色の小さな英雄から目が離せないでいた。

「ピカチュウ……カッコいい……っ!」
 ▼ 269 mTQB7XkZdk 18/09/09 23:17:56 ID:OIGAU05w [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
この時コルニがピカチュウから貰ったのは、ありったけの……“勇気”。

圧倒的な力を見せつける相手にも全く怯まず、諦めず立ち向かう姿は、まさしく誰もがかつて憧れた“ヒーロー”そのもの。

あんなにも小さいのに、本当ならこの戦いでは進化途中のポケモンは力不足のハズなのに。

レッドのピカチュウは何故、あんなにも強いのか。

だけどその答えはもうコルニが既に彼から受け取って握りしめている。

ピカチュウがくれたこの“勇気”こそが、彼の並外れた強さの秘密なのだ。

規格外で、常識外……。

……しかしだからこそ、その英雄は他の誰よりもステージで燦然と輝ける!

「……あーもう最高だよぉっ! レッドもピカチュウもぉぉっ!」

「……貴女って、本当に彼氏愛で溢れてるわね」

コルニの全身から溢れ出る彼らへの愛は、傍らのセレナの呆れを買ってしまう程に大きすぎる。

そんな彼女の抱えきれないくらいのエールを受けるレッドとピカチュウだが、今彼らはまさにそれに応えるが如くの快進撃を見せていた。

技に続く技。

絶え間なき電撃の嵐……!

……先刻にピカチュウが使用した“ボルテッカー”という技は、その絶大なまでの破壊力と引き換えにピカチュウ自身の体にも大きな反動を与える技なのだが……ピカチュウの放つ技の数々は未だに色褪せていない。
 ▼ 270 mTQB7XkZdk 18/09/09 23:18:22 ID:OIGAU05w [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジュナイパーに反撃の隙を全く与えない素早い猛攻はしかし、一撃一撃の威力が足りておらず。

だがそれらは着実且つ高速でダメージを蓄積させていっている。

対して翻弄される側のミヅキは、今の戦況に驚きを見せていた……。

……だけど。

(まさか私達がここまで追い詰められるなんて……)

(やっぱり世界って、広いなぁっ!)

それを彼女の中で上回るのは、やはりというか……“ワクワク”だった。

(とにかく今はジュナイパーを失うわけにはいかないよねっ)

(だったらここは、あの子で……っ!)

現実的に考えて、ジュナイパーでは速度でピカチュウに追いつくことが出来ないことをミヅキは悟る。

絶対とまでは言わないが、少なくとも今のピカチュウの韋駄天が如し連続攻撃を止められる自信は無い。

ならばここは……“交代”すべき局面だろう。

ミヅキは次の瞬間、ジュナイパーにこう命じた。

「ジュナイパー!」


「《とんぼがえり》!」
 ▼ 271 mTQB7XkZdk 18/09/09 23:18:52 ID:OIGAU05w [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「……ジュナァッ!」

……《とんぼがえり》は、相手に突進攻撃を仕掛けた後に控えのポケモン一体と交代する技。

単に交代をさせるよりも相手に打撃を与えられる分、アドバンテージを稼ぎやすい。

覚えられるポケモンは限られるが、便利な技だ。

「ジュナッ!」

ジュナイパーはこの技さえ成功させれば暫く休めるという安心からか、ここでひと踏ん張りして何とかピカチュウの猛攻から抜け出すことに成功する。

……そして。

「ジュ……ナァッ!」

すぐさまターンして、ピカチュウに突進攻撃を……仕掛けた!

