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SS

【R-18】こんな時期だし、ゲーム主人公のイチャエロSS書いてく【完結編】

 ▼ 1 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/12/02 01:03:13 ID:gRBAl3og NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

【R-18】新学期だし、ゲーム主人公のイチャエロSS書いてく
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=965262


上記SSの続編です。

以下、簡単な あらずし。

 ▼ 125 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/12/26 22:52:07 ID:/mi6HCqY [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 キルリア 「るっ……るきぃぃぃぃぃぃぃっ!?」 バチバチバチッ!


 マサル 「キルリア!」


“10万ボルト”と“サイケこうせん”では、ワザの威力が違いすぎる。

それに、元々の能力が高くない野生のキルリアと、そこそこ育てられているデンチュラでは、格も違いすぎる。

“サイケこうせん”は早々に打ち破られ、“10万ボルト”がキルリアを襲った。


 男社員 「ふんっ。威勢よく割って入ったクセに、随分と情けねぇな」

 女社員 「ホント。もっと抵抗するかと思ったわ」


力なく倒れるキルリアに、2人は冷たく吐き捨てる。


 マサル 「キルリア……、おまえっ……」

 キルリア 「きるぅ……」


こいつ、負けると分かってて、オレのこと助けに来てくれたのか?


なんで……、なんで そんなことするんだよ。

ユウリもキルリアも! こんなオレなんかのために……!



 男社員 「デンチュラ! 腹の針、やっちまいな!」

 デンチュラ 「チュララッ!」


 マサル 「クッ……! キルリア、お前だけでも逃げろ! お前は関係ない!」

 キルリア 「るー……」

 マサル 「オレは いいから! 早く!」


 キルリア 「きるりっ!」 クワッ!





  ― シュンッ!



 ▼ 126 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/12/26 23:17:09 ID:/mi6HCqY [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



   *





 男社員 「はっ……消えた!?」

 女社員 「“テレポート”! キルリアだし“テレポート”したのよ!」

 男社員 「あの野郎……、逃げやがった!」





 オリーヴ 「ちょっと、なんの騒ぎかしら? “チャームボイス”が聞こえたんだけど」





 女社員 「オリーヴ様っ……」

 男社員 「申し訳ありません! いま、その女の仲間と思われるガキが乗り込んで来まして……」

 オリーヴ 「乗り込んで来た……。ってことは、ロトムの映像を見たってことね」

 男社員 「はい。ですが……そのっ、申し訳ありません! 奴のポケモンは倒したのですが、“テレポート”で逃げられてしまいまして……」

 女社員 「そうなんです。勝って、あと一歩で捕まえるってところで……!」

 オリーヴ 「……まったく。詰めが甘いわね。子供相手だから油断したのかしら?」

 男社員 「いえ、決してそのようなことは」

 オリーヴ 「まぁいいわ。映像を送った相手なら、おおかた見当は付いてるし」

 女社員 「ホントですか!?」

 オリーヴ 「その乗り込んで来た子供って、チャンピオンと同い年くらいの男よね?」

 男社員 「はい。その通りです」

 オリーヴ 「なら、ブラックナイトの一件でチャンピオンと一緒に居た子よ。色黒で、バイウールーを使ってたでしょ?」
 ▼ 127 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/12/26 23:17:59 ID:/mi6HCqY [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 女社員 「……いえ、特に色黒って感じでは」

 男社員 「それに、バイウールーではなく、エースバーンを連れていました」

 オリーヴ 「あら? てっきりセミファイナルトーナメント準優勝のホップだと思ったけど、別の仲間かしら」

 男社員 「ホップ……、確かマグノリア研究所の見習い研究員でしたっけ」

 女社員 「なら、そのホップって奴も怪しいですよ! ロトムも そこに居るかも……」

 男社員 「そうだな。仲間を向かわせて、ロトムを奪い返しましょう!」

 オリーヴ 「ストップ。それはダメよ」

 男社員 「何故ですか!?」

 オリーヴ 「ロトムがホップの元に向かった確証が無い以上、余計な動きは避けたいわ。下手をすれば、私たちの行動が明るみになるわよ」

 女社員 「けど映像が……」
 
 オリーヴ 「マスコミと警察関係者は黙らせることが出来るんだから、そう焦らないの。焦るとボロが出るわよ」

 男社員 「……分かりました」

 オリーヴ 「それに……、ロトムが向かった先、逃げた男のことは、彼女に喋らせれば良いのよ」



 ユウリ 「………」



 女社員 「けど あの子、なかなか喋ろうとしないんです」

 男社員 「けっこう痛めつけたんですけど、なかなかの精神力で」

 オリーヴ 「……ふーん」

 男社員 「どう致しましょう……」

 オリーヴ 「本社に連れて行くわよ。もうすぐ船が来るから、オボンの積み込みを手伝いなさい」

 男社員 「かしこまりました」

 オリーヴ 「貴方は彼女を運んでちょうだい。本社に着いたら、私が喋らせるわ」

 女社員 「分かりました」



 オリーヴ (ここまで耐え抜くなんて……、芯が強いのね。嫌いじゃないわ。なら……ふふっ、もっと苦しんで貰おうかしら)





   *



 ▼ 128 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/12/26 23:21:10 ID:/mi6HCqY [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





  ― シュンッ!





 マサル 「……ん、あれ?」



今度こそ覚悟を決めて、せめてキルリアだけでも逃がそうと思って叫んだ――そこまでは覚えてる。


けど、気付けばオレは、林の中に倒れていた。

あの社員も居なければ、デンチュラやキテルグマも居ない。さっきの空間とは全く別の、林の中。

温かな木漏れ日と、野生ポケモンの鳴き声、穏やかな空間だ。


 マサル 「あっ……キルリアっ! っ痛ぇ……」


ただ、オレの横にはキルリアが倒れていて、慌てて起き上がろうとしたものの、脇腹の痛みがまだ残っていた。


 マサル 「大丈夫かキルリア!? しっかりしろ!」


オレを助けようとデンジュモクに立ち向かったキルリアは、力及ばず、“10万ボルト”の餌食になってしまった。

それがどれだけ無茶なことだったかは、キルリアのボロボロになった体が物語っている。



 キルリア 「るっ……」

 マサル 「キルリアっ! なんで こんなことしたんだよ!? オレなんかのためにっ!」

 キルリア 「るぅ……」 ニコッ

 マサル 「っ……! ありがな。ホント……、ありがとう、キルリア」

 キルリア 「」 ガクッ

 マサル 「あっ……」


キルリアは……、一瞬だけ笑顔を見せると、そのまま気を失った。

オレが無事だったのを見届けて、安心したかのように。


 マサル 「キルリアっ……」 ギュッ
 ▼ 129 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/12/26 23:23:23 ID:/mi6HCqY [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
抱きしめても、もうキルリアは返事をしない。

キルリアは、負けると分かっていたのに、オレを助けてくれたのだ。



 マサル 「なんだよっ……、オレ、なにやってんだよっ……!」



オレは、なんて無力なんだろう。


ユウリを助けることも出来ず。


助けに来てくれたキルリアも傷付け。


オレだけがこうして、無事で敵から逃げきれて。



 マサル 「何も出来ない……! 誰も守れない……!」



チャンピオンになったユウリ。

ポケモン博士の道に進んだホップ。

ジムリーダーになったマリィとビート。


じゃあオレは……、なんだって言うんだよ!?


もしオレに使命があるとするなら、ここでユウリを助け出すことじゃなかったのかよ!?


実力も届かない! 想いも届かない!


オレは いったい、何してるんだよ……!



 マサル 「くそっ! くそっ……くそぉぉぉぉぉぉぉ!!!」





 マサル×ユウリ、届かぬ実力、届かぬ想い



   ――― 完 ―――


 ▼ 130 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/12/26 23:24:25 ID:/mi6HCqY [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



設定を こだわると、説明が長くなる。かと言って単純な設定では、ストーリーが単調になる。

その線引きが難しいところ。オリーヴの説明長すぎです。



次回、【 Episode−FINAL 】 2人の架け橋、高級オボン



突入、マクロコスモス本社。

ユウリ奪還作戦、始動。


 ▼ 131 ィグダ@あおいかけら 20/12/26 23:24:27 ID:P43.g3aM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
は?ふざけんなよバッドエンドじゃねえか
 ▼ 132 ノムー@アブソルナイト 20/12/27 00:20:55 ID:4uIg2C12 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>131
続きを待とうぜ
 ▼ 133 リッパー@ありふれたいし 20/12/27 00:22:53 ID:MjEYGH/Y NGネーム登録 NGID登録 報告
まさかの前後編
続き、ゼンリョクで待ちます
 ▼ 134 ンチュラ@ポケトレ 20/12/27 00:26:28 ID:hJY.OYvc NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
ライバルの方も楽しみにしとるぞ
 ▼ 135 ニューラ@ものしりメガネ 20/12/27 00:26:56 ID:FQnEtKEw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マサル、炭治郎みたいで草

支援
 ▼ 136 スラオ@くろぼんぐり 20/12/27 01:10:50 ID:4qRwU8vw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
前スレからの高級オボンがファイナルまで続くとはw

>>134
ライバルのは別人じゃね?
 ▼ 137 クノシタ@モーモーミルク 20/12/27 03:04:53 ID:LoVUfSAk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ワンピース並みに引き延ばしてて草
 ▼ 138 ウカザル@ちかのカギ 20/12/27 09:33:28 ID:e5aANOFM NGネーム登録 NGID登録 報告
エロはどこロト?
 ▼ 139 ルフォン@ダイマックスアメ 20/12/27 18:31:29 ID:w796srFA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>138
>1にあるスレ見てきてくださいとしか
 ▼ 140 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/12/27 23:59:18 ID:FuUAT1es NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


(前後編にしたのは明確な意味があるので気長にお待ちくださいませ)


 ▼ 141 ケンカニ@ふたのカセキ 20/12/28 02:10:50 ID:PALchV0Q NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 142 ダイトス@バトルサーチャー 20/12/30 17:08:13 ID:.su.i6iQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 143 イティ@フライもりあわせ 20/12/31 23:10:45 ID:IPCQe4hA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 144 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/01 22:58:58 ID:4eCs.kNA [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

あけおめ


 ▼ 145 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/01 23:00:07 ID:4eCs.kNA [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



【 Episode−FINAL 】 2人の架け橋、高級オボン





 マサル 「……って、クヨクヨしてる場合じゃない!」



テレポートで逃げたものの、野生のキルリアが使ったテレポートとなれば、テレポート先は、キルリアの生息域内、すなわちワイルドエリア内であることはバレている。


追手が来る可能性が高い。

なら、まずは安全な場所に逃げることを最優先。

キルリアを回復させ、そしてユウリを助け出すことを考える。

逃がしたロトムも、もうそろそろホップの元に到着している頃だ。


 マサル 「キルリア。一旦ボールに入ってくれ。この中なら安全だからさ」


意識のないキルリアにボールを触れる。

すぐに吸い込まれ、ほとんど抵抗も無く、キルリアをゲットすることが出来た。


 マサル 「あとは……」


あたりを見回す。

林の合間から見える湖と、丘陵地帯の先に見える建物。


 マサル 「ここって……“こもれび林”か。ってことは、あの建物は“集いの空き地”の駅!」



オレは急いで駅に向かう。


と言っても、まだ脇腹が痛むせいで、完全には走れない。

ただ、追っ手が来る心配は無い。

ワイルドエリア内にテレポートしたことはバレても、広大なワイルドエリアの何処にテレポートしたかなんて、考えてみると、分かるはずがないのだ。
 ▼ 146 ロピウス@きぼんぐり 21/01/01 23:00:53 ID:hyGY2YXg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 147 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/01 23:02:17 ID:4eCs.kNA [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 マサル 「はぁっ、はぁっ、着いた……」


体は痛むけど、予想通り、追っ手に見つかることなく駅に到着した。

電車に乗ってしまえば、流石に奴らも手出しは出来ないだろうし、研究所のあるブラッシータウンまで直行できる。



ブラッシータウン行きの電車は空いていた。


テーブルを挟んだボックス席に1人で腰掛け、深呼吸。


落ち着かないと。今は落ち着かないと。


ガタンゴトンと規則的なリズムを奏でる電車に揺られていると、ふと、旅立った日のことを思いだす。



オレとユウリとホップの3人で。

このボックス席に座って、これから訪れる街のこと、ジムチャレンジの情報をスマホロトムで眺めてたっけ。


夢は大きくチャンピオン!

