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SS

【小説っぽい】穏やかなガブリアス【SS】

 ▼ 2 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:14:21 ID:WkbQBdU6 [2/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 俺の中で最も古い記憶。

フカマルだった頃。家族からの冷たい声、態度、口調。

無駄に陽気な兄や、我の強い意地っ張りな父も皆、俺には冷たかった。

 1匹で修行をしている時、父に言われた。『旅に出たらどうだ』と。

どうやら俺たちはエリートの種族で、旅に出て己を磨け、ということらしい。

 それで認めてもらえるなら、と思い、俺は二つ返事で了承した。
 ▼ 3 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:14:51 ID:WkbQBdU6 [3/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 1匹、その上外での生活。

しかし群れていただけで元々野生である俺には、そこまで苦難ではなかった。

『エリート』を心の支えにして、修行に励み兄達と同じガブリアスにも進化した。

急に体が大きく、力は強くなり、慣れるまでに時間は要したが、それでも尚修行は怠らず、ただ努力を続けた。そうして今に至る。
 ▼ 4 wV.lnwEKfw 16/06/24 21:15:03 ID:pwMXlNt6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
穏やかならしゃーない
 ▼ 5 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:16:22 ID:WkbQBdU6 [4/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ただどれだけ努力しても、前に見た兄や父のような力は得られない。

結果の伴わないまま続ける修行は、かなり苦しものだ。

 『友人』と言える様なポケモンは居なかったし、作る気も無い。

だが、一定の場所に留まると顔見知りのポケモンはどうしても出てくる。

その顔見知りのポケモンというのはキリキザン。

偶に一緒に修行する程度の仲だ。

 キリキザンに昼食に誘われた。

断ったがクドイので渋々一緒に食べる事にする。
 ▼ 6 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:17:39 ID:WkbQBdU6 [5/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
木の実を取る時、兄は確か甘い物が好きだったな、と思い出し、俺は苦いものが好きなのだが、なんとなく、モモンの実を食べる事にする。

父は辛いものが好きだが、辛いものは苦手なので止めた。

 本当は昼食など、適当に摂って修行したいのだが、こいつ等は本当に意識が低い。

さっさと食べて修行に戻ろうとすると、キリキザンが尋ねてきた。

「お前、修行ばっかしてるけど、何でそんなに強くなりたいの ?」

 その純粋な疑問に即答することは出来なかった。認められる為、エリートだから、思い浮かぶその答えは本質から外れている気がする。

「さあ。ま、いいでしょ別に。ただ強くなりたいんだ。」

「ふーん。」

適当な答えに適当な相槌。無為な時間。
 ▼ 7 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:18:38 ID:WkbQBdU6 [6/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「そんなことより、今日メス等と会うんだけどさ、お前も来ない ?」

「行かないよ、時間の無駄だし。」

「お前ならそう言うと思ったよ。」

そう思ったなら何で聞いたんだよ。密かに毒突く。

 夜、修行をしていると、キリキザンが楽しそうにメスを住処に連れ込むのが見えた。本当、意識が低い。

 それからも、断っても断っても集まりがある度にキリキザンは誘ってくるのでうんざりして、一回だけ行くからもう誘わないでくれ、と提案し、メスとの集まりについていく事にした。

本当に時間の無駄だ。

 集まったメスは左からムウマージ、ゴチルゼル、ユキメノコ。

 その内のムウマージと目が合い、微笑まれた。

向けられた笑みを無視する。しかし構わず話しかけてきた。

「初めて見る顔ね、どこら辺に住んでるの ?」

「こいつの住処、俺の住処の近くだよ。」

キリキザンが口を挟む。余計な事を。
 ▼ 8 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:21:17 ID:WkbQBdU6 [7/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ふーん。今度お邪魔していいかしら ?合わせたい子が居るの。」

