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ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く 第6章 島巡りの終わり

 ▼ 1 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/03/31 20:16:43 ID:f6iI0rUs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローラ、皆さま。ガルーラJrと申します。
「ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く」の最終章となります。また、以下の点を予めご了承ください。

1:登場人物
ゲーム編では例えば男主人公を選ぶと女主人公は出てきませんが、このSSでは両方のキャラクターをヨウ、ミヅキとして登場させます。

2:登場人物の手持ち
登場人物の手持ちは基本的にゲーム本編に準拠しますが、中には1匹か2匹入れ替えを行ったり、また、ゲーム本編で例えば最大5匹しか手持ちを持っていない人物には1匹追加をしたりしています。

3:形式
地の文を用いた形式で書かせていただきます。

第1章(SMゲーム本編に準拠したストーリー)はこちらです。

Part 1(プロローグ〜エーテルパラダイス突入)
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1011593

Part 2(ポニ島〜エンディング)
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1196044

第2章(UB捕獲作戦)はこちらです。
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1227914

第3章(戦乱のアローラ)はこちらです。
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1270113

第4章(リーリエの物語)
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1302379

第5章(英雄の帰還)
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1387373

いよいよ総決算ですので、気合入れて頑張ります。
 ▼ 535 ヤッキー@ラグラージナイト 21/07/24 20:12:56 ID:9yXMhXfQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 536 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 06:23:37 ID:bKdM5xBM [1/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
第60話ができましたので投稿します。
 ▼ 537 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 06:24:24 ID:bKdM5xBM [2/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 60 本当のおや



「チルタリス、よくやってくれました。でも、ヨウさんに勝つためにはここからが本番ですよ…」

「チル…」

シャンデラを倒したメガチルタリスはリーリエの声に気合いを入れ直すような声を上げる。まだリーリエは自分の勝ちを疑っている。ヨウにもそれはわかっていた。

…ほしぐもちゃん…

リーリエはここでちらりとほしぐもちゃんを見た。今の自分はほしぐもちゃんの目にはどう写っているのだろう?

ヨウはここで再びアブリボンを戦場へ送った。ヨウは手の汗をズボンで拭い、深呼吸をしながらメガチルタリスへと身構える。ほしぐもちゃんもその様子を固唾を飲んで見守っていた。

「アブリボン、ムーンフォース!!」

「ブリッ!!」

ヨウはここでメガチルタリスの弱点を突き、大ダメージを狙う。しかし、リーリエはここで冷静にヨウを詰めようとしてきた。

「チルタリス、一旦下がってください!ヌオー、頼みますよ!」

「ヌオ!」

リーリエは一度チルタリスを下げ、ヌオーを繰り出してきた。ヌオーにムーンフォースが直撃したが、ヌオーはまだ倒れなかった。
 ▼ 538 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 06:25:25 ID:bKdM5xBM [3/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ヌオー、よく耐えました!ここはアブリボンに少しでもダメージを与えましょう!アクアテール!」

「ヌオ!」

リーリエはヌオーにアクアテールを指示するが、アブリボンとヨウはそれを許さなかった。

「アブリボン、エナジーボール!!」

「ブリッ!!」

アブリボンはエナジーボールでヌオーを返り討ちにして見せる。これでリーリエはあと2体。次に出てくるのは…

「ヌオー、すみません…。でも、これでヨウさんを確実に詰めていけます!バンギラス、頼みますよ!!」

「ギラッ!!」

再び戦場へバンギラスが現れる。巻き起こる砂嵐にアブリボンは流されそうになるが、必死に翅をはばたかせて堪える。そして、アブリボンはそのままバンギラスへ攻撃を仕掛けた。

「アブリボン、ムーンフォースだ!」

「ブリッ!」

アブリボンは渾身のムーンフォースをバンギラスへぶつける。しかし、バンギラスの全身を覆う鎧はびくともしなかった。

「バンギラスは伊達じゃありませんよ!バンギラス、ストーンエッジ!!」

「ギラァ!!」

バンギラスは岩の刃を飛ばし、アブリボンを攻撃する。アブリボンは倒れ、ヨウはアブリボンを回収した。
これでヨウも残すところはフライゴンとアシレーヌとなる。バンギラスの特殊防御力は凄まじく、まだまだ体力を残しているように見えた。
 ▼ 539 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 06:26:15 ID:bKdM5xBM [4/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…ここは仕方ない…。フライゴン、行ってくれ!!」

「フリャッ!!」

ヨウは再びフライゴンを送り込む。バンギラスは再び対峙したフライゴンへ咆哮を上げた。

「フライゴン、ここは速攻あるのみだ!地震!!」

「フリャッ!!」

フライゴンは渾身の地震を放つ。バンギラスは凄まじい衝撃を受け、よろめいた。

「よし!これで…!」

しかし、リーリエのバンギラスは倒れる間際に置き土産を残してきたのだ。フライゴンはバンギラスが口内に炎を蓄えていることに気づいたが、もう遅かった。

「ギ…ラ…!!」

「…!フライゴン、大文字が来るぞ!」

ヨウもバンギラスをKOしたと信じて疑っていなかったため、バンギラスが最後に根性で攻撃を仕掛けてきたことに驚いていた。そして、この最後っ屁がリーリエに思わぬ恩恵をもたらした。

「フリャッ…!」

フライゴンは大文字をくらってしまう。ダメージそのものは大したことはなかったが、ここで致命的となる事態が発生する。

「…フリャ…!!」

ヨウはフライゴンの様子がおかしくなったことに気づく。

「…まさか、火傷か?」

ヨウは自身の運のなさに思わず舌打ちをした。いや、これは自身が不運であると言うよりも、リーリエとバンギラスの執念がこの状況を引き寄せたと言った方がよいのかもしれない。
 ▼ 540 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 06:26:51 ID:bKdM5xBM [5/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…バンギラス…。ありがとう…。あなたのお陰でまだまだ勝負はわからない…。チルタリス、頼みますよ!!」