そんな壮大かつ漠然とした目標を掲げて旅に出た あの頃が懐かしい。


まさかユウリがチャンピオンになるなんてな。

まさかホップがポケモン博士を目指すなんてな。

まさかオレだけが……、ジムチャレンジで結果を残せず、目標も定まらないなんてな。





ブラッシータウン駅に着いた時には、16時をまわっていた。





 ▼ 148 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/01 23:04:10 ID:4eCs.kNA [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ポケモンセンターに寄って、エースバーンとキルリアの回復をお願いした。



そしてオレは、すぐさまホップの元へと向かった。


町の東にある研究所は、マグノリア博士の長年の拠点だったが、今は新博士であるソニアさんの拠点となっている。

博士を目指すホップは、そこでソニアさんの助手として、研究の手伝いと勉強に励んでいる。



 ホップ 「マサル!」

 マサル 「はぁっ、はぁっ、ごめんホップ。ロトムの映像、見てくれたよな」

 ホップ 「おう。驚いたぞ。傷付いたカジッチュの原因が、マクロコスモスの高級オボンだったなんて。それにユウリが……!」

 マサル 「ごめん。オレが不甲斐ないばっかりに、ユウリのこと、助けられなかった……」

 ホップ 「そっか。マサル、オリーヴさんのとこに乗り込んだんだな?」

 マサル 「あぁ。けど……ダメだった。オレのせいでユウリがっ……」

 ホップ 「気持ちは分かるけど、今は落ち着くんだぞ。焦ったって何にもならないぞ」

 マサル 「分かってる。分かってるけど……!」


 ホップ 「とにかく、話を整理して欲しいんだぞ。ユウリを助け出すにしても、今は頼れる人が居ないんだ」

 マサル 「そういえば……、マグノリア博士とソニアさんは?」

 ホップ 「学会に出掛けてる。帰ってくるまで留守番を頼まれてるんだ」

 マサル 「帰って来るのは?」

 ホップ 「3日後だ」

 マサル 「3日も待てない」

 ホップ 「ついでに、アニキはヨロイ島で修行中だ。連絡は付かないぞ」

 マサル 「そっか。ダンデさん方向音痴に加えて機械音痴だから……」

 ホップ 「詳しく話してくれ、マサル。ロトムの映像と、実際にマサルが見て戦った感触を、聞いておきたいぞ」
 ▼ 149 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/01 23:05:28 ID:4eCs.kNA [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



オレはホップに、これまでの経緯を説明した。


オリーブさん率いる数人の社員で高級オボンを違法栽培していること。

その高級オボンは、少し前に違法栽培疑惑でニュースで取り上げられたということ。

そして、その報道と続報、警察の捜査をも、マクロコスモスの権力で握りつぶしたこと。


高級オボンの栽培場所は、ワイルドエリアの僻地であること。

高級オボンで強い野生ポケモンを買収し、人を近づけさせないでいること。


「無農薬栽培オボンの実<贈呈用一級品>」と謳っていながら、農薬に近い成分の薬剤を使っていること。

その薬剤は、野生ポケモンを傷付けて採取した、ポケモンの細胞の一部を使っていること。

カジッチュの他にも、数種類のポケモンが被害に遭っていること。ただし、実際に確認できたのはカジッチュのみであること。


オレとユウリが喧嘩してしまったこと。

そのせいで別行動になり、結果、ユウリが捕まってしまったこと。

ユウリはデンチュラの電気の糸で拘束され、オレの居場所を喋らせようと、痛めつけられていること。



 ▼ 150 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/01 23:07:41 ID:4eCs.kNA [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ホップ 「……だいたいは理解できたぞ」

 マサル 「ごめんホップ。お前の研究に協力してる立場なのに……、ユウリを守れなくてっ……」

 ホップ 「悪いのはオリーヴだ! マサルが責任感じること無いんだぞ!」

 マサル 「けどっ! ユウリと喧嘩しなきゃ、ユウリが捕まることには……」

 ホップ 「とにかく。今はユウリの救出を考えるんだぞ。アニキもソニアも居ない、オレたちで考えるしかない」

 マサル 「……そうだよな」

 ホップ 「マサルが負けるほど、そこを守ってる野生ポケモンは強いんだよな?」

 マサル 「強いには強いけど、問題は数なんだ。1対1なら負けることは無い」

 ホップ 「なるほど。……警察を呼ぶべきだと思うけど、そうは行かないんだよな?」

 マサル 「あぁ。なんだかんだでマクロコスモスの影響力はデカいらしいからな。通報しても揉み消されたら、一生ユウリは助けられない」

 ホップ 「この映像があってもか?」

 マサル 「それこそ、映像だけ奪われて終わりな気がする」

 ホップ 「マスコミに売っても?」

 マサル 「マスコミも黙らせるだろ、マクロコスモスなら」

 ホップ 「ならゴニョッターにアップして世論を味方に付けるか?」

 マサル 「ゴニョッター……、いや、キバナさんみたいに炎上しかねないし、ユウリを人質に取られてる以上、あいつらを刺激することは避けたい」

 ホップ 「正攻法じゃダメってことか」

 マサル 「……クソッ! どうしたら良いんだよ!?」



オレは改めて、自分の無力さに嫌気がさす。

そして、変な被害妄想でユウリと喧嘩して、ユウリを危険な目に遭わせている自分が、情けなく、許せない。


ホップは、そんなオレの話を聞いたうえで、冷静に対処方法を考えてくれている。

オレなんかとは大違いだ。オレなんかとは……。
 ▼ 151 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/01 23:10:13 ID:4eCs.kNA [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ホップ 「仲間を……募るか」

 マサル 「えっ?」


オレは、ホップの言葉の意味を理解できなかった。

ソニアさんもダンデさんも不在。当然、忙しいジムリーダーたちに助けを求めることも出来ない。

いや、相談すればジムリーダーたちは動いてくれるとは思うけど、正攻法が使えない以上、解決策は多少強引になるだろうし、ジムリーダーという責任ある立場の人たちを巻き込むわけには いかないのだ。


なら、“仲間”って……?


 ホップ 「ちょっと待っててくれ」



そういうとホップは、パソコンに向かい合う。

カタカタと慣れた手つきでパソコンを操作する姿は、研究所の助手、未来のポケモン博士としての雰囲気が漂っていた。


 ホップ 「高級オボンの違法栽培のニュースは、けっこう知られてると思うんだ」

 マサル 「ん? あぁ、一応、全国ニュースだったからな。けど、揉み消されて続報は無しだ」

 ホップ 「ならさ、それを疑問に思ってる人も、けっこう居ると思うんだ」

 マサル 「うん……えっ? “仲間”って、一般人を集めるのか?」

 ホップ 「半分正解だぞ」

 マサル 「半分?」

 ホップ 「これ……見てくれ」


ホップのパソコンを覗き込む。

画面に映し出されていたのは、“ポケモン博士学会ネットワーク”というウェブサイトだった。


 マサル 「ポケモン博士学会……?」

 ホップ 「全国のポケモン博士が加盟する、学会公式の会員制のサイトなんだぞ。学会の連絡とか、新しい論文の発表なんかに使われてるんだ」

 マサル 「へぇ、全国の博士、か……」

 ホップ 「これを使えば、あのオーキド博士とも連絡を取れるんだぞ。……まぁ、恐れ多くて簡単には出来ないけどな」

 マサル 「やっぱ博士の中にも格とかあるんだな」
 ▼ 152 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/01 23:12:20 ID:4eCs.kNA [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ホップ 「それで……だ。このサイトの使い方に、“研究の協力要請”ってのがあるんだ」

 マサル 「協力要請?」

 ホップ 「例えば……そうだな。今ここで、各地のリージョンフォルムのポケモンの比較研究をしたいとする」

 マサル 「リージョンフォルム……。ニャースとかだな」

 ホップ 「ニャースの例で行くと、オレたちは、ガラルニャースは簡単に研究できるけど、アローラニャースとかは無理だろ?」

 マサル 「あぁ」

 ホップ 「そこで“協力要請”だ。これを読んだ博士が、適当な助手を選任して、必要なデータを調べてくれるんだ」

 マサル 「ほ〜、なるほど。博士の間で、持ちつ持たれつで研究するってことか」

 ホップ 「そういうことだぞ」


やっぱりポケモン博士って凄いんだな。

それに、そんな世界に飛び込んで、こうやってシステムを使いこなしているホップも凄いし、尊敬する。


 マサル 「……ん?」


話を戻すと、今ホップは、ユウリを救出する“仲間”を探そうとしている。


 マサル 「ホップ、仲間って、もしかして……!」


そんな状況で、ポケモン博士のネットワークを使うってことは――。


 ホップ 「……あぁ。“高級オボン違法栽培疑惑の調査”ってことで、全国の博士に協力要請を出すんだぞ! 勿論、映像とかユウリのことは、今は伏せてな」

 マサル 「良いアイデア……だとは思うけど、それ大丈夫なのか? 助手の人を使っちゃ、全国の博士に迷惑かかるんじゃ……」

 ホップ 「そこは心配いらないぞ。“助手”なんて形だけで、実際は、その博士が送り出したポケモントレーナーが協力してくれるんだ」

 マサル 「そうなのか?」

 ホップ 「考えてみるんだぞ。マサルだって、助手でもないのにオレの研究の調査、手伝ってくれてるじゃん」

 マサル 「あぁ……確かに」


忘れかけてたけど、オレとユウリがワイルドエリアで調査していたのは、“不自然に傷付いたポケモンが数多く発見されていることの原因特定”という、ホップの研究の手伝いのためだ。