俺の返事を待たず、ムウマージは別のオスと別の話題に移った。

失礼な奴だと憤慨し、俺はただこの無為な時間が過ぎるのを待った。

 後日、いつもの様に修行していると、ムウマージが訪ねてきた。

1匹ではなく、2匹で。

一緒に来たそのメスはまるで純白のドレスを纏っているかのような見た目で、綺麗だった。

「ガブリアス、これが、この前合わせたいって言ってた子、サーナイトって言うの。」

サーナイトにも説明する。

「このポケモン、ガブリアスっていうんだけど」
言いつつサーナイトを俺の隣に並べる。

「やっぱり。思った通りお似合いだわ。」

1匹で満足して頷いている。

「もう、急に訪ねられてガブリアスさんも困ってるでしょ。だいたいこの間知り合ったって言ってたのに。」

「あら、そんなこと気にしてるの ?いいじゃないの、いつ知り合ったかなんて。じゃごゆっくり。」

 失礼な奴から、強引で失礼な奴に認識が変わった。

急に訪ねてきて、見知らぬメスを押し付けて帰るなんてどうかしてる。
 ▼ 9 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:22:11 ID:WkbQBdU6 [8/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「すいません、彼女強引で。」

「悪いけど、付き合うのは無理だからね。俺、修行が忙しいし、他のオスみたいに君を構えない。ただ偶に会うくらいならいいけど。」

 サーナイトが一瞬呆れたような驚いたような表情をした様な気がした。

すぐ笑顔になる。

「えぇ、じゃあ一緒にお昼にしましょうか。」

 彼女は持参したらしいウイの実を取り出す。俺も住処に入って、少し迷い甘い味の木の実を取った。

 昼食を摂った後、提案する。

「君の住処に案内してくれないかな。」

 近くに住んでいるキリキザンにサーナイトの存在を知られたくなかった。

付き合ってるなんて思われたら癪だ。

「いいですよ。今から来ます ?」

作り物のように人当たりの良い笑顔。俺はそれに頷いた。
 ▼ 10 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:23:03 ID:WkbQBdU6 [9/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サーナイトの住処。よく言えば片付いており、悪く言えば何も無い。

あるのは……あれはヒトの書いた本だろうか、それが沢山並んだ人工的な本棚。他にあるものといえば、本棚とは対照的な、手作りだと分かる木の実の入った籠。

「あの本、ヒトのモノ ?君、ヒトと住んでるの ?」

「ヒトとは住んでませんよ。ヒトの街で捨てられていたものを持ってきただけです。」

「ふぅん。」

 そんな他愛も無い話をして、夕暮れ時に住処に戻った。

 遊んだ分修行をして、その日を終える。
 ▼ 11 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:24:02 ID:WkbQBdU6 [10/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サーナイトに会う頻度は初めは1ヶ月に1度、それから2週間、1週間、2.3日と短くなっていくまでには半年程度の事だった。

修行をしている時に、ふとサーナイトに会いに行く。

しかし、その関係には恋人はおろか、友達という名前を付けることも認めなかった。

あくまで『仲の良い知人』だ。

自分は修行に勤しみ、そんな物を作る時間は無いのだから。

 この日も、いつもの様にサーナイトの住処へ向かった。

気まぐれに訪ねるので、時間が夕暮れ時になる事も珍しく無い。

ただサーナイトはいつも来る事が分かっている様に、出迎えてくれる。

いつもの様に、とりとめも無い話をし、サーナイトはそれを聞いてくれる、ただそれだけだ。

それでも、家族を含め他のポケモンとのコミュニケーションをとってこなかった俺は、その時間が言いようもなく好きだった。
 ▼ 12 ンゲラー@ハートのウロコ 16/06/24 21:24:09 ID:VejTjUk. NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
過去のSSの宣伝するのやめたら?
仮にも一度自演騒動起こしてるんだし
 ▼ 13 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:26:17 ID:WkbQBdU6 [11/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 夜、サーナイトに聞く。

「サーナイトってさ、いつも俺が来ること、わかってる様な感じだよね、何で ?」

「あぁ、私思念が感じ取れるの。」

「思念 ?考えてる事が解るってこと ?」

「そうそう。」

「うーん、俺はそういうのやだなぁ。」

「まぁいいや、今日はもう遅いし、泊まっていっても良いかな ?」

「ん、別に良いけど。」

「ありがとう。」

言いつつ俺は床に寝転がる。

「寝床で寝なよ。」

明らかな社交辞令のその提案に頷く。

「ありがとう。」
 ▼ 14 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:27:41 ID:WkbQBdU6 [12/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 寝床に入ると、急に今迄感じ方こと無い感情が込み上げてきた。

