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【便乗超絶新訳SS】継承と断絶【新訳】

 ▼ 1 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/09/27 17:13:15 ID:uiLQ6Eoo NGネーム登録 NGID登録 報告
↓原作
http://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=744485

ここは飛行機の中。

───長らくのご搭乗ありがとうございました。当機はまもなく、目的地であるアローラ地方、ハウオリ国際空港に到着いたします。
───Thank you for………

???「ハンサムさん、まもなく空港に着くそうです。そろそろノートパソコンをしまった方がいいかと」

ハンサム「………そうか、ありがとうアヤメ君」

ハンサムはノートパソコンを鞄の中にしまった。

アヤメ「しかし………我々も不幸なものです。アローラと言えば超有名一流リゾート地。任務で来ているのは我々だけかと………」

ハンサム「心配ない。私たちなら任務を素早く片付けて余った時間で観光を楽しめるだろう」

アヤメ「すぐに片付くと良いのですが」

ハンサム「だが、こんな狭苦しい機内で愚痴をこぼしても仕方ないではないか。ネガティブになっていてはクリアできる任務もクリアできなくなる」

アヤメ「………そうかもしれませんね」

───皆様、当機は着陸態勢に入りました。シートベルトを………

そして、二人を乗せた飛行機はアローラに降り立った。だが、二人はまだ、今回の任務がアローラの運命を左右する程重要であることに………!
 ▼ 35 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/10 16:29:46 ID:mB762uAs [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
一方、ポケモンスクールへと向かったアヤメは………

アヤメ(ここがポケモンスクール………)

校庭では男子二人がポケモンバトルをしていた。

アヤメ(あの赤い帽子の子………なんかテレビで見た気がするんだよね)

???「お待たせしましタマンタ タマタマ マンタイン!」

アヤメ「この人変だわ………(いえいえ)」

???「そんなこと言わないでクレッフィ!」

アヤメ「………」

???「私はナリヤ・オーキド。このポケモンスクールの校長デスマス☆」

アヤメ「………」

ナリヤ「さあさあ、応接室へ案内いたしまスイクン」

ナリヤとアヤメは応接室へ移動した。応接室では、ククイ博士が待っていた。

ククイ「これはこれは国際警察のアヤメさん、お待ちしておりました」

アヤメ「いえ。こちらこそ急な申し出にも関わらずありがとうございます」

ククイ「我々もこの問題を早期に解決したいと思っています。ですから協力するのは当然のことです」

ナリヤ「ところで、用件はなんデスカーン?」

アヤメ「あ〜、そうですね………生徒に話を聞いてみたいのですが」

ククイ「わかりました。教室にご案内しましょう」
 ▼ 36 ロリーム@そうこのかぎ 18/10/10 16:30:27 ID:kUHIOC1E NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 37 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/10 16:46:25 ID:mB762uAs [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
教室には女子が3人いた。

ククイ「まず、このアローラロコンと一緒にいる子がリーリエです」

リーリエ「わたくしはリーリエです。よろしくお願いします」

ククイ「アマージョを連れている子がマオ」

マオ「よろしくお願いします!」

ククイ「青い髪の子がスイレン」

スイレン「よろしく」

ククイ「どうします?別室を用意して一人ずつ話を聞きますか?」

アヤメ「いえ、大丈夫です」

アヤメは3人をじっと見た。

アヤメ「えーっと、みんなシンリ君のこと知ってる?」

リーリエ「はい───」

リーリエはシンリが転校してきてからのことを説明してくれた。

アヤメ「じゃあ、彼は転校してきたのね。そしてあんなことを………」

マオ「実は、シンリと二人きりで話したことがあるの!」

マオはシンリと放課後に偶然出会った時のことを話してくれた。

アヤメ「なるほど。そんなに悪い奴って感じじゃなかったのね」

マオ「うん………。きっと、こんなことをするのにも理由があると思うの」

スイレン「シンリの連れているポケモン………すごく強い」

スイレンはオーカサスの戦闘力について見たままに教えてくれた。

アヤメ「なるほど………(エーテルパラダイスの会議で知ってたけど)」

アヤメ「みんなありがとう。ところで、校庭でバトルしている二人は?」

ククイ「まず、赤い帽子の子がサトシだ」

マオ「サトシはカロスリーグで準優勝したんだよ!」

アヤメ「あぁ〜、だからテレビで見た気がしたんだ」

ククイ「そして、もう一人の少年………」

ククイ「彼が、シンリです」
 ▼ 38 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/10 20:37:50 ID:a5n6wEp. [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
アヤメ「え?」

ククイ「ですから、彼がシンリです」

アヤメ「あの〜、どうして普通にここにいるんですか?」

ククイ「さあ………だが、彼は生徒なんだ。拒む理由は無い」

アヤメ「なるほど。つまり手出しが出来ないのね」

ククイ「………まあそういうことですね」

教室に太った子が入ってきた。どうやらトイレに行っていたようだ。

マーマネ「ふぅ〜、最近ストレスばっかりで便秘気味だよ………」

アヤメ「この子は?」

ククイ「彼はマーマネ、機械の天才だよ」

マーマネ「ま、まあね」

アヤメ「ククイ博士、シンリ君と話をしたいのですが」

マーマネ「ねえククイ博士、この女の人は誰?」

ククイ「国際警察のアヤメさんだよ。今回のZリングおよびZクリスタル破壊事件を調査しているんだ」

マーマネ「お姉さん、ポケモンバトルは強いの?」

アヤメ「う〜ん、国際警察に入ってからは無敗かな。負けたら大変なことになる戦いばっかりだからね」
 ▼ 39 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/10 22:48:37 ID:a5n6wEp. [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
マーマネ「じゃあ、シンリも倒せるかもしれないね!」

アヤメ「う〜ん、それはどうだろう?国際警察はバトルの専門家じゃないし、シンリ君のような強いトレーナーとはできるだけ戦わずに解決したいの」

ククイ「戦わずに………」

アヤメ「だから話がしたいの?分かる?」

ククイ「しかし………素直に応じてくれるか?」

アヤメ「警察と聞いて尻尾を巻いて逃げる人がこんな大事を起こすと思う?」

ククイ「えっ?それは………確かにそう言われるとな………」

ククイ「………よし!ついてきてくれ」

アヤメ「ええ」

ククイとアヤメは生徒を残し校庭へ出た。

ククイ「おーい!シンリーっ!」

シンリ「なんですかククイ先生?」

シンリはサトシとのバトルを終えたようだった。

ククイ「君と話がしたいという人がいるんだーっ!」

シンリ「話………?まあ別に良いですけど」

シンリがアヤメたちに歩み寄った。

アヤメ「始めまして。私はアヤメ───」

シンリ「………」

アヤメ「国際警察です」

シンリ「国際警察………」
 ▼ 40 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/12 18:34:33 ID:N.TAoNm6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ククイ「立ち話もあれですから応接室に行きましょう」

アヤメ「助かるわ」

シンリ、ククイ、アヤメは応接室へ移動した。

ククイ「じゃあ、終わったら呼んでください」ガチャ

ククイは出ていった。

アヤメ「さて………」

アヤメ(とりあえず昨日のハンサムさんの推測を確かめたい───)

"彼はどこかで疲弊したポケモンを見て、義憤に駈られたのだろう………"

アヤメ「ねえ、あなたは今やっていることが犯罪だって分かってる?」

シンリ「ZクリスタルとZリングの破壊のことですか?そうですね………"はい"とだけ言っておきます」

アヤメ「ふ〜ん。じゃあ次、あなたはZ技のことをどう思ってるの?」

シンリ「Z技は………忌むべきもの。少なくとも俺はそう思っています」

アヤメ「つまり嫌いなのね。もしかして、"Z技なんて無ければいい"とか思ってたりする?」

シンリ「………ええ」
 ▼ 41 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/12 22:47:47 ID:N.TAoNm6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
アヤメ「もしかして、Z技を使える人をみんな倒すつもり?」

シンリ「ふっ、そんなわけありませんよ。それなら先にアルテミナのトレーナーを倒さないと」

アヤメ「確かにそうね………。つまり、アローラに来たのには別の目的があるということかしら?」

シンリ「ええ。でもわざわざ国際警察のあなたに教えるほどバカじゃありませんよ」

アヤメ「私もあなたが口を滑らせるようなバカだとは思ってないけどね」

シンリ「あの………もういいですか?」

アヤメ「どうぞご自由に退出なさって結構です」

シンリ「俺を逮捕したりはしないんですか?」

アヤメ「こんな狭い応接室で?あなたが抵抗しないなら別にいいけど」

そう言いつつアヤメはシンリの腰に目を下ろす。モンスターボールが2つあった。

アヤメ「ところで、ポケモンは2匹しか連れてないの?」

シンリ「ええ。今は………残りはアルテミナです」

アヤメ「ふ〜ん」

シンリ「それじゃあ。ご苦労様です」

シンリは応接室から出ようとした。

アヤメ「あ、ちょっと待って。一つ言いたいことがあるの」

シンリ「なんですか?」

アヤメ「あなたのやっていることは紛れもない犯罪。これ以上先に進むと、自分の人生を棒に振ることになるわ。そして、国際警察も黙ってはいない」

シンリ「それでも構いませんよ。俺は………」

シンリは応接室から出ていった。

アヤメ(アローラで2度と顔を見ないように祈りたいものね)

アヤメ「………お願い」ボムッ

デデンネ「ンネンネ!」

アヤメは廊下に出た。まだシンリの後ろ姿が見える。

アヤメ「デデンネ、彼の後をつけて」

デデンネ「ンネ!」タッタッタ…

デデンネは駆けていった。
 ▼ 42 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/13 18:06:09 ID:v9rcbpPk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
アヤメ「さて、ククイ博士に報告しないと………」

アヤメは教室に戻った。

アヤメ「ククイ博士、終わりました」

ククイ「そうか。シンリは?」

アヤメ「帰っちゃいましたよ」

ククイ「………仕方ないか」

先に教室に戻ってきたサトシが不思議そうに聞いた。

サトシ「ククイ博士!その女の人は誰ですか?」

ククイ「ああ。彼女は国際警察のアヤメさんだよ」

アヤメ「よろしくね」

図鑑「国際警察のアヤメさん、データ登録ロト!」

アヤメ「図鑑が喋った………」

サトシ「ああ、こいつはロトム図鑑!ロトムが入っているんだ!」

ロトム図鑑「よロトしく!」

アヤメ「ところでククイ博士、サトシ君はカロスリーグで準優勝されたんですよね?」

ククイ「あっ、ああ………」

アヤメ「ねぇサトシ君、ポケモンバトルを申し込んでもいいかな?」

サトシ「俺は構わないぜ!なっ、ピカチュウ!」

ピカチュウ「ピカッ!」

アヤメ「それじゃ決まりね。じゃあ校庭に行きましょう」

リーリエ「あの、私たちも観戦していいですか?」

アヤメ「どうぞ。見られて困るようなら、最初から挑戦しませんから」

こうしてサトシたちは校庭に出た。
 ▼ 43 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/13 18:20:59 ID:v9rcbpPk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ククイ「ルールは一対一のシングルバトル!」

アヤメ「私はガブリアスよ!」ボムッ

ガブリアス「ガァーブ!」

サトシ「ガブリアスか………いけっ、ピカチュウ!」

ピカチュウ「ピッカァ!」

ロトム図鑑「理解不能理解不能!でんきタイプのピカチュウはじめんタイプのガブリアスに不利ロト!」

サトシ「まあ見てろって!」

ロトム図鑑「本当に大丈夫ロト………?」

ククイ「それでは、バトル開始!」



[ガブリアス(アヤメ)VSピカチュウ(サトシ)]

アヤメ「まずは"がんせきふうじ"!」

ガブリアス「ガァーブ!」ポポポイ

サトシ「"でんこうせっか"で岩を駆け上がれ!」

ピカチュウ「ピカッ!」ピョンピョン



リーリエ「"がんせきふうじ"をああやってかわすとは………すごいです!すごすぎます!」

マーマネ「さすがカロスリーグ準優勝者だね!」



サトシ「アイアンテール!」

ピカチュウ「ヂュウ!」ヒュゥゥゥン………

アヤメ("がんせきふうじ"を利用して高い位置からのアイアンテール。ここは………)

アヤメ「すなあらし!」

ガブリアス「ガーブガブガブ」ゴォォォォォ………

たちまちガブリアスの姿は砂嵐に消えた。そして、ガブリアス目掛けて急降下するピカチュウも………

ピカチュウ「ピカッ!?」

サトシ「ピカチュウっ!」

アヤメ「ガブリアスの特性は"すながくれ"。砂嵐の中でガブリアスを捉えるのは不可能よ。そして、ピカチュウは砂嵐で視界が遮られる………」
 ▼ 44 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/14 22:15:16 ID:jB1Mvb0g [1/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
サトシ「"でんこうせっか"で砂嵐から出るんだ!」

ピカチュウ「ピカッ………」

アヤメ「無駄よ。どくづき!」

ガブリアス「ガブッ!」ビュュゥン!

ピカチュウ「ビカッ!」ドスッ

ピカチュウが砂嵐の中から吹っ飛ばされてきた。

サトシ「ピカチュウ!」

ピカチュウ「ピカッ………」

ロトム図鑑「まずいロト!どく状態ロト!」

サトシ「でもこのままじゃ………どうする?」

アヤメ「安心して、砂嵐はすぐに晴れる。そしてそこからが本番よ」

アヤメの言う通り砂嵐が晴れた。しかし………

サトシ「ガブリアスが………いない?」

ピカチュウ「ピカッ……?」



スイレン「ガブリアス………居なくなった」

リーリエ「一体どうなっているのでしょう?」

マオ「ねぇみんな、アヤメさんを見て!」



アヤメ「………(下を向いている)」



リーリエ「何をやっているのでしょうか?」

マーマネ「きっとコンタクトレンズを探しているんだよ!」

マオ「マーマネっ!」

マーマネ「もう!冗談だって」

ククイ「そうか………分かったぞ!」
 ▼ 45 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/14 22:22:53 ID:jB1Mvb0g [2/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ククイ「ガブリアスは地面の中にいるんだ!」

マオ「ククイ博士、それってどういうこと?」

ククイ「ガブリアスは、"あなをほる"を使ったんだ」

マーマネ「なるほど!ガブリアスは消えたんじゃなくて技を仕掛けているんだね」

スイレン「消えたと思わせて………ドーン」



サトシ「ガブリアスは一体どこに………?」

ロトム図鑑「(高性能マイクでククイたちの会話を拾って)分かったロト!ガブリアスは地面の中ロト!」

サトシ「そうか!"あなをほる"だ!ピカチュウ、足元に気を付けろ!」

ピカチュウ「ピカッ!」

アヤメ「さあ!ガブリアスっ!」

しかし、ガブリアスは地面から出てこなかった。

サトシ「いつ仕掛けてくる………?」

ガブリアス「ガァァァブッ!」キィィィン………

アヤメ「ドラゴンダイブ!」

ドォォォォン!

