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【便乗超絶新訳SS】継承と断絶【新訳】

 ▼ 1 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/09/27 17:13:15 ID:uiLQ6Eoo NGネーム登録 NGID登録 報告
↓原作
http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=744485

ここは飛行機の中。

───長らくのご搭乗ありがとうございました。当機はまもなく、目的地であるアローラ地方、ハウオリ国際空港に到着いたします。
───Thank you for………

???「ハンサムさん、まもなく空港に着くそうです。そろそろノートパソコンをしまった方がいいかと」

ハンサム「………そうか、ありがとうアヤメ君」

ハンサムはノートパソコンを鞄の中にしまった。

アヤメ「しかし………我々も不幸なものです。アローラと言えば超有名一流リゾート地。任務で来ているのは我々だけかと………」

ハンサム「心配ない。私たちなら任務を素早く片付けて余った時間で観光を楽しめるだろう」

アヤメ「すぐに片付くと良いのですが」

ハンサム「だが、こんな狭苦しい機内で愚痴をこぼしても仕方ないではないか。ネガティブになっていてはクリアできる任務もクリアできなくなる」

アヤメ「………そうかもしれませんね」

───皆様、当機は着陸態勢に入りました。シートベルトを………

そして、二人を乗せた飛行機はアローラに降り立った。だが、二人はまだ、今回の任務がアローラの運命を左右する程重要であることに………!
 ▼ 135 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/29 20:05:52 ID:4XPQjdcQ [1/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「良く考えましたね。アヤメさん」

アヤメ「………気づいたのね」

ランクルス「クックック………」

シンリ「ランクルスがヴァンディの攻撃を受ける刹那、"かいふくふうじ"を使用した、そうですね?」



ハラ「なるほど、それで体力が回復しなかったのですな」

サトシ「"かいふくふうじ"?」

ロトム図鑑「説明ならボクに───」

ククイ「"かいふくふうじ"は文字通り受けたポケモンの体力回復を封じる効果を持っている」

サトシ「へぇ〜」

ククイ「しかし、一般的なポケモンバトルでは使用する機会の少ない技だ」

ハラ「しかし、体力に依存する特性を持つヴァンディには切り札となり得るのです。それも、ヴァンディが連戦を強いられていれば尚更です」

マーマネ「ちょっと待って!そんな技をわざわざ覚えさせていたって事は………」

リーリエ「論理的結論としてアヤメさんはヴァンディのことをしっかり調べていたのです」



アヤメ「最初からランクルスでヴァンディを倒せると思っていなかった」

シンリ「………なるほど」

アヤメ「でも、"トリックルーム"によって優位に立つことは可能………そこで、体力を可能な限り削って、サトシ君に繋げることにした」

シンリ「………すべて計算済み、というわけですね」

アヤメ「それが国際警察の実力ということよ………さあ、サトシ君とのバトルに臨みなさい」

ランクルス「クックック………」

アヤメ「体力を大きく失い、特性も効力を失ったそのヴァンディで!」













シンリ「ふっ………はははっ!」

シンリ「………ククイ博士、"かいふくふうじ"の効果は、ポケモンをボールに戻せば消える、違いますか?」
 ▼ 136 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/29 20:12:29 ID:4XPQjdcQ [2/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ククイ「えっ、ああ………確かに"かいふくふうじ"の効果はボールに戻れば消える」



シンリ「残念ながら、まだ俺は薬を持っているんですよ」

アヤメ「ふ〜ん。まぁ、全ては計算の内………なんだけど」

シンリ「へぇ〜、せいぜい強がっててくださいよ」

ヴァンディ「ヴァヴァーン!」



ククイ(シンリがヴァンディをボールに戻すことをアヤメは予測していなかったのか………?)



アヤメ「………」

ランクルス「クックック………」



ククイ(それにしては"勝利を確信している"と言わんばかりの表情………ポーカーフェイスなのか?)



シンリ「所詮国際警察もその程度………」シュィィン

シンリはヴァンディをボールに戻した。

そして、その時、勝利を確信した叫びを………


















アヤメ「デデンネ!今よ!」

国際警察のアヤメが放った。
 ▼ 137 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/29 20:26:49 ID:4XPQjdcQ [3/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
突如、茂みからデデンネが飛び出し、シンリをほっぺすりすりで攻撃した。



デデンネ「ンネンネンネンネンネ!」ビビビビビ!

シンリ「ぐっ………!」ポトッ

奇襲。シンリはヴァンディのボールを落としてしまった。



アヤメ「ランクルス!」

ランクルス「クルクルクル………!」

ランクルスはサイコキネシスで地面に落ちたボールを手繰り寄せる。



シンリ「しまった………ヴァンディが………」



ヴァンディのボールは今やアヤメの手にある。アヤメはもう片方の手で機械を取り出し、ボールに対してそれを使った。

アヤメ「ボールロック、完了」



マーマネ「聞いたことがある。国際警察には、相手のモンスターボールをロックして、抵抗できなくする方法があるって」

マオ「でも、まだシンリにはオーカサスが………」

ククイ「恐らく、オーカサスはもう戦えないのだろう」

ハラ「だからこそ、シンリはヴァンディを使った」

スイレン「シンリ、何も、出来ない………」
 ▼ 138 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/29 20:36:23 ID:4XPQjdcQ [4/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンリ「オーカサス、ヴァンディ、俺は………」ガクッ