ユウリはチャンピオンの職務としてだけど、オレは助手でもない、単なる一般トレーナーだ。


 ホップ 「だから大丈夫だぞ。オレに任せてくれ!」

 マサル 「……あぁ。頼んだぜ、ホップ!」
 ▼ 153 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/01 23:14:24 ID:4eCs.kNA [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ホップはニカッと笑うと、パソコンに向かい直す。

そして、時々頭を掻いては、協力要請に関する文章を書き上げていく。



“高級オボン違法栽培疑惑の調査”。

一度ニュースで報道されたきり、続報が全く入らなくなった。

そんななか、ガラル地方・ワイルドエリアで、不自然に傷付いたポケモンが発見されるようになる。特にカジッチュの個体が多い。

違法栽培疑惑が報じられた、ダクマフルーツ(マクロコスモス100%出資)の「無農薬栽培オボンの実<贈呈用一級品>」から、微々たる量ながら、カジッチュの細胞が検出された(←これはホップの嘘)。

傷付いたカジッチュと高級オボンの違法栽培が繋がっている可能性があり、事実だとすれば、重大なポケモン保護法違反に当たる。

ただ、公にして調査を行うと、マクロコスモスという大企業から訴訟を起こされる可能性があり、そうなれば、公正な調査・研究は行えなくなってしまう。

これに関し、情報を固め、下準備的な調査を行うため、人員支援をお願いしたい。

広大なワイルドエリアを調査することから、バトルの腕がある、若いメンバーを希望。



そんな内容の文章を、ホップは書き上げた。

特に最後の一行は重要で、遠まわしに“研究員ではなく若いポケモントレーナーを派遣してくれ”とアピールしている。

ユウリを救出するには、同年代のメンバーが揃った方が心強い。ホップの知恵には感心だ。



 ホップ 「……これで良し。あとは待つだけだぞ」

 マサル 「流石だぜホップ」





 ホップ 「心配だな、ユウリ」

 マサル 「……あぁ」
 ▼ 154 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/01 23:16:00 ID:4eCs.kNA [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


しばし沈黙が生まれる。



普段明るい性格のホップも、内心、焦ってるんだと思う。

そりゃそうだ。ユウリは捕まって、オレと映像の在りかを喋らせようようと、拷問のような仕打ちを受けてるのだから。

オレのせいで……。



 ホップ 「珍しいな、マサルとユウリが喧嘩なんて」

 マサル 「うん……。原因はオレなんだけどな」

 ホップ 「ユウリ、マサルに懐いてたから、喧嘩したって聞いて驚いたぞ」

 マサル 「“懐いてた”って、ポケモンじゃないんだから……」

 ホップ 「そうか? オレの目から見ても明らかだぞ。今回のワイルドエリアの調査だって、マサルはユウリから誘われたんだろ?」

 マサル 「ん、あぁ。広いワイルドエリアの調査だから、バトルが出来る仲間が欲しい――って」

 ホップ 「2人きりでキャンプで調査なんて、オレから言わせれば……」


  ― メッセージ ジュシン ロト!


 マサル 「あ、ごめん。……回復終わったか」

 ホップ 「今のメッセージ、ポケモンセンターからか?」

 マサル 「あぁ。エースバーンの回復終わったって。ちょっと行ってくるよ」

 ホップ 「おう」

 マサル 「ついでに……、ちょっと頭を冷やしてくる」

 ホップ 「そんなに思い詰めることないんだぞマサル」

 マサル 「分かってる。ちょっと一人で考えたいだけ」

 ホップ 「そっか。気を付けるんだぞ」

 マサル 「サンキュー」


 ▼ 155 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/01 23:17:30 ID:4eCs.kNA [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ポケモンセンターに行って、エースバーンとキルリアのボールを受け取る。



そのまま研究所とは反対方向に進み、小高い丘の広場で足を止めた。


林の向こうに見えるのは、大きな池と、マグノリア博士の家。視線を上に向ければ、遠くの山々を見渡せる。

太陽は既に山影に隠れてしまい、夕闇に染まる空には、星が少しずつ存在感を放ち始めている。



 マサル 「出ておいで」


 エースバン 「えば!」

 キルリア 「きるる?」


元気よくボールから出てきたエースバーンとキルリア。体調は万全のようだ。

キルリアは、キョロキョロと辺りを見回している。気絶してる間にゲットしたんだから当然か。


 マサル 「ごめんな、エースバーン。キルリア。オレがダメなばっかりに、お前たちに痛い思いさせちまって」

 エースバン 「えばっ……えぇば!」

 キルリア 「るー」

 マサル 「キルリア、ありがとな。オレを助けてくれて」

 キルリア 「きるりぃ……」

 マサル 「回復させるために、今だけゲットさせて貰ったよ。後でワイルドエリアに送ってやるからな」

 キルリア 「るぅ」 ギュッ

 マサル 「おっと……、どうしたキルリア?」

 キルリア 「きるっ……」 ギューッ

 マサル 「んー、でも、しばらくはワイルドエリアに行けないから、もう少しだけ一緒に居て貰っても良いか?」

 キルリア 「きるー♪」
 ▼ 156 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/01 23:19:45 ID:4eCs.kNA [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 エースバン 「えんば……」 ムスッ

 マサル 「エースバーンも、ありがとな。オレのために戦ってくれて」

 エースバン 「ばん!」

 マサル 「いま、ユウリを助けに行く作戦をホップと考えてるんだ。一緒に戦ってくれるメンバーを探してるんだけど……、こんなことに巻きこんじまって良いのかなぁ」

 エースバン 「えばぁ」

 マサル 「……いや、ユウリを助けるためなんだから、変に遠慮しちゃダメだよな」

 エースバン 「えばえば」


 マサル 「よいしょっと」


オレは、草の上に腰を下ろし、寝転がる。

夕闇に染まる空が視界いっぱいに広がり、流れる雲と、まだ控えめな星と、時折横切る鳥ポケモンたちを眺めていれば、いつの間にか、エースバーンとキルリアも、オレの隣で寝転がっていた。


 マサル 「絶対に助け出すからな、ユウリ」

 エースバン 「えばん!」

 キルリア 「きるるっ!」



オレは、決意する。


ユウリを危険な目に遭わせてしまったのは、オレの責任だ。


ユウリは、オレが助け出さなければならない。


ホップと、募っている仲間と、それに、エースバーンたちと一緒に。




必ず、ユウリを助け出す!





     *



 ▼ 157 ビワラー@ラティアスナイト 21/01/01 23:34:03 ID:UhwQ8t2U NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
歴代主人公来るか!?
 ▼ 158 シコ@オーキドのてがみ 21/01/01 23:42:58 ID:wUSYEgQg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キバナさん炎上してて草
 ▼ 159 ルリア@コオリZ 21/01/02 08:57:47 ID:8wRkOEnc NGネーム登録 NGID登録 報告
これもしかして全部のストーリーが繋がるの!?
 ▼ 160 ーロット@ゴーゴーゴーグル 21/01/02 09:25:24 ID:6qRYpJL. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リージョンフォルムじゃなくてリージョンフォームだった希ガス
支援
 ▼ 161 ンプラー@アイテムドロップ 21/01/02 20:10:16 ID:qUL2zlWo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 162 レッフィ@ロメのみ 21/01/02 20:12:00 ID:yO9sJerU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これが導かれしものたちか
 ▼ 163 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/02 23:22:09 ID:ZnogLT3o [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

>>160
ご指摘ありがとうございます。
やらかしました。

 ▼ 164 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/02 23:23:19 ID:ZnogLT3o [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



――――――――――――――――――――




【ニュース】 高級オボン販売会社、違法栽培報道を否定


贈答用など高級オボンの実を販売する「ダクマフルーツ」が、木の実を違法栽培している疑いがあると週刊誌が報じた件について、事実無根だとするコメントを発表した。

週刊誌によると、同社が販売する主力商品「無農薬栽培オボンの実<贈答用一級品>」から、微量の農薬成分が検出された。

この農薬を週刊誌側が調べたところ、一般流通している「むしよけスプレー」などとは異なる成分であることが分かり、「ダクマフルーツ」が特殊な農薬を使ってオボンの実を栽培している疑いがあると言う。

現時点で、このオボンの実に関する健康被害は確認されていないが、事実であれば、景品表示法違反などの罪に問われることになる。

これに対してダクマフルーツ広報は、「週刊誌の情報は事実無根であり、誤った印象を顧客に与えかねず、誠に遺憾である。必要に応じて法的措置を検討したい」とコメントした。




――――――――――――――――――――



 ▼ 165 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/02 23:24:23 ID:ZnogLT3o [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



【 * 】



カントー地方・マサラタウン――。



 アユミ 「あ、ブルーお姉さん!」

 カケル 「レッドさんも居る!」


 ブルー 「あら、アユミちゃんとカケル君じゃない。こんにちは」

 レッド 「2人、いつも一緒だね」

 カケル 「レッドさんとブルーさんも最近よく一緒に居ませんか? って言うか荷物持ちさせられてませんか?」

 レッド 「ギクッ」

 ブルー 「レッドは私に弱みを握られてるんだから当然よ」

 レッド 「少しは隠して!」

 カケル 「えぇ……」

 アユミ 「そうだ。私、ブルーお姉さんに聞きたいことがあるんです」

 ブルー 「あら? なにかしら?」

 アユミ 「ポケモンにも、木の実の好みってあるんですか?」

 カケル 「アユミ……、まだ気になってたのか?」

 アユミ 「うん。なんとなく……」

 レッド 「当然ポケモンにも好みは あると思うよ。例えばフィラの実なんかは、辛いのが苦手なポケモンが食べると混乱しちゃうんだ」

 ブルー 「そうね。木の実だからと言って、ポケモンみんなが美味しく食べる――って訳じゃないかな」

 アユミ 「そっか。じゃああのパラス、やっぱりオボンが苦手だったんだ」
 ▼ 166 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/02 23:25:41 ID:ZnogLT3o [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 レッド 「オボン?」

 カケル 「はい。この間、野生ポケモン達にオボンを あげたんですけど、パラスだけ食べなかったんです」

 ブルー 「変ね。オボンは まろやかな味で、辛みも無いから、苦手なポケモンが居るとは思えないけど……」

 アユミ 「そうなんですか?」

 カケル 「じゃあ、なんでパラスは食べなかったんだろう?」

 レッド 「そのオボン、傷んでたりしなかった?」

 カケル 「そんなことないですよ。ダクマフルーツの“無農薬栽培オボンの実<贈答用一級品>”ですし」

 レッド 「ダクマフルーツの?」

 ブルー 「そんな高級品を野生にあげたの?」

 カケル 「はい。貰ったので、みんなで食べようってことで」

 アユミ 「とっても美味しかったのに、パラスだけは、食べようともしなかったんです」

 ブルー 「アユミちゃんも食べたってことは、傷んでたとかじゃ なさそうね」

 レッド 「なぁ、ダクマフルーツの高級オボンって、違法栽培疑惑でニュースになったよな?」

 ブルー 「そうだっけ?」

 アユミ 「違法栽培……?」

 カケル 「本当ですか?」

 レッド 「あぁ。健康被害は無いけど、無農薬って言っておきながら、農薬成分が出たって」

 ブルー 「じゃあ……もしかして、パラスは農薬を感じ取ったから食べなかったの?」

 レッド 「いや、それだと他のポケモンも農薬を感じ取るはずだから、パラスだけってことの説明には ならないな」

 アユミ 「どういうことだろう……」

 カケル 「パラスだけが反応する農薬……とか?」

 レッド 「そんなピンポイントな農薬あるかな」

 ブルー 「ここで考えても埒が明かないわ。こういう時は、オーキド博士に相談よ!」

 レッド 「そうだな。みんなで行ってみるか」

 カケル・アユミ 「「 はいっ! 」」


 ▼ 167 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/02 23:27:31 ID:ZnogLT3o [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