ピカチュウ「ビッ………」ガクッ

サトシ「ピカチュウ!」

ククイ「ピカチュウ、戦闘不能!よって、勝者アヤメ!」

アヤメ「ありがとうサトシ君。いいバトルだったわ」

サトシ「いや〜、スゴかったです」
 ▼ 46 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/14 22:40:13 ID:jB1Mvb0g [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ロトム図鑑「理解不能理解不能!いったいどうやってピカチュウを攻撃したロト?」

アヤメ「ああ………"ドラゴンダイブ"ね」

ロトム図鑑「でも、ガブリアスは"あなをほる"を使っていたロト!」

アヤメ「う〜ん、私は"あなをほる"を指示した訳じゃないわ」



ククイ「なるほどな………」

マーマネ「ククイ博士?」

ククイ「俺たちは、アヤメさんが足元を見ていたことから、ガブリアスが地中にいると判断した。ピカチュウはじめんタイプの技が弱点だから、"あなをほる"を決めようとしていると考えていたな」

リーリエ「でも、実際は"ドラゴンダイブ"だった。つまり、"でんきタイプのピカチュウにはじめん技"というセオリーを利用して意表を突いたんです」

ククイ「地面の中と見せかけて、ガブリアスは上空にいたんだ。でも、俺たちは下を見ていて気がつかなかった」



アヤメ「ねぇ、サトシ君はなにか凄い戦術とかないの?」

サトシ「あります!今日も特訓していたんです!」

アヤメ「それはやっぱり、シンリ君を倒すためなの?」

サトシ「はい。何があろうと、俺たちはあいつを許すわけにはいきませんから」

アヤメ「そう………それが正しいわね。でも、この事件が解決して、シンリ君が罪をきちんと償って戻ってきたら、笑って迎え入れてくれる?」

サトシ「………?」

アヤメ「帰ってくる場所があれば、みんな安心するもの。できる?」

サトシ「今は難しいかもしれないです。でも、いつか、みんなが仲良くできる日が来るって信じてます!」

ロトム図鑑「同感ロト!」

アヤメ「うん。やっぱり仲良くするのが一番ね!」

ガブリアス「ガブッ!」

アヤメ「それじゃあ、今日はありがとうございました」

ナリヤ「よかったらまた来てクレセリア!」

アヤメ「ええ」

生徒たち「さようなら〜!」
 ▼ 47 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/15 09:59:36 ID:qNJcYURI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
アヤメがポケモンスクールを去ったのと同時刻、ハンサムはまだクチナシの元にいた。アセロラはもう帰ってしまった。

クチナシ「なあハンサム、シンリを捕まえて………それからどうするんだ?」

ハンサム「もちろん、法の裁きを受けてもらうさ」

クチナシ「それは当然だ………俺が言ってるのはその後のことさ」

ハンサム「その後………?」

クチナシ「シンリには身寄りが無い。すべて終わった後で、あいつを受け入れてくれる人はいない」

ハンサム「えっ?だが………」

クチナシ「どうした?」

ハンサム「いや、こっちの話だ。しかし、彼はどうやって育ったんだ?」

クチナシ「そりゃあ孤児院とかそういう施設の類いだろうよ。だが───」

プルルルルル………

クチナシ「すまないハンサム。こいつは島キングの会議関連の電話だ。話はまた明日にしてくれ」

ハンサム「分かった。クチナシ、今日はありがとう」

こうして、ハンサムは帰路についた。そして………

クチナシ(さて、ここからは俺の番だ)

クチナシ(必ず………ハラを止める!だが………)ボムッ

ペルシアン「ペルニャー」

クチナシ「ハラを止められなかったら俺たちが………!」

ペルシアン「ペル!」
 ▼ 48 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/15 12:11:29 ID:qNJcYURI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
その日の夜………

アヤメ「いや〜、さすがハンサムさん!ハンサムの言うとおり、シンリはZ技を憎んでいるみたいです」

ハンサム「そうか………ありがとう。しかし、そうなると厄介だな」

アヤメ「どういうことですか?」

ハンサム「シンリの狙いが分かった。それは、メレメレ島キングのハラが持つ"カプZ"というZクリスタルだ」

アヤメ「それはそんなに大事なんですか?」

ハンサム「ああ。カプZが破壊されればZ技は終わる」

アヤメ「それって………」

ハンサム「かなりまずいことだ。しかも、どうやらハラはシンリの師匠らしい」

アヤメ「う〜ん、どうやらややこしそうですね」

ハンサム「そこでだ、アヤメ君にはハラの説得をお願いしたい。もし、ハラが"シンリと戦う"と言い出したらその時は………」

アヤメ「分かっています。しかし、相手は島キング………。勝てるかは保証できませんが」

ハンサム「その時はその時だ。さて、もう一つ重要なことがある」

アヤメ「………?」

ハンサム「シンリには身寄りが無い。つまり、兄弟など存在しないということだ」
 ▼ 49 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/15 23:50:43 ID:uwdQDyYw NGネーム登録 NGID登録 報告
アヤメ「え?でも………」

ハンサム「そう。リガンという人物はシンリの兄などではない」

アヤメ「それじゃあ、いったい何者なのでしょう?そして、なぜわざわざシンリの兄を騙る必要があるのでしょうか?」

ハンサム「それは分からない。しかし、今のところ彼は味方だ。もしかしたら杞憂かもしれない」

アヤメ「それなら良いのですが………」

ハンサム「さあ、今日はここまでにしよう。明日のために休むんだ
 ▼ 50 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/16 10:46:34 ID:gqoI3GXA NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
[???]

Z技が消滅してからも、アルテミナのトレーナーは変わらなかった。5年前からずっと、あのとき準優勝したライがチャンピオンを続けている。

"………なんであんな奴がチャンピオンを続けられるんだ"

俺の疑問にある噂が答えていた。

「ライは終焉山の登頂に成功したらしい」

終焉山は1年前、あまりにも危険すぎる故警察の手によって封鎖された。
終焉山の登頂はすなわち、"ヴァンディ"の所持を意味している。アルテミナに口伝でのみ継承された伝説のポケモンだ。

ヴァンディは圧倒的戦闘力を持つ。実際、俺もヴァンディがいなければZ技の消滅を成し遂げられることはなかっただろう。

"どうして、あんな奴にヴァンディが………"

ライは勝利のために絆を捨てた。それでも、ヴァンディは最強のポケモンであり、ライは最強のトレーナーとなっていたのだ。

だが、俺はもうポケモンリーグに挑戦できない。アローラで犯した罪、それにより資格を永久に剥奪された。

ライにとっては、自分の地位を脅かす最大の敵が自滅したことになる。

そんなある日、あるニュースが届いた。

「5年間行方不明の研究員、アルテミナで保護」

5年前、フウラシティでの研究発表会に出席予定のアローラの研究員が拉致されたらしい。そして、それと同時にその研究員が5年前に発表する予定だった論文が公開された。

それは、「Z技の連続使用とそれに伴うポケモンへの負荷」というタイトルであった。
 ▼ 51 ブラン@はかいのいでんし 18/10/16 11:34:57 ID:yJkIZ5n6 NGネーム登録 NGID登録 報告
勝手にやってるの?ダメじゃね?
 ▼ 52 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/17 17:04:28 ID:PJKQnXps [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
その研究では、Z技を複数回連続で使用するとポケモンに多大な負荷が生じ、パフォーマンスが著しく低下することが示されていた。

もし、この研究員が拉致されずにいれば、5年前にアルテミナの人間は自分達の誤りに気づいたのだろう。そして、俺もアローラに赴くことは無かったのかもしれない。

しかし、もう遅すぎる。



そして、この件についてはいくつかの噂が流れていた。その一つが、「アルテミナ警察が拉致に関与していた」というものである。

どうやら、研究員は民間タクシーに偽造した車に乗ってしまったらしい。だが、フウラシティは自動車の規制が厳しく、市内に外部の車は入れない。さらに、その偽造タクシーと特徴が一致する車はフウラシティには存在していなかった。

他に、当時市内に存在し得た車と言えば、研究発表会の警備用の警察車両だろう。どうやら、アルテミナ警察が出した車だけが、一般車両だったらしい。

この点は5年前に警視総監が「我々の貸与した車は完全に管理させており、当該期間中、不審な動きは無かった」と報告していた。

だが、研究が研究だけに、「警視総監がアルテミナとアローラの関係が悪化するのを恐れ、研究を隠蔽しようとした」という説が世論を支配したのである。

その結果………



───見てください!警視総監の辞任を求める市民たちが大挙してデモ行進を行っています!

デモ隊「警視総監フォルスは嘘つきだ!」

デモ隊「我々は真実を要求する!」

───すごい勢いです!

うわぁぁぁぁぁっ!

───なんでしょう?前方で悲鳴が………
 ▼ 53 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/17 17:15:57 ID:PJKQnXps [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
中継カメラが前方を映した。

───どうやら、前方で閃光が焚かれたようです!デモ隊の閃光弾でしょうか?

うぎゃぁぁぁぁっ!

デモ隊「違う!警察の攻撃だ!」

デモ隊「我々は弾圧と闘わなくてはならない!怯むな!進め!」

しかし、前方からはデモ隊が引き返してくる。

デモ隊「解散!解散!ヴァンディだ!チャンピオンが───」

デモ隊員の顔が映った。その顔はさっきまで大群に拡がっていた勇敢な顔ではない。それは恐怖だった。

バァァァァン!

前方で閃光と共に轟音が響いた。

───くっ………目が!

しかし、カメラは相変わらず前方をとらえていた。そこには………

───あ、あ………

リポーターは絶句した。カメラの中央にはヴァンディが、そして回りには力尽きた人々の姿があった。

カメラに向かって一人の男が近づいてくる。5年前からチャンピオンを続けている男、ライだ。

ライ「さて、アルテミナの平和を乱すものがどうなるか、分かりましたか?」

返事がない。カメラマンは立ったまま気絶しているし、リポーターはもちろん失神して倒れてしまったのだ。

ライ「彼らの尊い犠牲を無に帰さないためにも、無駄な試みは避けるべきです………」

ライは去っていった。
 ▼ 54 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/18 23:59:14 ID:f7iIR3pU NGネーム登録 NGID登録 報告
次の日、俺の家に警察がやって来た。

───開けろ!警察だ!

俺は仕方なく扉を開けた。ヴァンディのボールを片手に。

ガチャ!

ライ「シンリ君、お久しぶりです」

"何の用だ?"

ライ「ふっ、はーっはっはっは!言われなくても分かっているのでしょう?」

"俺を消すつもりか"

ライ「ふ〜む、いい推理だ。確かにヴァンディを持っているトレーナーがアルテミナにいると僕にとって都合が悪い………」

ライ「だが、僕は君を認めているんだよ。だから、選択肢を与えてあげる」

"選択肢?"

ライ「一つは、この場で死ぬ」

ライ「もう一つは、アルテミナを永久に去る。さあ、どっちにする?」

結局のところ、俺は命が惜しかった。いや、正しくは、ヴァンディやオーカサスのためにも死ぬわけにはいかなかったのだ。

俺はアルテミナを去ることを選んだ。

[??? 終]
 ▼ 55 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/19 10:01:38 ID:ggpk/mVk NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
次の日の朝………

リガン「あっ、ハンサムさん。おはようございます」

ハンサム「おはよう」

リガン「さっきハンサムさんのホロキャスターが鳴っていましたが大丈夫ですか?」

ハンサム「おっと!すまないね」

ハンサムはホロキャスターを手に取った。

"ハンサム君。続けての任務となるが本件が片付いたら取りかかってもらいたい任務がある。それは、フウラシティにおけるアローラ研究員誘拐事件の捜査だ"

ハンサム(誘拐事件………)

"資料は君の現在の任務が終了すれば直ちに送る用意があるが、もし望むのならいつでも送ることができる"

ハンサム「………」

ハンサムは返信のメッセージを送った。

リガン「私の勘では、今日、重大局面を迎える気がします………気のせいであると良いのですが」

ハンサム「そうか………ところで、一つ聞きたいのだが」

リガン「答えられることなら」

ハンサム「君は………味方なのか?」

リガン「………なるほど、やはり気づいていたんですね。どうします?もし"敵"と答えたら」

ハンサム「そんなことは無いと信じているよ」

リガン「ふっ………ありがとうございます。そうですね………今は"敵ではない"とだけ答えておきましょう」
 ▼ 56 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/20 17:57:11 ID:TWvopfeQ NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ハンサム「まあ、君の勘というものを信じてみるとするか」

リガン「そうですか。ところで………」

リガン「アルテミナの警察のトップ、フォルスという男をご存じですか?」

ハンサム「名前ぐらいはな………」

リガン「実は………」

リガンはハンサムにある噂を教えた。

ハンサム「しかし、もしそれが事実ならとんでもない話だな。そして、奇遇にもこれは国際警察が追っている事件………」

ハンサム「さて………」

ハンサムはホロキャスターで追加のメッセージを送った。

ハンサム「リガン君、君はどうするのかね?」

リガン「今日でアルテミナに戻ります。向こうでもやるべきことがあるので………」

ハンサム「それはやはり………シンリを受け入れる準備かね?」

リガン「まあ、そういうことで」





 ▼ 57 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/21 20:40:47 ID:AznQPB6c NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
その後、ハンサムは再びクチナシの元へ向かった。

ハンサム「クチナシ………」

クチナシ「すまねぇ………ハラを止められなかった」



[クチナシ回想/島キングの会議にて]

ハラはシンリと戦うと表明した。そして………

クチナシ「ちょっと待ちな」

ハラ「クチナシ、どうしましたか?」

クチナシ「俺は反対させてもらう」

ハラ「何故です?」

クチナシ「もし、お前が負けたらアローラはどうなる………?今必要なのは一人で片付けようとすることでは無いはずだ」

ハラ「ええ。そうかもしれません。それでも………」

ハラが

ハラ「行かなくてはならないのです!」クルッ

ハラは足早にその場を去ろうとした。

クチナシ「そうか………」ボムッ

ペルシアン「ペルニャ-っ!」

ペルシアンがハラの前に立ち塞がった。

ハラ「クチナシ、なんのつもりですか?」

クチナシ「決まっている………ここでお前を止める!」

ハラ「そうですか………ならば!」ボムッ

ハリテヤマ「ハリッ!」

ハラが振り返ってクチナシを睨み付けた。

ハラ「クチナシ、あなたを倒す!」
 ▼ 58 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/22 12:56:19 ID:w/8UVwbs [1/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ハプウ「二人ともよすのじゃ!こんなところでいがみ合っていては何にもならんぞ!」

ライチ「そうよクチナシ!ハラさんが負けるっていうの?」

クチナシ「ふん………ハラが勝てるかと言えば、無理だろうな」

ハラ「何ですとッ………?」

クチナシ「それはあんたが師匠だからだ」

ハラ「………」

クチナシ「もう"弟子の不始末"では済まされない………シンリを止めるために無駄な情は足枷となる」

ハラ「………」

クチナシ「あんたにシンリを叩き潰す覚悟はあるのか?奴のポケモンを、奴の目論見を、そして………」

クチナシ「奴の腐った正義感をッ!」

ハラ「………できますとも!」

クチナシ「そうか………」シュィィン

クチナシはペルシアンを引っ込めた。

ハラ「クチナシ………すみません」シュィィン

ハラはハリテヤマを引っ込めた。

クチナシ「外に出ようか」

ハラ「いいでしょう」
 ▼ 59 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/22 13:07:29 ID:w/8UVwbs [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
二人は外に出た。

クチナシ「シンリが何を考えているのか分かるか?」

ハラ「何を考えていようと、その本質は変わっていない………彼は純粋なのです」

クチナシ「純粋であるが故に道を誤った。そうだろう?」

ハラ「ええ。だから誰かが正しい道を示す必要があるのです」

クチナシ「それが………あんたの目的なのか?」

ハラ「はい」

クチナシ「それなら、カプZを渡してもらおうか」

ハラ「それはなりません」

クチナシ「あんたも分かっているはずだ………カプZが破壊されればZ技は消え去り、我々の継承は断絶される」

ハラ「このハラ………そうはさせません。ですからあなたにカプZを渡す必要は無いのです」

クチナシ「そうかい………」

クチナシは天に祈りを捧げた。

カプ・ブルル「ブルッ!」

ハラ「ほう………」

クチナシ「あんたに渡す気が無いなら仕方がない………ウラウラ島が最強であることを示しカプZを手にいれる!」

ハラ「良いでしょう………」

ハラは天に祈りを捧げた。

カプ・コケコ「コッコ……」

ハラ「昔話の再現と言うわけですか………しかし、我々メレメレ島も負けてはいませんよ!さあ!」

クチナシ「いくぞ………!」
 ▼ 60 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/22 17:52:44 ID:w/8UVwbs [3/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
クチナシ「カプ・ブルル!」
ハラ「カプ・コケコ!」

カプ・ブルル「ブルルルルル!」
カプ・コケコ「コケェェェェッ!」

クチナシたちの足元にグラスフィールドとエレキフィールドが広がった。

ハラ「ワイルドボルトです!」

カプ・コケコ「コケコケコケッ!」ギュィィィン

クチナシ「エレキフィールドで威力が増加したワイルドボルトか………"ハンマー"だ」

カプ・ブルル「ブルッ!」ブンッ!
カプ・コケコ「コッ………」ドスッ!

ハラ「ワイルドボルトが叩き落とされた………」

クチナシ「カプ・コケコは高い素早さからの速攻が売りだ。一方こっちはパワーファイトが得意………正面から戦うのは止めときな」

カプ・ブルル「ブルルルルルル!」

ハラ「くっ………やりますね。だが!反応できなければ意味がありません!」

ハラ「"でんこうせっか"で撹乱してください!」

カプ・コケコ「コケコケコケコケ………」ビュィィィン

クチナシ「ふっ、面倒な真似を………"フルスイング"」

カプ・ブルル「ブルッ!」ブンッ!

カプ・ブルルが近くの木を引っこ抜いて振り回し始めた。

クチナシ「これなら周囲を回っても───」
ハラ「お見通しです!カプ・コケコ!」

カプ・コケコ「コケェェッ!」バシッ!
カプ・ブルル「ブルッ!」ガクッ

クチナシ「上、か………考えたな」

ハラ「そろそろ本気でいきますぞ!」

カプ・コケコ「コケェェッ!」

ハラ「カプ・コケコよ、祈るのです………!」

カプ・コケコは突然祈りだした。
 ▼ 61 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/22 18:13:45 ID:w/8UVwbs [4/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
クチナシ「これは………まさか!」

ハラ「そう、"メレメレのいのり"です!」

カプ・コケコ「コッコッコッコッコ………」

クチナシ("メレメレのいのり"はカプ・コケコの力を他のポケモンに憑依させるワザ………。いったいどういうことだ?)