アヤメ「だから言ったでしょ?全て計算済みと」

ランクルス「クックック………」

アヤメ「最初から私の狙いは、あなたがヴァンディをボールに戻した瞬間だった。その一瞬だけ、あなたが私の攻撃に抵抗する術がない」

アヤメはエーテルガンをシンリに向けた。

シンリ「俺を………どうするつもりですか?」

アヤメ「このエーテルガンには胞子薬剤弾が入っているわ………。そうね、あなたは胞子薬剤の効果で眠って、そのままアローラ警察に身柄を拘束されると思う」

シンリ「全てが終わった、そういうことですね?」

アヤメ「いいえ、あなたはまだやり直せる。未来の事は、誰にも分からない」

シンリ「………」

アヤメ「おやすみなさい」

アヤメは引き金を引いた。

ボムッ………

シンリの顔面を胞子薬剤が覆い、そしてシンリは眠りに落ちた。



ハラ「これで終わった………いや、これから始まるのですな」

ククイ「俺たちアローラの人間が真にZ技と向かい合わなくてはならない………」



ポケモンスクールの生徒たちは少しの間、言葉を失っていた。そしてしばらくして、ククイ博士の元に集まった。

先生と生徒は、何かを話し合っているようだった。しかし、それは次第に、パトカーのサイレンに掻き消されていった。

そしてアヤメはパトカーの到着を見てハンサムに連絡を入れた。

"シンリを拘束しました"

時刻は午前8時半。ポケモンスクールの始業の時間だ。
 ▼ 139 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/29 20:48:12 ID:4XPQjdcQ [5/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
国際警察のハンサムは用心深い男であった。「明日の朝一番の船でアルテミナに向かえ」という指示を聞いて、即日アルテミナに渡ったのだから。

リガン「しかし、なぜですか?」

ハンサム「仮に通信が傍受されていたとしよう。そうなると私は待ち伏せされてしまう」

マチエール「ハンサムおじさんはポケモンを持っていないですからね」

ハンサム「さて、手順を確認しよう」

ハンサムたちはアルテミナ警察の本部の入り口にいた。

プルルルル………

ハンサム「ちょっと待ってくれないか?アヤメ君から連絡が入った。………なるほど、シンリを捕らえたとのことだ」

リガン「これで時間に余裕ができますね」

ハンサム「ああ」



そして作戦会議。

ハンサム「警察本部は朝9時から受付を始めるが、我々は国際警察だ」

リガン「"シンリを捕らえた"という報告だけでも、今すぐ入るパワーがある」

ハンサム「もっとも、断られようが入るのだがね」

マチエール「………私が係員に変装しますから、館内では私の指示に従って行動してくださいね」

ハンサム「分かっている」

リガン「目標は8時55分。その時間に、"定時連絡"がある」

マチエール「ふふっ、楽しみですね。どんな"定時連絡"なのか」
 ▼ 140 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/29 20:56:40 ID:4XPQjdcQ [6/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
そして作戦は実行に移された。

ハンサムたちはすんなりと警視総監、フォルスの部屋の前に到着した。

リガン「8時54分………。そろそろだ」

ハンサム「よし………」

ハンサムは懐から通信機を取り出した。

マチエール「私が扉に耳を当てて中の様子を伺います。私の合図で部屋に入ってください」









アルテミナ警察本部 警視総監室(室内)



プルルルル………

8時55分の定時連絡だ。

フォルスは受話器を取った。

"こちら終わりの島。定時連絡です"

フォルス「うむ、ご苦労」

"本日は一つ緊急の連絡があります"

フォルス「ほう。何だ?」

"警視総監殿、あなたを───"

ガチャ!

扉が開いた。

ハンサム「"フウラシティにおける研究員誘拐事件の首謀容疑、並びに当該研究員の監禁に関与、支援した疑いで拘束させていただきます"」

フォルスは思わず受話器を取り落とした。



ガガガッ!

ハンサムの通信機が悲鳴を上げた。通信相手が受話器を取り落としたのだ。無理はない。

 ▼ 141 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/29 21:06:05 ID:4XPQjdcQ [7/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ハンサム「警視総監殿、物は大切に扱わないといけませんよ」

フォルス「お前は何者だ?」

ハンサム「私はハンサム。国際警察だ」

フォルス「国際警察………面白い」

マチエール「我々は既に研究員を救出、保護しました。さらに、見張りと思われる人間を拘束、聴取の結果、この人間はアルテミナ警察の人間だと判明しました」

リガン「更にフウラシティ内の自動車の監視システムのデータから、アルテミナ警察の車両が誘拐に関与したことが明らかになっている」

フォルス「ふん、どれも私の部下が独断でやったことだ」

ハンサム「では、定時連絡についてはどう説明するつもりですか?研究員を監禁していた者が"あなたに"連絡していたという事実を」

フォルス「私は知らん。何も、な」



"こちら終わりの島、定時連絡です。研究員は特に異状ありません"



フォルス「この音声は………」

マチエール「昨日の午後8時55分の定時連絡です。その通信を傍受、録音しました」

ハンサム「これでも、関与していないとおっしゃいますか?」

フォルス「………だが、私には動機がない。そもそも、なぜ私がそんなことをやらねばならないのだね?」



リガン「それはお前がアルテミナの人々を"真理"から遠ざける必要があるからだ!」
 ▼ 142 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/29 21:20:19 ID:4XPQjdcQ [8/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
リガン「お前には息子がいる。息子の名は"ライ"………」

フォルス「あぁ、そうだ。よく知っているな」

リガン「お前は今年のアルテミナリーグ決勝戦でライが負けた理由を分析した………。そしてそれが、"Z技の連続使用による疲労"であることに気づいた」

フォルス「なるほど」

リガン「普通の人間なら息子にそれを教えるだろう………だが、お前は考えた───」

リガン「"シンリ以外のアルテミナの他のトレーナーはまだこの事実を知らない。この状態が続いている間は、ライが注意すべき相手はシンリだけだ"と」

フォルス「………」

リガン「しかし、それすらも"偽の王家"の末裔であるお前にとっては時間稼ぎですらない。違うか?」

フォルス「………そこまで知っているとはな」

リガン「お前の狙いはライがヴァンディを手にするまで情報アドバンテージの力でライをチャンピオンの座に居座らせ続けること。ヴァンディを手にすればライが負けることは無いからな」