「ピカッ!?」

背後から衝突されたピカチュウは不意を突かれ、うつ伏せに倒れてしまう。

しかしこれ自体は大したダメージでは無く、ピカチュウはすぐに起き上がるが……。

「よしオッケー! 戻ってジュナイパーっ!」

「ジュナッ」

……ジュナイパーはこの機会をモノにし、逃走に成功する。

ミヅキが差し出したモンスターボールに戻り、その中に収まった。
 ▼ 272 mTQB7XkZdk 18/09/09 23:19:38 ID:OIGAU05w [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
レッドは「逃したか……」と悔しそうな顔を浮かべるが、同時に彼女の計算を崩している実感を得られた為に満更でも無いような気分も同時に秘めるのであった。

「あなたのピカちゃん、本当に凄いねぇ」

「あんな子が居るなんて驚きだよっ!」

ミヅキはここでレッドのピカチュウの実力を改めて褒める。

「ピッカァ〜♪」

対するピカチュウは照れ臭くなったのか、赤面しながら自分の頭を撫で始めた。

「でも……」

……しかし次の瞬間、ミヅキの声色が……変わる。

それまで楽しげで愉快な感じだった彼女の声は、一変して……。


「……この子には、勝てないよ」


……静かなる闘将のそれと、なった。


「ッ!!」

レッドは瞬間、身震いして汗を額から夥しく流し出す。

その恐ろしげな感覚は突如として、ゾワリと襲来した。
 ▼ 273 mTQB7XkZdk 18/09/09 23:21:33 ID:OIGAU05w [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
アレが先程までマイペースな雰囲気の少女だったとは到底信じられない。

まるでアレは、例えるなら……“異次元”の強さを持つ未知の強敵。

この世の言葉では言い表せないような、理から外れた概念の持ち主。

次の瞬間、彼女は一つのモンスターボール……のような何かを、取り出す。

それは青を基調とした網目調のデザインのボールで、四方に黄色い突起物がアクセントとしてか取り付けられているのが確認できる。

明らかに我々が見たことのない、他に類を見ない意匠が施された謎のボールだ……。

……ミヅキはそれを満を持して、投げる。

解き放たれしそのポケモンの正体は――

「出てきて……」


「……《アーゴヨン》ッ!」


――異世界より召喚されし、超獣。

コードネーム――《UB:STINGER》。

見た目は紫色の蜂のような姿で、だがそのシルエットは同時に竜も彷彿とさせる。

体内に数百リットルの毒液を持っているとされ、その強烈極まる毒をあの槍の如く鋭利な針から噴射するという。
 ▼ 274 mTQB7XkZdk 18/09/09 23:24:23 ID:OIGAU05w [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
その毒竜はしかし、この世界の生物に非ず。

異界より迷い込みし生命体――《ウルトラビースト》と呼ばれし存在。

その異質な能力はこの世界のポケモン達を遥かに圧倒する。

まさに別次元の強さを持った……モンスター。

紫毒を操りし凶暴竜、その真名は……《アーゴヨン》!。


「――ブォォォァァァァッ!!」


異形の咆哮が、会場を戦慄によって歪曲させる……!

……誰も見たことのない未知のポケモンは今、ミヅキの手によって参戦を果たした。

「あのポケモンは……ッ!?」

レッドは初見のアーゴヨンに対し、これまでのポケモンとは違う“何か”を感じ取る。

あの謎のポケモンと対峙した瞬間、今までの常識が覆されていくような感覚を覚えた。

自分は今、未知との遭遇という場面に立ち会っている。
だがこの時、レッドの心はワクワクよりもハラハラが上回ってしまった。

解析不能のイレギュラーを前にして、レッドはその先に何を見るのか……!
 ▼ 275 mTQB7XkZdk 18/09/10 23:04:08 ID:QY7YQFgc [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ポケモンを誰よりも愛している彼が、こんなにもポケモンに対し潜在的な恐怖を覚えるのは極めて珍しい。