オーキド研究所。



 オーキド 「なるほどのぉ。確かに、パラスだけオボンを食べなかったと言うのは気になる」

 アユミ 「そうなんです!」

 カケル 「オーキド博士なら、何か理由が分かるかと思って」

 オーキド 「オボンを食べて混乱状態になるような報告は聞いたことがない。ただ、例えば そのパラスが、極端に辛い味を好む個体だったとすれば、オボンを食べない可能性も、ゼロでは無い」

 アユミ 「そっか。オボンは辛みが無いから……」

 ブルー 「有り得なくは ない話ね」

 レッド 「博士。先日ニュースになった、高級オボンの違法栽培疑惑、何か関係してないでしょうか?」

 オーキド 「レッドも知っておったか、そのニュース」

 レッド 「はい。無農薬と謳いながら、農薬成分が出たと。ただ、そのニュースの続報が無いので、少し気になるんです」

 ブルー 「レッドは、その農薬をパラスが感じ取ったから、オボンを食べなかったって言うんですよ」

 カケル 「オーキド博士。そういうことって有り得るんですか?」

 アユミ 「私たち、すっごく気になるんです!」



 オーキド 「……なるほど。お前さんたち、そこに行き付いたんじゃな」



 アユミ 「えっ?」

 カケル 「どういうことですか?」

 レッド 「もしかして、僕の予想通りのことが……?」

 ブルー 「まさか〜」



 オーキド 「実は お前さんたちに、調べて来て欲しいことがあるんじゃ」





     *



 ▼ 168 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/02 23:29:29 ID:ZnogLT3o [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



【 * 】



ジョウト地方・ウツギ研究所――。



 ヒビキ 「ウツギ博士。高級オボンの違法栽培のニュース、知ってますよね!?」

 ウツギ 「もちろん。無農薬栽培って書いておきながら、実際は農薬を使ってたみたいだね」

 ヒビキ 「それっ! 実際のところ、ポケモンへの健康被害って大丈夫なんでしょうか!?」

 ウツギ 「どっ、どうしたんだい急に?」

 ヒビキ 「実は僕……、ダクマフルーツの高級オボン、野生ポケモンに あげちゃったんです」

 コトネ 「ヒビキ君、ニュースを見てからずっと心配してるんです」

 ヒビキ 「当然だよ。僕が食べさせたオボンでポケモンが病気になったりしたら大問題だもん!」

 コトネ 「……ふふっ、優しいよね、ヒビキ君って」

 ヒビキ 「ウツギ博士っ……!」

 ウツギ 「その農薬の成分を見ないことには分からないよ」

 ヒビキ 「っ……、ですよね」

 ウツギ 「ただ、これまで健康被害は報告されていないと、例のニュースでは言ってたね」

 ヒビキ 「信用できませんよマスコミなんて。それに、分かってないだけで、被害が出てるかもしれません」

 コトネ 「そのニュースの続き……って言うか、結局どうなったかってニュース、いくら探しても出てこないんです」

 ヒビキ 「そうなんです。それで余計に心配になって……」

 ウツギ 「なるほどね。実は そのニュース――、ダクマフルーツの高級オボンについて、僕たちポケモン博士学会の間でも話題になっててね」

 ヒビキ 「そうなんですか!?」



 ウツギ 「ヒビキ君、コトネ君。高級オボンの真相を暴く調査――、興味あるかい?」





     *



 ▼ 169 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/02 23:32:05 ID:ZnogLT3o [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



【 * 】



ホウエン地方・オダマキ研究所――。



 ハルカ (今日は、ユウキ君がフィールドワークから帰ってくる日……)


今、ユウキはポケモンの生態調査のフィールドワークに出掛けている。

そのフィールドワークは、元々は学会用にオダマキ博士が行うものだったが、捻挫してしまったため、ユウキが代わりに行っているのだ。

本来なら、博士の娘のハルカが行うべきところだが、捻挫した博士の身の回りの世話のことを考え、ユウキが代役を買って出たのだ。


 ハルカ (うぅっ……、どんな顔して会えば良いんだろう……///)


と、ハルカが恥ずかしがるのも無理はない。

実は彼女、フィールドワーク中のユウキから、ライブチャットで近況報告を受けていたのだが、電源を切り忘れてしまい――。

一人エッチしているところを、モニター越しだが、ユウキに見られてしまったのだ。

 <その辺のことは前スレ見て下さい>





  ― ガチャッ



 ユウキ 「博士ー! ユウキです! 戻りましたー!」

 ▼ 170 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/02 23:33:35 ID:ZnogLT3o [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ハルカ 「あっ……、ユウキ君……///」

 ユウキ 「おっ、おうハルカ。久しぶり」


 ハルカ 「おかえりさない……」

 ユウキ 「あぁ、ただいま……」


 ハルカ 「ぁのっ……///」

 ユウキ 「っ……、博士の怪我、大丈夫か?」

 ハルカ 「あ、うん! だいぶ良くなって、歩けるようにも、なった……よ」

 ユウキ 「そっか。良かった」


 ハルカ 「ねっ、そのっ……///」

 ユウキ 「うん?」

 ハルカ 「誰にも……、言わない、よね……?」

 ユウキ 「あっ、当たり前だろ。約束したんだし! それにっ……!」

 ハルカ 「それに……?」

 ユウキ 「オレもそのっ……、ハルカのこと、すk」



 オダマキ 「おかえりユウキ君! 悪かったねぇ、代わりにフィールドワーク行って貰っちゃって!」


 
 ハルカ 「っ……! お父さんっ!」

 ユウキ 「あぁ……、ただいま、です。怪我は大丈夫そうですか?」

 オダマキ 「うん。走るのは無理だけど、ようやく痛みも治まってきたよ」

 ユウキ 「あっ……と! 実は調査のことで、博士に伝えなきゃいけないことがあるんです! ハルカにも!」

 ハルカ 「私にも?」

 オダマキ 「なんだい?」
 ▼ 171 ルリル@かえんだま 21/01/02 23:37:10 ID:NOAITNyU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
総力戦だな
 ▼ 172 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/02 23:40:50 ID:ZnogLT3o [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ユウキ 「今朝のことなんですけど! 怪我したキノココを12匹も保護したんです!」

 ハルカ 「えっ!?」

 オダマキ 「12匹も!? 詳しく聞かせてくれ」

 ユウキ 「はい。怪我って言うか、キノココの体の……笠の端っこ? とにかく、体の一部を、意図的に抉られたような傷があったんです」

 ハルカ 「意図的に?」

 オダマキ 「抉られた……。それは、他のポケモンに攻撃された訳ではないのかい?」

 ユウキ 「はい。ジョーイさんを呼んで調べて貰ったんですが、ポケモン同士の争いの怪我じゃ ないみたいです」 

 ハルカ 「12匹、みんな そうなの?」

 ユウキ 「あぁ。だからこれは……」

 オダマキ 「人為的に付けられた傷、ってことか」

 ユウキ 「はい。ジョーイさんも、その可能性が高いって」

 ハルカ 「それって、ポケモンハンターの仕業?」

 ユウキ 「いや、ハンターなら捕まえるだろ。森の中に放置されてたんだぜ、12匹まとめて!」

 ハルカ 「酷い! ユウキ君が見つけてなかったら、死んじゃってたかもしれないよ!」

 ユウキ 「あぁ。見つけて良かったよ。ひとまずジョーイさんが治療して、回復したら野生に返すらしいぜ」



 オダマキ 「………」



 ユウキ 「……博士?」

 ハルカ 「お父さん?」


 オダマキ 「嫌な予感がする」

 ハルカ 「えっ?」

 オダマキ 「ユウキ君は、高級オボンの違法栽培疑惑のニュース、知ってるかい?」

 ユウキ 「いや……」

 ハルカ 「無農薬栽培って言っておきながら、農薬成分が出た、ってニュースなの。でも疑惑だけで、続報は見てないんだけど……」

 オダマキ 「実は今、そのことが、ポケモン博士学会で話題になってるんだ」
 ▼ 173 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/02 23:41:46 ID:ZnogLT3o [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ハルカ 「学会で?」

 オダマキ 「ガラル地方の研究員がね、その農薬成分に、カジッチュと言うポケモンの細胞が、微量ながら検出されたと発信したんだ」

 ユウキ 「聞いたこと無いポケモンだな」

 ハルカ 「うん。じゃあ、その……カジッチュ? ってポケモンが、農薬を作るのに使われたってこと?」

 オダマキ 「あぁ。けど僕としては、カジッチュという1種類の細胞だけで、農薬成分を作り出すことは不可能だと思ってる」

 ハルカ 「えっ? お父さん、それって……」

 ユウキ 「その農薬作りに、キノココたちが使われた――、そういうことですか!?」

 オダマキ 「断定は出来ないが、可能性は高い。人為的に抉られた傷ってことは、キノココの細胞を採取したってことだ」

 ハルカ 「でも! 12匹分も採取する必要なんて」

 オダマキ 「同じキノココでも、1匹ずつ個体差がある。農薬を作るのに最適な細胞組織のキノココを捜すとしたら、12匹は少ない方だ」

 ハルカ 「そんな……」

 オダマキ 「キノココの胞子は、漢方薬にも使われてるんだ。農薬に応用することだって可能だと思う」

 ユウキ 「ほぼ確定じゃないですか! オレが保護したキノココたちは、その農薬作りの材料にされたってことですよ!」

 ハルカ 「酷いっ……! ポケモンの命を何だと思ってるの!?」

 オダマキ 「落ち着きなさい2人とも。まだ確定とは言えない」

 ユウキ 「けどっ!」

 オダマキ 「調べる必要は、当然ある!」

 ハルカ 「うん!」

 ユウキ 「そうだ! このまま放っておけない!」

 オダマキ 「実は、そのガラルの研究員から、調査協力の依頼が来てるんだ」

 ユウキ 「調査協力?」



 オダマキ 「ユウキ君。それにハルカ。急で悪いんだが……、ガラル地方に、行ってくれないか?」





     *



 ▼ 174 ジョッチ@ももぼんぐり 21/01/03 11:00:29 ID:sPEEyzws NGネーム登録 NGID登録 報告
これは激アツ
 ▼ 175 ガバシャーモ@じめじめこやし 21/01/03 17:29:38 ID:9CocCShY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まるでアベンジャーズだ
 ▼ 176 ャオブー@ホエルコじょうろ 21/01/03 17:31:00 ID:Yj46DlAQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ぬ
 ▼ 177 シギダネ@カビゴンZ 21/01/03 17:37:38 ID:tPVELzDc NGネーム登録 NGID登録 報告
コウキ君ってそういえばヒカリにはまだオボンのみのこと伏せてたよな…
 ▼ 178 ールー@おおきいマラサダ 21/01/03 17:52:15 ID:qV1Mz7fY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
r18とは・・・支援
 ▼ 179 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/04 01:21:06 ID:thPogxLo [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