ハンサム「ライがチャンピオンに、フォルスが警視総監に………。これこそが、お前たち親子によるアルテミナ支配の全貌だ」

フォルス「ふっ、ふははははは!」

ハンサム「おや、どうしました?」

フォルス「君たちは今のアルテミナチャンピオンが誰かを知っているか?シンリだ。ライじゃない」

リガン「ええ。そうですね。しかし、警視総監の力があればありもしない罪をでっち上げることも可能だ。さらに言えば───」

リガン「ライを利用しシンリを挑発することだってできる。シンリの性格と実力を考えれば、今アローラで起きていることも誘導可能な範囲だ」

フォルス「面白い発想じゃないか。シンリは俺の力で追い落とす。その後釜にライを置けば良い、と」

リガン「そうだ。違うか?」
 ▼ 143 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/29 21:33:13 ID:4XPQjdcQ [9/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
リガン「少なくとも、お前は国際警察に要請を出した」

フォルス「ああ。シンリはアルテミナの名誉を損なう存在だからな」

リガン「そうか。残念だがそれはおかしい」

フォルス「何?」

リガン「お前にリークされた映像はシンリが転校した当日、カキというトレーナーをシンリが倒し、ZリングとZクリスタルを破壊するという内容の筈だ。それも、それがリークされたのは撮影日の翌日だろう?」

フォルス「な、なぜそれを?」

リガン「俺がライにそれを渡したからだ。とにかく、要請とお前がシンリの犯罪行為を知ったタイミングにはラグがある」

ハンサム「フォルス、君はシンリがより重大な罪を犯し、ポケモンリーグ挑戦資格永久剥奪に相当するまでタイミングを伺っていた」

フォルス「………ちっ、そこまで気づかれたのか」

リガン「そうだ。これで動機も十分。大人しく───」



と、ここでフォルスが机に手を伸ばした。

フォルス「残念だよ。君たちはここで消える」

リガン「ほう」

フォルス「君も言ったように、俺は王家の末裔だ。その意味は分かるか?」

リガン「………まさか」

フォルス「残念だがそのまさかだ。私も"ヴァンディ"を持っているんだよ!」ボムッ!

ヴァンディ「ヴァヴァーン!」
 ▼ 144 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/29 21:45:23 ID:4XPQjdcQ [10/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
リガン「逃げるつもりか?」

フォルス「まさか?残念だが私に不利になる証拠はしっかりと握られているようだ。それなら、お前たちを消す他無いだろう?」

マチエール「我々国際警察が、簡単にやられると思う?」

フォルス「思っているよ。さあ、警視総監室では手狭だ。決戦の舞台に赴こうではないか。そこで、お前たちにアルテミナを統べる力を見せてやろう」

フォルスはそう言い、3人を訓練場に案内した。



フォルス「私はヴァンディしか持っていない。それ以外のポケモンなど、アクジキングの糞みたいなものだ」

フォルス「せいぜい束になってかかってくるがいい」

ハンサム「私はポケモンを持っていない………。ルールは1対2、リガンとマチエールが1匹ずつでいいな?」

フォルス「構わんよ。お前たちではヴァンディには勝てない」

ヴァンディ「ヴァヴァーン!」



リガン「やはりこういう展開になりましたね」

マチエール「ええ………」

リガン「それでは、手筈通りに行きましょう」

マチエール「あの技を狙うんですね」

リガン「はい。あの技こそが、ヴァンディの力を奪う最善の一手です」

ここで、ハンサムがリガンに歩み寄った。

ハンサム「リガン………いや、シンリ君」

シンリ「………あの日記を読んだんですね」

ハンサム「これを」

ハンサムは、グズマから預かった道具をシンリに渡した。

シンリ「これは………」

ハンサム「覚えているか?これが何かを」

シンリ「ええ………10年間、忘れたことはありません」

そう言うとシンリは腕にZリングを嵌めた。

ハンサム「頼むぞ」

マチエールとシンリは頷いた。


マチエール「お願い!カラマネロ!」
リガン「行けっ!オーカサス!」
 ▼ 145 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/01/07 09:47:27 ID:YWz63wZY NGネーム登録 NGID登録 報告
3体のポケモンが睨みあう。最初の指示はほぼ同時だった。

マチエール「トリックルーム!」
フォルス「プロミネンス!」
シンリ「ストーンエッジ!」

ヴァンディの攻撃がカラマネロを襲う。

フォルス「この私がトリックルームを通すと思ったか?」

シンリ「いえ、まったく。だからこそ………」

ズドッ!

カラマネロの目の前に岩が飛び出し、ヴァンディの攻撃はそれにより防がれた。

シンリ「カラマネロを守るように指示を出したんですよ」

フォルス「………ほう」



カラマネロ「ネロネロネロ………」

3体のポケモンを摩訶不思議な空間が取り囲む。カラマネロがトリックルームの発動に成功したのだ。

シンリ「トリックルームの中ではヴァンディはほとんど動けない。覚悟してください」

フォルス「残念だが………お前らのポケモンごときがヴァンディの牙城を崩すことは出来ん。トリックルームが切れるまで耐えれば良いだけだ」

シンリ「あまり俺たちをナメないほうがいいですよ」



シンリ「接近してりゅうじんづき!」
マチエール「ばかぢから!」
 ▼ 146 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/01/07 23:05:42 ID:VCrE8TKg NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
オーカサスとカラマネロが動けないヴァンディに飛びかかった。

マチエール「カラマネロの特性はあまのじゃく………。ばかぢからを使えば使うほどダメージが強化されていく」

シンリ(オーカサスは10年前とは比べ物にならないぐらい強くなった………必ず勝ってみせる!)

ドスッ!ズドッ!