カプ・コケコ「コケッ!」

カプ・コケコから光の束が飛び出した。

ハラ「さあカプ・コケコよ!自らに力を!」

光の束はハラから放たれたZパワーと合わさり、カプ・コケコに戻った。

カプ・コケコ「コケェェェェェッ!!」

クチナシ「"メレメレのいのり"の効果を自分にだと………」

ハラ「カプ・コケコ!ワイルドボルトです!」

カプ・コケコ「コケェェェェェッ!」ギュィィィン!

クチナシ「"ウッドホーン"で迎え撃て!」

カプ・ブルル「ブルッ!」

カプ・コケコの正面にウッドホーン。普通ならカプ・コケコはウッドホーンをモロに受けてしまう。しかし………

ハラ「無駄ですよ!」

カプ・コケコ「コケッ!」

カプ・コケコは透明化してカプ・ブルルをすり抜け真後ろに移動した。(注:ポケモンコマスターとは設定が一部異なります)

クチナシ「しまった!」

カプ・コケコ「コケッ!」ドンッ!
カプ・ブルル「ブルルッ!」ガクッ

クチナシ("メレメレのいのり"により実体と非実体を自在に使い分けエレキフィールドによって威力の上がった攻撃を叩き込む………さすがハラ)

クチナシ「だがまだ負けてはいない!カプ・ブルル!」

カプ・ブルルは祈り出した。

クチナシ「"ウラウラのいのり"」

カプ・ブルル「ブッブッブッ………」

カプ・ブルルから飛び出した光の束がクチナシのZパワーと合わさりカプ・コケコへ………

ハラ「"ウラウラのいのり"を受けたポケモンは特性が消えてしまいます………」

エレキフィールドだけが消え去ってしまった。

ハラ「ですがもう遅い!カプ・コケコよ、一気に畳み掛けるのです!」
 ▼ 62 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/22 18:23:10 ID:w/8UVwbs [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
カプ・コケコ「コケェェェェェッ!」ギュィィィン

クチナシ(考えろ………)

クチナシ「そこだ!カプ・ブルル!」

カプ・ブルル「ブルルッ!」

カプ・ブルルが正面に片手を伸ばし、突っ込んできたカプ・コケコを掴みにかかった。

ハラ「無駄です!」

カプ・コケコ「コッ………」

カプ・コケコは再びカプ・ブルルをすり抜けた。

クチナシ「かかったな」

カプ・ブルルがもう片方の手を後ろに伸ばし、カプ・コケコを掴んだ。

カプ・ブルル「ブルッ!」ガシッ
カプ・コケコ「コケッ!」

ハラ「しまった………攻撃態勢に入っていたせいで非実体化が出来ない………」

クチナシ「カプ・コケコを地面に叩き付けろ」

カプ・ブルルがカプ・コケコを高く挙げ、地面に一気に叩きつける………

カプ・ブルル「ブルルルルルルルルルルルルッ!」バシィィィィン!
カプ・コケコ「ゴッ………」

ハラ「カプ・コケコ!」
 ▼ 63 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/23 22:53:42 ID:XOMMZnbg NGネーム登録 NGID登録 報告
クチナシ「どうした?もうギブアップか?」

ハラ「くっ………まだです!カプ・コケコ、"ほうでん"です!」

カプ・コケコ「コケェェェェェッ!」バリバリバリバリ
カプ・ブルル「ブルルッ!」

クチナシ「手を離すな!もう一度叩き付けろ!」

しかし、カプ・ブルルは一瞬手を離してしまった。そして、ハラはそれを見逃さなかった。

ハラ「ブレイブバードです!」

カプ・コケコ「コケコケコケコケコケェ!」ドンッ!
カプ・ブルル「ブルッ………」

カプ・ブルルは大きく吹っ飛ばされた。

ハラ「止めです!もう一度ブレイブバード!」

クチナシ「カプ・ブルル、かわせ!」

カプ・ブルル「ブルッ!?」ビリビリ

クチナシ「しまった………マヒか。俺の負けだな」

カプ・コケコ「コケコケコケコケコケェ!」ズドォォォォン!

カプ・ブルル「ブルブル………」ガクッ

ハラ「勝負ありましたな!クチナシ」

クチナシ「ちっ………しょうがねぇ、カプZはあんた達の物だ。だが、一つだけ言っておく………」

クチナシ「絶対に勝て、ハラ」

ハラ「もちろんです!」

[クチナシ回想 終]
 ▼ 64 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/24 16:49:16 ID:QhEMq0Aw [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
クチナシ「とまぁこんな具合だったな」

ハンサム「呑気だな」

クチナシ「いいじゃないか。今さら騒いでも仕方の無いことだ」

ハンサム「それで………どうするつもりだ、クチナシ」

クチナシ「そうだな………俺が直接シンリを倒す。ハラに会わせる前にな」

ハンサム「できるのか?」

クチナシ「そんなん分かんねぇよ。だが、やるからにはあらゆる手を使うつもりだ」

ハンサム「私にも出来ることはあるか?」

クチナシ「ハンサム………こいつは俺達アローラの問題だ。俺達で必ず解決してみせる」

クチナシ「だが………俺達でも止められなければその時は頼む」

ハンサム「ああ」

クチナシ「実はな………シンリに手紙を送ったんだ。午後5時にウラウラに来いと。ハラとは6時に会うらしいから………」

ハンサム「できるだけ長い間、足止めをする………ということか」

クチナシ「そうだ。俺は知ってるぜ、ハンサム。お前に連れがいることをな」

ハンサム「ほう………」

クチナシ「あんま驚くなって。お前はポケモンを持ってないんだろう?………だからポケモンを持っている仲間が必要だと思っただけだ」

ハンサム「な、なるほど」

クチナシ「きっとお前のことだ。そいつはメレメレに居て、今頃ハラを説得しているんじゃないか?」

ハンサム「ああ。私はそう指示した」

クチナシ「なるほど。俺がハラを説得できないと、最初からそう思っていたわけか」

ハンサム「ああ」

クチナシ「はははっ、俺もなめられたものだ。だがお前も………今日中に俺の実力を思い知ることになるぜ」

ハンサム「期待しているよ、クチナシ」
 ▼ 65 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/24 16:57:25 ID:QhEMq0Aw [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
一方、アヤメはハラの住むリリィタウンにいた。

アヤメ「うっわ〜、ここがリリィタウンかぁ!!」

ツツケラ(野生)「つつぁ!」

老人「これこれ、どうされましたか?」

アヤメ「え〜っと、島キングのハラさんに会いたいのですが」

老人「それならこっちじゃ!」

老人は親切にハラの家まで案内してくれた。

アヤメ「ありがとうございます」

老人「困ったときはお互い様じゃ!」

老人は笑いながら去っていった。

ピンポーン!

???「おやおや、こんな時間に………」

ガチャ!

ハラ「島キングのハラです。どのようなご用件ですかな?」

アヤメ「私は国際警察のアヤメです。え〜、とにかくお話があってですね………」

ハラ「国際警察………?なるほど。まぁとりあえず中へどうぞ」

アヤメ「失礼します」

ハラとアヤメは中に入った。
 ▼ 66 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/25 09:47:50 ID:kCQch2uk NGネーム登録 NGID登録 報告
アヤメ「さて、ハラさん。ひとつ質問をしてもよろしいですか?」

ハラ「お構い無く」

アヤメ「ハラさんは今日、誰かと会う予定はありますか?」

ハラ「予定………それはあります」

アヤメ「そうですか。それでは、誰と会うつもりなのですか?」

ハラ「………」

アヤメ「ここは素直に話すべきだと思います。情報提供を渋ったせいで全てが台無しになってはいけませんから」

ハラ「ええ………分かりました。私は今日、シンリ君と会うつもりです」

アヤメ「やはりそうでしたか………。しかし、それはまずいことです」

ハラ「カプZのことなら心配要りません。必ず勝って、シンリ君を止めます」

アヤメ「勝てますか?我々の掴んだ情報では、彼はかなり危険なポケモンを連れているそうです………オーカサスの他に」

ハラ「オーカサスの他に………ですと?」

アヤメ「とは言っても実際に戦い、瞬殺されたトレーナーの話程度ですが」

ハラ「いったいそのポケモンは………?」

アヤメ「どうやら、光のように素早く、光輝くポケモンのようです」

ハラ「………もしや、そのポケモンは"ヴァンディ"では無いでしょうか?」

アヤメ「ヴァンディ………?」
 ▼ 67 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/26 20:35:21 ID:nOmEk8Hk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ハラ「ヴァンディは、アルテミナの伝説に記されたポケモンです」

アヤメ「伝説のポケモン………」

ハラ「しかし、ヴァンディはウィンディの進化系であるのです」

アヤメ「ウィンディから進化するのなら、他の地方でも目撃例とか神話とか伝説とかがあるんじゃないんですか?」

ハラ「さあ、それは分かりません。しかし、少なくともアルテミナ地方では信頼できる目撃例はありません」

アヤメ「それってもしかしなくてもすごいポケモンじゃないですか」

ハラ「そうなのです。いくらシンリ君とはいえ………実際にヴァンディを所持するとは思えません」

アヤメ「しかし、可能性は十分にあります。ですが、なぜ目撃例が無いのでしょう?」

ハラ「それは、進化条件の厳しさにあるのです」

アヤメ「進化条件?」

ハラ「ヴァンディへの進化条件は、ある場所で光を浴びることなのです。ところが───」

ハラ「───その場所に到達することは不可能なのです」

アヤメ「まだ人間が到達できない場所があるんですね」

ハラ「"アルテミナを統べし王、継承の時、終焉山に至り、光を授かる"という伝承があります。古代アルテミナの人間は到達できたみたいです」

アヤメ「その、終焉山とかいうものはどれぐらい危険なのでしょう?」

ハラ「現代の調査では、"至るところに光を纏った伝説のポケモンが生息しており、しかもこのポケモンたちは非常に好戦的でしかも強い。故にこの山に入るには、チャンピオンレベルは必要だろう"という結論が出ています」

アヤメ「チャンピオンレベル………」

ハラ「ヴァンディというポケモンは、終焉山に住むあらゆるポケモンを超越するとされています」

ハラ「………もっとも、ヴァンディの詳細な能力は分かりません。現代の人間はまだ、その領域に達していないのでしょう」

アヤメ「そんな中で彼がヴァンディへの進化を成功させたとなれば、それは凄いことじゃないですか」

ハラ「ええ………もしシンリ君がヴァンディを持っていたとすれば………もはや止める術はないのかもしれません」
 ▼ 68 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/26 23:31:14 ID:nOmEk8Hk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
アヤメ「まあ、この調子だと先にヴァンディと戦うのはあなただと思いますけど」

ハラ「いえ………彼はオーカサスを使うでしょう。5年前、私が彼を教えた時、彼はヘラクロスを使っていたのです」

アヤメ「師を越えるためにヘラクロス………から進化したオーカサスを使うとお思いなのですね」

ハラ「ええ。だが、私も彼にそう易々と越えられるわけにはいかないのです」

アヤメ「ところで、もし負けた時はどうされるつもりですか?」

ハラ「その時は………受け入れるほかないでしょう」

アヤメ「それはまずいんじゃないんですか?例えば───」

アヤメの提案にハラは乗ることにした。

ハラ「なるほど。それなら、ぴったりのトレーナーがいます」

アヤメ「そのトレーナーも、かなりの実力者なのですか?」

ハラ「はい。彼はカプ・コケコから直接Zリングを授かったのです。アローラの人間でもないというのに」

アヤメ「それはすごい素質がありそうですね。それで、そのトレーナーの名前は?」

ハラ「彼の名はサトシ。彼もまた、ポケモンスクールに転校してきた生徒なのです」

アヤメ「サトシ………」

ハラ「おや?ご存じなのですか?」

アヤメ「ええ。昨日ポケモンスクールを訪ねたときに会いました」

ハラ「ほほう。それで、あなたから見てサトシ君はどんな感じでしたか?」

アヤメ「そうですね………"歴戦の猛者"って感じでした。実力は申し分ないと思います」

ハラ「それでは、彼に託すことにしましょう………」

ハラは懐からZクリスタルを取り出した。

ハラ「この、"カプZ"を………!」
 ▼ 69 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/27 18:27:49 ID:VuBkSvGg NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
アヤメはハラの家を出た。

アヤメ(昨日、ハンサムさんに"戦ってでも止めろ"みたいなことを言われた気がするけど………)

アヤメ(止められなかった場合、ハラが傷ついたポケモンでシンリと戦うことになる。さすがにそれは良くないだろうからね………)

などということにして自分を納得させたアヤメは、アルテミナの伝説を調べるためにウラウラ島の図書館に向かうことにした。

ウラウラ島へ向かう船………そこに、シンリもいた。

アヤメ(あれは………)

シンリはボーッとデッキに佇んでいた。

アヤメ(確か彼は今日、ハラと会う予定のはず………一体何を?)

シンリはボーッとしている。

アヤメ(………こっちには気づいていないみたい。胞子薬剤弾を撃ち込めばたぶん拘束はできるわね)

シンリはボーッとしている。

アヤメ(でも手すりに寄りかかっているから下手をすると海に落ちるかも………そうなると色々と面倒かも)

シンリは立ち去った。

アヤメ(あっ………いなくなった)ボムッ

デデンネ「ンネッ!」

アヤメ「もう一匹の居場所を教えてくれる?」

デデンネ「ンネンネンネ………!ンネッ!」タタタタタッ

デデンネが走り出した。アヤメがついていくと、下の階に降りるエレベーターを待っているシンリがいた。そして、物陰にデデンネがいた。

アヤメ(まだデデンネは気づかれていないのかな?とにかく、ハンサムさんに連絡しておこう)

アヤメは自分のホロキャスターを取り出した。

アヤメ「ハンサムさん、ハラの説得は失敗しました」

ハンサム「そうか………」

アヤメ「それと、シンリはウラウラ島に向かっています。今、船の中で偶然彼を目撃しました」

ハンサム「うん、それは分かっていた。ところで、君はなぜウラウラ島へ向かっているのかね?」

アヤメ「図書館でアルテミナの伝説を調べてみたいと思います。アローラとアルテミナの間には文化的交流があるようなので、もしかすると有益な情報を得ることができるかもしれません」

ハンサム「そうか。健闘を祈る」

アヤメはホロキャスターを切った。そして船はウラウラ島、マリエシティに入港した。
 ▼ 70 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/28 10:47:23 ID:NXYI0ZGY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
アヤメ(さて………)

マリエ図書館の"他の地方の伝説"の棚。そこで本を探すことにした。

アヤメ(まずは………)

本棚をキョロキョロ見回すと良さそうな本を見つけた。

"終焉山伝説"

アルテミナの秘境、終わりの島。そこに聳え立つのが終焉山である。
この山の存在は、古代から認知されていたようで、アルテミナの建国伝説の中でも示唆されている。
例えば、この一節。

「我が地に王なき時、民は争いに明け暮れる。あるとき、大いなる山から光の獣を携えし勇者現れそれを平定す。勇者、王となり民を束ねる」

この"光の獣"というのがアルテミナの伝説のポケモン、ヴァンディであるとされる。
そして、"大いなる山"というのが終焉山であると考えられている。また、

「王退く時、息子に試練を課す。息子もまた、大いなる山を登り、光を携える」

という一節では、"終焉山の登頂"および"ヴァンディの所持"が王位継承の条件であることがうかがえる。またこの一節が、現代に語り継がれる"ヴァンディの入手条件=終焉山の登頂"という伝説の基である。

「王子の従える獣、炎を纏いて千里を駆ける。我が地に、王と王子の知らぬ所無し」

という一節については、"王子の従える獣"というのがウィンディであるという説が有力である。建国伝説において、この王子が2代目の王となったあとウィンディの所持を窺わせる記述は無い。このため、"ウィンディが進化した姿がヴァンディである"という伝説が生まれた。

これらを総合して、我々は"ウィンディを所持して終焉山の登頂に成功すると、ヴァンディへと進化を遂げる"という現代の主張を得たのである。

さて、古代アルテミナ人は王が従えているヴァンディへの憧憬を募らせていった。ある命知らずはウィンディを入手した後、終焉山に向かった。

「大いなる山の外壁は断崖絶壁であり、男は洞窟を攻略せざるを得なかった。しかし、洞窟の中は完全なる闇。わずかな光は、こちらを敵と見なしたポケモンの纏う微かな光であった」