無論それは、カルムや味方のゴールドでさえ同じことであった。

そんな震慄の最中、ミヅキだけはただ一人、その真剣極まる表情を崩さないでいる……。

「どう? この子が私の切り札……アーゴヨンだよ」

「この子は別世界のポケモン……《ウルトラビースト》って言ってね。 この世界のポケモンよりも遥かに強い力を持っているんだ」

ウルトラ……ビースト。

その聞いたこともないような用語をミヅキの口から聞かされたレッドだったが、未だに彼の脳はその事実に追いつけていない。

異世界だなんだという概念は小説や漫画の中だけの物かと思っていたが、まさか本当にそんなものが存在していたとは。

レッドは驚きを通り越して、最早呆然とするしかなかった。

「……だってさピカチュウ。 どうするか?」

「ピカピー……」

そんなこと聞かれても……とばかりに半笑い混じりの困った顔を浮かべるピカチュウ。

レッドもピカチュウも、この戦いばかりは身に迫る恐怖感が否めない。

……だけど同時に、段々と戦意が昂ぶってくるのも感じている。

結局彼らは、好敵手との手に汗握る激闘を望んでしまっているのだ。
 ▼ 276 mTQB7XkZdk 18/09/10 23:05:51 ID:QY7YQFgc [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
例え相手が異世界の怪物だとしても、この純粋な想いは抑制が効かない。

トレーナー魂に火が付いたが最後、決着が付くまでは誰も彼らを止められはしないのだ。

「……よしッ!」

「受けて立ってやるッ! 来い……アーゴヨンッ!」

「ピカピカァッ!」


「……そう来なくっちゃ、ね♪」


……雄々しく翼をはためかせ空を飛ぶアーゴヨン。

見た目からしてタイプは〔ドラゴン〕とプラス何かといったところか。

〔ひこう〕を持っている可能性もあるが、と見せかけて特性が【ふゆう】なんてパターンもあったりするので断定はできない。

……というかまず、異次元の生命体である彼にそもそも“タイプ”なんて概念が存在するのだろうか。この世界の常識の全てが彼に通用するハズはない。何にしても、まずは戦ってみなければ分からないことだ。

「……よし! ピカチュウ、《アイアンテール》だッ!」

「ピッカァ!」

まずは小手調べの一撃。

アーゴヨンを〔ドラゴン〕タイプのポケモンだと仮定した場合、〔でんき〕の技では威力が不足する。
 ▼ 277 mTQB7XkZdk 18/09/10 23:06:23 ID:QY7YQFgc [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
一方で〔はがね〕の属性の《アイアンテール》なら等倍ダメージが入り、それなりの打撃となるハズだ。

ピカチュウは尻尾を鋼の如く硬質化させて跳び上がり、その鈍い銀色の鞭を振るってアーゴヨンに襲いかかる。

「――アーゴヨン、《りゅうのはどう》ッ!」

「ブォォォッ!」

対抗するアーゴヨンは顎を開き、眼前に荒ぶる竜のオーラを結集させる。

蒼き輝きに満ちたオーラはやがて一つの巨大な弾丸と化した。

アーゴヨンはそれを迫り来るピカチュウに向かって、光線にしてぶっ放した……!

「ピカッ!?」

異次元の毒竜の初手は、激昂の閃光――《りゅうのはどう》。

彼の魂を込められし波導に、ピカチュウは見事に捉えられてしまった。

そして……直撃……!

「ピ……ピカァッ!?」

ピカチュウの《アイアンテール》を軽く凌ぐ威力で、《りゅうのはどう》はピカチュウの技を無効化してしまう。

弾き返されたピカチュウは宙を舞い、放物線を描いた後にやがて……地に墜落した。

レッドの呼び声が響く中、ピカチュウは一瞬の沈黙の後に……再び、立ち上がる。

「ピカ……ピカ、ピカチュッ‼」
 ▼ 278 mTQB7XkZdk 18/09/10 23:06:55 ID:QY7YQFgc [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
掠れつつあるピカチュウの声。