「チルッ!!」

リーリエはメガチルタリスを再び戦場へ送り込む。ヨウはここはバンギラスの砂嵐を利用してチルタリスを幻惑し、最後に控えるアシレーヌが少しでも有利に戦えるようにしようと考える。

「フライゴン、羽音でチルタリスを幻惑するんだ!」

「フリャッ!!」

フライゴンは上空へと素早く舞い上がると、再び特殊な羽音を起こす。チルタリスはフライゴンを見失い、キョロキョロと周囲の様子をうかがった。しかし、リーリエは冷静だった。

「チルタリス、今のうちに体力を回復してください!羽休めです!」

「チル!」

チルタリスは地面に降り、体力を回復させる。ヨウはこれまで蓄積させたダメージを回復されたことで再び舌打ちをした。

「フライゴン、岩雪崩!」

「フリャッ!!」

フライゴンは岩雪崩でチルタリスを怯ませようとする。しかし、火傷を負ったせいで満足なダメージは与えられなかった。

「チルタリス、竜の舞です!!それから砂嵐の外へ!」

「チルッ!!」

チルタリスは反撃に備えて積み技を使う。そして、砂嵐のさらに上空までチルタリスは上昇した。

「フライゴン、チルタリスを砂嵐の中に引き込め!」

「フリャッ!!」

フライゴンは砂嵐から飛び出すと、チルタリスを捕まえようとする。フライゴンはチルタリスの脚を掴み、そのまま羽ばたきを止めた。
 ▼ 541 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 06:27:46 ID:bKdM5xBM [6/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「チルッ…!」

チルタリスはバランスを崩して砂嵐の中へと落下していく。そして、フライゴンは砂嵐にチルタリスを引き込むと脚から手を放した。チルタリスは砂嵐の中でダメージを受け、フライゴンは再び砂嵐に紛れて姿をくらます。フライゴンは火傷のダメージがかさみつつあったが、アシレーヌに繋ごうとチルタリスを少しでも疲弊させようとしていた。
ここで、砂嵐が弱まり、フライゴンの姿が快晴の空の下にさらされる。リーリエとチルタリスはフライゴンを仕留めようと一気に攻撃を仕掛けた。

「チルタリス、恩返しです!」

「チル!!」

フライゴンはついにチルタリスの攻撃を受けてしまう。フライゴンは倒れ、ヨウも最後のポケモンとなった。

「フライゴン…、よく粘ってくれたな…」

ヨウはメガチルタリスを見据えた後、ちらりとほしぐもちゃんに視線を向けた。ほしぐもちゃんはヨウが穏やかな表情を向けていることに気づいていた。いよいよ、このバトルの決着がもう目の前に迫っている。

「アシレーヌ、こいつは強敵だぞ!心してかかれ!」

「しゃるな!!」

いよいよヨウの最後のポケモン、そして旅立ちの相棒が姿を現す。アシレーヌは初めて対峙するメガチルタリスに鋭い視線を向けた。チルタリスもアシレーヌはただ者ではないと察したようで、同じく鋭い視線を返していた。

「チルタリス、恩返し!!」

「チルッ!」

まず仕掛けたのはチルタリスだった。チルタリスの攻撃がアシレーヌに迫るが、ヨウとアシレーヌは冷静だった。
 ▼ 542 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 06:29:02 ID:bKdM5xBM [7/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「アシレーヌ、アクアジェットでかわせ!」

アシレーヌはアクアジェットの移動速度を利用して攻撃をかわす。チルタリスのキックは床をとらえただけで、アシレーヌにはダメージはなかった。

「ムーンフォースだ!」

「チルタリス、地震です!狙いをそらして!」

「しゃるな!」

「チルッ!!」

エネルギーを溜めるアシレーヌに対し、チルタリスは地震を起こす。チルタリスは地震の揺れでアシレーヌのバランスを崩し、ムーンフォースの狙いを絞らせないようにしたのだ。

「…しゃッ…!」

アシレーヌは揺れの中でもムーンフォースを強引に放つ。しかし、チルタリスの狙いが功を奏し、わずかにチルタリスの身体を掠める程度だった。

「よし!上出来です、チルタリス!!恩返し!!」

地震の揺れから身を起こしたアシレーヌにチルタリスが襲いかかる。今度はアシレーヌは回避が間に合わず、チルタリスの攻撃の直撃を受けてしまった。

「アシレーヌ!」

「しゃる…!」

アシレーヌは荒く息をつきながら身を起こした。体には水流のようなオーラをまとっている。特性、激流が発動したのだ。

「…激流…!チルタリス、まだ油断は禁物ですよ!!」

リーリエは彼との島巡りで幾度となくこの状態となった彼女を見ていた。そして、この状態となった彼女が非常に手強いこともよく知っている。

「…ラリオ…」

ほしぐもちゃんは思わずアシレーヌとヨウへ声をかける。アシレーヌとヨウはちらりとほしぐもちゃんへ目を向けたが、すぐに最後の攻防に向けて集中力を高めた。
 ▼ 543 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 06:30:39 ID:bKdM5xBM [8/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
チルタリスはアシレーヌにとどめを刺さんと襲いかかる。しかし、アシレーヌとヨウには奥の手があった。