次第に激しくなる攻撃。それでもフォルスは動じない。

フォルス「耐えろ!耐えた先にのみ活路は開ける!」



ピトッ………

カラマネロの攻撃が止まった。

マチエール「カラマネロ!」

シンリ「ばかぢからを連発して疲れたんだ!」

カラマネロ「ネロ………」

フォルス「ハッハッハ!国際警察ともあろう者が情けない!やはりヴァンディには───」

フォルスの口が一瞬止まった。

フォルス「勝てるはずもない!」



マチエール「見て!ヴァンディの光が………」

マチエールが指差した先には光を失ったヴァンディの姿があった。
 ▼ 147 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/01/23 19:25:21 ID:0kXYFBgs NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
フォルス「ヴァンディの強さの本質は光ではない。たとえ光が失われようとも、ヴァンディの………そして私の優位は揺るがぬ」

シンリ「それはどうでしょう?」

フォルス「何?」

シンリ「ヴァンディの光が失われたということは、ヴァンディの体力が大きく失われたということ。そして───」

シンリが天井を見上げた。

シンリ「トリックルームの効果はまだ残っている。このまま攻撃を続ければ、俺たちが勝つ」

フォルス「残念だが、そうはいかんよ。そろそろタイムリミットだ」

シンリ「………?」

フォルス「見たまえ、トリックルームを。色が………薄くなっているだろう?」

シンリ「………確かに」

フォルス「トリックルームは残り10%といったところか。90%をかけて、やっとヴァンディの体力を半分まで削った程度の実力で、削りきれるものか」



シンリ「………残り時間が少ないのなら、一撃に全てを込めるのみ」

フォルス「………ほう」

シンリ「俺たちの全力を見せてあげますよ」

 ▼ 148 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/02/02 23:42:22 ID:m.9kGL/w [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「俺はZ技からトレーナーとポケモンの絆を学んだ………。Z技は素晴らしいものだ。アローラ、そしてアルテミナのみならず、世界中の人に知って欲しい絆だ」

オーカサス「カサァス!」

シンリ「だからこそ俺は、Z技を私利私欲のために使う人間に負けるわけにはいかない!」

シンリがゼンリョクポーズの構えに入った。

シンリ「"10年前"の後悔を………ここで断ち切るッ!」

オーカサス「カサァァァァァァァァス!」

オーカサスがシンリに呼応するように咆哮した。



ハンサム(彼は"10年前"、Z技を忌み嫌っていた………。だが、彼の想いは"10年前"から変わっていないのだろう)



シンリからZパワーが溢れ、オーカサスに注ぎ込まれ………そして、Z技が放たれた。

シンリ「絶対捕食回転斬ッ!」

オーカサス「カサァァァァァァァァァス!」シュルルルルル!

ヴァンディ「ヴァン……」グルグル………



 ▼ 149 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/02/02 23:59:54 ID:m.9kGL/w [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
マチエール「これが………Z技………」



バァァァン!

オーカサス「カサァァァァァァァァァス!」グルングルン………

ヴァンディが絡めとられた糸の玉は叩きつけられ、振り回された。

シンリ「とどめだ!」

オーカサス「カサッ!」ビュン!

オーカサスが糸の玉に飛び掛かった。

ズバッ!



ヴァンディ「ヴァン………」バタッ



フォルス「ヴァンディ!」

フォルスがヴァンディに駆け寄った。しかし、もうヴァンディに戦う力は残されていなかった。

ハンサム「勝負あり………だな。フォルス」

シンリ「あなたの野望は終わりだ。アルテミナの人間は真実を知る。そして、ポケモンたちも守られる」

フォルス「………」

ハンサム「外には警官隊が待機している。さあ、ついてくるんだ」



こうして、アルテミナ警察長官フォルスは逮捕された。そしてその日の正午、エーテル財団から"Z技の連続使用とその負荷"という論文が発表された。


 ▼ 150 ククラゲ@いしょうトランク 19/02/03 11:15:26 ID:4Fb.qjrk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 151 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/02/22 19:23:32 ID:.xFYw/JM NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
その頃、サトシたちはポケモンスクールの教室にいた。教室には空席が一つ、三十数日前にはなかった椅子と机があった。

サトシ「なぁ、シンリはこれからどうなるんだ?」

リーリエ「そうですね………論理的結論として何らかの処分を受けることになると思います」

マオ「処分って………刑務所?」

リーリエ「………シンリの年齢を考えるとそうはならないのではないでしょうか?」



そこに、ククイ博士が入ってきた。

ククイ「みんな、遅くなってすまなかったな。何の話をしてたんだ?」

リーリエ「シンリがこれからどうなるかという話です。ククイ先生、シンリは………」

ククイ「ああ………島キングたちは"一定期間のアローラ入国禁止"を課すつもりだそうだ」

マーマネ「それってどういうこと?」

ここで、カキが入ってきた。

カキ「共に生きることを拒むということだ」

サトシ「カキ!」

カキ「みんな!心配かけてすまなかったな」

リーリエ「カキ、共に生きることを拒むとはどういうことでしょうか?」
 ▼ 152 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/02/27 08:57:16 ID:t4kUIzpA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
カキ「昔からアローラの人間は互いに助け合って生きてきた。だから、どんな人でも拒むことはしない」

カキは少し間を置いた。

カキ「………たとえ、ブルガンのような人でもだ」

ククイ「"共に生きるのを拒む"というのは、存在そのものがアローラの危機だということ………。シンリはそれほどのことをしてしまったんだ」

サトシ「でも、シンリは悪い奴じゃない!」

ククイ「………どうしてそう思うんだ?」

サトシ「それは………」

ロトム図鑑「シンリのポケモンはよく育てられていて、連携もバッチリだったロト!」

サトシ「そうだよ!シンリとオーカサスの間には絆があったじゃん!だから───」

ククイ「───悪い奴じゃない、サトシはそう思うんだな?」

サトシ「うん」

ククイ「他のみんなはどうなんだ?」
 ▼ 153 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/02/27 23:32:45 ID:t4kUIzpA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
マオ「私も!」