“威勢”が“虚勢”になりつつある現状。

しかしここで諦めないのがレッドの相棒たる所以である。

ボロボロになったって立ち上がる……それが彼のポリシーだ。

「良いね、良いね! レッドさんのピカちゃん、ほんっとうに最高だよっ!」

「そんな良い子さんには……更なる“大試練”を用意してあげるっ!」

ミヅキはこのピカチュウの果敢さ極まりし勇姿に心底惹かれたようで、心が躍る様子をこれでもかと見せる。

しかしそんな彼女は次の瞬間、そのお気に入りのピカチュウに、敢えて……“絶望”を捧げるのだ。

“大試練”という言葉が彼女の台詞にあったが、これはアローラの“島巡り”という伝統の中で核となる要素の一つのことである。

島巡りをするトレーナー達はその大試練を突破し、新たなZワザを使う為の“Zクリスタル”を手に入れる。

どの大試練も、かつて島巡りをするトレーナーの一人だったミヅキにとっては全てが悪戦苦闘の極みであった。

だがその絶望の数々を乗り越えて来たからこそ、今の彼女達がある。

そして、その絶望を味わってきた彼女達が課す大試練は、当然レッド達にとってもまた絶望として立ちはだかるであろう。

レッド達はこの大試練に……打ち勝てるか。


「アーゴヨン……」

「……《わるだくみ》」
 ▼ 279 mTQB7XkZdk 18/09/10 23:12:14 ID:QY7YQFgc [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
――《わるだくみ》。それは頭脳をフル回転させ数多の謀略を発想することにより【とくこう】のステータスを大幅に上昇させる技。

特殊攻撃の分類に属する技を撃つ際は、単純な力よりは内在的な精神力を要とする。

つまりそのポケモンの知能指数が上がれば上がるほど、特殊攻撃の威力は比例して上がっていくのだ。

「――ブォォォォァァッ!!」

アーゴヨンの脳内は今、悪巧みの嵐となっている。

次から次へと策略が思いつき、叡智が極限の境地にまで至る。

熟されていく頭脳、高まりしその練度は天井知らず。

やがて、《わるだくみ》によるブレインアップが……完了した……!

「ブォォォォォォォオオオッ!!」

「……冗談……だろ……?」

覚醒せし異次元超獣・アーゴヨンは激烈なる咆哮を辺り全体に撒き散らし、レッド達の鼓膜を容赦なく劈く。

これ以上無き震慄と共に巻き起こる突風に扇がれ、彼らの身と心が激しく靡く。

その凄惨な有り様はまるで台風直下の風景のようであった。

強大過ぎる敵の爆誕に、誰もが恐れ慄く。

「ブォォォ……ッ!」

――レッド達の大試練、開始……!
 ▼ 280 プリン@カビゴンZ 18/09/11 16:39:20 ID:N73gxjMU NGネーム登録 NGID登録 報告
わるだくみZはあかんて
 ▼ 281 mTQB7XkZdk 18/09/11 22:55:59 ID:qFUcammg [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告


……かつてない試練に挑むレッドとピカチュウ。

「ピカピィ……ッ!」

体躯も、力量も、双方の間には圧倒的な差が開いていてしまっていた。

まさに、“天と地ほどの差”……というヤツである。

「……ピカァッ!」

だが、どんなに危機的状況に陥ったって、ピカチュウは、そう……。

「ピカァァァッ!!」

……絶対に、相手に背中を見せない。

戦闘中に、“にげる”のコマンドは使えない……!

「……フッ」

「だよな……ピカチュウッ!」

「ピカァッ!」

この二人の闘志は……不滅だ!


「――じゃあ、そろそろ行くよ?」
 ▼ 282 mTQB7XkZdk 18/09/11 22:56:43 ID:qFUcammg [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「アーゴヨン、《ヘドロウェーブ》ッ!」


「ブォォォァァァァッ!!」


――次の瞬間、アーゴヨンの尾の針から深き紫色の猛毒液が大量に溢れ出す。

やがてその劇毒は大海を作り、荒波を立たせながら目の前の彩り豊かだった世界を飲み込んでいく。

そしてその毒の海は次第に激流となり、最終的には、巨大なる大津波を……出現させた!

〔どく〕タイプの大技、《ヘドロウェーブ》……!