「アシレーヌ、泡沫のアリア!バルーンにチルタリスを閉じ込めろ!」

「しゃるな!」

アシレーヌが一声鳴くと、巨大な水のバルーンがチルタリスとアシレーヌの間に形成された。チルタリスはその中に突っ込み、突撃の勢いが弱まる。

「そのまま押し流せ!」

「しゃる!!」

アシレーヌはそのままバルーンを弾けさせ、チルタリスはびしょ濡れになってバトル場の床に転がる。羽がかなり水を吸っており、素早く上空へは舞い上がれなかった。

「今だ!ムーンフォース!!」

「しゃるな!!」

「くっ…!羽休め!!」

リーリエは咄嗟の体力回復で攻撃を凌ごうとした。アシレーヌのムーンフォースが直撃し、メガチルタリスはバトル場の床に倒れ伏していた。

「…やったか…?」

ヨウとアシレーヌはメガチルタリスの様子を見る。だが、メガシンカが解ける様子はない。
 ▼ 544 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 06:31:19 ID:bKdM5xBM [9/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…チルッ…!」

メガチルタリスは身体を震わせながら身を起こした。ギリギリ回復が間に合ったらしい。満身創痍と言っても差し支えない状態だったが、だからこそヨウはチルタリスがこれから決死の攻撃を仕掛けてくるであろうことは予想できた。

「…なんて奴だ…!」

アシレーヌも立ち上がるメガチルタリスを見て険しい表情を見せる。しかし、メガチルタリスのダメージも大きく、次の攻撃は耐えられないはずだ。ヨウが、リーリエが、アシレーヌが、メガチルタリスが、そしてほしぐもちゃんが、それぞれこれ以上ない緊張を感じていた。

「…チルタリス!恩返し!」

「…!!」

チルタリスは声もなくアシレーヌへと襲いかかる。そして、ヨウとアシレーヌはそれを真正面から迎撃しようとした。

「アクアジェット!!」

アシレーヌは全身に水をまとい、チルタリスへ飛びかかる。リーリエは思った。アシレーヌの勢いは予想以上だ。これはやられる、と。だが、ここでリーリエの耳に不思議な声が届いた。
 ▼ 545 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 06:34:19 ID:bKdM5xBM [10/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
--- ぴゅい!!ぴゅいいっ!! ---


今はもう聞くことのできないはずの声にリーリエはハッとする。まだほしぐもちゃんがコスモッグだったころ、何度も聞いたその声。


…ああ、ほしぐもちゃん…、やっぱり君は…


アシレーヌのアクアジェットがチルタリスにぶち当たる。チルタリスは倒れそうになるが、リーリエは無理を承知で叫んだ。

「チルタリス!!負けないで!!!」

「…チル……ッッ!!!」

チルタリスは倒れそうになりながらも渾身の反撃をアシレーヌに見舞う。アシレーヌは吹き飛ばされ、バトル場の床に転がった。
その瞬間、ヨウは思った。自分の島巡りはこのときのためにあったのだ、と。そして、ククイがかつて自分に言った言葉の意味が、その重みが今身に染みるほどに伝わってきた。
アシレーヌは体力の限界に達していたが、まだその身を起こそうとしていた。ヨウはそんなアシレーヌに歩み寄り、床に膝をついてその身体を撫でた。

「アシレーヌ…。ありがとう…」

アシレーヌはヨウのその声を聞き、ゆっくりとその身体を床に預けた。ヨウはその様子を見て、アシレーヌをボールに戻す。

「…ゼンリョクを尽くしても勝てず…か…。でも、清清しい気分だ…。リーリエ…、おめでとう…」

その瞬間、リーリエの涙腺が緩んだ。リーリエはヨウに向かって駆け出した。ヨウはそんなリーリエを抱き締める。

「…ひぐっ…!ヨウさん…私……ッ……」

「…リーリエ…。何も言わなくていいから……」

ヨウはリーリエの背中を撫でて彼女を落ち着かせようとした。リーリエはヨウの腕に抱かれ、しばしの間涙を流し続けていた。
 ▼ 546 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 06:37:32 ID:bKdM5xBM [11/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第60話はここまでです。
このバトルの結果は本当に迷いました。
賛否ある結果だとは思いますが、二人の誓いと彼らの歩んだ道のひとつの集大成としてのバトルを描ければなと思って書いていました。
あと2話で完結となります。
それではまた。
 ▼ 547 チゴラス@ほのおのいし 21/07/25 08:07:20 ID:iLuY7TGc [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヨウさぁぁぁぁぁあん
 ▼ 548 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 11:38:20 ID:bKdM5xBM [12/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
第61話ができましたので投稿します。
 ▼ 549 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 11:39:02 ID:bKdM5xBM [13/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 61 太陽の太陽



「…ひぐっ…!ヨウさん…私……ッ……」

「…リーリエ…。何も言わなくていいから……」

ヨウはリーリエを抱き締め、背中を擦って落ち着かせようとしていた。リーリエは感極まっていた。勝負はギリギリだった。結果はまぐれかもしれなかった。それでも、自分が世界一だと称し、憧れたトレーナーにこの場所で勝利したのだ。
リーリエはヨウの背中に腕を回し、しばらく泣いてから落ち着きを取り戻した。

「…ヨウさん…。ありがとうございました…。あなたに会えて…、この場所で戦えて…、本当に良かった…」

リーリエがそう言うと、ヨウは一旦リーリエから身を離し、あるものをリーリエに差し出した。

「…これは…、ヨウさん…」

リーリエの前に差し出されたのはゴージャスボールだった。ヨウはほしぐもちゃんを自分に返すと言っているのだ。

「…勘違いしないでほしい。バトルの結果で決めたわけじゃない」

ヨウはここでほしぐもちゃんへ視線を送る。ほしぐもちゃんは一瞬びくっとした表情を見せた。

「…別に恨んでなんかいないよ。ほしぐもちゃん、最後の攻防のとき、リーリエに声をかけたよね?あれで思ったんだ…。やっぱり、ほしぐもちゃんの本当のおやはリーリエなんだなって…」