マーマネ「僕もそう思うよ」

リーリエ「わたくしもです!」

ククイ「カキ、お前はどうなんだ?」

カキ「俺は、あいつのことが許せない」

みんな「!」

カキ「でも、シンリに破壊を許したのは止められなかった俺だ。だから、弱い自分も許せない………」

ククイ「みんなの気持ちはよく分かった。だが、シンリがZリングやZクリスタルを壊して回ったのは事実だ」

ククイ「"根は優しい"とか、"本当は悪い人じゃない"とか、そういう言葉でごまかさずに、しっかりと向き合わないといけないんだ」

ナリヤ「その通りじゃのび〜」

ナリヤ校長が教室に入ってきた。

ナリヤ「実力には責任が伴うのじゃ。己の強さを律する………つまり力の使いどころを自分で考えないといけないということじゃよ」

ククイ「島キングたちは、シンリが、自身のポケモントレーナーとしての実力をあのように使ったことに問題があると考えた」

ククイ「このままアローラに留まればより恐ろしいことを起こすかもしれない………そう警戒したんだ」
 ▼ 154 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/03/06 15:21:59 ID:ce4MYsls NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
サトシ「シンリはそんな事しないよ!」

ピカチュウ「ピカッ!」

ククイ「どうしてそう"言える"んだ、サトシ?」

サトシ「それは………」

ククイ「一度失った信用は簡単には戻らない。"やった"ということは"できる"ということだ」

リーリエ「アローラの多くのポケモントレーナーに島キングや島クイーン………それだけのトレーナーを倒す実力があれば、いくらでも悪事をはたらくことができるかもしれません」

サトシ「リーリエ………」

しばしの沈黙、そして、カキが口を開いた。

カキ「それを出来なくするのが俺たちの役目じゃないのか?」

ククイ「………そうだな」

カキ「俺は勝てなかった。だから、強くならないといけない」

カキ「………サトシ、付き合ってくれるか?」

サトシ「ああ!」

カキとサトシは教室を出ていった。

マーマネ「あっ!待ってよ〜!」

リーリエ「私たちも行きましょう!」

マオ「うん」

スイレン「そうだね」



こうして、教室にはククイ博士とナリヤ校長が残された。

"行くぞっ!バクガメス!"
"ピカチュウ、君に決めた!"

ククイ「あいつら………」

ナリヤ「サトシ君やカキ君、あの子達のようなトレーナーがいる限り、アローラは安泰じゃよ」

ククイ「そうですね」

"バクガメス!オーバーヒート!"
"ピカチュウ!10まんボルト!"
 ▼ 155 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/03/08 10:59:40 ID:fGIQ8xN2 NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
その頃………

アルテミナ地方 空港

ハンサム「もう出発するのか」

シンリ「はい。もう俺はここにいていい人間じゃありませんから………」

ハンサム「………そうだな。しかし、10年後に帰ったら君はどうなるのだろう?」

シンリ「さぁ………。戻らないと分かりませんよ」

ハンサム「確かにそうだろうな」

ピンポンパンポーン

"13:30発、コトブキ国際空港行きは間もなく保安検査を終了致します。まだ保安検査がお済みでないお客様は………"

シンリ「もう時間ですね」

ハンサム「そうだな。………ありがとう」

シンリ「こちらこそ俺のわがままの為にありがとうございました」

ハンサム「これからも頑張れよ」

シンリ「はい」

こうして"10年後の"シンリは保安検査場に向かった。
 ▼ 156 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/03/21 12:07:54 ID:D7XAXaG2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
それから数日後、シンリの処分が決定され、リリィタウンのハラの邸宅でそれは伝達された。

ハラ「1年間のアローラ入国禁止………ですな」

シンリ「はい」

クチナシ「おまえさんは一週間以内にアローラを去り、それから1年間はアローラに戻れない」

ハラ「アローラで"やり残した"ことがあるなら今のうちですぞ」

シンリ「はい」



シンリ「………もう話は済みましたか?」

クチナシ「えっ………あぁ、もう大丈夫だ」

シンリ「迷惑をかけてすみませんでした。では………」

バタン…

そう言ってシンリは邸宅を去った。



ハラ「クチナシ殿、我々は何かを間違えてしまったのですかな………?」

クチナシ「………俺は、あんたが5年前にアルテミナにZワザを布教したのは間違いではないと思うがな」

ハラ「なぜそう思ったのです?」

クチナシ「あんたはZワザが良いもんだって信じてるじゃねぇか………。ポケモンを愛し、人間を愛し、アローラを愛し、Zワザを愛している。そんなあんただから、想いが伝わってアルテミナにZワザが広まったんじゃないか」

ハラ「本当にそうなのでしょうか?シンリの話では、アルテミナのトレーナーたちは………」

クチナシ「ポケモントレーナーが勝利を求めて何が悪い?誰もイカサマをしたわけじゃないんだ。気にすることはない」

 ▼ 157 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/03/21 12:22:18 ID:D7XAXaG2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ハラ「しかし、アルテミナのポケモンたちは現に傷ついてしまったのです」

クチナシ「そうだな。だが、ポケモンバトルというものはそういうもんじゃないか」

クチナシ「自分のポケモンが傷つくからこそ、今度は傷つかせまいと鍛え、作戦を練る。ポケモンとトレーナーの絆ってのは、そうやってできていくんじゃないか」

ハラ「そうですな………。しかし………」

クチナシ「"誰も知らなかった"んだ、最近までは。気にすんな」

ハラ「………確かに」

クチナシ「俺たちがやるべきなのは過去をつっつくことじゃないはずだ」

ハラ「ですが、何をすれば良いのでしょう?」

クチナシ「………今まで通りでいいじゃねえか。変に変わろうとする必要はない」

ハラ「………そうかもしれませんな」



クチナシ「俺はもうウラウラに戻るぜ」

ハラ「今日は御苦労様でした」

バタン…

クチナシもハラの邸宅から出ていった。
 ▼ 158 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/03/25 09:40:57 ID:gbCEKpSE NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
その頃………