という民話がある。
現代の調査では、終焉山に生息しているのは年老いた伝説のポケモン───例えば、ラティオスやラティアスにエンテイ、ライコウ、スイクン。
どのようにして終焉山に至ったかは分からないが、古代からこれらのポケモンが生息していたとすれば"ポケモンの纏う微かな光"という記述は議論の対象となる。
現代の調査で終焉山での生息が確認されたポケモンもこの"微かな光"を確認できた。しかし、通常の主は"微かな光"を纏っていない。
故に、"終焉山に住むポケモンたちは何らかの影響を受けている"という説が主流である。しかし、その正体は分かっていない。
 ▼ 71 サイドン@ナゾのみ 18/10/28 23:58:50 ID:NXYI0ZGY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
と、そこに………

アセロラ「お姉さんは何の本を読んでるの?」

アヤメ「えっ………?」

アセロラ「"終焉山伝説"………。アルテミナ地方の本ね!」

アヤメ「へぇ〜、詳しいのね。名前は?」

アセロラ「古代のプリンセス、アセロラだよ!」

アヤメ「へぇ〜、アセロラちゃんって言うんだ。アセロラちゃんはここで何をしているの?」

アセロラ「小さい子に本の読み聞かせをしてるの」

アヤメ「へぇ〜、小さいのに偉いわね」

アセロラ「もうっ!アセロラはこう見えてもキャプテンなのよ!」

アヤメ「キャプテン?」

アセロラ「あれ?もしかしてお姉さん、アローラの人じゃないの?」

アヤメ「えっ?まあ、そうだけど………」

アセロラ「昨日も、ハンサムっていう人がここで調べものをしてたの。2日続けてアローラの外の人が来るなんて不思議よね」

アヤメ「ええ、そうね。ところで………今私は、ヴァンディってポケモンのことが書かれてる本を探してるの。知ってる本ある?」

アセロラ「ヴァンディって………アルテミナの伝説のポケモンでしょ?確か………」テクテク

アセロラが歩きだした。

アセロラ「あった!この"光の獣と二人の王子"なんてどう?」

アヤメ「アセロラちゃんありがとう」

アヤメは本を机に置き、開いた。
 ▼ 72 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/30 18:57:54 ID:gtAkMX0Y [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
"光の獣と二人の王子"

昔々、アルテミナに双子の王子がいました。
兄はポケモンをこよなく愛しており、城にはよく野生のポケモンがやって来ていました。
弟は、そのポケモンたちが人間たちと楽しく遊んでいるのを嬉しそうに見ていました。


この時代、アルテミナの人々は住む場所をどんどん拡げていきました。
兄は、住む場所を拡げるために木々を倒すことでポケモンのすみかが奪われることを心配していました。
ある日のこと、兄は王様にこう言いました。

「父上、このままではアルテミナにポケモンの住む場所が無くなってしまいます」

王様は、こう返しました。

「ああ、そんなことがどうして起ころうか?アルテミナの人々はそんなことは願っていない」


それから数年が経ち、王様は兄に王位を継承しようとしました。しかし、弟がこう言いました。

「父上、兄はポケモンに傾倒しています。兄に王位を譲るのはお控えください」

それを聞いて兄はこう言いました。

「父上、弟こそ人間に傾倒しているのです。彼は王の器ではありません」

王様は悩みました。そして、一つの結論を出しました。

「終焉山へ向かえ。先に光の獣を従え戻ってきた方を王とする」
 ▼ 73 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/30 23:20:46 ID:gtAkMX0Y [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
二人の王子は炎の獣(注:ウィンディ)を連れて終焉山へ向かいました。

それからしばらくして、兄が光の獣を引き連れて帰ってきました。王様は、兄に王位を譲りました。しかし、弟はいつまでたっても帰ってきませんでした。

新しく王様になった兄は、手始めにいくつかの町を潰しました。潰したあと木を植えて、ポケモンたちのすみかを作りました。

潰された町の人々は新しい王様に文句を言いましたが、王様はこう返しました。

「あなたたちのせいでポケモンたちが苦しんでいるのですよ」

そうして潰された町は数知れず。いつしか、アルテミナの住民の多くが兄の引退を求めました。しかし、王様に逆らうと何をされるか分かりません。みんな黙って耐えていました。

ある日のこと、帰ってこなかった弟が突然姿を現しました。弟はこう語りました。

「兄が私のポケモンを襲ったのだ。ああ、私は諸君になんと詫びようか」

村を潰された人間たちが声をあげました。

「なぜあなたが詫びるのですか?真に詫びるべきは国王です」

弟はこう言いました。

「そうか。ならば私が力を貸そう。アルテミナの人間とポケモンのために」

民衆は思いました。兄はポケモンのためと言いながら我々を苦しめている。弟が味方に付いた今こそ蜂起の時だと。

兄は大きな誤解をしていました。兄は、自分のやって来たことはアルテミナのポケモンのため………正義のための行いだと信じていました。そして、民衆たちも自分を理解してくれると。
しかし民衆は反発してしまったのです。

ここで兄は大きな過ちを犯してしまったのです。

「愚かなアルテミナの人間たちには私の考えが理解できないのか。それならば彼らに私の正しさを示さねばなるまい」

兄は、退陣を求める民衆に弟の姿を認めました。

「兄よ。あなたのやっていることは間違っている。ポケモンのための破壊など、誰も望んでいない」

兄はこう言い、光の獣で民衆を攻撃しました。

「ああ弟よ。とうとうお前も愚昧な大衆のエゴイズムに流されたか」

その日から、アルテミナは内戦状態に突入しました。兄には力………アルテミナの伝説のポケモンがありました。弟には数………アルテミナの民衆がついていました。

長い長い戦いの果て、兄も弟も力尽き、アルテミナは荒野になりました。

残された人々は二人の想いを継ぎ、ポケモンと人間、双方の幸せを求めてアルテミナを発展させていったのです。

そして、一つの伝承が残りました。

"光の獣、民衆に向けられし時、アルテミナは滅びる"と。

"光の獣と二人の王子 おしまい"


アヤメ「やっぱりヴァンディってすごい強いのかな?」

アセロラ「う〜ん、わかんない」
 ▼ 74 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/10/31 00:01:30 ID:.VfcZDP. NGネーム登録 NGID登録 報告
アセロラ「でもこの本には確か書いてあったの」

アヤメ「どれどれ………」


"ヴァンディとその伝説"

ヴァンディはアルテミナの伝説で語り継がれているポケモンだ。その実態を、歴史的資料から明らかにしていこう。

ヴァンディという名が付けられた時代は不明である。民話レベルでは、"光の獣"と呼ばれているようだ。

(中略)

さて、それではヴァンディはどれ程強いのだろうか。これは、アルテミナを混沌に陥れた"双子戦争"に関する伝承である。

「光の獣、その素早さ例えるもの無く、その力あらゆる砦を粉砕する」

ヴァンディの素早さは極めて高く、攻撃の威力もとてつもないものであることが伺える。

「体は光に覆われ、この光、敵の攻撃を防ぐ。兄、これを"おうじゃのたてがみ"と呼ぶ」

現在、"おうじゃのたてがみ"(学称:キングスメイン)こそがヴァンディの特性であると考えられている。ところで、初代国王の伝承にはこうある。

「光の獣、疲れ果て、鬣は光を失う」

このことから、"おうじゃのたてがみ"は体力を削るなどして疲弊させると解除されるという説が有力である。

「光の獣、怒ればたちまちあらゆる敵に隔てなく裁きをもたらす」

現代のタイプ分類学およびアルテミナ生物学の観点から見ると、"ヴァンディの攻撃はどんなタイプの相手にも等しくダメージを与える"と解釈できる重要な一文である。

これが事実ならヴァンディは唯一のタイプを持つこととなる。なお、研究の結果、このタイプ(仮称:ひかり)は言うなれば"得意苦手どちらも無い"ということである。

さて、我々はヴァンディの能力、特性、タイプについて知ることができた。そうなると、技についても知りたいと思うだろう。

「鬣、紅く染まり、龍の如く、敵を灼く」

たてがみが炎の龍のようになり、接近する相手を攻撃する………という技のようだ。

「光の獣、突如輝き、周りの敵を一掃す」

この技は"マジカルシャイン"に似た技であると考えられている。しかし、"マジカルシャイン"とはレベルが違うようだ。

「光の弾、無数に現れ全て敵を逃さず貫く」

この技のみは"ひかりのつぶて"という名が残っている。この光弾は追尾性能が高そうだ。

「光の獣、突如輝き、姿を消す」

この技は回りへのダメージの記述が認められなかった。このため、"フラッシュ"説が最有力である。なお、ウィンディは"フラッシュ"を習得できない。

この他にも、ヴァンディは様々な技を使用できる。どうやら、ヴァンディは伝説の名に違わず、高い戦闘能力を有しているようだ。

しかし、双子戦争の伝承はこう記す。

「ヴァンディの力を罪の無い者に向けることなかれ」と。

"ヴァンディとその伝説 完"

 ▼ 75 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/02 23:08:05 ID:5kVU9IVQ NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
アヤメ「これは………」

アセロラ「どう?アセロラの言った通りでしょ!」

アヤメ「そうね。ありがとう」

アセロラ「でも、なんでお姉さんはこのポケモンのことを調べてるの?」

アヤメ「う〜ん、このポケモンと戦うかもしれないからかな」

アセロラ「戦う………お姉さん、大変だね」

アヤメ「まあ、一番は戦わずに済むことなんだけど」

アセロラ「へぇ〜、ポケモントレーナーなのに勝負が嫌いなの?」

アヤメ「う〜ん、ポケモンバトルは好きなんだけどね………負けたら終わりの世界に生きてるんだよね」

アセロラ「負けたら終わり………どんな人と戦ってるの?」

アヤメ「悪い人」

アセロラ「悪い人………お姉さんは警察の人なの?」

アヤメ「そう。ところで、ひとつ質問してもいい?」

アセロラ「なに?」

アヤメ「あなたにとって、Z技って何?」
 ▼ 76 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/03 19:28:08 ID:3alApGO6 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
アセロラ「Z技………」

アヤメ「やっぱり難しい?じゃあ、こういうのはどう?」

アヤメ「"Z技は戦いの道具だと思う?"」

アセロラ「うん、それは違うと思うの」

アヤメ「そういうものなのね」

アセロラ「Z技は………アローラの人たちがずっとずっと受け継いできたものなの」

アヤメ「大切な文化なのね。でも今、ZリングやZクリスタルを壊して回ってる人がいるじゃない?」

アセロラ「………」

アヤメ「やっぱり許せないの?」

アセロラ「うん。でも………」

"君は本当のZ技を見たことないんだね"

アセロラ「あの人は本当は悪い人じゃない。そんな気がするの」

アヤメ「まるで会って話したような………」

アセロラ「うん。会ったことあるよ」

アヤメ「へぇ〜、よく無事で帰ったね」

アセロラの腕にはZリングがはめられていた。

アセロラ「クチナシおじさんから戦うなって言われたから………」

アヤメ「そうなんだ。でも………私はそういう人とも戦わないといけないの」

アセロラ「もしかして、シンリと戦うつもりなの?」

アヤメ「ええ。私は容赦しない───」

アヤメ「ポケモンを犯罪に使う人には!」
 ▼ 77 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/03 19:49:41 ID:3alApGO6 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
アセロラ「お姉さんはこれからどうするの?」

アヤメ「え〜っと、メレメレ島に戻るつもり。彼はメレメレに現れるつもりみたい」

アセロラ「そうなの………頑張ってね」

バーン!

アヤメ「何!?下の階から………!」



男の子「待ってよ!」ドタドタ

ゲンガー「ゲゲンゲンゲゲン!」バァーン!

女の子「本棚を引っくり返しちゃだめよ!」

ゲンガー「ゲゲーン!」バァーン!

男の子「あっ、上に逃げた!」ドタドタ

女の子「待ってよ〜っ!」ドタドタ

ポケモン?「ミミッ!」



アヤメ「………来るっ!」ボムッ!

ランクルス「クックック………」

アセロラ「ちょっと!図書館の中で戦わないで!」

ゲンガー「ゲゲゲゲーン!」ヒュイーン!

アヤメ「ランクルス!」

ランクルス「クックックッ………!」

ランクルスが技を放った。

ゲンガー「ゲゲッ!?」トロトロ

アセロラ「ゲンガーの動きが急に鈍くなってる………この技は………」

アヤメ「サイコショック!」

ランクルス「クックック………!」ギュィィィン!

ゲンガー「ゲゲゲゲッ!」バババババーン!

ゲンガー「ゲゲッ………」ポトッ

アセロラ「ラプー!」

ゲンガー/ほしがりラプー「ゲゲン………」
 ▼ 78 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/03 19:59:43 ID:3alApGO6 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
アヤメ「う〜ん、やんちゃな子ね」

ゲンガー/ほしがりラプー「ゲゲーン………」

アセロラ「この子は最近まで封印されてたから、図書館で暴れちゃダメって分からないの」

アヤメ(封印って………)

???「ミミッ………」

アセロラ「ううん。ミミたんのせいじゃないよ」

男の子「僕が"かいけつデデンネ デデーン!メガバンギラスのぎゃくしゅう"を読んでたら突然………」

女の子「だからあんな本読まないでって言ったのに………」

アヤメ「子供のうちはいろんな本を読んで成長するのよ」

男の子「………うん!ありがとう!」



こうして図書館を出たアヤメ。マリエシティの乗船所に向かっていた時………

アヤメ「あれは………」

アヤメの前をシンリが通り過ぎた。
 ▼ 79 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/04 21:22:20 ID:A/dkygkc [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
アヤメ(一体どこへ………乗船所の方角じゃないけど………)

マリエシティから少し外れた所でシンリは立ち止まった。

シンリはオーカサスを出し、そのまま飛び去った。アヤメのデデンネは足に頑張って掴まっていた。

アヤメ(どうしよう………いや!追うしかないっ!)ボムッ

ガブリアス「ガガブガブ!」キィィィン!



アヤメはガブリアスに乗り、飛び立った。時刻は午後3時………

アヤメ(そう言えばハンサムさんはウラウラ島にいたはず。れんらくしておかないと)
 ▼ 80 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/04 21:31:32 ID:A/dkygkc [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
午後2時頃………

クチナシ「ハンサム、ちょっといいか」

ハンサム「どうした?」

クチナシはハンサムを連れて外に出た。そして、ポータウンの門の前に来た。

クチナシ「俺だ。開けろ」

ギィィィィ………

ハンサム「ここは………」

クチナシ「スカル団の根城だ。ハンサム、こっちへ」

クチナシはハンサムを奥へ案内した。ポータウンの一番奥にある大きな屋敷へ………

ガチャ!