ヨウはそう言いながらリーリエにゴージャスボールを受け取るように促す。しかし、リーリエはそれを受け取ることができなかった。
 ▼ 550 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 11:40:06 ID:bKdM5xBM [14/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…ヨウさん、私は…、受け取れません…」

リーリエはゴージャスボールを手にするのを拒んだ。ヨウはどうしてリーリエが受け取ろうとしないのか不思議に思った。

「リーリエ…、どうして…?」

ヨウの疑問にリーリエは答え始める。

「…確かに、結果だけを見れば今回は私が勝ちました…。だけど、私はあなたに導かれた月のようなもの…。太陽がなければ輝けない私が、太陽の化身であるソルガレオを受け取ることはできません…」

リーリエはまだ自分に確たる自信が持てないでいたのだ。だが、ヨウはリーリエをぎゅっと抱きしめながら穏やかに言葉を紡いだ。

「…リーリエは太陽だよ…」

ヨウはそう言った。リーリエがその言葉の意図するところがわからずにいると、ヨウはさらに続けた。

「僕がミヅキに勝ったとき、僕も今のリーリエと同じような思いだった。ミヅキに勝ったはずなのに、今までミヅキに心配ばっかりかけてた自分の情けなさを拭えなくて…。でも、ミヅキが言ってくれたんだ。僕だってミヅキにとって太陽だった。スカル団にさらわれた自分を助けに来てくれた僕とハウはそう見えた…って。そして、誰もが誰かの太陽であり、月でもある…ってね」

「でも、私は皆さんにそんなこと…」

リーリエはなおもそう言うが、ヨウには確信があった。間違いなく、リーリエが太陽であったそのときについて。

「…そうかな?ほしぐもちゃんにとってはどうだろう?」

「…え?」

リーリエは気の抜けたような声を出す。ヨウの次の言葉はリーリエの感情を一気に突き動かした。
 ▼ 551 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 11:43:47 ID:bKdM5xBM [15/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「エーテルパラダイスでの実験で衰弱して、怯えていたほしぐもちゃんにとって。あのとき自分を救い、連れ出そうとしてくれたリーリエは、ほしぐもちゃんにとって太陽だったんじゃないかなあ」

「…あ…」

リーリエの目から再び涙がこぼれた。臆病で、力のなさを嘆いていたころの自分が太陽だった。そんなことを言われる日が来るなんて。

「う…ううッ…」

リーリエは声を震わせ、ヨウに背中を抱かれたまま膝をついた。ヨウもそれに合わせて膝をつくと、二人でほしぐもちゃんの方へと視線を向けた。
ほしぐもちゃんは二人を見つめている。ヨウは今度こそリーリエの手にボールを握らせようとした。

「…リーリエ…」

「…ヨウさん…」

リーリエはヨウの手からゴージャスボールを受け取る。そして、ゆっくりと立ち上がろうとした。その時だった。

「ラリオ!」

突如、ほしぐもちゃんは二人を押し倒したのだ。床に倒れた二人にほしぐもちゃんは甘えるように顔を擦り付ける。

「わッ…?ほしぐもちゃん…!?」

ヨウが戸惑っていると、どこからともなくロトムが現れて呆れたように言った。

「もう!わからないロトか?ほしぐもちゃんは二人のことが大好きなんだロト!だから、どちらが本当のおやとか選べないんだロト!」

ヨウはそれを聞き、ハッとしたようにリーリエと顔を見合わせた。リーリエはボールを握る手とは反対の手でヨウの手を握った。
 ▼ 552 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 11:44:41 ID:bKdM5xBM [16/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「じゃあ、おやは私たちということで…」

リーリエはにこっと笑い、ほしぐもちゃんをボールに回収する。そして、ヨウにそのままボールを預けた。

「リーリエ…」

「私たちはこれからずっと一緒ですもん。とりあえずヨウさんが持っていても問題はないでしょう?」

リーリエはそう言って笑顔を弾けさせる。そのとき、階段から別の足音が聞こえた。

「もー、二人ともイチャイチャしすぎ!」

声のした方を見ると、アセロラが少し頬を膨らませてこちらを見ていた。その後ろにはハラ、ライチ、ククイの姿もある。

「…今回はリーリエが勝ちましたよ、ククイ博士…。僕が初代チャンピオンになってククイ博士と戦った時の、博士の気持ちが少しだけわかった気がします」

ヨウがそう言うと、ククイはうんうんと頷いた。

「そうか…。ふふ、僕の気持ちをわかってくれる人が増えてくれて嬉しいぜ!」

ククイがそう言うと、ライチが口を開く。

「おめでとう、リーリエ。あなたが5代目のチャンピオンよ。でも、このアローラは群雄割拠の地方…、あなたの地位を脅かすトレーナーがまた現れるでしょうね…」

そして、最後にハラが締めを務めた。

「はっはっは!我々四天王もその地位を脅かされる時がそう遠くなく来そうですな!しかし、だからこそ我々も簡単には負けないよう、精進しませんとな!さあ、帰りましょう。皆待っている人がいるでしょうからな!」

ハラのその言葉に、アセロラが、ライチが、そしてククイが背中を向ける。そして、その後をリーリエが追っていった。ヨウもその後に続こうと歩き出したとき、ハラがぽんとヨウの肩を叩いた。

「これで…、きちんと島巡りを終えることができましたかな?」

ハラはヨウにニッと笑いかける。ヨウは少しだけ目に涙を浮かべたか、それでもハラに負けず劣らずの笑顔を返した。

「…はい!もちろん…!」
 ▼ 553 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 11:45:07 ID:bKdM5xBM [17/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
メレメレ島のヨウの自宅に二人が戻ると、ヨウの母がヨウとリーリエを迎えた。