ククイ「シンリの処分が決定された」

リーリエ「ククイ博士、シンリはどうなるのでしょうか?」

ククイ「あぁ、"1年間アローラ入国禁止"だ」

マーマネ「1年………長いね」

リーリエ「シンリがアローラに与えた影響を考えれば短すぎる気もしますが………」

シロン「こぉん……」

スイレン「長くて、短い、1年」

カキ「当然の報いだ!」

マオ「カキ………」

カキ「あいつは、シンリはアローラの人間を踏みにじったんだ。永久追放でも短すぎる」

ククイ「みんな………」

と、そこにナリヤ校長が入ってきた。

ナリヤ「みんな元気にしとるかの〜?」

ククイ「オーキド校長、どうされましたか?」

ナリヤ「実は、ククイ君のクラスのみんなに会いたいという者がおってな」

ククイ「それはもしかして………」

ナリヤ「うむ、シンリ君じゃよ」
 ▼ 159 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/03/27 22:56:27 ID:DbTYFe5o NGネーム登録 NGID登録 報告
シンリ「久しぶりだね」

カキ「何の用だ!」

シンリ「………」

みんな「………」

シンリ「みんなに謝りたいんだ」

ククイ「そうか………。みんな、シンリの話を聞いてくれるか?」

リーリエ「分かりました」

カキ「俺は嫌だ」

ククイ「カキ……」

カキ「今回の事件は謝って赦されることじゃない。あと1歩で、Zワザという存在が、世の中から消えるところだったんだぞ!」

カキ「それがどういうことなのか、お前に分かるのか?」

シンリ「………僕には、アルテミナのポケモンしか見えていなかった」

シンリ「Zワザが無くなることでアローラのトレーナーとポケモンたちにどんな影響があるのか、それはどうでもよかった」

サトシ「シンリ……」

カキ「シンリ、俺はお前を許すつもりは無い」

シンリ「そうか………」

カキ「だがそれ以上に、お前を止められなかった自分が許せない!勝負だシンリ!」



シンリ「………分かった。君たちの全力を、アローラのポケモンとトレーナーの全力の絆を僕に見せてよ」
 ▼ 160 ブトプス@きゅうこん 19/03/28 22:24:20 ID:YWUc/TxY NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 161 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/03/28 23:26:35 ID:y.3AyxWo [1/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ポケモンスクールの生徒たちは校庭に出た。1ヶ月前と同じく、カキとシンリのバトルを見届けるために。

シンリ「オーカサス!」ボムッ

オーカサス「カサァァス!」

カキ「出てこい!バクガメス!」ボムッ

バクガメス「ガメェェェス!」

ククイ「シンリ、オーカサスのケガはもう大丈夫なのか?」

シンリ「はい。お陰さまですっかり回復しました」

ククイ「そうか。もう無理をさせるなよ」

シンリ「はい」



マーマネ「カキもシンリも、あの時と同じポケモンを使うんだね」

マオ「1ヶ月前はカキが負けちゃったけど、どうなるのかな?」

リーリエ「カキは1ヶ月の間、ひたすら特訓に励んでいたとホシから聞きました。特訓の成果が試されますね」

サトシ「どっちも頑張れーっ!」

ピカチュウ「ピカッ!」



ククイ「バトルは1対1、どちらかのポケモンが戦闘不能になるまで続く。準備はできたか?」

カキ「こっちは準備OKだ!」
バクガメス「ガメス!」

シンリ「僕も大丈夫です」
オーカサス「カサァァス!」



ククイ「それではバトル……開始!」



カキ「かえんほうしゃ!」
シンリ「じしん!」
 ▼ 162 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/03/28 23:44:01 ID:y.3AyxWo [2/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
バクガメス「ガメッ………」グラグラ

カキ「まずはそう来たか………。左右に薙ぎ払うんだ!」

バクガメス「ガメェェェッ!」ボォォォ…

炎はオーカサスから外れたものの、オーカサスの側面から襲いかかった。それが数往復し、オーカサスは炎に晒された。



マーマネ「カキは"じしん"で足元を揺さぶられてもいいように対策してたんだね」

リーリエ「本来、"かえんほうしゃ"という技は直線的なものです。それを長い時間持続させることで、平面的にすることで、動きの鈍いオーカサスに効果的にダメージを与えています」

サトシ「カキ………。すごいぜ!」

マーマネ「でも、長く火を出すために火力を絞っているみたい………」

リーリエ「それでも、ダメージを与えることを優先したのでしょう」




オーカサス「カサァァ……」

シンリ(このままではオーカサスがやけど状態になってしまう………)

シンリ「じしんを止めて、いわなだれで自分を包囲しろ!」

オーカサス「カサッ!」ドドドドド

すぐさま、オーカサスの周りを岩が取り囲んだ。バクガメスの炎は岩に阻まれ届かない。

カキ「すぐに対処法を実行するとは………やっぱり只者じゃない。だがっ!」

カキ「バクガメス!オーカサスに向かって突っ込め!」
 ▼ 163 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/03/28 23:53:03 ID:y.3AyxWo [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
バクガメス「ガメェェェス!」ドスドス

シンリ(何を仕掛けてくる?だが………)

シンリ「オーカサス、気を付けろ!」コクッ

オーカサス「カサァァス!」コクッ



リーリエ「何でしょう?今のは」

マーマネ「どうしたの?」

リーリエ「今、シンリとオーカサスが何か合図を取っていたような………」



カキ「ドラゴンテールで岩を弾き飛ばせ!」

バクガメス「ガメェェェス!」グルン

オーカサスのすぐそこまで接近し、回転して尻尾を叩きつけようとするバクガメス。

バァァァン!

カキ「よし!岩が吹っ飛んだ!」

オーカサスの前方の岩が飛んでいった。

シンリ「ドラゴンテールか………よく考えたね。でも今、バクガメスはオーカサスに背中を向けている」

カキ「それがどうした!」

シンリ「その状態ではまともな回避行動はとれないだろう!ピラミッドホーン!」

オーカサス「カサァァス!」バァァン!



リーリエ「なるほど、そういうことでしたか」

マーマネ「どういうこと?」

リーリエ「恐らく、シンリはバクガメスが岩をどかすことを予測していたのです。そこで、あらかじめピラミッドホーンのチャージを開始しておき、バクガメスが岩をどかしたところにチャージが完了したピラミッドホーンを入れるつもりだったのです」

サトシ「シンリ………。すごいぜ!」

スイレン「相手の先を読む、これが本気のバトル………」
 ▼ 164 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/03/31 23:13:00 ID:7OcAnMio [1/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
バクガメス「ガメッ……」ズズズッ

カキ「ひるむな!からをやぶる!」

バクガメス「ガァァメス!」バリィン!