【 * 】



シンオウ地方・ナナカマド研究所――。



 ナナカマド 「ダクマフルーツの高級オボン?」

 ヒカリ 「はい。先日、違法栽培のニュースが報じられましたが、続報を一切聞きません。家の者に確認させたのですが、どうしても情報が入らないのです」

 ナナカマド 「そのニュースなら学会でも話題となったが、何故それが気になるのだ?」

 コウキ 「ヒカリの家で、よく買ってるんですってー」

 ヒカリ 「はい。バトル用に加え、ポケモンたちの おやつ として、定期購買しています」

 コウキ 「やっぱり お嬢様は違いますねー」

 ヒカリ 「なんですかコウキさん。羨ましいのですか?」

 コウキ 「別にー」

 ヒカリ 「はぁ……。言って下されば お裾分けするのに」

 コウキ 「そんな必要ねーしー。僕だってダクマフルーツの高級オボンとか買ったことあるしー」

 ヒカリ 「そうでしたか。ダクマフルーツの無農薬栽培オボンの実<贈答用一級品>、素晴らしいですよね。色艶と言い、芳醇でなめらかな味わいと言い、“贈答用一級品”の名に恥じない品ですよね!」

 コウキ 「あー、うん。その、僕は食べたこと無いけど……」

 ヒカリ 「では、ポケモンたちに?」

 コウキ 「うん、まぁ? 凄く美味しいって言うし? ネイティも喜んでたし?」

 ヒカリ 「コウキさん、ネイティなんて連れていましたっけ?」

 コウキ 「………」

 ヒカリ 「コウキさん?」

 コウキ 「なんでもない。……って言うかヒカリ、自分でも言ってたじゃん。“庶民を見下すような言動は慎まなきゃ”って」

 ヒカリ 「ぁっ……、私としたことが。失礼致しました」
 ▼ 180 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/04 01:22:04 ID:thPogxLo [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ナナカマド 「なんだヒカリ君。随分と丸くなったのぉ」

 ヒカリ 「お恥ずかしいことに、私は知らず知らずのうちに、皆様を見下すような言動を取ってしまうことがあるんです。それを、コウキさんに指摘して頂いてるんです」

 コウキ 「名家の生まれは大変だね」

 ナナカマド 「なるほどのぉ」

 ヒカリ 「コウキさんは、そんな私と距離を取ることなく、普通に接して下さいます。私、それがとっても嬉しくて ///」

 コウキ 「……へへっ。改めて言われると恥ずかしいな」


 ナナカマド 「コホン。ダクマフルーツの話だったな?」


 ヒカリ 「あっ……、はい。よくポケモンに あげているものなので、違法栽培の件が、とうしても気になってしまって……」

 コウキ 「博士なら何か知ってるかと思って、今日は相談に来ました」

 ナナカマド 「うむ。無農薬と謳いながら、実際は農薬成分が含まれている可能性がある――。ニュースで報じられたのは、そこまでだ」

 ヒカリ 「はい。それ以上の情報が、全く手に入りません」

 ナナカマド 「今のところ、健康被害は出ておらん」

 コウキ 「それが せめてもの救いですね」

 ナナカマド 「そして……、私の見立てでは、健康被害が出る可能性は低いだろう」

 ヒカリ 「!」

 コウキ 「博士……、なにか知ってるんですか!?」

 ナナカマド 「ガラル地方の研究員から、この件に関する情報が出ておってな。その農薬成分から、カジッチュと言うポケモンの細胞が検出されたらしい」

 ヒカリ 「ポケモンの細胞が……?」

 ナナカマド 「つまり、その農薬成分は、ポケモン由来ということだ」

 コウキ 「そっか。ポケモン由来なら、ポケモンに健康被害は出ませんね」

 ナナカマド 「断定は出来んが、高級品として売り出し、これまで健康被害が無いとなると、相当な技術力・科学力をもってして、その農薬を作り出したのだろう。“農薬”と呼ぶべきものでは無いかもしれん」

 ヒカリ 「でしたら、無農薬とは謳わず、そういった薬剤を使用したと明言すれば良いのではないでしょうか」

 ナナカマド 「倫理的な問題だろう。ポケモンの細胞を使うと言うことは、ポケモンを人為的に傷つけると言うことだ」

 コウキ 「それは許せない!」

 ヒカリ 「はい。どのような理由でも、ポケモンを人為的に傷付けるなんて間違っています!」


 コウキ 「……でも、そう考えるとポケモンバトルもアウトだよね」

 ヒカリ 「そっ、それはっ……」

 ▼ 181 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/04 01:23:15 ID:thPogxLo [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ナナカマド 「そういう難しい問題は今は置いておきなさい。問題は、未承認の薬剤を使用していると言うことだ」

 ヒカリ 「その通りです」

 ナナカマド 「人為的に傷つけるとなれば、ポケモン保護法にも抵触する。そしてなにより……」

 コウキ 「なにより?」

 ナナカマド 「カジッチュという1種類のポケモンだけで、薬剤を作れるとは思えない」

 ヒカリ 「他にも傷付けられたポケモンが居るということですか!?」

 ナナカマド 「その通りだ」

 コウキ 「そんなの放っておけませんよ! 博士! その……学会で、なんとかならないんですか!?」

 ナナカマド 「勿論、動きはある。ただし、非公式でだ」

 ヒカリ 「何故ですか? ポケモン保護法に抵触する恐れがあることを、学会は公にしないのですか?」

 ナナカマド 「ポケモン博士学会は、ポケモンに関することとなれば最高権威とも言える。疑惑の段階で公にすることは出来ないのだよ」

 コウキ 「けど博士っ」

 ナナカマド 「ガラルの研究員の呼びかけのもと、各地方の博士が助手を派遣し、詳しい調査をする方向で話が進んでいる。必ずや真相を明らかにするから、安心しなさい」

 コウキ 「……はい。頼みますよ博士」



 ヒカリ 「………」



 コウキ 「どうした?」

 ヒカリ 「博士も、助手を派遣するんですよね?」

 ナナカマド 「勿論」


 ヒカリ 「私を選任して頂けないでしょうか」


 コウキ 「えっ?」

 ナナカマド 「ヒカリ君を?」
 ▼ 182 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/04 01:24:52 ID:thPogxLo [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ヒカリ 「私、許せないんです。ポケモンを人為的に傷つけて、そんな薬剤を作るなんて」

 ナナカマド 「気持ちは分かるが」

 ヒカリ 「それに! 違法栽培したオボンを、これまでポケモンたちに食べさせてしまいました。トレーナーとしての責任も感じています」

 コウキ 「偉いなヒカリは。ヒカリが行くんなら、僕も行きます!」

 ヒカリ 「コウキさん……」

 コウキ 「博士! 僕たちも力になりたいです! 僕とヒカリを選任して下さい!」

 ナナカマド 「うむ……。その気持ちは認めよう。ただ、高個体の野生ポケモンが生息するエリアでの現地調査も含まれる。君たちのバトルセンスは目を見張るものだが、危険と隣り合わせの場所に行かせる訳には……」



 ヒカリ 「ジョウト銘菓“いかりまんじゅう”、博士はご存知ですよね?」



 ナナカマド 「ん? あぁ、勿論」

 ヒカリ 「では、一般には出回らない、皇室御用達の<特選品>、ご存知でしょうか?」

 ナナカマド 「……聞いたことはある」

 ヒカリ 「国産高級小麦を使用した、しっとりなめらかな生地。国産高級小豆を使用した、きめ細やかな舌触りの漉し餡」

 ナナカマド 「さぞかし美味であろうな……」


 ヒカリ 「私の家なら、用意できますよ?」


 ナナカマド 「………」


 ヒカリ 「最高の原材料と職人の手によって作られた、芸術とも呼べる、特別な“いかりまんじゅう”……」



 ナナカマド 「……コウキ君、ヒカリ君。2人をガラル派遣の助手として選任しよう」



 ヒカリ 「ありがとうございます、ナナカマド博士」

 コウキ 「えぇ……」





     *



 ▼ 183 カタンク@すごいみみせん 21/01/04 01:25:23 ID:sePc2W3Q NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 184 ンタロス@バンジのみ 21/01/04 01:27:16 ID:he0UsM2E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ななっちゃん草
 ▼ 185 ガイドス@ヘルガナイト 21/01/04 08:42:02 ID:wVPkKiwI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 186 ンファン@やすらぎのすず 21/01/04 19:08:49 ID:v8yE9kx2 NGネーム登録 NGID登録 報告
r18からどんどん離れてる気がするけど支援
 ▼ 187 ザード@とくせいカプセル 21/01/07 20:46:07 ID:/p7QLx96 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 188 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/07 21:18:22 ID:JiEE/1Ic [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



【 * 】



イッシュ地方・アララギ研究所――。



 アララギ 「本当ごめんねトウコ、トウヤ。学会の時にあげた高級オボン、まさか違法栽培疑惑があったなんて……」

 トウヤ 「いえ。アララギ博士が謝ることないですよ」

 トウコ 「そうですよ! 悪いのはダクマフルーツって会社なんですから!」

 トウヤ 「それに、味は本物でしたからね。キョウヘイにも お見舞いで持って行ったし」

 キョウヘイ 「ははっ。それを僕はメイにも あげちゃったんですよね」

 メイ 「でも、それってまだ“疑惑”の段階なんですよね?」

 アララギ 「実は、そうとも言えないのよね」

 メイ 「えっ?」

 トウヤ 「……アララギ博士は、何か知っているんですか?」

 トウコ 「そうなんですか!? だってこのニュース、あれっきり続報とか見ないけど……」

 アララギ 「ガラル地方の研究員がね、この件について調査してるみたいなの」

 メイ 「ガラル地方って、カレーで有名なところですよね?」

 トウコ 「普通ダイマックスを思い浮かべない?」

 メイ 「もぉ! トウコ先輩はバトルのことばっかりですね」

 トウコ 「メイは もう少しバトルにも興味持ちなさい」

 メイ 「はーい」
 ▼ 189 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/07 21:18:54 ID:JiEE/1Ic [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 アララギ 「でね、高級オボンの農薬成分から、ポケモンの細胞が検出されたって言うのよ」