(これでは避けられない……ッ!)

禍々しい紫紺の大海原と化した戦場で、ピカチュウはあの大波と対峙する。

しかし、眼前に迫り来る波は明らかに巨大過ぎる。

あれではどんなに速く動いても波が落ちる範囲から抜け出さない。

ならばあれは不可避の攻撃となってしまうのか……。

……いや。

(……待て)

(ヘドロウェーブは〔どく〕タイプの技……ということは)

……避けるのは無理でも、何とかして切り抜けなければ直撃を受けた地点でピカチュウを即行で瀕死状態にさせてしまう。
 ▼ 283 mTQB7XkZdk 18/09/11 22:57:21 ID:qFUcammg [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
ではどうするか。

その時レッドが導き出した答えは……。

「……ピカチュウ、覚悟を決めろ」

「《アイアンテール》で……道を切り拓けッ!」

「……ピカァッ!」

……“突破”だ。

タイプ相性上、〔どく〕タイプは〔はがね〕タイプに対してダメージを与えることが出来ない。

レッドはその性質を利用する。

どんなに【とくこう】の数値を上げた所で、無力化してしまえばダメージは無しになる。

仮に一億の数値があったとしても、そこに0を掛けてしまえば0になってしまうのと同じだ。

故に《アイアンテール》により鋼の性質を得た尻尾なら、《ヘドロウェーブ》を無効化することができるハズだ。

ピカチュウは《アイアンテール》を使い、《ヘドロウェーブ》の波を……斬り裂いた!

「ピッカァ!」

紫紺の飛沫が舞った刹那、覆われたと思われたピカチュウが波の向こう側から現れる。

ミヅキはその光景を見て、俄然ピカチュウに興味を抱くのだった。
 ▼ 284 mTQB7XkZdk 18/09/11 22:57:53 ID:qFUcammg [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「わお……っ!」

超威力の《ヘドロウェーブ》すら凌いだピカチュウの粘り強さは半端なものでは無い。

今の攻防は世界視点で見ても見事なモノだと評せるレベルだ。

そして、紫の海はとうとう干潮を迎え、フィールドは元の姿を取り戻す。

ピカチュウが床に降り立った瞬間、会場を包み込んだのは……歓声だった。

『ワァァァァーーッ』……という人々の絶賛の雄叫びが、騒がしくも爽快に響き渡る……!

「流石だね、ピカちゃん」

「ピカチュ〜!」

ミヅキも、彼らのように騒ぎ立てはしないものの、ピカチュウに対する称賛の心は同じだった。


「……だけど」


……その逆説の後、ミヅキが目を配ったのはレッドの隣側。

その方向にはカルムが居たのだが……。

……レッドも彼女と同様にカルムに目をやった瞬間……。


……信じられない光景が、そこにはあった。
 ▼ 285 mTQB7XkZdk 18/09/11 22:58:25 ID:qFUcammg [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ゲ……ゲッコウガ……ッ!」


……ゲッコウガの名を掠れた声で呼ぶカルム。

そしてその目の前には……瀕死状態のゲッコウガが……地に横たわっていた……!

「ゲ……ゲロッ……」

……彼は目を回しながら、その体勢からピクリとも動く気配を見せない。

いつの間にメガヤンマにやられたんだ? とレッドが考えていたその時……彼はハッとなる。

そしてようやく理解した。

ミヅキのあの《ヘドロウェーブ》の本当の狙いを……!