「おかえり、二人とも。私、これから出かけるわ。今日はライチさんと飲もうって話になってて、泊まるから。明日の朝帰るわ」

「え?そうなの?」

ヨウが驚いたような表情を見せると、ヨウの母は少し意地の悪い笑みを浮かべた。

「何?少しくらい嬉しそうな顔したらいいのに。今夜は女の人を連れ込み放題だー、って」

「ちょ、ちょっとママ…」

ヨウの母は息子がたじたじになるのを見て満足したのか、軽やかなステップで家を出て行く。

「ま、それは冗談だけどね。何事もほどほどに。それじゃあね〜♪」

ヨウとリーリエはその場に残され、ヨウの母を見送った。

「…ヨウさん…」

リーリエはヨウの服の裾をちょいちょいと引っ張る。ヨウがリーリエの顔を見ると、彼女はほんのりと顔を赤くしている。どうやら性欲のスイッチが入ったらしい。

「じゃあ、リーリエ…。今夜は…」

「はい…」

ヨウとリーリエはシャワー浴びると、そのままベッドに二人で倒れ込んだ。今夜は二人を止めるものは何もない。ヨウはそのままリーリエを抱き寄せ、彼女の肌の感触を全身で味わう。
もう、あの時のように朝目を覚ましたときに彼女がいないということもない。ヨウはリーリエの身体の感触に安堵を覚え、彼女に愛情を込めた愛撫と口づけを送る。今夜は快晴。思い出す度に切なさが込み上げてきたあの美しい星空に今夜の空はよく似ていた。
 ▼ 554 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 11:45:35 ID:bKdM5xBM [18/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…リーリエ…」

ヨウはリーリエに口づけを落としながら彼女を抱き寄せる。リーリエもヨウと離れたくないと言うように彼の身体を抱き返した。

「ふふ、ヨウさん、もうすっかりその気になってますね…」

リーリエは彼の腕から逃れると、そのままヨウの雄の証を愛おしそうに口に含む。ヨウはリーリエの粘膜と舌の感触に興奮を高めていた。

「ん…ッ…」

左手で顔にかかる髪を持ち上げ、右手でヨウの根元を押さえたままリーリエは口での愛撫を続けていく。視覚的な効果は抜群で、リーリエのような清楚な少女が雄の証に向かって奉仕を続ける様子にヨウは気持ちを昂らせていった。

「リーリエ…。今度は僕が…」

「…はい…」

リーリエはそう言うと脚を開いて自分の秘部を露にする。今はヨウにこの部分を見せるのに、何も恥ずかしさも感じなかった。異性として自分を求めてくる彼が愛おしくてたまらなかった。

「あッ…、ああッ…」

ヨウはリーリエの入り口をなぞるように舌を這わせる。自分の形を確認するようなその愛撫にリーリエは不思議な興奮を覚えていた。ヨウとはもう何度も繋がり、交わっている。初めは自分の勇気のなさを呪い、それなのに彼の心を繋ぎ止めようとして。その次は、自分の勇気のなさが招いた結果を埋めようとして。その後は、身も心も彼と一つに重ねたくて。そして今は…

「ヨウさん…。入れてください…。私はもう準備はできていますので…」

リーリエはヨウにささやきかける。その甘い声にヨウは理性を溶かされたようにリーリエをベッドに横たえた。

「リーリエ…」

再びヨウはリーリエと唇を重ねる。そして、その状態のまま器用に彼女の入り口を探し当てると、雄の証を一気に奥まで押し込んだ。
 ▼ 555 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 11:45:58 ID:bKdM5xBM [19/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「んッ…」

二人の唇の隙間からリーリエの甘い声が漏れる。リーリエの中は軽い愛撫でかなり濡れており、ヨウの動きに合わせて抵抗なく彼に快楽を与えた。

「リーリエ…。気持ちいい…」

「私もです…。このままずっと離れたくない…。ずっとしていたいくらい…」

リーリエはそう言いながらヨウの背中に回した腕に力を込める。そして、ヨウとの繋がりが浅くならないよう彼の腰に脚を絡めた。リーリエの一番奥、彼女の子宮にヨウの雄の証の先端が強く当たり、刺激する。リーリエはその感触がたまらなく好きで、目を閉じて彼が自分に与えてくれる快楽に身を委ねる。

「あ…ッ…、リーリエ…」

リーリエはヨウの様子が変わったことに気づく。自分の子宮への刺激が強くなり、ヨウがそろそろ自分の中に欲望を解き放ちたくなっていることに。リーリエはヨウをぎゅっと抱きしめ、彼の腰に絡めた脚の力を強める。もう離さない。離れない。その強く、深い想いを伝えるように。

「…リ…リーリエ…ッ…!」

「ヨウさん…ッ…」

ヨウの雄の証が自分の奥に当たったまま脈動する。熱い彼の迸りが注ぎ込まれるのを感じる。この感触がたまらない。愛しい異性を自分の中で雄に変える。リーリエはヨウが自分を抱いて満足そうな笑みを見せたことに安堵し、彼にとびきりの愛を込めてキスをする。

「…ピッピ人形…、大切にしてくれているんですね…」

リーリエはヨウとの今夜最初の行為の後、枕元にあるピッピ人形を見つめて言った。

「…リーリエがくれた宝物だからね…。でも、それからの僕は…」

リーリエはヨウが再び他の女性になびいたことを悔やむような発言を仕掛けたので、彼の口をキスで塞いだ。
 ▼ 556 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 11:47:08 ID:bKdM5xBM [20/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「んッ…?」