???「一体何の用だ?知らねぇオッサンまで引き連れてよぉ?」

クチナシ「ハンサム、こいつがグズマ………スカル団のボスだ」

ハンサム「そうか」

グズマ「そのハンサムとかいう奴は何者だ?」

クチナシ「こいつにはお前らをどうこうすることは出来ねえ。ポケモンを持っていないんだ」

グズマ「はっ!それでお前が付き添ってやってるってか!俺を説教するつもりでッ!」

クチナシ「そいつは違う。俺が連れてきたんだ」

ハンサム「その通りだ。はっきり言って、どうしてクチナシが連れてきたのか分からない」

クチナシ「中へ入れてやんな。雨が降ってる」

グズマ「やれやれ………中へ入れ。話はそれからだ」
 ▼ 81 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/05 20:28:44 ID:ho22SjmQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
クチナシ「グズマは昔は立派なトレーナーだったが、ある出来事をきっかけにすべて放り出してしまったんだ」

ハンサム「なるほど………」

グズマ「俺の過去はもう破壊し尽くした。今あるのは今の俺だけだ」

クチナシ「お前だけじゃない。そうだろう?」

したっぱ「そうっス!グズマさんはもう一人じゃないっス!」

グズマ「………そうかもな」

クチナシ「なぁグズマ、今でも………Z技は嫌いか?」

グズマ「俺はよ………もうZ技は捨てたんだ」

クチナシ「そうかい。でもな………」

クチナシがしたっぱの腕を上げた。腕にはZリングが嵌められていた。

クチナシ「お前の大事なしたっぱは、また向かい合おうとしてるぜ」

したっぱ「そうっス!グズマさんならもう島キングぐらい楽勝っス!」

グズマ「だがよ………そうやって頑張っても、また叩き潰されるんじゃねぇか?」

クチナシ「グズマ………」

グズマ「それによぉ………ホイル!」

グズマがホイルという名前のしたっぱを呼んだ。

グズマ「お前、まだアレを持ってるか?」

そのしたっぱは、懐から紙にくるまれた何かを取り出した。

グズマ「こいつはよ………また試練に向き合うって決めて頑張ってたんだ。だがよ………」

包装が解けた。中には壊されたZリングが入っていた。

グズマ「こいつはまた潰されたんだ………シンリとかいう奴にな」
 ▼ 82 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/05 22:41:37 ID:ho22SjmQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ハンサム「なんだって?」

グズマ「アローラの人間ってのは、助け合って、分かち合って生きていくって、そしてZ技は大事なもんだからって、大人たちは偉そうにそう言うけどよ………」

グズマ「所詮は口だけ。アローラにはそういうのを踏みにじって愉しんでいる奴がいるんだよ」

クチナシ「グズマ………」

グズマ「そんなふざけた奴がアローラにいる限り俺たちみたいな人間が生まれていく訳だ」

ハンサム「そうか。だが君は………破壊を楽しむ輩ではない。そうだろう?」

グズマ「さあな。俺がもっと強かったら………どうなるか分からないぜ。こういうのは強いトレーナーだって決まってるんだ」

グズマ「強いから簡単には止められない。そうしてどんどん調子に乗ってくんだよ」

クチナシ「だがよ………お前にはそうじゃない。そのことが大事なんだ」

ハンサム「その通りだ。君は………」

グズマ「あーっ!!!下らない話は終わりだ!出ていけ!」

ハンサムとクチナシは追い出されてしまった。



クチナシ「ハンサム、分かるか?あいつのことが」

クチナシ「グズマは、期待されていたんだ。でも、期待に応える気が失せた………」

ハンサム「スカル団を結成して、同じ思いをしているトレーナーを集めた」

クチナシ「ところが、スカル団の一部は、"自分の意思"で島巡りを再開しようとしているのさ」

クチナシ「グズマはそんなしたっぱを応援したい………だがそんな矢先にシンリが現れた」

ハンサム「したっぱの一人がシンリに負けてリングを破壊されたと言っていたな」

クチナシ「そうだ。グズマは………挫折を恐れている。挫折を続けて、いつか壊れてしまうのではないかとな」

ハンサム「………」

クチナシ「アローラの人間にとってZ技は希望………。いいかハンサム、どのような理由があれ、奴は………シンリはアローラの敵だ」

ハンサム「そうか。だが私は………相手がどんな人間であろうと任務を果たす」

クチナシ「なるほど。お前らしい」
 ▼ 83 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/06 16:07:44 ID:vq3AFELU [1/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
クチナシ「………もう3時か。俺はこれからあいつに会わなくちゃならねぇ」

ハンサム「………そうか」

プルルルルル………

アヤメ「ハンサムさん、どうやらシンリはカプの村方向へ飛行しているようです」

ハンサム「分かった。そこで合流しよう」

アヤメ「了解」

プッ!

ハンサム「さて、私たちはどうすればいいかね?」

クチナシ「ハンサムはまだあいつに顔を見られていないんだろ?隠れていた方がいいぜ」



ハンサムとクチナシはカプの村に移動した。

ハンサム「しかし、妙だな。午後5時に会うのなら、今カプの村へ移動する必要はない」

クチナシ「待ち伏せされていると考えて早めに来て様子見をしているのだろう」

ハンサム「ちなみに待ち伏せとかは?」

クチナシ「警察の奴らをたくさん張り込ませている。………あいつらを最初から使う気は無いがな」

ハンサム「と言うと?」

クチナシ「あいつらは最終手段だ。シンリを島から出さないためのな」
 ▼ 84 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/06 16:19:07 ID:vq3AFELU [2/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
クチナシ「さて、お前の相方が来たようだぜ」

アヤメ「あのハンサムさん。この方は?」

ハンサム「こいつはクチナシ。ウラウラの島キングだよ」

クチナシ「まっ、そういうことだ」

ハンサム「ところで、シンリは?」

アヤメ「途中で追い抜きました。少なくとも顔は見られてません」

ハンサム「そうか。するとそろそろ我々は隠れなくてはならない」

アヤメ「すると奇襲をするわけですね」

クチナシ「いや、そうじゃない」

アヤメ「えっ?」

クチナシ「あくまで正々堂々と戦い………止める。こんなんでも俺は島キングだ」

ハンサム「アヤメ君は、もしクチナシが負けたらすぐにメレメレ島へ向かってほしい」

アヤメ「なるほど。次はハラ………ということですか」

ハンサム「私にもすこし作戦がある。シンリをウラウラから出さない手をね」

クチナシ「やれやれ………俺は負けるってか。まあいい、お前たちはもう隠れろ」



クチナシ「………奴が来た」

 ▼ 85 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/06 18:24:38 ID:vq3AFELU [3/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリがやってきた。

クチナシ「………いくぞペルシアン!」ボムッ

シンリ「オーカサス!」



ハンサム(アヤメ君、この勝負どう見る?)

アヤメ(いや〜、どうみてもクチナシ不利ですね。タイプ相性をご存じでない?)

ハンサム(私はもうポケモンを持っていないんだ)

アヤメ(あっ、そうでしたね。アローラペルシアンは悪タイプらしいので、虫タイプを持つオーカサス相手には分が悪いと思います)

ハンサム(なるほど)

アヤメ(でも、オーカサスは虫ドラゴンですから、悪タイプの攻撃の通りが悪いわけではありません。火力の大きい技を叩き込めば勝機はあります)

ハンサム(火力の大きい技………Z技か)



クチナシ「なるほどな………動きが鈍い分、耐久に優れている。俺のペルシアンとは真逆って訳だ」

シンリ「あなたのペルシアンの攻撃では倒せませんよ」

クチナシ「ふっ………それはどうかな?わるだくみだ!」



アヤメ(わるだくみは使ったポケモンの特殊攻撃力を上昇させます)

ハンサム(つまり、今のペルシアンは火力と素早さを両立しているってことか)
 ▼ 86 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/06 18:40:26 ID:vq3AFELU [4/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
クチナシ「右ががら空きだ!つじぎり!」

シンリ「今だ!」

オーカサス「カサァス!」ガシッ

ペルシアン「ペルニャ!」ジタバタ



ハンサム(ん?何があったんだ?)

アヤメ(ペルシアンがオーカサスの隙をついて攻撃を仕掛けたんです)

ハンサム(だが、ペルシアンは掴まれているではないか)

アヤメ(シンリがわざと隙を作ったんですよ。攻撃を誘導するためにね)

ハンサム(と言うと?)

アヤメ(普通のトレーナーなら相手の隙を突きますし相手は島キング………隙を見逃さず仕掛けてくると踏んで勝負に出たんです)

ハンサム(つまりクチナシは読まれていたってことか)



クチナシ「このままではまずい………ここが正念場ってわけか」

クチナシ「いくぞペルシアンッ!ブラックホールイクリプス!」

シンリ「ピラミッドホーンで迎え撃て!」



アヤメ(仕掛けた………!)

ハンサム(どっちが勝つ………?)

ズドォォォォォン!

アヤメ(くっ………すごい衝撃!)

ハンサム(威力は互いに互角か………?)



ペルシアン「ペペル………」バタッ

オーカサス「カサァス!」

シンリ「どうやら俺たちの勝ちですね。約束通り、Zリングとクリスタルは頂いていきますよ」

 ▼ 87 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/06 18:44:30 ID:vq3AFELU [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハンサム(アヤメ君!)

アヤメ(分かっています。ガブリアス、メレメレ島へ!)ボムッ

ガブリアス「ガガーン!」キィィィン………



クチナシ「だがよ、お前さんを島から出すわけにはいかねぇんだ」ピリリリリ………

シンリ「!?」

警官隊「覚悟しろシンリ!お前を拘束する!」



ハンサム(なるほど、ここで警官隊を使ってきたか。オーカサスは負傷している。行けるか………?)



シンリ「………」ボムッ

シンリのポケモンが光を放った。

警官隊「目がっ!」

クチナシ「この技はフラッシュ………しまった!」



シンリは姿を消した。



ハンサム(逃げられたか………頼むぞ、アヤメ君!)
 ▼ 88 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/07 23:02:33 ID:dHkwyMSM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ハラ「おや、アヤメ殿」

アヤメ「クチナシがシンリに負けました。次はあなたです」

ハラ「そうですか………」

ハラは天を仰いだ。

ハラ「仕方ありませんな。弟子の暴走を止めるのもまた、師の務め」

アヤメ「ご武運をお祈りしております。ところで………」

ハラ「カプZの事ですな?それなら心配要りませんぞ」

アヤメ「それなら安心です。しかし………カプZはそんなに大事なのですか?」

ハラ「カプZは………アローラの全てなのです。カプZが失われれば、アローラの光は失われると語られているのです」

アヤメ「光が失われるとは、どういうことなのでしょう?」

ハラ「人々のやる気が失われ………希望を無くし………何も出来なくなるのです」

アヤメ「それって、恐ろしいことじゃないですか」

ハラ「その通りです。だからこそ我々は命を懸けて………伝統を守ってきたのです」

アヤメ「………」



日が暮れる………約束の時間だ。

アヤメ「それでは失礼します。とは言っても、木陰から見させて頂きますが」

ハラ「もし私が負けたら………その時は頼みますぞ」

アヤメ「分かっています。必ず………カプZには触れさせません」



そして、シンリがやって来た。

ハラ「………来ましたか」

シンリ「………ええ。お久しぶりです。ハラさん」
 ▼ 89 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/07 23:21:41 ID:dHkwyMSM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハラ「先に言っておきましょう、シンリ。君の求めているモノはここには無い」

シンリ「なるほど。俺に勝つ自信が無いから隠したという訳ですか」

ハラ「弟子にそう言われるとは師匠失格ですな………」

ハラがシンリを睨み付けた。

ハラ「弟子に舐められるとは思いませんでしたぞ。カプZは………私よりも相応しいトレーナーに預けました」

シンリ「そうですか………それなら大体目星はついています」

ハラ「その推理が正しいか………私を倒して確かめるのです」

シンリ「望むところです。俺は………」ボムッ

オーカサス「カサァスッ!」

シンリ「あなたを倒すためにここに来た!」

ハラ「行きますぞ………!」ボムッ

ハリテヤマ「ハリッ!」



アヤメ(ヴァンディを使わない………ハラの予想通りね)



ハラ「ねこだまし!」
 ▼ 90 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/09 19:09:44 ID:I8r6aoek NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
オーカサス「カサッ………」ズズズ………



オーカサスとハリテヤマは一進一退の攻防を繰り広げた。しかし………



ハラ「ピラミッドホーンを受け止めるのです!」

シンリ「無駄ですよ。受け止めることはできません」

バァァァァン!

ハリテヤマ「ハリッ………」ガクッ

ハラ「ハリテヤマ!」

シンリ「勝負ありですね、ハラさん」

ハリテヤマ「ハリィ………!」

ハリテヤマはフラフラしながらも立ち上がった。



アヤメ(そろそろハリテヤマは限界かも………。でも、オーカサスも大きく消耗している)



ハラ「行きますぞ、シンリ!」

シンリ「もう無駄ですよ、ハラさん。あなたはもう勝てない」

オーカサス「カサァァァス!」
 ▼ 91 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/11 19:00:17 ID:/TzIMgls [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハラ「全力無双………激烈拳!」

ハリテヤマ「ハリハリハリハリハリハリィ!」ドドドドドドド

シンリ「ピラミッドホーン!」

オーカサス「カサァァ………」



ドォォォォォン………



砂煙が巻き上がった。そして………

ハラ「………!」

ドスッ!

ハリテヤマ「ハリィ………」ガクッ



アヤメ(砂煙の中からピラミッドホーンが………!)



ハラ「ハリテヤマ………ご苦労様です」

シンリは余裕そうにハラを見ている。

ハラ「しかし、私のZ技も成功しています。相討ちですな、シンリ!」

シンリ「それはどうでしょう………?」



砂煙が晴れた。



オーカサス「カサァァァス!」ピンピン
 ▼ 92 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/11 19:16:12 ID:/TzIMgls [2/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ハラ「まさか………こんなことが………」

シンリ「ハラさん、俺たちの勝ちです。さあ………」

ハラ「仕方がありませんな」

ハラはZリングとカクトウZを差し出した。

シンリ「オーカサス!」

オーカサスはすかさずZリングとカクトウZを破壊した。

ハラ「くっ………無念です」

シンリ「さあハラさん、カプZの場所を───」



カプゥゥゥコッコ!



アヤメ(!?)

アヤメの脇を何かが通りすぎ、シンリに飛びかかった。



オーカサス「カサッ!」

オーカサスがすぐに反応し"りゅうじんづき"をそのポケモンに繰り出した。

そのポケモンは素早く身を翻し攻撃をかわした。そして、シンリの目の前に姿を現した。



アヤメ(あれは………)



ハラ「カプ・コケコ………」

カプ・コケコ「コッコ!」

シンリ「ふっ、ハラさん、汚いじゃないですか」

オーカサス「カサァァァス………」

シンリ「バトルに負けたらこうやって奇襲して倒すつもりだったんですね」

ハラ「それは違いますぞシンリ。カプ・コケコは自らの意思で姿を現したのです」
 ▼ 93 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/11 19:52:38 ID:/TzIMgls [3/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「へぇ………」

カプ・コケコ「カプゥゥゥゥゥゥゥゥッ………!」

カプ・コケコの声が響き渡る。そして………



カプ・テテフ「てふ〜☆」

カプ・ブルル「ブルッ!」

カプ・レヒレ「ひれ〜」



ハラ「アローラの守り神たちが集まっている………」

(注:カプたちはテレパシーでシンリと会話をしています)

カプ・コケコ「シンリと名乗る者よ」

シンリ「何ですか?今になって現れて」

カプ・コケコ「我々は人間のいざこざには介入しない」

カプ・ブルル「お前は島キングを倒した………自らの身勝手な野望のためにな」

シンリ「ふっ………バカなことを言わないでください。身勝手なのは、あなたたちの方じゃないですか」

カプ・テテフ「ふぅ〜ん………」

シンリ「Z技を使いこなす器量も無い人間にZ技を与えておいて………あなたたちが撒いた種ですよ」
 ▼ 94 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/11 20:33:58 ID:/TzIMgls [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
カプ・テテフ「ぷっ………」

シンリ「何がおかしいんです………?」

カプ・ブルル「はっはっはっ!とんだ勘違い野郎じゃあないか!」

カプ・コケコ「どんな人間やポケモンも完全な状態では誕生しない。常に学び、成長していくのだ」

カプ・レヒレ「私たちは使いこなせる人間を選んでZ技を与えるのではありません。その人間がZ技………そしてポケモンと共に成長することを期待して与えるのです」

カプ・テテフ「わかるてふ〜?Z技を完璧に使いこなせる人間なんて最初から居ないてふ☆」

カプ・テテフ「もちろんキミも使いこなせていなかったてふ☆」

カプ・ブルル「お前はアルテミナのトレーナーに勝手に期待して、勝手に失望して、勝手な決定を下した………違うか?」

シンリ「………」

オーカサス「カサッ!」

カプ・コケコ「ほう。アルテミナのポケモンたちのためだと………このポケモンは言っているな」

カプ・テテフ「ふぅ〜ん。じゃあ、アローラのポケモンたちはどうなっても良いてふ?」

シンリ「それは………」

カプ・テテフ「う〜ん、やっぱりキミはダメみたいてふ。何も考えていないてふ」

カプ・コケコ「訊こう。Z技が消滅したら、アローラはどうなる?」

シンリ「………」

カプ・コケコ「知っているのか、知らないのか、答えろッ!」
 ▼ 95 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/14 09:20:03 ID:Bhroax6. NGネーム登録 NGID登録 報告
シンリ「………知っていますよ」

カプ・コケコ「ほう」

シンリ「アローラのポケモンたちが不甲斐ないトレーナーから救われます」

カプ・コケコ「逆だッ!」

カプ・ブルル「やはりお前は大きな過ちを犯している。分かるか?」

と、ここでハラが割って入った。

ハラ「カプたちよ!それに関してはシンリは悪くありません!すべて私のせいなのです!」

カプ・レヒレ「安心なさい。私たちは彼の無知を責めることもあなたの教育ミスを責めることもありません」

カプ・テテフ「そもそも、キミがZ技を教えたのはシンリが5歳の頃だったてふ」

カプ・レヒレ「その頃はまだ子供………知らなくても無理はないし、わざわざ教える必要もないでしょう」

カプ・コケコ「だが、今は別だッ!」

カプ・コケコ「この世で最も非合理的な行為………それが不十分な知識と思い込みを基に行動することだッ!」

カプ・ブルル「シンリ、お前はZ技が消滅することでアローラに何が起こるのか理解していない」

カプ・コケコ「ロクにZ技を研究もしなかったお前のせいでこんなことになったのだッ!」

 ▼ 96 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/15 09:12:35 ID:yZTQsoLg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「あなたたちは………アルテミナの現状を見ていないからそんなことが言えるんですよ」