「《ヘドロウェーブ》は全体攻撃……」

「あなたのピカちゃんだけじゃなく、カルムさんのゲッコウガ君もまとめて倒すつもりだったんだけどね」

「ピカちゃんはこれを潜り抜けちゃうんだもん……本当に凄いなぁ」

……「しまった」という後悔の念がレッドに深く刻まれた瞬間であった。

すっかりあのアーゴヨンとの一騎打ちにのめり込んでいたせいで、これがダブルバトルであることを一瞬だけ忘れてしまっていた。

《ヘドロウェーブ》が使用者以外の場にいるポケモン全てに及ぶことは知っていたのに。

ゲッコウガに配慮すれば、そもそもあの《ヘドロウェーブ》は撃たせるべきでは無かった。

自分がもっと警戒していれば……!
 ▼ 286 mTQB7XkZdk 18/09/11 22:58:52 ID:qFUcammg [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「――レッド!」


……と、様々な後悔を脳内に巡らせていたレッドの耳を、突如としてカルムの呼び声が突き刺す。

「……カルム」

その彼の怒声を契機に、レッドは冷静さを取り戻した。

「レッド、これはお前のせいじゃない」

「俺は奴から完全に注意を逸らしていた」

「見ろ。 俺のゲッコウガはやられたが、ゴールドのメガヤンマはアレをかわしている」

……確かに、ゴールドの操るメガヤンマはあの大惨事の後でも何事も無かったかのように生き残っている。

《ヘドロウェーブ》の指示が出た瞬間、すぐさま回避の指示をゴールドが出したのだろう。

特性【かそく】によって【すばやさ】のステータスが上がっていることもあって、アレを避け切るのに然程苦労は無かったに違いない。

「ちょっとミヅキさん! 急に全体攻撃なんて使わないで下さいよッ!?」

「僕のメガヤンマがやられていたらどうする気だったんですかッ!?」

「ヤダなぁ、ゴー君っ! これくらい君達なら難なくかわせるって私信じてたんだよ?」

「実際そうしてくれたしっ!」

「ですが……ッ!」
 ▼ 287 mTQB7XkZdk 18/09/11 22:59:30 ID:qFUcammg [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
……ミヅキの破天荒な戦術にゴールドはほとほと困惑し切っているようではあったが、それでも二人の息はピッタリだった。

対してカルムのゲッコウガはただ一匹、あの《ヘドロウェーブ》を受けてしまった……。

……これは、カルムの手腕不足に他ならない。

「……すまなかったゲッコウガ。 この償いは必ずする」

「ゲロォ……」

カルムは自らの過ちを謝罪し、そして贖罪することをゲッコウガに誓った。

ボールに戻されたゲッコウガは、カルムにこの勝負の命運を託して散る。

残すところ最後の一匹……カルムは、どのポケモンを繰り出すのか。

「……アイツの遺志を継いでくれ」

彼が取り出したのは一つのモンスターボール。

そのボールからは……“蒼焔”が滲み出ていた。

「いけ……」


「……《リザードン》ッ!」
 ▼ 288 mTQB7XkZdk 18/09/11 23:00:11 ID:qFUcammg [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
――その飛竜は、烈火の使徒。

その紅き魂に焔を宿し、主に歯向かいし敵を悉く焼き払う。

業火の後、舞うは灰色の塵芥。

カロスチャンピオンのもう一つの切り札――《リザードン》!

「リザァァァァッ!!」


……そして、それは更に進化を……超える!!


「――その身と精神を焦がし尽くし、全てを破壊する黒龍となれ……ッ!」

「……《メガシンカ》ッ!!」
 ▼ 289 mTQB7XkZdk 18/09/11 23:00:35 ID:qFUcammg [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
――カルムの《メガリング》が、リザードンとの“絆”と共鳴する時。

それは、産声という名の爆炎をあげて誕生する……!

「――リザァァァァァッ!!」

焔竜を超えた“蒼焔黒竜”。

極限の温度に達せしその蒼き焔で燃やせないものはこの世に存在しない。

橙だった体は黒へと変貌を遂げ、まるで彼の内なる凶暴性が曝け出されたかのようである。

メガシンカをすることにより、彼が元より有している炎属性に加え、真の“竜”の属性も新たに宿される。

更にその“爪”も大きな進化を遂げ、より巨大に、より鋭利に……!

……規格外の覚醒を遂げしその竜に刻まれし烙印の名は……“X”!