「…もう、だめですよ?」

リーリエはヨウからゆっくりと唇を離しながら彼をたしなめる。

「リラさんも母さまも、ヨウさんに救われ、そして支えられたから身も心もあなたに許した…。私たちは皆同じ…。ヨウさん、私に愛をくれたように、リラさんと母さまにも愛を注いてくださいね?」

「…リーリエ…。うん…」

ヨウは再びリーリエをベッドに押し倒す。カーテンの隙間から宝石箱をひっくり返したような夜空がのぞいている。二人の愛の時間はまだまだこれからだ。ヨウもリーリエも空が明るくなるまで抱き合った。何度も唇を重ねた。そして、ヨウは何度もリーリエの中に雄の欲望の証を解き放ち、リーリエはそれを際限なく受け入れ続けた。



それから2ヶ月ほどたった日、リーリエにとって玉座での最初の試練がやってくる。そう、リーリエにとっては初となるチャンピオン防衛戦だ。

「リーリエ、あまり気負わないようにね」

「リーリエさんなら大丈夫。今日の相手は強敵だと思いますが、簡単にはやられませんよ」

ルザミーネとリラが緊張するリーリエを落ち着かせようとする。今日の相手はミヅキである。ミヅキはリーリエと玉座で戦いたいがだめに相当手持ちを鍛えていると聞いており、リーリエも緊張していた。

「リーリエ、ミヅキは強敵だけど大丈夫。防衛戦と言ったって結局普通にバトルするのと変わらない。ミヅキはリーリエとあの場所で戦うのを楽しみにしてたから、かなり気合を入れてるだろうけどね」

「うう…、そうですね。がんばリーリエです!行ってきます」

ヨウ、リラ、ルザミーネはラナキラマウンテンへ向かうリーリエを見送る。ヨウはリーリエの乗ったリザードンが見えなくなると、ため息をついた。
 ▼ 557 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 11:48:48 ID:bKdM5xBM [21/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「相当緊張してるみたいだな…。大丈夫かなあ、リーリエ…」

「まあ、負けても命を取られるわけじゃないし、大丈夫でしょ」

ルザミーネはあっけらかんとした様子でそう言った。

「…ルザミーネさんが言うとなんか説得力あるな…」

ヨウはウルトラホールの向こうでルザミーネと戦った時のことを思い出す。おそらく、あそこで負けていたら自分は元の世界に帰ってこれず、ウツロイドの毒に洗脳されてあの世界で朽ちていたはずだからだ。

「ヨウはどっしりと構えておけばいいんだよ。ボクたちを抱きながら…さ…」

リラはヨウと行為に及びたいらしい。そして、ルザミーネもそれに乗っかってきた。

「え?でも…」

「いいじゃない。別に私たちを抱いても、それでリーリエが負けるとは限らないし…」

「ほら、行こうよ。果報は寝て待て、だよ?」

「なんか意味違うよね?」

ヨウは自分の手を引くリラについて行きながらリーリエを心配していた。そして夕方、リーリエが帰ってくると、ヨウはいの一番に彼女を迎えた。

「…負けちゃいました…。いいところまでは行ったのですが、ミヅキさんはやっぱり強かったです…」

どうやらリーリエは防衛に失敗したらしい。ヨウは結果を残念がったが、これはリーリエとのもう一つの約束、いや、二人の夢を叶えるためのいい機会なのではないかと考えた。ルザミーネとリラはそれぞれリーリエを慰める中、ヨウはリーリエにある提案をした。

「…ねえ、リーリエ。少しの間、一緒に武者修行の旅に出ない?」

「…ヨウさん…?」

リーリエはヨウのその言葉にただただ目を丸くするばかりだった。
 ▼ 558 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 11:50:09 ID:bKdM5xBM [22/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第60話はここまでです。

エロシーンあるのにこの時間に上げるの?
→これは純愛だからいいんだよ!

次回が全ての章の最終話です。
それではまた。
 ▼ 559 オガエン@ふといホネ 21/07/25 11:51:40 ID:iLuY7TGc [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
………エロシーンあるのにこの時間に上げるの?

支援
 ▼ 560 ネネ@かたっぽピアス 21/07/25 12:02:12 ID:Hov6SUAE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 561 バメ@ほのおのいし 21/07/25 12:53:35 ID:I01QB23I NGネーム登録 NGID登録 報告
>>559
ここの神はエロい内容深夜にしか上げちゃダメとは思わないって前書いてたし別にいいと思う
 ▼ 562 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 13:28:08 ID:bKdM5xBM [23/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
最終話ができましたので投稿します。
 ▼ 563 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 13:28:48 ID:bKdM5xBM [24/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
The Final Episode 新しい風



「あーあ、しばらくの間ヨウはアローラを離れるのかぁ〜」

ここはバトルツリー。その一角にある休憩所でリラはヨウが旅立つのを惜しむように声を出した。

「仕方ないわよ。あの子たちの夢だったんだから。一応1ヶ月ほどで帰ってくるつもりらしいし、こまめに連絡はするらしいから、今は待っててもいいんじゃない?」

そこにはルザミーネも同席しており、木の実ジュースを口にしている。リラは不思議そうな目でルザミーネを見つめている。もとから年齢離れした美貌の持ち主ではあるが、今日の彼女の肌はいつもより増してつややかに見えたのだ。

「ルザミーネさん…、今日はなんだか雰囲気が違うような…。なんだか肌がいつもよりきれいに見えるっていうか…」

「あらそう?ありがとう。でも、リラさんも肌がきれいに見えるわ。…出発前に彼と何かあった?」

「…まあ…、それは…」

リラが少し顔を赤らめながら答えると、リラとルザミーネの前にグズマとプルメリがやってきた。この二人もトレーニングがてらバトルツリーに出入りするようになっていたのだ。