カプ・コケコ「ほう………?」

シンリ「アルテミナのポケモンたちは、Z技に取りつかれたトレーナーによって酷使されているんです。それを見れば、考えを改めるはずですよ」

ハラ「その通りです!責めるなら───」

ハラの声をカプ・ブルルが遮った。

カプ・ブルル「そんなことは分かっている」

シンリ「えっ?」

カプ・ブルル「今アルテミナで起こっている問題は我々も認識している」

カプ・テテフ「その上で、私たちは介入しないことに決めたてふ」

シンリ「分かっていながら何もしないなんて………責任を感じないんですか?」

カプ・テテフ「責任?………キミは本当に分からず屋てふ」

カプ・レヒレ「アルテミナの問題はあくまでも"アルテミナ"の"トレーナー"の問題。我々"アローラ"の"ポケモン"が介入するのは、それこそおかしな話です」

カプ・ブルル「責任があるのは我々でも、ハラでもない。Z技を勝つための道具としか見ていないアルテミナの輩だ」

カプ・レヒレ「肝心なのは、アルテミナの人間たちが自らそれに気付くことなのです」

カプ・コケコ「だがシンリッ!お前はその"アルテミナの問題"を"アローラの問題"にすり替え………自分を正当化している」

カプ・テテフ「たとえキミがそうじゃないって言っても、私たちには………キミが、破壊を楽しむために適当な理由をでっち上げているだけにしか見えないてふ」

シンリ「………でっち上げ?」

カプ・テテフ「そうてふ。キミがアローラを、そしてZ技を憎むのはお門違いてふ」



シンリ「ふざけるなよ」
 ▼ 97 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/15 09:27:59 ID:yZTQsoLg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンリ「お前たちは………アローラの人間とポケモンさえ良ければそれで良いのか?」

オーカサス「カサァァァ………」

ハラ(シンリが怒っている………?オーカサスも………)

カプ・ブルル「もちろんだ」

シンリ「なっ………」

カプ・レヒレ「我々はアローラを守るための存在。たとえアローラ以外の全ての地方を滅ぼすことになろうとも、アローラを守らなくてはならないのです」

しばしの沈黙。そして………

カプ・コケコ「さあッ!話は終わりだシンリッ!」

カプ・テテフ「キミに残された道はたった一つてふ。キミはこの件から手を引いて、もうZ技を消そうという企てを起こさないことを誓うてふ」

シンリ「二つ、お前たちを倒し………アルテミナのポケモンたちを救う!いわなだれ!」

オーカサス「カサァァァス!」ズドドドドド

カプたちは軽く攻撃をかわした。

カプ・コケコ「そうか。それがお前の答えなら容赦はしない」

ハラ「待つのですカプ・コケコ!シンリに何を!?」

カプ・コケコ「決まっているッ!アローラを脅かす敵は排除するだけだッ!」

 ▼ 98 ンクルス@グラウンドメモリ 18/11/15 09:34:50 ID:DkCsXjkk NGネーム登録 NGID登録 報告
よぉルイカス
 ▼ 99 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/17 18:10:22 ID:ukkMtKFA [1/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
カプ・コケコ「行くぞッ!」

カプ・コケコたちがシンリを4方向から囲んだ。そして………

カプ・コケコ「コケェェェェェッ!」
カプ・テテフ「てふ〜☆!」
カプ・ブルル「ブルルルルルッ!」
カプ・レヒレ「ひれ〜!」

シンリ「一体何を………?」

カプたちの体から"何か"が湧いてきた。そしてそれは混ざりあい、カプ・コケコたちとシンリを包みこんでしまった。



アヤメ「これは………?」

アヤメは茂みから出てハラに尋ねた。

ハラ「カプ・フィールドです。私も今まで見たことがありません」

アヤメ「何ですかそれは?エレキフィールドみたいな技があるのは知っているのですが………」

ハラ「うむ。まず、カプ・コケコたちの特性をお教えしましょう。カプ・コケコの特性はエレキメイカー。エレキフィールドを展開するのです」

アヤメ「そんな特性が………」

ハラ「他のカプたちにも、カプ・テテフがサイコフィールドを、カプ・ブルルがグラスフィールドを、カプ・レヒレがミストフィールドを展開する特性を持っているのです」

アヤメ「なるほど。それで、カプ・フィールドというのは?」

ハラ「4匹のカプたちが同時にフィールドを展開すると、そのフィールドが混ざりあい生成されると言われる伝説のフィールドです。しかし………」

アヤメ「しかし?」

ハラ「カプたちが同時にフィールドを展開するということは、戦う相手が島を越えた脅威………アローラ全体の脅威であるということです」

ハラ「シンリはもう私の知っている無邪気な少年では───」



バァァァァァン!

オーカサス「カサァァァァァァ!」



アヤメ「今のは!?」

ハラ「オーカサスが攻撃を受けている………やはりシンリはカプ・コケコたちと戦っているのです」
 ▼ 100 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/17 18:20:51 ID:ukkMtKFA [2/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
その頃、カプ・フィールドの中では………

シンリ「オーカサスっ!」

オーカサス「カサァァ………」

カプ・コケコ「どうした?もう終わりか?」

カプ・ブルル「お前の覚悟も決意も実力もその程度だったということだ」

シンリ「くそっ………こんな所でッ………!」

オーカサス「カサァァ………」

カプ・テテフ「これで終わりてふ」ギュィィィィン!

カプ・レヒレ「さあ………!」ギュィィィィン!

シンリ(ムーンフォース………!)



ドォォォォォォン!

オーカサス「カサ………ァァッ………」バタッ

シンリ「こうなったらやるしかない………!」

カプ・コケコ「ほう、オーカサスが無惨に倒れたのを見て、まだやるか」

カプ・テテフ「私たちには絶対に勝てないてふ。諦めた方が身のためてふよ」

シンリ「ふっ………教えてあげますよ」

カプ・テテフ「?」

シンリ「ポケモンバトルに"絶対"という言葉は無いことを!」ボムッ!

 ▼ 101 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/17 18:42:21 ID:ukkMtKFA [3/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
再びカプ・フィールドの外、ハラたちはカプ・フィールドを眺めていた。

アヤメ「ハラさんは………戦いを止めるつもりは無いのですか?」

ハラ「止めたいのはやまやまですが、我々には何もできません。それがカプたちの戦いなのです」

ハラ「カプの意思はアローラの意思………島キングの私でも覆すことはできないのです」



バッ!

アヤメ「くっ!光がっ!」
ハラ「この光は!?」



アヤメたちが顔を上げた。

カプ・コケコ「くっ………まさかッ………」ガクッ
カプ・テテフ「負けちゃったてふ………」ガクッ
カプ・ブルル「不覚………」ガクッ
カプ・レヒレ「ひれ〜」ガクッ

ハラ「カプたちがやられています!」

シンリ「俺が倒しました。ハラさん」

ハラ「まさか………そんなことがあるとは………」

シンリ「全ての障害が無くなりました。明日、全てを終わらせます」

そう言いシンリは去っていった。



ハラ「私は島キング失格です。心のどこかに、シンリがあれほど強くなったことを喜んでいる自分がいるのですから………」

カプ・コケコ「そうか。だが………我々は負けてしまった。また鍛え直さねばな」

カプ・テテフ「もっと強くならないといけないてふ………」

カプ・ブルル「同感だ。さあ、帰ろう。それぞれの島に」

カプ・テテフ、カプ・ブルル、カプ・レヒレが帰っていった。

カプ・コケコ「さて、どうする?国際警察の者よ」

アヤメ「シンリの次の目的は分かっています。そして、それが最後であることもです」

アヤメ「次は私の番。シンリを止め、我々の任務を果たすのみ!」
 ▼ 102 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/17 18:56:37 ID:ukkMtKFA [4/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
同時刻 アルテミナ某所

リガンは港にいた。昼間は遠くに終わりの島、そして終焉山を見ることができる有名な観光地だ。

リガン「もしもし………」ポンポン

リガンは港に佇んでいた女性に声をかけた。

リガン「あなたが………ハンサムさんの仲間ですか?」

その女性は振り返り頷いた。

マチエール「はい。私はマチエール、そしてあなたがリガンさんですね?」

リガン「ええ。よろしくお願いします」

マチエール「早くしましょう?大変なことなんでしょ?」

リガン「はい。私はフウラシティで行方不明になった研究員の居場所を知っています」

マチエール「それが………国際警察の追っている事件のことなの?」

リガン「間違いありません」

マチエール「でも、どうして国際警察がこの事件を追っているって分かったの?」

リガン「………話すとかなり長くなります。ですが今は信じてください。ハンサムさんが俺を信じてくれたように………」

マチエール「そうね。私に協力してもらうように指示したのはハンサムおじさんなんでしょ?それなら疑う理由は無いです」

リガン「ありがとうございます」
 ▼ 103 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/17 19:03:48 ID:ukkMtKFA [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
マチエール「これが、"イクスパンジョンスーツ改U"です」

マチエールがボディスーツを取りだしリガンに渡した。

マチエール「これがあれば夜の寒い海も平気です。さらに、高いステルス性能を持っているので潜入捜査もこなすことができます」

リガン「それは素晴らしいですね」ボムッ!

オーカサス「カサァァス!」

リガン「でも俺は海を泳げるポケモンを持っていないんです。幸いオーカサスの体色なら夜闇に紛れて飛行できますから」

マチエール「いいえ。海からいく方が安全です」ボムッ!

カラマネロ「カラカラカラッ!」

マチエール「カラマネロなら人間二人を連れて泳ぐことも造作ありません。リガンさん、行きましょう」

リガン「わかりました」

リガンはオーカサスを引っ込めた。そして、二人はイクスパンジョンスーツ改Uを着た。

マチエール「カラマネロ!目的にはあの島よ!」

カラマネロ「カラァァァァァッ!」ジャバァァァン!

カラマネロはリガンとマチエールと共に海に飛び込んだ。

目的地は終わりの島。そこに………

 ▼ 104 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/18 15:51:29 ID:EDA.f79g [1/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
一方、ウラウラ島にいたハンサムはエーテルパラダイスに戻っていた。

ハンサムはホロキャスターを取りだし、メッセージを確認した。

ハンサム(おや………?)

ホロキャスターには二つだけ、メッセージが記録されていた。

"明日の朝一番の船でアルテミナに向かえ。用件は現地で伝える"

ハンサム(一体なぜ別件に取り組んでいる私を………?)

そして、もう一つはアヤメからのものだった。3時間前に届いたようだ。

"ハラが負けました。今日はメレメレ島に滞在し、明日の朝、決着をつけます"



ハンサム「………そうか」

ハンサムの朝は早い。ホロキャスターを机に置き、寝ようとした。

ハンサム「ん………?」

しかし、ハンサムは机の上にある日記に目が止まってしまった。

ハンサム「これは………」

ハンサムは日記を手に取り読み始めた。どうやらしばらくは寝れなさそうだ。
 ▼ 105 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/18 16:07:57 ID:EDA.f79g [2/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
[リガンの手記]

アルテミナを去ってから5年が過ぎた。俺は今やアルテミナで起きた圧政の生き証人となってしまった。

アルテミナの人間は外の地方に出ることを許されていない。また、他の地方の人間がアルテミナに立ち入ることも厳しく規制されている。

俺は事実上、アルテミナを脱出した最後の人間だった。だが、俺はアルテミナのことを心配する気にはなれなかった。

アルテミナの人間はZ技を道具としてしか見ていなかった。ポケモンそのものも、戦いの道具だと思っている。古代の王も、ヴァンディを自らの支配の磐石と考えてしまったから身を滅ぼしたのだろう。

俺はそんな輩とは違う。だから、アルテミナのことについて尋ねられても、それを避けてきた。



ある日、俺はミアレシティにあるハンサムハウスという場所に行った。ハンサムという男が、俺と話をしたいのだそうだ。

ハンサム「ようこそ、シンリ君」

ハンサムという男はすぐに話を切り出した。

ハンサム「実は………君を国際警察にスカウトしたくてね。どうかね?」

俺は戸惑った。俺は10年前、カプZを破壊し、Z技という文化を断絶した犯罪者だ。そんな俺に、犯罪を取り締まる側に加われと言われるとは………

だから、俺は尋ねた。

"俺が何をしたか、ご存じ無いのですか?"

ハンサム「もちろん理解しているし、許されないことだ。だが………」

ハンサム「君には強い意思と、それを果たす強さがある。私はそれを期待しているんだよ」



 ▼ 106 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/18 16:19:44 ID:EDA.f79g [3/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
10年前、俺はアルテミナのために闘った。しかし、アルテミナの俺に対する態度は冷たいものだった。

裏切られたような気がして、アルテミナを追放されてからは、ずっと何をする気もなくただ生きていた。だから、俺はハンサムの誘いを受けることにした。生きる意味が欲しかったのだ。



ハンサムが俺に与えた最初の任務は、アローラ地方で起きている集団無気力現象への救援であった。

アローラ地方で最近、大人たちの気力が失われ、社会機能が低下するという現象が起きている。もちろん、アローラ警察ももはや体を成していない。

ハンサム「無力化してしまったアローラ警察から要請があった。目下、調査団を派遣しているがその調査団も無気力化してしまうので難航している」

ハンサム「君はまだ若い。だから、もしかすると無気力化されずにすむかもしれない。だからアローラに向かうのだ」

俺には恐怖があった。俺は10年前からアローラの仇敵である。だから、俺はこう言った。

"俺が行くべきではないのでは?"

ハンサムはこう答えた。

ハンサム「それは違う」

ハンサム「確かに、君が昔やったことはアローラに大きな損害を与えた。しかし、君はアローラを滅ぼすためにやったのではないだろう?」

ハンサム「君に与えられた任務はアローラを救うことに繋がる。むしろ、行かない理由は無い」

"ですが、やはり………"

ハンサム「それならば、偽名………ではなくコードネームを使うのだ」

俺は少し考えた。そして、ある名前を考え付いた。

それが、"リガン"だ。
 ▼ 107 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/18 16:32:40 ID:EDA.f79g [4/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
俺はリガンとしてアローラに渡った。確かに空港に着くとすぐ、係員がだるそうに仕事をしていた。

俺は空港を出た。すると、たちまち体から力が抜けていった。

するの、俺の腰のモンスターボールからヴァンディが突然飛び出した。それと同時に、俺を襲った無気力感もどこかに行ってしまった。

俺がヴァンディを手にしたのが10年前………。それでもまだ、ヴァンディについて知らないことがあったのだ。

俺は調査本部が置かれているエーテルパラダイスに到着した。エーテルパラダイスの代表であるルザミーネも、支部長を名乗るザオボーも、バーネットという研究者も、だらっとしていた。

ルザミーネ「ようこそ………。あなたが国際警察の………」

リガン「リガンです。よろしくお願いします」

ザオボー「ところで………後ろのポケモンは………?」

リガン「ヴァンディです」

ヴァンディ「ヴァヴァン!」ピカーッ!

ヴァンディが突然発光した。

リガン「大丈夫ですか!?」

すると、奇妙なことに、さっきまでやる気の感じられなかったルザミーネたちの動きが変わった。

ルザミーネ「ええ。大丈夫です」

バーネット「その、ヴァンディというポケモンの光を浴びた瞬間にやる気が戻ってきた。一体どうなっているのかしら?」

ルザミーネ「至急調査したいのですが、よろしいですか」

リガン「はい。私は全面的に協力するよう言われていますので」

 ▼ 108 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/19 10:20:28 ID:Ya2coF0g [1/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
調査の結果、驚くべきことが明らかになった。

ヴァンディというポケモンは、どうやら"ウルトラオーラを纏った存在"であるようだ。

ルザミーネ「ヴァンディのタイプは………"ひかり"。ウルトラオーラそのもののタイプと言えるでしょう」

バーネット「どのタイプとも有利不利の関係が無い………ウルトラオーラの性質を表している」

リガン「それはどういうことですか?」

バーネット「ウルトラオーラは我々の世界とはことなる領域、ウルトラスペースから流れてくるエネルギー………」

ルザミーネ「ウルトラオーラを纏ったポケモンは身体能力が強化されるわ。でも、そのポケモンのタイプには影響を及ぼさない………」

ザオボー「近年の研究では、Z技に必要なZパワーもウルトラオーラと同一視できるとのことですが………」

ルザミーネ「10年前、Z技はアローラから消えた」

リガン「………」

ルザミーネ「とにかく、ウルトラオーラはアローラとは切っても切り離せないものだったの。それが、今失われつつある………」

バーネット「今回の無気力化現象の原因もウルトラオーラの欠乏であると考えられているの」

ルザミーネ「最近、ウルトラホールからウルトラオーラが流出しているという報告がありました。我々の調査では、大昔にも同様の現象があったのです」

リガン「大昔………そのときはどのようにして解決したのですか?」

ルザミーネ「その時はZリングを介してZパワー………つまりウルトラオーラを"かがやきさま"に捧げたと記録されているわ」

バーネット「でも今は、カプZが破壊されたことでZリングの効力が失われてしまったのよ」

リガン「………!」
 ▼ 109 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/19 10:36:26 ID:Ya2coF0g [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ルザミーネ「つまり、今回は我々に解決する術は無い」

リガン「それでは、なぜ我々に協力を?」

ルザミーネ「我々がアローラを永久に去る準備の手伝いです」

ザオボー「じきに、アローラは人間が住める場所では無くなるのです。幸いなことに、既に我々エーテル財団が移住先を見つけることに成功しました」

ルザミーネ「しかし、突然移住しろと言われても人々はパニックに陥るでしょう。従って、住民を説得し、安心させる必要があります」

ザオボー「そのために、あなた方国際警察に協力を仰いだのです」

リガン「そうですか。もちろん協力します。本部に連絡すれば応援の人員を国際警察だけではなく、全国各地から呼び寄せることが出来るでしょう」

ルザミーネ「助かるわ。それでは、計画を練りましょう」

ザオボー「それでは会議室にご案内───」

ビー!ビー!ビー!ビー!ビー!