《メガリザードンX》……ここに降臨!

「――リザァァァァッ!」

――クロスした絆は、もう誰にも止められはしない……!
 ▼ 290 mTQB7XkZdk 18/09/12 20:37:24 ID:S6LEZz.E [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
***

――漆黒の眼光を鋭く敵に向けるメガリザードンXのクールな姿に、観客席全体が激しい熱気と歓喜の声によってこれ以上無い騒々しさに包まれていた。

「出た……カルムの切り札、メガリザードンX!」

カルムの最後の一匹にして、最強のポケモン。

真打ちの登場に、観客席のコルニ達はゴクリと息を飲む。

「……お隣さんのリザードンは、相変わらずオーラが違うわね……」

セレナもまた、彼のリザードンの強さを知る人物の一人である。

その口ぶりからして、彼女もカルムのリザードンには何度も打ちのめされた記憶があるのだろう。

セレナの口調からは、リザードンへの“畏怖”のようなモノが……感じられた。

「……我らがチャンピオンが誇る最強のポケモンですからね」

「先程のあの失態も、彼ならば……一瞬にして返せるでしょう」

……と、ズミは相変わらずカルムに対しては依然として辛口な評価を出しつつも、その一方でリザードンの実力については心から認めているようであり……。

「ここから先は……そう」

「“メインディッシュ”と呼んで差し支えない戦いを期待しても良い……!」

……ここに来て、ズミは……この大会で初めて、頬を緩ませた。
 ▼ 291 mTQB7XkZdk 18/09/12 20:38:02 ID:S6LEZz.E [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
その表情はまるで、フルコースの主役を心待ちにする高貴な貴族のそれであり、そして彼がこんな表情をするのは極めて異例のこと。

彼は常に辛辣だが、故に、稀にこのような笑みを見せた時には……疑いようのない快挙が間もなくやって来ると心から人に信じさせる。

コルニとルカリオ、セレナの三者は互いに小さく頷き、ここからの戦局に大きな期待を抱くのだった……。

***

「さあ……始めようぜ」

……カルムは帽子の鍔をつまみ、その位置を調整した。

その何でもないような仕草一つに、得も言われぬ“覇気”のようなモノが宿っている。

ゴールドとミヅキは、これまでとは一味違う強敵の出現に気を引き締め直す。

……だが一方でレッドは、これ以上なく頼もしい味方の出現で一気に心が軽くなった。

かつての特訓で、カルムのリザードンに還付なきまでにボコボコにされた苦い経験を持つレッドだからこそ、味方に回した時の心強さを誰よりも味わえている。

メガリザードンXが出てきたその瞬間から、レッドは確信したのだった。

……この戦いに、一つの“革命”が起こると。

「……リザードン、《りゅうのまい》だ」

「存分に、荒々しく……舞い踊れッ!」

リザードンの出陣にあたり、まず行われるのは……開戦の儀式。
 ▼ 292 mTQB7XkZdk 18/09/12 20:38:55 ID:S6LEZz.E [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「……リザァッ!」

リザードンは黒翼をはためかせ、瞬間、蒼焔を纏って回転しながら上昇した。

その咆哮をまるで歌のごとく奏で、風の音でハーモニーを作り……。

……猛り狂えるドラゴンのレクイエムを、嵐が如く舞踏に乗せて……!

「――させると思いますか!?」

「メガヤンマ、《エアスラッシュ》!」

「ヤンマッ!」

……例え妨害が入ろうとも……。

「――リザォォォッ!」

「ヤンマァ……ッ!?」

……その舞は、決して崩れることはない!

「バカな……!?」

「おいおい、野暮なことするなよ……ギャラリーが興醒めしたらどうするんだ?」

リザードンの舞は、メガヤンマの起こした旋風刃すら軽く粉々にしてしまう程に激し過ぎた。

ゴールドの邪魔立ては虚しく弾き返され、舞は滞ることなくやがてフィナーレへと至る。
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