 キョウヘイ 「ポケモンの……ですか?」

 トウヤ 「つまり、その農薬の原料に、ポケモンの細胞が使われている――?」

 アララギ 「ビンゴ。そう考えるのが自然だわ」

 トウコ 「でも、そんな簡単に出来るものなんですか? ポケモンの細胞を採るのだって、簡単じゃないはずですし……」

 アララギ 「検出されたポケモンの細胞――、カジッチュって言うポケモンなんだけどね……」

 メイ 「聞いたことないポケモンね」

 キョウヘイ 「カジッチュ……果実? 草タイプかな?」

 アララギ 「不自然に傷付いた状態で発見されたらしいのよ。何匹も」

 トウコ 「えっ!?」

 トウヤ 「それ……、無理矢理カジッチュの細胞を採取して、採取したら捨ててるってことですよね!?」

 メイ 「そんなの酷い!」

 キョウヘイ 「有り得ない! ポケモンの命を なんだと思ってるんだ!」

 トウコ 「博士! そんなことするダクマフルーツ、放っておけませんよ!」

 アララギ 「えぇ。それについては、ポケモン博士学会でも問題視してるわ」

 トウヤ 「じゃあ、学会からダクマフルーツに申し入れを?」

 アララギ 「いいえ。確たる証拠が無い以上、それは出来ないわ」

 メイ 「証拠って……」

 トウコ 「そのガラルの研究員が証拠じゃないですか! カジッチュってポケモンの細胞を見つけたの、その人なんですよね!?」

 アララギ 「そうなんだけど……、どうも、非公式で調べてるらしいのよ」

 キョウヘイ 「非公式に?」

 トウコ 「なんで!?」

 アララギ 「ダクマフルーツってね、ガラル地方の大企業、マクロコスモスの100%出資会社なの」

 トウヤ 「なるほど。カネと権力が動いていそうですね」
 ▼ 190 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/07 21:19:38 ID:JiEE/1Ic [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「なによそれ!? 大企業ならポケモンを傷付けても良いってワケ!?」

 アララギ 「プラス、訴訟の恐れね。学会が公式で動いたら、それだけでマクロコスモスの株価とかに影響が出るわ。訴訟なんて起こされたら、嫌でも調査は一時中断よ」

 キョウヘイ 「そんなのおかしいです!」

 メイ 「博士、なんとか出来ないんですか?」

 アララギ 「勿論、なんとかするつもりよ。非公式で証拠を――マクロコスモス側が絶対に言い逃れできない証拠を集めて、それから学会で公表、って算段ね」

 トウヤ 「なるほど。非公式で密かに動けば、マクロコスモスの監視と権力は及びにくい、と」

 トウコ 「……けど、非公式ってなると、博士たちは調査できないんじゃ?」

 アララギ 「えぇ。……実は、今日みんなに集まって貰ったのは、そのことに関係するの」


 トウヤ 「はい」

 トウコ 「なんとなく、察しは付いたわね」

 キョウヘイ 「ですね。僕たちが呼ばれた理由――」

 メイ 「うん」



 アララギ 「みんなでガラル地方に行って、マクロコスモスの悪事を暴く調査をして欲しいの」





     *



 ▼ 191 ンド@こだわりハチマキ 21/01/07 21:20:56 ID:LDCc6vuE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
最後の主人公だからか気合入ってるな
 ▼ 192 ゲツケサル@パイルのみ 21/01/07 22:37:25 ID:kgHY0r2. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
がんばれ〜
 ▼ 193 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/08 22:36:56 ID:l64oLpQg [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



【 * 】



カロス地方・ミアレシティ――。



私はニャオニクス♀。

ニャスパーの時からセレナと一緒。セレナのポケモン。


セレナはクールで、バトルが強い。

私のことも大切に育ててくれて、とってもポケモン想いだけど、恋愛に関しては鈍感だった。


そんなセレナは、私が仕向けた甲斐あって、友達のカルムとグッと距離が縮まって、正式にお付き合いしている。

クールなイメージが強いセレナだけど、以前より笑顔を見せることが増えて、他の友達――サナ、トロバ、踊れるぽっちゃり系の彼も驚いている。

ニンゲンの間では“人は恋をすると変わる”って言うみたいだけど、どうやら本当みたいね。



そんな私は今、セレナと一緒に、ミアレシティの路地裏にあるカフェに居る。



 セレナ 「はぁ……。ねぇニャオニクス」

 ニャオニクス♀ 「にゃん?」

 セレナ 「カルムと お付き合い始めて しばらく経ってるのに、私、まだカルムと会う度にドキドキしちゃうの」

 ニャオニクス♀ 「にゃーん」

 セレナ 「貴方も、彼のニャオニクスと会うの、今でもドキドキしてるのかしら?」

 ニャオニクス♀ 「んにゃぁ……///」

 セレナ 「……ふふっ。私と同じなのね」


実は私、セレナとカルムを結び付けた訳だけど、恋に鈍感だったのは私自身も同じだったみたいで――。

カルムのニャオニクス♂からの好意に、全く気付かなかった。

セレナとカルムが お付き合いを始めたのと同じ日に、私もニャオニクス♂からアプローチされ、お付き合いを始めた。

今まで良きライバル同士であった彼と正式にお付き合いすることになるなんて、今考えても、なんだか不思議な感じだ。
 ▼ 194 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/08 22:38:12 ID:l64oLpQg [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 「いらっしゃいませ」



そんなマスターの言葉に、私とセレナは入口に顔を向ける。

カルムとニャオニクス♂が到着したようだ。


 カルム 「お待たせセレナ。待たせちゃった?」

 ニャオニクス♂ 「にゃぉん」

 セレナ 「ううん、ちょっと前に来たところ」


20分前は“ちょっと前”って言わないわよセレナ。

そして今、カルムは待ち合わせ10分前に来てくれた。要するにセレナは、待ち合わせの30分も前から待機していた訳だ。

カルムと会うのが楽しみっていうのは分かるけど、ちょっと張り切り過ぎじゃないかな?


 カルム 「こんにちはニャオニクス。なに飲んでるんだい?」

 ニャオニクス♀ 「にゃ」

 セレナ 「マスターおすすめのブレンドジュースよ」

 マスター 「今日のブレンドはね、マゴとモモンをベースにブリーを加えた、優しい甘さのジュースだよ」

 カルム 「美味しそうですね。じゃあ僕もそれを1つと……、あとアイスティーを」

 マスター 「ミルクやレモンは?」

 カルム 「いえ。ストレートで」

 マスター 「かしこまりました。すぐ準備しますね」

 カルム 「何か甘いモノ食べない?」

 セレナ 「えぇ。せかくだし」

 カルム 「じゃあ……、バニラシフォンケーキもお願いできますか?」

 マスター 「かしこまりました。 お嬢さんは、飲み物大丈夫かい?」

 セレナ 「あっ……と、そうね。彼と同じものを頂きます」

 マスター 「はい。アイスティーもう1つね。では少々お待ちを」
 ▼ 195 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/08 22:49:00 ID:l64oLpQg [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 カルム 「ここのシフォンケーキ、美味しいって評判なんだけど、1人で食べるには少し大きいんだ」

 セレナ 「シェア前提なのね」

 カルム 「うん。まぁそれ以前に、男が1人でシフォンケーキってのもね」

 セレナ 「ふふっ。良いじゃない。甘党の男の人、可愛いと思うわよ?」

 カルム 「いやいや。セレナみたいな良いお嬢さんが食べるのは絵になるけど、僕じゃぁね」

 セレナ 「私はカルムがシフォンケーキ食べる姿、ずっと見てられるけどなー」

 カルム 「それはそれで恥ずかしいよ。 あ、そう言えばタマゴの様子はどう?」

 セレナ 「うーん……、生まれるまで まだかかりそうね。今日は お母さんに看て貰ってるわ」

 カルム 「そっか。楽しみだね、孵るの」



マスターが調理に取り掛かると、セレナとカルムは談笑を始める。

あぁ、2人とも、とっても良い笑顔。セレナってば、本当にカルムのことが好きなのね。



 ニャオニクス♂ <セレナさん、楽しそうですね>

 ニャオニクス♀ <カルムもね。本当、2人が結ばれて良かったわ>

 ニャオニクス♂ <僕も、こうして君と結ばれることができて幸せです>

 ニャオニクス♀ <……ふふっ。今日のデートも楽しくなりそうね>

 ニャオニクス♂ <あっ……、それなんですけど>

 ニャオニクス♀ <なぁに?>

 ニャオニクス♂ <残念ながら、今日こうしてお会いするの、デートが目的じゃないんです>


 ▼ 196 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/08 22:50:25 ID:l64oLpQg [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 マスター 「お待たせしました。アイスティーとバニラシフォンケーキ。ブレンドジュースは君だね?」

 ニャオニクス♂ 「にゃん♪」

 カルム 「ありがとうございます」

 マスター 「では、ごゆっくり」



クラシックが流れ、コーヒーの香りが漂う、小さなカフェ。お客さんは他に2組しか居ない。

テーブルは観葉植物で仕切られているため、個室のような空間で、セレナとカルムは甘い一時を過ごす。


 セレナ 「美味しい」

 カルム 「うん。バニラの風味が良いね、このシフォンケーキ」

 セレナ 「えぇ。なめらかなクリームと良く合うわ」

 カルム 「………」

 セレナ 「どうしたの?」

 カルム 「美味しそうに食べるセレナ、可愛いなぁって」

 セレナ 「っ……/// そんな恥ずかしいこと言わないでよぉ」

 カルム 「あははっ」

 セレナ 「もぉ……///」


顔を赤らめたセレナは、目線を逸らし、口元を左手でおさえながらシフォンケーキを頬張る。

けれど美味しさには勝てないのか、次第に顔は ほころび、年齢相応の女の子らしい雰囲気だ。

こんなセレナの言動、今までじゃ考えられなかったし、本当にセレナは、カルムと お付き合いを始めて、表情が豊かになった。


 カルム 「……実はさ。今日 来て貰ったのは、セレナに伝えなきゃいけないことが あるからなんだ」

 セレナ 「なにかしら?」

 カルム 「あの日……、僕がセレナに告白した日。ダクマフルーツの高級オボンを持って行ったよね」

 セレナ 「えぇ。ニャオニクスと一緒に、美味しくいただいたわ。ねっ?」

 ニャオニクス♀ 「にゃ♪」
 ▼ 197 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/08 22:51:44 ID:l64oLpQg [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カルム 「その高級オボンなんだけど、違法栽培じゃないかってニュースになったの、知ってる?」

 セレナ 「えっ……そうなの?」

 カルム 「うん。無農薬栽培って謳いながら、農薬成分が検出されたって」

 セレナ 「高級品でも、そういう食品偽装されるものなのね」

 カルム 「ごめんねセレナ。そんなもの渡しちゃって……」

 セレナ 「カルムのせいじゃないわよ。その、ダクマフルーツって会社が悪いんだから」

 カルム 「でも安心して。健康被害とかは出てないみたいだし、プラターヌ博士の見立てでも、ポケモンの健康に影響するようなものじゃないって」

 セレナ 「そう……、良かった」

 カルム 「ニャオニクスも……ごめんね。僕、君に直接オボンを渡しちゃったもんね」

 ニャオニクス♀ 「にゃぶ」


あの日――、カルムは私に、その高級オボンを、手渡しした。

セレナと会わせないように見張っていた私を買収するかのように。……と言っても、そのオボンは、セレナのスカートの中を見てしまった お詫びの手土産としてカルムが持ってきたものだから、買収って訳じゃないんだけど。