自分で正体が解らないそれは、オスとしての本能だ。

逆らわずに、サーナイトに近づき、寝床へ引き込む。

「きゃ、何 ?」

「わからない、ただ、こうしたくなった。」

 サーナイトの悟ったかの様な目。

「いいよ。」

「いいよって、何すればいいの ?」

 感情の赴くままに寝床へ引き込んだが、その先はわからなかった。

 その夜、俺はサーナイトにリードされるがまま、初めて性の悦びを知った。

 それから、3日に1度はサーナイトの住処へ行き、その快楽を享受し続けた。

あくまで修行の息抜きだ。

しかし自分の中でのサーナイトは、まだ知人のままで、他の知人にその存在は隠し続けたまま知らせて無い。
 ▼ 15 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:28:31 ID:WkbQBdU6 [13/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 夜、薄闇の森の中。そこの洞窟で情事を営んでいる。

喘いでいるメス。俺の存在を受け止めてくれるこのメスが愛しい。

 限界が近づく。快楽が最高潮へと向かっていくこの感覚。

でも、まだ味わいたいと我慢するこの感じの方が好きかもしれない。

努力の甲斐なく彼女の膣内で果てる。

急速に疲れが出てきて、意識が遠のき、彼女に倒れこむ。
 ▼ 16 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:29:31 ID:WkbQBdU6 [14/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 目が覚めると、サーナイトはもう隣に居なかった。

彼女はいつも俺より早起きだ。

 サーナイトが俺が起きたのに気付いて、此方へ来た。

「あぁお早う。いつも早いね。」

「おはよ、ガブリアスの好きなモモンの実、冷えてるよ。」

 そう言ってサーナイトはモモンの実を渡してきた。それを手に取り、齧る。

シャクッ、小気味良い音と同時に、自然に冷やされた、冷たすぎない優しい温度と、すっきりとしたけれども濃厚な甘さが口に広がる。

ゆっくりとそれを咀嚼する。

「モモンはやっぱり美味しいね。知ってる ? モモンの実はね……」

 自分の知識を伝えると、彼女はいつも感心してくれる。

「へぇ〜そうなんだ。ガブリアスは物知りだね。」

「そんなことないよ。こんな事は常識さ。」

 そう、常識だ。エリートであるには、力は勿論の事、知識も身につけてなくてはならない。
 ▼ 17 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:30:29 ID:WkbQBdU6 [15/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 そろそろ修行の為にも住処へ戻ろう。

「じゃ、俺はもう帰るよ。」

 帰り際、自生していたドリの実を取り、齧る。

口の中に嫌味の無い苦味が広がる。

この旨味を持った苦さが俺の好みで、甘い味のも嫌いでは無いが、これには及ばない。

 住処へ戻って、早速修行を始める。岩に向かってドラゴンクローを放つ。

生まれた時から、自分のリミッターを外して攻撃するこれよりも強力な技は覚えているが、修行では専らドラゴンクローを使う。

 ドラゴンクローで岩が砕ける。……砕ける ?

兄や父のドラゴンクローは岩を砕いていたが、俺のドラゴンクローで砕けたのはコレが初めてだ。

ようやく俺は兄達に追いついたのか。

今迄の努力が実を結び、それを目の当たりにしたことで、歓びが沸く。

これで認めてもらえる。
 ▼ 18 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:31:15 ID:WkbQBdU6 [16/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 早速俺は家族の元へ、何も思い残すことはなく向かった。

 翌日、住処へ着いた。

旅と言っても、修行をする為の旅だったので、そこまで遠くへは行ってなかった為、辿り着くまでにそこまで時間を要さなかった。

 遠くに自分と同じ種族の姿が見えた。

「兄ちゃん。」

そう言ってかけよる。

「ん ?あぁお前、戻ったのか。何しに帰ってきたんだよ。」

「何って、修行が終わって、兄ちゃん達に追いついたから、帰ってきたんだ。」

「追いつく ?はん、お前がか。」

嘲笑気味に笑みをこぼし兄は続ける。

「父さんも言わなかったのか。お前、そもそも産む気のなかったタマゴで、才能も無いし、捨てられたんだぞ。」

「は ?」

 聞き取れなかったわけでは無い。言葉の意味も解る。

ただそれがどういう事を指すのか認めたくなかった。
 ▼ 19 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:31:51 ID:WkbQBdU6 [17/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「今更戻っても、お前の居場所なんかねぇよ。」