ロトム図鑑「ピラミッドホーンを受けた直後、オーカサスに背を向けたままからをやぶるなんて理解不能ロト!」

マーマネ「もう一発攻撃されたら終わりだ!」

と、その時………



バババババァン!

オーカサスが爆撃された。

オーカサス「カサッ!?」

シンリ「なんだこの爆発は!?」

カキ「バクガメスの甲羅は衝撃を受けると爆発する性質がある………」



ロトム図鑑「そうか分かったロト!ピラミッドホーンを敢えて背中で受けることで甲羅にエネルギーをため、からをやぶるで爆発する部分だけをオーカサスに飛ばしたんだロト!」

カキ「その通りだロトム!」

サトシ「カキ、すごいぜ!」

 ▼ 165 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/03/31 23:32:48 ID:7OcAnMio [2/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「1か月前とは違う………ということだね」

オーカサス「カサァァァス………」

カキ("からをやぶる"を使った以上ここからは短期決戦で行くしかない………)

カキ「バクガメス!一気に勝負をかけるぞ!」

バクガメス「ガメェス!」



リーリエ「カキは一気に攻めるつもりですね」

マーマネ「でも大丈夫かな?1か月前は、ダイナミックフルフレイムを凌がれちゃったんだよね?」

マオ「マーマネ、カキは1ヶ月の間、ずっと特訓をしていたのよ。前よりとずっと、ずっと強くなってるはず」

サトシ「そうだぜ!カキを応援しよう!」



カキ(みんな………)

カキ(俺はあの時、シンリの挑発に乗って、そして、負けた。それは俺が、あの時………)

"貴様っ…Zワザを愚弄するのか……?"

カキ("怒り"に突き動かされていたからだった。"怒り"ではシンリに並べても、追い越すことはできない)

バクガメスが振り返った。今、オーカサスとバクガメスは互いの出方を伺っている。バクガメスはカキの指示を待っていた。

バクガメス「ガメッ!」

カキ(だが、俺は気づいた。"怒り"の奥底にあるものに………。それは"誇り"!)

カキ(ご先祖様から代々受け継がれてきたZワザへの"誇り"こそが、俺にあってシンリに無いものだ!)

カキ「行くぞバクガメス!高く飛び上がりドラゴンテールだ!」

バクガメス「ガメェェェェス!」ピョォォン
 ▼ 166 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/03/31 23:47:31 ID:7OcAnMio [3/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「いわなだれで撃墜しろ!」

オーカサス「カサッ!」ダダダダダ………

カキ「りゅうのはどうで粉砕するんだ!」

バクガメスはドラゴンテールの構えを止め一直線に降下し始めた。

バクガメス「ガメェス!」ゴゴゴゴゴ…

岩はカキの指示通りに粉砕された。そして、その先にはオーカサスがいた。

オーカサス「カサァァァァァス!」ズザザザザ

シンリ「オーカサス!」



マーマネ「やった!オーカサスに効果は抜群だよ!」

リーリエ「オーカサスはかなりのダメージを負っています。カキにとっては、今が勝利への大チャンスですね」

サトシ「すごいぜカキ!」

マオ「ねぇリーリエ、カキは………Zワザを使うのかな?」

リーリエ「ZリングとZクリスタルは先日新しいものを受け取っていました。しかし1ヶ月の間、カキはZワザを使っていません。論理的結論としては、カキはZワザを使うと思いますが………」

リーリエ「うまくいく保証はありません」
 ▼ 167 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/04/01 00:04:15 ID:EDGwNK42 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
カキ「シンリ、俺はお前に負けて、色々考えたんだ」

カキ「どうして俺は負けたのか、Zワザとは何なのか、これからアローラはどうなるのか………」

バクガメス「ガメス………」

カキ「そのうち俺は一つの答えに辿り着いた」

シンリ「聞かせてもらおうか」

カキ「アローラの人々は何よりも"絆"を重んじている。そして、その結晶がZワザだ」

カキ「俺はZワザを扱う心構えとして、トレーナーとポケモンの絆こそが重要だと思っていた。だが、そうではなかった」

シンリ「………なるほど」

カキ「ポケモンとの絆と同様に、"対戦相手"との絆………バトルを通じて互いを理解しあおうと言う意思も必要だった」

カキ「Zワザは、戦いの道具でもないし、敵への制裁でもない。俺はあの時、お前を"敵"だと思っていた。だから負けたんだ」

カキ「俺はこのアローラに生まれたことを、Zワザを継承していることを誇りに思う。だがあの時の俺はその誇りを見失っていた」

シンリ「………それが君の答えか。なるほど」
 ▼ 168 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/04/01 23:25:27 ID:EDGwNK42 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「………」

カキ「話に付き合ってくれてありがとな。さあ、続きだ!」

バクガメス「ガメス!」

カキがZワザの構えに入った。

カキ「人とポケモンが共に暮らすアローラの地に代々受け継がれしこの力………」

カキ「万物への尊敬が、アローラの導灯となる!」

カキ「ダイナミックフルフレイム!」

バクガメス「ガメェェェェス!」


サトシ「カキのZワザだ!」

マオ「いっけぇ〜!」



自身の体躯の何倍もあろうかと言うほどまで火球は大きくなった。

シンリ「やはり"本当の"Zワザはすごい………。だが受けきってみせる!いわなだれ!」

オーカサス「カサァァァス!」

オーカサスの前方に岩が落とされた。

カキ「俺とバクガメスとアローラの全力、受けきれるかな?」

バクガメス「ガメェェェェス!」

 ▼ 169 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/04/01 23:32:22 ID:EDGwNK42 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ついに火球が放たれた。

カキ「いけぇぇぇぇ!」

シンリ「オーカサス!耐えるんだ!ピ───」

オーカサス「カサァ───」

オーカサスの姿が火球に呑まれて消えた。

爆炎、そして爆風。土煙は校庭の砂を巻き込みカキたちはおろか勝負を見届けていたサトシたちをも巻き込んだ。

カキ「くっ………なにも見えない!バクガメス!」

シンリ「もう一回だ!ピラミッドホーン!」

オーカサス「カサァス………」

オーカサスの返事。それは、オーカサスが"耐えた"ことを意味していた。



シンリ「これで終わりだ!」

シンリにもオーカサスにも何も見えていない。だが、オーカサスは為すべきを為した。

オーカサス「カサァァァァァス!」ドォン!