カルムから貰った高級オボンは、色艶、香り、味わい、どれをとっても最高だったのに、まさかそれが違法栽培されたものだなんて。


 セレナ 「カルム……、もしかして、今日は それを謝るために?」

 カルム 「うん」

 セレナ 「……ふふっ。カルムって誠実ね」

 カルム 「いや。僕が あげたものだから、責任は僕にあるよ」

 セレナ 「気にすることないのに」

 カルム 「それと……、その高級オボンに関連してだけど、プラターヌ博士に会って欲しいんだ」

 セレナ 「博士に? どうして?」

 カルム 「それは、博士の口から説明して貰うことになってる」

 セレナ 「重要なことなの?」

 カルム 「うん。ひとまず、もう少し のんびりしてから研究所に行こうよ」

 セレナ 「気になるなー。カルムは博士からの話、聞いてるんでしょ?」

 カルム 「あぁ。オボンの健康被害のことで電話したからね」

 セレナ 「ふーん」


セレナは少し考えるような素振りを見せたけど、今はカフェでの一時を楽しみたいのか、シフォンケーキを口に運んだ。

カルムからではなく、プラターヌ博士から直接……ねぇ。なにか大きなことが起こりそうな予感。


 ▼ 198 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/08 22:54:22 ID:l64oLpQg [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



プラターヌ研究所――。



 プラターヌ 「待ってたよ。カルム、セレナ」

 カルム 「こんにちは博士。……あっ、電話での相談、ありがとうございました」

 プラターヌ 「うん。ちょうど学会の件とも重なっていたからね」

 セレナ 「それで……博士。なんでしょうか。私に お話って……」

 プラターヌ 「身構えることじゃないよ。ちょっとしたお願いさ」

 セレナ 「お願い……?」

 プラターヌ 「ダクマフルーツの高級オボンに違法栽培疑惑があること、カルムから聞いてるね?」

 セレナ 「はい。さきほど」

 プラターヌ 「実は、ガラル地方の研究員が、その件を調査しててね。検出された農薬成分から、ポケモンの細胞が見つかったんだ」

 セレナ 「ポケモンの細胞……?」

 プラターヌ 「そして、その細胞を採取されたと思われる傷付いたポケモンが、多数見つかっている」

 セレナ 「それって……、違法なこと、ですよね」

 プラターヌ 「もちろん。ポケモン保護法に抵触することだ。そして今現在、ポケモンの細胞を使った正式な農薬は、この世に存在しない」

 セレナ 「待って下さい。じゃあダクマフルーツは、無農薬と嘘をついただけじゃなく、その農薬も、違法な手段で作り出した――、そういうことですか?」

 カルム 「その通りだよ、セレナ」

 セレナ 「カルム……、そんなの許せないわ」

 カルム 「僕も、その話を聞いて許せないって思ったよ。ダクマフルーツに抗議するべきだって」

 セレナ 「当然よ。ポケモンの命を粗末にするようなこと、決して許されないわ!」

 プラターヌ 「ただ、問題があってね」

 セレナ 「問題?」
 ▼ 199 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/08 22:54:56 ID:l64oLpQg [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 プラターヌ 「ダクマフルーツって、ガラルの大企業、マクロコスモスが出資している会社なんだ」

 セレナ 「マクロコスモス?」

 プラターヌ 「ガラル全土に影響力があるほどの大企業だよ」

 セレナ 「それが何か関係が……?」

 カルム 「揉み消される可能性があるんだよ」

 セレナ 「えっ!?」

 プラターヌ 「もしくは、名誉棄損とかで裁判を起こされるかもね」

 セレナ 「そんなっ!」

 プラターヌ 「そこでだ。学会でね、非公式に調査を行う方向で話が進んでるんだ」

 セレナ 「非公式に……ですか?」

 プラターヌ 「そう。公式に動けば、どうしても情報開示とか面倒臭いことになる。非公式なら その辺は緩いし、マクロコスモスにも感知されにくい」

 セレナ 「けど、非公式ってことは、博士は公に動けないってことですよね……?」

 カルム 「そこで、僕たちの出番さ」

 セレナ 「えっ?」

 プラターヌ 「僕ら博士号取得者ではなく、研究助手の独自調査――ってことで、この件を調査する。マクロコスモスが逃げられない証拠を固め次第、学会から公に発表・抗議するって流れさ」

 セレナ 「研究助手の独自調査……、なるほど。そういうことですね」

 カルム 「気付いた?」

 セレナ 「えぇ。それに、協力は惜しまないわ」

 カルム 「流石セレナ。僕もだよ」

 プラターヌ 「ははっ。2人とも頭が良くて助かるよ」

 カルム 「ポケモンを傷付けるようなこと、許せませんから」

 セレナ 「私も同じです」

 プラターヌ 「じゃあ、改めてお願いだ」

 カルム 「はい」



 プラターヌ 「カルム、セレナ。高級オボンの違法栽培に関する調査のため、ガラル地方に行って欲しい」





     *



 ▼ 200 ルバット@おすすめメール 21/01/08 22:55:47 ID:Ay4w32zI NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 201 ズパス@パワーバンド 21/01/09 08:28:18 ID:0Nr2gRfw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 202 メノデス@ゆでタマゴ 21/01/09 08:46:06 ID:lZJAIAB. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しし支援
 ▼ 203 ガミュウツーX@ロックカプセル 21/01/09 15:29:23 ID:36e6H6M6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カロス地方オシャレやなー
支援
 ▼ 204 チュル@ポテトパック 21/01/10 13:31:47 ID:XPsEJ6iU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このペアいいわー
支援
 ▼ 205 ングラー@ゼニガメじょうろ 21/01/10 19:34:01 ID:xIzkR2es NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 206 ルマユ@じゃくてんほけん 21/01/12 00:14:29 ID:YZQstUfg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 207 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/14 00:08:07 ID:w7iAZfog [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 * 】



アローラ地方・ククイ研究所前――。



 ミヅキ 「行くよジュナイパー! 私たちのゼンリョクっ!」

 ジュナイパー 「じゅなぃ!」


 ヨウ 「なら僕も……! 準備は良いかいアシレーヌ!」

 アシレーヌ 「しゃなっ!」


ミヅキとヨウはゼンリョクポーズをとる。

その“舞”に最初は恥ずかしがっていた2人だが、今では気にすることなく、まさしくゼンリョクで ぶつかり合う。


 ミヅキ 「“シャドーアローズストライク”!」

 ヨウ 「“わだつみのシンフォニア”!」


大きく羽ばたき上昇したジュナイパーが、無数の矢とともに滑空する。

巨大な水のバルーンを作り出したアシレーヌは、歌声とともにそれを破裂させる。


トレーナーの思いをポケモンに重ねて互いのゼンリョクを解き放つ――それがZワザ。


ミヅキとヨウの思いを受けたジュナイパーとアシレーヌの、Zワザ同士の力比べ。その結果は……。


 アシレーヌ 「しゃ、なっ……」 ガクッ

 ヨウ 「アシレーヌっ……!」

 ミヅキ 「よしっ! やったよジュナイパー!」

 ジュナイパー 「じゅっ!」 ドヤッ


 ククイ 「お疲れさんミヅキ、ヨウ。良いZワザだったぜ」



ミヅキとヨウは、この日もククイ博士の研究の手伝いをしていた。

手伝いと言ってもZワザを披露するだけだが、それがワザの研究を行っているククイ博士にとって、重要な発見に繋がるらしい。
 ▼ 208 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/14 00:08:52 ID:w7iAZfog [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ミヅキ 「今日もヨウに勝った〜♪」

 ジュナイパー 「じゅなじゅなー♪」

 ヨウ 「やっぱりZワザって言っても水タイプじゃなぁ……」

 ククイ 「“わだつみのシンフォニア”は、Zワザの中でも強力な部類さ。もっとワザを磨けばミヅキに勝てるかもしれないぞ」

 ヨウ 「本当ですか!?」

 ククイ 「あぁ。ポケモンたちは、オレたちトレーナーの期待に応えてくれるからな!」

 ミヅキ 「無理無理。私だって同じくらいワザを磨くんだから、ヨウに負けるなんて有り得ないよ〜」

 ヨウ 「言ったなコイツ……!」

 ミヅキ 「ふふーん。悔しかったら私に勝つことだね」


 ククイ 「はははっ! そうやって お互いを高め合うのは良いことだぞ」

 ミヅキ 「でも博士」

 ククイ 「ん?」

 ミヅキ 「博士の研究を手伝いたい気持ちは あるんだけど、そろそろ別のことしたいなーって」

 ヨウ 「贅沢言うなよ。博士はオレたちの島巡りを支えてくれた恩人だぞ」

 ミヅキ 「分かってるけどさ……。まったくヨウは真面目すぎなんだから」

 ククイ 「なるほど。確かに こう毎回毎回、Zワザを見せるだけってのも、研究の協力って実感が湧かないか」

 ヨウ 「そんなこと無いですよ。アローラに伝わるZワザ、その新規発見に貢献できれば……」

 ミヅキ 「実感……湧かないですね。正直」
 
 ヨウ 「ミヅキ少しは敬意!」

 ククイ 「ははっ! 正直で よろしい! なら……」

 ミヅキ 「なら?」

 ククイ 「高級オボンの違法栽培のニュース、知ってるね?」

 ヨウ 「あっ……はい。そのニュース気になってたんです」



 ククイ 「ちょっと難しい話かもしれないが、ポケモンの細胞を使った違法薬剤の、謎を暴く研究……、興味あるかい?」





     *



 ▼ 209 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/14 00:10:29 ID:w7iAZfog [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告










 マクロコスモスの闇を暴くため――。





 少年少女たちが、ガラル地方に集結する。










 ▼ 210 コリザル@むげんのチケット 21/01/14 18:22:12 ID:rPXcbgQc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
読み返してみたら些細なことだけどヨウの一人称が変わってることに気づいた
まああんまり気にならないけど
 ▼ 211 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/14 19:31:23 ID:w7iAZfog [4/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


>>210
マジだ1か所「オレ」になってる……。

ご指摘ありがとうございました。

 ▼ 212 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/14 23:10:09 ID:w7iAZfog [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


株式会社ダクマフルーツ(マクロコスモス100%出資)。

同社を取り仕切るのは、マクロコスモス元副社長であり、逮捕されたローズの秘書であった、執行猶予中の身のオリーヴ(登記上の代表者ではない)。


そんな同社の主力商品は、「無農薬栽培オボンの実<贈答用一級品>」。

ローズの逮捕で経営が傾いたマクロコスモスを建て直し、ローズが帰って来る場所を残そうと奮闘するオリーヴが企画・商品化したものだ。



オボンの実は、ポケモンの体力を大きく回復する、優秀な効果を持つ木の実。

バトル中にHPが少なくなると、ポケモン自ら食べて体力を回復できることから、各方面で需要は高い。

だが、自然界に自生するオボンは少ない。その少ないオボンを野生ポケモンも好んで食べるため、オボンは需要と供給のバランスが悪い木の実の代表例だ。


そして、栽培はゲームのように簡単では無い。害虫対策に加え、野生ポケモンに食べられる対策も行う必要がある。

そういったことから、オボンは贈答用にも人気が高く、高級品は高値で取引されている。無農薬なら尚更だ。



ダクマフルーツは、そんな無農薬の高級オボンを、安定的かつ大量に栽培することに成功し、業績を伸ばしている。


しかしその栽培方法は、完全に違法だった。


栽培した高級オボンで強い野生ポケモンを買収し、オボンを食べにくる野生ポケモンを排除する。

ポケモンを人為的に傷つけて採取したポケモンの細胞で、農薬に近い成分の薬剤を作り出し、害虫を寄せ付けない。ポケモン由来なのでポケモンに健康被害は無いが、倫理的な問題があるし、ポケモン保護法にも抵触する。