「なんだよ……それ。ふざけるな !」

 リミッターを外すあの技。

生まれた頃から覚えていて、生まれた頃から1度も使った事のないあの技『逆鱗』。

 それを、兄に放った。吹き飛び、砂塵が舞う。

浮かぶシルエット。まだ、立っている。

「イッテェな。今のは、倒れるところだった。」

 兄が技を放ち返す。『ドラゴンダイブ』

それは、我を失った俺に避けられる技では無かった。

 強い衝撃。暗転。
 ▼ 20 ゲハント@ピッピにんぎょう 16/06/24 21:32:35 ID:o3yZ8UEM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
がんばりやのマリルリの話思い出した
 ▼ 21 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:33:04 ID:WkbQBdU6 [18/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 夜になり、気がつく。辺りには誰もいなかった。

俺の頭で兄の言葉がリピートされる。


―才能が無い


 兄や父の様になれれば……なりたい。

そう、兄みたいに、甘い物が好きで、陽気に。

 冷静では無かった。食べ物の好み程度で変わる筈がない。

 道すがらの甘い木の実を片っ端から食べていった。

 サーナイトの顔が頭に浮かぶ。ここに向かう時には全く思い浮かばなかったその顔が。

木の実を食べながらサーナイトの住処へと歩いた。
 ▼ 22 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:33:43 ID:WkbQBdU6 [19/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 次の日には、サーナイトの住処へと到着した。

「サーナイト……居る ?」

 返事は無い、いつもの出迎えも。

留守か、珍しい。

サーナイトは一時間程度待っても現れなかった。

 出直そう。俺はサーナイトの住処を後にした。
 ▼ 23 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:34:45 ID:WkbQBdU6 [20/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 2日後。また、そこへ向かうと、緑と白のシルエット。

しかしサーナイトでは無い。似ているが、あれはオスだ。

確かエルレイドという種族で、サーナイトと対にもなる種族。

何故か、目の前のオスに言いようも無い不快感を抱いた。

 エルレイドは住処を覗き、帰った。今日も居ないのだろうか ?

 3日ぐらい経った頃。

今日はサーナイトへ渡す木の実を入れた籠を用意した。

サーナイトと正式に交際をするつもりだ。

修行も意味を失ったしもう、サーナイトと番になってもいいだろう。

先にサーナイトと居たのは俺だし、あのオスなんかよりも俺を選ぶ筈だ。

 数時間経ち、辺りは暗くなっていた。

籠一杯の木の実は半分近くにまで減っていた。
 ▼ 24 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:35:30 ID:WkbQBdU6 [21/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 向こうに緑と白のシルエット。

間違いない、こんどこそサーナイトだ。

 俺を見た彼女の目が見開かれる。

「遅かったね。何してたの ?せっかくこれ、持ってきたのに。」

「どう……したの……?」

 彼女の声が震えている。

「ん ?あぁ最近トレーニングの合間に木の実を食べているんだ。」

 少しだけ、嘘が混じっている。トレーニングはしてない。

「サーナイトにも分けてあげようと思って。でも遅くて帰ろうか迷ってた。」

 サーナイトに動きは無い。

「どうしたの ?いらないの ?」

 そう言うと、彼女がそれを受け取る。

「あり……がとう。何か……あったの?」

 余計な事を聞かないでほしい。イラっとくる。

サーナイトは俺の話を聞くだけでいいのに。
 ▼ 25 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:36:20 ID:WkbQBdU6 [22/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「別に……ただ家族にあっただけだよ。それより、何かあったの ?もしかして、あのエルレイドとか言うのに会ってたの ?」

 あのオスの顔が頭に浮かぶ。

「ならやめた方がいいよあんな奴、それより俺と正式に付き合わない ?今迄そういうの馬鹿だと思ってたけど、最近考えが変わったんだ。」

 サーナイトに抱きつこうとすると、彼女が身を引く。

「なんで逃げるの ?あっもしかして少し太ったから ?サーナイトは俺の外見しか見てないの ?そんなのおかしいよ。」

「違う。ガブリアス、少しおかしいよ。ただ才能がないって言われただけでしょ ?」

 思考が止まる。

何故、それを。思い当たるのは1つだけだ。

「あなたはとても弱いわ、そんな程度でここまで変わるなんて。」

「なんで知ってるんだよ !!だいたい何?弱いって俺の心読んだの !?趣味悪いし信じられない !だいたい俺はエリート種族で弱いわけ無いし、それに変わってもいないよ !」