リガン「!?」

ルザミーネ「この警報………!ウルトラビーストね!」

"メレメレ島、ポケモンスクール上空にウルトラホールが発生!そこから黒いウルトラビーストが出現しました!"

バーネット「会議は後ね!メレメレに向かいましょう!」

ルザミーネ「ザオボーはここに残り、サポートを!」

ザオボー「了解!」

リガン「俺もメレメレに行きます!」

ルザミーネ「助かるわ!さあ行きましょう!」



こうして、バーネット、ルザミーネ、リガンはメレメレ島に向かった。しかし彼らは知らない。皮肉なことに、Z技が終焉したその現場で、アローラの終焉が決定付けられることを。
 ▼ 110 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/19 23:09:53 ID:Ya2coF0g [3/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
メレメレ島のポケモンスクールにももう人影は無い。先生たちがやる気をなくして休校になったのだ。

リガン「………静かですね」

ルザミーネ「ええ………以前の賑やかさが嘘のよう。バーネット、ウルトラビーストの反応は?」

バーネット「今解析してる!………えーっと、これは………!」

リノォォォォォ!

リガン「何だ!?」

バーネット「後ろから来てる!避けて!」

リガン「ヴァンディ、後ろだ!」

ヴァンディは素早く敵の攻撃を避けた。リガンたちは敵と向き合う………漆黒のウルトラビーストだ。

バーネット「ルザミーネ………おかしい、このポケモンからはウルトラオーラが検出できないんだ」

ルザミーネ「どういう事!?このポケモンはウルトラビーストじゃないの?」

バーネット「いや、間違いなくこのポケモンが報告にあったウルトラビーストよ!」

???「リノォォォォォ!」

ルザミーネ「来る!」

リガン「プロミネンス!」

ヴァンディ「ヴァヴァ-ン!」ゴォォォォォォ!

 ▼ 111 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/19 23:25:53 ID:Ya2coF0g [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヴァンディから放たれた紅い炎が黒いウルトラビーストに襲いかかった。しかし………

???「リノリノリノ………」ピンピン

リガン「………攻撃が効いていない!」

ルザミーネ「一体どうなっているの!?」

バーネット「まさか………ルザミーネ、リガン、よく聞いて。ヴァンディの技がウルトラビーストに当たったとき、吸収されているように見えたの」

ルザミーネ「吸収?」

バーネット「そう。そして、このポケモンからはウルトラオーラを検出できなかった。さらに、ヴァンディはウルトラオーラを纏った存在。つまり………」

ルザミーネ「あのポケモンはヴァンディの攻撃を吸収し、ウルトラオーラを補給しているのね!」

バーネット「恐らくその通り。つまり………」

ルザミーネ「ヴァンディではあのポケモンに勝てない!リガン!ボールに戻してっ!」

リガン「くっ………!」

しかし、リガンがボールをヴァンディに向けたときには既にヴァンディは黒いウルトラビーストに押し倒されていた。

ヴァンディ「ヴァァァァァァァン!」

リガン「くそっ………ボールに戻せない!」

黒いウルトラビーストはリガンに背を向けるようにヴァンディに覆い被さっていた。

ルザミーネ「回りこむのよ!」

リガン「ヴァンディ………!」タッタッタ………

黒いウルトラビーストは何かを喰らっているようだった。

バーネット「まずいわ………あのポケモンはヴァンディから直接ウルトラオーラを吸収している」

ルザミーネ「バーネット、もし、ヴァンディからウルトラオーラが吸収され尽くしたらどうなるの?」

バーネット「それは分からない。でも、恐らくウルトラオーラを完全に失ったら───」



黒いウルトラビーストがヴァンディから離れた。ピクリとも動かず、光を失ったヴァンディを残して………



バーネット「───死ぬ」
 ▼ 112 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/29 20:57:12 ID:.Vpg3LjI [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
リガン「ヴァンディ!」

返事がない。ただの屍のようだ。

リガン「………くそっ!」ボムッ

オーカサス「カサカサッ!?」

オーカサスは戸惑っているようだった。なにしろ、昨日までピンピンしていたヴァンディが力尽きて倒れているのだから。

リガン「それは後だ!あいつに───」

黒いウルトラビーストの姿は既に無かった。

バーネット「反応消失………、どうやら元の世界に帰ったようね」

ルザミーネ「ええ。でも………」



リガン「ヴァンディ………」

オーカサス「カサァ………」

リガンとオーカサスはまだヴァンディの側にいた。



バーネット「アローラに人が住めなくなるのも時間の問題。移住計画を早く進めないと………」

ルザミーネ「まさか、アローラが終わるときが来るなんて。どうしてこんなことに………」

バーネット「私たちは悪くない。強いて言えば、10年前………」

ルザミーネ「でも、彼を恨んでも仕方ないわ。大切なのは今をどう生きるかよ」
 ▼ 113 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/29 21:19:58 ID:.Vpg3LjI [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
その後、エーテル財団によってヴァンディは手厚く葬られた。幸いにも、黒いウルトラビーストが去ったことで無気力化は抑えられた。その結果、移住計画は大きな障害もなく進み、最後の船が出る日はまもなく訪れた。



船尾甲板には、名残惜しそうにアローラの地を見つめる者たちがいた。

ルザミーネ「これで、アローラから人が居なくなるのね」

クチナシ「もはやどうでもいいことさ。アローラの人間にはもうどうすることも出来やしない」

バーネット「これからアローラの人々はどうなるのかしら?」

ルザミーネ「分からない。ただ、新たな場所で、暮らしていけることを祈るばかりよ」

クチナシ「あんちゃん」

リガン「………えっ?」

リガンは突然声をかけられて戸惑った。アローラの現状を招いたのは10年前のリガン、すなわちシンリだからだ。

クチナシ「あんちゃんはまだ若い………。だからよ、一つだけ言っておく」

リガン「何でしょう?」

クチナシ「絶対にアローラの仇を取ろうなんて………考えるなよ」

リガン「………」

クチナシ「アローラの人間は復讐なんてことに取りつかれない。今も、昔も、これからもだ」

クチナシ「あんちゃんは今を生きなくちゃいけない。アローラが失われた"今"をだ」

リガン「………わかっています」

クチナシ「………おっと。あんちゃんはアルテミナの人間だったな、"シンリ"」

リガン「………どうしてそれを?」

クチナシ「俺はハンサムとは長い付き合いなんだ」

リガン「そうなんですね」



最後の船の向かう先はカロス。リガンは帰ってきてからすぐ、ハンサムハウスに向かった。
 ▼ 114 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/11/29 21:28:08 ID:.Vpg3LjI [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハンサム「………そうか」

リガン「俺を責めないんですか?」

ハンサム「なぜ責めないといけないのかね?君は任務を立派に果たしたじゃないか」

リガン「でも俺は、あの日、アローラを葬った」

ハンサム「そうだ。そして、たった今、アローラの人間の為に任務を果たして帰ってきた。それでいいじゃないか」

マチエール「そうです。もう過去のことを気にしても仕方ありませんよ」

クセロシキ「そうだよ」

ハンサム「まあ、テレビでも観ようか。見たい番組はあるかな?その辺りに番組表が………」ピッ

リガン「え〜っと………」

リガンがテレビ欄に目を下ろしたその時、テレビでは、ニュースをやっていた。



"緊急速報 アルテミナ地方に謎の攻撃"
 ▼ 115 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/13 10:09:46 ID:W/d6ZS5o [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
リポーター「ご覧ください!街が………」

ヘリコプターから街が見下ろされる。


リガン「これは………!」


写し出されたのはアルテミナの港町だった。ビルは倒壊し、公園は炎に包まれ、家々は跡形もない───

そしてカメラは浜辺を写した。

リポーター「あっ………あぁ………」

リポーターの絶句。そして映像は途切れた。しかし、一瞬の内にリガンは数万を下らない死体を認めた。



画面はどこかのテレビ局に戻った。

アナウンサーA「現在、生存者の確認を急いでいます………」

アナウンサーB「しかし………生存は絶望的です。これを………」

次の映像に、襲撃の様子が記録されていた。
 ▼ 116 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/13 10:36:13 ID:W/d6ZS5o [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
まず、海を映したカメラが4体のポケモンの飛来する様を捉えていた。

カメラは山の展望台から街を見下ろしたものに変わる。4体のポケモンは分かれ、突然街を攻撃した。

アナウンサーA「このポケモンたちは街を繋ぐ4本の道路をそれぞれ破壊しました。この結果、住民は海の方へ避難せざるを得なくなります………」

外側から灼かれる街。逃げ遅れた車は炎に包まれ爆発し、逃げ惑う人々に崩れたビルが降り注ぐ。

辛くも浜辺に逃れ集まる人々。4体のポケモンは一人の巨人となり、彼ら目掛けて鉄槌を下す───



アナウンサーB「一体何があったのでしょうか?」

アナウンサーA「あっ、アルテミナ警察当局の緊急会見です!」

映像が切り替わった。



フォルス「皆さん、今日起きたことは………裁きです」

記者たちからはざわめきが起こった。

フォルス「街を襲った4体のポケモンはカプ………つまりアローラの守り神です。彼らの目的は報復………10年前、Z技を奪い去ったシンリへの裁きなのです」

記者「シンリ………しかし彼は5年前にアルテミナを追放されたのでは?」

フォルス「しかし、カプたちがそれを知る術は無いでしょう。そこで………」

フォルス「我々はシンリを国際指名手配します」
 ▼ 117 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/16 22:12:13 ID:bk4AuBi2 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ハンサムはそこでテレビを切った。それと同時に、ハンサムのホロキャスターがメールの着信を示すバイブレーションを行う。

ブルルルルル………

ハンサム「………」

ハンサムはホロキャスターを取ろうともしない。

リガン「取らなくて………いいんですか?」

ハンサム「君もメールの中身は察しが付いているだろう?」

ブルルルルル………

ハンサム「そのメールには、シンリを捜索しろという指令が記されているはずだ。もし、それを読んでしまったなら───」

リガン「………」

ハンサム「私たちは君を今すぐ捕まえ、然るべき所に突き出さなくてはいけなくなる。それが国際警察としての務めだからな」

リガン「つまり俺は………」

ハンサム「そういうことになる。残念だが、"リガン"はもう終わりだ」

リガン「………」

ハンサム「最後に一つだけ良いかな?」

リガン「何でしょうか?」

ハンサム「もし君が、君の望まなかった未来をやり直したいのなら………ディアルガに会うのだ」

 ▼ 118 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/16 22:19:05 ID:bk4AuBi2 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
リガン「ディアルガ?」

ハンサム「そうだ。ディアルガはシンオウ神話に語り継がれる伝説のポケモン」

リガン「そう言えば聞いたことがあります。シンオウ地方には神と呼ばれしポケモンが2体いて、それぞれ時間と空間を司るとか………」

ハンサム「その通り。ディアルガは時を司る」

リガン「つまり、ディアルガに会って過去に送ってもらい、未来を変えろということですね?」

ハンサム「そうだ。尤も、ディアルガがそれを許せばの話だが………いや、君なら十分に可能性はある」

リガン「………」

ハンサム「さあ、行くんだ。もう私はメールを開かなくてはならない」

リガン「分かりましたハンサムさん。さようなら」

ハンサム「健闘を祈っているよ。シンリ君」



シンリはハンサムハウスを出た。扉が閉まったのを確認したハンサムは、ホロキャスターを手に取り2通のメールを送った。一つは指令の受信確認、そしてもう一つは"リガン"の引退報告だった。
 ▼ 119 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/16 22:39:11 ID:bk4AuBi2 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリはまだ国際警察の身分証明証を所持していた。そのため、ミアレシティから飛行機に乗り、シンオウ地方、コトブキシティにたどり着くことができた。その後でシンリは身分証明証を捨てた。

そしてシンリはホロキャスターを確認した。ついさっきまで国際警察だったのだから勿論本部からのメールが届いていた。だが、メールはもう一通あった。

シンリ「ハンサムさんからか………」

シンリはメールを開いた。

"君がもし過去に戻れた時のためにヒントを出そう。まず、ホロキャスターの連絡先は10年前から変わっていない。だから10年前でも私たちと連絡を取ることができる。そしてもう一つ───"

シンリ「これは………」

シンリは添付された音声データを確認した。10年前にフウラシティで誘拐され、5年前にアルテミナ地方で発見された研究員への聴取だった。

"この聴取で、研究員は終わりの島に軟禁されていたことが判明した。なぜこれを君に教えるのか、それは自分で考えてほしい。国際警察として、迂闊なことは話せない。ヒントは彼の研究にある。彼はZ技を連続で使用するとポケモンに多大な負荷をもたらすことを証明した"

シンリ「やはり………それを隠すために誘拐したということか」

"ただ10年前の君を止めるだけではダメだ。アルテミナの人間に、自らを省みるチャンスと情報を与えてほしい。それがアルテミナのトレーナーの中でいち早く「真理」に到達した君の務めだ"



シンリはもうヴァンディを喪っていた。しかし、オーカサスは健在である。テンガン山の登頂は、そこまで難しいことでは無かった。

シンリの目の前に槍の柱が現れた。この場所こそが、神と呼ばれしポケモンと人間の交信の場所だ。



突然辺りが暗くなった。

シンリ「オーカサス」

オーカサス「カサァス………!」

何かが語りかけてくる。

"人間よ………何用だ?"

閃光。

ディアルガ「我はディアルガ。人間よ………何故に過去に戻ることを欲する?」
 ▼ 120 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/16 23:01:18 ID:bk4AuBi2 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンリ「10年前、俺は取り返しのつかないことをしてしまった。だからこそ、俺はやり直したい」

ディアルガ「そうか。良いだろう」

シンリ「ありがとうございます」

オーカサス「カサカサッ!」

ディアルガ「ただし、条件が一つだけある。必ず帰って来ると誓うのだ」

シンリ「構いません」

ディアルガ「よし………。いいか、チャンスは一度だ。お前は、お前自身がZ技を終わらせたその日から一週間の内に槍の柱に戻ってくるのだ。成功しても、失敗してもな」

ディアルガ「もし失敗したならば、お前はこの今を今として受け入れて生き続けなくてはならない」

シンリ「覚悟の上です」

ディアルガ「いい心構えじゃないか。………そうだ。ヴァンディのモンスターボールはここに置いていけ」

シンリ「………なるほど」

シンリはヴァンディの入っていた空のボールを預けた。

ディアルガ「では行こう。お前が………お前とアローラとアルテミナの望んだ未来を導けることを祈っている」

シンリ「必ず成し遂げる………行くぞ!」

オーカサス「カサァァァァス!」



ディアルガ「グォォォォォォッ!」

咆哮、そして閃光。

"10年後"の槍の柱からシンリたちの姿が消えた。そして………





シンリ「戻ってきた………10年前に」

オーカサス「カサァァァァス………」

[リガンの手記 終]



ハンサム「そういうことか………」

コンコンコン………

ザオボー「ハンサムさん、いらっしゃいますか?」

ハンサム「ああ」

ザオボー「入りますよ」
 ▼ 121 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/17 20:12:12 ID:jIXIpG2k NGネーム登録 NGID登録 報告
ハンサム「ザオボーさん、こんな時間にどうされましたか?」

ザオボー「エーテルガンの新しい弾を開発したのですよ。どうぞ」

ザオボーはハンサムに弾を手渡した。

ザオボー「これは"プラスパワー6弾"です。当てたポケモンの攻撃力を大幅に強化します」

ハンサム「プラスパワー6………、どこかで聞いたことが………」

ザオボー「なるほど………。いや、今はどうでも良いことか」

ハンサム「ありがたく使わせて頂きます」

ザオボー「では」

ザオボーは部屋を出ていった。



ハンサム「さて………。アルテミナに行かなくてはな」

ハンサムは部屋を出て、地下1階の船着場に向かうことにした。その途中のエレベーターでのこと………

ハンサム「おや、君は」

グズマ「こいつを」

グズマはハンサムに何かを投げて渡した。

ハンサム「これは………」

グズマ「子分たちの話を聞いてるとよ………あいつは俺達とは違うって思えてよ」

グズマ「あいつが俺達みたいにZ技を諦めないように………渡してくれ」

ハンサム「分かった。渡しておこう」

グズマ「ありがとよ」



ハンサムは船着場に着いた。そして船に乗り込み、アルテミナに向かった。
 ▼ 122 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/19 20:19:11 ID:68EYeVXA [1/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
そして運命の日………

デデンネ「ンネネネネネネネネネ!」ビビビビビ

アヤメ「うっ………おはよう」

デデンネ「ンネッ!」

アヤメ「デデンネが起こしてくれたってことは………シンリが動き出したのね」

デデンネ「デデーン!」

デデンネは尻尾で地図の一点を指した。

アヤメ「メレメレの花園付近………急がないとポケモンスクールに先回りできない」

アヤメ(時刻は午前7時。ポケモンスクールの始業は8時半だならまだ動く必要は無い………)

デデンネ「デデンデンデデン!」

アヤメ「行くか………ホテルの朝御飯が………」

デデンネ「デデーン!」



アヤメはチェックアウトを済ませホテルを出た。向かうはポケモンスクール。

アヤメ(サトシが来る前に終わらせる………!)