ピラミッドホーンは砂煙を突き進んだ。その周りから砂煙が晴れていく。徐々にシンリとオーカサスの前方が開けていく。そしてその先に───































バクガメスの姿は、無かった。
 ▼ 170 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/04/02 12:13:28 ID:pt0Ee67Y [1/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「しまった………!」

砂煙の先にはカキがいた。だが、バクガメスはいない。ピラミッドホーンは回避されたのだ。

カキ「りゅうのはどうで砂煙を薙ぎ払え!」

バクガメス「ガメェェェェス!」ゴゴゴゴ

ピラミッドホーンにより開けられた砂煙のトンネルに横穴が空いた。

バァン!

オーカサス「カサッ………」ガクッ

シンリ「オーカサス!」



ククイ「オーカサス、戦闘不能!よって勝者はカキ!」



カキ「やったなバクガメス!」

バクガメス「ガメェス!」ピョンピョン

シンリ「オーカサス、戻れ」ヒュィィン

カキ「どうだ?アローラの全力は?」

シンリ「すごかったよ。僕もアルテミナのトレーナーもまだまだだと感じたよ」

カキ「俺もまだまだだ。ダイナミックフルフレイムを耐えられるとはな」
 ▼ 171 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/04/02 12:39:40 ID:pt0Ee67Y [2/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「でも、それを見越していたんだろう?だからこそ、砂煙の中で動いた」

カキ「ああ。そして、すかさず反撃のピラミッドホーンを使うだろうということも」

シンリ「そうか」

と、そこにサトシたちが駆け寄ってきた。

サトシ「二人ともすごかったぜ!」

ピカチュウ「ピカッ!」

ククイ「熱いバトルだったぜ!」

シンリ「ありがとうございます。僕もまた、オーカサスやヴァンディとともに、Zワザを究めてみようと思います」

ククイ「そうか。ハラさんも喜ぶだろう」

マオ「シンリはハラさんから直接Zワザを教わったんだよね」

シンリ「はい。でも、あの時から………」

"絆?ああ、そんなこと言ったかな?"

シンリ「僕はアルテミナのトレーナーを、"対戦相手"として見ることが出来なくなってしまいました。だから、僕はアルテミナでZワザを使うのを止めたんです」

 ▼ 172 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/04/02 12:52:03 ID:pt0Ee67Y [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンリ「それでは、もう出発しないといけないので………。失礼しました」

ククイ「もう行くのか。これからどうするつもりなんだ?」

シンリ「そうですね………、カロス地方を旅しようと思います」

サトシ「カロス地方はいいところだよな、ピカチュウ?」

ピカチュウ「チュウ」

シンリ「カロス地方に伝わる"メガシンカ"に興味があります」

サトシ「そうなのか!カロスには、アランっていうすっげー強いトレーナーがいるんだぜ!」

シンリ「アラン………、ぜひとも勝負してみたいですね」

ククイ「カロスでも頑張れよ、シンリ!」

シンリ「はい」



サトシたちは校門に立ち、シンリの後ろ姿を見送った。

マオ「アローラに帰って来てね!」

サトシ「今度会ったらバトルしようぜ!」

シンリは何も言わず、ただ手を上げた。

ククイ「もうシンリはアローラに未練が無いみたいだな………。さあ、教室に戻って授業の続きだ!」

みんな「はーい!」



アローラは今日も晴天。輝く太陽はサトシやシンリ、そしてアローラ中のあらゆる生命の前途を照らすような眩しさだった。
 ▼ 173 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/04/02 22:21:46 ID:pt0Ee67Y [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
数日後 ミアレシティ ハンサムハウス

ハンサムが電話で話していた。

"今頃報告書か。ご苦労なこった"

ハンサム「クチナシ、お前に心配させれほど私は衰えてないよ」

"はっはっは、そうだな"

ハンサム「クチナシ、Zワザには命を懸けてまで継承させる価値があるのか?」

"あんたはアローラの人間じゃないからな。疑問に思うのも仕方がないことだろう"

ハンサム「昔話では、光を失った"かがやきさま"へ光を渡す儀式を模したものとされているが………」

"本当かなんて分かりゃしないさ。俺は島キングとして、そう言うわけにはいかないが"

ハンサム「ハラは、シンリにそれを教えなかった。5歳のシンリには理解できないと考えたのだろうな」

"そうだな"

ハンサム「シンリにとって、Zワザとは結局戦いの道具以外の何物でもなかった」

"そうだな"

ハンサム「クチナシ、話に飽きてきたな」

"そうだな"

ハンサム「切るぞ」

ハンサムは電話を切った。
 ▼ 174 WANクルス◆4AfqWzkuoM 19/04/02 22:32:11 ID:pt0Ee67Y [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
プルルルル………

ハンサム(おや………、ホロキャスターが鳴っている)

ハンサムはホロキャスターを手に取った。

ハンサム(次の任務か………。国際警察も暇ではないということか)

ハンサムはメッセージを見た。

ハンサム「カルモンテ島の異変の調査か………」

ハンサムはため息をついた。



コンコン

ハンサム(客か………。今は誰もいない、私が出るのか)

ハンサムは椅子から立ち上がり、戸口に立った。

ガチャ!

???「すみません、道に迷ってしまいまして」

ハンサム(ここは観光案内所ではないのだがな………)

ハンサム「そうですか。お名前を伺っても───」

シンリ「僕はシンリといいます。旅のトレーナーです」



おわり




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