「久しぶりだな、代表」

グズマが声をかけると、ルザミーネはふっと笑った。

「もう代表じゃないわ。その座はビッケに譲ったから」

「そっか。じゃ、ルザミーネさん、それとリラ。俺たちのトレーニングに付き合ってくれよ」

グズマがそう言うと、隣にいるプルメリも闘志を燃やす。リラとルザミーネはその様子を見て、アイコンタクトをした。

「そうね…。行きましょうか、リラさん」

「ふふ、グズマさんと戦うのは久しぶりですね…。楽しみです」
 ▼ 564 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 13:30:01 ID:bKdM5xBM [25/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ヨウさん、時間ギリギリですよ!」

リーリエは慌てて空港にやってきたヨウをたしなめる。彼らが乗る飛行機の搭乗口へそろそろ行かねばならない時間なのに、ヨウは彼の母に連れられて時間ギリギリになって空港に現れたのだ。

「ほらヨウ!さっさと行きなさい!」

彼の母はヨウを乱暴に車から下ろすと、リーリエに声をかけた。

「ごめんね、リーリエちゃん。これからヨウが世話をかけると思うけど…」

「それは大丈夫です。ヨウさん、行きましょう!」

リーリエはヨウの手を引き、搭乗口へと駆け出す。一体彼に何があったのだろうか。それは後で聞くとして、今は搭乗口へ急ぐのが先決だった。

「はー…、間に合った…」

「………」

安堵の息を漏らすリーリエに対し、ヨウは疲れた様子で声も発しない。さすがに様子がおかしいと思ったリーリエはヨウに尋ねた。

「ヨウさん、随分お疲れのようですが、昨晩何をしていたんですか?」

「…ルザミーネさんに絞られてた…。しばらくリーリエとの二人旅になるから、リラとルザミーネさんに旅たちの前日と前々日は相手をしてほしいって言われてたんだ…。一昨日はリラに6発絞られて、ルザミーネさんにそのことを話したら、じゃあ私はその倍相手をしてあげるって言われて…」

リーリエはルザミーネの発言にどん引きしていた。

「それで本当に…その…、倍したんですか?」

「…11発目で精も根も尽き果てたような感じになったよ…。あのときは何か変な光が見えてたな…」

ヨウはもはや抜け殻のようで、リーリエも二人旅をする中でヨウと二人の夜を楽しめることを期待していたが、どうやら今夜はそれは叶わなそうだった。
 ▼ 565 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 13:30:57 ID:bKdM5xBM [26/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「もう、母さまったら…。ヨウさん、お疲れさまでした。とにかく今は休んでください…」

「うん、そうする…。でも、楽しみだな…。リーリエが言ってくれた夢、ついに叶ったんだから」

ヨウがそう言うと、リーリエも笑みを見せた。

「そうですね…。トレーナーとなってヨウさんと旅をする…。本当にこの日が来るなんて夢みたいです」

「夢なんかじゃない。…リーリエが叶えたんだよ…」

ヨウはそう言ってリーリエの手に自分の手を重ねる。リーリエは感極まり、他の客の目もあるのにヨウの唇を奪った。

「ちょ…、リーリエ…」

顔を赤くするヨウに、リーリエははにかんで見せる。

「えへへ…。ごめんなさい、つい…」

「…こほん」

気が付くと、ヨウとリーリエをキャビンアテンダントの一人が咳ばらいをしながら見つめていた。

「お客様、仲が大変よろしいようですが、ここでは控えていただけるとありがたく思います」

「…はい、すみません…」

ヨウとリーリエは二人で顔を赤くしながらキャビンアテンダントに謝罪の言葉を述べる。しかしキャビンアテンダントが去ると、リーリエはヨウの手に自分の手を重ねた。二人は隣り合った席で恋人繋ぎをすると、互いの身体を寄せ合う。ヨウは目を閉じ、リーリエの愛情と温もりを感じながら目を閉じた。

本当にいろいろあったな…。でも、こうして今大好きなリーリエと一緒にいられる…。これからもずっと一緒にいようね、リーリエ…
 ▼ 566 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 13:32:30 ID:bKdM5xBM [27/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「さて、俺もそろそろ行くか…」

グラジオもメレメレ島の空港にやってきていた。彼はヨウとリーリエが乗る飛行機の数便後の飛行機に乗るつもりでいたのだ。

「坊ちゃま、行ってしまわれるのですね…」

見送りにはビッケが来ており、グラジオを優しい眼差しで見つめている。

「ああ、俺も他の地方を旅してみたかったからな…。ビッケ、忙しい中見送りに来てくれたこと、感謝する。達者でな」

グラジオがそう言ってビッケに背を向けた時、あっけらかんとした声が響いた。

「あー!待ってー、グラジオ!」

「…ハウ?」

グラジオは驚いていた。なぜハウがここにいるのだろう。

「おれも一緒に行くよー」

「…どこで嗅ぎつけのかは知らんが、俺は一人でいい」

「まあまあ、いいじゃんいいじゃん。ガラルに行くんでしょ?おれも行きたかったからさー」

ハウは強引にでもグラジオと同行するつもりのようだ。グラジオはハウを一旦突き放そうとしたが、ビッケの笑顔を見るとなんだか気が変わった。

「ビッケ、おまえが話したのか?」

「…すみません。でも、坊ちゃまは一人でいるよりもお友達と一緒にいる方が活き活きとして見えていましたので…」

ビッケの言葉に、グラジオはふっとため息をつく。旅は道連れ世は情けか。確かにハウなら腕も立つし連れていて悪い間柄ではない。

「まあ、いいだろう。俺たちは仲良しではないが、悪い関係というわけでもないからな」

「あー、素直じゃないなあ、グラジオ」

「それも知った上で俺と行くつもりなんだろう?そろそろ搭乗口に向かうぞ」

「はいはーい」

ビッケは搭乗口へ消えていく二人を見つめ、くすっと笑みを漏らす。

「本当、いいお友達に巡り合えましたね、坊ちゃま…」
 ▼ 567 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 13:33:37 ID:bKdM5xBM [28/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「バーネット、ヨウとリーリエの見送りに行かなくてよかったのかい?」