午前7時半 メレメレポケモンスクール



シンリは門をくぐった。



シンリ「オーカサス」ボムッ

オーカサス「カサァァァ………」

シンリ「今日で全てが終わる。行くぞ………!」



しかし、校庭には先客がいた。



アヤメ「忠告したはず………これ以上は国際警察も黙っていないと!」
 ▼ 123 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/19 21:01:23 ID:68EYeVXA [2/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「俺は構わないと言いましたけど」

アヤメ「残念だけど、その言葉に後悔することになるだろうね」ボムッ

ランクルス「クルクルクル………」

アヤメ「もう容赦はしない………あなたは国際警察のトレーナーの実力を思い知り、そして終わる」

シンリ「やはりそう来ましたね………でも無駄です」

アヤメ「国際警察をナメないで貰えますか?いくらなんでも昨日のバトルで負傷したポケモンで………」

オーカサス「カサァァァァス!」

アヤメ「強がっても無駄。体力は回復していても、体に疲労が溜まっている」

シンリ「………」

アヤメ「本当にオーカサスで戦うつもり?」

シンリ「ええ」

アヤメ「ふ〜ん、他人のポケモンが疲労して傷つくのはイヤだけど、自分のポケモンは別にいいんだ」

シンリ「………!」

オーカサス「カサカサッ!」

アヤメ「………なるほど。"自分はそれでも構わない"ってところかな?いい手下を持ったのね」

シンリ「手下だと………!」

アヤメ「自分の目的のためにポケモンを徒に傷つける………。あなたのやっていることはライと同じ」
 ▼ 124 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/19 21:14:16 ID:68EYeVXA [3/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
アヤメ「所詮あなたもその程度。その程度のトレーナーごときが、成せる大義などない」

シンリ「ええ………そうかもしれませんね」

アヤメ「もう諦めたら?これ以上は互いに後悔することになる」

シンリ「………無理だ!」

アヤメ「………」

シンリ「俺をアルテミナのポケモンが、そしてオーカサスが押してくれる!俺が守りたいものの為に、必ず成し遂げるッ!」

オーカサス「カサァァァァス!!!」

アヤメ「はぁ………話すだけ時間の無駄だったと。それなら仕方ないね」

ランクルス「クックック………」

アヤメ「ここであなたを徹底的に叩き潰す………二度と我々に抗う気を起こさせないように!」



二匹のポケモンが睨みあう。先に動いたのはオーカサスだ。


シンリ「ランクルスの頭上にいわなだれ!」

オーカサス「カサッ!」ドドドドド



アヤメ「サイコキネシスで跳ね返して!」

ランクルス「ララーン」


岩が動きを止め、そしてオーカサスに襲いかかる。


シンリ「前方にいわなだれ!防御するんだ!」

オーカサス「カサァァァス!」ドドドドド


岩は砕け散った。


アヤメ「いわなだれ程度じゃ、エスパータイプのランクルスには無力。すべて跳ね返せばいいだけ………」
 ▼ 125 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/19 21:28:07 ID:68EYeVXA [4/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「それならじしんだ!」

オーカサス「カササササササッ!」ゴゴゴゴゴ


アヤメ「浮かび上がってシャドーボール!」

ランクルス「クックック………」ギュィィィィン!


シンリ「なっ………!」

ズドォォン………

オーカサス「カサッ………」


アヤメ「浮いてるポケモンには地震なんて効かない」

シンリ(地震も岩雪崩も効かない………竜神突きも決められる相手では無さそうだ。そして………)

オーカサス「カサッ………」

シンリ(オーカサスは疲労から身体能力が低下している。おそらく、普段よりも受けるダメージは増えているだろう)

と、ここでオーカサスが振り返って何かを訴えてきた。

オーカサス「カサッ!カサッ!」

シンリ「オーカサス………」

シンリ(このままでは間違いなく負ける!ここはピラミッドホーンで行くしかない!)

オーカサス「カサッ………」

シンリ(しかしピラミッドホーンはチャージを伴う攻撃。どうやってランクルスの攻撃をかわすか………、そうだ!)

シンリ「地面にりゅうじんづき!」

オーカサス「カサァァァァッ!」

ズゥゥゥゥン………

轟音。そして砂煙。


アヤメ「しまった!砂煙で視界が………」

ランクルス「クル………」


シンリ「ここで決めるぞ!」

オーカサス「カサッ……………」


砂煙の隙間、シンリとオーカサスは僅かにランクルスを捉えた。

シンリ「ピラミッドホーン!」
 ▼ 126 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/19 21:37:48 ID:68EYeVXA [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
オーカサス「カサァァッ!」


エネルギー弾がランクルス目掛けて一直線に飛んでいく。


アヤメ「砂煙でピラミッドホーンのチャージ時間を………見事な作戦ね」

ランクルス「………」


そして、ピラミッドホーンはランクルスに………!






















………当たる前に止められた。

シンリ「バカな………ピラミッドホーンが………」

アヤメ「疲労による基礎能力の低下、それはつまり、攻撃力の低下をも意味している」

アヤメ「そんな状態で放たれた不十分な攻撃なら、いくらなんでも止められない方がおかしい」

ランクルス「クックック………」

アヤメ「さあ、こんどはこっちの番。エネルギー弾をオーカサスに飛ばすのよ!」

ランクルス「クルクルクル………」


エネルギー弾がオーカサスに襲い掛かる。


シンリ「もう一度ピラミッドホーンだ!」

オーカサス「カサッ!………!」ガクッ

シンリ「しまった!態勢が………!」


そしてエネルギー弾はオーカサスを貫いた。
 ▼ 127 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/26 13:10:56 ID:SB/65LKw [1/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
オーカサス「カサッ………」ガクッ


シンリ「オーカサス!」

アヤメ「もうオーカサスに戦う元気は無いようね………。諦めたら?」

シンリ「いや、まだだ………まだ俺は負けてはいない!」

オーカサス「カサァス!」

シンリ「頼むぞ………ヴァンディ!」ボムッ



ヴァンディ「グオォォォォッ!」



アヤメ「来た………お願いね」


ランクルス「クルクルクル………」

ランクルスはシンリたちを取り囲む部屋のような空間を作りだした。


シンリ「これは………」

アヤメ「あなたがヴァンディのフラッシュで警官隊から逃げたことは分かっているわ。だから、逃げられないようにしたの」


ランクルス「クックック………」


アヤメ「この空間を解除するためにはランクルスを倒すしかない………。後は分かる?」

シンリ「………やるしかない、そういうことですね」
 ▼ 128 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/26 13:20:25 ID:SB/65LKw [2/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「分かりました」

ヴァンディ「グオォォォォッ!」

アヤメ「覚悟は出来たようね」

ランクルス「クックック………」



シンリ「いくぞ!」
アヤメ「お願い!」

シンリ「プロミネンス!」
アヤメ「シャドーボール!」



先に攻撃体制に入ったのはヴァンディだった。流れるようなモーションで攻撃に………入らない。

ヴァンディ「グ………………」


シンリ「!?」


ランクルス「ララーン」ギュィィィィン!



ドォォォン!


だがヴァンディは動じない。まだプロミネンスの予備動作の途中だ………

シンリ「どうした!」

ヴァンディ「………………………………」


アヤメ「動かないのならどんどん仕掛ける!シャドーボールをひたすら撃ち続けるのよ!」

ランクルス「クックック………」ギュィィィィン!


何発ものシャドーボールがヴァンディに襲い掛かる。それでもヴァンディは動かない。

シンリ「一体これは………」

 ▼ 129 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/26 13:32:47 ID:SB/65LKw [3/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリ「おかしい………何かが………!」


まだヴァンディは攻撃を受け続けている。


シンリ(しかし妙だ。ランクルスはエスパータイプ………。ここでエスパータイプの技を使わないのは………)

シンリ(サイコキネシスは何かを動かす為に使用するからこの場で使わなくで不思議じゃない。でもサイコショックは………)


まだヴァンディは攻撃を受け続けている。


シンリ(そもそもランクルスが使った技は………、"サイコキネシス"と"シャドーボール"と………)


まだヴァンディは攻撃を受け続けている。


アヤメ「どうしたの?考えるのは良いことだけど、考えるのに集中しすぎてない?」


まだヴァンディは攻撃を受け続けている。


シンリ(いや、使ったのはその2つだけ………。残りはまだ使っていない………)


と、ここでシンリはヴァンディに目を向けた。ヴァンディはまだ攻撃を受け続けている。


シンリ(そう言えばランクルスが何かの空間を作り出していた………そうか!)

シンリ(だが………それなら俺に出来るのは………)

シンリ「耐えるんだヴァンディ!"トリックルーム"が切れるまで耐え続けろ!」

 ▼ 130 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/26 13:42:52 ID:SB/65LKw [4/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
それから無限とも思える数分が過ぎた。ヴァンディはその素早さ故、トリックルームの中では動かない的も同然。数分の間、ヴァンディはひたすらランクルスのシャドーボールを受け続けた。

シンリ(頼む………)


そして、トリックルームが薄れ始めた。


アヤメ(そろそろ効果が切れる………お願い!)


どんどん、どんどん、色が薄くなっていく。


アヤメ「畳み掛けるのよ!」

ランクルス「クックック………」バババババ


どんどん、どんどん、色が薄くなっていく。


シンリ(もう一度トリックルームを使用する気は無いか………。トリックルームが切れた瞬間に仕留める!)


そして、色が消えた。


アヤメ「お願い………」

シンリ「ヴァンディ!」























ヴァンディ「グオォォォォッ!」
 ▼ 131 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/26 13:55:14 ID:SB/65LKw [5/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シンリの声に応える咆哮。そして炎。

アヤメ「ランクルス!」

ランクルス「クル………」


ランクルスは何かをした。しかし、その時にはプロミネンスに呑まれていた。


ランクルス「クッ………」バタッ


アヤメ「そんな………」

シンリ「どうやら、俺の勝ちみたいですね」

アヤメ「……ええ。でも、ランクルスは務めを立派に果たした」



???「ククイ博士!校庭に誰かいます!」

???「ピカッ?」

ククイ「何だって!?あれは………」

ロトム図鑑「ビビッ!あれはシンリと国際警察のアヤメさんロト!」



サトシとククイ博士が校庭に入ってきた。続けてマオやマーマネ、リーリエにスイレンも続けて入ってきた。

サトシ「シンリ!」

シンリ「おはようサトシ君。悪いけど少し待っててくれないかな?」



アヤメ「さて、私はお役御免って訳ね。私はシンリを倒すことが出来なかった」

ククイ「倒すことが………、と言うとさっきまでシンリと戦っていたんですか」

アヤメ「ええ。負けましたけど」
 ▼ 132 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/26 14:05:39 ID:SB/65LKw [6/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ここでハラが息を切らして入ってきた。

ハラ「こんな朝早くから一体何をされて………」

アヤメ「おはようございます」

ハラ「これはアヤメ殿。そしてあれは………シンリ」

アヤメ「さっきまでバトルをしていました」

ハラ「それで、結果は………」

アヤメ「あれを見れば分かりますよ」


アヤメが指差した先にはヴァンディが佇んでいた。


ハラ「ああ………お疲れ様でしたな。いや………」

ハラはヴァンディを暫く眺めた。

ハラ「よくやりました。アヤメ殿」

アヤメ「島キングともあろうお方にお褒めいただき光栄です。これで良かったのですね?」

ハラ「はい。これならサトシ君へのいい援護射撃になったでしょう」



シンリ「さあ、サトシ君。始めようか」

ヴァンディ「ヴァヴァーン!」

と、ここでヴァンディがシンリの視界に入った。

シンリ(………しまった!ランクルスとのバトルで光が失われている!)



アヤメ「ヴァンディの特性"キングスメイン"、所謂"おうじゃのたてがみ"は体力が一定以上失われると効果が無くなる」

ハラ「その通り。アヤメ殿がどのように戦われたのかは分かりませんが、よくやりましたな」



サトシ「シンリ、オーカサスはどうしたんだ?」

シンリ「オーカサスは負けたよ。あそこの国際警察の人にね」



ハラ「ほう、オーカサスを倒したのですか!」

アヤメ「まあ、昨日のバトルで負傷していましたし………」
 ▼ 133 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/26 14:21:15 ID:SB/65LKw [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンリ「こいつはヴァンディ。俺のもう一匹の相棒だ」

リーリエ「そのポケモンが………お兄様を?」

シンリ「君のお兄さんが誰かは知らないけど、オーカサスに負けたのでなければそういうことになるね」

リーリエ「ですが、お兄様の話では光を纏っていると………。今はそうではないですね」

シンリ「ヴァンディの光は弱っているときには消えるんだよ」



シンリ「………サトシ君、ヴァンディの体力を回復させてもいいかな?」

サトシ「俺は別に───」

ハラ「待つのです!」

サトシ「え?」

ハラ「このバトル………、アローラの命運が懸かっているのです。出来るだけこちらに有利な状態でバトルをするべきです」

サトシ「ハラさん………」

ククイ(ハラさんがそこまで言うとは………。あのヴァンディというポケモン、それほど強いのか?)



サトシ「いいんです。ポケモンバトルはいつも全力、全力の相手に勝たなければ………、勝ったとは言えません!」

ロトム図鑑「正気ロト!?負けたらどうするロト!?」

サトシ「俺は絶対に勝つ!なっ、ピカチュウ!」

ピカチュウ「ピカッ!」

ククイ「サトシ………」

ハラ「そこまで言うのならやむを得ません。サトシ、必ず勝つのです!」

サトシ「もちろんです!」



シンリ「ではお言葉に甘えて………」

シンリはバッグから薬を取り出した。きのみの粉末をブレンドした特製の薬だ。

シンリ「ヴァンディ、これを………」

ヴァンディは薬を飲んだ。








ヴァンディの光は戻らなかった。
 ▼ 134 WANクルス◆4AfqWzkuoM 18/12/29 19:26:16 ID:4XPQjdcQ NGネーム登録 NGID登録 報告
シンリ「ヴァンディ………?」

しかし、いつまで待ってもヴァンディの光は戻らない。

シンリ「回復が足りないのか………?」

ヴァンディはまた薬を飲んだ。

しかし、ヴァンディの光は戻らない。



ハラ「体力は回復しているはずですが………」

アヤメ「ハラさん、体力が回復していないから特性の効果が発揮されていないんです」

ハラ「しかし、ヴァンディは現に薬を飲んでいる。シンリ君かわざわざ効き目のない薬を用意する訳が………」

アヤメ「そうですね。確かにあの薬は健康に良さそうです」

ランクルス「クックック………」



サトシ「シンリ、どうしたんだ?」

ピカチュウ「ピカ?」

シンリ「ごめん、少し待ってくれないかな」

そう言うとシンリは考え出した。



シンリ(あの薬を2度飲んでいれば間違いなく体力は十分に回復できる………しかし、体力が回復していない)

ヴァンディ「ヴァン………」

シンリ(そういえば、あのランクルスは技を3つ………サイコキネシス、シャドーボール、トリックルームしか使っていない)



ランクルス「クックック………」



シンリ(第4の技………それが、ヴァンディの体力の回復を阻んでいる。なるほど、そういうことか)
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