それを、チャンピオン・ユウリが発見した。


マクロコスモスの影響力をもってすれば、警察やマスコミを黙らせることは可能だが、チャンピオンの肩書を持つユウリに告発されでは、流石のマクロコスモスでも、事態の沈静化は難しい。


そこでオリーヴは、ユウリを拘束した。

ユウリさえ監禁してしまえば、この違法栽培の事実が世に広まることは無い。


しかしユウリも、拘束されて終わりでは無い。

その光景をスマホロトムで録画し、マサルに託したのだ。

そのことに気付いたオリーブは、“誰に映像を託したのか”を問い詰めるも、当然ユウリは喋らない。


オリーヴは、映像を取り返すためには手段を選ばない構え。

ダクマフルーツ本社にユウリを連行し、映像の送り先を吐かせようとしていた。

 ▼ 213 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/14 23:32:34 ID:w7iAZfog [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





     ◆   ◆   ◆





 ユウリ 「んっ……」



気が付くと私は、真っ暗闇の中に居た。


体の節々が傷み、頭がボーっとする。


そうだ。

私はオリーヴさんたちダクマフルーツの社員に捕まったんだ。

スマホロトムの場所を喋らせようと、デンチュラの電気の糸で縛られて、痛めつけられて……。


だんだん意識が戻ってくるにつれ、自分の体に違和感を覚える。


目のまわりに拘束感。

妙な浮遊感。

どことなく全身がスースーする。


 ユウリ 「んくっ……!」 ギチギチ


これ多分、目隠しされている。いま居る場所が暗闇って訳じゃないみたい。

試しに動こうとしたけど、両手は背中にまわされて、キツく縛られている。

両足は大きく広げられて、閉じることが出来ない。漢字の「人」の字のような体勢だ。

そして、地面と接している感覚が無いし、ユラユラと体が揺れる。


あぁ……私、どこかに吊るされてるんだ。

足首と膝のあたり、それに、腰と胸の辺りに軽い圧迫感がある――と言うことは、そこを支点に吊られてるってことだ。
 ▼ 214 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/14 23:33:22 ID:w7iAZfog [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ユウリ 「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」


いくら もがいても、私の体は虚しく揺れるだけで、拘束から脱出できそうにない。

待って。

どれくらいの高さで吊られてるか分からないのに、もがいて抜け出そうとするのは危険なんじゃ……。



  ― ガシャッ!



 オリーヴ 「あら、お目覚めのようね」

 ユウリ 「っ!?」


扉が開く音と共に、オリーヴさんの声が聞こえた。

そのままカツカツと、足音が私に近付いてくる。


 オリーヴ 「気分は どうかしら?」 バサッ

 ユウリ 「あっ……」


オリーヴさんの足音が止まったかと思うと、視界が開けた。目隠しを取ってくれたみたいだ。


私の目の高さに、オリーヴさんの顔。

やっぱり私は吊るされているようで、オリーヴさんの身長を考えると、床から160センチくらいかな。この体勢で、この高さから落ちていたら、お腹を強打して危なかったと思う。


 ユウリ 「ここはっ……」


ここは――、何処かの倉庫?

私のまわりは詰まれた段ボール箱で囲まれていて、段ボール以外の情報が入って来ない。けれど、扉の開く音は近くで聞こえたから、案外狭い空間なのかもしれない。

上を見ると、白い天井、換気扇と銀色のダクト。蛍光灯が等間隔で並んでいる。

窓は無く、ここが何処か特定する情報は皆無だった。


 オリーヴ 「……クスッ。良い格好ね」

 ユウリ 「ぇっ……ひゃっ!?」


オリーヴさんの言葉で、私は何も身に付けていないことに気付いた。

私は裸で縛られて、吊るされていたのだ。
 ▼ 215 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/14 23:34:08 ID:w7iAZfog [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ユウリ 「やだっ……どういうことですかオリーヴさん!?」

 オリーヴ 「貴方、うちの社員が痛めつけたのに、スマホロトムのこと喋らなかったのね」

 ユウリ 「……当然です。私はっ、悪いことには屈しません!」



私は出来るだけ落ち着くことを心がけて、オリーヴさんに言い放った。

裸で吊るされて、顔から火が出るくらい恥ずかしいけど、男の人に見られてる訳じゃないから、まだ我慢できる。



 オリーヴ 「そうね。その芯の強さ、嫌いじゃないわ」

 ユウリ 「余計なお世話です」

 オリーヴ 「もう一度聞くけど……、スマホロトムの映像、誰に送ったのかしら?」

 ユウリ 「誰でしょうね」

 オリーヴ 「貴方と同い年くらいの男の子、ってことは分かってるの。ホップじゃないってこともね」

 ユウリ 「っ……!」



そこまでバレてるんじゃ、マサルのことがバレるのも時間の問題!?

私の友達関係を調べられたら、ホップ以外の男友達って、すぐに分かっちゃう……。



 オリーヴ 「まぁ、簡単に教えてくれないことは想定済みよ。だからこうやって監禁してるのよ?」

 ユウリ 「……ここは何処ですか? こんなところで私を監禁して、どうするつもりなんですか!?」

 オリーヴ 「ここはダクマフルーツの倉庫。監禁してどうするかって……、決まってるでしょ?」

 ユウリ 「えっ……」


 オリーヴ 「映像の在りかを喋って貰うために、私が直々に貴方を可愛がってあげるためよ」 ニコッ


 ユウリ 「っ……!?」 ゾクッ


オリーヴさんが浮かべた、恐ろしいほど冷たい笑み。

背筋が凍るような悪寒が、私の体を突き抜ける。私の本能が、これはマズいと警告する。
 ▼ 216 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/14 23:35:13 ID:w7iAZfog [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 オリーヴ 「貴方を拘束してるのは、デンチュラの糸。電気は帯びてないけど、丈夫な糸だから簡単には切れないわよ」

 ユウリ 「んっ……、このっ……!」 ギチギチ

 オリーヴ 「無駄よ。それに……ねぇ、どうして貴方を裸にしたと思う?」

 ユウリ 「……恥ずかしい格好させて、私にスマホロトムの場所を喋らせようって」



 オリーヴ 「ふふっ、お馬鹿さんね」



 ユウリ 「なっ……」

 オリーヴ 「痛めつけて喋ってくれないんだから、別の方法で喋って貰うまでよ」

 ユウリ 「別のって……」

 オリーヴ 「今から貴方を、快楽に溺れさせてあげるの」

 ユウリ 「快楽……」


 オリーヴ 「動けない貴方はね、これから絶頂地獄を味わうの。いくらイッても終わらない、永遠にイキ続ける絶頂地獄……」


 ユウリ 「ぁっ……」 ゾクッ

 オリーヴ 「……ふふっ。ようやく自分の置かれた状況を理解して貰えたかしら?」



絶頂地獄? イキ続ける?

それって……、私のことを、性的に痛めつけるってこと……?


 ユウリ 「そっ、そんなことしたって! 私は友達を売るようなことっ――」

 オリーヴ 「はい黙って」 ガシッ!

 ユウリ 「むぐっ!?」
 ▼ 217 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/14 23:36:04 ID:w7iAZfog [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

オリーヴさんは私の言葉を遮って、突然、私の鼻を摘まんだ。

そのまま顔をグイッと持ち上げられると、どこから取り出したのか、液体が入った小瓶を私の口に ねじ込んだ。



 ユウリ 「んぐっ!? ぁっ……がほっ!?」 ゴクッ





鼻を摘ままれ、顔を持ち上げられた状態で、口の中に瓶ごと ねじ込まれてしまっては、中身の液体を飲み干すしかない。

吐き出しても瓶の中に戻るだけで、息苦しさから解放されるには、飲み干すしかないのだ。





 ユウリ 「んはっ! はぁっ、はぁっ、なっ……なにっ……?」 ガクガク

 オリーヴ 「安心して。別に毒とかじゃないわ」

 ユウリ 「じゃあ……」

 オリーヴ 「媚薬。エッチな気分になっちゃう薬よ」

 ユウリ 「エッチなって……///」

 オリーヴ 「……ふふっ。マクロコスモス・ライフの媚薬、商品は希釈してるけど、今のは原液。とーっても濃い媚薬よ?」

 ユウリ 「ぇっ、原液……? それっ……」

 オリーヴ 「じっくり可愛がってあげるわ。効果が出る頃に また来るけど……、早いとこ喋っちゃう方が身のためよ? じゃあね」

 ユウリ 「ちょっ……オリーヴさんっ!?」



  ― ガシャン!




 ▼ 218 州街道◆IVIG1YNTZ6 21/01/14 23:38:10 ID:w7iAZfog [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


私の呼びかけを無視して、オリーヴさんは、段ボール箱の奥にあると思われる扉から出て行ってしまった。








静寂が、私を襲う。



恐ろしいほど静か。








 ユウリ 「くっ……、なんとかっ、しないとっ……!」 ギチギチ


力一杯もがいているけど、拘束が解ける気配はない。

私を拘束して吊っているのは、デンチュラの丈夫な糸。電気を帯びてないのは、オリーヴさんの優しさなのかもしれないけど、少なくとも、私の力で抜け出すのは不可能だ。



 ユウリ 「なんとかっ、ハァッ、ハァッ……、んくっ! 解けてよぉっ……!」 ギチギチ



いくら頑張っても、私の体が揺れるだけ。


媚薬……、エッチな気分になる薬、それも、原液。

オリーヴさん、私に“絶頂地獄を味わって貰う”って……。

一人エッチでもイッた後は気持ち良くてクラクラするのに、他人にイカされるようなこと……しかも“地獄”って……。



どうしよう……、どうすれば良いのよぉ……。





     ◆   ◆   ◆





 ▼ 219 ァイアロー@マッハじてんしゃ 21/01/14 23:45:11 ID:apxIaAOQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マサル早く助けに来い
 ▼ 220 ズレイド@ガルーラナイト 21/01/15 16:09:09 ID:pvw2OZc. NGネーム登録 NGID登録 報告
ユウリ来たか
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 ▼ 221 ェイミ@ひかえめミント 21/01/15 21:31:23 ID:tYP2NyPE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 222 クジキング@なぞのすいしょう 21/01/16 00:40:20 ID:c18YiyzU NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 223 チエナ@メンタルハーブ 21/01/16 19:42:48 ID:XTXgGIhU NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 224 オキシス@ふしぎなタマゴ 21/01/19 00:45:07 ID:ol3QaLkE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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