ここはククイの研究所。ククイは時計に目をやっており、今ヨウとリーリエの乗った飛行機が飛び立った時間だった。

「…二人がずっと前から約束していた旅立ちだから、二人きりのほうがいいかなと思って」

バーネットはそう言ってサイコソーダに口をつける。そんな彼女が少し寂しそうに見えなくもなかったが、ククイはそれ以上追及はしなかった。

「そっか。それもそうだね。皆、この先もそれぞれの旅があって、そして強くなって戻ってくる。まだまだアローラでは面白いバトルがたくさん見られそうだ」

ククイがうんうんと頷くと、バーネットはここでククイにある情報を提供する。

「面白いバトルと言えばさあ、最近ちょっと噂になってるトレーナーのこと、聞いてる?」

「え?」

意外なことに、ククイはその情報を知らないらしかった。バーネットはため息をつくと、ククイにその情報の詳細を話し始める。

「最近アーカラ島を中心に行動してる女の子のトレーナー。見たこともないポケモンを連れてるらしいわ。ウルトラビーストかもしれないって言われてるけど…」

「ウルトラビースト?」

「でも、島巡りの証を持ってて、しまキングとしまクイーンのスタンプも収集済みだそうなのよ。ライチさんに話を聞いてみたけど、そんな子いたかなって、覚えがないみたいで…」

「それは不思議だね…。どんなトレーナーなんだろう?」
 ▼ 568 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 13:35:23 ID:bKdM5xBM [29/30] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ラナキラマウンテン、アローラ地方ポケモンリーグ。6代目のチャンピオンとして玉座についたミヅキは挑戦者を待ち受けていた。今日の挑戦者は島巡りを突破した挑戦者らしい。しかし、ハラ、ライチ、アセロラが不思議なことを口にしていたのを思い出す。

「島巡りを突破した子…。アセロラさ、試練に来た子のことはたいてい覚えてるんだけど、こんな子いたかなあ?」

「アセロラも思い出せない?実は私も…」

「ふーむ…。しかし、しまキング、しまクイーンのスタンプは集めておりますからな…」

なぜ三人はそのトレーナーに覚えがないのか。その理由はミヅキだけが知っている。そして、彼女は自分との約束を果たすために再びこの地へやって来たのだ。そして、チャンピオンの間へと続く階段をコツコツと上ってくる足音が聞こえる。現れたのは赤毛の小柄な少女だった。かつては異様なほどに青白かった肌は少し焼けていた。

「…約束を果たしに来たよ」

「まさか本当に来るとは思わなかった…。でも、すごく嬉しい。ここまで来たってことは、相当強くなったんだね」

「うん、コウタとコウミがトレーニングしてくれたからね」

ミヅキと挑戦者の少女はそれぞれ位置につく。ミヅキは逸る気持ちを抑えながら笑みを浮かべた。

「さっそく始めようか。行くよ、ジュナイパー!」

「ジュナッ!!」

「行きなさい、アーゴヨン!!」

「アーゴッ!!」


―― アローラに、今日も新しい風が吹く ――



 ▼ 569 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/07/25 13:43:42 ID:bKdM5xBM [30/30] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これにて「ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く」は完結です。
2年もの間お付き合いいただき、本当にありがとうございました。

ポケモンSMは本編のドラマが素晴らしく、その後日談までを自分で書いて完成させてみたいとずっと思っていましたが、それが今日叶い、とても嬉しく思っています。
SMは大好きなキャラクターがたくさんいて、本当に魅力的な物語でした。
だからこそ私も書き続けられたんだろうなと思います。

これまで読んでくださった皆様、支援をいただいた皆様には本当に感謝しています。
また私が何か書き始めた時には応援してくださると幸いです。

最後にですが、こういうときはさよならとは言わず、この言葉で締めさせてください。

アローラ!!
 ▼ 570 ルーラ@ゴーストZ 21/07/25 13:48:47 ID:Rgi.Ntck NGネーム登録 NGID登録 報告
二年間乙!

アローラ!
 ▼ 571 リッパー@ボブのかんづめ 21/07/25 14:58:09 ID:iLuY7TGc [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!
第1章からずっと楽しませてもらいました!
ヨウとリーリエに幸あれ!
 ▼ 572 ルホッグ@メカニカルメール 21/07/25 18:32:32 ID:KS6U5aOQ NGネーム登録 NGID登録 報告
完結おめでとうございます。第1章から読んでとてもよかったです。
リクエストがあるのですが、最終回の後日談としてレインボーロケット団の話を見てみたいです。
設定としては、いろんな地方がレインボーロケット団に支配されてアローラ地方にその手が及ぼうとするときに、各地方からトレーナーがアローラ地方に集結してそれを阻止する話を見てみたいです。
もしよろしかったら検討お願いします。
 ▼ 573 ガラグラージ@かえんだま 21/07/25 22:26:14 ID:8g8gh4K. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2年間お疲れ様でした!
色々な伏線があとあと繋がってくるみたいなのが多くて面白かったです!
アローラは個人的に思い入れの深いところだったのでこの物語見て一層想像を膨らませられたのも楽しかったです。

アローラ!!
 ▼ 574 ンメン@だいちのプレート 21/07/26 09:28:12 ID:Vvb6sTt6 NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
本当に長編小説みたいだったな
何はともあれ、無事完結してよかった

二年間乙!
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