 サーナイトに掴みかかろうとすると、彼女の姿が消えた。

「ふざけんな出てこい !謝れ !」

 声が虚しく森に吸い込まれる。

「俺は……弱くなんて無い……」

 その呟きに、声は伴っていなかった。
 ▼ 26 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:37:10 ID:WkbQBdU6 [23/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 それから2日3日とサーナイトは帰ってこなかった。

 時間が経つと、なんだか馬鹿らしくなり始めた。

木の実を求め森を徘徊していると、青い子供のポケモン。

それと一緒にサーナイトの姿も見えた。

もうどうでもよかった。そばにあったモモンの実を取り、齧る。

 それから、更に2日後。珍しい木の実を見つけた。

フィラの実。味なんて関係無い。手に取って匂い、齧る。

 頭がクラッと来る。それと同時に、サーナイトへの怒りが再燃してきた。

後悔させたい。

強く、強くそう思った。

 ふと、一昨日の青いポケモンと、サーナイトの楽しそうな顔が頭を過る。

サーナイトのあんな顔は見た事が無い。それを壊したくなった。
 ▼ 27 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:37:55 ID:WkbQBdU6 [24/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 2日前に青いポケモンがいた場所。
そこに今度は1匹で居た。

俺が気づくと同時に、そのポケモンも何かを察知した様に逃げ出す。

しかし、足が遅い。すぐに追いつき背後からドラゴンクローを放つ。

 こいつをサーナイトが気付きそうな所。そうだ、本棚の前に埋めよう。

その名案を実行に移す。

 最近、サーナイトは住処に居ない。多分今日も居ないだろう。

 予想は的中だった。

ただ、本棚の本が半分くらいに減っていた。

つまり、サーナイトはここに戻ってきている。

穴を掘り、青いポケモンを埋める。

 これでサーナイトは……思わず暗い笑みがこぼれる。
 ▼ 28 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:38:45 ID:WkbQBdU6 [25/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ただ、少し時間が経つと、罪悪感が沸々と出てきた。

 どうしよう、やってしまった。でも、もう後戻り出来ない。

 後悔を引きずりながら、なんとなく青いポケモンのいた場所へ向かう。でもここに居ても意味が無い。

……帰ろう。

 数日そのまま無気力で過ごすも、今迄修行をしていた時間がぽっかりと空き、それを埋める方法も思い浮かばず、ただボーッとしていた。

 サーナイト気付いたかな。

埋めたから気付かなかったかもな。

そうだ、サーナイトも俺が死んだら少しは、あんなこと言った事、後悔するかな。

別に生きる事にもう意味なんて無いし、サーナイトの家で今度は目立つ様に……
 ▼ 29 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:39:49 ID:WkbQBdU6 [26/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 俺はその辺で丈夫な蔦を用意し、サーナイトの住処へ向かった。

 本棚の前に穴、掘り返したのか。

やっぱりサーナイトはここに帰ってるんだ。なら気付く筈。

 首を吊るのに丁度いい場所を探す。
 ここにしよう。

俺は蔦をかけ、それに、台を使って首をかけ、台を後ろに蹴る。



 ゴキッ



洞窟内に不気味な音が響く。
 ▼ 30 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:40:16 ID:WkbQBdU6 [27/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 だが、サーナイトはもうすでに、この地を離れており『サーナイトを後悔させる』という最後の願いは、叶う事は無かった。
―fin
 ▼ 31 ナフィ@リピートボール 16/06/24 21:41:38 ID:D0xMPNFs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 32 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/24 21:41:49 ID:WkbQBdU6 [28/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
終わりです
結果としては1個目の宣伝の様に見えますが、コレは1個目を作っていた当初から頭にあったもので、恐らく矛盾も無いと思います。多分……
 ▼ 33 ロバット@ハートのウロコ 16/06/25 01:44:01 ID:blfONKNY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一作目の方も読んだけどこれガブリアスの所にサーナイトやってきてなく無い?どうやってサーナイトはリオルのいる場所分かったの?
 ▼ 34 カ◆Ibi/.BQaas 16/06/26 00:10:15 ID:pKI7vSmM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>33
セレビィの時渡りで戻った後は、ガブリアスにサーナイトは話しかけてないので恐らく矛盾してません
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